JP3943231B2 - 電動補助運搬車 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は人力を補助するモータを備えた電動補助運搬車に関する。
【0002】
【従来の技術】
通称「猫車」(ねこぐるま)と言われる手押し式の一輪運搬車又は二輪運搬車は、小型で小回りが利くので、工事現場や農地など種々の場所で使用されている。しかし、この種の一・二輪運搬車で、重量物を運搬したり上り坂を登るには、操作する作業者の負担が大きい。
作業者の負担を軽くするためには、一・二輪運搬車をエンジン等の動力で自力走行させることが考えられ、このような運搬車としては、例えば、実開平2−108679号公報「動力機付一輪運搬車」がある。
【0003】
上記動力機付一輪運搬車は、その公報の第1図によれば、内燃機関又はバッテリー式電気動力機1(番号は公報に記載されたものを引用した。以下同じ。)で減速機2、動力伝達チェーン3を介して1個のタイヤ8を駆動するというものである。
また、上記動力機付一輪運搬車は、その公報の第2図によれば、パイプフレーム6から後方へ左右一対のバーハンドルを延ばし、左のバーハンドルの端部に、ハンドル9(グリップに相当)と前後進切変えレバー10を取付け、右のバーハンドルの端部に、速度調節握り4とブレーキレバー5を取付けるというものである。速度調節握り4を回すことにより、発進操作と停止操作と速度調節操作とをすることができる。ブレーキレバー5を握ることにより、ブレーキをかけることができる。前後進切変えレバー10を操作することにより、前進と後進とに切変えることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記動力機付一輪運搬車は自力走行式運搬車であるため、重量物を運搬したり上り坂を登るときの労力軽減にはなる。その反面、手押し式の一・二輪運搬車のように機動性や使い勝手が良いとはいえない。工事現場やビニールハウス内では、作業スペースが狭い上に路面に凹凸があるため、一輪運搬車の走行速度や走行方向を頻繁に調整する必要がある。この用途に上記動力機付一輪運搬車は改良の余地がある。
【0005】
このような点を考慮して、人手による操作力に補助動力で補助するようにした動力補助運搬車が考えられる。しかし、上記動力機付一輪運搬車を、動力補助運搬車として使用可能な構成とした場合であっても、速度調節握り4とハンドル9とを握りながら押すという行為と、速度調節握り4を回し操作するという行為とを、同時に行わなければならないので、操作が面倒であり、作業者の負担が大きくなる。
しかも、所望の速度を維持しながら下り坂を走行するには、速度調節握り4とハンドル9とを握るという行為と、速度調節握り4を回し操作するという行為と、ブレーキレバー5を握るという行為とを、同時に行わなければならないので、操作が面倒であり、作業者の負担が大きくなる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、作業者の操作上の負担が軽く、しかも、狭い作業エリアで機動性が良く使いやすい動力補助運搬車を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、モータ及びバッテリを備え、人手による操作力に応じてモータで補助動力を発生させ、この補助動力で人力に補助するようにした電動補助運搬車であって、この電動補助運搬車には、車体フレームから後方へ延ばした操作ハンドルの端部に、スライド式グリップと、このグリップを操作者側へ押出す第1弾性部材と、グリップを車体フレーム側へ押出す第2弾性部材と、車体フレーム側へ向うグリップの移動量を検知する第1移動量検知部と、操作者側へ向うグリップの移動量を検知する第2移動量検知部とを備え、車体フレームに、第1移動量検知部の出力に応じてモータを駆動制御するとともに第2移動量検知部の出力に応じてモータを制動制御する制御部を備え、第1弾性部材の作用中立点を初期調整する第1調整機構と、第2弾性部材の作用中立点を初期調整する第2調整機構とを互いに独立して設け、押す力に応じたグリップの移動開始点と、引く力に応じたグリップの移動開始点とを変えるようにしたことを特徴とする。
【0008】
(1)グリップを持上げながら押すことにより、通常の猫車の感覚で電動補助運搬車を前進させることができ、取扱いが容易である。荷が重ければグリップを強く押すため、この押す力に応じてグリップの移動量が変化し、その出力を第1移動量検知部から制御部へ発する。制御部は、第1移動量検知部の出力に応じてモータを駆動制御する。このように、グリップを握って押した力に応じて、モータで大きな補助動力を発生させ、作業者の負担を軽減する。空荷又は荷が軽ければ、グリップに加える押す力が小さいので、補助動力を発生させない。このように、作業者はグリップを押すことで、電動補助運搬車を人力だけで走行させたり、補助動力を加えて走行させたりすることができる。従って、補助動力を調整するための特別の操作は不要である。
【0009】
