JP2017043357A - 電動ブレーキシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】 電源系統の冗長性を備えると共に構成部品の搭載スペースの自由度を高めることができる電動ブレーキシステムを提供する。
【解決手段】 この電動ブレーキシステムは、複数の電動ブレーキ装置を備える。各電動ブレーキ装置の制御装置2は、電源装置3から電動ブレーキ装置への電力供給の異常の有無を判断する異常判断部26と、異常判断部26により、第1の電源装置3から電動ブレーキ装置への電力供給に異常有りと判断したとき、定められた条件に従って第2の電源装置18を用いて前記ブレーキ力を制御する冗長機能制御部27とを有する。冗長機能制御部27は、前記定められた条件として、少なくとも異常判断部26で電力供給に異常が無いと判断された全ての電動ブレーキ装置だけでは所望のブレーキ力が出せないとき、第2の電源装置18を用いて前記ブレーキ力を制御する。
【選択図】 図3

Description

この発明は、電動ブレーキ装置を複数設けた電動ブレーキシステムに関し、補助電源を限定して用いることで、冗長機能を備えると共に補助電源の搭載スペースを確保し得る技術に関する。
電動ブレーキ装置として、以下の技術が提案されている。
1.ブレーキペダルを踏み込むことで、モータの回転運動を直動機構を介して直線運動に変換して、ブレーキパッドをブレーキディスクに押圧接触させて制動力を付加する技術(特許文献1)。
2.遊星ローラねじ機構を使用した電動式直動アクチュエータ(特許文献2)。
特開平6−327190号公報 特開2006−194356号公報
特許文献1,2のような電動ブレーキ装置を用いた電動ブレーキシステムにおいて、電源系統の冗長性の向上が大きな課題となる。その際、主電源とは別の補助電源を設ける方法と、主電源からの送電系統を多重化する方法が主に考えられる。
送電系統の多重化について、一般に電動ブレーキ装置のモータ定格電流を保証する際にハーネスが太くなる場合があり、組立工数の増加、ハーネスのコスト、配線スペースの面から送電系統の多重化が困難な場合がある。
一方で、主電源とは別の補助電源を設ける場合、例えば、ディスクブレーキにおいて、モータ、制御装置、補助電源を全てブレーキキャリパに設けることで、ブレーキキャリパ上で完結した電源冗長系を構成することができる。
また、一般に車両の主電源はエネルギ密度の高いバッテリで構成する場合が多いが、充放電サイクルへの耐性が低い、充放電時の電流密度が低い、等の課題があり、例えば、前記補助電源をキャパシタで構成すれば、前記の課題の改善が期待できる。
しかしながら、補助電源を用いる場合、補助電源の搭載スペースが限られてしまう場合があり、大きなエネルギの蓄電が困難となる可能性がある。
この発明の目的は、電源系統の冗長性を備えると共に構成部品の搭載スペースの自由度を高めることができる電動ブレーキシステムを提供することである。
この発明の電動ブレーキシステムは、ブレーキロータ8と、このブレーキロータ8に接触させる摩擦部材9と、この摩擦部材9を前記ブレーキロータ8に接触させる摩擦部材操作手段6と、この摩擦部材操作手段6を駆動する電動モータ4と、この電動モータ4を制御することによりブレーキ力を制御する制御装置2とを備える電動ブレーキ装置を複数設けた電動ブレーキシステムにおいて、
前記各電動ブレーキ装置における前記電動モータ4に電力を供給する第1および第2の電源装置3,18を設け、
前記各電動ブレーキ装置の前記制御装置2は、
前記第1および第2の電源装置3,18から前記電動ブレーキ装置への電力供給の異常の有無を判断する異常判断部26と、
この異常判断部26により、前記第1の電源装置3から前記電動ブレーキ装置への電力供給に異常有りと判断したとき、定められた条件に従って前記第2の電源装置18を用いて前記ブレーキ力を制御する冗長機能制御部27と、
を有し、
この冗長機能制御部27は、前記定められた条件として、少なくとも、前記異常判断部26で電力供給に異常が無いと判断された全ての電動ブレーキ装置だけでは所望のブレーキ力が出せないという基本条件を満たすとき、前記第2の電源装置18を用いて前記ブレーキ力を制御することを特徴とする。
前記所望のブレーキ力は、車両の操縦者による要求ブレーキ力に対応して出力される実際のブレーキ力である。
