JP3939887B2 - 無電解ニッケルめっき液の再生方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、めっき老化液を再生利用することができる無電解ニッケルめっき液の再生方法に関するものである。より詳しくは、硫酸塩が蓄積しないニッケル源と次亜リン酸塩系の還元剤からなるめっき液により無電解ニッケルめっきを行う過程で、めっき液中に生成蓄積する亜リン酸塩を分離除去することにより、めっき液として再利用する無電解ニッケルめっき液の再生方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、次亜リン酸塩を還元剤とした無電解ニッケルめっき液の基本構成は、ニッケル源として硫酸ニッケルを、還元剤として次亜リン酸ナトリウムを組み合わせた組成が一般的である。
【0003】
このような組成のめっき液を使用してめっき作業を行うと、次亜リン酸ナトリウムが酸化して生成する亜リン酸ナトリウムと、ニッケル源である硫酸ニッケルとが反応して、めっき液中に硫酸ナトリウムが経時的に生成蓄積し、めっき速度の低下、異常析出、皮膜特性の劣化等の現象を惹起する。したがって、一定期間使用しためっき液は定期的に更新され、使用済みのめっき液は産業廃棄物として廃棄処分されている。
【0004】
しかしながら、1995年からロンドンダンピング条約により、海洋投棄処分が禁止され、更に、内陸への投棄処分も厳しくなる中で、廃棄物の減量、更には再利用法の開発が重要な課題となっている。
【0005】
無電解ニッケルめっき作業の過程で蓄積される亜リン酸ナトリウムや硫酸ナトリウムの除去については、既に各種の試みが為されているが、何れも工業的に実用されていない。
【0006】
例えば、除去方法として電解隔膜を用いて不要成分を分離する手段が知られているが、この方法では不要成分と共に有効成分もめっき液から除かれてしまう上に、装置も大がかりで高価であるという欠点がある。
【0007】
また、イオン交換樹脂を用いてめっき液からニッケルイオン及びナトリウムイオンを予め分離し、残りの液にカルシウム塩またはマグネシウム塩を加えて硫酸塩および亜リン酸塩を不溶化して分離し、イオン交換樹脂に吸着させたナトリウムとニッケルを分別・脱離した後、ニッケルのみをめっき液に戻して再利用する方法が提案された。しかし、この方法は技術的にも経済的にも問題が多く実用されていない。
【0008】
また、亜リン酸塩をカルシウム塩として分離し、めっき液を冷却して硫酸塩を硫酸ナトリウムの結晶として分離する方法も検討されたが、めっき液の冷却に要するエネルギーが膨大で、経済的に実用は困難である。
【0009】
基本的に硫酸塩の蓄積しない無電解ニッケルめっき液、即ちニッケル源に炭酸ニッケル、水酸化ニッケルまたは次亜リン酸ニッケルを使用し、還元剤に次亜リン酸または次亜リン酸ニッケルを使用し、作業中蓄積する亜リン酸塩のみを、常温かつpH7〜13の条件下でカルシウム塩として固定し、分離除去する方法が提案されたが、pH7〜13の範囲ではめっき液に有効なニッケルイオンや錯化剤の一部が沈殿し、めっき液にとって有効な成分が失われるだけでなく、分離回収した亜リン酸カルシウム中にそれらの成分が混入するため、亜リン酸カルシウムを再利用する際にニッケルイオンや錯化剤を不純物として再分離しなければならず、実用上問題を残している。
【0010】
また、亜リン酸カルシウムを分離、除去したpH7〜13の回収母液を無電解ニッケルめっき液として再利用する際、或る研究者らは、めっき作業条件であるpH4.5〜5.0に低下させるため、硫酸を加えることを提案している。しかしながら、この方法はめっき液に硫酸塩が蓄積することになり、従来の無電解ニッケルめっき法と比較し、老化液として廃棄する頻度は減少するものの、問題を解決したことにはならない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
このほか、めっき老化液の処理方法に関して多くの提案が為されているが、部分的には合理的なプロセスと評価される要素はあるものの、経済的かつ技術的に充分な実用性のある技術は開発されていない。老化液の処理問題は、単に処理方法に止まらず、構成するめっき液それ自体を含めた全体的問題として捉え、最も合理的な解決手段を創出する必要がある。
【0012】
本発明者らは上記課題を解決するために有効なめっき老化液のリサイクル使用について鋭意研究を重ねた結果、硫酸イオンを含まないニッケル源をめっき液とし、めっき作業により生成蓄積した亜リン酸塩を含むめっき液を、特定の温度及びpH条件下でカルシウムイオンで処理すると、蓄積した亜リン酸イオンがカルシウムイオンと選択的に反応してニッケルイオンおよび錯化剤を随伴させることなく亜リン酸カルシウムとして効果的に除去することが出来、処理後の回収母液は残留カルシウムイオンが少ないことを確認した。
【0013】
