JP3944709B2 - 印刷装置、制御プログラムロード方法、ロード制御プログラムを記録した媒体およびロード制御プログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷装置、制御プログラムロード方法、ロード制御プログラムを記録した媒体およびロード制御プログラムに関し、特に、揮発性メモリに各種制御プログラムをロードして処理を行いつつ印刷を行う印刷装置、制御プログラムロード方法、ロード制御プログラムを記録した媒体およびロード制御プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の印刷装置としては、ROM,RAM,CPU等からなるプログラム実行環境を備えたページプリンタ等が知られている。このページプリンタでは、必要充分なメモリリソースを搭載して有効に活用するために、制御プログラムをメインプログラムと他のモジュールとに分割し、ROMに圧縮・格納しておく。プリンタ駆動時にはRAMにメインプログラムをロードして実行するとともに、メインプログラムにて他のモジュールが必要になった時点でそのモジュールを解凍し、RAMにロードして実行する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の印刷装置においては、各制御プログラムの実行時にまず解凍を行ってからRAMにロードする必要があり、制御プログラムが必要とされたときに即実行することができず、処理速度高速化の障害となっていた。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、簡易な構成により制御プログラムによる処理速度を高速化することが可能な印刷装置、制御プログラムロード方法、ロード制御プログラムを記録した媒体およびロード制御プログラムの提供を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は主記憶領域を提供する揮発性メモリと定常的に使用される第1制御プログラムおよび必要に応じて使用される第2制御プログラムを圧縮した状態で記憶した不揮発性メモリを備え、第1制御プログラムの実行に伴って上記第2制御プログラムが必要となるときのために、不揮発性メモリに記憶した第2制御プログラムを動的に上記揮発性メモリに解凍し、解凍した第2制御プログラムを実行する印刷装置であって、上記揮発性メモリの記憶容量を取得する記憶容量取得手段と、同取得した記憶容量から上記第2制御プログラムの中で優先的に解凍するプログラムを特定する優先解凍制御プログラム特定手段と、上記特定された第2制御プログラムの実行開始前の所定期間であって、第1制御プログラムが第2制御プログラムによる処理を必要とせず同第1制御プログラムが待機状態である期間に、上記特定された第2制御プログラムを解凍して上記揮発性メモリにロードするロード制御手段とを具備する構成としてある。
【0005】
上記のように構成した請求項1にかかる発明において、印刷装置は主記憶領域を提供する揮発性メモリを搭載可能であり、不揮発性メモリには定常的に使用される第1制御プログラムおよび必要に応じて使用される第2制御プログラムが記憶されている。印刷装置における各種処理は第1制御プログラムを実行し、また、必要に応じて第2制御プログラムを実行することによって実現され、これらの第1,第2制御プログラムは所定の揮発性メモリにロードされた状態で実行される。ここで、第2制御プログラムは複数のモジュールからなり、印刷装置は種々の処理の過程で適宜第2制御プログラムを呼び出して実行される。
【0006】
本発明においては、各第1,第2制御プログラム実行時の処理速度を高速化するため、上記記憶容量取得手段と優先解凍制御プログラム特定手段とロード制御手段とを備えている。記憶容量取得手段においては、揮発性メモリの記憶容量を取得する。すなわち、印刷装置に対して搭載されている揮発性メモリの記憶容量を取得する。取得する記憶容量としては揮発性メモリの静的な容量でも良いし動的な容量でも良い。
【0007】
優先解凍制御プログラム特定手段は上記不揮発性メモリに記憶した第2制御プログラムの中で優先的に解凍するプログラムを特定しており、この第2制御プログラムは上記記憶容量取得手段にて取得した記憶容量に基づいて特定される。ロード制御手段は同特定された第2制御プログラムの実行開始前の所定期間に当該特定された第2制御プログラムを解凍して上記揮発性メモリにロードする。
【0008】
すなわち、本発明におけるロード制御手段は第2制御プログラムを当該第2制御プログラムが呼び出される前に解凍して揮発性メモリにロードしており、当該第2制御プログラムが呼び出されたときには、解凍処理等を行うことなく即座に実行を開始することができる。この意味で、ロード制御手段は第2制御プログラムについて事前ロードを実施すると言える。
【0009】
この第2制御プログラムの事前ロードによって第1制御プログラムのワークエリアが少なくなるなどしたときには、当該第1制御プログラムの実行に障害となるところ、本発明では優先解凍制御プログラム特定手段によって揮発性メモリの容量を取得し容量を考慮して優先的に解凍する第2制御プログラムを特定する。従って、上記第1制御プログラムの実行に障害を与えない範囲で優先的に解凍する第2制御プログラムを特定することにより、当該第1制御プログラムを揮発性メモリにロードして実行しつつも、第1制御プログラムに支障を与えない範囲で第2制御プログラムの事前ロードをしておくことができる。
【0010】
また、圧縮された第2制御プログラムを揮発性メモリにロードして実行可能な状態にするためには、当該第2制御プログラムを解凍した状態で揮発性メモリにロードする必要がある。このロードには解凍処理や不揮発性メモリからの読み出し、メモリへの書き込み処理が必要であるため、第2制御プログラムが呼び出された時点でこれらの解凍処理等を行うと上記第1制御プログラムの処理負荷が増大する。しかし、本発明において、第2制御プログラムはそのプログラムの実行開始前の所定期間に解凍,ロードされるので、当該解凍およびロードの処理負荷が上記第1制御プログラムの処理に影響を与えることはなく、印刷装置における各種処理の速度を低下させることがない。
【0011】
ここで、上記第1,第2制御プログラムは印刷装置に関する制御処理を行う種々のプログラムを含んでおり、当該第1制御プログラムは第2制御プログラムを呼び出して特定の処理や制御を実行する。すなわち、第2制御プログラムは必要に応じて実行されるサブプログラム等であり、不揮発性メモリにはこれらの第2制御プログラムがモジュール化されて圧縮・記憶されている。
【0012】
揮発性メモリは、第1,第2制御プログラムを実行する際にこれらのプログラムがロードされたり、画像データを処理する際のバッファとなるようなメモリであれば良い。必要に応じてデータの書き込みおよび消去を実行し、印刷装置の非駆動時にデータを保持している必要がないので当該メモリは揮発性であり、RAM等によって構成可能である。
【0013】
不揮発性メモリは第1,第2制御プログラムを格納できればよく、種々のメモリで構成可能である。印刷装置を製造した後に第1,第2制御プログラムの変更がない場合にはROM等の不揮発性メモリを採用可能であるし、第1,第2制御プログラムの変更が想定される場合にはEEPROMやフラッシュメモリなど、データ書き込みおよび消去が可能なメモリを採用可能である。いずれにしても印刷装置への電力供給停止後にデータを消失させないようなメモリが好ましい。
