JP2008106989A - 冷凍サイクル装置 - Google Patents

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Mitsuo Kawachi
光夫 河地
Yoshiro Tsuchiyama
吉朗 土山
泉 ▲吉▼田
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Abstract

【課題】発電機がフリーラン状態となるような場合でも、安全にシステムを停止することができる冷凍サイクル装置を提供する。
【解決手段】膨張機、バイパス回路、開閉弁を備えた冷凍サイクル装置は、膨張機に備えられた発電機の回転子の磁極位置、回転速度を推定する位置速度推定部、発電機の運転状態を判定する異常判定部、順変換器又は逆変換器として動作する電力変換器を含む発電機制御装置と、圧縮機駆動用の電動機の回転速度を制御する電動機制御装置と、電力変換器の直流側の電圧を検出する直流電圧検出部とを備え、圧縮機の運転中に発電機制御装置から発電機への通電を停止した場合、開閉弁を開け、電動機制御装置から電動機への通電を停止し、その通電停止からの所定期間に直流電圧検出部で検出された直流電圧値が所定値を超えると、電動機制御装置によって電動機を回転させずに電動機で電力を消費させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、膨張機を備えた冷凍サイクル装置に関するものである。
近年、空気調和機における圧縮機などの電動機を駆動する装置においては、地球環境保護の観点から消費電力を低減する必要性が大きくなっている。その消費電力を低減する技術の一つとして、冷媒の膨張エネルギーによって駆動される膨張機から動力を回収し、圧縮機を駆動するための補助動力としてその回収した動力を利用する冷凍サイクル装置がある(例えば、特許文献1参照)。
図5に特許文献1の冷凍サイクル装置のシステム構成を示す。この冷凍サイクルは、冷媒を圧縮する圧縮機1と、冷媒を凝縮する凝縮機3と、冷媒を蒸発する蒸発機4と、凝縮器3と蒸発器4の間に設けられ冷媒の膨張エネルギーによって駆動される膨張機2の膨張タービン2aから構成されており、膨張タービン2aは動力軸2cを介して発電機2bと直結されている。交流電源11からの交流電力は第1コンバータ51で直流電力に変換され、この直流電力はインバータ16によって交流電力に変換され圧縮機1が駆動される。
一方、冷媒の膨張エネルギーによって駆動された膨張タービン2aは動力軸2cを介して発電機2bを駆動し、発電機2bから得られる交流電力が第2コンバータ52へ入力される。この第2コンバータ52では発電機2bから得られた交流電力を直流電力に変換され、この直流電力は圧縮機1を駆動するための補助動力として利用される。
しかしながら、特許文献1の構成では、膨張タービン2a(すなわち、動力軸2cを介して発電機2b)の回転速度を制御する手段がないため、冷凍サイクルにおいて最適となるような回転速度で膨張タービン2a(すなわち、動力軸2cを介して発電機2b)を動作させることが不可能であるという課題を有していた。
そこで、発電機2bの回転速度を制御する手段が必要となるが、近年、地球環境保護の観点から発電機としては回転子に永久磁石を配した高効率な同期発電機が用いられており、その同期発電機の回転速度を制御するためには、回転子の位置情報に基づいてPWM制御を行う可変速コンバータ(以下、PWMコンバータと記載)などが必要である。
特に特許文献1に記載の冷凍サイクル装置の膨張機における発電機に適用する場合、回転子の磁極位置を検出するための位置センサを取り付けることが困難であるため、同期発電機の固定子巻線に生じる誘起電圧を推定することによって回転子の磁極位置を推定する方法が考案されている(例えば、非特許文献1参照)。
図6に非特許文献1に記載されている風力発電システムの構成を示す。埋込磁石同期発電機62(図面の記号はIPMSG)はギアを介して接続された風車61により駆動される。ここで、位置・速度推定部64では、電流検出器20a、20bからの検出電流iu、ivを推定位置θで座標変換したγ−δ軸電流と電圧指令値から内部に有する埋込磁石同期発電機62のモデルを用いて、埋込磁石同期発電機62の誘起電圧を推定することによって埋込磁石同期発電機62の回転子の位置・速度を推定する。
埋込磁石同期発電機62の推定速度ωから最大電力追従制御部65によってトルク指令Tg*を導出し、トルク指令Tg*から最大効率制御部66によって埋込磁石同期発電機62の損失が最小となるような電流指令id*、iq*を導出する。
埋込磁石同期発電機62に流れる電流は電圧指令作成部67で電流フィードバック制御され、埋込磁石型同期発電機62に印加するための電圧指令値vd*、vq*が作成される。その電圧指令値vd*、vq*を推定位置θで座標変換した3相電圧指令値vu*〜vw*に基づいてPWMコンバータ63を動作させる。
特開昭61−29647号公報 平成14年電気学会全国大会講演論文集(第4分冊)、209〜210頁
しかしながら、非特許文献1に記載のシステム構成を、特許文献1に記載の冷凍サイクル装置に適用すると、図7(a)に示すような各スイッチング素子71a〜71fとダイオード72a〜72fから構成される一般的なPWMコンバータを動作させることによって、冷凍サイクルにおいて最適となる回転速度で膨張タービン(すなわち、動力軸を介して発電機)の回転速度を制御することが可能となるが、圧縮機が運転中にPWMコンバータがその動作を停止する場合には、膨張タービンがフリーラン状態となってしまう。
ここで、圧縮機が運転中にPWMコンバータが緊急停止する場合には、PWMコンバータに与えられる直流電圧値と発電機の特性によりフリーラン状態にある膨張タービンの回転速度が決定される。
