JP3945762B2 - ドアの開閉装置の構造 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両におけるドアの開閉装置の構造に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来のドアの開閉装置としては、ドアに連結されるアーム部材と、車体内部に設けられ、アーム部材を駆動する駆動手段とを備え、アーム部材がドアの開口部よりも外側に突出してドアを開閉する技術が挙げられ、特開２０００−３３５２４５号公報にもその一例が開示されている。同公報には、ドアの開口面積を大きく確保する目的で、アーム部材を挿通させるための貫通孔を開口部の内周縁よりも外側に別途に設ける技術が開示されている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の技術は、開口部の内周縁よりも外側に、つまり車体の後端縁パネル（通常、外面パネルと内面パネルから構成される）に貫通孔を形成するものであり、貫通孔周辺の強度を確保するための補強手段が必要となる。さらに、車両室内側への水や塵埃等の侵入を抑えるために防水構造が必要となったり、貫通孔のシール性を確保するシール部材が別途必要になる等、構造が複雑になりやすいという問題があった。
【０００４】
本発明は以上のような問題を解決するために創作されたものであり、ドアの開口部の開口面積を大きく確保でき、且つ、補強構造や別途のシール構造が不要となって簡易な構造となるドアの開閉装置の構造を提供することを目的としている。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記課題を解決するため、車両のドアに連結されるアーム部材と、車体内部に設けられ、前記アーム部材を駆動する駆動手段とを備え、アーム部材がドアの開口部よりも外側に突出してドアを開閉するドアの開閉装置の構造であって、前記ドアの開口部の内周縁にシール部材を設け、該シール部材に形成した貫通孔に前記アーム部材を挿通させる構成とし、前記シール部材は、前記貫通孔が形成され、前記ドアの開口部の上部のコーナー部に取り付けられる第１のシール部材と、前記第１のシール部材と別体であり、前記ドアの開口部の内周縁の直線部に第１のシール部材と連続的に取り付けられる第２のシール部材と、を有する構成とした。当該構成により、開口部の開口面積を大きく確保でき、且つ、後端縁パネルに貫通孔を設けた場合における補強構造や別途のシール構造が不要となり、簡易な構造が実現される。
【０００６】
また、前記シール部材として、前記貫通孔が形成され、前記ドアの開口部の上部のコーナー部に取り付けられる第１のシール部材と、前記第１のシール部材と別体であり、前記ドアの開口部の内周縁の直線部に第１のシール部材と連続的に取り付けられる第２のシール部材と、を有する構成としたので、例えば第１のシール部材を開口部のコーナー部に取り付けた際、シール部材のコーナー部への追従性が向上し、コーナー部の曲率半径を小さくしても十分に対応可能となる。これにより、開口部の内周縁を外側に拡大でき、開口部の開口面積をさらに大きく確保できる。
【０００７】
また、前記第１のシール部材を型成形により形成すれば、開口部のコーナー部に適した形状として予め形成できるため、取り付けた際のコーナー部への追従性がより向上することとなり、また、貫通孔に関しても望ましい形状を得ることができ、製品性、生産性に優れる。
【０００８】
さらに、前記第１のシール部材を前記第２のシール部材よりも硬質のシール材料から構成すれば、第１シール部材において貫通孔を形成したことに対する補強機能を重視した構成となり、第１シール部材の剛性を容易に高めることができる。そして、第２シール部材においては軟質のシール材料によりシール性を重視した構成となり、所望のシール性能が確保される。
【０００９】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図１はドアの開閉装置の側面説明図、図２は車両後方側から見たドアの開閉装置を示す正面説明図、図３はドアの開閉装置の外観斜視図であり、（ａ）はドアが全開時の状態、（ｂ）は全閉時の状態を示す。
【００１０】
図１ではドアの開閉装置１をワゴンタイプの車両におけるバックドア（以降、単にドアという）Ｄに適用した例を示す。ドアＤは車体Ｂに対して、ルーフの後端近傍に位置した車幅方向の軸回りに回動自在に取り付けられている。開閉装置１は、ドアＤの開口部Ｓ（図１や図２に示す車体の後端縁パネルＢＰによって囲まれる部位を指す）よりも車室側に、つまり車体内側に設けられる駆動手段２と、この駆動手段２により駆動され、開口部Ｓよりも車体外側に（具体的には開口部Ｓの開口面を含む面Ｓ１（図１）よりも車体外側に）突出してドアＤに連結するアーム部材３と、を備える。