(2)下り坂を走行中に、グリップを持上げながら引くことにより、通常の猫車の感覚で電動補助運搬車にブレーキをかけることができ、取扱いが容易である。電動補助運搬車の下降力が強ければグリップを強く引くため、この引く力に応じてグリップの移動量が変化し、その出力を第2移動量検知部から制御部へ発する。制御部は、第2移動量検知部の出力に応じてモータを制動制御する。このように、グリップを握って引いた力に応じて、モータで大きな制動力を発生させ、作業者の負担を軽減する。電動補助運搬車の下降力が弱ければ、グリップに加える引く力が小さいので、制動力を発生させない。このように下り坂で、ブレーキをかけずに電動補助運搬車を走行させたり、グリップを引くことで、ブレーキをかけながら走行させたりすることができる。従って、ブレーキの制動力を調整するための特別の操作は不要である。
【0010】
1弾性部材の作用中立点を第1調整機構によって初期調整し、第2弾性部材の作用中立点を第2調整機構によって初期調整する。第1・2弾性部材の一方を調整するときに、他方は影響を受けない。第1・2弾性部材の作用中立点を互いに異ならせて、押す力に応じたグリップの移動開始点と、引く力に応じたグリップの移動開始点とを、変えることができる。
【0011】
請求項の発明は、第1弾性部材の弾性特性と第2弾性部材の弾性特性とを、互いに異なるように設定したことを特徴とする。
第1・2弾性部材の弾性特性が互いに異なるので、押す力に応じたグリップの移動量と、引く力に応じたグリップの移動量とは、互いに異なる。
【0012】
請求項の発明は、第1・第2弾性部材をグリップの内部に配置したことを特徴とする。
第1・第2弾性部材はグリップの内部にあるので、泥水や塵埃に晒されることがなく、しかも、グリップの外部から見えない。
【0013】
請求項の発明は、第1移動量検知部の出力特性と第2移動量検知部の出力特性とを、
互いに異なるように設定したことを特徴とする。
押し方向のグリップの移動量に対する出力特性と、引き方向のグリップの移動量に対する出力特性とを、互いに異ならせることができる。また、第1移動量検知部の不感帯と、
第2移動量検知部の不感帯とを、任意に設定することができる。
【0014】
請求項の発明は、第1移動量検知部と第2移動量検知部とを、共通の移動量検知部で構成したことを特徴とする。
1つのグリップに1つの移動量検知部を取付けるだけですみ、配線数も少なくてすむ。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図面に基づいて以下に説明する。
なお、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」は作業者(操作者)から見た方向に従い、Frは前側、Rrは後側、Lは左側、Rは右側を示す。また、図面は符号の向きに見るものとする。
【0016】
図1は本発明に係る電動補助運搬車の斜視図である。
電動補助運搬車1は、車幅方向略中央に1つの車輪2を備えた車体フレーム3に左右のバッテリ4L,4R、モータ5及びモータ5の出力を車輪2へ伝達する動力伝達機構6を取付け、車体フレーム3から後方へ左右の操作ハンドル7L,7Rを延長し、車体フレーム3の上部に荷台8及び荷台用柵9,9を取付け、人手による操作力に応じてモータ5で補助動力を発生させ、この補助動力で人力に補助するようにした電動補助一輪運搬車である。
【0017】
詳しくは、左右の操作ハンドル7L,7Rは、車体フレーム3から後上方へ延ばしたパイプ材からなるバーハンドルであり、これらバーハンドルの端部にグリップ11L,11Rを取付けたものである。さらに、左の操作ハンドル7Lはブレーキレバー12を備え、右の操作ハンドル7Rは第1補助操作機構50及び第2補助操作機構70を備える。13はブレーキである。
【0018】
図2は本発明に係る電動補助運搬車の電気回路図であり、モータ5を第1・第2補助操作機構50,70で制御する回路を示す。
電動補助運搬車の電気回路は、制御部21にバッテリ4L,4R、モータ5、メインスイッチとしてのキースイッチ22、モータ5の回転数を検知する車速検知部23、バッテリ4L,4Rの残量を表示するバッテリ残量表示計24、第1補助操作機構50の第1移動量検知部57、第2補助操作機構70の第2移動量検知部77を接続したものである。
制御部21は、▲1▼第1移動量検知部57の出力並びに車速検知部23の出力に応じ、モータ5を駆動制御するとともに、▲2▼第2移動量検知部77の出力並びに車速検知部23の出力に応じ、回生制動方式によってモータ5を制動制御する機能を有する。
車速検知部23は電動補助運搬車の車速を検知するセンサであり、、例えば、モータ5の回転数を検知することによって間接的に車速を検知するように、モータ5に内蔵する。
【0019】
図3は本発明に係る電動補助運搬車の側面図である。
車体フレーム3は、その長手中央に且つ荷台8の下方に制御部21を取付け、後部の取付板25にキースイッチ22及びバッテリ残量表示計24を取付けたものである。
動力伝達機構6は、モータ5の出力を、車輪2を支える車軸31に伝達する機構である。この機構は、第1減速機構32と伝動軸33と第2減速機構34とからなる。車輪2と車軸31とは一体的に回転可能である。
【0020】
図4は本発明に係る右の操作ハンドル及び第1・第2補助操作機構の側面断面図である。
右の操作ハンドル7Rはパイプ材からなり、このパイプ材の先端にボス部41を溶接し、ボス部41に丸棒製バー42の基端をねじ込んで取付けたものである。バー42は、先端面(図右端面)に第1盲孔43を開けるとともに、基端面(図左端面)に第2盲孔44を開けたものである。これらの第1・第2盲孔43,44は有底の孔である。45はバー42の基端面から第2盲孔44へ連通した大径の逃がし孔、46はロックナットである。
