JP3941243B2 - 車両用電動ブレーキ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータを駆動源とする電動ブレーキを備えた車両用電動ブレーキ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
その車両用電動ブレーキ装置の一従来例が国際公開明細書WO 96/03301に開示されている。これは、(a) 車輪と共に回転する回転体と、(b) その回転体に押圧されることにより、回転体の回転を抑制する摩擦材と、(c) 励磁されたコイルが発生する磁気力により駆動されるモータと、(d) 摩擦材に係合させられる係合部材と、(e) モータの回転運動をその係合部材の直線運動に変換することにより、摩擦材を駆動する運動変換機構とを有する電動ブレーキを含むように構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段,作用および効果】
電動ブレーキ装置を設計する際には、それの一部の構成要素が何らかの理由で異常となっても全体としては異常とならないようにすることが望ましい。電動ブレーキ装置にいわゆる冗長性を持たせることが望ましいのである。一方、モータ等、電気部品においては一般に、何らかの理由によって断線等、異常が発生する可能性がある。しかしながら、上記従来の電動ブレーキ装置においては、異常が発生する可能性がある電気部品を使用するにもかかわらず、冗長性を持つような設計がなされてはいない。そのため、この従来の電動ブレーキ装置には、一部の電気部品が異常となると装置全体として異常となってしまい、電動ブレーキを作動させることと非作動状態に戻すこととの少なくとも一方ができなくなってしまう可能性があるという問題があった。
このような事情を背景として、本発明は、電動ブレーキ装置におけるモータ1つにコイル回路を複数個設け、それらを互いに並列にモータドライバに接続することによって冗長性を持たせ、それにより、上記の問題を解決することを課題としてなされたものである。
その課題は、下記の本発明の各態様により解決される。なお、以下の説明において、本発明の各態様を、それぞれに項番号を付して請求項と同じ形式で記載する。各項に記載の特徴を組み合わせて採用することの可能性を明示するためであり、ここに記載された組合せ以外の組合せを採用することの可能性を排除したり、ここに記載された特徴以外の特徴を組み合わせることの可能性を排除するものではない。
【0004】
(1) 電源と、
少なくとも1個のコイルを備えたコイル回路を有するとともに励磁されたコイルから発生する磁気力により駆動されるモータを有し、そのモータにより駆動されることによって車輪の回転を抑制する電動ブレーキと、
前記電源から前記コイル回路に電流を供給することにより、前記モータを駆動するモータドライバと
を含む車両用電動ブレーキ装置において、
前記モータドライバを車両のばね上部材に、前記モータをばね下部材にそれぞれ取り付けるとともに、前記モータ1つに複数個の前記コイル回路を並列に設け、それら複数個のコイル回路からそれぞれ延びる複数本のワイヤを前記ばね上部材上において1つにまとめて前記モータドライバに接続し、かつ、前記複数個のコイル回路の少なくとも1個が異常な状態において正常なコイル回路に通電して前記モータを作動させる手段を設けたことを特徴とする車両用電動ブレーキ装置〔請求項1〕。
この装置においては、コイル回路が1つのモータに関して複数個設けられ、それらが互いに並列に接続されている。コイル回路が冗長性を持たせられているのである。したがって、この装置によれば、互いに並列に接続された複数個のコイル回路の一部が異常となっても、ブレーキ装置全体が作動不能とはならずに済み、その結果、ブレーキ装置の信頼性が向上する。
なお、コイル回路に冗長性を持たせる方式として並列冗長と待機冗長とがある。並列冗長とは、互いに並列に接続された複数個のコイル回路がすべて正常である場合には、それらすべてのコイル回路を同時に使用し、一方、一部のコイル回路が異常となった場合には、残りのコイル回路により作動を確保する方式をいう。これに対して、待機冗長とは、互いに並列に接続された複数個のコイル回路の一部は、他のコイル回路が正常である場合には使用せずに待機させ、その他のコイル回路が異常となった場合にはじめて使用する方式をいう。そして、本項に記載の装置においては、それら並列冗長と待機冗長とのうちのいずれも採用可能である。
また、この装置においては、1つのモータの複数のコイル回路からそれぞれ延びる複数本のワイヤがばね上部材上において1つにまとめられてモータドライバに接続される。これら複数本のワイヤがばね下部材とばね上部材との間において延びることとなり、両部材の相対変位により変形させられる部分となる。したがって、この装置においては、この変形させられる部分が他の部分に比較して断線させられ易いのであるが、その断線により、互いに並列に接続された複数個のコイル回路の全体が異常とはならないこととなる。よって、この装置によれば、相対変位に起因したワイヤ断線によって直ちに電動ブレーキ装置が作動不能となることが防止され、電動ブレーキ装置が作動させられ得る。
(2) 前記複数個のコイル回路の少なくとも1個が異常である場合に、前記モータを非作動位置に復帰させるための信号を前記モータドライバに供給する異常時モータ復帰手段を設けた(1)項に記載の車両用電動ブレーキ装置〔請求項2〕。
電動ブレーキが制動力を発生させている状態でモータが異常となった場合には、モータが摩擦材からの反力によって非作用位置(例えば、初期位置)に戻される傾向があるため、モータが異常となっていても、摩擦材が回転体から離間させられ、その結果、不要な制動力が消滅させられる可能性がある。しかし、前述の従来の車両用電動ブレーキ装置について説明したように、モータと摩擦材との間に運動変換機構が設けられる場合があり、この運動変換機構が、モータの出力を比較的大きな比率で倍力して摩擦材に伝達するように設計される場合には、モータを積極的に逆方向(作動位置から非作動位置に向かう方向)に作動させない限り、摩擦材が回転体から離間させられない。そのため、このように運動変換機構の倍力率が比較的大きく設計される場合でも、電動ブレーキが非作動位置に復帰することが確保されるようにするためには、モータが異常とならないようにすることが必要となる。
これに対して、本項に記載の装置においては、コイル回路が複数個、互いに並列に接続され、それら複数個のコイル回路の一部が異常となってもモータの作動が確保されるようにされた上で、複数個のコイル回路の少なくとも1個が異常である場合に、モータにそのモータを非作動位置に復帰させるための信号が供給される。したがって、この装置によれば、倍力率が比較的大きい運動変換機構を使用する場合に、複数個のコイル回路の一部が異常となっても、不要な制動力を消滅可能となる。
(3) 前記モータドライバが、前記複数個のコイル回路がすべて正常である場合に、それらすべてのコイル回路を使用することによって前記モータを駆動するものである(1)項または(2)項に記載の車両用電動ブレーキ装置。
この装置によれば、コイル回路が待機冗長性ではなく並列冗長性を持たせられれているため、複数個のコイル回路がすべて正常である場合のモータの出力が、待機冗長性を持たせられている場合におけるより大きくなる。
(4) 前記モータドライバが、前記モータの出力とそれの時間的変化速度との少なくとも一方に基づき、前記複数個のコイル回路の少なくとも1個が異常であるか否かを判定する異常判定手段を含む(3)項に記載の車両用電動ブレーキ装置。
この装置によれば、複数個のコイル回路の少なくとも1個が異常となれば、それら複数個のコイル回路のすべてが正常である場合に比較して、モータの出力およびそれの時間的変化速度が小さくなるという事実を利用することにより、複数個のコイル回路の少なくとも1個が異常であるか否かが判定される。すなわち、この装置においては、モータの出力とそれの時間的変化速度との少なくとも一方が、複数個のコイル回路の少なくとも1個が異常であるか否かによって変化する信号として利用されているのである。