【００１１】
駆動手段２としては、電動モータ（図示せず）等が適用される。駆動手段２の駆動力をアーム部材３に伝達する駆動伝達機構としては、例えばラックアンドピニオン機構が用いられる。図１等に示すように、スライダ部材４は車両室内において設けられるブラケット（図示せず）により支持されて車両の前後方向に移動する板状の部材として構成される。スライダ部材４の上部は、車両の前後方向に沿ってラックギア４ａが形成され、駆動手段２（電動モータ等）の出力軸に直接、或いはギア機構等を介して設けられる出力ギア５をラックギア４ａに噛合させる構成としている。これにより、出力ギア５が正逆回転することでスライダ部材４は車両の前後方向に往復直線移動する。
【００１２】
アーム部材３はその一端側及び他端側がそれぞれスライダ部材４及びドアＤに回動自在に連結されている。具体的には、アーム部材３の一端側は、スライダ部材４の車両後方寄りの部位に連結部６を介して車幅方向の軸回りに回動自在に連結され、アーム部材３の他端側は、ドアＤに固設した図示しないブラケットに連結部７を介して車幅方向の軸回りに回動自在に連結される。つまり、連結部６は車両前後方向に往復直線移動する部位となり、連結部７はドアＤの回動軸回りに回転移動する部位となる。以上の構成により、スライダ部材４の直線運動がアーム部材３の回転運動に変換され、ドアＤの開閉がなされる。
【００１３】
後端縁パネルＢＰの開口縁部、つまり開口部Ｓの内周縁にはシール部材８が設けられる。このシール部材８は、ドアＤが全閉となったときにドアＤの内面側に密着することにより車両室内への水や塵埃の侵入を防止する。シール部材８は、ゴム材料等の弾性体などから構成され、例えば外周側に形成した切れ込み部を開口部Ｓの内周縁に嵌め込むことで開口部Ｓの内周縁を表裏から挟み込む態様として取り付けられる。
【００１４】
シール部材８には、車両室内側と車両外側とを貫通するように貫通孔９が形成され、前記アーム部材３をこの貫通孔９に挿通させる構成としている。本実施形態では、図２に示すように、シール部材８として、貫通孔９が形成される第１のシール部材（第１シール部材８Ａ）と、第１シール部材８Ａと別体であり、開口部Ｓの内周縁に第１シール部材８Ａと連続的に取り付けられる第２のシール部材（第２シール部材８Ｂ）と、に分割した構成としてある。
【００１５】
第１シール部材８Ａは、開口部Ｓにおける上部のコーナー部に取り付けられる。開口部Ｓの上部のコーナー部は比較的曲率半径の小さい曲線として形成されており、第１シール部材８Ａはこの曲線の部位と、この曲線の部位の終端からそれぞれ横方向及び下方向に延びる若干の直線部を覆うように取り付けられる。本実施形態において、第１シール部材８Ａは図２に示すように、正面方向から見て略三角状を呈しており、貫通孔９も同方向から見て略三角状を呈している。第２シール部材８Ｂは、第１シール部材８Ａの端部（横端部８ｃ及び下端部８ｄ）に突き合わされる状態で、開口部Ｓの直線部の内周縁を覆うように取り付けられる。
【００１６】
このように、アーム部材３をシール部材８の貫通孔９に挿通させる構成とすれば、開口部Ｓの開口面積を大きく確保でき、且つ、後端縁パネルＢＰに貫通孔を設けた場合における補強構造や別途のシール構造が不要となる。
【００１７】
また、貫通孔９を形成する第１シール部材８Ａを他の第２シール部材８Ｂと別体とし、開口部Ｓのコーナー部に第１シール部材８Ａを設けることによって、次のような効果が奏される。仮に、シール部材８を分割することなく一体的に構成した場合には、シール部材８を曲げて取り付けた際のコーナー部への追従性を考慮して、コーナー部の曲率半径を、図２に仮想線で示すように大きくとらざるを得ないという問題がある。つまり、直線状として形成されるシール部材８の曲げ半径を小さくして取り付けると、前記した開口部Ｓの内周縁に対する表裏からの挟み込みが緩くなり、シール性能が低下するおそれがある。
【００１８】
これに対し、開口部Ｓのコーナー部に小片となる第１シール部材８Ａを設けることによって、直線部からの引張作用をそれ程受けることがなくなるため、シール部材８のコーナー部への追従性が向上し、コーナー部の曲率半径を小さくしても十分に対応可能となる。これにより、開口部Ｓの内周縁を外側に拡大でき、開口部Ｓの開口面積をさらに大きく確保できる。
【００１９】
この場合、第１シール部材８Ａを型成形によって構成することにより、開口部Ｓのコーナー部に適した形状として予め形成できるため、取り付けた際のコーナー部への追従性がより向上することとなり、また、貫通孔９に関しても望ましい形状を得ることができ、製品性、生産性に優れることとなる。