前記定められた条件、前記所望のブレーキ力は、それぞれ試験やシミュレーション等の結果により定められる。
この構成によると、通常、第1の電源装置3が電動モータ4に電力を供給する。この電力を供給している状態で、制御装置2は、例えば、上位の制御装置17からの指令等から適切なブレーキ力となるよう電動モータ4を制御する。
異常判断部26は、第1の電源装置3から電動ブレーキ装置への電力供給の異常の有無を判断する。冗長機能制御部27は、異常判断部26により前記電動ブレーキ装置への電力供給に異常有りと判断したとき、定められた条件に従って第2の電源装置18を用いてブレーキ力を制御する。
冗長機能制御部27は、前記定められた条件として、少なくとも異常判断部26で電力供給に異常が無いと判断された全ての電動ブレーキ装置だけでは所望のブレーキ力が出せないという基本条件を満たすとき、第2の電源装置18を用いてブレーキ力を制御する。このように電動ブレーキシステムにおいて、第1の電源装置3および第2の電源装置18を設けることで、補助電源のない電動ブレーキシステムに対し電源系統の冗長機能を得られる。
さらに電動ブレーキシステム全体の機能が所定より低下した場合に限定して第2の電源装置18を用いるため、例えば、車両に一般的に用いられるバッテリよりも小型のバッテリや、キャパシタを第2の電源装置18として適用することができる。第2の電源装置18を限定して用いる分、第2の電源装置18の小型化を図り、同電源装置18の車両への搭載スペースの自由度を高めることができる。これにより、設計の自由度を高めることができる。
前記冗長機能制御部27は、異常が無いと判断された全ての電動ブレーキ装置によって発生する前後方向の減速度が閾値以下となる前記基本条件を満たすことに加え、前記定められた条件として、前記電動ブレーキシステムを搭載した車両の旋回加速度が定められた値以下となるように、前記第2の電源装置18を用いるものとしても良い。
前記定められた値、前記閾値は、それぞれ試験やシミュレーション等の結果により定められる。
複数の車輪のうちいずれかの車輪に対応する電動ブレーキ装置への電力供給に異常有りと異常判断部26が判断した状態で、ブレーキペダル19が強く踏み込まれた場合など車両の操縦者による要求ブレーキ力が高くなると、その他の電動ブレーキ装置のみのブレーキ力だけでは不足する場合がある。このような場合に第2の電源装置18を用いることで、要求ブレーキ力に対応する所望のブレーキ力を得ることができる。この場合に車両の旋回加速度が定められた値以下となるときに第2の電源装置18を用いることが、車両姿勢の安定性を確保するうえで好ましい。
前記冗長機能制御部27は、前記車両の操縦者によるブレーキ力の要求値が大きくなるほど前記前後方向の減速度の閾値が大きくなる相関に基づいて、前記前後方向の減速度の閾値を変更するものとしても良い。このように前後方向の減速度の閾値を変更することで、第2の電源装置18の使用頻度を木目細かく制限することができる。
前記電動ブレーキシステムを搭載した車両の走行速度を推定する車速推定手段30を設け、前記冗長機能制御部27は、前記定められた条件として、前記基本条件を満たすことに加え、前記車速推定手段30で推定した車速が定められた車速以上の条件を満たすとき前記第2の電源装置18を用いるものとしても良い。
前記定められた車速は、試験やシミュレーション等の結果により定められる。
いずれかの車輪に対応する電動ブレーキ装置への電力供給に異常有りと異常判断部26が判断した場合であっても、車両が例えば停車状態では車両に旋回加速度は生じない。このため、車速推定手段30で推定した車速が定められた車速以上の条件を満たすとき第2の電源装置18を用いる。このように第2の電源装置18を限定して用いることで、第2の電源装置18の小型化を図ることが可能となる。
電力供給に異常が有ると判断された電動ブレーキ装置の前記冗長機能制御部27は、電力供給に異常が無い全ての電動ブレーキ装置のセンシング情報から、前記第2の電源装置18の電力を使用するか否かを決定しても良い。