(5) 前記異常判定手段が、前記モータの出力とそれの時間的変化速度との少なくとも一方が基準値より低下した場合に、前記複数個のコイル回路の少なくとも1個が異常であると判定する手段を含む(4)項に記載の車両用電動ブレーキ装置〔請求項3〕。
(6) さらに、前記モータの温度とそれの時間的変化速度との少なくとも一方に基づき、前記複数個のコイル回路の少なくとも1個が異常であるか否かを判定する異常判定手段を含む(3)項に記載の車両用電動ブレーキ装置。
複数個のコイル回路の少なくとも1個が異常となった場合には、それら複数個のコイル回路がすべて正常である場合に比較して、正常であるコイル回路のコイルの負荷が増し、その結果、そのコイルが高温になったり、温度の上昇勾配が増加したりする。このような事実を利用することにより、本項に記載の装置においては、モータの温度とそれの時間的変化速度との少なくとも一方に基づき、複数個のコイル回路のいずれかが異常であるか否かが判定される。すなわち、この装置においては、モータの温度とそれの時間的変化速度との少なくとも一方が、複数個のコイル回路の少なくとも1個が異常であるか否かによって変化する信号として利用されているのである。
(7) 前記異常判定手段が、前記モータの温度とそれの時間的変化速度との少なくとも一方が基準値より増加した場合に、前記複数個のコイル回路の少なくとも1個が異常であると判定する手段を含む(6)項に記載の車両用電動ブレーキ装置〔請求項4〕。
(8) 互いに同じ時期に入力されたモータ出力電流信号とモータ位置信号とが整合しない場合に、前記複数個のコイル回路の少なくとも1個が異常であると判定する異常判定手段を含む(3)項に記載の車両用電動ブレーキ装置〔請求項5〕。
(9) 前記複数個のコイル回路が、互いに異なる磁気的特性を有するものである(1)項ない(8)項のいずれかに記載の車両用電動ブレーキ装置〔請求項6〕。
ここに「互いに異なる磁気的特性」は例えば、各コイル回路が正常である場合に各コイル回路から発生する磁気力を複数個のコイル回路間で互いに異ならせることによって実現したり、いずれも正常である複数個のコイル回路に同じ電流を供給した場合にそれら複数個のコイル回路から発生する磁気力が複数個のコイル回路間で互いに異なるようにすることによって実現することができる。具体的には、コイル巻数,コイル線径等を複数個のコイル回路間で互いに異ならせることによって実現することができる。
(10)さらに、前記モータの出力とそれの時間的変化速度との少なくとも一方に基づき、前記複数個のコイル回路のうち異常であるものを特定する異常コイル回路特定手段を含む(9)項に記載の車両用電動ブレーキ装置〔請求項7〕。
複数個のコイル回路の磁気的特性を互いに異ならせた場合には、複数個のコイル回路のうち異常であるものがいずれであるかによって、モータの出力およびそれの時間的変化速度が異なる。この事実を利用することにより、本項に記載の装置においては、モータの出力とそれの時間的変化速度との少なくとも一方に基づき、複数個のコイル回路のうち異常であるものが特定される。
(11)前記複数個のコイル回路が、磁気的特性が互いに異なる2個のコイル回路を含み、前記異常コイル回路特定手段が、前記モータの出力とそれの時間的変化速度との少なくとも一方が第1基準値より小さく、かつ、その第1基準値より小さい第2基準値より大きい場合に、前記2個のコイル回路のうち、正常状態で発生させ得る磁気力が小さい第1コイル回路が異常であると判定し、一方、前記モータの出力とそれの時間的変化速度との少なくとも一方が前記第2基準値より小さい場合に、前記2個のコイル回路のうち、正常状態で発生させ得る磁気力が大きい第2コイル回路が異常であると判定する手段を含む(10)項に記載の車両用電動ブレーキ装置。
(12)前記モータが、前記各コイル回路に属する複数個のコイルによって複数の相を構成するものであり、それら複数個のコイルのうち同じ相を構成するものがコイル対とされ、それにより、複数個のコイルが、複数個のコイル対から構成されるとともに、各コイル対が正常状態で発生させ得る磁気力の大きさが、複数個のコイル対間で互いに等しくされる一方、各コイル回路において複数個のコイルのうち少なくとも1個のコイルが正常状態で発生させ得る磁気力の大きさが、他の各コイルが正常状態で発生させ得る磁気力と異ならせられ、当該車両用電動ブレーキ装置が、さらに、前記モータの作動位置の時間的変化が滑らかである場合には、前記複数個のコイル回路がいずれも異常となってはいないと判定し、一方、滑らかでない場合には、複数個のコイル回路のいずれかが異常であると判定する異常判定手段を含む(1)項ないし(11)項のいずれかに記載の車両用電動ブレーキ装置。
ここで「相」は、複数個のコイルのうち、モータの回転において同じ位相を実現するために一緒に励磁されて磁気力を発生させる複数個のコイルから成るグループに対応している。
(13)前記モータドライバが、外部から供給されたモータ指令信号に基づいて前記電源から前記モータへ供給される電流を制御するものであり、当該車両用電動ブレーキ装置が、さらに、前記モータドライバに供給されたモータ指令信号と前記モータの出力とが整合しない場合に、モータが異常であると判定する異常判定手段を含む(1)項ないし(12)項のいずれかに記載の車両用電動ブレーキ装置。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のさらに具体的な実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明する。
【0006】
図1には、本発明の第1実施形態である車両用電動ブレーキ装置の電気的構成が示されている。このブレーキ装置は、4輪車両に搭載されている。このブレーキ装置においては、各輪に係る電気的構成が基本的に互いに共通するため、同図には、4輪のうちの1輪に係る電気的構成のみが代表的に示されている。
【0007】
ブレーキ装置は、各種センサを備えている。各種センサには、操作情報センサ10と車輪・車両情報センサ12とモータ情報センサ14とがある。操作情報センサ10は、運転者によるブレーキ操作に関する情報を検出するものであり、車輪・車両情報センサ12は、各輪および車両に関する情報を検出するものであり、モータ情報センサ14は、電動ブレーキ16のモータ18に係る情報を検出するものであるが、それらの詳細については後に説明する。また、ブレーキ装置は、モータ18に異常があることを運転者に知らせる警告器20も備えている。
【0008】
それらセンサは電子制御ユニット(以下、「ECU」と略称する。)30に接続され、そのECU30はモータドライバ34を介してモータ18に接続されている。
【0009】
ECU30は、主コントローラ36とモータコントローラ38とを備えている。主コントローラ36およびモータコントローラ38はいずれも、CPU,ROMおよびRAMを含むコンピュータを主体として構成されている。それら主コントローラ36およびモータコントローラ38は補助バッテリ40からの電力により作動させられる。
【0010】
主コントローラ36は、上記各種センサからの信号に基づき、モータ指令信号をモータコントローラ38に出力する。これに対して、モータコントローラ38は、主コントローラ36から入力されたモータ指令信号に基づき、モータ18に出力すべき電流を指示する指示信号をモータドライバ34に出力する。モータドライバ34は、図2に示すように、スイッチング素子としてのトランジスタ44を複数個有しており、それらトランジスタ44を使用することにより、図1に示すように、モータコントローラ38から入力された指示信号に基づき、主バッテリ46からモータ18に出力される電流を制御する。モータドライバ34は、さらに、指示信号に基づいてトランジスタ44に出力した信号に基づき、モータドライバ34からモータ18に実際に出力された電流を推定し、その推定した電流を表すモータ出力電流信号をモータコントローラ38に出力する。
