JP3941718B2 - 給紙装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は給紙装置に関する。特に、複写機、プリンタあるいはこれらの複合機などの画像形成装置に用紙を供給する給紙装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複写機などの画像形成装置の給紙装置は、通常、給紙カセットに積載された用紙を給紙ローラまで送り出すピックアップローラを備えている。ピックアップローラは、給紙時において、最上用紙に接した状態で回転し、用紙を給紙ローラまで送り出し、給紙ローラは、該ローラに対向する捌きパッドと協働して、画像形成装置の画像形成部に用紙を一枚ずつ送り出す。
【0003】
このような給紙装置として、給紙カセットの画像形成装置(給紙装置)本体に対する着脱に連動してピックアップローラを昇降させる機構を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。具体的に、この機構は、ピックアップローラを回転自在に支持し給紙カセットの着脱に連動して回動可能なアームを備える。給紙カセットが離脱されている場合、アームは、その一端で支持したピックアップローラを上昇位置に保持するように付勢されている。給紙カセットを装着する場合、アームは、その他端が給紙カセットの一部と係合し、付勢力に抗して、上記一端で支持したピックアップローラを下降位置に保持する。その後、給紙カセットの用紙積載面を構成する押上板を上昇させることで、最上用紙を、下降位置に保持したピックアップローラに接触させる。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−294333号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の構成では、最大用紙収納枚数を維持したまま、上昇位置にあるピックアップローラと給紙カセット装着時の最上用紙の距離を小さくすることで給紙装置したがって画像形成装置を薄型化しようとした場合、ピックアップローラの下降位置と、給紙カセット装着時の最上用紙の距離を小さくしなければならず、その結果、給紙カセットを装着する際に、最上用紙が、下降するピックアップローラに当たる可能性がある。この場合、用紙に横ずれや撓みが生じ、給紙時にスキューやジャムなどの給紙不良が発生する恐れがある。
【0006】
そこで、本発明は、薄型で且つ給紙不良が発生しない給紙装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る給紙装置は、
用紙を収納する給紙カセットと、
用紙を給紙カセットから引き出すためのピックアップローラと、
給紙カセットの給紙装置本体に対する着脱に連動してピックアップローラを昇降させる昇降ユニットとを備え、
昇降ユニットは、給紙カセットの給紙装置本体に対する装着に連動して動作する第1の昇降部材と、第1の昇降部材に連結されピックアップローラを支持する第2の昇降部材と、第1の昇降部材の動作開始に遅延して、ピックアップローラを下降させる第2の昇降部材の動作を開始させる遅延機構とを備えることを特徴とする。
【0008】
かかる給紙装置では、ピックアップローラを昇降させる昇降ユニットが、第1の昇降部材と第2の昇降部材に分割されており、給紙カセットの装着に連動して第1の昇降部材が動作を開始しても、ピックアップローラを支持する第2の昇降部材は、直ぐには第1の昇降部材に追従して動作を開始しない。したがって、ピックアップローラと給紙カセット装着時の最上用紙の距離を小さくしても、給紙カセットを装着する際に、最上用紙が、下降するピックアップローラに当たらないように構成することができ、その結果、給紙装置を薄型化できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明に係る実施の形態を説明する。
【0010】
図1,2は、本発明に係る給紙装置の一実施形態を示す。この給紙装置2は、用紙4を積載する給紙カセット6を備える(なお、図1では用紙は図示しない。)。給紙カセット6は、不図示の画像形成装置(給紙装置)本体(以下、単に「本体」という。)に設けた一対のガイドレール8a,8bに沿って、本体に装着する位置と本体から離脱した位置との間でスライドできるようにしてある。
【0011】
給紙装置2はまた、給紙カセット6に積載された用紙4を画像形成装置本体の画像形成部(図示せず)に向けて送り出すための給紙アセンブリ10を備える。図3も参照して、給紙アセンブリ10は、給紙カセット6に積載された用紙4の先端近傍に対向した位置に配置されたピックアップローラ12と、用紙給紙方向に関してピックアップローラの下流側に配置された給紙ローラ14と、ローラ12,14を保持するホルダ16とを備える。給紙アセンブリ10は、後述する昇降ユニットにより、給紙カセット6の着脱に連動して、最上用紙4に近接または接触する下降位置と、最上用紙4の上方に離隔した上昇位置との間で移動できるようになっている。