【0014】
優先解凍制御プログラム特定手段では優先的に解凍する第2制御プログラムを揮発性メモリの記憶容量から特定することができればよく、記憶容量によっては第2制御プログラムの総てを事前にロードしても良いが、限られたメモリリソースを有効利用する観点では、優先順位に従って第2制御プログラムの一部をロードする構成が好ましい。むろん、優先順位は記憶容量によってダイナミックに変化しても構わない。
【0015】
すなわち、揮発性メモリが特定の容量であれば第2制御プログラムAが第2制御プログラムBより優先的にロードされるが、揮発性メモリが他の容量であれば第2制御プログラムBが第2制御プログラムAより優先的にロードされるというように構成することも可能である。優先順位の決定指針としては、例えばデータ量の大きな第2制御プログラムほど揮発性メモリへのロード等の時間が必要となるので、データ量の大きな第2制御プログラムを事前にロードするように構成するなど種々の指針を採用可能であり、第2制御プログラムをロードする条件として後述の種々の条件を採用することできる。
【0016】
優先的に解凍を行う際の条件例として請求項2にかかる発明では、印刷装置は異なる記憶容量の揮発性メモリを選択的に搭載可能であり、上記優先解凍制御プログラム特定手段は印刷装置に搭載された揮発性メモリの総容量に応じてロードする制御プログラムを特定する構成としてある。すなわち、印刷装置に対して搭載される揮発性メモリの容量(静的な揮発性メモリの容量)に応じて制御プログラムの優先ロード順位を決定する。従って、揮発性メモリの搭載容量毎に異なり、搭載容量に適した優先順位でロードを実施することができる。
【0017】
優先的に解凍を行う際の条件例として請求項3にかかる発明では、上記優先解凍制御プログラム特定手段は、上記第1制御プログラムのロード後に確保される上記揮発性メモリの空き容量に応じてロードする第2制御プログラムを特定する構成としてある。すなわち、揮発性メモリは上記第1,第2制御プログラムをロードする他、第1,第2制御プログラムによる種々の処理用のバッファにもなり得るので、空き容量の総てに対して事前に第2制御プログラムをロードするとメモリリソースが不足する場合が多い。
【0018】
そこで、揮発性メモリの空き容量、すなわち動的な揮発性メモリの容量に応じて第2制御プログラムの優先ロード順位を特定することにより、必要な空き容量を確実に確保しつつ制御プログラムの処理高速化を実現することができる。空き容量に応じた第2制御プログラムの決定としては種々の決定手法を採用可能であり、常に所定容量以上の空きを確保するようにしてロードする第2制御プログラムを決定したり、空き容量の大きさと第2制御プログラムの大きさとを比較して大きな空き容量であれば大きな第2制御プログラムをロードし、小さな空き容量であれば小さな第2制御プログラムをロードする等の決定手法を採用可能である。
【0019】
さらに、第2制御プログラムをロードする際の所定期間としては種々の期間を採用することが可能であり、その構成例として請求項1にかかる発明では、上記ロード制御手段は、上記印刷装置における第1制御プログラムの実行処理負荷が所定の負荷以下となっている所定期間に第2制御プログラムのロードを実行する構成としてある。より具体的には、上記ロード制御手段は、第1制御プログラムが第2制御プログラムによる処理を必要とせず同第1制御プログラムが待機状態である期間に第2制御プログラムを解凍して揮発性メモリにロードする。本発明においては、第2制御プログラムが呼び出される以前に揮発性メモリにロードして実行可能な状態にすることにより、当該第2制御プログラムが呼び出されたときには、即座に実行を開始できるようにするものである。
【0020】
しかし、呼び出し前であっても他の処理によって印刷装置での処理負荷が高い場合があり、この場合に制御プログラムの解凍およびロードを実行してしまうと、当該他の処理の処理速度を低下させてしまう。そこで、印刷装置における処理負荷が少ないときに制御プログラムの解凍およびロードを実行することにして、これら解凍およびロードの負荷により必要以上の高負荷状態を発生させないようにして、印刷装置における処理速度を低下させないようにした。
【0021】
ここで、印刷装置における処理が所定の負荷以下となっている所定期間に第2制御プログラムのロードをする構成は、処理負荷をモニタして所定のしきい値による判別を行うような構成を採用することなく実現することができる。例えば、印刷装置に印刷ジョブが投入されておらず、印刷のための処理を行っていないような待機期間や、電源を投入しIPL(Initial Program Loader)が実行された後に印刷が開始される以前の所定期間や、PDF(Portable Document Format)ファイル印刷のために高度な処理を実行していない所定期間等に第2制御プログラムをロードするように構成可能である。
【0022】
さらに、第2制御プログラムをロードする際に好適な構成例として請求項4にかかる発明では、上記ロード制御手段は所定の中間記憶手段を備えており、上記圧縮した状態で記憶された第2制御プログラムを、上記ロードの実行以前に予め解凍して上記中間記憶手段に格納する構成としてある。圧縮された第2制御プログラムを実行可能な状態にする際に、処理速度を低下させる主な要因は圧縮データの解凍処理である。第2制御プログラムの解凍およびロードは上記所定期間に行われるが、両者は連続的に行われることが必須ではないので、解凍とロードとはある程度の時間間隔をおいて実施可能である。
【0023】
また、中間記憶手段への解凍は、印刷装置の駆動後、各第2制御プログラムについて一回実行すれば必要充分であるから、当該解凍は印刷装置における処理負荷が低いときに前もって行っておけばよい。従って、各第2制御プログラムを中間記憶手段に解凍して保存しておけば、ロード制御手段によって揮発性メモリに第2制御プログラムをロードするたびに解凍処理をする必要がなくなり、揮発性メモリへの転送のみで第2制御プログラムを実行可能な状態にすることができ、第2制御プログラムのロードに関し、通常時の処理負荷を非常に小さくすることができる。尚、中間記憶手段としては種々の構成が採用可能であり、例えば、HDDやRAMDISK等を採用することができる。
【0024】
さらに、優先的に解凍を行う際の条件を特定するために好適な構成例として請求項5にかかる発明では、上記優先解凍制御プログラム特定手段は、上記第2制御プログラムをロードする規則を定めるロード規則データを参照して上記第2制御プログラムのロードを実行する構成としてある。すなわち、第2制御プログラムをロードする条件はロード規則データが示す規則として決められており、ロード制御手段は当該ロード規則データを参照することにより決められた条件どおりのロードを実行することができる。
【0025】
このロード規則データは、ロード規則とその規則の適用対象となる第2制御プログラムとを対応づけることができればよく、特定のファイルにおいて規則とその規則の適用対象となる第2制御プログラムとを対応づけるようにデータを列記したり、各第2制御プログラムのヘッダ部分に規則や規則を示すIDを書き込むなどの構成により実現することができる。
【0026】