【0011】
図2には、モータドライバ34とモータ18との電気的接続関係が詳細に示されている。モータ18は、モータドライバ34と共同することにより、U相,V相およびW相から成る3相のブラシレスDCモータを構成する。モータ18は、U相,V相およびW相をそれぞれ構成する複数個のコイル50がいわゆるスター結線方式で互いに接続されたコイル回路60を有する。モータ18は、そのようなコイル回路60を2個、互いに並列に接続された状態で備えている。コイル回路60が冗長性を持たせられているのである。これに対して、モータドライバ34は1個のみ、2個のコイル回路60に共通に設けられている。モータドライバ34は、トランジスタ44を各相ごとに2個備えている。各相ごとにコイル50に電流を、その向きを正逆方向のいずれかに選択して供給可能となっているのである。モータドライバ34には、結局、合計6個のトランジスタ44が設けられているが、それらトランジスタ44は、前記モータコントローラ38と主バッテリ46とに接続されており、モータコントローラ38は、それらトランジスタ44のうち適当なものにそれをONにするための信号を出力する。
【0012】
それらモータドライバ34と2個のコイル回路60とは、複数本のワイヤにより互いに接続されている。モータドライバ34は車両のばね上部材に、モータ18はばね下部材にそれぞれ取り付けられる。そのため、車両走行時にはそれらモータドライバ34とモータ18との間で相対変位が生じる。よって、その相対変位により複数本のワイヤに屈曲が生ずる。そのため、たとえコイル回路60を2個並列に接続しても、複数本のワイヤのうち屈曲が生じる部分を、モータドライバ34から延びる3本のワイヤで構成した場合には、それら3本のワイヤのいずれかでも断線すると、互いに並列な2個のコイル回路60のいずれも正常作動が確保されない。そこで、本実施形態においては、複数本のワイヤのうち屈曲が生じる部分が、互いに並列な2個のコイル回路60から延びる6本のワイヤ70で構成されている。したがって、本実施形態によれば、それら6本のワイヤ70のいずれかが断線しても、互いに並列な2個のコイル回路60のうち一方は正常作動が確保されないが、他方のコイル回路60は正常作動が確保される。
【0013】
本実施形態においては、冗長性を持たせられている電気回路がコイル回路60の他にもある。以下、そのような電気部品を説明するため、ブレーキ装置全体の電気的構成を図3を参照することにより、図1におけるより詳細に説明する。
【0014】
操作情報センサ10には、第1,第2および第3ストロークセンサ80,82,84と、操舵角センサ90と、ストップスイッチ92(図において「STOP.SW」で表す。)とがある。各ストロークセンサ80,82,84は、ブレーキ操作部材としてのブレーキペダルの操作ストロークを検出する。このようにストロークセンサ80,82,84が3個設けられているため、それら3個がすべて異常とならない限り、操作ストロークが検出可能となっている。操舵角センサ90は、ステアリングホイールの操舵角を検出する。ストップスイッチ92は、ブレーキペダルが操作されたことを検出する。
【0015】
車輪・車両情報センサ12には、4輪FL,FR,RL,RRの車輪速度をそれぞれ検出する4個の車輪速度センサ94,96,98,100と、車両のヨーレートを検出するヨーレートセンサ102と、車両の前後加速度または横加速度を連続的な値として検出するリニアGセンサ104とがある。
【0016】
モータ情報センサ14には、モータ18のコイル50に流れる電流を検出する電流センサ110と、モータ18のロータの位置(作動位置または回転位置)を検出する位置センサ112と、モータ18の温度を検出する温度センサ114とがある。電流センサ110は、各輪のモータ18ごとに設けられている。位置センサ112も、各輪のモータ18ごとに設けられている。各位置センサ112は、モータ18の回転軸線のまわりに等間隔で配置された9個のホール素子を主体として構成されている。温度センサ114も、各輪のモータ18ごとに設けられている。各温度センサ114は、サーミスタを主体として構成されている。
【0017】
なお、位置センサ112と共に、またはそれに代えて、モータ18によるブレーキ摩擦部材の加圧力を検出する加圧力センサを設け、それにより、モータ18の作動状態を検出してもよい。
【0018】
主コントローラ36は、3個設けられていて、第1,第2および第3主コントローラ36a,36b,36cとされている。3個の主コントローラ36a,36b,36cのいずれにも、3個のストロークセンサ80,82,84が接続されている。各主コントローラ36a,36b,36cは、3個のストロークセンサ80,82,84からの信号に基づき、操作ストロークを互いに独立に決定する。各主コントローラ36a,36b,36cは例えば、まず、3個のストロークセンサ80,82,84からの信号に基づいて3個の操作ストロークをそれぞれ暫定的に決定し、次に、暫定的に決定された3個の操作ストロークに対して多数決理論を適用することにより、最終的な操作ストロークを決定する。
【0019】
なお、3個のストロークセンサ80,82,84のうちの少なくとも1個を、ブレーキペダルの操作力を検出する操作力センサに代え、それら3個のセンサからの3個の信号に対して、必要な信号処理を加えて、多数決理論を適用してもよい。
【0020】
各主コントローラ36a,36b,36cは、各種センサから入力された信号に基づき、各輪ごとにモータ指令信号を互いに独立して演算する。ただし、第1主コントローラ36aには、第2および第3主コントローラ36b,36cとは異なり、4個の車輪速度センサ94,96,98,100と、ヨーレートセンサ102と、リニアGセンサ104と、操舵角センサ90と、ストップスイッチ92とが接続されている。そして、本実施形態においては、第1主コントローラ36aは、ブレーキペダルの操作ストロークのみならず、他の情報、すなわち、ヨーレート,車両加速度および操舵角を考慮してモータ指令信号を決定するのに対して、第2および第3主コントローラ36b,36cは、他の情報を考慮することなく、操作ストロークに基づいてモータ指令信号を決定するように設計されている。
【0021】
モータコントローラ38は、2個設けられていて、第1および第2モータコントローラ38a,38bとされている。第1モータコントローラ38aは、左右前輪FR,FLに関して設けられ、一方、第2モータコントローラ38bは、左右後輪RR,RLに関して設けられている。各モータコントローラ38a,38bは、3個の主コントローラ36a,36b,36cに接続されていて、それら3個の主コントローラ36a,36b,36cから入力された3個のモータ指令信号に基づき、各輪のモータ指令信号を最終的に決定する。各モータコントローラ38a,38bは例えば、第1主コントローラ36aが正常である場合には、それからのモータ指令信号を優先的に採用することにより、最終的なモータ指令信号を決定し、一方、第1主コントローラ36aが異常である場合には、第2および第3主コントローラ36b,36cからの2個のモータ指令信号に基づいて最終的なモータ指令信号を決定する。
【0022】
ところで、第1主コントローラ36aは、ストロークセンサ80,82,84からの信号のみならず、ヨーレートセンサ102等からの信号にも基づいてモータ指令信号を決定するのに対して、第2および第3主コントローラ36b,36cは、ヨーレートセンサ102等からの信号は考慮しないでモータ指令信号を決定する。そのため、第1主コントローラ36aにより決定されるモータ指令信号と、第2および第3主コントローラ36b,36cにより決定されるモータ指令信号とは厳密には互いに一致しない。しかし、それら3個の主コントローラ36a,36b,36cがいずれも正常である場合には、互いに近いものとなる。そこで、各モータコントローラ38a,38bは、3個の主コントローラ36a,36b,36cから入力された3個のモータ指令信号に対して多数決理論を適用することにより、最終的なモータ指令信号を決定することもできる。
