JP4940881B2 - 冷凍サイクル装置 - Google Patents

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Description

本発明は、膨張機を備えた冷凍サイクル装置に関するものである。
近年、空気調和機における圧縮機などの電動機を駆動する装置においては、地球環境保護の観点から消費電力を低減する必要性が大きくなっている。その消費電力を低減する技術の一つとして、冷媒の膨張エネルギーによって駆動される膨張機から動力を回収し、圧縮機を駆動するための補助動力としてその回収した動力を利用する冷凍サイクル装置がある(例えば、特許文献1参照)。
図5に特許文献1の冷凍サイクル装置のシステム構成を示す。この冷凍サイクルは、冷媒を圧縮する圧縮機1と、冷媒を凝縮する凝縮機3と、冷媒を蒸発する蒸発機4と、凝縮器3と蒸発器4の間に設けられ冷媒の膨張エネルギーによって駆動される膨張機2の膨張タービン2aから構成されており、膨張タービン2aは動力軸2cを介して発電機2bと直結されている。交流電源11からの交流電力は第1コンバータ51で直流電力に変換され、この直流電力はインバータ16によって交流電力に変換され圧縮機1が駆動される。
一方、冷媒の膨張エネルギーによって駆動された膨張タービン2aは動力軸2cを介して発電機2bを駆動し、発電機2bから得られる交流電力が第2コンバータ52へ入力される。この第2コンバータ52では発電機2bから得られた交流電力を直流電力に変換され、この直流電力は圧縮機1を駆動するための補助動力として利用される。
しかしながら、特許文献1の構成では、膨張タービン2a(すなわち、動力軸2cを介して発電機2b)の回転数を制御する手段がないため、冷凍サイクルにおいて最適となるような回転数で膨張タービン2a(すなわち、動力軸2cを介して発電機2b)を動作させることが不可能であるという課題を有していた。
そこで、発電機2bの回転数を制御する手段が必要となるが、近年、地球環境保護の観点から発電機としては回転子に永久磁石を配した高効率な同期発電機が用いられており、その同期発電機の回転数を制御するためには、回転子の位置情報に基づいてPWM制御を行う可変速コンバータ(以下、PWMコンバータと記載)などが必要である。特に特許文献1に記載の冷凍サイクル装置の膨張機における発電機に適用する場合、回転子の磁極位置を検出するための位置センサを取り付けることが困難であるため、同期発電機の固定子巻線に生じる誘起電圧を推定することによって回転子の磁極位置を推定する方法が考案されている(例えば、非特許文献1参照)。
図6に非特許文献1に記載されている風力発電システムの構成を示す。埋込磁石同期発電機62(図面の記号はIPMSG)はギアを介して接続された風車61により駆動される。ここで、位置・速度推定部64では、電流検出器20a、20bからの検出電流iu、ivを推定位置θで座標変換したγ−δ軸電流と電圧指令値から内部に有する埋込磁石同期発電機62のモデルを用いて、埋込磁石同期発電機62の誘起電圧を推定することによって埋込磁石同期発電機62の回転子の位置・速度を推定する。埋込磁石同期発電機62の推定速度ωから最大電力追従制御部65によってトルク指令Tg*を導出し、トルク指令Tg*から最大効率制御部66によって埋込磁石同期発電機62の損失が最小となるような電流指令id*、iq*を導出する。埋込磁石同期発電機62に流れる電流は電圧指令作成部67で電流フィードバック制御され、PWMコンバータ63により駆動される。
特開昭61−29647号公報 平成14年電気学会全国大会講演論文集(第4分冊)、209〜210頁
しかしながら、非特許文献1に記載のシステム構成を、特許文献1に記載の冷凍サイクル装置に適用する場合、冷凍サイクルにおいて最適となる回転数で膨張タービン(すなわち、動力軸を介して発電機)の回転数を制御することが可能となるが、運転状態にある圧縮機が停止しても膨張エネルギーはすぐには消滅せず、膨張エネルギーが存在する間は膨張タービン(すなわち、動力軸を介して発電機)が駆動され続けてしまう。ここで、PWMコンバータを動作し続ける場合には、発電機の回転数は制御されながら電気エネルギーが取り出されるが、電気エネルギーの消費先である圧縮機が停止していると、取り出される電気エネルギーは蓄積され続けて、万が一、その蓄積された電気エネルギーがPWMコンバータなどの素子の許容値を超えた場合には素子が破壊される恐れがある。