さらに、優先的に解凍を行う際の条件例として請求項6にかかる発明では、上記優先解凍制御プログラム特定手段は上記第2制御プログラムのロード頻度を計測し、ロード頻度の高い第2制御プログラムが高頻度でロードされるように上記ロード規則データを更新する構成としてある。すなわち、ロード頻度が高い第2制御プログラムが高頻度で事前にロードされるようにすれば、利用者が印刷装置を使用する程、その利用者が良く実行する処理の第2制御プログラムが事前にロードされやすくなり、よく行う処理である程、高速での処理がされ易くなる。従って、使用するにつれその利用者に合わせてカスタマイズされることになる。上記ロード規則データにおいては、例えば当該ロード規則データに各第2制御プログラムの使用回数を書き込むなどして実現することができる。
【0027】
さらに、優先的に解凍を行う際の条件例として、上記ロード規則データにおいては、上記解凍が所定時間以下で終了する第2制御プログラムについては上記ロード制御手段によるロードを実行しないような規則とする構成としてもよい。すなわち、第2制御プログラムのうち、他のプログラムと比較して解凍時間が短いプログラムについては印刷装置における処理に対して大きな速度低下要因にならないので、このような第2制御プログラムについては揮発性メモリに対する事前ロードをせず、解凍時間が比較的長い第2制御プログラムについて事前ロードをすることにした。
【0028】
この結果、大きな処理速度低下要因となり得る第2制御プログラムについて事前に解凍して揮発性メモリにロードしておくことができ、印刷装置における処理速度を効果的に向上させることができる。むろん、本発明においては、優先的な解凍について上述の複数の条件のいずれかまたは組み合わせを採用することが可能であり、いずれの条件を優先して適用するのかを特定することにより、各印刷装置の第2制御プログラムの容量、解凍時間等に応じて最も効果的に処理速度を向上させるような条件とすることができる。
【0029】
さらに、請求項7にかかる発明では、上記不揮発性メモリと揮発性メモリとはネットワーク回線を介してデータを授受可能であり、上記ロード制御手段は当該ネットワーク回線を介して受信した第2制御プログラムを上記揮発性メモリにロードする構成としてある。すなわち、近年の印刷装置はLANケーブル等を介してネットワーク接続可能である場合が多く、このような構成の印刷装置であれば印刷装置自体に備えたメモリに不揮発性メモリに第2制御プログラムを格納しておく他、ネットワーク接続された他の印刷装置やコンピュータ等から第2制御プログラムを取得することもできる。
【0030】
このような構成によれば、印刷装置のリソースを必要以上に多くすることなく、非常に多くの第2制御プログラムを高速で実行可能になり、印刷装置において多種多様な処理を実行することができる。また、印刷装置の製造後に第2制御プログラムをバージョンアップすることも容易である。むろん、ネットワーク回線としてはLANケーブル以外にもUSB等種々のインタフェースを介したネットワーク回線を採用することができるし、インターネット等を介して接続される構成も可能である。
【0031】
このように、第2制御プログラムが呼び出される前に事前にロードしておく手法は必ずしも実体のある装置に限られるものではなく、請求項8に記載した発明のように方法の発明としても有効である。また、上述の印刷装置は単独で存在する場合もあるし、プリンタドライバを搭載したコンピュータとプリンタとが接続された状態で利用されることもあるなど、発明の思想としては、各種の態様を含むものである。また、第2制御プログラムのロードを実施する主体としてはソフトウェアであるということもできるし、ソフトウェアを実行させるためのハードウェアであると言うこともできる。
【0032】
発明の思想の具現化例として印刷装置を制御するソフトウェアとなる場合には、かかるソフトウェアを記録した記録媒体上においても当然に存在し、利用される。その一例として、請求項9にかかる発明は、コンピュータによって制御プログラムのロードを実施するロード制御プログラムを記録した媒体として発明を特定している。むろん、その記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【0033】
また、一次複製品、二次複製品などの複製段階については全く問う余地無く同等である。上記媒体とは異なるが、供給方法として通信回線を利用して行なう場合であれば通信回線が伝送媒体となって本発明が利用されることになる。むろん、請求項10に記載した発明のようにプログラムの発明として特定することもできる。さらに、これらの制御プログラムロード方法,ロード制御プログラムを記録した媒体、ロード制御プログラムにおいて上記請求項2〜請求項9に対応した構成にすることも可能である。
また、上記構成を踏まえた上で、請求項11にかかる発明は、主記憶領域を提供する揮発性メモリと定常的に使用される第1制御プログラムおよび必要に応じて使用される第2制御プログラムを圧縮した状態で記憶した不揮発性メモリを備え、第1制御プログラムの実行に伴って上記第2制御プログラムが必要となるときのために、不揮発性メモリに記憶した第2制御プログラムを動的に上記揮発性メモリに解凍し、解凍した第2制御プログラムを実行する印刷装置であって、上記揮発性メモリの記憶容量を取得する記憶容量取得手段と、同取得した記憶容量および第2制御プログラムをロードする規則を定めるロード規則データを参照して、上記第2制御プログラムの中で優先的に解凍するプログラムを特定する優先解凍制御プログラム特定手段と、同特定された第2制御プログラムの実行開始前の所定期間に当該特定された第2制御プログラムを解凍して上記揮発性メモリにロードしておく事前ロード、を実行するロード制御手段とを備え、かつ、上記ロード規則データは、上記解凍が所定時間以下で終了する第2制御プログラムについては、上記事前ロードの対象とはしない規則である構成としてある。むろん、請求項11の構成に対応した、制御プログラムロード方法、ロード制御プログラムを記録した媒体、ロード制御プログラムの各発明をもそれぞれに把握可能である。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1,請求項8〜請求項10にかかる発明によれば、印刷装置にて実行中の制御プログラムに何ら影響を与えることなく第2制御プログラムを事前にロードをすることができ、印刷装置における各種処理の速度を低下させることなく制御プログラムを実行可能な印刷装置、制御プログラムロード方法、ロード制御プログラムを記録した媒体およびロード制御プログラムを提供することができる。さらに、解凍およびロードの負荷により必要以上の高負荷状態を発生させないようにして、印刷装置における処理速度を低下させないようにすることができる。
また、請求項2にかかる発明によれば、印刷装置に搭載した揮発性メモリの容量に応じて第2制御プログラムをロードすることができる。
さらに、請求項3にかかる発明によれば、必要な空き容量を確実に確保しつつ本発明による制御プログラムの処理高速化を実現することができる。
【0035】
さらに、請求項4にかかる発明によれば、第2制御プログラムのロードに関し、通常時の処理負荷を非常に小さくすることができる。
さらに、請求項5にかかる発明によれば、容易に決められた条件どおりのロードを実行することができる。