具体的には、図8に示すフリーラン状態における発電機の回転速度−電圧特性図を用いて説明すると、PWMコンバータが緊急停止する場合、図7(a)に示すPWMコンバータは、見掛け上、図7(b)に示すようなダイオードブリッジとなり、発電機が発生する誘起電圧値が直流電圧値V1よりも高い場合には、発電機からダイオードブリッジを介して電気エネルギーが取り出されることで発電機が減速し、逆の場合には発電機が加速するため、発電機は誘起電圧値と直流電圧値V1とがほぼ等しくなる回転速度N1で動作することになる。
特に、PWMコンバータに与えられる直流電圧値がV1からV2と高くなる場合には、フリーラン状態で動作される膨張タービンの回転速度がN1からN2と高くなるため、万が一、その回転速度が膨張タービンの許容値を超える場合には膨張タービンが破壊される恐れがある。
さらに、この状態で圧縮機を停止させる場合には、発電機から取り出される電気エネルギーの消費先が無くなるため、取り出される電気エネルギーは蓄積され続けて、万が一、その蓄積された電気エネルギーがPWMコンバータなどの素子の許容値を超えた場合には素子が破壊される恐れがある。
本発明は、従来の課題を解決するもので、膨張機に備えられた発電機の回転子の磁極位置および回転速度を推定することによって発電機の回転速度を制御し、かつ異常による緊急時も含めて発電機制御装置から発電機への通電を停止して発電機がフリーラン状態となるような場合でも、安全にシステムを停止することができる冷凍サイクル装置を提供することを目的とする。
従来の課題を解決するために、本発明の冷凍サイクル装置は、冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮された冷媒を凝縮する凝縮機と、凝縮された冷媒により駆動される膨張機と、前記膨張機からの冷媒を蒸発させ前記圧縮機に提供する蒸発器と、前記膨張機と接続される発
電機と、前記圧縮機を駆動する電動機と、変換器および逆変換器として動作する電力変換器を有し前記発電機を制御する発電機制御手段と、前記圧縮機の運転中における前記発電機への通電停止時に、前記電動機を停止させる電動機制御手段と、前記電力変換器の直流電圧値を検出する直流電圧検出手段と、前記圧縮機の運転中における前記発電機への通電停止時に、冷媒の高圧側と低圧側とを短絡する開閉手段と、前記発電機への通電停止からの所定期間において、前記直流電圧値が所定値を超える場合、前記電動機を回転させることなく前記電動機に電力を消費させる電動機制御手段とを備えたものである。
本発明の冷凍サイクル装置は、膨張機に備えられた発電機の回転子の磁極位置および回転速度を推定することによって発電機の回転速度を制御し、かつ異常による緊急時も含めて発電機制御装置から発電機への通電を停止して発電機がフリーラン状態となるような場合でも、安全にシステムを停止することができる冷凍サイクル装置を実現することができる。
第1の発明は、冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮された冷媒を凝縮する凝縮機と、凝縮された冷媒により駆動される膨張機と、膨張機からの冷媒を蒸発させ圧縮機に提供する蒸発器と、膨張機と接続される発電機と、圧縮機を駆動する電動機と、変換器および逆変換器として動作する電力変換器を有し発電機を制御する発電機制御手段と、圧縮機の運転中における発電機への通電停止時に、電動機を停止させる電動機制御手段と、電力変換器の直流電圧値を検出する直流電圧検出手段と、圧縮機の運転中における発電機への通電停止時に、冷媒の高圧側と低圧側とを短絡する開閉手段と、発電機への通電停止からの所定期間において、直流電圧値が所定値を超える場合、電動機を回転させることなく電動機に電力を消費させる電動機制御手段とを備えるものである。
これにより、圧縮機が運転中に、異常による緊急時も含めて発電機制御手段から発電機への通電を停止した際に、冷凍サイクルに存在している膨張エネルギーを速やかに減少させることでフリーラン状態となる膨張機の回転速度が増大することを抑制する。
また、発電機から取り出される電気エネルギーが蓄積されて電力変換器などの素子が破壊されることを確実に防止でき、さらには圧縮機や膨張機の再起動時における負荷を軽減することができる。
第2の発明は、第1の発明において、直流電圧値が所定値を超える場合には、電動機に所定の電流を流すものであり、電動機に必要以上の電流が流れること無く、確実に電動機を回転させることなく電動機で電力を消費させることができる。
第3の発明は、第2の発明において、時間の経過に伴い段階的または連続的に、電動機に流す電流の大きさを大きくするものであり、電動機に流す電流の大きさの時間変化を緩やかにすることで、電動機を回転させることなく電動機で電力を消費させる際に圧縮機の機構に与える物理的なストレスを軽減することができる。
第4の発明は、第2または第3の発明において、電動機の減磁電流よりも小さくなるように、電動機に流す電流の大きさが上限値を有するものであり、電動機を回転させることなく電動機で電力を消費させる際に確実に電動機の減磁を防ぐことができる。
第5の発明は、第1から第4のいずれか1つの発明において、発電機制御手段は、発電機の固定子巻線に流れる電流を検出する電流検出手段と、発電機への印加電圧の値と電流検出手段によって検出された電流値とから発電機に発生する誘起電圧を推定する誘起電圧
推定手段と、誘起電圧推定手段によって推定された誘起電圧値に基づいて発電機の回転子の磁極位置および回転速度を推定する位置速度推定手段と、位置速度推定手段によって推定された回転速度、電流値、誘起電圧値の少なくともいずれか1つに基づいて発電機の運転状態が異常か否かを判定する異常判定手段とを備えるものである。
これにより、エンコーダやレゾルバといった回転子の磁極位置を検出する位置センサを取り付けることが不要のため、コスト低減と信頼性の向上を図ることができる。
