JP3943124B2 - ヒートポンプ応用機器 - Google Patents

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Description

本発明は、冷媒の膨張エネルギーを電気エネルギーの形で回収する機能を持ったヒートポンプ応用機器に関する。
ヒートポンプ応用機器の代表例である蒸気圧縮式冷凍装置として、図16に示す構成のものがある。図16の冷凍装置は、圧縮機101、放熱器102、膨張弁103、および蒸発器104から構成される。それらの要素は配管により連結され、冷媒が図示の白抜き矢印のように移動する。
上記冷凍装置の運転原理は次のとおりである。冷媒蒸気の圧力および温度は圧縮機101によって増大される。次いで、その冷媒蒸気が放熱器102に入り、そこで冷却される。この後、高圧冷媒は膨張弁103により蒸発圧力に絞られ、蒸発器104において気化し、蒸発器104の周囲から熱を吸収する。そして、蒸発器104の出口を通って冷媒蒸気は圧縮機101に戻る。この冷媒には、例えば、オゾン層を破壊せず地球温暖化係数の小さい二酸化炭素が用いられることがある。
しかしながら、二酸化炭素を冷媒とする冷凍装置は、フロンを冷媒とする冷凍装置に比べ、エネルギー効率を示す成績係数(COP:Coefficient Of Performance)が低く、同等の冷凍能力を考えた場合、フロンを冷媒とする冷凍装置より多くの電力が必要になる。そのため、多くの化石燃料がエネルギーとして必要になり、冷媒自体の地球温暖化係数が小さくても、結果的に多くの二酸化炭素が排出される。そこで、二酸化炭素を冷媒とする冷凍装置のCOPを向上させるために、いくつかの提案がなされている。
上記提案の一例として、図17に示す冷凍装置(特開2000−241033号公報を参照)がある。この冷凍装置において、冷媒は、モータ205により駆動される圧縮機201により圧縮された後、放熱器202で冷却され、膨張機203に吸入される。膨張機203内で膨張した冷媒は、蒸発器206内で外部より吸熱して気化した後、再び圧縮機201へ戻る。膨張機203に取り付けられた発電機204は、冷媒の膨張エネルギーで回転して発電する。回転数制御手段212は、圧力センサ210および温度センサ211の出力に基づき、放熱器202の出口圧力が演算手段209により演算した最適高圧値になるように、発電機204の発電量、すなわち、膨張機203の回転数を制御する。なお、圧縮機201の前後には、性能、信頼性向上のためオイルセパレータ207およびアキュムレータ208が設置されている。
冷媒の膨張エネルギーで発電機を駆動して電力を生成し、その電力を有効利用することにより、総合的に使用されるエネルギー量を低減できる。結果として、冷凍装置のCOPが向上する。
図18は、膨張機を用いた従来の動力回収装置を示すブロック図である。図18において、交流電源301からの交流電圧は、整流回路302で直流電圧に変換される。直流電圧は、平滑コンデンサ303により平滑化されたあと、モータ駆動装置304により3相交流電圧に変換される。この3相交流電圧によってモータ306が駆動される。そして、モータ306の駆動により圧縮機307が圧縮機能を果たす。
モータ駆動装置304は、直流電圧を交流に変換するためのスイッチング素子群305などから構成されている。所定の交流周波数を実現するように、PWM(Pulse Width Modulation)方式でスイッチング素子群305をオンオフすることにより、任意の交流を出力することができる。
一方、膨張機311により動力を回収するために設置された発電機310には、その発電機310が生成する3相交流電力を直流電力に変換するための可変速コンバータ308が接続されている。この可変速コンバータ308は、発電機310が生成する交流電力を直流電力に変換するとともに、スイッチング素子群309をPWM方式でスイッチングすることにより、与えられる目標回転数で発電機310を回転させる。発電機310の回転数を制御することにより、膨張機311の回転数を制御することが可能となる。また、可変速コンバータ308からの直流電力ラインは、モータ306に給電を行うための直流電力ラインに並列接続される。可変速コンバータ308から回生された電力は、モータ駆動装置304を介して圧縮機307側のモータ306で消費される。
なお、特開2002−354896号公報に開示されているように、風力発電の分野においては、発電機からの出力電圧を一定に保つ技術が公知である。
ところで、図18の動力回収装置において、交流電源301から整流回路302を経て供給される電力をWin、モータ306にて消費される電力をWm、可変速コンバータ308により回生される電力をWgとすると、下記(式1)が成り立つ。通常は、消費電力Wmの方が回生電力Wgよりも大であるため、交流電源301からの供給電力Winは正の値である。
Win+Wg=Wm・・・(式1)
ところが、(消費電力Wm)>(回生電力Wg)という関係が常に成立するかといえば、そうとは限らない。例えば、システムの起動時、停止時、圧縮機の減速時、熱交換器の状態の急変時などでは、短時間ではあるが、消費電力Wmよりも回生電力Wgの方が大となる期間が生じる場合がある。整流回路302は、通常、ダイオードブリッジで構成された全波整流回路であり、交流電源301に電力を回生する機能を備えていない。したがって、回生電力Wgが消費電力Wmを上回る状況が発生すると、平滑コンデンサ303だけでは余分な電力をたちまち吸収しきれなくなり、直流電力ラインの電圧が異常に上昇し、最終的に平滑コンデンサ303などの電気部品を破壊するおそれがある。
上記の事情に鑑み、本発明は、回生電力が消費電力を上回った場合における直流電力ラインの電圧過昇を防止することにより、ヒートポンプ応用機器の信頼性向上を図ることを目的とする。
すなわち、本発明は、
冷媒を圧縮する圧縮機と、
圧縮機を作動させるモータと、
圧縮機により圧縮された冷媒を冷却する放熱器と、
放熱器を通過した冷媒を膨張させる膨張機と、
膨張機により膨張した冷媒を蒸発させる蒸発器と、
膨張機に接続され、冷媒の膨張エネルギーで発電する発電機と、
発電機が生成する交流電力を直流電力に変換してモータ側に回生出力する直流電力出力手段と、
直流電力出力手段が電力を回生する直流電力ラインの電圧を所定値未満に抑制する電圧抑制手段とを備え、
電圧抑制手段が、モータの駆動を制御するモータ制御手段に兼用されているヒートポンプ応用機器を提供する。
上記本発明のヒートポンプ応用機器は、直流電力ラインの電圧を所定値未満に抑制する電圧抑制手段を設けたものである。このようにすれば、圧縮機や膨張機の運転状態によらず、直流電力ラインの電圧過昇を防止することができる。この結果、直流電圧ラインに配置されているコンデンサやダイオードなどの電気部品の破壊防止を図ることができ、ひいては信頼性の高いヒートポンプ応用機器を実現できる。なお、上記所定値は、モータに給電を行う電源電圧よりもやや高めに設定された閾値電圧とすることができる。
本発明のヒートポンプ応用機器において、下記の好ましい実施形態を採用できる。
すなわち、上述した本発明ヒートポンプ応用機器において、電圧抑制手段は、発電機の駆動を制御する発電機制御手段に兼用することができる。