この発明の電動ブレーキシステムは、ブレーキロータと、このブレーキロータに接触させる摩擦部材と、この摩擦部材を前記ブレーキロータに接触させる摩擦部材操作手段と、この摩擦部材操作手段を駆動する電動モータと、この電動モータを制御することによりブレーキ力を制御する制御装置とを備える電動ブレーキ装置を複数設けた電動ブレーキシステムにおいて、前記各電動ブレーキ装置における前記電動モータに電力を供給する第1および第2の電源装置を設ける。前記各電動ブレーキ装置の前記制御装置は、前記第1および第2の電源装置から前記電動ブレーキ装置への電力供給の異常の有無を判断する異常判断部と、この異常判断部により、前記第1の電源装置から前記電動ブレーキ装置への電力供給に異常有りと判断したとき、定められた条件に従って前記第2の電源装置を用いて前記ブレーキ力を制御する冗長機能制御部とを有する。この冗長機能制御部は、前記定められた条件として、少なくとも、前記異常判断部で電力供給に異常が無いと判断された全ての電動ブレーキ装置だけでは所望のブレーキ力が出せないという基本条件を満たすとき、前記第2の電源装置を用いて前記ブレーキ力を制御する。このため、電源系統の冗長性を備えると共に構成部品の搭載スペースの自由度を高めることができる。
この発明の実施形態に係る電動ブレーキシステムを車両に搭載した構成例を平面視で示す図である。 同電動ブレーキシステムの各電動ブレーキ装置を概略示す図である。 同電動ブレーキシステムの制御系のブロック図である。 同電動ブレーキシステムの補助電源の使用例を示す図である。 同電動ブレーキシステムの主電源異常時の例を示す図である。 同電動ブレーキシステムの動作例を示す図である。 同電動ブレーキシステムの他の動作例を示す図である。 この発明の他の実施形態に係る電動ブレーキシステムを車両に搭載した構成例を平面視で示す図である。
この発明の実施形態に係る電動ブレーキシステムを図1ないし図7と共に説明する。
図1に示すように、この電動ブレーキシステムは、複数の電動ブレーキ装置FL,FR,RL,RRと、第1の電源装置3と、上位ECU17とを有する。各電動ブレーキ装置FL,FR,RL,RRは、電動ブレーキアクチュエータ1と、制御装置2と、第2の電源装置である補助電源18とを有する。この例では、四輪車両の各輪にそれぞれ対応する制御装置2を設けている。先ず、電動ブレーキアクチュエータ1について説明する。
図2に示すように、電動ブレーキアクチュエータ1は、電動モータ4と、この電動モータ4の回転を減速する減速機構5と、直動機構(摩擦部材操作手段)6と、駐車ブレーキであるパーキングブレーキ機構7と、ブレーキロータ8と、摩擦部材9とを有する。電動モータ4、減速機構5、および直動機構6は、例えば、図示外のハウジング等に組み込まれる。電動モータ4は3相の同期モータ等からなる。
減速機構5は、電動モータ4の回転を、回転軸10に固定された3次歯車11に減速して伝える機構であり、1次歯車12、中間歯車13、および3次歯車11を含む。この例では、減速機構5は、電動モータ4のロータ軸4aに取り付けられた1次歯車12の回転を、中間歯車13により減速して、回転軸10の端部に固定された3次歯車11に伝達可能としている。
摩擦部材操作手段である直動機構6は、減速機構5で出力される回転運動を送りねじ機構により直動部14の直線運動に変換して、ブレーキロータ8に対して摩擦部材9を当接離隔させる機構である。直動部14は、回り止めされ且つ矢符A1にて表記する軸方向に移動自在に支持されている。直動部14のアウトボード側端に摩擦部材9が設けられる。電動モータ4の回転を減速機構5を介して直動機構6に伝達することで、回転運動が直線運動に変換され、それが摩擦部材9の押圧力に変換されることによりブレーキ力を発生させる。なお電動ブレーキ装置FL,FR,RL,RR(図1)を車両に搭載した状態で、車両の外側をアウトボード側といい、車両の中央側をインボード側という。
パーキングブレーキ機構7のアクチュエータ16として、例えば、リニアソレノイドが適用される。アクチュエータ16によりロック部材(ソレノイドピン)15を進出させて中間歯車13に形成された係止孔(図示せず)に嵌まり込ませることで係止し、中間歯車13の回転を禁止することで、パーキングロック状態にする。ロック部材15を前記係止孔から離脱させることで中間歯車13の回転を許容し、アンロック状態にする。
図1に示すように、各電動ブレーキ装置FL,FR,RL,RRの制御装置2に、第1の電源装置3と、各制御装置2の上位制御手段である上位ECU17とが接続されている。なお上位ECUは「VCU」とも称される。上位ECU17として、例えば、車両全般を制御する電気制御ユニットが適用される。また上位ECU17は、各電動ブレーキ装置FL,FR,RL,RRの統合制御機能を有する。第1の電源装置3は、各電動ブレーキ装置FL,FR,RL,RRにおける電動モータ4(図2)および制御装置2に電力を供給する。この電源装置3としては、例えば、車両に搭載される12Vバッテリを用いる。