第6の発明は、第5の発明において、異常判定手段は、所定時間継続して所定の回転速度における誘起電圧値が所定値以下となる場合に、発電機の運転状態が異常であると判定するものであり、誘起電圧値が微小になることによって回転子の磁極位置の推定異常が発生して脱調した場合に、そのことを判定して速やかに異常処理を行うことができるため、信頼性の高い発電機の駆動を実現することができる。
第7の発明は、第5の発明において、異常判定手段は、所定の回転速度における誘起電圧値が回転速度に対して1次関数を用いて設定された誘起電圧範囲を超える場合に、発電機の運転状態が異常であると判定するものであり、あらゆる回転速度において回転子の磁極位置の推定異常が発生して脱調した場合に、そのことを判定して速やかに異常処理を行うことができるため、信頼性の高い発電機の駆動を実現することができる。
第8の発明は、第5の発明において、異常判定手段は、位置速度推定手段によって推定された回転速度が予め設定された回転速度範囲を超える場合に、発電機の運転状態が異常であると判定するものであり、回転子の回転速度の推定異常が発生した場合に、そのことを判定して速やかに異常処理を行うことができるため、信頼性の高い発電機の駆動を実現することができる。
第9の発明は、第5の発明において、異常判定手段は、電流値の大きさが予め設定された電流範囲を超える場合に、発電機の運転状態が異常であると判定するものであり、発電機に必要以上の電流が流れる場合に、そのことを判定して速やかに異常処理を行うことができるため、信頼性の高い発電機の駆動を実現することができる。
第10の発明は、第5の発明において、異常判定手段は、所定時間継続して電流値の大きさが所定値以下となる場合に、発電機の運転状態が異常であると判定するものであり、発電機が欠相した場合に、そのことを判定して速やかに異常処理を行うことができるため、信頼性の高い発電機の駆動を実現することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1に本発明の実施の形態における冷凍サイクル装置のシステム構成図を示す。この冷凍サイクル装置は、冷媒を圧縮する圧縮機1と、冷媒を凝縮する凝縮器3と、冷媒を蒸発する蒸発器4と、凝縮器3と蒸発器4の間に設けられ冷媒の膨張エネルギーによって駆動される膨張機2の膨張タービン2aと、冷媒の高圧側と低圧側とを短絡するバイパス回路5と、通常は閉状態にしているバイパス回路5を開閉させる開閉弁6から構成されており、膨張タービン2aは動力軸2cを介して発電機2bと直結されている。
また、交流電源11からの交流電力は整流回路12で直流電力に変換され、平滑コンデンサ13で電圧が平滑された後、直流電力を所望の周波数の交流電力に変換するインバータ16に供給される。
圧縮機1を駆動するための電動機は、運転指令部14からの回転速度指令に基づいて、インバータ16と、インバータ16を動作させるためのドライブ信号を生成するインバータ制御部17とから構成される電動機制御装置15によって回転速度が制御される。
一方、冷媒の膨張エネルギーによって駆動された膨張タービン2aは動力軸2cを介して発電機2bを駆動することで交流電力が発生する。発生した交流電力は、運転指令部14からの発電機2bの回転速度指令に基づいて発電機制御装置18によって回生運転が行われて直流電力に変換される。この直流電力は圧縮機1を駆動するための補助動力として利用されるため、平滑コンデンサ13の両端に配線されている。
さらに、発電機制御装置18では、指令通りの回転速度を満足するため、目標回転速度(発電機2bの回転数指令)と回転速度推定値ω(位置速度推定部24により推定された回転速度)との速度誤差と、電流検出器20a、20bおよび電流検出部21によって検出された発電機2bの相電流検出値(iu、iv、iw)と、磁極位置推定値θ(位置速度推定部24によって推定された磁極位置)から発電機2bの相電圧指令値(vu*、vv*、vw*)を演算する正弦波駆動部22と、相電流検出値(iu、iv、iw)と相電圧指令値(vu*、vv*、vw*)に基づいて、発電機2bの固定子巻線の各相に生じた誘起電圧値を推定する誘起電圧推定部23と、誘起電圧推定部23によって推定された誘起電圧値を用いて発電機2bにおける回転子の磁極位置および回転速度を推定する位置速度推定部24と、相電圧指令値(vu*、vv*、vw*)に基づいて電力変換器19を動作させるためのドライブ信号を生成するPWM信号生成部25と、順変換器および逆変換器として動作できる電力変換器19と、位置速度推定部25によって推定された回転速度ω、相電流検出値(iu、iv、iw)、誘起電圧推定部23によって推定された誘起電圧値の少なくともいずれか1つに基づいて発電機2bの運転状態が異常か否かを判定する異常判定部28から構成されている。
ここで、発電機制御装置18によって発電機2bの回転速度を制御する場合、膨張エネルギーの大きさに応じて力行運転または回生運転が行われるため、どちらの運転モードでも発電機2bにおける回転子の磁極位置および回転速度が推定できなければならない。以下では、発電機2bを力行運転する場合について発電機制御装置18の具体的な動作を説明した後で、回生運転する場合については力行運転する場合との相違点のみ説明する。
まず、正弦波駆動部22では、運転指令部14から与えられる発電機2bの回転速度指令ω*と回転速度推定値ωとの速度誤差がゼロになるように、速度制御ゲイン(KPW:速度制御比例ゲイン、KIW:速度制御積分ゲイン)を用いて式(1)で表されるPI制御により電流指令値I*を演算する。
I*=KPW・(ω*−ω)+KIW・Σ(ω*−ω) (1)
次に、演算された電流指令値I*と、0〜90[deg](0〜π/2[rad])の範囲の予め設定された電流指令位相βT(例えば、実験などによって導出した力行運転時の発電機2bを含む発電機制御装置18の運転効率が最適となるような値を設定する)とを用いて式(2)、式(3)の演算によりdq軸電流指令値(id*、iq*)を求める。