【0036】
さらに、請求項6にかかる発明によれば、利用者が良く実行する処理が高速で実行されるようにすることができる。
さらに、請求項11〜請求項14にかかる発明によれば、印刷装置における処理速度を効果的に向上させることができる。
さらに、請求項7にかかる発明によれば、非常に多くの第2制御プログラムを高速で実行可能になり、印刷装置において多種多様な処理を実行することができる。また、印刷装置の製造後に容易に第2制御プログラムをバージョンアップすることができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)レーザープリンタの構成:
(2)ロード制御プログラムの構成:
(3)ロード規則データの構成:
(4)ロード制御プログラムにおける処理:
(5)他の実施形態:
【0038】
(1)レーザープリンタの構成:
図1は本発明にかかる印刷装置を構成するレーザープリンタ10のブロック図である。同レーザープリンタ10は、コントロールボード20とプリントエンジン23aとを備えており、印刷のためのデータ処理や画像処理等に関する主たる制御デバイスはコントロールボード20に搭載されている。同コントロールボード20は通信I/F24とビデオI/F23とを備えており、通信I/F24を介して外部のパーソナルコンピュータ(PC)24aが接続され、ビデオI/F23にはプリントエンジン23aが接続されている。
【0039】
印刷に当たり上記PC24aからは上記通信I/F24を介して画像データや印刷コマンド等が送信され、コントロールボード20上の各デバイスはこれらの画像データ等に対して適宜画像処理等を実行し、ビデオI/F23から出力する。プリントエンジン23aは、ビデオI/F23が出力するデータに基づき印刷用紙上に文字やグラフィック等のイメージを印刷する機構であり、レーザービームによって走査を行いながら感光ドラムを適宜照射することにより、各ドット毎の画像に対応したトナーを印刷用紙上に付着させる。
【0040】
コントロールボード20には、各種処理のためにCPU21とメモリ制御部22とROM30とメモリスロット40aと上記通信I/F24およびビデオI/F23とを備えている。メモリスロット40aは複数のメモリ差し込み口を備えており、RAM40を搭載可能である。従って、レーザープリンタのモデルや価格等に応じて、搭載するRAMの枚数や一枚当たりの記憶容量の異なるメモリモジュールを適宜選択することにより、コントロールボード20に搭載するRAM40の記憶容量を変更することができる。
【0041】
メモリ制御部22は、DMAC(Direct Memory Access Controller)を内蔵しており、各I/Fやメモリ間でデータを高速に授受することができる。例えば、通信I/F24を介して上記PC24aが送信した画像データ等を受けると、当該画像データ等を直接的に上記RAM40のバッファに書き込む。また、CPU21が行う画像処理により1頁分のラスターイメージがRAM40内に生成されると、そのラスターイメージをビデオI/F23に送出し、上記プリントエンジン23aに出力させる。
【0042】
CPU21は、上記レーザープリンタ10の駆動電源が投入されることにより、メモリ制御部22を介して上記ROM30に格納したIPLを起動して初期化処理を行う。この初期化の際にCPU21は、ROM30に格納されたメインプログラムを解凍し、RAM40に転送して当該メインプログラムによる処理を実行する。図2は、ROM30およびRAM40のメモリマップ例である。図に示すように、ROM30には上記IPLやFONTデータが格納されており、メインプログラムは圧縮された状態で格納されている。
【0043】
CPU21は圧縮された状態のプログラムを実行することができないため、上記メインプログラムは初期化の際に解凍され、実行可能形式としてRAM40にロードされる。メインプログラムはレーザープリンタ10にて実行されうるプログラム全体の一部であり、他のプログラムは複数のモジュール(モジュールa〜モジュールn)に分割されるとともに、圧縮されてROM30に格納されている。メインプログラムはレーザープリンタ10での初期化後にロードされ、RAM40に常駐するので、本実施形態においては当該メインプログラムが上記第1制御プログラムを構成する。また、各モジュールは必要に応じて呼び出されるので、本実施形態においては当該各モジュールが上記第2制御プログラムを構成する。
【0044】
これら複数のモジュールは種々の言語処理プログラム(ESC/Page(ESC/Pageはセイコーエプソン株式会社の登録商標),Postscript(Postscriptはアドビシステムズの登録商標)等)や画像処理プログラム等であり、レーザープリンタ10の駆動中に常時必要とされるわけではないが、特定の処理や特定の画像データについての印刷を行う際に必要とされ、必要に応じて動的にロードされる。本実施形態においては、このモジュールのロードタイミングをメインプログラムの一部を構成するロード制御プログラムによって制御しており、当該ロード制御プログラムが特定のモジュールについて呼び出し以前の解凍し、RAM40にロードしておく。従って、当該モジュールが実行されるときには解凍処理等をすることなく即座に実行開始することができる。
【0045】
(2)ロード制御プログラムの構成:
図3は、ロード制御プログラムの機能的な構成を示すブロック図である。同図においてロード制御プログラム50は、上記メインプログラムの処理の一環として同メインプログラムによる処理負荷が低い所定期間内に実行され、上記モジュールを解凍しRAM40にロードする。このために、ロード制御プログラム50は機能として記憶容量取得部51と優先解凍制御プログラム特定部52とロード制御部53とを備えている。記憶容量取得部51は上記RAM40にアクセスして容量認識を実行し、コントロールボード20に搭載されたRAM40の総容量を取得する。
【0046】
優先解凍制御プログラム特定部52は同RAM40の総容量および上記ROM30に記憶されたロード規則データを参照して、ロードすべきモジュールを特定する。当該特定されるモジュールは、そのモジュールがメインプログラムで呼び出される前にRAM40にロードしておくべきモジュールである。ロード制御部53は、解凍モジュール53aを備えており、上記特定されたモジュールを上記ROM30から取得し、解凍した後にRAM40にロードする。
【0047】
図2に示すように、ROM30には上記IPLやロード規則データとともにメインプログラムとモジュールa〜nが格納されている。メインプログラムとモジュールa〜nとは、リソースを有効利用するため、圧縮されてROM30に格納されている。モジュールa〜nは上記解凍モジュール53aに読み出され、解凍されるとその容量が増加するとともにCPU21によって各コマンドが解釈可能な実行可能形式となる。
【0048】
ロード制御部53は、この解凍後の実行可能形式で各モジュールを上記RAM40にロードする。本実施形態において、上記ロード制御プログラム50は上記所定期間内に実行されるので、ロード制御部53がRAM40にロードするモジュールはメインプログラムに呼び出される前にRAM40にロードされることとなるが、むろん、総てのモジュールを事前にロードする必要はない。この事前ロードを行うモジュールは上述のロード規則データによって決められており、以下このロード規則データについて説明する。
