JP3949239B2 - 双安定電磁石装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リレー用双安定電磁石装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この形式の電磁石装置は例えば、ヨーロッパ特許出願公開第0686989号公報から公知である。そこに記載の双安定切換装置では、磁気回路の横断面の部分は永久磁石によって形成されている。これは有利な実施例において、永久磁石が2部分のヨークの2つの部分の間に挿入されかつ相応にヨーク長手方向に磁化されているように実現され、その際横断面の残りはエアギャップとして実現されるかまたは多かれ少なかれ強磁性の部分が充填される。付加的な永久磁石を有する、長手方向に繋ぎ合わされている2つのヨーク部分によって、ヨークの長さに対する製造公差の加算化が生じ、かつこの構造においてヨークの端部における磁極面をコアの端部における磁極面と一緒に共通の面に持っていくという付加的な製造工程が必要になる。上述の刊行物において確かに、一体のヨークが永久磁石を収容するための側方の切り込みを備えるようにするという実施例も提案されている。この場合確かにヨークの全長に対しては製造公差の加算化は生じないが、この形式の切り込みへの永久磁石の固定には、永久磁石とそれに接しているヨーク部分との再現可能な結合が保証されなければならないとき、著しい手間が必要になってくる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、永久磁石が、全体の構成が出来るだけ僅かな部品で出来るだけ簡単な手法で製造可能であるようにはめ込まれている、冒頭に述べた形式の双安定電磁石装置を提供することである。その際磁気回路の幾何学形状が永久磁石のはめ込みによってそうでない場合には同じ構成を有する中立の磁石装置の幾何学形状に対して出来るだけ僅かしか変化しないようにすべきである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この課題は本発明によれば、リレー用双安定電磁石装置であって、
1つのコア脚部およびヨーク脚部を有しているコアヨークを有しており、コア脚部は1つの自由端を有しており、ヨーク脚部は1つの自由端を有しており、コア脚部は巻線を通って延在しており、
前記コア脚部の自由端は接極子に接続されており、該接極子は、該装置が開放位置にあるとき、前記コア脚部およびヨーク脚部の自由端を該接極子とヨーク脚部の自由端との間の作業エアギャップを介して橋絡し、該作業エアギャップは接極子とコアヨークとの間の磁束回路を定めるものであり、
前記接極子はばねにより開放位置にバイアスされかつヨーク脚部の自由端から隔離されており、
前記ヨーク脚部はさらに、磁束回路の狭幅部分を有しており、該狭幅部分は横断面を有しており、該狭幅部分は該狭幅部分の横断面より長い横断面を有している終端部分に接続されており、該終端部分および狭幅部分は強磁性のブリッジエレメントに直接または、該終端部分または狭幅部分と該強磁性のブリッジエレメントとの間に挿入されている永久磁石を介して接続されており、
該ブリッジエレメントは1つの端面を有しており、該端面は接極子から、磁極面として作用しない程度に離されており、前記永久磁石は該ブリッジエレメントと終端部分または狭幅部分との間でかつ磁束回路に対して垂直方向に極性付けられており、
前記狭幅部分は、接極子が閉成位置になりかつヨーク脚部の端面に係合しているとき該狭幅部分が永久磁石によって飽和されるように選定されている
ようにしたことによって解決される。
【0005】
従って本発明の磁石装置では、磁束回路は永久磁石のはめ込みによって中断されない。すなわち、永久磁石は、磁気回路の幾何学形状を決定する部分ではない。むしろ磁気回路、有利にはヨークは、永久磁石に隣接している部分において横断面が弱体化されているので、磁束の部分は側方で結合されている永久磁石および対応しているブリッジエレメントを介してガイドされる。側方で結合されているブリッジエレメントは永久磁石と一緒に特別簡単な手法で製造可能でありかつ組み立て可能である。というのはそれは寸法に関してコアヨークと接極子との間の幾何学的な形状調整に何らの影響を及ぼさずかつそれ故に製造公差がなんの役割も演じないからである。磁束回路の狭幅部分における弱体化はコアヨークの製造の際にもまたは接極子の製造の際にも相応の切削金型または類似のものによって付加的に大して手間をかけることなしに実現することができる。