id*=−I*・sin(βT) (2)
iq*=I*・cos(βT) (3)
また、固定子巻線の相電流指令値(iu*、iv*、iw*)は、dq軸電流指令値(id*、iq*)と磁極位置推定値θを用いて式(4)〜式(6)の演算により2相−3相変換を行うことで求める。なお、2相−3相変換については公知のため、その説明は省
略する。
iu*={√(2/3)}・{id*・cosθ}
−iq*・sinθ} (4)
iv*={√(2/3)}・{id*・cos(θ−2π/3)
−iq*・sin(θ−2π/3)} (5)
iw*={√(2/3)}・{id*・cos(θ+2π/3)
−iq*・sin(θ+2π/3)} (6)
そこで、相電流指令値(iu*、iv*、iw*)と電流検出器20a,20bおよび電流検出部21から得られる相電流検出値(iu、iv、iw)との電流誤差がゼロとなるように、電流制御ゲイン(KPKn:比例ゲイン、KIKn:積分ゲイン、n=1、2、3(3相分))を用いて式(7)〜式(9)で表されるPI制御により相電圧指令値(vu*、vv*、vw*)を演算する。
vu*=KPK1・(iu*−iu)+KIK1・Σ(iu*−iu) (7)
vv*=KPK2・(iv*−iv)+KIK2・Σ(iv*−iv) (8)
vw*=KPK3・(iw*−iw)+KIK3・Σ(iw*−iw) (9)
なお、相電流検出値(iu、iv、iw)を3相−2相変換してdq軸電流検出値(id、iq)を求め、dq軸電流指令値(id*、iq*)とdq軸電流検出値(id、iq)との電流誤差がゼロとなるようにPI制御によりdq軸電圧指令値(vd*、vq*)を求めてから、dq軸電圧指令値(vd*、vq*)を2相−3相変換して相電圧指令値(vu*、vv*、vw*)を求めても良い。ここで、3相−2相変換についても2相−3相変換と同様に公知のため、その説明は省略する。
具体的には、dq軸電流検出値(id、iq)は式(10)、式(11)の演算により求められる。
id={√(2)}・{iu・sin(θ+π/3)+iv・sinθ} (10)
iq={√(2)}・{iu・cos(θ+π/3)+iv・cosθ} (11)
また、dq軸電圧指令値(vd*、vq*)は電流制御ゲイン(KPD:d軸電流比例ゲイン、KID:d軸電流積分ゲイン、KPQ:q軸電流比例ゲイン、KIQ:q軸電流積分ゲイン)を用いて式(12)、式(13)の演算により求められる。
vd*=KPD・(id*−id)+KID・Σ(id*−id) (12)
vq*=KPQ・(iq*−iq)+KIQ・Σ(iq*−iq) (13)
そこで、dq軸電圧指令値(vd*、vq*)を2相−3相変換することで相電圧指令値(vu*、vv*、vw*)は式(14)〜式(16)の演算により求められる。
vu*={√(2/3)}・{vd*・cosθ
−vq*・sinθ} (14)
vv*={√(2/3)}・{vd*・cos(θ−2π/3)
−vq*・sin(θ−2π/3)} (15)
vw*={√(2/3)}・{vd*・cos(θ+2π/3)
−vq*・sin(θ+2π/3)} (16)
次に、本発明の実施の形態における発電機2bの誘起電圧の推定方法について説明する。各相の巻線に誘起される誘起電圧値(eu、ev、ew)は、相電流検出値(iu、iv、iw)と、相電圧指令値(vu*、vv*、vw*)を用いて式(17)〜式(19)の演算により求められる。
eu=vu*−R・iu−L・d(iu)/dt (17)
ev=vv*−R・iv−L・d(iv)/dt (18)
ew=vw*−R・iw−L・d(iw)/dt (19)
ここで、Rは発電機2bの巻線一相あたりの抵抗、Lはそのインダクタンスである。また、d(iu)/dt、d(iv)/dt、d(iw)/dtはそれぞれiu、iv、iwの時間微分であり、式(17)〜式(19)を展開すると次式を得る。
eu=vu*− R・iu
−(la+La)・d(iu)/dt
−Las・cos(2θ)・d(iu)/dt
−Las・iu・d{cos(2θ)}/dt
+0.5・La・d(iv)/dt
−Las・cos(2θ―2π/3)・d(iv)/dt
−Las・iv・d{cos(2θ―2π/3)}/dt
+0.5・La・d(iw)/dt
−Las・cos(2θ+2π/3)・d(iw)/dt
−Las・iw・d{cos(2θ+2π/3)}/dt (20)
ev=vv*−R・iv
−(la+La)・d(iv)/dt
−Las・cos(2θ+2π/3)・d(iv)/dt
−Las・iv・d{cos(2θ+2π/3)}/dt
+0.5・La・d(iw)/dt
−Las・cos(2θ)・d(iw)/dt
−Las・iw・d{cos(2θ)}/dt
+0.5・La・d(iu)/dt
−Las・cos(2θ―2π/3)・d(iu)/dt
−Las・iu・d{cos(2θ―2π/3)}/dt (21)
ew=vw*−R・iw
−(la+La)・d(iw)/dt
−Las・cos(2θ―2π/3)・d(iw)/dt
−Las・iw・d{cos(2θ−2π/3)}/dt
+0.5・La・d(iu)/dt
−Las・cos(2θ+2π/3)・d(iu)/dt
−Las・iu・d{cos(2θ+2π/3)}/dt
+0.5・La・d(iv)/dt
−Las・cos(2θ)・d(iv)/dt
−Las・iv・d{cos(2θ)}/dt (22)
ここで、Rは巻線一相あたりの抵抗、laは巻線一相あたりの漏れインダクタンス、Laは巻線一相あたりの有効インダクタンスの平均値、Lasは巻線一相あたりの有効インダクタンスの振幅である。また、d(iu)/dt、d(iv)/dt、d(iw)/dtは、1次オイラー近似で求める。