【0021】
第1補助操作機構50は、固定されたバー42に前後2つのブッシュ51,51を介して軸方向移動可能に嵌合するパイプ製第1スライダ52と、第1スライダ52を操作者側(図右側)へ押出す第1弾性部材53と、第1弾性部材53の作用中立点を初期調整する第1調整機構54と、バー42に対する第1スライダ52の軸方向移動量(スライド量)を規制する第1ストッパ機構55と、第1スライダ52の基端部に備える第1アーム56と、車体フレーム3側へ向う(図の左方向へ向う)第1アーム56の移動量を検知する第1移動量検知部57とからなる。
【0022】
第2補助操作機構70は、第1スライダ52の外周に前後2つのブッシュ71,71を介して軸方向移動可能に嵌合するパイプ製第2スライダ72と、第2スライダ72を車体フレーム3側(図左側)へ押出す第2弾性部材73と、第2弾性部材73の作用中立点を初期調整する第2調整機構74と、第1スライダ52に対する第2スライダ72の軸方向移動量(スライド量)を規制する第2ストッパ機構75と、第2スライダ72の基端部に備える第2アーム76と、操作者側へ向う(図の右方向へ向う)第2アーム76の移動量を検知する第2移動量検知部77とからなる。
【0023】
バー42に嵌合した第1スライダ52と、第1スライダ52に嵌合した第2スライダ72と、第2スライダ72に被せて接着剤等で固定したゴム製グリップ部91との、組合せからなる構造は、スライド式グリップをなす。本発明の実施の形態においては、このスライド式グリップが右のグリップ11Rとなる。
【0024】
次に、第1・第2補助操作機構50,70の構成を詳しく説明する。
第1弾性部材53は第1盲孔43に挿入した圧縮ばねからなる。
第1調整機構54は、第1スライダ52の先端部(図右端)に軸方向移動不能に取付けた第1ボルト取付板61と、第1ボルト取付板61にねじ込んで第1弾性部材53を第1盲孔43の底に押し付けるようにした第1調整ボルト62とからなる。
第1調整ボルト62を軸方向に進退調整するだけで、第1弾性部材53の長さのばらつきや第1弾性部材53の作用中立点を簡単に初期調整することができる。さらには、第1調整機構54は、第1弾性部材53の弾発力を第1スライダ52に伝える機能を兼ねる。
【0025】
第1ストッパ機構55は、バー42と直交する方向に延ばしてバー42に固定した第1ピン63と、第1ピン63を嵌合するべく第1スライダ52に開けた第1長孔64とからなる。
第1長孔64は、第1ピン63と共に次の▲1▼〜▲3▼の役割を果たすために、第1スライダ52に軸直角方向に貫通した細長い孔である。
▲1▼バー42に対して、第1スライダ52が車体フレーム3側へ向う(図の左方向へ向う)軸方向移動量を、所定量S1に規制すること。
▲2▼バー42に対して、第1スライダ52が操作者側へ向う(図の右方向へ向う)移動を阻止すること。
▲3▼第1スライダ52の回り止めをなすこと。
第1ストッパ機構55を、第1ピン63と第1長孔64との組合せ構造としたので、簡単な構成で、右のグリップ11Rの移動量規制と、第1スライダ52の回り止めとをすることができる。なお、第1ピン63と第1長孔64とを逆にして配置してもよい。
【0026】
第1アーム56は、その先端が第1スライダ52の基端部から軸直角方向に延びるアームであり、このアームは、第1スライダ52に沿って車体フレーム3側へ延びる第1押しボルト(第1押し部材)65をねじ込んだものである。
【0027】
第1移動量検知部57は、第1アーム56の移動量を検知することにより、車体フレーム3側へ向う右のグリップ11Rの移動量(スライド量)を検知して、電気信号に変換するものであり、例えば、第1プッシュロッド57aの軸方向移動量に対応して抵抗値が変化する可変抵抗器57b(図2参照)からなる。このような第1移動量検知部57は、第1スライダ52と共に移動する第1押しボルト65で第1プッシュロッド57aが押されるように配置し、右の操作ハンドル7Rの先端部にブラケット66を介して取付けたものである。第1押しボルト65を軸方向に進退調整するだけで、第1移動量検知部57の検知基準点を容易に設定することができる。
図中、57cはゴムカバー、67,68はロックナット、69は第1スペーサ(当てピース)である。
【0028】
第2弾性部材73は第2盲孔44に挿入した圧縮ばねからなる。
第2調整機構74は、第2スライダ72の基端部(図左端)に軸方向移動不能に取付けた第2ボルト取付板81と、第2ボルト取付板81にねじ込んで第2弾性部材73を第2盲孔44の底に押し付けるようにした第2調整ボルト82とからなる。
第2調整ボルト82を軸方向に進退調整するだけで、第2弾性部材73の長さのばらつきや第2弾性部材73の作用中立点を簡単に初期調整することができる。さらには、第2調整機構74は、第2弾性部材73の弾発力を第2スライダ72に伝える機能を兼ねる。
【0029】
第2ストッパ機構75は、第1スライダ52と直交する方向に延ばして第1スライダ52に固定した第2ピン83と、第2ピン83を嵌合するべく第2スライダ72に開けた第2長孔84とからなる。
第2長孔84は、第2ピン83と共に次の▲1▼〜▲3▼の役割を果たすために、第2スライダ72に軸直角方向に貫通した細長い孔である。