【0023】
すなわち、本実施形態においては、各モータコントローラ38a,38bに関して主コントローラ36が3個、互いに並列に接続されていて、主コントローラ36も冗長性を持たせられているのである。
【0024】
各モータコントローラ38a,38bにはさらに、電流センサ110,位置センサ112,温度センサ114およびモータドライバ34も接続されている。モータドライバ34は、2個設けられていて、第1および第2モータドライバ34a,34bとされている。第1モータドライバ34aは、左右前輪FR,FL用とされ、一方、第2モータドライバ34bは、左右後輪RR,RL用とされている。第1モータコントローラ38aに接続される第1モータドライバ34aには、左右前輪FR,FL用のモータ18が接続され、これに対して、第2モータコントローラ38bに接続される第2モータドライバ34bには、左右後輪RR,RL用のモータ18が接続されている。各モータコントローラ38a,38bは、決定した最終的なモータ指令信号に基づき、かつ、電流センサ110,位置センサ112および温度センサ114によりそれぞれ検出されたモータ電流,モータ位置およびモータ温度をフィードバックすることにより、各モータドライバ34a,34bに出力する指示信号を決定する。
【0025】
補助バッテリ40は、3個設けられていて、第1,第2および第3補助バッテリ40a,40b,40cとされている。それら補助バッテリ40a,40b,40cは、車両の原動機としてのエンジンにより駆動される充電装置としてのオルタネータ(図において「ALT」で表す。)120により充電可能となっている。第1補助バッテリ40aは、リレー124および第1電源回路126を介して第1主コントローラ36aと接続されている。第2補助バッテリ40bは、リレー128および第2電源回路130を介して第2主コントローラ36bと接続されている。第3補助バッテリ40cは、リレー132および第3電源回路134を介して第3主コントローラ36cと接続されている。このように、3個の補助バッテリ40a,40b,40cは3個の主コントローラ36a,36b,36cに互いに独立に接続されているのであり、その結果、3個の補助バッテリ40a,40b,40cがすべて同時に異常とならない限り、いずれかの主コントローラ36a,36b,36cの正常作動が確保されるようになっている。すなわち、本実施形態においては、補助バッテリ40も冗長性を持たせられているのである。第2補助バッテリ40bは、さらに、リレー136およびモータFr系電源回路140を介して第1モータコントローラ38aにも接続されている。第3補助バッテリ40cは、さらに、リレー142およびモータRr系電源回路144を介して第2モータコントローラ38bにも接続されている。以上説明した5個の電源回路126,130,134,140,144はいずれも、各補助バッテリ40a,40b,40cから各主コントローラ36a,36b,36cおよび各モータコントローラ38a,38bに供給される電圧を目標範囲となるように調整する。
【0026】
以上の説明から明らかなように、3個の補助バッテリ40a,40b,40cと、3個の主コントローラ36a,36b,36cおよび2個のモータコントローラ38a,38bとの間には、5個のリレー124,128,132,136,142が設けられている。各リレー124,128,132,136,142は、常開の接点146と、励磁されれば磁気力を発生させて接点146を閉じさせるコイル148とを主体として構成されている。コイル148は、各リレーごとに2個、互いに並列に設けられ、それぞれ第1コイル148a、第2コイル148bとされている。5個のリレー124,128,132,136,142はいずれも、第1コイル148aにおいて第1補助バッテリ40aと第1イグニションスイッチ150を介して接続され、第2コイル148bにおいて第1補助バッテリ40aと第2イグニションスイッチ152を介して接続されている。それら2個のイグニションスイッチ150,152は、運転者によるキースイッチ(図示しない)の操作に連動させられる。それら2個のイグニションスイッチ150,152の少なくとも一方がONにされれば、5個のリレー124,128,132,136,142のすべてにおいて接点146が閉じられ、各補助バッテリ40a,40b,40cから各コントローラ36a,36b,36c,38a,38bに電流が供給される。このように、本実施形態においては、イグニションスイッチ150,152も2個、互いに並列に接続されており、イグニションスイッチ150,152も冗長性を持たせられているのである。
【0027】
なお付言すれば、本実施形態においては、第1および第2イグニションスイッチ150,152から成るイグニションスイッチ対が1個のみとされて5個のリレー124,128,132,136,142間で共通とされていた。ブレーキ装置に使用されるイグニションスイッチの数が節減されていたのである。しかしながら、そのようなイグニションスイッチ対の数を2個以上として本発明を実施することが可能である。例えば、イグニションスイッチ対の数を5個とし、それら5個のイグニションスイッチ対を5個のリレー124,128,132,136,142にそれぞれ互いに独立に接続することが可能であり、このようにすれば、イグニションスイッチ対も冗長性を持たせられることになる。
【0028】
主バッテリ46は、2個設けられていて、第1および第2主バッテリ46a,46bとされている。第1主バッテリ46aは、左右前輪FR,FL用の第1モータドライバ34aに接続されている。これに対して、第2主バッテリ46bは、左右後輪RR,RL用の第2モータドライバ34bに接続されている。すなわち、本実施形態においては、主バッテリ46も冗長性を持たせられているのである。
【0029】
図1に示す電動ブレーキ16は、ディスク式としたり、ドラム式とすることができるが、本実施形態においては、ディスク式が採用されている。そして、図4にはそのディスク式の一例が第1電動ブレーキ160、図5には別の例が第2電動ブレーキ162としてそれぞれ詳細に示されている。
【0030】
いずれの電動ブレーキ160,162においても、モータ18は、ステータ170とロータ172とが同軸に相対回転可能に配置されて構成されている。ステータ170は、前記コイル50とコア176とを備えている。コイル50は、コア176に巻き付けられて保持されている。これに対して、ロータ172は、周方向においてN極とS極とに交互に着磁された永久磁石178をステータ170に対向する位置に備えている。
【0031】
図6には、コア176とモータ18のハウジング(本実施形態においては、後述のキャリパ)のうちそのコア176を収容する部分とが断面図で示されている。コア176には、導体としてのワイヤが巻き付けられる巻付け部180が9個、周方向において等間隔で形成されている。ところで、各コイル回路60につき、図2においては、各相ごとにコイル50が1個ずつ示されているが、実際には、図7に示すように、各相ごとにコイル50が3個ずつ設けられている。U相については、コイルU1 ,U2 およびU3 が設けられ、V相については、コイルV1 ,V2 およびV3 が設けられ、W相については、コイルW1 ,W2 およびW3 が設けられているのである。そして、コア176の9個の巻付け部180においては、図6に示すように、周方向において互いに等間隔に配置された3個が1対とされ、合計で3対とされている。U相に対応する対が、3個の巻付け部180(U1 ),180(U2 )および180(U3 )により構成され、V相に対応する対が、3個の巻付け部180(V1 ),180(V2 )および180(V3 )により構成され、W相に対応する対が、3個の巻付け部180(W1 ),180(W2 )および180(W3 )により構成されている。それら3対の巻付け部180にワイヤが巻き付けられることにより、コイルU1 ,U2 およびU3 により構成されるU相のコイル50と、コイルV1 ,V2 およびV3 により構成されるV相のコイル50と、コイルW1 ,W2 およびW3 により構成されるW相のコイル50とがそれぞれ形成される。