具体的に、発電機制御手段は、直流電力ラインの電圧が所定値以上となった場合に、発電機の発電効率を低下させる制御を実行する。
さらに好ましくは、発電機に永久磁石型同期発電機を採用することである。さらに、本発明のヒートポンプ応用機器には、直流電力出力手段および発電機制御手段を含む可変速コンバータを設けることができる。可変速コンバータは、永久磁石型同期発電機が発電効率の高い高効率状態から発電効率の低い低効率状態に移るように、当該永久磁石型同期発電機の電流位相角を変更する制御を実行する。
また、発電機と同様の制御を、圧縮機に接続されたモータに適用することによっても、直流電力ラインの電圧過昇を防止することができる。すなわち、本発明のヒートポンプ応用機器における電圧抑制手段は、モータの駆動を制御するモータ制御手段に兼用することができる。
具体的に、モータ制御手段は、直流電力ラインの電圧が所定値以上となった場合に、モータの駆動効率を低下させる制御を実行する。
さらに好ましくは、モータに永久磁石型同期モータを採用することである。この場合において、モータ制御手段はPWM制御を実行するインバータで構成することができる。インバータは、永久磁石型同期モータの電流位相角を変更する制御を実行して、当該永久磁石型同期モータを高効率駆動状態から低効率駆動状態に変更する。
また、本発明のヒートポンプ応用機器において、前述の電圧抑制手段は、直流電力ラインの電圧が所定値以上になった場合に、直流電力ラインに供給される電力の蓄電または消費を開始する。
具体的に、上記電圧抑制手段は、負荷と、負荷への給電をオンオフするスイッチとから構成され、直流電力ラインの電圧が所定値以上になった場合に、スイッチをオンして直流電力出力手段から負荷への給電を開始する。
(第1実施形態)
以下、添付の図面を参照しつつ本発明の実施形態について詳しく説明する。第1実施形態の主要な説明項目と説明順序は、次の通りである。
1.ヒートポンプ応用機器の構成
2.ヒートポンプ応用機器の動作(冷凍サイクル)
3.ヒートポンプ応用機器の動作(電力回生)
4.膨張機回転数の決定手順
5.可変速コンバータの詳細構成
6.可変速コンバータの動作
7.回転子位置θの推定
8.回生電力が消費電力を上回った場合の制御
1.ヒートポンプ応用機器の構成
図1は、本発明による第1実施形態のヒートポンプ応用機器を示すブロック図である。ヒートポンプ応用機器500は、冷媒を圧縮する圧縮機501と、圧縮機501により圧縮された冷媒を冷却する放熱器502と、放熱器502を通過した冷媒を膨張させる膨張機503と、膨張機503により膨張した冷媒を蒸発させる蒸発器504と、以上の各要素間に冷媒を循環させる冷媒配管518とを備えている。圧縮機501および膨張機503は、例えば、ロータリ型やスクロール型である。
また、ヒートポンプ応用機器500は、圧縮機501を駆動するモータ505と、直流を所定の周波数の交流に変換するとともにモータ505の駆動を制御するモータ制御手段の役割を担うインバータ506を備えている。インバータ506は、いわゆる3相電圧型インバータである。
モータ505は、例えば、永久磁石型同期モータ(いわゆるDCブラシレス・モータ)である。永久磁石型同期モータは、回転子表面に磁石を貼り付けた表面永久磁石同期モータ(SPMSM:Surface Permanent Magnet Synchronous Motor)と、回転子内部に永久磁石を埋め込んだ埋込永久磁石同期モータ(IPMSM:Interior Permanent Magnet Synchronous Motor)に大別できる。図2Aは、代表的なSPMSMの回転子の断面構造を示している。図2Bは、代表的なIPMSMの回転子の断面構造を示している。図2AのSPMSMは、永久磁石の存在する部分は磁気的にエアギャップと等価とみなすことができるため、磁気抵抗が回転子の位置に無関係となり、電機子巻線のd軸インダクタンスLdとq軸インダクタンスLqが等しい非突極機となる。これに対し、図2BのIPMSMは、電機子巻線が作るd軸方向の磁束の磁路にはエアギャップと同じ、磁気抵抗の大きな磁石が存在し、磁束は通りにくいが、q軸方向の磁束はケイ素鋼板を通ることができるため、この方向の磁気抵抗は小さくなる。この結果、(d軸インダクタンスLd)<(q軸インダクタンスLq)の突極機となる。IPMSMは、マグネットトルクの他にリラクタンストルクを併用できるため、極めて高効率にて駆動できるという利点を持つ。したがって、モータ505にはIPMSMが推奨される。IPMSMが好ましいのは、発電機507についても同様である。
一方、インバータ506は、正弦波に近い波形の電流を各相に流す正弦波PWM制御にてモータ505を駆動する。磁極位置にあわせて120°おきに電流を流す相を切り替える120°通電方式では、電機子巻線のインダクタンスの影響で、電流の切り替え時にトルクむらが発生しやすい。こうしたトルクむらを抑え、低騒音かつ高効率にてモータ505(永久磁石同期モータ)を駆動するには、180°通電方式の正弦波電流駆動が好適である。
トルクむらを減らすために界磁を正弦波磁束とすると、各相のトルク定数が正弦波となる。そこで、各相に正弦波電流を流すと、下式のように、モータの発生トルクTが回転子の回転角に依存しないようになる。
T=Ksinθ・Isinθ
+Ksin(θ−2π/3)・Isin(θ−2π/3)
+Ksin(θ−4π/3)・Isin(θ−4π/3)
=(3/2)KI
ただし、K:トルク定数(相の最大値)、I:電機子電流(相の最大値)、θ:回転子位置(回転角)。
ここで、回転子位置θ[°]と回転角速度Ω[rad/s]、時間t[s]との間には、θ=Ωtの関係があるので、時々刻々と変化する3相交流量の演算が必要となり、非常に取り扱いにくい。そこで、演算を簡単にするため、回転座標変換(d−q変換)を用いて各相に流す電流を制御する方法、いわゆるベクトル制御法が広く採用されている。また、ベクトル制御法によれば、モータ505に流れる電流をd軸とq軸に分けて制御できるので、モータの能力を最大限引き出すことが可能になる。
図1に戻って説明を続ける。ヒートポンプ応用機器500は、さらに、放熱器502の出口温度を検出する温度センサ516と、放熱器502の出口圧力を検出する圧力センサ517と、マイクロコンピュータ509とを備えている。温度センサ516および圧力センサ517の検出信号は、A/D変換器(図示省略)で2値化されてマイクロコンピュータ509に入力される。マイクロコンピュータ509は、それらのセンサ516,517からの入力に基づいて、膨張機503の回転数を決定する膨張機回転数決定手段の役割を担う。ただし、膨張機503の目標回転数を設定するマイクロコンピュータ509は、可変速コンバータ508の制御系を構成するマイクロコンピュータに兼用させてもよい。