▲1▼第1スライダ52に対して、第2スライダ72が操作者側へ向う(図の右方向へ向う)軸方向移動量を、所定量S2に規制すること。
▲2▼第1スライダ52に対して、第2スライダ72が車体フレーム3側へ向う(図の左方向へ向う)移動を阻止すること。
▲3▼第2スライダ72の回り止めをなすこと。
第2ストッパ機構75を、第2ピン83と第2長孔84との組合せ構造としたので、簡単な構成で、右のグリップ11Rの移動量規制と、第2スライダ72の回り止めとをすることができる。なお、第2ピン83と第2長孔84とを逆にして配置してもよい。
【0030】
第2アーム76は、その先端が第2スライダ72の基端部から軸直角方向に延びるアームであり、このアームは、第2スライダ72に沿って操作者側へ向う第2押しボルト(第2押し部材)85をねじ込んだものである。
【0031】
第2移動量検知部77は、第2アーム76の移動量を検知することにより、操作者側へ向う右のグリップ11Rの移動量(スライド量)を検知して、電気信号に変換するものであり、例えば、第2プッシュロッド77aの軸方向移動量に対応して抵抗値が変化する可変抵抗器77b(図2参照)からなる。このような第2移動量検知部77は、第2スライダ72と共に移動する第2押しボルト85で第2プッシュロッド77aが押されるように配置し、操作ハンドル7Rの先端部にブラケット86を介して取付けたものである。第2押しボルト85を軸方向に進退調整するだけで、第2移動量検知部77の検知基準点を容易に設定することができる。
【0032】
第1調整機構54と第2調整機構74とを互いに独立して設けたので、第1弾性部材53の作用中立点の初期調整と、第2弾性部材73の作用中立点の初期調整とを、独立して行うことができる。従って、第1・2弾性部材53,73の作用中立点を互いに異ならせて、押す力に応じた右のグリップ11Rの移動開始点と、引く力に応じた右のグリップ11Rの移動開始点とを、変えることができる。
なお、第1調整機構54による初期調整が完了した後に、第2スライダ72にグリップ部91を被せる。また、第2調整機構74による初期調整が完了した後に、ボス部41にバー42を取付ける。
【0033】
第1弾性部材53のばね特性(弾性特性)と第2弾性部材73のばね特性(弾性特性)とを、同一特性に設定したり、互いに異なる特性に設定することができ、これらの設定は任意である。
第1・第2弾性部材53,73のばね特性を互いに異なるように設定すれば、押す力に応じたグリップ11Rの移動量と、引く力に応じたグリップ11Rの移動量とを、互いに異なせることができる。
従って、押す力に応じたグリップ11Rの移動量の変化と、引く力に応じたグリップ11Rの移動量の変化とを適宜設定することにより、押す力に応じたモータ5の補助動力特性と、引く力に応じたモータ5の制動力特性とを、個別に最適なものに設定することができる。
【0034】
第2スライダ72にグリップ部91を被せたので、グリップ11R内に泥水や塵埃が侵入する虞れはない。そして、このようなグリップ11Rの内部に第1・第2ストッパ機構55,75、第1・第2弾性部材53,73及び第1・第2調整機構54,74を配置したので、これらの機構や第1・第2弾性部材53,73は泥水や塵埃に晒されることがなく耐久性が高まる。しかも、各機構や第1・第2弾性部材53,73がグリップ11Rの外部から見えないので、外観性は高まる。
77cはゴムカバー、87,88はロックナット、89は第2スペーサ(当てピース)、92,93は第2ボルト取付板用逃がし孔、94は第2ピン用逃がし孔である。
【0035】
図5は図4の5−5線断面図であり、第1スライダ52に軸直角方向に貫通した嵌合孔52aを開け、この嵌合孔52aに第1ボルト取付板61を嵌合にて取付けたことを示す。第1スライダ52の外周面に第2スライダ72を嵌合することにより、第1ボルト取付板61は外れない。
なお、上記図4に示す第2ボルト取付板81の取付け構造も、第1ボルト取付板61の取付け構造と同様であり、その説明を省略する。
【0036】
図6(a)〜(c)は本発明に係る第1・第2補助操作機構の作用説明図である。
(a)は、右のグリップ11Rを押し・引き操作しないときの、第1・第2補助操作機構50,70の状態を示す。第1・第2スライダ52,72は、第1・第2弾性部材53,73の弾発力で中立状態に保持されている。このため、第1・第2移動量検知部57,77は検知信号を出力しない。
【0037】
(b)は、右のグリップ11Rを左向きの白抜き矢印方向(車体フレーム側)に押し操作したときの、第1・第2補助操作機構50,70の状態を示す。
右のグリップ11Rを押すと、その押す力はグリップ部91→第2スライダ72→第2ピン83→第1スライダ52→第1アーム56→第1押しボルト65の経路で伝わり、第1プッシュロッド57aをスライドさせる。このため、第1移動量検知部57は第1プッシュロッド57aの移動量に応じて出力を発する。
一方、押す力は第1スライダ52→第1ボルト取付板61→第1調整ボルト62→第1スペーサ→69の経路で第1弾性部材53にも伝わる。
【0038】
従って、第1弾性部材53の弾発力に抗して押す力に応じて、左向き白抜き矢印方向へ向う右のグリップ11Rの移動量が変化し、その移動量を第1移動量検知部57が検知して、出力を発することになる。なお、第2押しボルト85が第2プッシュロッド77aを押さないので、第2移動量検知部77は出力を発しない。