また、圧縮機の停止とともにPWMコンバータの動作を停止させる場合には膨張タービンはフリーラン状態となり、冷凍サイクルに存在している膨張エネルギーに応じて駆動され続けてしまうため、万が一、その回転数が膨張タービンの許容値を超えた場合には膨張タービンが破壊される恐れがある。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、膨張機に備えられた発電機の回転子の磁極位置を推定することによって発電機の回転数を制御し、かつ停止を含めた信頼性の高い膨張機の駆動を実現するための冷凍サイクル装置を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の冷凍サイクル装置は、冷媒を圧縮する圧縮機と、冷媒を凝縮する凝縮機と、冷媒を蒸発する蒸発器と、凝縮器と蒸発器との間に設けられ冷媒の膨張エネルギーによって駆動される膨張機と、順変換器および逆変換器として動作できる電力変換器を含み、動力軸を介して膨張機と直結されている発電機の回転数を制御する発電機制御手段と、電力変換器の直流側の電圧値を検出する直流電圧検出手段と、冷媒の高圧側と低圧側とを短絡するバイパス回路と、バイパス回路を開閉する開閉手段とを備えた冷凍サイクル装置であって、圧縮機が停止した場合には、直ちに前記開閉手段を開状態にするとともに、圧縮機が停止した直後から所定時間が経過するまでの期間において、直流電圧検出手段によって検出された直流電圧値が所定値を超えるまでは発電機制御手段によって前記発電機の回転数を制御した状態を保ち、直流電圧値が所定値を超えた後は発電機制御手段によって発電機を拘束させるものである。
これによって、圧縮機が停止した際に、冷凍サイクルに存在している膨張エネルギーによって膨張機がフリーラン状態となることや、発電機制御手段による回生運転で得られる電気エネルギーが蓄積されて電力変換器などの素子が破壊されることを防止でき、さらに膨張エネルギーを速やかに減少させることで圧縮機や膨張機の再起動時における負荷を軽減することができる。
本発明の冷凍サイクル装置は、膨張機に備えられた発電機の回転子の磁極位置および速度を推定することによって発電機の回転数を制御し、かつ停止を含めた信頼性の高い膨張機の駆動を実現することができる。
第1の発明は、冷媒を圧縮する圧縮機と、冷媒を凝縮する凝縮機と、冷媒を蒸発する蒸発器と、凝縮器と蒸発器との間に設けられ冷媒の膨張エネルギーによって駆動される膨張機と、順変換器および逆変換器として動作できる電力変換器を含み、動力軸を介して膨張機と直結されている発電機の回転数を制御する発電機制御手段と、電力変換器の直流側の電圧値を検出する直流電圧検出手段と、冷媒の高圧側と低圧側とを短絡するバイパス回路と、バイパス回路を開閉する開閉手段とを備えた冷凍サイクル装置であって、圧縮機が停止した場合には、直ちに開閉手段を開状態にするとともに、圧縮機が停止した直後から所定時間が経過するまでの期間において、直流電圧検出手段によって検出された直流電圧値が所定値を超えるまでは発電機制御手段によって発電機の回転数を制御した状態を保ち、直流電圧値が所定値を超えた後は発電機制御手段によって発電機を拘束させるもので、前記直流電圧値が所定値を超える場合には、前記電力変換器の上側アームまたは下側アームのスイッチング素子をオンさせることで前記発電機を拘束させるので、圧縮機が停止した際に、冷凍サイクルに存在している膨張エネルギーによって膨張機がフリーラン状態となることや、発電機制御手段による回生運転で得られる電気エネルギーが蓄積されて電力変換器などの素子が破壊されることを防止でき、さらに膨張エネルギーを速やかに減少させることで圧縮機や膨張機の再起動時における負荷を軽減することができ、発電機に流れている相電流の方向に関係なく発電機の入力端子を短絡でき、確実に発電機を拘束させることができる。