【0006】
【発明の実施例の形態】
有利な実施例において、コアヨークは、それ自体公知の手法において、コイルを維持するコア脚部およびヨーク脚部を備えたU字形の形状をしており、これら脚部の自由な端面は相互に1平面内に整列配置されており、その際コア脚部の終端部分は永久磁石をブリッジエレメントと共に支持している。その際相応の階段形状の突出部を有するヨーク脚部は永久磁石およびブリッジエレメントを基本輪郭の横断面において収容することができるので、その結果幾何学的な寸法は実質的に、その他は同じに構成されている、永久磁石なしの中立な磁石装置の幾何学的な寸法と正確に対応している。
【0007】
有利な実施例において、狭幅部分およびブリッジ部分を有する永久磁石はコアヨークの部分、有利にはヨーク脚部の終端領域に設けられているが、本発明は、接極子が狭幅部分を有しかつ永久磁石並びにブリッジエレメントを備えているようにも実現可能である。確かに、可動の接極子が出来るだけ僅かな質量を有するようにするのが普通であり、この観点で永久磁石を接極子に取り付けることは多少不都合であるが、このような状態を甘受することができる用途も考えられる。
【0008】
有利な実施例において、ブリッジエレメントが付加部分として狭幅部分を有する、磁束回路の部分に並列に取り付けられることも既に示唆している。この場合も、例えば、ヨークの終端部分が長手スリットを備えていて、一体であるヨークのフォーク形状の構成によって、本来のヨーク部分およびこれに並列にブリッジエレメントを実現するようにした変形例も考えられ、この場合永久磁石はフォークの尖端部間に挟み込まれることになる。この場合ヨーク部分の主磁束路は横断面が低減されるもしくは狭幅部を備えることになる。このことは例えば、ヨークの長手方向の拡がりに対して垂直である孔によって行うことができる。しかし製造技術上通例は、別個に制作されかつ後から取り付けられるブリッジエレメントを用いた構成の方が一層有利である。ブリッジエレメントは、磁気回路部分、即ち例えばヨーク脚部に、従来の方法の1つ、例えば接着、スポット溶接またはレーザ溶接によって固定することができる。
【0009】
【実施例】
次に本発明を図示の実施例に付き図面を用いて詳細に説明する。
【0010】
図1ないし図4に図示の電磁石装置は、コア脚部2および3を備えたU字形のコアヨーク1を有している。各コア脚部の端面側の終端面4および5は1平面内に相互に整列配置されている。コア脚部2は巻線7を備えた巻き型6を支持している。更にコアの端面4に、またはより正確に言えば、端面4と巻き型の突出部8との間の切り欠きの間に、プレート状の接極子9が旋回可能に支承されている。接極子は、磁極面としての、ヨーク脚部の端面5と共に、作業エアギャップを形成している。巻き型の突出部8に両側において懸架されておりかつ空所11において接極子の外面に係合している復帰ばね10を用いて、接極子はその休止位置においてヨーク脚部から離れて外方向に向かってバイアスされる。
【0011】
ヨーク脚部3はその自由端の近傍に空所12を備えておりかつこのようにして2つの狭い側方ウェブの形の幅狭部分13を形成している。しかしこの幅狭部分は勿論別の手法でも形成することができる。この幅狭部分はそれが飽和するまでに僅かな量の磁束しか引き受けることができず、従って付加的な磁束を、扁平な永久磁石14および強磁性のブリッジエレメント15によって形成されている並列回路に強制的に送り込むことが重要である。これらの並列回路エレメントの幾何学的な収容のために、ヨーク脚部3は2つの段部16および17を備えている。第1の段部16にブリッジエレメント15が、ヨーク脚部の全体の厚さがこの個所でブリッジエレメントによってヨーク脚部3の基本厚さに相応するように挿入されている。第2の段部17によって、ブリッジエレメント15とヨーク脚部3の終端部分との間に隙間が形成され、ここに永久磁石14が配設され、永久磁石の磁化は隙間の長手方向および隙間の幅方向を横断する方向に配向されている。即ち、永久磁石の一方の極はヨーク脚部3の終端部分に結合されておりかつ反対の極はブリッジエレメント15に結合されている。段部16および17によって低減されている、終端領域におけるヨーク脚部の厚さを補償するために、この終端部分18は拡幅されているので、この部分は十分な横断面を有しかつ励磁および保持磁束に対する十分大きな磁極面5を有している。同じように、ブリッジエレメント15も終端部分18に対向している領域おいて拡幅されているので、制御磁束は大きなエアギャップ面を介して永久磁石を通ってかつ永久磁石の他に終端部分18からブリッジエレメント15に入り込むことができる。図示されているように、永久磁石は非常に扁平でありかつその短い軸線の方向に磁化されている。それは例えば0.3mmのオーダにある厚さを有していることができる。