なお、u相電流iuは、v相電流ivとw相電流iwとの和の符号を変えたものとする。さらに、式(20)〜式(22)を簡略化すると、以下に示す式(23)〜式(25)を得る。ここでは、相電流検出値(iu、iv、iw)が正弦波であると仮定し、電流指令振幅I*と電流指令位相βTとから相電流検出値(iu、iv、iw)を作成して簡略化した。本実施形態において、誘起電圧推定部23では、式(23)〜式(25)により誘起電圧推定値(eu、ev、ew)を求める。
eu=vu*+R・I*・sin(θ+βT)
+1.5・(la+La)・cos(θ+βT)
−1.5・Las・cos(θ―βT) (23)
ev=vv*+R・I*・sin(θ+βT−2π/3)
+1.5・(la+La)・cos(θ+βT−2π/3)
−1.5・Las・cos(θ―βT−2π/3) (24)
ew=vw*+R・I*・sin(θ+βT+2π/3)
+1.5・(la+La)・cos(θ+βT+2π/3)
−1.5・Las・cos(θ―βT+2π/3) (25)
次に、位置速度推定部24では、誘起電圧推定値(eu、ev、ew)を用いて発電機2bにおける回転子の磁極位置および速度を推定する。位置速度推定部24は、発電機制御装置18が認識している磁極位置推定値θを誘起電圧の誤差を用いて補正することにより、磁極位置推定値θを真値に収束させて求める。また、そこから、回転速度推定値ωを生成する。そこで、各相の誘起電圧基準値(eum、evm、ewm)を次式により求める。ただし、誘起電圧振幅値emは、eu、ev、ewの振幅値と一致させることにより求める。
eum=em・sin(θ+βT) (26)
evm=em・sin(θ+βT−2π/3) (27)
ewm=em・sin(θ+βT+2π/3) (28)
このようにして求めた誘起電圧基準値esm(s=u、v、w(sは相を表す))と、誘起電圧推定値esとの偏差εを求め、この偏差εが0になれば磁極位置推定値θが真値になるので、偏差εを0に収斂させるように、磁極位置推定値θを、偏差εを用いたPI演算などを行って求める。また、磁極位置推定値θの変動値を演算することにより、回転速度推定値ωを求める。
ε=es−esm (s=u、v、w) (29)
最後に、PWM信号生成部13では、正弦波駆動部22で導出された相電圧指令値(vu*、vv*、vw*)に基づいて電力変換器19を動作させるためのドライブ信号に変換される。このドライブ信号により電力変換器19が動作する。
次に、発電機2bを回生運転する場合について、理解を容易にするため、一例として発電機制御装置18によって発電機2bを力行運転で起動して定常状態となった後で、電動機制御装置15によって圧縮機1を駆動するための電動機を起動させる場合について説明する。
まず、発電機制御装置18によって発電機2bが力行運転で起動して定常状態(回転速度指令ω*≒回転速度推定値ω)となる場合、式(1)により導出される電流指令値I*は正の所定値(定常状態となるのに必要な正のトルクを発生させる電流に相当)となっている。
この状態で、電動機制御装置15によって圧縮機1が運転されると、冷媒の膨張エネルギーが増大することで膨張タービン2aは膨張エネルギーによって加速されようとする力が作用する。
すなわち、膨張エネルギーが増大していくと、回転速度推定値ωが大きくなり、発電機2bにブレーキを掛けない限り「回転速度指令ω*<回転速度推定値ω」の状態が続くため、式(1)によって導出される電流指令値I*は減少し、電流指令値I*の符号が逆転した時点で力行運転から回生運転に移行される。
回生運転(電流指令値I*が負)に移行すると、発電機2bには負のトルクが発生し、発電機2bから電気エネルギーが取り出されることで発電機2bにブレーキが掛かるため
、回転速度推定値ωは減少し、「回転速度指令ω*≒回転速度推定値ω」となる。
ここで、回生運転時においては、力行運転時の電流指令位相βTの代わりに(−βT)を用いて前述の式(2)、式(3)、および式(23)〜式(25)の演算を行うことにより、回生運転時でも誘起電圧の推定、すなわち回転子の磁極位置および回転速度の推定が可能となる。電流指令位相βTの符号を反転させるタイミングは、電流指令値I*の符号が反転するタイミングで実施する(電流指令値I*は式(1)により逐次演算しているため、I*の符号が反転するタイミングは把握できる)。
回生運転時に電流指令位相βTの符号を切り替える理由に関して、図9用いて説明する。図9は力行運転時および回生運転時のdq軸電流指令値(id*、iq*)のベクトル図を示しており、電流指令値I*の絶対値|I*|を用いると、力行運転時(電流指令値I*≧0)のdq軸電流指令値(id*、iq*)の理論式は式(30)、式(31)となる。
id*(力行)=−|I*|・sin(βT) (30)
iq*(力行)=|I*|・cos(βT) (31)
同様に電流指令値I*の絶対値|I*|を用いると、回生運転時(電流指令値I*<0)のdq軸電流指令値(id*、iq*)の理論式は式(32)、式(33)となる。
id*(回生)=−|I*|・sin(π−βT)
=−|I*|・sin(βT) (32)
iq*(回生)=|I*|・cos(π−βT)
=−|I*|・cos(βT) (33)
ここで、力行運転時はI*=|I*|であり、これを式(2)および式(3)に代入すると、式(2)=式(30)および式(3)=式(31)が成立するため、id*およびiq*ともに理論式通りとなっているのに対して、回生運転時はI*=−|I*|であるため、これを式(2)および式(3)に代入すると、式(2)≠式(32)および式(3)=式(33)となり、id*が理論式からずれてしまう。そこで、id*およびiq*ともに理論式通りとなるように回生運転時には電流指令位相βTの符号を反転させる。
以上の構成により、発電機制御装置18では相電圧方程式に基づいたモデルにより導出された誘起電圧推定値と誘起電圧基準値との偏差εを用いて推定位置θを生成し、正弦波状の相電流を流すことで力行運転および回生運転ができる位置センサレス正弦波駆動を実現しており、エンコーダやレゾルバといった回転子の磁極位置を検出する位置センサを取り付けることが不要のため、コスト低減と信頼性の向上を図ることができる。