【0012】
ピックアップローラ12は、ホルダ16に回転自在に支持された回転軸18に固定されている。回転軸18にはギア20が固定されている。
【0013】
給紙ローラ14は、ワンウェイクラッチ22を介して駆動軸24に連結されている。駆動軸24は、ホルダ16に回転自在に支持されている。駆動軸24にはギア26が固定されている。ギア26は、中間ギア(図示せず)を介してギア20に連結されている。駆動軸24は、図示しないモータにより図の矢印方向に回転駆動するようにしてある。駆動軸24が回転すると、給紙ローラ14は、ワンウェイクラッチ22の作用により、駆動軸24の動力が伝達され、図の矢印方向に回転する。このとき、ピックアップローラ12は、ギア26、中間ギアおよびギア20を介して、駆動軸24の動力が伝達され、給紙ローラ14と同一の方向に回転する。なお、ワンウェイクラッチ22の作用により、給紙ローラ14が矢印方向に回転しても、駆動軸24したがってピックアップローラ12に動力が伝達することはない。
【0014】
図示は省略するが、給紙アセンブリ10が下降位置にセットされた状態で、給紙ローラ14には捌きローラが当接するようになっている。
【0015】
給紙カセット6には、用紙載置面として押上板28が設けてある。この押上板28は、給紙カセット6が本体に装着されると、図示しない駆動手段により給紙アセンブリ10に向けて上方に移動するようになっている。給紙アセンブリ10には、最上用紙の位置を検出するためのセンサ(図示せず)が設けてあり、最上用紙がピックアップローラ12に接触すると、上記駆動手段は、押上板28を停止するようになっている。
【0016】
次に、給紙カセット6の本体に対する着脱に連動して給紙アセンブリ10を下降位置および上昇位置に移動させる昇降ユニットを説明する。この昇降ユニット29は、細長部材である第1のレバー30と第2のレバー32を備える。第1のレバー30の一端30aおよび第2のレバー32の一端32aは、図示しないフレームに固定された軸33に回動自在に支持されている。第1のレバー30は、その他端30bが給紙カセット6が挿入される空間に臨むよう、図2において軸33を中心として反時計回り方向に付勢され、初期位置(図2の点線30Aで示す位置)にセットされている。このために、図の例では、一端34aが第1のレバー30上面30cの所定位置(固定位置を図3の点線34a’で示す。)に固定され他端34bが上記不図示のフレームに固定されたコイルばね34を、第1のレバー30の一端30aの一側面30d上に設けた、軸33と同心状の円筒部30eの外周面に巻回させている。
【0017】
第2のレバー32の他端32bには、ホルダ16の側面から突出した突出部16aが、他端32b周りに回動可能に連結されている。ホルダ16は、図示しない機構により常時駆動軸24および回転軸18が水平方向と平行となるように保持される。なお、後述するように、第2のレバー32の他端32bは、ホルダ16の突出部16aを受ける受け部としても機能し、給紙カセット6を本体から離脱させ、その結果給紙アセンブリ10が下降位置から上昇位置に戻る際に、給紙アセンブリ10の移動を、第2のレバー32の軸33周りの図2の反時計回り方向の回動に素早く追従させることができる。
【0018】
第1のレバー30がコイルばね34により付勢され初期位置30Aにセットされた状態で、第2のレバー32は、第1のレバー30の一端30a近傍から突出した受け板30fにより保持されるようになっており、したがって、第2のレバー32もまた、コイルばね34から付勢力を受けて初期位置(図2の点線34Aで示す位置)にセットされ、給紙アセンブリ10を上昇位置に保持する。
【0019】
第1のレバー30の他端30bが装着される給紙カセット6の一部(図の例では、装着方向に関して先端側の側面6a)に当接することで、第1のレバー30がコイルばね34の付勢に抗して軸33周りに図2の時計回り方向に回動すると、受け板30fが第2のレバー32の下面32cから外れることができる。その結果、第2のレバー32は、給紙アセンブリ10の重力および第2のレバー32の自重により、軸33周りに図2の時計回り方向に回動する。
【0020】