【0032】
本実施形態においては、前述のように、コイル回路60が2個、互いに並列に設けられている。本実施形態においては、一つの巻付け部180をコア176の軸心Oの方向において見た図8に示すように、それら2個のコイル回路60をそれぞれ構成するワイヤ▲1▼,▲2▼が一つに束ねられ、その束ねられたワイヤ▲1▼,▲2▼が巻付け部180に巻き付けられ、それにより、互いに並列な2個のコイル50,50が形成され、ひいては、互いに並列な2個のコイル回路60,60が形成される。
【0033】
ただし、それら2個のコイル回路60は他の方式によっても形成することができる。例えば、一つの巻付け部180を図8におけると同様にして見た図9に示すように、まず、巻付け部180を内周側部分と外周側部分とに仕切り、次に、巻付け部180のうち内周側部分に一方のワイヤ▲1▼を巻き付けるとともに、外周側部分に他方のワイヤ▲2▼を巻き付ければ、互いに並列な2個のコイル50,50を形成し、ひいては、互いに並列な2個のコイル回路60,60を形成することができる。
【0034】
また、コア176をそれの軸心Oと直角な方向において見た図10に示すように、コア176を2個、互いに同軸に並べて配置し、かつ、それら2個のコア176にワイヤ▲1▼,▲2▼をそれぞれ巻き付ければ、互いに並列な2個のコイル50,50を形成し、ひいては、互いに並列な2個のコイル回路60,60を形成することができる。
【0035】
図4および図5に示す第1および第2電動ブレーキ160,162はいずれも、よく知られたものであるため、簡単に説明する。いずれの電動ブレーキ160,162も、(a) 車輪と共に回転するディスク(回転体)190と、(b) そのディスク190の両側においてディスク190を挟むように配置された一対の摩擦パッド(摩擦材)192a,192bと、(c) ディスク190を跨いでそれら一対の摩擦パッド192,192を保持するキャリパ194とを備えている。キャリパ194は固定部材に、ディスク190に対してそれの軸線方向に摺動可能に取り付けられる。このキャリパ194には、一方の摩擦パッド192aに背後から係合するリアクション部196と、他方の摩擦パッド192bに背後から係合する押圧ロッド200を、それの軸線方向に移動可能に支持する押圧部202とが形成されている。その押圧部202にモータ18が内蔵されている。
【0036】
図4の第1電動ブレーキ160においては、モータ18の回転力が遊星歯車装置210およびボールねじ機構212を経て押圧ロッド200に伝達される。
【0037】
遊星歯車装置210は、よく知られたものであるため、簡単に説明する。遊星歯車装置210は、(a) ロータ172と一体的に回転するサンギヤ216と、(b) 上記押圧部202に位置固定に形成されたリングギヤ218と、(c) それらサンギヤ216とリングギヤ218とにかみ合わされた複数個のプラネタリギヤ220と、(d) それらプラネタリギヤ220の公転中心と同軸な回転中心を有してそれらプラネタリギヤ220と一体的に回転するキャリア222とを含むように構成されている。キャリア222は押圧部202により、複数個のベアリング224を介して回転可能に支持されている。
【0038】
これに対して、ボールねじ機構212も、よく知られたものであるため、簡単に説明する。ボールねじ機構212は、(a) キャリア222と一体的に回転するめねじ部材228と、(b) そのめねじ部材228に複数個のボールを介して摺動可能に螺合されたおねじ部材230とを含むように構成されている。めねじ部材228は、回転は許容されるが、軸方向移動は阻止されている。一方、おねじ部材230は、軸方向移動は許容されるが、回転は阻止されている。おねじ部材230は押圧ロッド200と一体に形成されている。その結果、めねじ部材228の回転運動がおねじ部材230および押圧ロッド200の直線運動に変換される。
【0039】
これに対して、図5の第2電動ブレーキ162においては、モータ18の回転力がローラねじ機構240を経て押圧ロッド200に伝達される。ローラねじ機構240は、前記国際公開明細書WO 96/03301に開示されたローラねじ機構や、特開平10−159931号公報に記載されたローラねじ機構と類似するため、簡単に説明する。
【0040】
ローラねじ機構240は、ロータ172と一体的に回転するナット242と、そのナット242の内側に同軸に配置されたねじシャフト244とを備えている。本実施形態においては、ナット242がキー246によりロータ172と結合されている。また、ナット242は押圧部202により、複数個のベアリング248を介して回転可能に支持されている。ローラねじ機構240は、さらに、それらナット242とねじシャフト244との間においてそれらとかみ合わされる複数本のねじローラ250を備えている。それら複数本のねじローラ250は図示しないリテーナ(ケージ)に保持され、それにより、それらねじローラ250はねじシャフト244に対して、それと平行な姿勢で、かつ、周方向において互いに等間隔な位置において回転可能とされている。ナット242のねじ面には、それと同軸に延びる溝(図示しない)が形成されており、ナット242とねじシャフト244とが相対回転すれば、ねじローラ250がナット242内を公転し、それに伴って、ねじローラ250が軸線方向に移動する。ねじローラ250がナット242内を公転して上記溝に嵌入すれば、ねじローラ250がナット242とねじシャフト244との双方から離脱する。離脱したねじローラ250は、ナット242に固定の戻し部材(図示しない)によって元の軸方向位置に戻され、再びナット242とねじシャフト244との間に入り込んで公転を開始する。ねじシャフト244は押圧ロッド200と一体に形成されている。その結果、ナット242の回転運動がねじシャフト244および押圧ロッド200の直線運動に変換される。
【0041】
以上説明した第1および第2電動ブレーキ160,162においては、モータ18を作動位置から非作動位置に復帰させるために、押圧ロッド200からの反力に依存するのみでは不十分である。図11には、モータ18への出力電流と、押圧ロッド200が摩擦パッド192を加圧するパッド加圧力との関係が、2個の電動ブレーキ160,162についてそれぞれグラフで表されている。第1電動ブレーキ160、すなわち、運動変換機構として遊星歯車装置210とボールねじ機構212とを有する電動ブレーキについては、モータ出力電流を増加させてパッド加圧力を増加させた後、モータ出力電流を減少させると、ある値に減少するまでは、パッド加圧力が保持され、その後、減少する。これに対して、第2電動ブレーキ162、すなわち、運動変換機構としてローラねじ機構240を有する電動ブレーキについては、モータ出力電流を増加させてパッド加圧力を増加させた後、モータ出力電流を減少させても、パッド加圧力が保持される。したがって、電動ブレーキ160,162の作動状態でモータ18が異常となってしまうと、第1電動ブレーキ160においては、最終的にはパッド加圧力が0に減少するが、正常である場合に比較して時間がかかり、また、第2電動ブレーキ162においては、パッド加圧力が0に減少しない。よって、いずれの場合にも、電動ブレーキ160,162の作動状態から非作動状態への復帰を確保するためには、モータ18を逆回転させることが必要であり、そのためには、モータ18が異常とならないことが必要である。
【0042】
そのような事情から、本実施形態においては、モータ18のコイル回路60が冗長性を持たせられているのであり、その結果、2個のコイル回路60が同時に異常とならない限り、モータ18の作動が確保され、電動ブレーキ16の作動状態から非作動状態への復帰も確保される。
【0043】