ヒートポンプ応用機器500は、さらに、膨張機503に接続されて冷媒の膨張エネルギーで発電する発電機507と、発電機507の駆動を制御する発電機制御手段の役割を担う可変速コンバータ508とを備えている。発電機507には、モータ505と同様に、SPMSMやIPMSMなどの永久磁石同期モータを用いることができる。可変速コンバータ508は、発電機507が生成する交流電力を直流電力に変換してモータ505側に回生出力する直流電力出力手段の役割も担う。また、可変速コンバータ508は、インバータ506と同様の3相電圧型であり、正弦波PWM制御にて発電機507を制御する。これら膨張機503、発電機507および可変速コンバータ508は、ヒートポンプ応用機器500において、動力回収装置601を構成している。
なお、本明細書において、“インバータ”“コンバータ”という用語は、それぞれモータ505や発電機507の駆動を制御するマイクロコンピュータ等の制御系を含む“インバータユニット”“コンバータユニット”の意味で用いることとする。また、一般に、回生というと、電源に電力を戻すことを意味するが、本明細書では、冷媒の膨張エネルギーを膨張機503および可変速コンバータ508で回収して電気エネルギーに変換し、圧縮機501を駆動するモータ505側に供給することを意味する。
また、ヒートポンプ応用機器500は、交流電源510の交流電力を直流電力に変換する整流回路511および平滑コンデンサ512を備えている。整流回路511は、ダイオードブリッジによる一般的な全波整流回路である。交流電源510に電力を戻すための回路は設けていない。可変速コンバータ508から直流電力ラインDL2を、整流回路511とインバータ506との間の直流電力ラインDL1に並列接続し、発電機507からの電力をインバータ506に供給して、膨張機503で回収したエネルギーを圧縮機501の駆動力の一部として利用する構成となっている。
また、直流電力ラインDL1,DL2には、当該直流電力ラインDL1,DL2の電圧を検出するための、第1電圧検出センサ520と第2電圧検出センサ521とが配置されている。ただし、第1電圧検出センサ520は可変速コンバータ508に、第2電圧検出センサ521はインバータ506に含まれる構成であってもよい。また、各電圧検出センサ520,521は、A/D変換器を含む電圧検出部として構成されていてもよい。通常、直流電力ラインDL1,DL2の電圧を検出するセンサは1つで足りるが、制御基板が複数に分かれるような場合には、各基板上に1つずつ設けることが望ましい。
2.ヒートポンプ応用機器の動作(冷凍サイクル)
図1において、インバータ506により制御されるモータ505によって圧縮機501が駆動され、圧縮機501により冷媒が圧縮される。圧縮された冷媒は、放熱器502で冷却され、その後、可変速コンバータ508により制御される発電機507に連結している、膨張機503を通過する。このとき冷媒は、膨張機503内で膨張し、蒸発器504内で外部より吸熱して気化した後、再び圧縮機501へ戻る。
3.ヒートポンプ応用機器の動作(電力回生)
図1において、交流電源510からの交流電力を整流回路511で整流して得られた直流電力は、平滑コンデンサ512によりその電圧が平滑化されたあと、インバータ506により3相交流電力に変換されて、モータ505に供給される。それによりモータ505が駆動されて圧縮機501が圧縮機能を果たす。
また、冷媒の膨張力により発生した膨張機503のトルクは、シャフトを介して発電機507に伝達される。発電機507では、シャフトに固定された回転子が回転して発電が行われる。発電機507により生成された交流電力は、可変速コンバータ508により直流電力に変換された後、平滑コンデンサ512の両端に供給される。これにより、膨張機503および発電機507により生成された電力は、圧縮機501を駆動するモータ505で消費される。
4.膨張機回転数の決定手順
膨張機503および発電機507の回転数は、可変速コンバータ508により制御される。可変速コンバータ508には、マイクロコンピュータ509より目標回転数が与えられる。マイクロコンピュータ509は、温度センサ516から得られる放熱器出口温度、および圧力センサ517から得られる放熱器出口圧力に基づき、冷凍サイクル効率が最も高くなるように膨張機503の目標回転数を決定して、冷凍サイクルの高圧側圧力(放熱器出口圧力)を制御する。
図3は、放熱器出口圧力、放熱器出口温度および冷凍サイクル効率の相互関係を説明する図である。ヒートポンプ応用機器500の冷凍サイクル効率は、放熱器出口圧力および放熱器出口温度により最大となる点が異なり、その最大点を結んだ線が図中の最適効率圧力線である。
図4は、膨張機の回転数を決定する処理のフローチャートである。マイクロコンピュータ509は、まず、温度センサ516および圧力センサ517からのセンサ信号をサンプリングする。これらのセンサ信号は、図示しないA/D変換器で2値化された信号である。さらに、マイクロコンピュータ509は、取得したセンサ信号より、放熱器出口圧力および放熱器出口温度を算出する(S101)。次に、図3に示すデータにしたがって、冷凍サイクル効率を最大にする最適圧力を演算する(S102)。具体的には、放熱器出口圧力、放熱器出口温度および冷凍サイクル効率の対応関係を特定するためのデータベース、すなわち、図3のグラフをデータベース化して予めマイクロコンピュータ509に持たせておく。そして、フローチャートのS102の処理では、上記データベースを参照することにより、冷凍サイクル効率を最大にする最適圧力を見出す。図3のグラフをデータベース化する際の量子化幅は、温度センサ516および圧力センサ517の分解能によって定めるとよい。なお、図3中に示す最適効率圧力線の近似関数F(p,t)を予め見出してマイクロコンピュータ509に持たせておき、この近似関数F(p,t)に放熱器出口圧力と放熱器出口温度とを代入することで、冷凍サイクル効率を最大にする最適圧力を算出するようにしてもよい。
次に、現在の放熱器出口圧力と最適圧力との偏差を調べる(S103)。現在の放熱器出口圧力が最適圧力よりも大の場合には、放熱器出口圧力が低下するように膨張機503の目標回転数を現在の目標回転数よりも大きく設定する(S104)。そして、設定した目標回転数を可変速コンバータ508に出力する(S105)。他方、現在の放熱器出口圧力が最適圧力よりも小の場合には、放熱器出口圧力が上昇するように膨張機503の目標回転数を現在の目標回転数よりも小さく設定し、設定した目標回転数を可変速コンバータ508に出力する(S106,S105)。なお、フローチャート中には示していないが、現在の放熱器出口圧力が最適圧力に一致する場合には、現在の目標回転数を維持するようにしてもよい。これらの制御により、放熱器出口の圧力は、冷凍サイクル効率を最大にするように制御される。
なお、上記のような回転数決定手順は、圧縮機501の目標回転数を決定する場合にも採用することができる。
5.可変速コンバータの詳細構成
可変速コンバータ508の構成および動作を詳細に説明する。図5は、図1に示すヒートポンプ応用機器500の可変速コンバータ508の詳細ブロック図である。