その後、押す力がなくなれば、第1弾性部材53の弾発力によって、右のグリップ11Rは上記(a)の状態に自動的に復帰する。
【0039】
(c)は、右のグリップ11Rを右向きの白抜き矢印方向(操作者側)に引き操作したときの、第1・第2補助操作機構50,70の状態を示す。
右のグリップ11Rを引くと、その引く力はグリップ部91→第2スライダ72→第2アーム76→第2押しボルト85の経路で伝わり、第2プッシュロッド77aをスライドさせる。このため、第2移動量検知部77は第2プッシュロッド77aの移動量に応じて出力を発する。
一方、引く力は第2スライダ72→第2ボルト取付板81→第2調整ボルト82→第2スペーサ89の経路で第2弾性部材73にも伝わる。
【0040】
従って、第2弾性部材73の弾発力に抗して引く力に応じて、右向き白抜き矢印方向へ向う右のグリップ11Rの移動量が変化し、その移動量を第2移動量検知部77が検知して、出力を発することになる。なお、右向き白抜き矢印方向への第1スライダ52の移動は、第1ピン63によって阻止されている。このため、第1押しボルト65が第1プッシュロッド57aを押すことはなく、第1移動量検知部57は出力を発しない。
その後、引くがなくなれば、第2弾性部材73の弾発力によって、右のグリップ11Rは上記(a)の状態に自動的に復帰する。
【0041】
図7(a)〜(c)は本発明に係る第1・第2移動量検知部の特性図であり、いずれも横軸を第1・2プッシュロッド57a,77aの移動量とし、縦軸を第1・第2移動量検知部57,77の出力信号として、両者の関係を表したグラフである。
なお、(a)〜(c)の各グラフにおいて、第1象限は、第1プッシュロッド57aのストロークに対する第1移動量検知部57の出力信号の変化量を示し、第3象限は、第2プッシュロッド77aの移動量に対する第2移動量検知部77の出力信号の変化量を示す。
【0042】
(a)は、第1・第2移動量検知部57,77の第1特性例を示す。
第1象限の領域では実線で示すように、第1プッシュロッド57aの移動量が増すと、第1移動量検知部57の出力信号が、所定の傾斜角θを有して直線的に増すことが判る。この出力信号は、右のグリップ11Rの押し操作に応じて変化する信号であり、モータ5を駆動制御させるための信号(アシスト制御信号)となる。
一方、中立点Oを境にして、第3象限の領域では点線で示すように、第2プッシュロッド77aの移動量が増すと、第2移動量検知部77の出力信号が、上記傾斜角θと同一傾斜角を有して直線的に増すことが判る。この出力信号は、右のグリップ11Rの引き操作に応じて変化する信号であり、モータ5を制動制御させるための信号(ブレーキ制御信号)となる。
【0043】
(b)は、第1・第2移動量検知部57,77の第2特性例を示す。
第1象限の領域では実線で示すように、第1プッシュロッド57aがSt1だけ移動した後に、さらに移動量が増すと、第1移動量検知部57の出力信号が、所定の傾斜角θを有して直線的に増すことが判る。この出力信号はアシスト制御信号となる。
一方、第3象限の領域では点線で示すように、第2プッシュロッド77aが上記St1と同一移動量だけ移動した後に、さらに移動量が増すと、第2移動量検知部77の出力信号が、上記傾斜角θと同一傾斜角を有して直線的に増すことが判る。この出力信号はブレーキ制御信号となる。移動量St1は不感帯となる。
【0044】
(c)は、第1・第2移動量検知部57,77の第3特性例を示す。
第1象限の領域では実線で示すように、第1プッシュロッド57aがSt1だけ移動した後に、さらに移動量が増すと、第1移動量検知部57の出力信号が、所定の傾斜角θ1を有して直線的に増すことが判る。この出力信号はアシスト制御信号となる。
一方、第3象限の領域では点線で示すように、第2プッシュロッド77aがSt2だけ移動した後に、さらに移動量が増すと、第2移動量検知部77の出力信号が、所定の傾斜角θ2を有して直線的に増すことが判る。この出力信号はブレーキ制御信号となる。傾斜角θ1と傾斜角θ2とは互いに相違する。また、移動量St1と移動量St2とは、互いに相違する不感帯となる。
【0045】
第1移動量検知部57の出力特性と第2移動量検知部77の出力特性とを、互いに異なるように設定すれば、押し方向のグリップ11Rの移動量に対する出力特性と、引き方向のグリップ11Rの移動量に対する出力特性とを、互いに異ならせることができる。また、第1移動量検知部57の移動量(不感帯)St1と、第2移動量検知部77の移動量(不感帯)St2とを、任意に設定することができる。
【0046】
このように、第1・第2移動量検知部57,77の特性は、上記図7(a)〜(c)の各グラフで示す特性や、これらの特性を組合せたような、種々の特性に設定することができ、どのような特性にするかは任意である。特に、アシスト制御信号の形態とブレーキ制御信号の形態とを、電動補助運搬車1として最適なように個別に設定することが好ましい。
【0047】
次に、上記構成の電動補助運搬車1の作用を図8及び図9に基づき説明する。
図8(a),(b)は本発明に係る電動補助運搬車の作用図(その1)である。
軽量物を積んだ電動補助運搬車1を平地で走行させる場合には、右のグリップ11Rを握って持上げながら押す力Fpは小さい。このため、右のグリップ11Rの移動量が小さいので、第1移動量検知部57の出力も小さい。従って、制御部21は、モータ5へ駆動制御信号を発しない。この結果、電動補助運搬車1を人力だけで走行させることができる。