前記第1および第2モータコントローラ38には、モータ18が異常であるか否かを判定し、異常である場合にはそのことを運転者に警告する機能が付加されている。各モータコントローラ38のROMに、モータ異常判定のためのルーチンが記憶されているのである。
【0044】
図12には、そのモータ異常判定ルーチンがフローチャートで表されている。本ルーチンは、第1モータコントローラ38aにおいては、左前輪と右前輪とについて順にかつ繰返し実行され、一方、第2モータコントローラ38bにおいては、左後輪と右後輪とについて順に繰返し実行される。いずれのモータコントローラ38a,38bにおいても、各回の実行時には、まず、ステップS1(以下、単に「S1」で表す。他のステップについても同じとする。)において、対応するモータドライバ34からモータ出力電流信号が入力される。次に、S2において、対応する位置センサ112からモータ位置信号が入力される。その後、S3において、互いにほぼ同じ時期に入力されたモータ出力電流信号とモータ位置信号とが整合しないか否かが判定される。例えば、モータ出力電流信号に正規に対応すべきモータ位置信号と実際のモータ指令信号とのずれが基準値より大きいか否かが判定されるのである。今回は、整合しないと仮定すれば、判定がNOとなり、S4において、対応する車輪のモータ18が異常であると判定され、続いて、S5において、前記警告器20を作動させることにより、そのことが運転者に警告される。その後、S6において、モータ18の作動位置を非作動位置に復帰させるための信号がモータドライバ34に出力される。モータ18を逆回転させるための信号が出力されるのである。以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。これに対して、今回は、互いにほぼ同じ時期に入力されたモータ出力電流信号とモータ位置信号とが整合していると仮定すれば、S3の判定がNOとなり、S4ないしS6がスキップされる。以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0045】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、モータドライバ34と、位置センサ112と、モータコントローラ38のうち図12のルーチンを実行する部分とが互いに共同して「異常時モータ復帰手段」の一例を構成しているのである。
【0046】
次に、本発明の第2実施形態である車両用電動ブレーキ装置を説明する。ただし、本実施形態は、第1実施形態と共通する要素が多く、異なるのはモータ異常判定ルーチンのみであるため、そのルーチンのみを詳細に説明し、他の要素については同一の符号を使用することによって詳細な説明を省略する。
【0047】
第1実施形態においては、互いにほぼ同じ時期に入力されたモータ出力電流信号とモータ位置信号との相対的な関係に基づいてモータ18が異常であるか否かが判定されるようになっているが、本実施形態においては、モータ温度の変化勾配に基づいてモータ18が異常であるか否かが判定される。
【0048】
図13には、本実施形態におけるモータ異常判定ルーチンがフローチャートで表されている。本ルーチンも複数個の車輪について順にかつ繰返し実行される。各回の実行時には、まず、S11において、対応する車輪のモータ温度センサ114からモータ温度信号が入力され、次に、S12において、今回入力されたモータ温度信号と、本ルーチンの前回の実行時に入力されたモータ温度信号(それの情報がRAMに記憶されている)との差を求めることにより、モータ温度Tの変化勾配dT/dtが演算される。続いて、S13において、演算された変化勾配dT/dtが基準値Aより大きいか否かが判定される。2個のコイル回路60の一方が断線すると、正常なコイル回路60の負荷が、いずれのコイル回路60も正常であった場合におけるより増し、そうすると、正常なコイル回路60の温度の上昇勾配が増加する傾向がある。このような事実に基づき、本実施形態においては、演算された変化勾配dT/dtが基準値Aより大きいか否かを判定することにより、2個のコイル回路60の一方が断線したという異常がモータ18に発生したか否かが判定される。今回は、演算された変化勾配dT/dtが基準値Aより大きいと仮定すれば、判定がYESとなり、S14において、モータ18が異常であると判定され、その後、S15およびS16が、第1実施形態におけるS5およびS6と同様に実行される。以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。これに対して、今回は、演算された変化勾配dT/dtが基準値Aより大きくはないと仮定すれば、S13の判定がYESとなり、S14〜S16がスキップされる。以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0049】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、温度センサ114と、モータコントローラ38のうち図13のルーチンを実行する部分とが互いに共同して「異常時モータ復帰手段」の一例を構成しているのである。
【0050】
次に、本発明の第3実施形態である車両用電動ブレーキ装置を説明する。ただし、本実施形態は、第1実施形態と共通する要素が多く、異なるのはモータ異常判定ルーチンのみであるため、そのルーチンのみを詳細に説明し、他の要素については同一の符号を使用することによって詳細な説明を省略する。
【0051】
第1実施形態においては、互いにほぼ同じ時期に入力されたモータ出力電流信号とモータ位置信号との相対的な関係に基づいてモータ18が異常であるか否かが判定されるようになっているが、本実施形態においては、図15に概念的に示すように、モータ位置θの変化速度(変化勾配)dθ/dtが、モータ18が正常である場合において断線等、異常である場合におけるより小さくなるという事実に着目することにより、変化速度dθ/dtに基づいてモータ18が異常であるか否かが判定される。
なお、変化速度dθ/dtは例えば、前記加圧力センサにより検出されたパッド加圧力の変化速度に変えることができる。
【0052】
本実施形態においては、変化速度dθ/dtが基準値Bより小さい場合に、2個のコイル回路60のいずれかが断線しているか、または双方とも断線していると判定されるが、2個のコイル回路60のいずれも断線していないのであれば変化速度dθ/dtが基準値B以上になるような信号をECU30がモータドライバ34に供給していない期間中に、上記の判定を行ったのでは、実際には正常であるモータ18が異常であると誤って判定されることになってしまう。そこで、本実施形態においては、2個のコイル回路60のいずれも断線していないのであれば変化速度dθ/dtが基準値B以上になる信号をECU30がモータドライバ34に供給している期間中に限って上記の判定が行われるようになっており、それにより、判定の精度が向上させられている。
【0053】
図14には、本実施形態におけるモータ異常判定ルーチンがフローチャートで表されている。本ルーチンも複数個の車輪について順にかつ繰返し実行される。各回の実行時には、まず、S31において、モータドライバ34からモータ出力電流信号が入力される。次に、S32において、入力されたモータ出力電流信号と、本ルーチンの前回の実行時に入力されたモータ出力電流信号(それの情報がRAMに記憶されている)との差を求めることにより、モータ出力電流の変化速度dI/dtが演算される。続いて、S33において、演算された変化速度dI/dtが正の下限値X1 より大きく、かつ、正の上限値X2 (>X1 )より小さいか否かが判定される。演算された変化速度dI/dtが、モータ異常判定に適正な範囲にあるか否かが判定されるのである。今回は、適正範囲にあると仮定すれば、判定がYESとなり、S34以下に移行する。これに対して、今回は、演算された変化速度dI/dtが適正範囲にないと仮定すれば、判定がNOとなり、本ルーチンの一回の実行が直ちに終了する。
【0054】