第2の発明は、冷媒を圧縮する圧縮機と、冷媒を凝縮する凝縮機と、冷媒を蒸発する蒸発器と、前記凝縮器と前記蒸発器との間に設けられ冷媒の膨張エネルギーによって駆動される膨張機と、順変換器および逆変換器として動作できる電力変換器を含み、動力軸を介して前記膨張機と直結されている発電機の回転数を制御する発電機制御手段と、前記電力変換器の直流側の電圧値を検出する直流電圧検出手段と、冷媒の高圧側と低圧側とを短絡するバイパス回路と、前記バイパス回路を開閉する開閉手段とを備えた冷凍サイクル装置であって、前記圧縮機が停止した場合には、前記開閉手段を開状態にするとともに、前記圧縮機の停止からの所定期間において、前記直流電圧検出手段によって検出された直流電圧値が所定値を超えるまでは前記発電機制御手段によって前記発電機の回転数を制御した状態を保ち、前記直流電圧値が前記所定値を超えた後は前記発電機制御手段によって前記発電機を拘束させるもので、前記直流電圧値が所定値を超える場合には、前記発電機に所定の大きさの直流電流を流すことで前記発電機を拘束させるので、発電機に必要以上の電流が流れること無く、確実に発電機を拘束させることができる。
第3の発明は、特に第の発明の冷凍サイクル装置において、発電機に流す直流電流の大きさを経過する時間に対して段階的あるいは連続的に大きくするものであり、発電機に流す直流電流の変化を緩やかにすることで、発電機を拘束させる際に動力軸を介して直結されている膨張機の機構に与える物理的なストレスを軽減することができる。
の発明は、特に第またはの発明の冷凍サイクル装置のおいて、発電機に流す直流電流の大きさが発電機の減磁電流よりも小さくなるように予め設定された上限値を備えるものであり、膨張機を拘束させる際に確実に発電機の減磁を防ぐことができる。
の発明は、特に第1〜のいずれか1つの発明の冷凍サイクル装置において、発電機制御手段は、発電機の固定子巻線に流れる電流を検出する電流検出手段と、発電機に印加する印加電圧の値と電流検出手段によって検出された電流値とから発電機に発生する誘起電圧を推定する誘起電圧推定手段と、誘起電圧推定手段によって推定された誘起電圧値に基づいて発電機の回転子の磁極位置および速度を推定する位置速度推定手段とを備えるものであり、エンコーダやレゾルバといった回転子の磁極位置を検出する位置センサを取り付けることが不要のため、コスト低減と信頼性の向上を図ることができる。
の発明は、特に第1〜のいずれか1つの発明の冷凍サイクル装置において、圧縮機が運転している間は、発電機制御手段によって発電機を回生運転することで膨張機から動力を回収し、回収された動力を圧縮機を駆動するための補助動力として利用するものであり、圧縮機の動力を大幅に低減することで省エネルギー化を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1に本発明の実施の形態における冷凍サイクル装置のシステム構成を示す。この冷凍サイクルは、冷媒を圧縮する圧縮機1と、冷媒を凝縮する凝縮器3と、冷媒を蒸発する蒸発器4と、凝縮器3と蒸発器4の間に設けられ冷媒の膨張エネルギーによって駆動される膨張機2の膨張タービン2aと、冷媒の高圧側と低圧側とを短絡するバイパス回路5と、通常は閉状態にしているバイパス回路5を開閉させる開閉弁6から構成されており、膨張タービン2aは動力軸2cを介して発電機2bと直結されている。
交流電源11からの交流電力は、整流回路12で直流電力に変換された後、平滑コンデンサ13により平滑化される。この平滑化された直流電力は、直流電力を交流電力に変換するインバータ16と、運転指令部14から出力される圧縮機1の回転数指令値に基づいてインバータ16を駆動するためのドライブ信号を生成するインバータ制御部17とから構成される圧縮機制御装置15によって、圧縮機1を駆動するための交流電力に変換される。
冷媒の膨張エネルギーによって駆動された膨張タービン2aは、動力軸2cを介して発電機2bを駆動することで交流電力を発生する。発生した交流電力は、運転指令部14から出力される発電機2bの回転数指令値に基づく発電機制御装置18による回生運転によって直流電力に変換される。この直流電力は、圧縮機1を駆動するための補助動力として利用されるため、平滑コンデンサ13の両端に供給されている。
発電機制御装置18は、目標回転数(発電機2bの回転数指令値)と現在の速度ω(位置速度推定部24により推定された推定速度の現在値)との速度誤差と、電流検出器20a、20bおよび電流検出部21によって検出された発電機2bの相電流検出値(iu、iv、iw)と、位置速度推定部24によって推定された磁極位置θから発電機2bの印加電圧指令値(vu*、vv*、vw*)を演算する正弦波駆動部22と、電流検出値と電圧指令値(vu*、vv*、vw*)に基づいて、発電機2bの固定子巻線の各相に生じた誘起電圧を推定する誘起電圧推定部23と、誘起電圧推定部23によって推定された誘起電圧を用いて発電機2bにおける回転子の磁極位置および速度を推定する位置速度推定部24と、電圧指令値(vu*、vv*、vw*)を電力変換器19を駆動するためのドライブ信号に変換するPWM信号生成部25と、順変換器および逆変換器として動作できる電力変換器19とから構成され、発電機を指令通りに回転させる。