【００２０】
また、第１シール部材８Ａを硬質ゴム材から構成し、第２シール部材８Ｂを軟質ゴム材から構成するなど、第１シール部材８Ａを第２シール部材８Ｂよりも硬質のシール材料から構成すれば、第１シール部材８Ａにおいては貫通孔９を形成したことに対する補強機能を重視した構成となり、第１シール部材８Ａの剛性を高めることができる。そして、第２シール部材８Ｂにおいては軟質のシール材料によりシール性を重視した構成となり、所望のシール性能が確保される。
【００２１】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、各構成要素のレイアウトや形状、個数等は、図面に記載したものに限定されず、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で適宜に設計変更が可能である。
【００２２】
【発明の効果】
本発明によれば、ドアの開口部の開口面積を大きく確保でき、且つ、後端縁パネルに貫通孔を設けた場合における補強構造や別途のシール構造が不要となり、簡易な開閉装置の構造が実現される。
【図面の簡単な説明】
【図１】ドアの開閉装置の側面説明図である。
【図２】車両後方側から見たドアの開閉装置を示す正面説明図である。
【図３】ドアの開閉装置の外観斜視図であり、（ａ）はドアが全開時の状態、（ｂ）は全閉時の状態を示す。
【符号の説明】
Ｂ 車体
Ｄ ドア
Ｓ 開口部
１ ドアの開閉装置
２ 駆動手段
３ アーム部材
８ シール部材
８Ａ 第１シール部材
８Ｂ 第２シール部材
９ 貫通孔
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両におけるドアの開閉装置の構造に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来のドアの開閉装置としては、ドアに連結されるアーム部材と、車体内部に設けられ、アーム部材を駆動する駆動手段とを備え、アーム部材がドアの開口部よりも外側に突出してドアを開閉する技術が挙げられ、特開２０００−３３５２４５号公報にもその一例が開示されている。同公報には、ドアの開口面積を大きく確保する目的で、アーム部材を挿通させるための貫通孔を開口部の内周縁よりも外側に別途に設ける技術が開示されている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の技術は、開口部の内周縁よりも外側に、つまり車体の後端縁パネル（通常、外面パネルと内面パネルから構成される）に貫通孔を形成するものであり、貫通孔周辺の強度を確保するための補強手段が必要となる。さらに、車両室内側への水や塵埃等の侵入を抑えるために防水構造が必要となったり、貫通孔のシール性を確保するシール部材が別途必要になる等、構造が複雑になりやすいという問題があった。
【０００４】
本発明は以上のような問題を解決するために創作されたものであり、ドアの開口部の開口面積を大きく確保でき、且つ、補強構造や別途のシール構造が不要となって簡易な構造となるドアの開閉装置の構造を提供することを目的としている。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記課題を解決するため、車両のドアに連結されるアーム部材と、車体内部に設けられ、前記アーム部材を駆動する駆動手段とを備え、アーム部材がドアの開口部よりも外側に突出してドアを開閉するドアの開閉装置の構造であって、前記ドアの開口部の内周縁にシール部材を設け、該シール部材に形成した貫通孔に前記アーム部材を挿通させる構成とし、前記シール部材は、前記貫通孔が形成され、前記ドアの開口部の上部のコーナー部に取り付けられる第１のシール部材と、前記第１のシール部材と別体であり、前記ドアの開口部の内周縁の直線部に第１のシール部材と連続的に取り付けられる第２のシール部材と、を有する構成とした。当該構成により、開口部の開口面積を大きく確保でき、且つ、後端縁パネルに貫通孔を設けた場合における補強構造や別途のシール構造が不要となり、簡易な構造が実現される。
【０００６】
また、前記シール部材として、前記貫通孔が形成され、前記ドアの開口部の上部のコーナー部に取り付けられる第１のシール部材と、前記第１のシール部材と別体であり、前記ドアの開口部の内周縁の直線部に第１のシール部材と連続的に取り付けられる第２のシール部材と、を有する構成としたので、例えば第１のシール部材を開口部のコーナー部に取り付けた際、シール部材のコーナー部への追従性が向上し、コーナー部の曲率半径を小さくしても十分に対応可能となる。これにより、開口部の内周縁を外側に拡大でき、開口部の開口面積をさらに大きく確保できる。