次に、異常判定部28の具体的な動作について説明する。誘起電圧推定部23によって推定された誘起電圧振幅値emは、本来であれば、図4に示すように、発電機固有の誘起電圧定数Kemと発電機2bの実回転速度ωe(位置速度推定部24にて良好な推定が行われていれば、回転速度推定値ωと等しくなる)とにより定まるKem×ωeで与えられるはずである。
しかしながら、誘起電圧の推定に使用する情報に大きなノイズが重畳された場合や、大きく推定が外れた場合などに、誘起電圧の推定が良好に行われないことになる。特に、発電機2bが脱調した場合には、実回転速度ωeはゼロとなるため、誘起電圧振幅値emは微小な値となってしまうため、このような場合には、速やかに発電機2bの運転状態が異常であると判定し、正弦波駆動部22の駆動出力動作を緊急停止させる必要がある。
このような異常を判定するために、本発明の実施の形態における異常判定部28は、所
定の回転速度ωlで発電機2bを駆動している場合において、一定時間継続して推定された誘起電圧値が所定の値ek(ωl)以下となる場合に、発電機2bの運転状態が異常であると判定し、正弦波駆動部22の駆動出力動作を緊急停止させるとともに、異常信号を運転指令部14に出力する。
また、異常判定部28では、発電機2bの回転速度に対して推定された誘起電圧が、一定時間継続して予め設定された回転速度に対して図4の回転速度余裕aおよび誘起電圧余裕bによって定められる1次直線で表される誘起電圧下限値ek(ω)の値を下回る場合に、発電機2bの運転状態が異常であると判定し、正弦波駆動部22の駆動出力動作を緊急停止させるとともに、異常信号を運転指令部14に出力させても良い。これによって、あらゆる回転速度における脱調現象が検知できる。
さらに、回転速度の推定に使用する情報に大きなノイズが重畳された場合や、大きく推定が外れた場合などに、回転速度推定値ωが増大あるいは減少し過ぎてしまうため、異常判定部28では、位置速度推定部24によって推定された回転速度推定値ωが予め設定された回転速度範囲(発電機2bの実際の運転範囲に基づいて設定する)を超える場合に、発電機2bの運転状態が異常であると判定し、正弦波駆動部22の駆動出力動作を緊急停止させるとともに、異常信号を運転指令部14に出力させても良い。
さらに、磁極位置の推定に使用する情報に大きなノイズが重畳された場合や、大きく推定が外れた場合などに、磁極位置推定値θが進み過ぎて発電機2bに必要以上の電流が流れてしまうため、異常判定部28では、相電流検出値(iu、iv、iw)が予め設定された電流範囲(発電機2bの実際の運転範囲における必要な電流値に基づいて設定する)を超える場合に、発電機2bの運転状態が異常であると判定し、正弦波駆動部22の駆動出力動作を緊急停止させるとともに、異常信号を運転指令部14に出力させても良い。
さらに、発電機2bの固定子巻線が欠相している場合は、発電機2bは正常に回転できないため、異常判定部28では、所定時間継続して相電流検出値(iu、iv、iw)のある特定の相の電流検出値の大きさが所定値(欠相した相には電流が流れないが、電流検出誤差やノイズの影響などを考慮して設定する)以下となる場合に、発電機2bの運転状態が異常であると判定し、正弦波駆動部22の駆動出力動作を緊急停止させるとともに、異常信号を運転指令部14に出力させても良い。これによって、発電機2bの欠相異常が検知できる。
次に、本発明の実施の形態における冷凍サイクル装置の動作について、図2を用いて詳細に説明する。図2に示すように、圧縮機1が運転中に、時刻T0にて異常による緊急時(異常判定部28から異常信号が運転指令部14に出力される場合)も含めて発電機制御装置18に入力される回転速度指令がゼロとなって発電機制御装置18から発電機2bへの通電を停止した場合(図2(a)を参照)、運転指令部14では、直ちに開閉弁6を開状態として冷媒の膨張エネルギーをバイパス回路5で減少させるとともに(図2(b)を参照)、電動機制御装置15に入力される回転速度指令をゼロにして電動機制御装置15から電動機への通電を停止させ(図2(d)を参照)る。
そして、発電機制御装置18から発電機2bへの通電を停止した直後から所定時間Tsが経過するまでの期間内(時刻T0〜T2)において、平滑コンデンサ13の両端に接続された抵抗器26a、26bおよび直流電圧検出部27によって検出された直流電圧値が所定値Vsを超える場合(時刻T1)には、電動機制御装置15によって電動機を回転させることなく電動機で電力を消費させる(図2の(c)〜(e)を参照)。
これによって、圧縮機が運転中に、異常による緊急時も含めて発電機制御装置から発電
機への通電を停止して発電機がフリーラン状態となるような場合でも、冷凍サイクルに存在している膨張エネルギーを速やかに減少させることでフリーラン状態となる膨張機の回転速度が増大することを抑制する。
そして、発電機から取り出される電気エネルギーが蓄積されて電力変換器などの素子が破壊されることを確実に防止でき、さらには圧縮機や膨張機の再起動時における負荷を軽減することができる。
次に、電動機を回転させることなく電動機で電力を消費させる具体的な方法について説明する。本発明の実施の形態における冷凍サイクル装置では、図2において直流電圧値が所定値Vsを超える場合には、図3(a)〜(f)に示すように、電動機に所定の大きさの直流電流もしくは高周波電流を流すものであり、電動機に必要以上の電流が流れること無く、確実に電動機を回転させることなく電動機で電力を消費させることができる。
ここで、図3(a)〜(c)が電動機に直流電流を流す場合であり、図3(a)では、直流電圧値が所定値Vsを超えた時刻T1から所定時間Tsが経過するまでの期間(時刻T1〜T2)において、電動機に一定の直流電流Ia0を流し続けることで電動機を回転させることなく電動機で電力を消費させるものである。