ここで、発電機制御装置18によって発電機2bの回転数を制御する場合、膨張エネルギーの大きさに応じて力行運転または回生運転が行われるため、どちらの運転モードでも発電機2bにおける回転子の磁極位置が推定できなければならない。以下では、発電機2bを力行運転する場合について発電機制御装置18の具体的な動作を説明した後で、回生運転する場合については力行運転する場合との相違点のみ説明する。
まず、正弦波駆動部22は、運転指令部14から与えられる発電機2bの回転数指令値ω*と推定速度ωとの速度誤差がゼロになるように、速度制御ゲイン(KPW:速度制御比例ゲイン、KIW:速度制御積分ゲイン)を用いて式(1)で表されるPI制御により電流指令値I*を演算する。
I*=KPW・(ω*−ω)+KIW・(ω*−ω) (1)
次に、正弦波駆動部22は、演算された電流指令値I*と電流指令位相βTとを用いて式(2)、式(3)の演算によりdq軸電流指令値(id*、iq*)を求める。
id*=−I*・sin(βT) (2)
iq*=I*・cos(βT) (3)
また、正弦波駆動部22では、固定子巻線の相電流指令値(iu*、iv*、iw*)が、dq軸電流指令値(id*、iq*)と現在の磁極位置θ(位置速度推定部24により推定された推定位置の現在値)を用いて式(4)〜式(6)の演算により2相−3相変換を行うことで求める。なお、2相−3相変換については公知のため、その説明は省略する。
iu*={√(2/3)}・{id*・cosθ}
−iq*・sinθ} (4)
iv*={√(2/3)}・{id*・cos(θ−120°)
−iq*・sin(θ−120°)} (5)
iw*={√(2/3)}・{id*・cos(θ+120°)
−iq*・sin(θ+120°)} (6)
正弦波駆動部22は、この相電流指令値(iu*、iv*、iw*)と、電流検出器20a,20bの出力信号を用いて電流検出部21により得られる相電流検出値(iu、iv、iw)との電流誤差がゼロとなるように、電流制御ゲイン(KPKn、KIKn、n=1、2、3(3相分))を用いて式(7)〜式(9)で表されるPI制御により電圧指令値(vu*、vv*、vw*)を演算する。
vu*=KPK1・(iu*−iu)+KIK1・Σ(iu*−iu) (7)
vv*=KPK2・(iv*−iv)+KIK2・Σ(iv*−iv) (8)
vw*=KPK3・(iw*−iw)+KIK3・Σ(iw*−iw) (9)
なお、相電流検出値(iu、iv、iw)を3相−2相変換してdq軸電流検出値(id、iq)を求め、dq軸電流指令値(id*、iq*)とdq軸電流検出値(id、iq)との電流誤差がゼロとなるようにPI制御することによりdq軸電圧指令値(vd*、vq*)を求めた後、dq軸電圧指令値(vd*、vq*)を2相−3相変換して相電圧指令値(vu*、vv*、vw*)を求めても良い。ここで、3相−2相変換についても2相−3相変換と同様に公知のため、その説明は省略する。
具体的には、dq軸電流指令値(id、iq)は式(10)、式(11)の演算により求められる。
id={√(2)}・{iu・sin(θ+60°)+iv・sinθ}
(10)
iq={√(2)}・{iu・cos(θ+60°)+iv・cosθ)}
(11)
また、dq軸電圧指令値(vd*、vq*)は、電流制御ゲイン(KPD:d軸電流比例ゲイン、KID:d軸電流積分ゲイン、KPQ:q軸電流比例ゲイン、KIQ:q軸電流積分ゲイン)を用いて式(12)、式(13)の演算により求められる。
vd*=KPD・(id*−id)+KID・Σ(id*−id) (12)
vq*=KPQ・(iq*−iq)+KIQ・Σ(iq*−iq) (13)
ここで、dq軸電圧指令値(vd*、vq*)を2相−3相変換することで相電圧指令値(vu*、vv*、vw*)が式(14)〜式(16)の演算により求められる。
vu*={√(2/3)}・{vd*・cosθ