図3は、この電動ブレーキシステムの制御系のブロック図である。
上位ECU17は、車両の操縦者のブレーキペダル19(図1)の操作量(ブレーキ力の要求値)に応じて変化するセンサ(図示せず)の出力に応じて、各電動ブレーキ装置の制御装置2それぞれにブレーキ力目標値を出力する。各電動ブレーキ装置へのブレーキ力目標値の配分比率は、例えば、固定の比率としても良く、加速度センサ等の車載センサ類の情報および搭載車両の諸元から推定する車両の運動や姿勢に基づく可変の比率としても良い。
各制御装置2は、演算器20と、モータドライバ21と、スイッチ22と、逆流防止機構部23と、電流センサ24とを有する。演算器20は、例えば、マイクロコンピュータ等のプロセッサ、または、ASIC等のハードウェアモジュールである。演算器20は、制御演算機能部25と、異常判断部26と、冗長機能制御部27とを有する。
これらのうち制御演算機能部25は、上位ECU17からのブレーキ力目標値、および、電動ブレーキアクチュエータ1のセンシング情報から、適切なブレーキ力となるようモータドライバ21を介して電動モータ4を制御する。モータドライバ21は、電源装置3の直流電力を電動モータ4の駆動に用いる3相の交流電力に変換する。このモータドライバ21は、例えば、電界効果トランジスタ(Field effect transistor,略称FET)、スナバコンデンサ等を用いたハーフブリッジ回路であっても良い。
前記センシング情報としては、電流等検出手段Saから検出されるモータ電流値、および、回転角推定手段Sbから推定されるモータ角度等が挙げられる。前記電流等検出手段Saは、例えば、電流センサであっても良く、予め測定したインダクタンス値や抵抗値等のモータ諸元およびモータ電圧からモータ電流値を推定しても良い。前記回転角推定手段Sbは、例えば、磁気エンコーダやレゾルバ等の角度センサであっても良く、前記モータ諸元およびモータ電圧から物理方程式を用いてモータ角度を推定しても良い。
演算部20の異常判断部26は、電源装置3から電動ブレーキ装置への電力供給の異常の有無を判断する。異常判断部26は、電源装置自体の異常だけでなく、電源装置3から延びる電力供給ハーネスの断線等の異常も判断する。第1の電源装置3から各制御装置2に延びる電力線における電力供給方向上流側に電流センサ24が設けられる。電力線28は、電源装置3から電流センサ24、逆流防止機構部23、スイッチ22、演算器20、および補助電源18に至る第1経路28a、逆流防止機構部23とスイッチ22との間からモータドライバ21に至る第2経路28b、モータドライバ21から電動モータ4に至る第3経路28cにそれぞれ設けられる。
逆流防止機構23は、例えば、ダイオードを用いることができ、電動モータ4の回生電力を電源装置3に戻さずに補助電源18に充電するために設けている。異常判断部26が異常無しと判断するとき、演算器20はスイッチ22をオンにしておくことで電動モータ4の回生電力を補助電源18に供給し得る。
異常判断部26は、例えば、電力供給の異常の有無を判断するときスイッチ22をオフにし、このスイッチ切断状態で電流センサ24で検出された電流値から判断する。
冗長機能制御部27は、異常判断部26により電源装置3から電動ブレーキ装置への電力供給に異常有りと判断したとき、定められた条件に従って補助電源18を用いてブレーキ力を制御する。この冗長機能制御部27は、前記定められた条件として、異常判断部26で電力供給に異常が無いと判断された全ての電動ブレーキ装置だけでは、少なくとも所望のブレーキ力が出せないとき、補助電源18を用いてブレーキ力を制御する。この場合、電力供給に異常が無い他の全ての電動ブレーキ装置の動作状態を、異常判断部26が異常有りと判断した電動ブレーキ装置に送信する。前記動作状態として前記センシング情報を用いることができる。
このセンシング情報を送信された電動ブレーキ装置の演算器20は、この演算器20の冗長機能制御部27にて電力供給に異常が有る電動ブレーキ装置を補助電源18で動作させるか否かを判断する。この場合に、前記冗長機能制御部27は、他の全ての電動ブレーキ装置の動作状態から電動ブレーキシステム全体の機能状態を見ながら、補助電源18の電力を使用するか否かを決定し得る。補助電源18としては、例えば、キャパシタや、車両に一般的に用いられるバッテリよりも小型のバッテリを適用し得る。