【０００７】
また、前記第１のシール部材を型成形により形成すれば、開口部のコーナー部に適した形状として予め形成できるため、取り付けた際のコーナー部への追従性がより向上することとなり、また、貫通孔に関しても望ましい形状を得ることができ、製品性、生産性に優れる。
【０００８】
さらに、前記第１のシール部材を前記第２のシール部材よりも硬質のシール材料から構成すれば、第１シール部材において貫通孔を形成したことに対する補強機能を重視した構成となり、第１シール部材の剛性を容易に高めることができる。そして、第２シール部材においては軟質のシール材料によりシール性を重視した構成となり、所望のシール性能が確保される。
【０００９】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図１はドアの開閉装置の側面説明図、図２は車両後方側から見たドアの開閉装置を示す正面説明図、図３はドアの開閉装置の外観斜視図であり、（ａ）はドアが全開時の状態、（ｂ）は全閉時の状態を示す。
【００１０】
図１ではドアの開閉装置１をワゴンタイプの車両におけるバックドア（以降、単にドアという）Ｄに適用した例を示す。ドアＤは車体Ｂに対して、ルーフの後端近傍に位置した車幅方向の軸回りに回動自在に取り付けられている。開閉装置１は、ドアＤの開口部Ｓ（図１や図２に示す車体の後端縁パネルＢＰによって囲まれる部位を指す）よりも車室側に、つまり車体内側に設けられる駆動手段２と、この駆動手段２により駆動され、開口部Ｓよりも車体外側に（具体的には開口部Ｓの開口面を含む面Ｓ１（図１）よりも車体外側に）突出してドアＤに連結するアーム部材３と、を備える。
【００１１】
駆動手段２としては、電動モータ（図示せず）等が適用される。駆動手段２の駆動力をアーム部材３に伝達する駆動伝達機構としては、例えばラックアンドピニオン機構が用いられる。図１等に示すように、スライダ部材４は車両室内において設けられるブラケット（図示せず）により支持されて車両の前後方向に移動する板状の部材として構成される。スライダ部材４の上部は、車両の前後方向に沿ってラックギア４ａが形成され、駆動手段２（電動モータ等）の出力軸に直接、或いはギア機構等を介して設けられる出力ギア５をラックギア４ａに噛合させる構成としている。これにより、出力ギア５が正逆回転することでスライダ部材４は車両の前後方向に往復直線移動する。
【００１２】
アーム部材３はその一端側及び他端側がそれぞれスライダ部材４及びドアＤに回動自在に連結されている。具体的には、アーム部材３の一端側は、スライダ部材４の車両後方寄りの部位に連結部６を介して車幅方向の軸回りに回動自在に連結され、アーム部材３の他端側は、ドアＤに固設した図示しないブラケットに連結部７を介して車幅方向の軸回りに回動自在に連結される。つまり、連結部６は車両前後方向に往復直線移動する部位となり、連結部７はドアＤの回動軸回りに回転移動する部位となる。以上の構成により、スライダ部材４の直線運動がアーム部材３の回転運動に変換され、ドアＤの開閉がなされる。
【００１３】
後端縁パネルＢＰの開口縁部、つまり開口部Ｓの内周縁にはシール部材８が設けられる。このシール部材８は、ドアＤが全閉となったときにドアＤの内面側に密着することにより車両室内への水や塵埃の侵入を防止する。シール部材８は、ゴム材料等の弾性体などから構成され、例えば外周側に形成した切れ込み部を開口部Ｓの内周縁に嵌め込むことで開口部Ｓの内周縁を表裏から挟み込む態様として取り付けられる。
【００１４】
シール部材８には、車両室内側と車両外側とを貫通するように貫通孔９が形成され、前記アーム部材３をこの貫通孔９に挿通させる構成としている。本実施形態では、図２に示すように、シール部材８として、貫通孔９が形成される第１のシール部材（第１シール部材８Ａ）と、第１シール部材８Ａと別体であり、開口部Ｓの内周縁に第１シール部材８Ａと連続的に取り付けられる第２のシール部材（第２シール部材８Ｂ）と、に分割した構成としてある。
【００１５】
第１シール部材８Ａは、開口部Ｓにおける上部のコーナー部に取り付けられる。開口部Ｓの上部のコーナー部は比較的曲率半径の小さい曲線として形成されており、第１シール部材８Ａはこの曲線の部位と、この曲線の部位の終端からそれぞれ横方向及び下方向に延びる若干の直線部を覆うように取り付けられる。本実施形態において、第１シール部材８Ａは図２に示すように、正面方向から見て略三角状を呈しており、貫通孔９も同方向から見て略三角状を呈している。第２シール部材８Ｂは、第１シール部材８Ａの端部（横端部８ｃ及び下端部８ｄ）に突き合わされる状態で、開口部Ｓの直線部の内周縁を覆うように取り付けられる。