−vq*・sinθ} (14)
vv*={√(2/3)}・{vd*・cos(θ−120°)
−vq*・sin(θ−120°)} (15)
vw*={√(2/3)}・{vd*・cos(θ+120°)
−vq*・sin(θ+120°)} (16)
次に、本発明の第1の実施の形態における発電機2bの誘起電圧の推定方法について説明する。各相の巻線に誘起される誘起電圧値(eu、ev、ew)は、相電流検出値(iu、iv、iw)と、相電圧指令値(vu*、vv*、vw*)を用いて式(17)〜式(19)の演算により求められる。
eu=vu*−R・iu−L・d(iu)/dt (17)
ev=vv*−R・iv−L・d(iv)/dt (18)
ew=vw*−R・iw−L・d(iw)/dt (19)
ここで、Rは発電機2bの巻線一相あたりの抵抗、Lはそのインダクタンスである。また、d(iu)/dt、d(iv)/dt、d(iw)/dtはそれぞれiu、iv、iwの時間微分であり、式(17)〜式(19)を展開すると次式を得る。
eu=vu*− R・iu
−(la+La)・d(iu)/dt
−Las・cos(2θ)・d(iu)/dt
−Las・iu・d{cos(2θ)}/dt
+0.5・La・d(iv)/dt
−Las・cos(2θ―120°)・d(iv)/dt
−Las・iv・d{cos(2θ―120°)}/dt
+0.5・La・d(iw)/dt
−Las・cos(2θ+120°)・d(iw)/dt
−Las・iw・d{cos(2θ+120°)}/dt (20)
ev=vv*−R・iv
−(la+La)・d(iv)/dt
−Las・cos(2θ+120°)・d(iv)/dt
−Las・iv・d{cos(2θ+120°)}/dt
+0.5・La・d(iw)/dt
−Las・cos(2θ)・d(iw)/dt
−Las・iw・d{cos(2θ)}/dt
+0.5・La・d(iu)/dt
−Las・cos(2θ―120°)・d(iu)/dt
−Las・iu・d{cos(2θ―120°)}/dt (21)
ew=vw*−R・iw
−(la+La)・d(iw)/dt
−Las・cos(2θ―120°)・d(iw)/dt
−Las・iw・d{cos(2θ−120°)}/dt
+0.5・La・d(iu)/dt
−Las・cos(2θ+120°)・d(iu)/dt
−Las・iu・d{cos(2θ+120°)}/dt
+0.5・La・d(iv)/dt
−Las・cos(2θ)・d(iv)/dt
−Las・iv・d{cos(2θ)}/dt (22)
ここで、Rは巻線一相あたりの抵抗、laは巻線一相あたりの漏れインダクタンス、Laは巻線一相あたりの有効インダクタンスの平均値、Lasは巻線一相あたりの有効インダクタンスの振幅である。また、d(iu)/dt、d(iv)/dt、d(iw)/dtは、1次オイラー近似で求められる。なお、u相電流iuは、v相電流ivとw相電流iwとの和の符号を変えたものとする。さらに、式(20)〜式(22)を簡略化すると、以下に示す式(23)〜式(25)を得る。ここでは、相電流検出値(iu、iv、iw)が正弦波であると仮定し、電流指令振幅I*と電流指令位相βTとから相電流検出値
(iu、iv、iw)を作成して簡略化した。本実施の形態において、誘起電圧推定部23では、式(23)〜式(25)により誘起電圧推定値(eu、ev、ew)が求められる。
eu=vu*+R・I*・sin(θ+βT)
+1.5・(la+La)・cos(θ+βT)
−1.5・Las・cos(θ―βT) (23)
ev=vv*+R・I*・sin(θ+βT−120°)
+1.5・(la+La)・cos(θ+βT−120°)
−1.5・Las・cos(θ―βT−120°) (24)
ew=vw*+R・I*・sin(θ+βT+120°)
+1.5・(la+La)・cos(θ+βT+120°)
−1.5・Las・cos(θ―βT+120°) (25)
次に、位置速度推定部24は、誘起電圧推定値(eu、ev、ew)を用いて発電機2bにおける回転子の磁極位置および速度を推定する。位置速度推定部24では、発電機制御装置18が認識している推定位置θを誘起電圧の誤差を用いて補正することにより、推定位置θが真値に収束させて求められる。また、そこから、推定速度ωが生成される。そこで、各相の誘起電圧基準値(eum、evm、ewm)が次式により求められる。ただし、誘起電圧振幅値emは、eu、ev、ewの振幅値と一致させることにより求められる。