【0049】
(3)ロード規則データの構成:
ロード規則データは優先的にロードを行うモジュールを規定しており、本実施形態においてはRAM40の総容量に基づいて優先的にロードされるモジュールが決定されている。図4は、ロード規則データの内容を例示する図である。同図においては、モジュールa〜nを容量の大きい順に上から並べて示しており、RAM40の総容量に対して各モジュールが解凍およびロードされる際の優先順位を示している。すなわち、本実施形態において、各モジュールの優先順位は上記コントロールボード20に搭載されるRAM40の総容量によって異なってくる。
【0050】
具体的には、コントロールボード20に総量64MBのRAM40が搭載されているときには、モジュールa,モジュールb,モジュールc,モジュールdの順で優先的にロードされる。すなわち、RAM40に充分なワークエリアの空き容量が確保されている場合には上記モジュールa〜dの総てが事前にロードされ、ある程度ワークエリアの空き容量が減少してモジュールa〜dの総てを事前にロードすることができなくなったときには、モジュールa〜cを順にロードし、モジュールdをロードしないことになる。
【0051】
このように、各モジュールはこの優先順位に従ってロードされるが、むろん、メインプログラムで画像処理等を実行するために充分なワークエリアの空き容量を確保しつつ事前ロードを実行するために、この優先順位に反する順序でロードすることも可能である。例えば、モジュールaを単体でロードできない程ワークエリアの空き容量が減少しているが、モジュールbやモジュールcはロード可能である場合には、モジュールb〜dのいずれかまたは組み合わせをロードすることができる。
【0052】
コントロールボード20に搭載されたRAM40の総量が32MB,16MB,8MB等でも同様であり、ワークエリア容量によって優先順位に従ってモジュールをロードしつつも、最高優先順位のモジュールをロードできない場合に最高優先順位より低優先順位のモジュールをロードすることが可能である。いずれにしても、レーザープリンタ10による制御において、定常的に必要とされるワークエリアは大きく変動せず、コントロールボード20に搭載されたRAM40の総容量からワークエリア量を見積もることができる。
【0053】
従って、RAM40の搭載量からモジュールa〜nのロード順序として好ましい順序をロード規則データとして予め決めることができ、優先解凍制御プログラム特定部52にてロード規則データを参照するのみで、各搭載量に適した順序でモジュールを事前にロードさせることができる。むろん、図4に示すロード規則データは一例であり、これに限らず種々の優先順位とすることが可能であるし、より多くのRAM搭載量について優先順位を規定することができる。また、ロード規則データとしては、上記図2に示すようにひとまとまりのデータとしてROM30に格納する態様の他、各モジュールのヘッダにおいてRAM搭載量と優先順位とを対応づけつたデータを記述するなど種々の構成を採用可能である。
【0054】
(4)ロード制御プログラムにおける処理:
次に、上記ロード制御プログラムにおける処理を中心として、レーザープリンタ10の駆動中に実行されるメインプログラムの処理フローを図5に沿って説明する。メインプログラムが上記RAM40にロードされると、その実行が開始される。このメインプログラムの実行下において、上記PC24aから印刷実行指示を受信したり、レーザープリンタ10の図示しない操作パネルによる操作を受け付けるなどすると、これら印刷実行等に必要なモジュールを適宜呼び出して各処理を実行していく。
【0055】
すなわち、メインプログラムは、何らかの処理を実行する際にいずれかのモジュールを呼び出すべきか否かを判別する(ステップS100)。同ステップS100にてモジュールの呼び出しがあったと判別したときには、当該呼び出しのあったモジュールが上記RAM40に対して既にロードされているか否かを判別する(ステップS105)。同ステップS105にてモジュールがロード済であると判別されないときには、上記ROM30に格納されている当該モジュールを解凍し(ステップS110)、上記RAM40に対してロードする(ステップS115)。そして、当該ロードしたモジュールを実行し(ステップS120)、さらにステップS100以降のメインプログラムの処理を続行する。
【0056】
上記ステップS105にてモジュールがロード済であると判別されたときには、RAM40にロードされている当該モジュールを実行する(ステップS120)。すなわち、呼び出し対象のモジュールが上記RAM40にロード済であれば、上記ステップS110,S115を経ることなく即座にモジュールを実行することができ、高速に処理を進めることができる。このように、本発明においては総てのモジュールがRAM40に対して事前にロードされていなくても、メインプログラムの処理の高速化に寄与する。特に、解凍に時間がかかるモジュールであるほど、また、容量が大きくてRAM40へのロードに時間がかかるモジュールであるほど、事前ロードが処理速度高速化に大きく寄与する。むろん、コントロールボード20に搭載されるRAM40の総容量が大きく、余裕がある場合には、事前に総てのモジュールをロードすることによりメインプログラムの処理速度を大きく高速化することができる。
【0057】
一方、上記ステップS100にていずれかのモジュールが呼び出されたと判別されないときには、モジュールによる処理を行う必要がなく、メインプログラムの処理負荷が小さい待機状態である。本発明においては、この待機期間において上記ロード制御プログラム50によるモジュールの事前ロードを行っており、ステップS125で同ロード制御プログラム50を起動する。ロード制御プログラム50が起動されると、記憶容量取得部51が上記コントロールボード20に搭載されているRAM40の総容量を取得する(ステップS130)。
【0058】
次に、上記優先解凍制御プログラム特定部52が上記ロード規則データを取得する(ステップS135)とともに、上記ステップS130で取得したRAM40の総容量を参照してモジュールa〜nの中からロードすべきモジュールの優先順位を把握する(ステップS140)。モジュールの優先順位を把握すると、上記ロード制御部53は、当該優先順位が規定されたモジュールがRAM40に既にロード済であるか否かを判別する(ステップS145)。同ステップS145にて未ロードのモジュールが存在すると判別されないときには、モジュールの事前ロードを実施せずに上記ステップS100の処理を続行する。上記ステップS145にて未ロードのモジュールが存在すると判別されたときには、上記RAM40のワークエリアの空き容量を鑑みて当該未ロードのモジュールがロード可能であるか否か、すなわち、モジュールをロードした後にもワークエリアに充分な空き容量が確保できるか否かを判別(ステップS150)し、ロード可能であると判別されたモジュールについてステップS155以降の処理を実行する。
【0059】