図3に示すように、第1のレバー30と第2のレバー32は、トルクリミッタ36を介して連結されている。具体的に、第1のレバー30の一端30aおよび第2のレバー32の一端32aの対向する側面30g,32dにはそれぞれ、軸33と同心状に、外径が等しく且つ同一材質(例えばポリアセテート樹脂)の円筒部30h,32eが形成されている。これら円筒部30h,32eの外周面には、コイルばね38が巻回されている。コイルばね38の巻き付け方向は、第1のレバー30の一端30aから第2のレバー32の一端32aに向かう方向から見て第1のレバー30が時計周り方向(すなわちコイルばね34の付勢方向と逆方向で、図2の時計回り方向)に回動する際にコイルの内径が大きくなるように設定してある。言い換えれば、第1のレバー30がコイルばね38に対し図2の時計回り方向に回転する際のトルクリミッタ36の伝達トルクT1と、図2の反時計回り方向(すなわち、コイルばね34の付勢方向)に回転する際の伝達トルクT2は、T2>T1の関係を有する。第2のレバー32がコイルばね38に対し図2の時計回り方向(すなわち給紙アセンブリ10を下降させる方向)に回転する際のトルクリミッタ36の伝達トルクはT2に等しく、図2の反時計回り方向に回転する際の伝達トルクはT1に等しい、また、T2は、給紙アセンブリ10および第2のレバー32の重力による軸33周りのトルクTより小さく設定されている。
【0021】
次に、以上のように構成された給紙装置2の、給紙カセット着脱に連動した動作および給紙動作について説明する。
【0022】
給紙カセット6が本体に装着されていない場合、第1のレバー30は、コイルばね34により付勢され初期位置30Aにセットされている。このとき、第2のレバー32は、第1のレバー30の受け板30fから受ける力により初期位置32Aにセットされている。この状態で、給紙アセンブリ10は上昇位置に保持される。
【0023】
そこで、用紙4が搭載された給紙カセット6を本体に装着すると、まず、第1のレバー30の他端30bが給紙カセット6の側面6aに接触し、第1のレバー30が、コイルばね34の付勢力に抗して、軸33周りに図2の時計回り方向に回動し始める。このとき、トルクリミッタ36のコイルばね38は、その内径が大きくなるため、コイルばね38は直ぐには第1のレバー30の回動に追従しない。したがって、コイルばね38を介して第1のレバー30に連結された第2のレバー32は、直ぐには第1のレバー30の回動には追従しない。言い換えれば、第1のレバー30が給紙カセット6の装着に連動して回動し始めた時点では、給紙アセンブリ10を支持している第2のレバー32は回動を開始していない。
【0024】
そして、第1のレバー30の回動により受け板30fが第2のレバー32の下面32cから外れると、第2のレバー32は、自重と給紙アセンブリ10の重力により図2の時計回り方向に回動し始める。すなわち、第2のレバー32は、第1のレバー30の動きに対して遅延して動作を開始する。第2のレバー32が回動し始めると、トルクリミッタ36のコイルばね38は、その内径が小さくなって第2のレバー32の円筒部32eを締め付けるため、第2のレバー32の回動に抗してT2のトルクが生じ、したがって、給紙アセンブリ10の下降動作を遅延させることができる。
【0025】
給紙カセット6が本体に完全に装着されると、第1のレバー30は、他端30bが給紙カセット6の側面6bに当接した給紙位置(図2の実線30Bで示す位置)に保持される。第2のレバー30bは、第1のレバー30の受け板30fで再び支持された給紙位置(図2の実線32Bで示す位置)に保持される。このとき、給紙アセンブリ10は下降位置に保持される。なお、この状態で、第2のレバー30bの他端32bの一部は、図2に示すように、ホルダ16の突出部16aの下面から外れている。
【0026】
給紙アセンブリ10が下降位置に到達すると、最上用紙がピックアップローラ12に接触するまで押上板28が上昇する。
【0027】
給紙時には、図示しないモータの回転により駆動軸24が回転し、ピックアップローラ12が該ローラ12に接触する最上側から用紙を給紙ローラ14に向けて送り出す。このとき、最上用紙との摩擦によりその下の用紙も送り出されることがある。しかし、最上用紙以外の用紙は、給紙ローラ14に接触する捌きローラ(図示せず)が給紙ローラ14と逆方向に回転することで、最上用紙から分離され、ここから先への供給が禁止される。
【0028】
給紙カセット6を離脱させる場合、第1のレバー30は、その他端30bが給紙カセット6の側面6aに当接していた状態から解放され、コイルばね34の付勢力を受けて、軸33周りに図2の反時計回り方向に回動し始める。第2のレバー32は、第1のレバー30の受け板30fに支持されながら、第1のレバー30の回動開始と同時に、第1のレバー30とともに軸33周りに図2の反時計回り方向に回動する。給紙アセンブリ10は、第2のレバー32が回動して受け部32bで支持されると、第2のレバー32とともに、軸33周りに図2の反時計回り方向に回動する。このように、給紙カセット6を本体から引き出す場合、第1および第2のレバー30,32および給紙アセンブリ10は、実質的に同時に回動するため、給紙カセット6に用紙4が残っている場合(すなわち、最上用紙とピックアップローラ12が接触している場合)でも、用紙がピックアップローラ12と接触したまま引き出されて反りや歪みなどで変形するのを防止できる。