eum=em・sin(θ+βT) (26)
evm=em・sin(θ+βT−120°) (27)
ewm=em・sin(θ+βT+120°) (28)
このようにして求められた誘起電圧基準値esm(s=u、v、w(sは相を表す))と誘起電圧推定値esとの偏差εが求められ、この偏差εが0になれば推定位置θが真値になるので、偏差εを0に収斂させるように、偏差εを用いたPI演算などを行って推定位置θが求められる。また、推定位置θの変動値を演算することにより、推定速度ωが求められる。
ε=es−esm (s=u、v、w) (29)
最後に、PWM信号生成部25は、正弦波駆動部22で導出された相電圧指令値(vu*、vv*、vw*)に基づいて電力変換器19を駆動するためのドライブ信号を出力する。このドライブ信号により電力変換器19が動作する。
なお、発電機2bに印加する電圧指令値(vu*、vv*、vw*)の位相を変化させることで、力行運転から回生運転への切り替えが可能であり、具体的には力行運転時の電流指令位相βTの代わりに(−βT)を用いることで、回生運転時でも発電機2bにおける磁極位置および速度を推定することができる。ただし、圧縮機制御装置15によって圧縮機1が駆動された後で、膨張エネルギーによって膨張タービン2aが駆動され始めると推定速度ωが大きくなっていくため、電流指令値I*が減少してその符号が逆転した時点で、力行運転から回生運転への切り替えが行われるため、そのタイミングに応じて電流指令位相βTの符号を変える必要がある。
以上の構成により、発電機制御装置18は、相電圧方程式に基づいたモデルにより導出された誘起電圧推定値と誘起電圧基準値との偏差εを用いて推定位置θを生成し、正弦波状の相電流を流すことで力行運転および回生運転ができる位置センサレス正弦波駆動を実現しており、エンコーダやレゾルバといった回転子の磁極位置を検出する位置センサを取り付けることが不要のため、コスト低減と信頼性の向上を図ることができる。
また、本発明の実施の形態における冷凍サイクル装置は、図1における運転指令部14から、圧縮機制御装置15への圧縮機回転数指令、開閉弁6への開閉弁開閉指令、および発電機制御装置18への発電機回転数指令、発電機拘束指令をそれぞれ出力するものである。
図2は、本発明の実施の形態における冷凍サイクル装置の圧縮機停止時の動作説明図である。図2に示すように、時刻T0にて圧縮機1が停止した場合(図2の(a)を参照)、直ちに開閉弁6を開状態として冷媒の膨張エネルギーをバイパス回路5で減少させる(図2の(b)を参照)とともに、圧縮機1が停止した直後から所定時間Tsが経過するまでの期間内(時刻T0〜T2)において、抵抗器26a、26bおよび直流電圧検出部27によって検出された直流電圧値が所定値Vsを超える時刻T1までは発電機制御装置18によって発電機2bの回転数を制御した状態に保ち、直流電圧値が所定値を超えた後(時刻T1〜T2)は発電機制御装置18によって発電機2bを拘束させる(図2の(c)〜(e)を参照)。これによって、圧縮機が停止した際に、冷凍サイクルに存在している膨張エネルギーによって膨張機がフリーラン状態となることや、発電機制御手段による回生運転で得られる電気エネルギーが蓄積されて電力変換器などの素子が破壊されることを防止でき、さらに膨張エネルギーを速やかに減少させることで圧縮機や膨張機の再起動時における負荷を軽減することができる。
次に、発電機2bを拘束させる具体的な方法について説明する。本発明の実施の形態における冷凍サイクル装置の発電機制御装置18では、図2において直流電圧値が所定値Vsを超える場合には、電力変換器19の上側アームまたは下側アームのスイッチング素子を一括オンさせることで発電機2bを拘束させる。
図3は電力変換器19の構成図である。図3に示すように、電力変換器19はスイッチング素子31a〜31fとダイオード32a〜32fから構成されている。図3では発電機2bの入力端子に流れる各相電流の方向を矢印で示してあり、上側アームのスイッチング素子31a、31c、31eを一括オンさせる場合には、スイッチング素子31a、31cおよびダイオード32eによって短絡回路が構成され、発電機2bに短絡電流が流れることで確実に発電機2bを拘束させることができる。なお、下側アームのスイッチング素子31b、31d、31fを一括オンさせても短絡回路が構成され、同様の効果が得られる。