【0048】
図8(a)のように、重量物を積んだ電動補助運搬車1を走行させたり、上り坂で電動補助運搬車1を走行させる場合には、右のグリップ11Rを握って持上げながら押す力Fpは大きい。操作する作業者(操作者)Mの押す力Fpが所定以上になると、図8(b)のグリップ11Rは対応した押し移動量になるので、このときの第1移動量検知部57の出力に基づいて、制御部21は、モータ5へ駆動制御信号を発する。第1移動量検知部57は押す力Fpに応じて出力が変化し、制御部21は対応する補助動力を出力するようにモータ5を制御する。このため、補助動力で人力を補助するので、駆動労力は軽減する。
【0049】
図9(a),(b)は本発明に係る電動補助運搬車の作用図(その2)である。
緩い下り坂で電動補助運搬車1を走行させる場合には、右のグリップ11Rを握って持上げながら引く力Ftは大きい。このため、右のグリップ11Rの移動量が小さいので、第2移動量検知部77の出力も小さい。従って、制御部21は、モータ5へ制動制御信号を発しない。この結果、電動補助運搬車1を人力だけで制動しながら走行させることができる。
【0050】
図9(a)のように、急な下り坂で電動補助運搬車1を走行させる場合には、右のグリップ11Rを握って持上げながら引く力Ftは大きい。操作する作業者(操作者)Mの引く力Ftが所定以上になると、図9(b)のグリップ11Rは対応した引き移動量になるので、このときの第2移動量検知部77の出力に基づいて、制御部21は、モータ5へ制動制御信号を発する。第2移動量検知部77は引く力Ftに応じて出力が変化し、制御部21は対応した回生ブレーキ作用をするようにモータ5を制動制御する。このため、モータ5の補助制動力で人力を補助するので、制動労力は軽減する。しかも、回生ブレーキ作用によって、モータ5を制動制御するようにしたので、モータ5の駆動制御と制動制御とを切換えるための、特別の切換え操作部材を必要としない。
【0051】
このように、作業者Mはグリップ11L,11Rを握って押すことで、電動補助運搬車1を人力だけで走行させたり、補助動力を受けて走行させることができる。すなわち、電動補助運搬車1を(1)人力だけで走行させる場合と、(2)補助動力を受けて走行させる場合の、どちらの場合であっても、作業者Mはグリップ11L,11Rを握って押すという、単一の操作を継続するだけでよい。
さらには、作業者Mはグリップ11L,11Rを握って引くだけで、電動補助運搬車1を人力だけで制動させたり、補助制動力を受けて制動させることができる。すなわち、電動補助運搬車1を(1)人力だけで制動させる場合と、(2)補助制動力を受けて制動させる場合の、どちらの場合であっても、作業者Mはグリップ11L,11Rを握って引くという、単一の操作を継続するだけでよい。
【0052】
特に、電動補助運搬車1は一輪運搬車なので、運搬中に左右のグリップ11L,11Rから両手を離すことができない。
このような電動補助運搬車1を手押し走行中に、補助動力や補助制動力を受けたい状況のときであっても、作業者Mは特別の操作をする必要がなく、従来の手押し式一輪運搬車(通称「猫車」)と同様の、手押し作業又は手引き作業を行うだけでよい。このため、運搬作業は極めて容易である。
【0053】
以上のように、電動補助運搬車1は従来の手押し式一輪運搬車と同様に小回りが利き、狭い作業エリアであっても機動性が良く、使いやすい。しかも、重量物を運搬したり上り坂を登るとき、あるいは、下り坂を降りるときであっても、作業者Mの負担は軽い。さらには、作業者Mの操作上の負担は軽い。
なお、電動補助運搬車1の前進中又は後進中に、ブレーキを掛けたいときに、図1に示すブレーキレバー12を操作して、ブレーキ13を作動させることもできる。ブレーキレバー12及びブレーキ13の有無は任意である。
【0054】
図10は本発明に係る第1・第2補助操作機構の変形例を示す側面断面図である。
この変形例は、上記図4に示す第1補助操作機構50の第1移動量検知部57と、第2補助操作機構70の第2移動量検知部77とを併合して、共通の移動量検知部95としたことを特徴とする。詳しくは、変形例は、操作ハンドル7Rに備えたブラケット66に移動量検知部95を取付け、第2スライダ72に備えたアーム96に押しボルト(押し部材)97を取付け、移動量検知部95のプッシュロッド95aと押しボルト97とをピン98にて連結したものである。95cはゴムカバー、99はロックナットである。
【0055】
移動量検知部95は、アーム96の軸方向移動量を検知することにより、▲1▼車体フレーム3側へ向う右のグリップ11Rの移動量と、▲2▼操作者側へ向う右のグリップ11Rの移動量の両方を検知して、電気信号に変換するものであり、例えば、プッシュロッド95aの軸方向移動量に対応して抵抗値が変化する可変抵抗器からなる。この可変抵抗器については後述する。
このような移動量検知部95は、第2スライダ72と共に移動する押しボルト97で、プッシュロッド95aが押し引きされることになる。
他の構成については、上記図4に示す構成と同一であり、同一符号を付し説明を省略する。
【0056】
図11は本発明に係る電動補助運搬車の変形例を示す電気回路図である。