電動機制御装置15におけるインバータ制御部17の構成として、例えば、発電機制御装置18と同様の構成(電流検出器20a、20b、電流検出部21、正弦波駆動部22、誘起電圧推定部23、位置速度推定部24、PWM信号生成部25)を取り、電動機の固定子巻線の相電流指令値(iu*、iv*、iw*)をiu*=Ia0、iv*=iw*=−Ia0/2と設定し、式(7)〜式(9)を用いて直流電流を流すのに必要な電圧指令値(vu*、vv*、vw*)を導出して、インバータ16を動作させれば良い。
また、図3(b)に示すように、直流電圧値が所定値Vsを超えた時刻T1から経過する時間に対して段階的に直流電流を大きくする場合には、電動機に流す直流電流の変化が緩やかになるため、電動機を回転させることなく電動機で電力を消費させる際に圧縮機1の機構に与える物理的なストレスを軽減することができる。
なお、図3(b)は直流電流値をIa1(時刻T1〜Ta1)→Ia2(時刻Ta1〜Ta2)→Ia3(時刻Ta2〜T2)と3段階としているが、さらに段数を増やしても良いことは言うまでもない。
さらに、図3(c)に示すように、直流電圧値が所定値Vsを超えた時刻T1から経過する時間に対して連続的に直流電流を大きくする場合には、電動機に流す直流電流の変化がさらに緩やかになるため、電動機を回転させることなく電動機で電力を消費させる際に圧縮機1の機構に与える物理的なストレスを図3(b)の場合よりもさらに軽減することができる。
なお、図3(c)は、直流電流Ia4(時刻T1)→Ia5(時刻Ta3)と一次関数的に変化させているが、特に限定しているわけではなく一次関数以外の形態を取っても良いことは言うまでもない。
次に、図3(d)〜(f)が電動機に高周波電流を流す場合であり、図3(d)では、直流電圧値が所定値Vsを超えた時刻T1から所定時間Tsが経過するまでの期間(時刻T1〜T2)において、電動機に一定振幅Ib0の高周波電流を流し続けることで電動機を回転させることなく電動機で電力を消費させるものである。
電動機制御装置15におけるインバータ制御部17の構成として、例えば、発電機制御装置18と同様の構成(電流検出器20a、20b、電流検出部21、正弦波駆動部22、誘起電圧推定部23、位置速度推定部24、PWM信号生成部25)を取り、電動機の固定子巻線の相電流指令値(iu*、iv*、iw*)を式(34)〜式(36)を用いて導出し、式(7)〜式(9)を用いて高周波電流を流すのに必要な電圧指令値(vu*、vv*、vw*)を導出して、インバータ16を動作させれば良い。
iu*=Ib0・sin(ωh・t) (34)
iv*=Ib0・sin(ωh・t−2π/3) (35)
iw*=Ib0・sin(ωh・t+2π/3) (36)
ここで、ωh=2π・fhであり、インバータ周波数fhは、停止状態にある電動機を無理やり脱調状態にさせるために十分な高周波数にする必要がある。
また、図3(e)に示すように、直流電圧値が所定値Vsを超えた時刻T1から経過する時間に対して段階的に高周波電流の振幅を大きくする場合には、電動機に流す高周波電流の振幅の変化が緩やかになるため、電動機を回転させることなく電動機で電力を消費させる際に圧縮機1の機構に与える物理的なストレスを軽減することができる。
なお、図3(e)は高周波電流の振幅をIb1(時刻T1〜Tb1)→Ib2(時刻Tb1〜Tb2)→Ib3(時刻Tb2〜T2)と3段階としているが、さらに段数を増やしても良いことは言うまでもない。
さらに、図3(f)に示すように、直流電圧値が所定値Vsを超えた時刻T1から経過する時間に対して連続的に高周波電流の振幅を大きくする場合には、電動機に流す高周波電流の振幅の変化がさらに緩やかになるため、電動機を回転させることなく電動機で電力を消費させる際に圧縮機1の機構に与える物理的なストレスを図3(e)の場合よりもさらに軽減することができる。
なお、図3(f)は、高周波電流の振幅をIb4(時刻T1)→Ib5(時刻Tb3)と一次関数的に変化させているが、特に限定しているわけではなく一次関数以外の形態を取っても良いことは言うまでもない。
図3(a)〜(f)に示すように、電動機に流す直流電流あるいは高周波電流の大きさは、電動機の減磁電流よりも小さくなるように予め設定された上限値を備えるものであり、これによって、電動機を回転させることなく電動機で電力を消費させる際に確実に電動機の減磁を防ぐことができる。
なお、図1では発電機2bの電流を検出する2つの電流検出器20a、20bを備え、回転子の磁極位置および速度の推定に使用しているが、特に限定しているわけではなく、電力変換器19の直流電流(電力変換器19と平滑コンデンサ13との配線に流れる電流)から発電機2bの電流を検出するなどの手段を用いても良いことは言うまでもない。
また、図1では運転指令部14から与えられた発電機2bの回転数指令値に対して、発電機2bの回転数が追従するように回転数制御が行われているが、特に限定しているわけではなく、発電機2bのトルクを制御するなどの形態を取っても良いことは言うまでもない。
さらに、図1では膨張機タービン2aの入出力側の冷媒を短絡するようにバイパス回路5を設けているが、特に限定しているわけでなく、冷媒の高圧側と低圧側とが短絡できれば良いため、圧縮機1の入出力側の冷媒を短絡するなどの形態を取っても良いことは言う
までもない。
加えて、図1では整流回路12を用いているが、特に限定しているわけではなく、力率改善型昇圧コンバータなどを用いても良いことは言うまでもない。
以上のように、本発明にかかる冷凍サイクル装置は、膨張機に備えられた発電機の回転子の磁極位置および回転速度を推定することによって発電機の回転速度を制御し、かつ異常による緊急時も含めて発電機制御装置から発電機への通電を停止して発電機がフリーラン状態となるような場合でも、安全にシステムを停止することができる冷凍サイクル装置を実現することができるため、炭酸ガス冷媒のヒートポンプ式給湯器等の製品にも応用することができる。