可変速コンバータ508は、発電機507が生成する交流電力を直流電力に変換してモータ505側に回生する直流電力出力手段としての変換回路部508aと、PWM信号を作成する制御回路部508bとを含む。変換回路部508aは、u相電流センサ805aと、v相電流センサ805bと、スイッチング素子803a,803b,803c,803d,803e,803fおよび還流ダイオード804a,804b,804c,804d,804e,804fを含む。電流センサは、u相、v相、w相の3相のうち、任意の2相の電流値を計測できればよい。スイッチング素子803a〜803fは、パワーMOSFETやIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)である。制御回路部508bは、一般的にはマイクロコンピュータで構成するが、オペアンプを中心としたアナログ回路で構成することも可能である。制御回路部508bとしてのマイクロコンピュータ508bは、2軸電流変換手段806、回転子位置回転数推定手段807、ベースドライバ808、正弦波電圧出力手段809、電流制御手段810、電流指令作成手段811、回転数制御手段812、および電流位相角決定手段815を含み、作成したPWM信号をスイッチング素子803a〜803fに与える。本実施形態において、これらの各手段は、マイクロコンピュータ508b(制御回路部508b)が実行可能なプログラムモジュールを意味する。
発電機507からの3相交流出力は、可変速コンバータ508を介して、例えば直流電源801側に供給されるようになっている。直流電源801は、図1における整流回路511の出力に相当する。さらに、3相交流出力は、可変速コンバータ508により直流に変換される。その際、外部(本実施形態ではマイクロコンピュータ509)より与えられる目標回転数に基づいて発電機507の回転数が目標回転数となるように制御が行われる。
つまり、可変速コンバータ508は、スイッチング素子803a〜803fのスイッチングパターンを、発電機507の磁極位置(回転子位置θ)と、発電機507の推定回転数ωmと、マイクロコンピュータ509から与えられる目標回転数と、電流センサ805a,805bによる相電流iu,ivの検出結果とに基づいて決定する。さらに、決定したスイッチングパターンに応じたスイッチングパターン信号をベースドライバ808に送る。スイッチングパターン信号は、ベースドライバ808によってスイッチング素子803a〜803fを電気的に駆動するためのドライブ信号(PWM信号)に変換され、これらのドライブ信号にしたがって各スイッチング素子803a〜803fが動作する。
6.可変速コンバータの動作
次に、可変速コンバータ708の動作について説明する。ただし、この項目6.では、直流電力ラインDL1,DL2の電圧が、予め定めた閾値電圧を超えていないときの制御を説明している。直流電力ラインDL1,DL2の電圧が上記閾値電圧以上となったときの制御は、項目8.で説明する。
まず、マイクロコンピュータ509より与えられる目標回転数ω*を実現するように、現在の回転数ω(後述する推定回転数ωm)との偏差から電流指令I*が、下記(式2)に基づいて回転数制御手段812(回転数制御プログラム)により演算される。演算方法としては、一般的なPI制御方式による。
I*=Gpω×(ω*−ω)+Giω×Σ(ω*−ω)・・・(式2)
ここで、Gpωは速度制御比例ゲイン、Giωは積分ゲイン、ωは現在の回転数、ω*は目標回転数、I*は電流指令である。
さらに、電流指令作成手段811(電流指令作成プログラム)は、回転数制御手段812で演算された電流指令値I*を取得し、電流位相角を実現するためのd軸電流指令Id*、q軸電流指令Iq*を以下の式により演算する。具体的には、最適な電流位相角βを(式3)および(式4)に代入してId*およびIq*を求める。
Id*=I*×sin(β)・・・(式3)
Iq*=I*×cos(β)・・・(式4)
ここで、βは電流位相角である。
例えば、モータ505や発電機507がSPMSMの場合には、d軸電流Idがトルクに寄与しないので、d軸電流Id=0(つまりβ=0°)で最大効率運転となる。他方、IPMSMの場合には、Id=0としてしまうとリラクタンストルクを利用できなくなるので、全発生トルクは電流位相角β=0°で最大とならない。図6は、電流値一定かつ極対数=2のIPMSMの電流位相角とトルクとの関係を例示する図である。マグネットトルクTmはβ=0°で最大となるが、リラクタンストルクTrはβ=45°,−135°で最大である。その結果、全発生トルクTは電流位相角が0°<β<45°の範囲で最大になる。
このように、SPMSMおよびIPMSMのいずれにおいても、同一電流に対して発生トルクを最大にできる電流位相角が存在することが分かる。逆にいえば、同一トルクに対して取り出せる電流を最大にできる電流位相角が存在する。したがって、通常は最も発電効率が高くなるように、SPMSMであればβ=0°のId=0制御を採用することができる。この場合、電流位相角決定手段815(電流位相角決定プログラム)は、電流指令作成手段811にβ=0°を渡すことになる。
ここで、発電効率(=動力回収効率)とは、発電機507の入力と出力との比率の意味である。発電機507の入力は、回転速度とトルクの積になり、出力は電圧と電流の積になる。モータ505の駆動効率を論ずる場合には、入力と出力が発電機507の場合と逆になる。
一方、IPMSMの場合は、機器定数(極対数、鎖交磁束、d軸インダクタンス、q軸インダクタンス等)および電流値に応じて定まる最適な電流位相角βで運転を行う必要がある。電流位相角決定手段815は、機器定数および電流値に応じて最適な電流位相角βを求める。理論的には、ある駆動条件が与えられたとき、IPMSMの損失が最も小さくなるような電流位相角βを求める演算を行う。しかしながら、その演算は煩雑であり、与えられた時間内に演算をこなすには、処理能力の高いプロセッサー等が必要になる。したがって、例えば、電流値に対応する最適な電流位相角βをシミュレーションや実験で予め求め、それらの結果に基づいて最適な電流位相角βを求めるための近似関数やルックアップテーブルを用意しておき、それら近似関数やルックアップテーブルと、回転数制御手段812が求めた電流指令値I*とから最適な電流位相角βを見出すという方法を採用することができる。
ところで、インバータ506や可変速コンバータ508で実際に制御できるのは、モータ505や発電機507のu相、v相、w相の電圧であり、検出できるのはu相、v相の電流と回転子位置θである。したがって、u相、v相の電流値に基づいてd軸、q軸に流す電流を算出し、それから、u相、v相、w相の電圧を導き、u相、v相、w相の正弦波電流を制御するという方法を採用する。このような手法は、モータに流す電流をd−q座標上の電流ベクトルとして捉えるのでベクトル制御法と呼ばれており、ブラシレスモータの制御に広く採用されている。
具体的な処理としては、まず、電流センサ805a,805bにより検出された発電機507の相電流iu,ivを、2軸電流変換手段806により、発電機507のマグネットトルクに寄与するq軸電流Iqと、それに直交するd軸電流Idの2軸電流に変換する。d軸は、通常、界磁の作る磁束の方向にとる。
2軸電流変換手段806(2軸電流変換プログラム)は、まず、図7Aに示すような3相交流座標(u−v−w)から2相交流座標(a−b)への変換を行う。この変換は、下記の行列[c](式5)によって与えられる。ただし、現在取り扱っている3相交流座標では、iu+iv+iw=0が成立するので、行列[c]の3行目は無視できる。