【0029】
以上の説明は、本発明の一実施形態にかかるもので、本発明はこれに限らず種々改変可能である。例えば、上記実施形態では、給紙カセット6の挿入に連動して軸33周りに回動する第1のレバー30と、給紙アセンブリ10すなわちピックアップローラ12を支持する第2のレバー32の間にトルクリミッタ38を設けたが、第1のレバー30の動作開始に遅延して第2のレバー32の動作を開始させるための機構であれば、トルクリミッタ38に限定しない。例えば、トルクリミッタ38を設ける代わりに、第1のレバー30の受け板30fと第2のレバー32の下面30cとの間を、例えばばねなどの弾性部材を介して連結することで、第1のレバー30の受け板30fが第2のレバー下面30cから退避する方向に移動しても、第2のレバー32が第1のレバー30の動きに遅延して動作を開始するようにできる。あるいは、第1のレバー30と第2のレバー32の間ではなく、第2のレバー32の上面に弾性部材の一端を固定し、他端を該上面の上方に位置する図示しないフレームに固定すれば、同様の効果を得ることができる。
【0030】
また、トルクリミッタ38は、上記実施形態のようなコイルばね36を用いた構成に限らず、磁気式などでもよい。
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、給紙カセットの装着に連動して動作する第1の昇降部材(第1のレバー)の動作開始に対して遅延して、ピックアップローラを下降させる第2の昇降部材(第2のレバー)の動作が開始するので、上昇位置にあるピックアップローラと給紙カセット装着時の最上用紙の距離を小さくしても、給紙カセットを装着する際に、最上用紙が、下降するピックアップローラに当たるのを防止できる。その結果、給紙装置の薄型化を図ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る給紙装置の一実施形態を示す概略斜視図。
【図2】 図1のII−II線に沿った断面図。
【図3】 図1の給紙アセンブリおよび昇降機構を示す拡大分解斜視図。
【符号の説明】
2:給紙装置、4:用紙、6:給紙カセット、12:ピックアップローラ、28:押上板、29:昇降ユニット、30:第1のレバー、32:第2のレバー、33:軸、36:トルクリミッタ、38:コイルばね。
Claims (5)
- 用紙を収納する給紙カセットと、
用紙を給紙カセットから引き出すためのピックアップローラと、
給紙カセットの給紙装置本体に対する着脱に連動してピックアップローラを昇降させる昇降ユニットとを備え、
上記昇降ユニットは、給紙カセットの給紙装置本体に対する装着に連動して動作する第1の昇降部材と、第1の昇降部材に連結されピックアップローラを支持する第2の昇降部材と、第1の昇降部材の動作開始に遅延して、ピックアップローラを下降させる第2の昇降部材の動作を開始させる遅延機構とを備えることを特徴とする給紙装置。 - 上記第1の昇降部材は、給紙装置本体に装着される給紙カセットに接触可能な第1の端部と、第2の端部とを有する第1のレバーを備え、
上記第2の昇降部材は、ピックアップローラを支持する第3の端部と、第1のレバーの第2の端部に対向する第4の端部とを有する第2のレバーを備え、
上記遅延機構は、第1のレバーと第2のレバーを連結し、第2のレバーの第4の端部周りのピックアップローラを下降させるような方向への回動を、第1のレバーの第2の端部周りの上記方向への回動の開始に遅れて開始させるための弾性部材を備えることを特徴とする請求項1の給紙装置。 - 上記弾性部材は、第1のレバーの第2の端部と第2のレバーの第4の端部との間に配置されたトルクリミッタを備えることを特徴する請求項2の給紙装置。
- 上記トルクリミッタは、第1のレバーの第2の端部と第2のレバーの第4の端部との対向部にそれぞれ設けた断面円状の突起部と、これら突起部に巻回されたコイルばねとを備えることを特徴とする請求項3の給紙装置。
- 上記トルクリミッタは、第1のレバーの第2の端部周りの上記方向への回動に関する伝達トルクT1が、第1のレバーの第2の端部周りの上記方向と反対方向への回動に関する伝達トルクT2よりも小さくなるように構成されることを特徴とする請求項3または4に記載の給紙装置。
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