【0012】
上述した磁石装置の機能は個々の部材の配置具合から生じる。図示の励磁されていない状態において、接極子は復帰ばね10によって復旧状態にバイアス負荷される。永久磁石14の磁束は、終端部分18、並びにヨーク脚部3の狭幅部分13およびブリッジエレメント15を介して閉じられ、一方磁極面5および作業エアギャップを介して接極子に至る漂遊磁束は、ばね10の復帰力に抗して接極子を吸引するには十分ではない。
【0013】
コイルに、作業エアギャップにおいて永久磁石の磁束に同方向に重畳される励磁が生成されると、接極子は吸引される。励磁の遮断後、接極子は吸引された状態に留まる。というのは、ヨーク脚部の狭幅部分13は飽和しかつ従って十分に大きな永久磁石磁束を接極子を介して流して、接極子をばね10の復帰力に抗して吸引された状態に保持することができるからである。
【0014】
しかしその後コイルが反対方向に励磁され、狭幅部分13の領域における飽和に基づいて励磁磁束の一部が磁石を介して移動しかつこれを減衰すると、励磁磁束はエアギャップにおける永久磁石磁束に反対方向に重畳されかつこのようにして接極子を復帰ばね10の力を借りて復旧させる。その際接極子を復旧された位置に保持するためには比較的弱い復帰ばね10で十分である。
【0015】
コアヨークの一体型構成によって、コアの磁極面5および端面4は簡単な手法で1平面において較正することができる。というのは、付加的に設けられた永久磁石14はブリッジエレメントと共に、コアヨークと接極子との間の幾何学的形状に何等の影響もしないからである。ブリッジエレメントの端面19は、それが磁極面として作用しない程度に遠く、接極子から離されている。いずれにせよ、この端面の、接極子からの距離によって、磁石装置の応動特性における微調整を実現するために、制御磁束に影響を及ぼすようにすることができる。概して、製造のために最も簡単なのは、ヨークコアの製造の際にヨーク脚部がスタンピングによって段部16および17を備えるようにしかつブリッジエレメントを挿入することである。その際永久磁石は有利にはまず、ブリッジエレメントに載置され、例えば接着され、かつそれからブリッジエレメントがヨーク脚部に固定される。この場合も、接着による固定は有利な組立形式である。しかしスポット溶接またはレーザ溶接も可能である。磁石装置はそれ自体公知の方法でリレーに装着することができ、その際図示されていない接点ばねをスライダを介して接極子の自由端によって操作することができる。
【0016】
図5には、別の実施例が略示されている。この場合も、コア脚部22および23を有するU字形のコアヨーク21が図示されており、その際コア脚部はコイル巻線24を支持している。接極子25はヨーク脚部23の端面に支承されておりかつ接極子ばね26を介して保持されるかないしその休止位置にバイアス負荷される。コア脚部22の自由端によって、接極子は作業エアギャップを形成する。この場合、接極子は狭幅部分ないし横断面が弱体化されている部分29を有しており、この部分は側面図では見えていないので、破線で示唆されているにすぎない。この狭幅部分29の前で、接極子の自由端に、長手方向の拡がりに対して横断する方向において磁化されている永久磁石27が配設されている。この永久磁石を介して強磁性のブリッジエレメント28は永久磁石の上側の極を狭幅部分29に対して並列に接極子25の支承されている端部に結合する。ブリッジエレメント28はこの場合、単純なプレートして実現されており、一方接極子は永久磁石27の厚さを有する階段状突起を有している。しかし接極子25をブリッジエレメント28と一体に製造しかつ永久磁石27の厚さのスリットを備えかつ後から永久磁石をこのスリット内に挿入して固定することも考えられる。この場合も、狭幅部分29を形成するための空所を、接極子の、主磁束を受け取る下側部分に形成しなければならないことになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従って構成されているリレーの磁石装置(接点装置は図示されていない)の斜視図である。