演算された変化速度dI/dtが適正範囲にある場合には、S34において、位置センサ112からモータ位置信号が入力され、続いて、S35において、入力されたモータ位置信号と、本ルーチンの前回の実行時に入力されたモータ位置信号(それの情報がRAMに記憶されている)との差を求めることにより、モータ位置の変化速度dθ/dtが演算される。その後、S36において、演算された変化速度dθ/dtが基準値Bより小さいか否かが判定される。今回は、小さいと仮定すれば、判定がYESとなり、S37において、モータ18が異常であると判定され、その後、S38およびS39が、第1実施形態におけるS5およびS6と同様に実行される。以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。これに対して、今回は、演算された変化速度dθ/dtが基準値Bより小さくはないと仮定すれば、S36の判定がNOとなり、S37ないしS39がスキップされる。以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0055】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、モータドライバ34と、位置センサ112と、モータコントローラ38のうち図14のルーチンを実行する部分とが互いに共同して「異常時モータ復帰手段」の一例を構成し、また、位置センサ112と、モータコントローラ38のうち図14のS34ないしS37を実行する部分とが互いに共同して「異常判定手段」の一例を構成しているのである。
【0056】
次に、本発明の第4実施形態である車両用電動ブレーキ装置を説明する。ただし、本実施形態は、第3実施形態と共通する要素が多く、異なるのはモータ異常判定ルーチンのみであるため、そのルーチンのみを詳細に説明し、他の要素については同一の符号を使用することによって詳細な説明を省略する。
【0057】
第3実施形態においては、モータ18が異常であるか否かは判定できるが、2個のコイル回路60のいずれかが異常である場合に、2個のコイル回路60のうち異常であるものを特定することはできない。各コイル回路60の磁気的特性、すなわち、モータ電流とコイル磁気力との関係が2個のコイル回路60間で互いに等しくされているからである。
【0058】
本実施形態においては、各コイル回路60が同じ電流により発生させ得る磁気力が、第1コイル回路60において第2コイル回路60におけるより小さくされている。したがって、図17に概念的に示すように、発生磁気力が小さい第1コイル回路60のみが異常である場合(断線している場合)には、モータ位置θの変化速度が、2個のコイル回路60が共に正常である場合におけるよりは小さいが、発生磁気力が大きい第2コイル回路60のみが異常である場合(断線している場合)におけるよりは大きくなる。そして、本実施形態においては、モータ位置θの変化速度が、第1基準値C1 より小さく、かつ、その第1基準値C1 より小さい第2基準値C2 より大きい場合には、第1コイル回路60のみが異常であると判定され、また、第2基準値C2 より小さく、かつ、その第2基準値C2 より小さい第3基準値C3 より大きい場合には、第2コイル回路60のみが異常であると判定され、また、第3基準値C3 より小さい場合には、2個のコイル60回路の双方が異常であると判定される。
【0059】
図16には、本実施形態におけるモータ異常判定ルーチンがフローチャートで表されている。本ルーチンも複数個の車輪について順にかつ繰返し実行される。各回の実行時には、まず、S51ないしS55が、第3実施形態におけるS31ないしS35と同様に実行される。その後、S56において、演算されたモータ位置θの変化速度dθ/dtが第1基準値C1 より小さいか否かが判定される。今回は、小さいと仮定すれば、判定がYESとなり、S57において、演算された変化速度dθ/dtが第2基準値C2 (<C1 )より大きいか否かが判定される。今回は、大きいと仮定すれば、S58において、第1コイル回路60のみが異常であると判定される。その後、S59において、モータ18に異常があることが警告器20を介して運転者に警告され、続いて、S60において、第1コイル回路60のみが異常であることが図示しない表示器を介して運転者に表示される。その後、S61において、第3実施形態におけるS39と同様にして、モータ18の作動位置を初期位置に復帰させるための信号が2個のモータ回路60に供給される。以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0060】
これに対して、今回は、演算された変化速度dθ/dtが第2基準値C2 より大きくはないと仮定すれば、S57の判定がNOとなり、S62において、演算された変化速度dθ/dtが第3基準値C3 (<C2 )より大きいか否かが判定される。今回は、大きいと仮定すれば、S63において、第2コイル回路60のみが異常であると判定される。その後、S59ないしS61が実行される。以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。また、演算された変化速度dθ/dtが第3基準値C3 より大きくはないと仮定すれば、S62の判定がNOとなり、S64において、2個のコイル回路60が共が異常であると判定される。その後、S59ないしS61が前記の場合と同様に実行される。以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0061】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、モータドライバ34と、位置センサ112と、モータコントローラ38のうち図16のルーチンを実行する部分とが互いに共同して「異常時モータ復帰手段」の一例を構成し、また、位置センサ112と、モータコントローラ38のうち図16のS54ないしS58およびS62ないしS64を実行する部分とが互いに共同して「異常コイル回路特定手段」の一例を構成しているのである。
【0066】
次に、本発明の第5実施形態である車両用電動ブレーキ装置を説明する。ただし、本実施形態は、第1実施形態と共通する要素が多く、異なるのはモータドライバおよびコイル回路のみであるため、それらモータドライバおよびコイル回路のみを詳細に説明し、他の要素については同一の符号を使用することによって詳細な説明を省略する。
【0069】
第1実施形態においては、各輪につき、2個のコイル回路60に属する6個のコイル50が正常状態で発生させ得る磁気力が互いに等しくされている。これに対して、本実施形態においては、図18に示すように、各輪につき、それら6個のコイル50において、同じ位相(U相,V相,W相)を構成する2個がコイル対とされ、結局、6個のコイル50が、3個のコイル対から構成されている。一方のコイル回路60は、コイル(1)〜(3)を有し、他方のコイル回路60は、コイル(4)〜(6)を有していて、それら6個のコイル(1)〜(6)において、コイル(1)と(4)、コイル(2)と(5)、コイル(3)と(6)がそれぞれコイル対を構成しているのである。そして、本実施形態においては、正常状態で各コイル対が発生させ得る磁気力は、3個のコイル対間で互いに等しくされる一方、各コイル回路60において3個のコイル50のうち少なくとも1個が正常状態で発生させ得る磁気力が、他の各コイル50が正常状態で発生させ得る磁気力と異ならせられている。したがって、6個のコイル50がいずれも正常である状態で3個のコイル対に順に通電した場合には、図20において実線グラフで示すように、モータ18の回転位置θが時間の経過につれて実質的に変化しない勾配を有して増加するのに対して、2個のコイル回路60のいずれかを選んで、そのコイル回路60の3個のコイル50に順に通電した場合には、同図において破線グラフで示すように、回転位置θが時間の経過につれて変化する勾配を有して増加する。
【0070】