Figure 0003943124
上記(式5)より、固定した2相交流座標上の電流ia,ibは、下記(式6)で表される。ただし、iw=−(iu+iv)という条件を使う。
Figure 0003943124
さらに、図7Bに示すように、固定した2相交流座標(a−b)から、回転するd−q直交座標への変換を行う。この変換は、回転子位置θ(後述する推定磁極位置)を用いて下記(式7)のようになる。なお、sinθ,cosθの値は、適切なルックアップテーブルを参照して、その値を求めるようにすればよい。
Figure 0003943124
図8は、d−q座標上の電流位相角βを示す図である。電流位相角βは、電流ベクトルI0と、q軸電流Iqとがなす角度で表される。電流ベクトルI0は、d軸電流Idと、q軸電流Iqとの合成ベクトルである。SPMSMの場合には、Id=0(β=0°)で最適制御となる。IPMSMの場合には、負のd軸電流を流すことで、d軸電機子反作用による減磁効果を利用してd軸方向の磁束を減少させることができ、等価的な弱め界磁制御が実現できる。
図5のブロック図に戻って説明を続ける。電流制御手段810(電流制御プログラム)は、電流指令作成手段811から与えられる電流指令Id*,Iq*と、2軸電流変換手段806から与えられる電流値Id,Iqとを用いて、下記(式8)(式9)により出力電圧Vd,Vqを作成する。
Vd=Gpd×(Id*−Id)+Gid×Σ(Id*−Id)・・・(式8)
Vq=Gpq×(Iq*−Iq)+Giq×Σ(Iq*−Iq)・・・(式9)
ただし、Vdはd軸電圧、Vqはq軸電圧、Gpdはd軸電流制御比例ゲイン、Gidは積分ゲイン、Gpqはq軸電流制御比例ゲイン、Giqは積分ゲインである。
次に、上記のようにして求めた2方向の出力Vd,Vqは、正弦波電圧出力手段809(正弦波電圧出力プログラム)に渡される。正弦波電圧出力手段809は、d−q座標上のVd,Vqと回転子位置θとに基づき、出力波形が正弦波となるように、3相の出力電圧Vu,Vv,Vwを求める。具体的には、下記(式10)(式11)の回転変換および2相−3相変換により、d−q座標上の電圧Vd,Vqを、3相の出力電圧Vu,Vv,Vwに変換する。
Figure 0003943124
上記のようにして3相交流座標上の電圧Vu,Vv,Vwを求めたのち、これら3相の電圧Vu,Vv,Vwからスイッチング素子803a〜803fのスイッチングパターンを作成し、作成したスイッチングパターンに対応するスイッチングパターン信号(デューティ値Du,Dv,Dw)をベースドライバ808に出力する。そして、ベースドライバ808は、そのスイッチングパターン信号にしたがって、スイッチング素子803a〜803fを駆動するためのPWM信号を作成して出力する。PWM信号にしたがって各スイッチング素子803a〜803fが動作し、発電機507が目標とする回転数(速度)にて駆動される。
7.回転子位置θの推定
つぎに、回転子位置回転数推定手段807(回転子位置回転数推定プログラム)について説明する。ブラシレスモータの一般的な制御方法では、回転子位置θ(磁極位置)をホール素子やレゾルバで検出する。しかしながら、本発明のヒートポンプ応用機器500の実際の設計では、モータ505や発電機507は、圧縮機501や膨張機503のハウジング内に配置することが考えられる。そうした方が、シャフトを外部に露出させることによる冷媒漏れの問題が生じず、信頼性を高めることができるとともに、小型化および低コスト化を図りやすいからである。圧縮機501や膨張機503のハウジング内は、通常、高温高圧であり、ホール素子やレゾルバといった検出器が本来の性能を発揮しづらい環境になっている。また、スペースの制約が大きいという問題もある。したがって、ヒートポンプ応用機器500には、モータ505や発電機507の回転子位置θを各相の巻線の誘起電圧から推定する、いわゆるセンサレス方式を採用することが好ましい。
まず、iu+iv+iw=0という条件を用い、電流センサ805a,805bにより検出された電流iu,ivから、各相の巻線に流れる相電流(iu,iv,iw)が得られる。また、正弦波電圧出力手段809により出力される3相のデューティ値Du,Dv,Dwと、分圧抵抗813a,813bから得られる電源電圧Vdcとから、各相の巻線に印加される相電圧(vu,vv,vw)が以下の式より求められる。
vu=Du×Vdc・・・(式12)
vv=Dv×Vdc・・・(式13)
vw=Dw×Vdc・・・(式14)
これらの値から、下記(式15)、(式16)、(式17)の演算により、各相の巻線に誘起される誘起電圧値eu,ev,ewが求められる。
eu=vu−R・iu−L・d(iu)/dt・・・(式15)
ev=vv−R・iv−L・d(iv)/dt・・・(式16)
ew=vw−R・iw−L・d(iw)/dt・・・(式17)
ここで、Rは巻線の抵抗、Lは巻線のインダクタンスである。また、d(iu)/dt,d(iv)/dt,d(iw)/dtはそれぞれiu,iv,iwの時間微分である。
次に、求めた誘起電圧値eu,ev,ewから、回転子位置θと推定回転数ωmを推定する。これは、可変速コンバータ508が認識している推定角度θmを誘起電圧の誤差を用いて補正することにより、真値に収束させて、回転子位置θを推定する方法である。また、推定角度θmから、推定回転数ωmをも推定する。
まず、各相の誘起電圧基準値(eum,evm,ewm)を以下の式で求める。
eum=em・sin(θm+β)・・・(式18)
evm=em・sin(θm+β−120°)・・・(式19)
ewm=em・sin(θm+β−240°)・・・(式20)
ここで、誘起電圧振幅値emは、誘起電圧値eu,ev,ewの振幅値と一致させることにより求める。
このようにして求めた誘起電圧値と誘起電圧基準値との偏差εを作成する。すなわち、下記(式21)のように、各相の誘起電圧推定値esから各相の誘起電圧基準値esmを減算したものを偏差εにする。
ε=es−esm・・・(式21)
ここで、sは相(u/v/w)である。
そして、この偏差εが、ゼロになれば推定角度θmが真値になる。したがって、偏差εをゼロに収斂させるように、例えば、PI演算で偏差εを収斂する方法で、推定角度θmの真値を回転子位置θ(推定磁極位置)として求める。また、推定角度θmの変動値を演算することにより、推定回転数ωmを推定することができる。
なお、ホール素子やレゾルバで回転子位置θを検出し、回転数ωを得るようしてもよいことはもちろんである。
8.回生電力が消費電力を上回った場合の制御
前述したように、通常の運転では、モータ505の消費電力Wmが発電機507からの回生電力Wgよりも大である。ところが、ヒートポンプ応用機器500の起動時、停止時、圧縮機の減速時、熱交換器の状態の急変時などでは、(消費電力Wm)<(回生電力Wg)となる場合がある。このような状況が継続すると、直流電力ラインDL1,DL2の電圧が過昇し、平滑コンデンサ512等の電気部品の破壊を招くおそれがある。そこで、以下のようにして、直流電力ラインDL1,DL2の電圧過昇を防止する。