さらに、本発明の実施の形態における冷凍サイクル装置の発電機制御装置18では、別の方法として、図4(a)〜(c)に示すように、発電機2bに所定の大きさの直流電流を流すことで発電機2bを拘束させても良い。この場合、発電機2bに必要以上の電流を流すことなく、確実に発電機を拘束させることができる。
ここで、図4は、本発明の実施の形態における冷凍サイクル装置の発電機拘束時の動作説明図であり、図4(a)では、直流電圧値が所定値Vsを超えた時刻T1から所定時間Tsが経過するまでの期間(時刻T1〜T2)において、発電機2bに一定の直流電流Is0を流し続けることで発電機2bを拘束させるものであり、例えば、固定子巻線の相電流指令値(iu*、iv*、iw*)を、iu*=Is、iv*=iw*=−Is/2と設定し、式(7)〜式(9)を用いて直流電流を流すのに必要な電圧指令値(vu*、vv*、vw*)を導出する。
また、図4(b)に示すように、直流電圧値が所定値Vsを超えた時刻T1から経過する時間に対して段階的に直流電流を大きくする場合には、発電機2bに流す直流電流の変化が緩やかになるため、発電機2bを拘束させる際に膨張機2の機構に与える物理的なストレスを軽減することができる。なお、図4(b)は直流電流値をIs1(時刻T1〜T
a)→Is2(時刻Ta〜Tb)→Is3(時刻Tb〜T2)と3段階としているが、さらに段数を増やしても良いことは言うまでもない。
また、図4(c)に示すように、直流電圧値が所定値Vsを超えた時刻T1から経過する時間に対して連続的に直流電流を大きくする場合には、発電機2bに流す直流電流の変化がさらに緩やかになるため、発電機2bを拘束させる際に膨張機2の機構に与える物理的なストレスを図4(b)の場合よりもさらに軽減することができる。なお、図4(c)は、直流電流値をIs4(時刻T1)→Is5(時刻Tc)と一次関数的に変化させているが、特に限定しているわけでなく一次関数以外の形態を取っても良いことは言うまでもない。
なお、図4(a)〜(c)に示すように、発電機2bに流す直流電流の大きさは、発電機2bの減磁電流よりも小さくなるように予め設定された上限値を備えるものであり、これによって、発電機2bを拘束させる際に確実に発電機2bの減磁を防ぐことができる。
さらに、圧縮機制御装置15によって圧縮機1が運転している間は、発電機制御装置18によって発電機2bを回生運転することで膨張機2から動力を回収し、回収された動力を圧縮機1を駆動するための補助動力として利用することで圧縮機1の動力を大幅に低減し、省エネルギー化を図ることができる。
なお、図1では発電機2bの電流を検出する2つの電流検出器20a、20bを備え、回転子の磁極位置および速度の推定に使用しているが、電力変換器19の直流電流(電力変換器19と平滑コンデンサ13との配線に流れる電流)から発電機2bの電流を検出するなどの手段を用いても良い。
また、図1では運転指令部14から与えられた発電機2bの回転数指令値に対して、発電機2bの回転数が追従するように回転数制御が行われているが、発電機2bのトルクを制御するなどの形態を取っても良い。
さらに、図1では膨張機タービン2aの入出力側の冷媒を短絡するようにバイパス回路5を設けているが、特に限定しているわけでなく、冷媒の高圧側と低圧側とが短絡できれば良いため、圧縮機1の入出力側の冷媒を短絡するなどの形態を取っても良い。
以上のように、本発明にかかる冷凍サイクル装置は、膨張機に備えられた発電機の回転子の磁極位置を推定することによって発電機の回転数を制御し、かつ停止を含めた信頼性の高い膨張機の駆動を実現することができるため、炭酸ガス冷媒のヒートポンプ式給湯器等の製品にも応用することができる。
本発明の実施の形態における冷凍サイクル装置のシステム構成図 本発明の実施の形態における冷凍サイクル装置の圧縮機停止時の動作説明図 本発明の実施の形態における冷凍サイクル装置の電力変換器の構成図 本発明の実施の形態における冷凍サイクル装置の発電機拘束時の動作説明図 従来の冷凍サイクル装置のシステム構成図 従来の風力発電システムのシステム構成図
符号の説明
1 圧縮機
2 膨張機
2a 膨張タービン
2b 発電機
2c 動力軸
2d 発電機
3 凝縮器
4 蒸発器