この変形例の制御部21は、車速検知部23並びに上記図10の移動量検知部95の出力に応じて、モータ5を駆動制御したり制動制御する機能を有する。
他の構成については、上記図2に示す構成と同一であり、同一符号を付し説明を省略する。
【0057】
図12(a)〜(c)は本発明に係る変形例の移動量検知部の構成図兼特性図である。
(a)は上記図11で示す移動量検知部95の可変抵抗器95bが、2つの摺動抵抗102,104とスライダ105との組合せからなるポテンショメータであることを示す模式図である。
(b)は上記(a)の可変抵抗器95bを具体的に示した概略構成図であり、可変抵抗器95bは細長い基板101に、第1抵抗部102と導体部103と第2抵抗部104とをこの順に直列接続してパターン印刷したものであり、プッシュロッド95aと連動したスライダ105が基板101の表面をスライドすることにより、抵抗値が変化する。
導体部103は電気抵抗値が極めて小さい材料からなり、長手中央をO(以下「中立点O」と記す。)とし、第1抵抗部102との境界を+aとし、第2抵抗部104との境界を−aとする(以下、「点+a」,「点−a」と記す。)。第1抵抗部102は、境界+aから離れた所定位置を点+bとする。また、第2抵抗部104は、境界−aから離れた所定位置を点−bとする。
スライダ105は、中立状態で中立点Oにあって、プッシュロッド95aが押されるとスライドして点+aを経て点+bに至り、また、プッシュロッド95aが引かれると逆方向にスライドして点−aを経て点−bに至る。
【0058】
(c)は移動量検知部95の特性図であり、横軸をプッシュロッド95aの移動量(スライダ105の移動量)とし、縦軸を移動量検知部95の出力信号(電圧)として、両者の関係を表したグラフである。なお、グラフにおいて、第1象限は、プッシュロッド95aが押された場合の、移動量に対する移動量検知部95の出力信号の変化量を示し、第3象限は、プッシュロッド95aが引かれた場合の、移動量に対する移動量検知部95の出力信号の変化量を示す。
【0059】
不感帯である点+aと点−aとの間にスライダ105があるとき、移動量検知部95の出力信号は常に2.5Vである。
第1象限の領域では、プッシュロッド95aと共にスライダ105が点+aからさらに押されて移動すると、移動量検知部95の出力信号は、所定の傾斜角を有して直線的に増す。この出力信号はアシスト制御信号となり、点+bにおいて4Vである。
一方、第3象限の領域では、プッシュロッド95aと共にスライダ105が点−aからさらに引かれて移動すると、移動量検知部95の出力信号は、所定の傾斜角を有して直線的に減る。この出力信号はブレーキ制御信号となり、点−bにおいて1Vである。
【0060】
なお、移動量検知部95は、上記図7(a)〜(c)の特性図に示す特性や、これらの特性を組合せたような、種々の特性に設定することもでき、どのような特性にするかは任意である。
【0061】
第1移動量検知部57と第2移動量検知部77とを併合した、共通の移動量検知部95からなるので、1つのグリップ11Rに1つの移動量検知部95を取付けるだけですみ、また、配線数も少なくてすみ、構成が簡単になる。
【0062】
なお、上記本発明の実施の形態において、電動補助運搬車1は、1つの車輪2を備えた電動補助一輪運搬車に限定するものではなく、例えば、左右2つの車輪を備えた電動補助二輪運搬車であってもよい。
また、第1・第2補助操作機構50,70は、左の操作ハンドル7Lに取付けてもよい。
さらには、制御部21は左右の操作ハンドル7L,7Rに備えた構成であってもよい。すなわち、制御部21を備える車体フレーム3とは、左右の操作ハンドル7L,7Rを包含したものを言う。
【0063】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1の発明は、車体フレームから後方へ延ばした操作ハンドルの端部に、スライド式グリップと、このグリップを操作者側へ押出す第1弾性部材と、グリップを車体フレーム側へ押出す第2弾性部材と、車体フレーム側へ向うグリップの移動量を検知する第1移動量検知部と、操作者側へ向うグリップの移動量を検知する第2移動量検知部とを備え、車体フレームに、第1移動量検知部の出力に応じてモータを駆動制御するとともに第2移動量検知部の出力に応じてモータを制動制御する制御部を備えたので、(1)グリップを持上げながら押すことにより、電動補助運搬車を人力で走行させることができ、また、荷が重ければグリップを強く押すため、この押す力に応じてグリップの移動量が変化し、その移動量に応じてモータが補助動力を発生し、この補助動力で人力に補助することができる。このように、作業者はグリップを持上げながら押すことで、電動補助運搬車を人力だけで走行させたり、補助動力を受けて走行させたりすることができる。
グリップの押し操作だけで補助動力を調整することができるので、補助動力を調整するための特別の操作は不要である。
【0064】
(2)しかも、下り坂を走行中に、グリップを持上げながら引くことにより、通常の手押し式一・二輪運搬車の感覚で電動補助運搬車にブレーキをかけることができ、また、電動補助運搬車の下降力が強ければグリップを強く引くため、この引く力に応じてグリップの移動量が変化し、その移動量に応じてモータが制動力を発生し、この制動力で人力による制動に補助することができる。グリップの引き操作だけで制動力を調整することができるので、制動力を調整するための特別の操作は不要である。