ステップS150にてロード可能なモジュールがあると判別されなかったときには、モジュールの事前ロードを実施せずにステップS100以降の処理を続行する。ステップS150でロード可能なモジュールがあると判別されたときには、上記解凍モジュール53aが上記ROM30に格納された当該モジュールを解凍し(ステップS155)、上記RAM40にロードする(ステップS160)。すなわち、初期化直後であれば、事前にロードされたモジュールが存在しないので、ロード規則データに記述された総てのモジュールがRAM40に対して未ロードであり、総てのモジュールについてロードの可否を判別する。
【0060】
ロード制御プログラム50が1回以上起動された後には、モジュールの事前ロードが実行されているが、メインプログラムでの処理によってワークエリアを確保するために、事前ロードされたモジュールがのいずれかが消去されることも考えられ、当該消去されたモジュールが存在する場合には、上記ステップS125以降の処理によって再び事前ロードを行うことが可能である。従って、レーザープリンタ10による印刷実行によって事前ロードされるモジュールに多少の変動が生ずることはあり得るが、本発明の処理によって搭載RAMの総容量およびワークエリアの空き容量から見て好ましいモジュールが常に事前ロードされており、当該事前ロードされたモジュールが呼び出されたときには解凍およびロードを経ることなく即座にモジュールを実行することができ、メインプログラムでの処理を高速に進めることができる。
【0061】
(5)他の実施形態:
上記実施形態においては、コントロールボード20に搭載されたRAM40の各容量について優先順位をロード規則データに記述し、当該ロード規則データに基づいてRAM40に対して事前にロードするモジュールを決定していたが、むろん、この構成以外にも種々の条件に基づいてロード規則データを決定することができる。図6〜図8は、他の実施形態にかかるロード規則データの内容を例示する図である。
【0062】
図6に示すロード規則データでは、上記図4に示すRAM40の総容量に対する優先順位に加えて各モジュールのロード回数を記述することとしてある。すなわち、コントロールボード20に搭載されたRAM40の総容量およびモジュールのロード頻度によってRAM40への事前ロードモジュールが決定される。ロード頻度に応じてモジュールを決定するための具体的な手法としては、優先順位が高いモジュールであってもロード回数が多ければ優先順位を逆転させてロードするなど種々の手法が採用可能である。
【0063】
例えば、優先順位nに対して優先順位n+1のロード回数が2倍以上である場合には優先順位n+1のモジュールを優先順位nのモジュールに優先してロードし、優先順位nに対して優先順位n+2のロード回数が3倍以上ある場合には優先順位n+1のモジュールを優先順位nのモジュールに優先してロードする等の構成が採用可能である。
【0064】
図6に示すように、RAM40の搭載容量が64MBであるときにモジュールa,b,cのロード回数がそれぞれ”2”,”20”,”39”である場合には、モジュールbのロード回数がモジュールaのロード回数の2倍以上であり、モジュールcのロード回数がモジュールaのロード回数の3倍以上であるので、モジュールb,cがモジュールaより優先してロードされる。
【0065】
むろん、この構成は一例であり、他にもロード回数が所定数多い場合にモジュールロードの優先順位を逆転させたり、図4に示すようにして優先順位が決められていたモジュール以外のモジュール(例えば、RAM40の搭載容量64MBである時のモジュールe〜n)を優先的にロードするように構成することも可能である。このように、各モジュールのロード頻度を加味して事前ロードの優先順位を変化させることにより、レーザープリンタ10の使用態様に応じて、通常の仕様態様で頻繁にロードされるモジュールを事前にロードしておくことが可能になり、レーザープリンタ10の仕様態様に応じたカスタマイズが可能になる。
【0066】
図7に示すロード規則データでは、RAM40の搭載容量に基づいてロードモジュールを規定しつつも、解凍時間が短いモジュールについては事前ロードロードをしないようになっており、ロードするモジュールについては○を付して示している。すなわち、図7に示すモジュールa〜nは上から順に容量が大きいことから、上から順に優先順位が高くなっているとともに、図4に示す優先順位では事前ロードをするようにしてあったモジュールであっても、解凍時間が短いモジュールについては事前ロードをしないようにしてある。
【0067】
例えば、RAM40の搭載容量が32MBのとき、上記図4ではモジュールd,eを3番目,4番目の優先順位で事前ロードするようにしてあったが、図7ではこれらのモジュールd,eについて事前ロードをしないようになっている。このように、解凍時間が短いモジュールについて事前ロードをしないようにして、解凍時間の長いモジュールを優先的にロードするようにすれば、リソースを有効的に使用しつつ、メインプログラムの主な処理速度低下要因を解消することができる。
【0068】
図8に示すロード規則データでは、上記図4に示すRAM40の総容量および空き容量毎に優先順位を規定している。すなわち、コントロールボード20に搭載されたRAM40の総容量毎に画一的な優先順位とするのではなく、空き容量に対応して優先順位を変動させる構成としてある。例えば、コントロールボード20に64MBのRAM40が搭載されている場合であって、RAM40の空き容量が32〜64MBであれば、モジュールa,b,c,dの優先順位でモジュールがロードされるが、空き容量が16〜32MBであれば、モジュールa,c,d,eの優先順位でモジュールがロードされる。このように、空き容量毎に優先順位を変更すれば、上記第1実施形態のようにワークエリアの空き容量を参酌することなくロード規則データを参酌するだけでRAM40の空き容量に応じたモジュールのロードを行うことができる。
【0069】
本発明においては、上述のようにロード規則データを変更することによって種々の実施形態を構成可能であり、むろん、上記図6〜図8の技術思想を組み合わせることも可能である。また、ロード規則データを変更する以外にも種々の実施形態を構成可能である。例えば、レーザープリンタ10のハードウェア構成やデータの保管場所についても上記図1に示す構成に限られることはない。図9,図10は、他の実施形態にかかる印刷装置の構成例を示している。両図において、上記図1と同様の構成については同様の符号を付して示している。
【0070】
図9は他の実施形態にかかる印刷装置を構成するレーザープリンタ100のブロック図である。同レーザープリンタ100は上記図1に示すレーザープリンタ10とほぼ同様の構成であるが、コントロールボード20に備えられた通信I/F240が異なっており、同通信I/F240には図9に示すようにレーザープリンタ101とPC240aとが接続されている。すなわち、レーザープリンタ101は通信I/F240を介して種々の外部機器と接続され、互いに双方向通信を行うことが可能である。
【0071】
PC240aは上記PC24aと同様にレーザープリンタ100に対して画像データや印刷コマンド等を送信可能であるとともに、そのHDD241内にレーザープリンタ100で使用するモジュールmを格納している。また、レーザープリンタ101は、レーザープリンタ100とほぼ同様なハードウェアを備えており、そのROM301内にレーザープリンタ100,101にて使用するモジュールoを格納している。
【0072】