図6で触れたように、SPMSMやIPMSMといった永久磁石同期モータは、同一電流に対して発生トルクを最大にできる電流位相角βが存在する。逆にいえば、発生トルクが最大になる電流位相角βを避けることにより、回転数を変えることなく、意図的に非効率な運転を行うことができる。
図9は、ある設計の永久磁石型同期発電機(IPMSM)の損失特性を表す特性図である。つまり永久磁石同期発電機の励磁方向であるd軸電流の大きさに対する、発電機の損失特性を表した特性図である。この図に示されているように、発電機の損失は、d軸電流により変化し、損失が最小となるようなd軸電流値Idoptが存在する。したがって、通常運転時には、発電機の損失を最小にするようにd軸電流Idoptを制御すればよい。一方、d軸電流を最適値Idoptからずれた値にすると、発電機の効率が低下することが分かる。また、d軸電流を増加させる(d軸電流の絶対値を増加させる)と界磁を低下させることとなり、誘起電圧値が低下することが分かっている。
したがって、直流電力ラインDL1,DL2の電圧を低下させるためには、発電機507のd軸電流を最適値Idoptからずらして発電効率を低下させ、回生電力の量を減らすとともに、弱め界磁効果により誘起電圧値を低下させればよい。例えば、直流電力ラインDL1,DL2の電圧が基準値(例えば、AC200Vの電源入力を全波整流する場合では、約280V)に対して、コンデンサ等の電気部品に影響を与えないような+20Vの範囲を超えた場合(つまり閾値電圧を超えた場合)には、電流位相角を最適値からずらす制御を実行する。このようにして、d軸電流を変化させ、発電効率を低下させるとともに、弱め界磁効果によって直流電力ラインDL1,DL2の電圧を低減させる。ただし、図9より理解できるように、界磁を強める方向にd軸電流を変化させる場合でも、発電効率の低下は期待できる。
具体的に、可変速コンバータ508は、第1電圧検出センサ520によって直流電力ラインDL1,DL2の電圧を検出し、その電圧値が所定の値を超えると、発電機507の電流位相角βを最適値Idoptからずらす制御を行う。図10は、マイクロコンピュータ508bで実行される電流位相角決定プログラム(電流位相角決定手段815)のフローチャートである。
まず、マイクロコンピュータ508bは、第1電圧検出センサ520より、直流電力ラインDL1,DL2の電圧VDLをサンプリングする(ST1)。次に、直流電力ラインDL1,DL2の電圧VDLが閾値電圧VTH未満かどうかを判断する(ST2)。閾値電圧VTH未満であると判断した場合は、発電効率が最大となるように最適な電流位相角βoptを求め、電流指令作成手段811(電流指令作成プログラム)に渡す(ST3)。SPMSMの場合にはβopt=0°が決まっている。IPMSMの場合には、前述したように、電流指令値I*に応じて最適な電流位相角βoptを見出すことになる。
他方、直流電力ラインDL1,DL2の電圧VDLが閾値電圧VTH以上であると判断した場合には、現在の直流電力ラインDL1,DL2の電圧VDLと、閾値電圧VTHとの偏差(VDL−VTH)を求め、その偏差(VDL−VTH)に応じた大きさの位相角ズレ量Δβを算出する(ST4)。具体的に、位相角ズレ量Δβは、(VDL−VTH)に比例した大きさとすることができる(図11参照)。位相角ズレ量Δβを算出したら、次に、最適な電流位相角値βoptを求め、そのβoptにその位相角ズレ量Δβを加算または減算した電流位相角β’を算出する(ST5)。そして、算出した電流位相角β’を電流指令作成手段811に渡す(ST6)。
β’=βopt−Δβとするか、β’=βopt+Δβとするかは、発電機507の仕様によって定めればよい。電流位相角β’は、発電機507の適切な制御が可能となるように、0°〜90°の範囲で定めることができる。また、(VDL−VTH)に対して電流位相角β’がリニアに変化することは必須ではない。要するに、発電機507が発電効率の高い高効率状態から発電効率の低い低効率状態に変化すれば、それで足りる。極論すれば、電流指令作成手段811に渡す電流位相角β’は、1通りであってもよい。
例えば、(VDL<VTH)という条件を満足する場合には、発電効率を最大にする最適な電流位相角βを採用する第1モードにて発電機507を制御し、(VDL<VTH)という条件を満足しない場合には、その第1モードよりも発電効率が低くなる電流位相角β’を採用する第2モードにて発電機507を制御するようにする。このようにすれば、マイクロコンピュータ508bに懸かる負荷が非常に小さい、簡潔な制御を行えるようになる。例えば、SPMSMでは、β’≠0°の任意の値に固定することができる。IPMSMでは、例えば、β’=0°に固定することができる。
図11は、本実施形態のヒートポンプ応用機器500における可変速コンバータ508の電流位相角の設定原理を表す特性図である。直流電力ラインDL1,DL2の電圧VDLが280V(基準値)+20V=300V(閾値電圧VTH)未満の場合には、発電機507の電流位相角を発電効率が最大となる最適値βoptに設定する。電圧VDLが300V(閾値電圧VTH)以上となった場合には、その最適値βoptより電流位相角を大きく、または小さく設定する。すなわち、直流電力ラインDL1,DL2の電圧VDLが閾値電圧VTHを超えると、発電効率の低下および弱め界磁効果により、回転数を減少させなくとも電圧VDLが下がる。このようにして、可変速コンバータ508により発電機507および膨張機503の回転数を最適に制御しながら、直流電力ラインDL1,DL2の電圧VDLを閾値電圧VTH未満に収めることが可能となる。すなわち、可変速コンバータ508は、直流電力ラインDL1,DL2の電圧VDLを所定値(閾値電圧VTH)未満に抑制する電圧抑制手段として機能する。
なお、IPMSMの場合には、負のd軸電流を過剰に流しすぎると、減磁起磁力により磁石が不可逆減磁するおそれがあり、|Id|の最大値に対する注意が必要である。ただし、β=0°はマグネットトルクが最大になる条件なので、大幅な効率低下を期待できない可能性もある。したがって、不可逆減磁が生じない範囲内で|Id|が大きくなる方向(弱め界磁効果が高まる方向)に電流位相角βをずらす制御を実行することができる。
また、これまで説明した同様の制御を、インバータ506に実行させることも可能である。すなわち、インバータ506は、第2電圧検出センサ521によって直流電力ラインDL1,DL2の電圧VDLを検出し、その電圧値が所定の値を超えると、モータ505の電流位相角を最適値からずらし、駆動効率を低下させて直流電力ラインDL1,DL2の電圧VDLを低下させ、所定の範囲に収まるように制御を行う。
本実施形態におけるインバータ506の電流位相角の設定原理も図11と全く同じ設定でよい。つまり、直流電力ラインDL1,DL2の電圧VDLが280V(基準値)+20V=300V(閾値電圧VTH)未満の場合には、モータ505の電流位相角を駆動効率が最大となる最適値に設定する。電圧VDLが300V(閾値電圧VTH)以上となった場合には、その最適値より電流位相角を大きく、または小さく設定する。直流電力ラインDL1,DL2の電圧VDLが閾値電圧VTHを超えるとモータ505の駆動効率が低下する。駆動効率が低下すると、回転数を増大させなくとも消費電力が増加する。このようにすれば、インバータ506によりモータ505および圧縮機501の回転数を最適に制御しながら、直流電力ラインDL1,DL2の電圧VDLを閾値電圧VTH未満に収めることが可能となる。すなわち、インバータ506は、直流電力ラインDL1,DL2の電圧VDLを所定値(閾値電圧VTH)未満に抑制する電圧抑制手段として機能する。