図4は、この電動ブレーキシステムの補助電源18の使用例を示す図である。以下、図3も適宜参照しつつ説明する。なお図4中の補助電源18内の記載において、「正常」は電源装置3と接続された状態、「無効」は電源装置3が接続されず、補助電源18が電動モータ4(図3)から切断された状態(図3のスイッチ22がオフの状態)、「有効」は電源装置3が接続されず、補助電源18を接続した状態(図3のスイッチ22がオンの状態)をそれぞれ示す。
図4(a)は、電源装置3から一部の電動ブレーキ装置FL(この例では左前輪に対応する電動ブレーキ装置FL)に繋がる電力供給ハーネスが断線し、電流センサ24の検出された電流値から異常判断部26は電力供給に異常が生じた状態と判断する。しかしこの段階では、その他の車輪(この例では右前輪、左右後輪)に対応する電動ブレーキ装置FR,RL,RRを用いて所定のブレーキ力を出せるため、異常が生じた電動ブレーキ装置FLの冗長機能制御部27は補助電源18を使用しない。
図4(b)に示すように、図4(a)の状態に続いて、他の電動ブレーキ装置RL(この例は左後輪に対応する電動ブレーキ装置RL)につき、例えば演算器20の異常等が発生した場合、この電動ブレーキ装置RLの動作状態であるセンシング情報、およびその他の正常な電動ブレーキ装置FR,RRのセンシング情報を前記一部の電動ブレーキ装置FLに送信する。この場合において、正常な電動ブレーキ装置FR,RRのみで制動する場合は、必ず同図中右回りの旋回加速度が発生してしまう。このため、左前輪に対応する電動ブレーキ装置FLの冗長機能制御部27はこの電動ブレーキ装置FLの補助電源18を有効にして、三つの電動ブレーキ装置FL,FR,RRを用いて制動する。
図4(a)に示す、左前輪に対応する電動ブレーキ装置FLに繋がる電力線28が断線しただけの状態において、例えば、ブレーキペダル19(図1)が強く踏み込まれた場合など、車両の操縦者による要求ブレーキ力が高くなると、右前輪FR、左右後輪RL,RRのみのブレーキ力では不足する場合がある。そこで異常が生じている電動ブレーキ装置FLの冗長機能制御部27は、異常がないと判断された右前輪、左右後輪の電動ブレーキ装置FR、RL,RRによって発生する前後方向の減速度が閾値以下となるという基本条件を満たすことに加え、車両の旋回加速度が定められた値以下となるとき、補助電源18を有効にして電動ブレーキ装置FLに制動力を発生させる。
各前後方向の減速度は、それぞれの電動ブレーキ装置FR、RL,RRにおける前記センシング情報から演算器20で算出され、上位ECU17を介して、制御対象となる電動ブレーキ装置FLの演算器20に伝達される。この演算器20の冗長機能制御部27は、このような要求ブレーキ力が高くなる場合に電動ブレーキ装置FLの補助電源18を有効とするよう、補助電源18を有効にするか否かの閾値を要求ブレーキ力に応じて可変としても良い。車両の操縦者によるブレーキ力の要求値が大きくなるほど前後方向の減速度の閾値が大きくなる相関が、例えば、演算器20における図示外の記憶手段に記憶されている。冗長機能制御部27は、前記記憶手段に記憶された相関に基づいて、前記前後方向の減速度の閾値を変更するものとしても良い。このように前後方向の減速度の閾値を変更することで、補助電源18の使用頻度を制限し得る。
図5に示すように、第1の電源装置3に異常が発生すると全てのブレーキ力が失われるため、4輪の電動ブレーキ装置FL、FR、RL、RRの各制御装置2の異常判断部26が電源装置3に異常有りと判断すると、各制御装置2の冗長機能制御部27はそれぞれの補助電源18を直ちに有効にして要求ブレーキ力に応じて制動する。
図6は、この電動ブレーキシステムの動作例を示す図である。この図は、図4(a)および(b)の例における動作例を示す。これら図4(a),(b)および図3も適宜参照しつつ説明する。制御演算機能部25が、要求ブレーキ力に応じたブレーキ力目標値、および、前記センシング情報から電動モータ4を制御することで制動を開始する。その後、左前輪に対応する電動ブレーキ装置FLに、例えば、ハーネス断線等の電力線異常が発生したとする。