そして、本実施形態においては、2個のコイル回路60が異常であるか否かを判定するために、モータ18の回転位置θの時間的変化が監視され、その時間的変化が滑らかである場合には、2個のコイル回路60が共に正常であると判定され、一方、滑らかでない場合には、2個のコイル回路60のいずれかが異常であると判定される。
【0071】
図19には、そのようなモータ異常判定を行うためのルーチンであって、前記ECU30により実行されるものがフローチャートで表されている。本ルーチンは、複数個の車輪について順にかつ繰返し実行される。各回の実行時には、まず、S81において、位置センサ112から信号が入力され、次に、S82において、入力された信号と、本ルーチンの前回の実行時に入力された信号(それの情報がRAMに記憶されている)との差に基づき、モータ位置θの変化量Δθが演算される。続いて、S83において、演算された変化量Δθの、本ルーチンの前回の実行時に演算された変化量Δθからの変化量ΔΔθが演算される。その後、S84において、演算された変化量ΔΔθの絶対値が基準値Dより大きいか否かが判定される。モータ18の回転位置θの時間的変化が滑らかであるか否かが判定されるのである。今回は、演算された変化量ΔΔθの絶対値が基準値Dより大きいと仮定すれば、判定がYESとなり、S85において、モータ18が異常であると判定され、その後、S86およびS87が第1実施形態におけるS5およびS6と同様に実行される。以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。これに対して、今回は、演算された変化量ΔΔθの絶対値が基準値Dより大きくはないと仮定すれば、S84の判定がNOとなり、本ルーチンの一回の実行が直ちに終了する。
【0072】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、位置センサ112と、モータコントローラ38のうち図19のルーチンを実行する部分とが互いに共同して「異常時モータ復帰手段」の一例を構成しているのである。
【0073】
以上、本発明のいくつかの実施形態を図面に基づいて詳細に説明したが、これらの他にも、特許請求の範囲を逸脱することなく、当業者の知識に基づいて種々の変形,改良を施した形態で本発明を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態である車両用電動ブレーキ装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】 図1におけるモータドライバとコイル回路とを取り出して詳細に示す電気回路図である。
【図3】 図1に示すブレーキ装置の電気的構成をさらに詳細に示す電気回路図である。
【図4】 図1における電動ブレーキの一例を示す正面断面図である。
【図5】 図1における電動ブレーキの別の例を示す正面断面図である。
【図6】 図4および図5におけるモータにおけるコアを示す正面図である。
【図7】 そのコアに巻き付けられるコイルを示す電気回路図である。
【図8】 そのコアにコイルが巻き付けられる一方式を示す正面図である。
【図9】 そのコアにコイルが巻き付けられる別の方式を示す正面図である。
【図10】 そのコアにコイルが巻き付けられるさらに別の方式を示す側面図である。
【図11】 図4および図5に示す2個の電動ブレーキのモータ出力電流−パッド加圧力特性を示すグラフである。
【図12】 図1におけるモータコントローラのコンピュータにより実行されるモータ異常判定ルーチンを示すフローチャートである。
【図13】 本発明の第2実施形態である車両用電動ブレーキ装置におけるモータコントローラのコンピュータにより実行されるモータ異常判定ルーチンを示すフローチャートである。
【図14】 本発明の第3実施形態である車両用電動ブレーキ装置におけるモータコントローラのコンピュータにより実行されるモータ異常判定ルーチンを示すフローチャートである。
【図15】 図14のモータ異常判定ルーチンによりモータの異常の有無が判定される原理を説明するためのグラフである。
【図16】 本発明の第4実施形態である車両用電動ブレーキ装置におけるモータコントローラのコンピュータにより実行されるモータ異常判定ルーチンを示すフローチャートである。
【図17】 図16のモータ異常判定ルーチンによりモータの異常の有無が判定される原理を説明するためのグラフである。
【図18】 本発明の第5実施形態である車両用電動ブレーキ装置におけるモータドライバとモータのコイル回路とを示す電気回路図である。
【図19】 図18におけるモータコントローラのコンピュータにより実行されるモータ異常判定ルーチンを示すフローチャートである。
【図20】 図19のモータ異常判定ルーチンによりモータの異常の有無が判定される原理を説明するためのグラフである。
【符号の説明】
16 電動ブレーキ
18 モータ
30 電子制御ユニットECU
34 モータドライバ
50 コイル
60 コイル回路
70 ワイヤ

Claims (7)

  1. 電源と、
    少なくとも1個のコイルを備えたコイル回路を有するとともに励磁されたコイルから発生する磁気力により駆動されるモータを有し、そのモータにより駆動されることによって車輪の回転を抑制する電動ブレーキと、
    前記電源から前記コイル回路に電流を供給することにより、前記モータを駆動するモータドライバと
    を含む車両用電動ブレーキ装置において、
    前記モータドライバを車両のばね上部材に、前記モータをばね下部材にそれぞれ取り付けるとともに、前記モータ1つに複数個の前記コイル回路を並列に設け、それら複数個のコイル回路からそれぞれ延びる複数本のワイヤを前記ばね上部材上において1つにまとめて前記モータドライバに接続し、かつ、前記複数個のコイル回路の少なくとも1個が異常な状態において正常なコイル回路に通電して前記モータを作動させる手段を設けたことを特徴とする車両用電動ブレーキ装置。
  2. 前記複数個のコイル回路の少なくとも1個が異常である場合に、前記モータを非作動位置に復帰させるための信号を前記モータドライバに供給する異常時モータ復帰手段を設けた請求項1に記載の車両用電動ブレーキ装置。
  3. 前記モータドライバが、前記複数個のコイル回路がすべて正常である場合に、それらすべてのコイル回路を使用することによって前記モータを駆動するものであり、当該車両用電動ブレーキ装置が、前記モータの出力とそれの時間的変化速度との少なくとも一方が基準値より低下した場合に、前記複数個のコイル回路の少なくとも1個が異常であると判定する異常判定手段を含む請求項1または2に記載の車両用電動ブレーキ装置。
  4. 前記モータドライバが、前記複数個のコイル回路がすべて正常である場合に、それらすべてのコイル回路を使用することによって前記モータを駆動するものであり、当該車両用電動ブレーキ装置が、前記モータの温度とそれの時間的変化速度との少なくとも一方が基準値より増加した場合に、前記複数個のコイル回路の少なくとも1個が異常であると判定する異常判定手段を含む請求項1または2に記載の車両用電動ブレーキ装置。
  5. 前記モータドライバが、前記複数個のコイル回路がすべて正常である場合に、それらすべてのコイル回路を使用することによって前記モータを駆動するものであり、当該車両用電動ブレーキ装置が、互いに同じ時期に入力されたモータ出力電流信号とモータ位置信号とが整合しない場合に、前記複数個のコイル回路の少なくとも1個が異常であると判定する異常判定手段を含む請求項1または2に記載の車両用電動ブレーキ装置。
  6. 前記複数個のコイル回路が、互いに異なる磁気的特性を有するものである請求項ないし5のいずれかに記載の車両用電動ブレーキ装置。
  7. 記モータの出力とそれの時間的変化速度との少なくとも一方に基づき、前記複数個のコイル回路のうち異常であるものを特定する異常コイル回路特定手段を含む請求項6に記載の車両用電動ブレーキ装置。
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