もちろん、発電機507の発電効率を低下させる制御と、モータ505の駆動効率を低下させる制御とを並行して実行してもよい。そのようにすれば、直流電力ラインDL1,DL2の電圧VDLが急激に上昇した場合にも対応できるし、d軸電流を劇的に変化させなくても、直流電力ラインDL1,DL2の電圧VDLを低下させる効果を十分に得ることが可能となる。
(第2実施形態)
図12は、本発明による第2実施形態のヒートポンプ応用機器を示すブロック図である。第1実施形態と共通部分については、同符号を用いている。第2実施形態のヒートポンプ応用機器550の構成は、スイッチ513と負荷514との組を直流電力ラインDL1に並列に接続しているという点で第1実施形態のヒートポンプ応用機器500の構成と相違する。また、ヒートポンプ応用機器550は、スイッチ513のオンオフを制御する制御手段としてのマイクロコンピュータ519と、直流電力ラインDL1,DL2の電圧VDLを検出する第3電圧検出センサ522とを備えている。第3電圧検出センサ522による検出結果は、マイクロコンピュータ519に入力される。
スイッチ513は、トランジスタ等の半導体スイッチであってもよいし、リレー等の機械的なスイッチであってもよい。負荷514は、直流電力を消費できる抵抗負荷であれば、その種類は限定されないが、単純な抵抗とするのがコストの観点から望ましい。なお、これらスイッチ513および負荷514は、可変速コンバータ508側の直流電力ラインDL2に配置してもよい。
スイッチ513と負荷514とを直列に接続した組は、直流電力ラインDL1,DL2の電圧VDLが閾値電圧VTH以上になった場合に、直流電力ラインDL1,DL2に供給される電力の消費を開始して、直流電力ラインDL1,DL2の電圧VDLを所定値(閾値電圧VTH)未満に抑制する電圧抑制手段515として機能する。スイッチ513および負荷514は、以下のように動作する。
図13は、直流電力ラインDL1,DL2の電圧VDLの推移を表す特性図である。第3電圧検出センサ522によって検出される直流電力ラインDL1,DL2の電圧VDLが所定の制御開始電圧、例えば320V以上となった場合に、マイクロコンピュータ519はスイッチ513をオンする。これにより、直流電力ラインDL1,DL2から負荷514に電流が流れる。負荷514が電力を消費することにより、直流電力ラインDL1,DL2の電圧VDLが低下する。その後、直流電力ラインDL1,DL2の電圧VDLが所定の制御終了電圧、例えば310Vよりも低下すると、マイクロコンピュータ519はスイッチ513をオフする。このように、第3電圧検出センサ522、マイクロコンピュータ519、スイッチ513および負荷514によって、直流電力ラインDL1,DL2の電圧VDLを所定の範囲に収める制御が実行される。
このような制御を繰り返した後、ヒートポンプ応用機器550の運転状況が変化し、モータ505の消費電力Wmが回生電力Wgよりも大となれば、直流電力ラインDL1,DL2の電圧VDLは定常値に安定する。このようにして、直流電力ラインDL1,DL2の電圧過昇が回避され、ひいてはコンデンサ等の電気部品が破壊されない信頼性の高いヒートポンプ応用機器を実現できる。
なお、スイッチ513、負荷514、第3電圧検出センサ522およびマイクロコンピュータ519を、第1実施形態で説明した動力回収装置601の一部として構成するようにしてもよい。
また、負荷514は、蓄電作用を持ったコンデンサ等の蓄電器に置き換えることが可能である。すなわち、直流電力ラインDL1,DL2の電圧VDLが閾値電圧VTH以上になった場合に、スイッチ513をオンして蓄電器への蓄電を開始する。このような構成によっても、直流電力ラインDL1,DL2の電圧過昇を抑制することが可能である。
また、電流位相角βを制御することによって発電機507の発電効率やモータ505の駆動効率を低下させる制御(第1実施形態)を、本第2実施形態の制御と並行して実行してもよい。そうすれば、直流電力ラインDL1,DL2の電圧VDLが急激に上昇するケースにも迅速に対応できるようになる。
(第3実施形態)
図14は、本発明による第3実施形態のヒートポンプ応用機器を示すブロック図である。ヒートポンプ応用機器560は、膨張機503、発電機507および可変速コンバータ528を含む動力回収装置602を備えている。こうした点については第1実施形態と同様である。第1実施形態との相違点は、直流電力ラインDL1,DL2の電圧VDLが閾値電圧VTH以上となったときに、可変速コンバータ528およびインバータ526が実行する制御にある。
直流電力ラインDL1,DL2の電圧VDLが閾値電圧VTH以上となったとき、可変速コンバータ528は発電機507及び膨張機503の回転数を低減する制御を実行して、直流電力ラインDL1,DL2の電圧VDLを閾値電圧VTH未満に抑制する。同様に、インバータ526はモータ505および圧縮機501の回転数を増大する制御を実行して、直流電力ラインDL1,DL2の電圧VDLを閾値電圧VTH未満に抑制する。
図15は、直流電力ラインDL1,DL2の電圧VDLの推移を表す特性図である。通常状態においては、ヒートポンプ応用機器560の出力を所望の値にするとともに、冷凍サイクル効率を最大にするように、膨張機503および圧縮機501の回転数が最適値にて制御される。
他方、直流電力ラインDL1,DL2の電圧VDLが所定の制御開始電圧(閾値電圧VTH)、例えば320V以上になると、可変速コンバータ528は、発電機507および膨張機503の回転数を低減する制御を実行する。これにより、膨張機503による発電量が低下し、直流電力ラインDL1,DL2の電圧VDLが低下する。その後、直流電力ラインDL1,DL2の電圧VDLが所定の制御終了電圧、例えば310Vよりも低下すると、可変速コンバータ528は、発電機507および膨張機503の回転数を、冷凍サイクル効率が最大となるような所定の回転数に再び設定する。このような制御を繰り返した後、ヒートポンプ応用機器550の運転状況が変化し、モータ505の消費電力Wmが可変速コンバータ528からの回生電力Wgよりも大となれば、直流電力ラインDL1,DL2の電圧VDLは定常値に安定する。
第1実施形態で説明したように、発電機507の目標回転数は、放熱器の出口に配置された温度センサ516および圧力センサ517の出力に基づいて、冷凍サイクル効率が最大となるように、マイクロコンピュータ509が決定する。したがって、第1電圧検出センサ520の出力をマイクロコンピュータ509が取得できるようにし、直流電力ラインDL1,DL2の電圧VDLが過昇していないかどうかを、マイクロコンピュータ509に判断させるようにしてもよい。マイクロコンピュータ509は、直流電力ラインDL1,DL2の電圧VDLが閾値電圧VTH以上となった場合に、冷凍サイクル効率が最大になる目標回転数よりも低い回転数を設定する。そして、設定した回転数を可変速コンバータ528に渡す。もちろん、直流電力ラインDL1,DL2の電圧VDLが閾値電圧VTH以上かどうかを可変速コンバータ528で判断するようにしてもよい。この場合、可変速コンバータ528においては、マイクロコンピュータ509から渡される目標回転数よりも低い回転数で(式2)の演算を実行することとなる。