その際、電動ブレーキ装置FLは補助電源18を用いて駆動することができるが、電源系統が正常に接続されている他の電動ブレーキ装置FR,RL,RRで制動可能であるため、電動ブレーキ装置FLは使用しない。このときの電動ブレーキ装置FR,RL,RRの各ブレーキ力については、車両に発生する旋回加速度であるヨーレートが定められた値以下となる制約条件のもと決定するのが好ましい。前記ヨーレートは、例えば、ヨーレートセンサ29(図3)により検出される。
その後、左後輪に対応する電動ブレーキ装置RLに、例えば、演算器20の異常等が発生したとする。その際、図4(b)中の右側列の電動ブレーキ装置FR,RRのみでは前記ヨーレートを定められた値以下としながら制動することは困難である。このため、左前輪の電動ブレーキ装置FLの補助電源18を使用して電動ブレーキ装置FL,FR,RRにて制動を行う。その後、車両が停止した後は極端な傾斜等の条件下を除いてヨーレートは発生し難いため、補助電源18の容量を温存するため電動ブレーキ装置FLの駆動を停止し、右側列の電動ブレーキ装置FR,RRにて停車状態を維持する。
図7は、この電動ブレーキシステムの他の動作例を示す図である。この図は、図4(a)の例において、要求ブレーキ力が所定値以下となることを条件とした動作例を示す。制動開始から電動ブレーキ装置FLにハーネス断線等の電力線異常が発生したとすると、それまでは図6と同様に動作する。
その後、要求ブレーキ力が増加し、他の電動ブレーキ装置FR,RL,RRのみではブレーキ力が不足すると判断されると、補助電源18を用いて電動ブレーキ装置FLを駆動する。その際、異常が発生している電動ブレーキ装置FLは極力少ない電力で済むようなブレーキバランスとすることができる。その後、車両が停止した後は、補助電源18の容量を温存するため電動ブレーキ装置FLの駆動を停止し、他の電動ブレーキ装置RL,FR,RRにて停車状態を維持する。
以上説明した電動ブレーキシステムによれば、通常、第1の電源装置3は電動モータ4および制御装置2に電力を供給する。制御装置2は、上位ECU17からのブレーキ力目標値、および、電動ブレーキアクチュエータ1のセンシング情報から、適切なブレーキ力となるよう電動モータ4を制御する。このとき補助電源18に、第1の電源装置3から電力が供給されて蓄電される。また電動モータ4の回生電力も補助電源18に供給し得る。
冗長機能制御部27は、異常判断部26により電動ブレーキ装置への電力供給に異常有りと判断したとき、定められた条件に従って補助電源18を用いてブレーキ力を制御する。冗長機能制御部27は、定められた条件として、電力供給に異常が無いと判断された全ての電動ブレーキ装置だけでは、少なくとも所望のブレーキ力が出せないとき、補助電源18を用いてブレーキ力を制御する。このように電動ブレーキシステムにおいて、第1の電源装置3および補助電源18を設けることで、電源系統の冗長機能を備えることができる。
さらに電動ブレーキシステム全体の機能が所定より低下した場合に限定して補助電源18を用いるため、例えば、車両に一般的に用いられるバッテリよりも小型のバッテリや、キャパシタを補助電源18として適用することができる。補助電源18を限定して用いる分、補助電源18の小型化を図り、同補助電源18の車両への搭載スペースの自由度を高めることができる。これにより、設計の自由度を高めることができる。
他の実施形態について説明する。
以下の説明においては、各形態で先行する形態で説明している事項に対応している部分には同一の参照符号を付し、重複する説明を略する。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、特に記載のない限り先行して説明している形態と同様とする。同一の構成から同一の作用効果を奏する。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
図8に示すように、前輪の左右輪に対応する二つの電動ブレーキアクチュエータ1,1に対し、一つの制御装置2および一つの補助電源18を設け、後輪の左右輪に対応する二つの電動ブレーキアクチュエータ1,1に対し、一つの制御装置2および一つの補助電源18を設けても良い。
図1、図8のいずれの構成においても、全ての電動ブレーキ装置に補助電源18を設ける例を示しているが、一部の電動ブレーキ装置のみ補助電源18を設ける構成としても良い。例えば、一般に四輪自動車において、フロント用のブレーキはリア用のブレーキの二倍ないしそれ以上の制動力を発揮するため、フロント用の電動ブレーキ装置のみ補助電源18で冗長化される構成としても良い。