【0065】
(3)このようなことから、操作感覚(操作フィーリング)が良好になり、操作性が高まるとともに、操作上の負担も軽い。
以上のように、電動補助運搬車は作業者の操作上の負担が軽く、しかも、従来の手押し式一・二輪運搬車と同様に小回りが利き、狭い作業エリアであっても機動性が良く、使いやすい。さらには、重量物を運搬したり上り坂を登るときや、下り坂を降りるときであっても、作業者の負担は小さい。
【0066】
1弾性部材の作用中立点を初期調整する第1調整機構と、第2弾性部材の作用中立点を初期調整する第2調整機構とを、互いに独立して設けたので、第1弾性部材の作用中立点の初期調整と、第2弾性部材の作用中立点の初期調整とを、独立して行うことができる。従って、第1・2弾性部材の作用中立点を互いに異ならせて、押す力に応じたグリップの移動開始点と、引く力に応じたグリップの移動開始点とを、変えることができる。
【0067】
請求項の発明は、第1弾性部材の弾性特性と第2弾性部材の弾性特性とを、互いに異なるように設定したので、押す力に応じたグリップの移動量と、引く力に応じたグリップの移動量とを、互いに異なせることができる。
【0068】
請求項の発明は、第1・第2弾性部材をグリップの内部に配置したので、泥水や塵埃に晒されることがなく耐久性が高まる。しかも、第1・第2弾性部材がグリップの外部から見えないので、外観性は高まる。
【0069】
請求項の発明は、第1移動量検知部の出力特性と第2移動量検知部の出力特性とを、
互いに異なるように設定したので、押し方向のグリップの移動量に対する出力特性と、引き方向のグリップの移動量に対する出力特性とを、互いに異ならせることができる。また、第1移動量検知部の不感帯と、第2移動量検知部の不感帯とを、任意に設定することができる。
【0070】
請求項の発明は、第1移動量検知部と第2移動量検知部とを、共通の移動量検知部で構成したので、1つのグリップに1つの移動量検知部を取付けるだけですみ、また、配線数も少なくてすみ、構成が簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電動補助運搬車の斜視図
【図2】本発明に係る電動補助運搬車の電気回路図
【図3】本発明に係る電動補助運搬車の側面図
【図4】本発明に係る右の操作ハンドル及び第1・第2補助操作機構の側面断面図
【図5】図4の5−5線断面図
【図6】本発明に係る第1・第2補助操作機構の作用説明図
【図7】本発明に係る第1・第2移動量検知部の特性図
【図8】本発明に係る電動補助運搬車の作用図(その1)
【図9】本発明に係る電動補助運搬車の作用図(その2)
【図10】本発明に係る第1・第2補助操作機構の変形例を示す側面断面図
【図11】本発明に係る電動補助運搬車の変形例を示す電気回路図
【図12】本発明に係る変形例の移動量検知部の構成図兼特性図
【符号の説明】
1…電動補助運搬車(電動補助一輪運搬車)、2…車輪、3…車体フレーム、4L,4R…左右のバッテリ、5…モータ、7L,7R…左右の操作ハンドル、11R…スライド式グリップ(右のグリップ)、21…制御部、50…第1補助操作機構、52…第1スライダ、53…第1弾性部材、54…第1調整機構、55…第1ストッパ機構、57…第1移動量検知部、70…第2補助操作機構、72…第2スライダ、73…第2弾性部材、74…第2調整機構、75…第2ストッパ機構、77…第2移動量検知部、91…グリップ部、95…移動量検知部、M…作業者(操作者)、St1,St2…移動量。

Claims (5)

  1. モータ及びバッテリを備え、人手による操作力に応じて前記モータで補助動力を発生させ、この補助動力で人力に補助するようにした電動補助運搬車であって、この電動補助運搬車は、車体フレームから後方へ延ばした操作ハンドルの端部に、スライド式グリップと、このグリップを操作者側へ押出す第1弾性部材と、グリップを車体フレーム側へ押出す第2弾性部材と、車体フレーム側へ向うグリップの移動量を検知する第1移動量検知部と、操作者側へ向うグリップの移動量を検知する第2移動量検知部とを備え、前記車体フレームに、前記第1移動量検知部の出力に応じて前記モータを駆動制御するとともに前記第2移動量検知部の出力に応じて前記モータを制動制御する制御部を備え
    前記第1弾性部材の作用中立点を初期調整する第1調整機構と、前記第2弾性部材の作用中立点を初期調整する第2調整機構とを互いに独立して設け、押す力に応じたグリップの移動開始点と、引く力に応じたグリップの移動開始点とを変えるようにしたことを特徴とする電動補助運搬車。
  2. 前記第1弾性部材の弾性特性と前記第2弾性部材の弾性特性とを、互いに異なるように設定したことを特徴とする請求項1記載の電動補助運搬車。
  3. 前記第1・第2弾性部材を前記グリップの内部に配置したことを特徴とする請求項1又は請求項記載の電動補助運搬車。
  4. 前記第1移動量検知部の出力特性と前記第2移動量検知部の出力特性とを、互いに異なるように設定したことを特徴とする請求項1記載の電動補助運搬車。
  5. 前記第1移動量検知部と前記第2移動量検知部とを、共通の移動量検知部で構成したことを特徴とする請求項1又は請求項記載の電動補助運搬車。
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