また、圧縮機506の回転数を変更するようにしてもよい。直流電力ラインDL1,DL2の電圧VDLが所定の制御開始電圧(閾値電圧VTH)、例えば320V以上となると、インバータ526は、モータ505および圧縮機501の回転数を増大する制御を実行する。これにより、モータ505の消費電力が増大し、直流電力ラインDL1,DL2の電圧VDLが低下する。その後、直流電力ラインDL1,DL2の電圧VDLが所定の制御終了電圧、例えば310Vよりも低下すると、インバータ526は、モータ505および圧縮機501の回転数を、冷凍サイクル効率が最大となるような所定の回転数に再び設定する。
上記のような制御により、直流電力ラインDL1,DL2の電圧過昇が回避され、ひいてはコンデンサ等の電気部品の破壊される恐れの小さい高信頼性のヒートポンプ応用機器を実現できる。なお、本実施形態では、発電機507の回転数を操作する構成で説明したが、可変速コンバータ528により発電機507に流れる電流値を操作する(例えば、電流値を増加する)構成でも同様の機能を実現できる。すなわち、本実施形態では回転数制御のループの中に電流制御のループを組み込んでいるが、その回転数制御のループをはずして、指令電流値を目標値として与えて制御を行う方法もある。この場合、膨張機503の回転数を制御するのではなく、トルク(=電流)を制御することとなる。このような制御であれば、同期モータ(同期発電機)の他にも誘導モータを好適に利用することができる。
最後に、本明細書で説明したいくつかの実施形態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で相互に組み合わせ可能であることを言及しておく。
以上のように、本発明のヒートポンプ応用機器は、構成部品の破壊がなく信頼性を高める効果を有し、冷暖房装置や給湯機などのヒートポンプ式冷凍装置などに有用である。
図1は、本発明による第1実施形態のヒートポンプ応用機器を示すブロック図である。 図2Aは、代表的なSPMSM(Surface Permanent Magnet Synchronous Motor)の断面模式図である。 図2Bは、代表的なIPMSM(Interior Permanent Magnet Synchronous Motor)の断面模式図である。 図3は、放熱器出口圧力、放熱器出口温度および冷凍サイクル効率の相互関係を説明する図である。 図4は、膨張機の回転数を決定する処理のフローチャートである。 図5は、可変速コンバータの詳細構成を示すブロック図である。 図6は、IPMSMにおける電流位相角とトルクとの関係を例示する特性図である。 図7Aは、3相交流座標と2相交流座標との関係を示す図である。 図7Bは、2相交流座標とd−q座標との関係を示す図である。 図8は、d−q座標上の電流位相角βを示す図である。 図9は、永久磁石型同期発電機の損失特性を表す特性図である。 図10は、電流位相角を決定する処理のフローチャートである。 図11は、電流位相角の設定原理を表す特性図である。 図12は、第2実施形態のヒートポンプ応用機器を示すブロック図である。 図13は、第2実施形態のヒートポンプ応用機器における直流電力ラインの電圧の推移を表す特性図である。 図14は、第3実施形態のヒートポンプ応用機器を示すブロック図である。 図15は、第3実施形態のヒートポンプ応用機器における直流電力ラインの電圧の推移を表す特性図である。 図16は、従来の蒸気圧縮式冷凍装置を示すブロック図である。 図17は、膨張機を用いた従来の冷凍空調装置を示すブロック図である。 図18は、膨張機を用いた従来の動力回収装置を示すブロック図である。

Claims (10)

  1. 冷媒を圧縮する圧縮機と、
    前記圧縮機を作動させるモータと、
    前記圧縮機により圧縮された前記冷媒を冷却する放熱器と、
    前記放熱器を通過した前記冷媒を膨張させる膨張機と、
    前記膨張機により膨張した前記冷媒を蒸発させる蒸発器と、
    前記膨張機に接続され、前記冷媒の膨張エネルギーで発電する発電機と、
    前記発電機が生成する交流電力を直流電力に変換して前記モータ側に回生出力する直流電力出力手段と、
    前記直流電力出力手段が電力を回生する直流電力ラインの電圧を所定値未満に抑制する電圧抑制手段とを備え、
    前記電圧抑制手段が、前記モータの駆動を制御するモータ制御手段に兼用されているヒートポンプ応用機器。
  2. 前記モータ制御手段は、前記直流電力ラインの電圧が前記所定値以上となった場合に、前記モータの駆動効率を低下させる制御を実行する、請求項1記載のヒートポンプ応用機器。
  3. 前記モータが永久磁石型同期モータであり、
    前記モータ制御手段が、前記永久磁石型同期モータの電流位相角を変更する制御を実行して、当該永久磁石型同期モータを高効率駆動状態から低効率駆動状態に変更するインバータである、請求項2記載のヒートポンプ応用機器。
  4. 前記電圧抑制手段が、前記発電機の駆動を制御する発電機制御手段に兼用されている、請求項1記載のヒートポンプ応用機器。
  5. 前記発電機制御手段は、前記直流電力ラインの電圧が前記所定値以上となった場合に、前記発電機の発電効率を低下させる制御を実行する、請求項4記載のヒートポンプ応用機器。
  6. 前記発電機が永久磁石型同期発電機であり、
    さらに、前記直流電力出力手段および前記発電機制御手段の両者を含む可変速コンバータを備え、
    前記可変速コンバータは、前記永久磁石型同期発電機が発電効率の高い高効率状態から発電効率の低い低効率状態に移るように、当該永久磁石型同期発電機の電流位相角を変更する制御を実行する、請求項5記載のヒートポンプ応用機器。
  7. 前記電圧抑制手段は、前記直流電力ラインの電圧が前記所定値以上になった場合に、前記直流電力ラインに供給される電力の蓄電または消費を開始する、請求項1記載のヒートポンプ応用機器。
  8. 前記電圧抑制手段は、負荷と、前記負荷への給電をオンオフするスイッチとから構成され、前記直流電力ラインの電圧が前記所定値以上になった場合に、前記スイッチをオンして前記負荷への給電を開始する、請求項7記載のヒートポンプ応用機器。
  9. 前記発電機制御手段は、前記直流電力ラインの電圧が前記所定値以上となった場合に、前記発電機の回転数を低減する制御を実行する、請求項4記載のヒートポンプ応用機器。
  10. 前記モータ制御手段は、前記直流電力ラインの電圧が前記所定値以上となった場合に、前記モータの回転数を増大する制御を実行する、請求項1記載のヒートポンプ応用機器。
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