電源装置3から電動ブレーキ装置への電力供給の異常の有無を判断するとき、電流センサ24を用いずに、上位ECU17にて電源供給状態の監視を行い、この監視している情報を演算器20に伝達する構成としても良い。この場合、演算器20の異常判断部26は、上位ECU17から与えられる情報を定められた関係設定手段に照合して電力供給の異常の有無を判断し得る。
例えば、停車状態において、車両に旋回加速度は生じないため、補助電源18は車速が定められた車速以上の場合のみ用いるものとしても良い。具体的には、図3に示すように、電動ブレーキシステムを搭載した車両の走行速度を推定する車速推定手段30を設け、冗長機能制御部27は、定められた条件として、車速推定手段30で推定した車速が定められた車速以上の条件を満たすとき補助電源18を用いるものとしても良い。
また、リヤ側の電動ブレーキ装置よりもブレーキ力の大きなフロント側の電動ブレーキ装置を優先して使う等の処理を用いても良い。
以上、実施形態に基づいてこの発明を実施するための形態を説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
2…制御装置
3…第1の電源装置
4…電動モータ
6…直動機構(摩擦部材操作手段)
8…ブレーキロータ
9…摩擦部材
18…補助電源(第2の電源装置)
26…異常判断部
27…冗長機能制御部
30…車速推定手段

Claims (5)

  1. ブレーキロータと、このブレーキロータに接触させる摩擦部材と、この摩擦部材を前記ブレーキロータに接触させる摩擦部材操作手段と、この摩擦部材操作手段を駆動する電動モータと、この電動モータを制御することによりブレーキ力を制御する制御装置とを備える電動ブレーキ装置を複数設けた電動ブレーキシステムにおいて、
    前記各電動ブレーキ装置における前記電動モータに電力を供給する第1および第2の電源装置を設け、
    前記各電動ブレーキ装置の前記制御装置は、
    前記第1および第2の電源装置から前記電動ブレーキ装置への電力供給の異常の有無を判断する異常判断部と、
    この異常判断部により、前記第1の電源装置から前記電動ブレーキ装置への電力供給に異常有りと判断したとき、定められた条件に従って前記第2の電源装置を用いて前記ブレーキ力を制御する冗長機能制御部と、
    を有し、
    この冗長機能制御部は、前記定められた条件として、少なくとも、前記異常判断部で電力供給に異常が無いと判断された全ての電動ブレーキ装置だけでは所望のブレーキ力が出せないという基本条件を満たすとき、前記第2の電源装置を用いて前記ブレーキ力を制御することを特徴とする電動ブレーキシステム。
  2. 請求項1に記載の電動ブレーキシステムにおいて、前記電動ブレーキシステムを搭載した車両の走行速度を推定する車速推定手段を設け、前記冗長機能制御部は、前記定められた条件として、前記基本条件を満たすことに加え、前記車速推定手段で推定した車速が定められた車速以上の条件を満たすとき前記第2の電源装置を用いる電動ブレーキシステム。
  3. 請求項1または2に記載の電動ブレーキシステムにおいて、前記冗長機能制御部は、異常が無いと判断された全ての電動ブレーキ装置によって発生する前後方向の減速度が閾値以下となる前記基本条件を満たすことに加え、前記定められた条件として、前記電動ブレーキシステムを搭載した車両の旋回加速度が定められた値以下となるとき、前記第2の電源装置を用いる電動ブレーキシステム。
  4. 請求項3に記載の電動ブレーキシステムにおいて、前記冗長機能制御部は、前記車両の操縦者によるブレーキ力の要求値が大きくなるほど前記前後方向の減速度の閾値が大きくなる相関に基づいて、前記前後方向の減速度の閾値を変更するものとした電動ブレーキシステム。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の電動ブレーキシステムにおいて、電力供給に異常が有ると判断された電動ブレーキ装置の前記冗長機能制御部は、電力供給に異常が無い全ての電動ブレーキ装置のセンシング情報から、前記第2の電源装置の電力を使用するか否かを決定する電動ブレーキシステム。
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