本発明の実施の形態における冷凍サイクル装置のシステム構成図 本発明の実施の形態における冷凍サイクル装置の動作説明図 本発明の実施の形態における電動機制御装置の動作説明図 本発明の実施の形態における発電機制御装置の異常判定部の説明図 従来の冷凍サイクル装置のシステム構成図 従来の風力発電システムのシステム構成図 発電機制御のための一般的なPWMコンバータの回路構成図 フリーラン状態における発電機の回転速度−電圧特性図 力行運転時および回生運転時のdq軸電流指令値のベクトル図
符号の説明
1 圧縮機
2 膨張機
2a 膨張タービン
2b 発電機
2c 動力軸
3 凝縮器
4 蒸発器
5 バイパス回路
6 開閉弁
11 交流電源
12 整流回路
13 平滑コンデンサ
14 運転指令部
15 電動機制御装置
16 インバータ
17 インバータ制御部
18 発電機制御装置
19 電力変換器
20a、20b 電流検出器
21 電流検出部
22 正弦波駆動部
23 誘起電圧推定部
24 位置速度推定部
25 PWM信号生成部
26a、26b 抵抗器
27 直流電圧検出部
28 異常判定部
51 第1コンバータ
52 第2コンバータ
61 風車
62 埋込磁石同期発電機(IPMSG)
63 PWMコンバータ
64 位置・速度推定部
65 最大電力追従制御部
66 最大効率制御部
67 電圧指令作成部
71a〜71f スイッチング素子
72a〜72f ダイオード

Claims (10)

  1. 冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮された冷媒を凝縮する凝縮機と、凝縮された冷媒により駆動される膨張機と、前記膨張機からの冷媒を蒸発させ前記圧縮機に提供する蒸発器と、
    前記膨張機と接続される発電機と、前記圧縮機を駆動する電動機と、変換器および逆変換器として動作する電力変換器を有し前記発電機を制御する発電機制御手段と、前記圧縮機の運転中における前記発電機への通電停止時に、前記電動機を停止させる電動機制御手段と、前記電力変換器の直流電圧値を検出する直流電圧検出手段と、前記圧縮機の運転中における前記発電機への通電停止時に、冷媒の高圧側と低圧側とを短絡する開閉手段と、前記発電機への通電停止からの所定期間において、前記直流電圧値が所定値を超える場合、前記電動機を回転させることなく前記電動機に電力を消費させる電動機制御手段とを備えた冷凍サイクル装置。
  2. 前記直流電圧値が所定値を超える場合には、前記電動機に所定の電流を流すことを特徴とする請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
  3. 時間の経過に伴い段階的または連続的に、前記電動機に流す電流の大きさを大きくすることを特徴とする請求項2に記載の冷凍サイクル装置。
  4. 前記電動機の減磁電流よりも小さくなるように、前記電動機に流す電流の大きさが上限値を有することを特徴とする請求項2または3に記載の冷凍サイクル装置。
  5. 前記発電機制御手段は、前記発電機の固定子巻線に流れる電流を検出する電流検出手段と、前記発電機への印加電圧の値と前記電流検出手段によって検出された電流値とから前記発電機に発生する誘起電圧を推定する誘起電圧推定手段と、前記誘起電圧推定手段によって推定された誘起電圧値に基づいて前記発電機の回転子の磁極位置および回転速度を推定する位置速度推定手段と、前記位置速度推定手段によって推定された回転速度、前記電流値、前記誘起電圧値の少なくともいずれか1つに基づいて前記発電機の運転状態が異常か否かを判定する異常判定手段とを備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
  6. 前記異常判定手段は、所定時間継続して所定の回転速度における前記誘起電圧値が所定値以下となる場合に、前記発電機の運転状態が異常であると判定することを特徴とする請求項5に記載の冷凍サイクル装置。
  7. 前記異常判定手段は、所定の回転速度における前記誘起電圧値が回転数に対して1次関数を用いて設定された誘起電圧範囲を超える場合に、前記発電機の運転状態が異常であると判定することを特徴とする請求項5に記載の冷凍サイクル装置。
  8. 前記異常判定手段は、前記位置速度推定手段によって推定された回転速度が予め設定された回転速度範囲を超える場合に、前記発電機の運転状態が異常であると判定することを特徴とする請求項5に記載の冷凍サイクル装置。
  9. 前記異常判定手段は、前記電流値の大きさが予め設定された電流範囲を超える場合に、前記発電機の運転状態が異常であると判定することを特徴とする請求項5に記載の冷凍サイクル装置。
  10. 前記異常判定手段は、所定時間継続して前記電流値の大きさが所定値以下となる場合に、前記発電機の運転状態が異常であると判定することを特徴とする請求項5に記載の冷凍サイクル装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105091387A (zh) * 2015-09-30 2015-11-25 黄石东贝制冷有限公司 一种高效的制冷系统
US20210058019A1 (en) * 2019-07-30 2021-02-25 Danfoss (Tianjin) Ltd. Compressor and method for controlling the compressor
CN112460771A (zh) * 2020-11-30 2021-03-09 珠海格力电器股份有限公司 一种压缩机控制方法、装置、系统及存储介质

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