5 バイパス回路
6 開閉弁
11 交流電源
12 整流回路
13 平滑コンデンサ
14 運転指令部
15 圧縮機制御装置
16 インバータ
17 インバータ制御部
18 発電機制御装置
19 電力変換器
20a、20b 電流検出器
21 電流検出部
22 正弦波駆動部
23 誘起電圧推定部
24 位置速度推定部
25 PWM信号生成部
26a、26b 抵抗器
27 直流電圧検出部
31a〜31f スイッチング素子
32a〜32f ダイオード
51 第1コンバータ
52 第2コンバータ
61 風車
62 埋込磁石同期発電機(IPMSG)
63 PWMコンバータ
64 位置・速度推定部
65 最大電力追従制御部
66 最大効率制御部
67 電圧指令作成部

Claims (6)

  1. 冷媒を圧縮する圧縮機と、冷媒を凝縮する凝縮機と、冷媒を蒸発する蒸発器と、前記凝縮器と前記蒸発器との間に設けられ冷媒の膨張エネルギーによって駆動される膨張機と、順変換器および逆変換器として動作できる電力変換器を含み、動力軸を介して前記膨張機と直結されている発電機の回転数を制御する発電機制御手段と、前記電力変換器の直流側の電圧値を検出する直流電圧検出手段と、冷媒の高圧側と低圧側とを短絡するバイパス回路と、前記バイパス回路を開閉する開閉手段とを備えた冷凍サイクル装置であって、前記圧縮機が停止した場合には、前記開閉手段を開状態にするとともに、前記圧縮機の停止からの所定期間において、前記直流電圧検出手段によって検出された直流電圧値が所定値を超えるまでは前記発電機制御手段によって前記発電機の回転数を制御した状態を保ち、前記直流電圧値が前記所定値を超えた後は前記発電機制御手段によって前記発電機を拘束させるもので、前記直流電圧値が所定値を超える場合には、前記電力変換器の上側アームまたは下側アームのスイッチング素子をオンさせることで前記発電機を拘束させることを特徴とする冷凍サイクル装置。
  2. 冷媒を圧縮する圧縮機と、冷媒を凝縮する凝縮機と、冷媒を蒸発する蒸発器と、前記凝縮器と前記蒸発器との間に設けられ冷媒の膨張エネルギーによって駆動される膨張機と、順変換器および逆変換器として動作できる電力変換器を含み、動力軸を介して前記膨張機と直結されている発電機の回転数を制御する発電機制御手段と、前記電力変換器の直流側の電圧値を検出する直流電圧検出手段と、冷媒の高圧側と低圧側とを短絡するバイパス回路と、前記バイパス回路を開閉する開閉手段とを備えた冷凍サイクル装置であって、前記圧縮機が停止した場合には、前記開閉手段を開状態にするとともに、前記圧縮機の停止からの所定期間において、前記直流電圧検出手段によって検出された直流電圧値が所定値を超えるまでは前記発電機制御手段によって前記発電機の回転数を制御した状態を保ち、前記直流電圧値が前記所定値を超えた後は前記発電機制御手段によって前記発電機を拘束させるもので、前記直流電圧値が所定値を超える場合には、前記発電機に所定の大きさの直流電流を流すことで前記発電機を拘束させることを特徴とする冷凍サイクル装置。
  3. 時間の経過に伴って、前記発電機に流す直流電流の大きさを大きくすることを特徴とする請求項に記載の冷凍サイクル装置。
  4. 前記発電機に流す直流電流の大きさが前記発電機の減磁電流よりも小さくなるように予め設定された上限値を有することを特徴とする請求項2または3に記載の冷凍サイクル装置。
  5. 前記発電機制御手段は、前記発電機の固定子巻線に流れる電流を検出する電流検出手段と、前記発電機に印加する印加電圧の値と前記電流検出手段によって検出された電流値とから前記発電機に発生する誘起電圧を推定する誘起電圧推定手段と、前記誘起電圧推定手段によって推定された誘起電圧値に基づいて前記発電機の回転子の磁極位置および速度を推定する位置速度推定手段とを備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
  6. 前記圧縮機が運転している間は、前記発電機制御手段によって前記発電機を回生運転することで前記膨張機から動力を回収し、回収された動力を前記圧縮機を駆動するための補助動力として利用することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
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