【図2】図1のリレーの鉄心回路部分の展開図である。
【図3】図1の磁石装置の側面図(コイルおよびコアは縦断面図)である。
【図4】図1の磁石装置の平面図である。
【図5】変形された、第2の実施例の概略図である。
【符号の説明】
1;21 コアヨーク、 2,3;22,23 ヨーク脚部、 4,5 ヨーク脚部端面、7;24 コイル、 9;25 接極子、 10;26 復帰装置、 13;29 狭幅部分、 14 永久磁石、 15;28 ブリッジエレメント
Claims (10)
- リレー用双安定電磁石装置であって、
1つのコア脚部およびヨーク脚部を有しているコアヨークを有しており、コア脚部は1つの自由端を有しており、ヨーク脚部は1つの自由端を有しており、コア脚部は巻線を通って延在しており、
前記コア脚部の自由端は接極子に接続されており、該接極子は、該装置が開放位置にあるとき、前記コア脚部およびヨーク脚部の自由端を該接極子とヨーク脚部の自由端との間の作業エアギャップを介して橋絡し、該作業エアギャップは接極子とコアヨークとの間の磁束回路を定めるものであり、
前記接極子はばねにより開放位置にバイアスされかつヨーク脚部の自由端から隔離されており、
前記ヨーク脚部はさらに、磁束回路の狭幅部分を有しており、該狭幅部分は横断面を有しており、該狭幅部分は該狭幅部分の横断面より長い横断面を有している終端部分に接続されており、該終端部分および狭幅部分は強磁性のブリッジエレメントに直接または、該終端部分または狭幅部分と該強磁性のブリッジエレメントとの間に挿入されている永久磁石を介して接続されており、
該ブリッジエレメントは1つの端面を有しており、該端面は接極子から、磁極面として作用しない程度に離されており、前記永久磁石は該ブリッジエレメントと終端部分または狭幅部分との間でかつ磁束回路に対して垂直方向に極性付けられており、
前記狭幅部分は、接極子が閉成位置になりかつヨーク脚部の端面に係合しているとき該狭幅部分が永久磁石によって飽和されるように選定されている
双安定電磁装置。 - 該ブリッジエレメントの端面は接極子から、磁極面として作用しないが微調整のための制御磁束に影響を及ぼす程度に離されている
請求項1記載の双安定電磁装置。 - 前記コアヨークはコア脚部およびヨーク脚部の自由端を備えたU字形の形状をしており、該両自由端は相互に1平面内に整列配置されている
請求項1記載の双安定電磁石装置。 - 前記狭幅部分はヨーク脚部に配置されておりかつ該ヨーク脚部の自由端はコア脚部の自由端の横断面より幅広くかつ薄い横断面を有している
請求項1記載の双安定電磁石装置。 - 前記狭幅部分はヨーク脚部に配置されておりかつ該ヨーク脚部はさらに、該ヨーク脚部の自由端と狭幅部分との間に配置されている終端部分を有しており、前記永久磁石は、前記ブリッジエレメントと前記ヨーク脚部の終端部分との間に挿入されている
請求項1記載の双安定電磁石装置。 - 前記ヨーク脚部の終端部分はコア脚部の自由端の横断面より幅広くかつ薄い横断面を有している
請求項3記載の双安定電磁石装置。 - 前記狭幅部分はヨーク脚部に配置されておりかつ該ヨーク脚部はさらに、永久磁石を収容するための第1の段部およびブリッジエレメントを収容するための第2の段部を有している下面を有しており、第1の段部は第2の段部内に配設されておりかつ永久磁石は該第1の段部でヨーク脚部の下面に接続されておりかつブリッジエレメントはヨーク脚部の下面に第2の段部において、これらの間に挿入される永久磁石と一緒に取り付けられている
請求項1記載の双安定電磁石装置。 - 前記ヨーク脚部、永久磁石およびブリッジエレメントによって定められている断面領域の大きさは、コア脚部の自由端によって定められている断面領域の大きさに近似的に等しい
請求項6記載の双安定電磁石装置。 - 前記ヨーク脚部の自由端は装置が開放位置にあるとき、ブリッジエレメントの前記端面より接極子により近傍に配置されている
請求項1記載の双安定電磁石装置。 - ブリッジエレメントは永久磁石を収容するためのスリットを有している
請求項1記載の双安定電磁石装置。
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