レーザープリンタ100のROM30内に格納されたメインプログラムでは、レーザープリンタ100自身のROMに格納されたモジュールa〜nの他、上記PC240aやレーザープリンタ101に格納されたモジュールm,oをも呼び出してRAM40にロードすることが可能である。むろん、本発明にかかるロード規則データによって上記モジュールm,oに事前ロードの優先順位を付することにより、これらのモジュールを呼び出し前にRAM40に対してロードさせることも可能である。
【0073】
従って、レーザープリンタ100においては、ROM30内に格納したモジュール以外も実行可能であるとともに、それらのモジュールを実行する際の解凍時間およびロード時間を省くことができ、メインプログラムの処理速度を高速化することができる。また、本実施形態によれば、レーザープリンタ100のROM30内に所定のモジュールを格納して出荷した後であっても、PC240aやレーザープリンタ101等の記憶領域に他のモジュールを格納することによって、出荷段階でROM30内に格納されていなかったモジュールを使用することができる。従って、容易にモジュールのバージョンアップや新たな機能の追加が可能になる。
【0074】
図10は他の実施形態にかかる印刷装置を構成するレーザープリンタ110のブロック図である。同レーザープリンタ110は上記図1に示すレーザープリンタ10とほぼ同様の構成に加え、ハードディスクドライブ(HDD)を備えている。すなわち、コントロールボード20はIDEI/F250aを備えており、HDD250aは同IDEI/F250aを介してバスに接続されている。従って、上記CPU21は上記メモリ制御部22を介してHDD250にアクセスすることが可能であり、同HDD250にデータを書き込み、また、読み出したりすることができる。
【0075】
本実施形態において、上記ROM30内に格納されたメインプログラムはIPL実行の際に解凍され上記RAM40にロードされるが、他のモジュールはレーザープリンタ110における処理負荷が低い所定期間に解凍され、上記HDD250に解凍データ250bとして格納される。従って、各モジュールの事前ロードあるいは呼び出し時のロードに際して逐次モジュールの解凍処理を行うことなく、HDD250からRAM40へのデータ転送のみでRAM40へのロードを完了し、各モジュールを実行可能な状態にすることができる。この結果、事前ロードを実行する時点での処理負荷を低減することができる。
【0076】
以上の説明したように、本発明では主記憶領域を提供する揮発性メモリを搭載する印刷装置において、当該揮発性メモリの記憶容量に基づいて優先的に解凍する第2制御プログラムを特定し、当該特定された第2制御プログラムの実行開始前に解凍して揮発性メモリにロードする。従って、当該第2制御プログラムの実行時に解凍処理等を行う必要がなく、第1,第2制御プログラムによる処理速度を高速化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】レーザープリンタのブロック図である。
【図2】ROMおよびRAMのメモリマップ例を示す図である。
【図3】ロード制御プログラムの機能的な構成を示すブロック図である。
【図4】ロード規則データの内容を例示する図である。
【図5】メインプログラムの処理を示すフローチャートである。
【図6】他の実施形態にかかるロード規則データの内容を例示する図である。
【図7】他の実施形態にかかるロード規則データの内容を例示する図である。
【図8】他の実施形態にかかるロード規則データの内容を例示する図である。
【図9】他の実施形態にかかる印刷装置の構成例を示す図である。
【図10】他の実施形態にかかる印刷装置の構成例を示す図である。
【符号の説明】
10…レーザープリンタ
20…コントロールボード
21…CPU
22…メモリ制御部
23…ビデオI/F
23a…プリントエンジン
24…通信I/F
24a…PC
30…ROM
40…RAM
40a…メモリスロット
50…ロード制御プログラム
51…記憶容量取得部
52…優先解凍制御プログラム特定部
53…ロード制御部
53a…解凍モジュール
Claims (14)
- 主記憶領域を提供する揮発性メモリと定常的に使用される第1制御プログラムおよび必要に応じて使用される第2制御プログラムを圧縮した状態で記憶した不揮発性メモリを備え、第1制御プログラムの実行に伴って上記第2制御プログラムが必要となるときのために、不揮発性メモリに記憶した第2制御プログラムを動的に上記揮発性メモリに解凍し、解凍した第2制御プログラムを実行する印刷装置であって、
上記揮発性メモリの記憶容量を取得する記憶容量取得手段と、
同取得した記憶容量から上記第2制御プログラムの中で優先的に解凍するプログラムを特定する優先解凍制御プログラム特定手段と、
上記特定された第2制御プログラムの実行開始前の所定期間であって、第1制御プログラムが第2制御プログラムによる処理を必要とせず同第1制御プログラムが待機状態である期間に、上記特定された第2制御プログラムを解凍して上記揮発性メモリにロードするロード制御手段とを具備することを特徴とする印刷装置。 - 印刷装置は異なる記憶容量の揮発性メモリを選択的に搭載可能であり、上記優先解凍制御プログラム特定手段は印刷装置に搭載された揮発性メモリの総容量に応じてロードする制御プログラムを特定することを特徴とする上記請求項1に記載の印刷装置。
- 上記優先解凍制御プログラム特定手段は、上記第1制御プログラムのロード後に確保される上記揮発性メモリの空き容量に応じてロードする第2制御プログラムを特定することを特徴とする上記請求項1または請求項2のいずれかに記載の印刷装置。
- 上記ロード制御手段は所定の中間記憶手段を備えており、上記圧縮した状態で記憶された第2制御プログラムを、上記ロードの実行以前に予め解凍して上記中間記憶手段に格納することを特徴とする上記請求項1〜請求項3のいずれかに記載の印刷装置。
- 上記優先解凍制御プログラム特定手段は、上記第2制御プログラムをロードする規則を定めるロード規則データを参照して上記第2制御プログラムのロードを実行することを特徴とする上記請求項1〜請求項4のいずれかに記載の印刷装置。
- 上記優先解凍制御プログラム特定手段は、上記第2制御プログラムのロード頻度を計測し、ロード頻度の高い第2制御プログラムが高頻度でロードされるように上記ロード規則データを更新することを特徴とする上記請求項5に記載の印刷装置。
- 上記不揮発性メモリと揮発性メモリとはネットワーク回線を介してデータを授受可能であり、上記ロード制御手段は当該ネットワーク回線を介して受信した第2制御プログラムを上記揮発性メモリにロードすることを特徴とする上記請求項1〜請求項6のいずれかに記載の印刷装置。
- 主記憶領域を提供する揮発性メモリと定常的に使用される第1制御プログラムおよび必要に応じて使用される第2制御プログラムを圧縮した状態で記憶した不揮発性メモリを備え、第1制御プログラムの実行に伴って上記第2制御プログラムが必要となるときのために、不揮発性メモリに記憶した第2制御プログラムを動的に上記揮発性メモリに解凍し、解凍した第2制御プログラムを実行する印刷装置の制御プログラムロード方法であって、
上記揮発性メモリの記憶容量を取得する記憶容量取得工程と、
同取得した記憶容量から上記第2制御プログラムの中で優先的に解凍するプログラムを特定する優先解凍制御プログラム特定工程と、