【００１６】
このように、アーム部材３をシール部材８の貫通孔９に挿通させる構成とすれば、開口部Ｓの開口面積を大きく確保でき、且つ、後端縁パネルＢＰに貫通孔を設けた場合における補強構造や別途のシール構造が不要となる。
【００１７】
また、貫通孔９を形成する第１シール部材８Ａを他の第２シール部材８Ｂと別体とし、開口部Ｓのコーナー部に第１シール部材８Ａを設けることによって、次のような効果が奏される。仮に、シール部材８を分割することなく一体的に構成した場合には、シール部材８を曲げて取り付けた際のコーナー部への追従性を考慮して、コーナー部の曲率半径を、図２に仮想線で示すように大きくとらざるを得ないという問題がある。つまり、直線状として形成されるシール部材８の曲げ半径を小さくして取り付けると、前記した開口部Ｓの内周縁に対する表裏からの挟み込みが緩くなり、シール性能が低下するおそれがある。
【００１８】
これに対し、開口部Ｓのコーナー部に小片となる第１シール部材８Ａを設けることによって、直線部からの引張作用をそれ程受けることがなくなるため、シール部材８のコーナー部への追従性が向上し、コーナー部の曲率半径を小さくしても十分に対応可能となる。これにより、開口部Ｓの内周縁を外側に拡大でき、開口部Ｓの開口面積をさらに大きく確保できる。
【００１９】
この場合、第１シール部材８Ａを型成形によって構成することにより、開口部Ｓのコーナー部に適した形状として予め形成できるため、取り付けた際のコーナー部への追従性がより向上することとなり、また、貫通孔９に関しても望ましい形状を得ることができ、製品性、生産性に優れることとなる。
【００２０】
また、第１シール部材８Ａを硬質ゴム材から構成し、第２シール部材８Ｂを軟質ゴム材から構成するなど、第１シール部材８Ａを第２シール部材８Ｂよりも硬質のシール材料から構成すれば、第１シール部材８Ａにおいては貫通孔９を形成したことに対する補強機能を重視した構成となり、第１シール部材８Ａの剛性を高めることができる。そして、第２シール部材８Ｂにおいては軟質のシール材料によりシール性を重視した構成となり、所望のシール性能が確保される。
【００２１】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、各構成要素のレイアウトや形状、個数等は、図面に記載したものに限定されず、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で適宜に設計変更が可能である。
【００２２】
【発明の効果】
本発明によれば、ドアの開口部の開口面積を大きく確保でき、且つ、後端縁パネルに貫通孔を設けた場合における補強構造や別途のシール構造が不要となり、簡易な開閉装置の構造が実現される。
【図面の簡単な説明】
【図１】ドアの開閉装置の側面説明図である。
【図２】車両後方側から見たドアの開閉装置を示す正面説明図である。
【図３】ドアの開閉装置の外観斜視図であり、（ａ）はドアが全開時の状態、（ｂ）は全閉時の状態を示す。
【符号の説明】
Ｂ 車体
Ｄ ドア
Ｓ 開口部
１ ドアの開閉装置
２ 駆動手段
３ アーム部材
８ シール部材
８Ａ 第１シール部材
８Ｂ 第２シール部材
９ 貫通孔
Claims (3)
- 車両のドアに連結されるアーム部材と、車体内部に設けられ、前記アーム部材を駆動する駆動手段とを備え、アーム部材がドアの開口部よりも外側に突出してドアを開閉するドアの開閉装置の構造であって、
前記ドアの開口部の内周縁にシール部材を設け、該シール部材に形成した貫通孔に前記アーム部材を挿通させる構成とし、
前記シール部材は、前記貫通孔が形成され、前記ドアの開口部の上部のコーナー部に取り付けられる第１のシール部材と、前記第１のシール部材と別体であり、前記ドアの開口部の内周縁の直線部に第１のシール部材と連続的に取り付けられる第２のシール部材と、を有することを特徴とするドアの開閉装置の構造。 - 前記第１のシール部材は型成形により形成されていることを特徴とする請求項１に記載のドアの開閉装置の構造。
- 前記第１のシール部材は前記第２のシール部材よりも硬質のシール材料からなることを特徴とする請求項１又は請求項２に記載のドアの開閉装置の構造。
Priority Applications (3)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002222977A JP3945762B2 (ja) | 2002-07-31 | 2002-07-31 | ドアの開閉装置の構造 |
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