上記特定された第2制御プログラムの実行開始前の所定期間であって、第1制御プログラムが第2制御プログラムによる処理を必要とせず同第1制御プログラムが待機状態である期間に、上記特定された第2制御プログラムを解凍して上記揮発性メモリにロードするロード制御工程とを具備することを特徴とする制御プログラムロード方法。 - 主記憶領域を提供する揮発性メモリと定常的に使用される第1制御プログラムおよび必要に応じて使用される第2制御プログラムを圧縮した状態で記憶した不揮発性メモリを備え、第1制御プログラムの実行に伴って上記第2制御プログラムが必要となるときのために、不揮発性メモリに記憶した第2制御プログラムを動的に上記揮発性メモリに解凍し、解凍した第2制御プログラムを実行する印刷装置で制御プログラムのロードを実施するロード制御プログラムを記録した媒体であって、
上記揮発性メモリの記憶容量を取得する記憶容量取得機能と、
同取得した記憶容量から上記第2制御プログラムの中で優先的に解凍するプログラムを特定する優先解凍制御プログラム特定機能と、
上記特定された第2制御プログラムの実行開始前の所定期間であって、第1制御プログラムが第2制御プログラムによる処理を必要とせず同第1制御プログラムが待機状態である期間に、上記特定された第2制御プログラムを解凍して上記揮発性メモリにロードするロード制御機能とをコンピュータに実現させることを特徴とするロード制御プログラムを記録した媒体。 - 主記憶領域を提供する揮発性メモリと定常的に使用される第1制御プログラムおよび必要に応じて使用される第2制御プログラムを圧縮した状態で記憶した不揮発性メモリを備え、第1制御プログラムの実行に伴って上記第2制御プログラムが必要となるときのために、不揮発性メモリに記憶した第2制御プログラムを動的に上記揮発性メモリに解凍し、解凍した第2制御プログラムを実行する印刷装置で制御プログラムのロードを実施するロード制御プログラムであって、
上記揮発性メモリの記憶容量を取得する記憶容量取得機能と、
同取得した記憶容量から上記第2制御プログラムの中で優先的に解凍するプログラムを特定する優先解凍制御プログラム特定機能と、
上記特定された第2制御プログラムの実行開始前の所定期間であって、第1制御プログラムが第2制御プログラムによる処理を必要とせず同第1制御プログラムが待機状態である期間に、上記特定された第2制御プログラムを解凍して上記揮発性メモリにロードするロード制御機能とをコンピュータに実現させることを特徴とするロード制御プログラム。 - 主記憶領域を提供する揮発性メモリと定常的に使用される第1制御プログラムおよび必要に応じて使用される第2制御プログラムを圧縮した状態で記憶した不揮発性メモリを備え、第1制御プログラムの実行に伴って上記第2制御プログラムが必要となるときのために、不揮発性メモリに記憶した第2制御プログラムを動的に上記揮発性メモリに解凍し、解凍した第2制御プログラムを実行する印刷装置であって、
上記揮発性メモリの記憶容量を取得する記憶容量取得手段と、
同取得した記憶容量および第2制御プログラムをロードする規則を定めるロード規則データを参照して、上記第2制御プログラムの中で優先的に解凍するプログラムを特定する優先解凍制御プログラム特定手段と、
同特定された第2制御プログラムの実行開始前の所定期間に当該特定された第2制御プログラムを解凍して上記揮発性メモリにロードしておく事前ロード、を実行するロード制御手段とを備え、
かつ、上記ロード規則データは、上記解凍が所定時間以下で終了する第2制御プログラムについては、上記事前ロードの対象とはしない規則であることを特徴とする印刷装置。 - 主記憶領域を提供する揮発性メモリと定常的に使用される第1制御プログラムおよび必要に応じて使用される第2制御プログラムを圧縮した状態で記憶した不揮発性メモリを備え、第1制御プログラムの実行に伴って上記第2制御プログラムが必要となるときのために、不揮発性メモリに記憶した第2制御プログラムを動的に上記揮発性メモリに解凍し、解凍した第2制御プログラムを実行する印刷装置の制御プログラムロード方法であって、
上記揮発性メモリの記憶容量を取得する記憶容量取得工程と、
同取得した記憶容量および第2制御プログラムをロードする規則を定めるロード規則データを参照して、上記第2制御プログラムの中で優先的に解凍するプログラムを特定する優先解凍制御プログラム特定工程と、
同特定された第2制御プログラムの実行開始前の所定期間に当該特定された第2制御プログラムを解凍して上記揮発性メモリにロードしておく事前ロード、を実行するロード制御工程とを備え、
かつ、上記ロード規則データは、上記解凍が所定時間以下で終了する第2制御プログラムについては、上記事前ロードの対象とはしない規則であることを特徴とする制御プログラムロード方法。 - 主記憶領域を提供する揮発性メモリと定常的に使用される第1制御プログラムおよび必要に応じて使用される第2制御プログラムを圧縮した状態で記憶した不揮発性メモリを備え、第1制御プログラムの実行に伴って上記第2制御プログラムが必要となるときのために、不揮発性メモリに記憶した第2制御プログラムを動的に上記揮発性メモリに解凍し、解凍した第2制御プログラムを実行する印刷装置で制御プログラムのロードを実施するロード制御プログラムを記録した媒体であって、
上記揮発性メモリの記憶容量を取得する記憶容量取得機能と、
同取得した記憶容量および第2制御プログラムをロードする規則を定めるロード規則データを参照して、上記第2制御プログラムの中で優先的に解凍するプログラムを特定する優先解凍制御プログラム特定機能と、
同特定された第2制御プログラムの実行開始前の所定期間に当該特定された第2制御プログラムを解凍して上記揮発性メモリにロードしておく事前ロード、を実行するロード制御機能とをコンピュータに実現させ、
かつ、上記優先解凍制御プログラム特定機能が参照するロード規則データは、上記解凍が所定時間以下で終了する第2制御プログラムについては、上記事前ロードの対象とはしない規則であることを特徴とするロード制御プログラムを記録した媒体。 - 主記憶領域を提供する揮発性メモリと定常的に使用される第1制御プログラムおよび必要に応じて使用される第2制御プログラムを圧縮した状態で記憶した不揮発性メモリを備え、第1制御プログラムの実行に伴って上記第2制御プログラムが必要となるときのために、不揮発性メモリに記憶した第2制御プログラムを動的に上記揮発性メモリに解凍し、解凍した第2制御プログラムを実行する印刷装置で制御プログラムのロードを実施するロード制御プログラムであって、
上記揮発性メモリの記憶容量を取得する記憶容量取得機能と、
同取得した記憶容量および第2制御プログラムをロードする規則を定めるロード規則データを参照して、上記第2制御プログラムの中で優先的に解凍するプログラムを特定する優先解凍制御プログラム特定機能と、
同特定された第2制御プログラムの実行開始前の所定期間に当該特定された第2制御プログラムを解凍して上記揮発性メモリにロードしておく事前ロード、を実行するロード制御機能とをコンピュータに実現させ、
かつ、上記優先解凍制御プログラム特定機能が参照するロード規則データは、上記解凍が所定時間以下で終了する第2制御プログラムについては、上記事前ロードの対象とはしない規則であることを特徴とするロード制御プログラム。
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