本発明は前記の知見に基づいて開発されたもので、その目的は、硫酸イオンを含まないめっき液組成において、めっき作業中に生成蓄積する亜リン酸塩のみを分離除去し、めっき液中の有効成分を消耗せずにリサイクル使用する、技術的ならびに経済的に優れた無電解ニッケルめっき液の再生方法を提供することにある。更に分離した亜リン酸カルシウムは不純物を含まないため、リン酸塩薬剤として、また原料としても有効に利用できる。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明は、水酸化ニッケルと次亜リン酸を含む無電解ニッケルめっき液、炭酸ニッケルと次亜リン酸を含む無電解ニッケルめっき液、次亜リン酸ニッケルを含む無電解ニッケルめっき液、または、次亜リン酸ニッケルと次亜リン酸ナトリウムを含む無電解ニッケルめっき液を再生する方法において、反応終了時の液のpHが4.5〜5.8になるように、炭酸カルシウム及び水酸化カルシウムから選ばれた少なくとも一種を、前記液中に含まれる亜リン酸イオンの1/10〜1/2当量の添加量で、上記無電解ニッケルめっき液に添加することにより、次亜リン酸塩の酸化により無電解ニッケルめっき液中に生成蓄積する亜リン酸塩を、亜リン酸カルシウムとして沈殿生成させ、沈殿生成した亜リン酸カルシウムを分離除去することを特徴とする。
【0015】
また本発明の構成は、無電解ニッケルめっき液の再生方法において、反応終了時の液の pHが4.5〜5.8になるように、上記無電解ニッケルめっき液に、炭酸カルシウム及び水酸化カルシウムから選ばれた少なくとも一種を添加すると共に、次亜リン酸を添加することを特徴とする。
【0016】
かかる本発明では、沈殿生成する亜リン酸カルシウムを分離除去し、回収母液をめっき液として再使用することができる。
【0017】
本発明に使用する無電解ニッケルめっき液の基本組成は、硫酸ニッケル−次亜リン酸ナトリウム系ではなく、水酸化ニッケルと次亜リン酸を含む無電解ニッケルめっき液、炭酸ニッケルと次亜リン酸を含む無電解ニッケルめっき液、次亜リン酸ニッケルを含む無電解ニッケルめっき液、または、次亜リン酸ニッケルと次亜リン酸ナトリウムを含む無電解ニッケルめっき液である。該基本組成となる成分系には、従来技術で使用されている錯化剤、安定剤、光沢剤、界面活性剤等の補助薬剤を配合してめっき液を構成する。
【0018】
上記成分のめっき液を建浴し、無電解ニッケルめっき処理を行うと、経時的に次亜リン酸塩が酸化されて亜リン酸塩が生成蓄積するが、ニッケル源として硫酸ニッケルを用いていない関係で硫酸塩の蓄積はない。したがって、無電解ニッケルめっき過程で老化しためっき液の組成は、ニッケル、次亜リン酸、亜リン酸、錯化剤、ナトリウム等の各イオンと光沢剤、界面活性剤、安定剤および被めっき物から溶解した微量の金属イオンを含有するものとなる。
【0019】
本発明では、この硫酸塩が存在しない作業中の無電解ニッケルめっき液を反応槽に移し、そのままの液温、または20〜60℃に冷却した後、炭酸カルシウムまたは水酸化カルシウムもしくはこれらの混合物を粉末のまま、もしくは水性スラリー状にして攪拌下の反応槽に添加反応させ、必要に応じ次亜リン酸を添加し、pHを4.5〜5.8の範囲に調整して脱亜リン酸塩処理を行う。
【0020】
この際、次亜リン酸の添加の時期は限定するものではなく、反応の最終段階で反応液のpHが4.5〜5.8の範囲に調整されていることが重要で、カルシウム化合物と同時に、または以前に、あるいはカルシウム化合物と混合して添加しても差し支えはない。
【0021】
処理条件をpH4.5〜5.8の範囲に設定する理由は、この条件において処理液中の亜リン酸カルシウムの溶解度を低く保持するとともに、ニッケルイオンおよび錯化剤の完全な溶解を確保することにある。
【0022】
亜リン酸カルシウムの沈殿生成反応時の液温は常温以上でよく、特に限定するものではないが作業温度からの冷却、更にはめっき作業温度に高めるための熱エネルギーの節約を考慮すると、作業温度に近い温度で反応させる事が望ましい。
【0023】
しかしながら処理温度が60℃を越えるとめっき反応が起こり易く、不必要な部材表面にニッケルが析出し、ニッケルイオンと次亜リン酸イオンを消耗するので、次亜リン酸を、亜リン酸カルシウム生成反応開始以前に添加し酸化・還元反応を停止させておく等の配慮が必要である。
【0024】
一方、常温(20℃)未満になると亜リン酸カルシウムの生成反応速度の低下により、亜リン酸塩の除去率が低下し、回収液を作業温度まで上昇させるに要する熱エネルギーも大きくなるので好ましくない。
【0025】
反応終了時のpHが4.5未満になると処理液に対する亜リン酸カルシウムの溶解度が増して分離除去率が低下し、他方pHが5.8を超えるとニッケルおよび錯化剤が沈殿するようになるので好ましくない。
【0026】
この処理工程で加える炭酸カルシウムまたは/及び水酸化カルシウムの添加量は、処理液中の亜リン酸イオンの当量以下、好ましくは1〜1/10であることが望ましい。添加量が亜リン酸イオンの当量を超すと、それを中和するために次亜リン酸の添加量も増加せねばならず、この回収液をめっき液に戻すと液中の次亜リン酸イオン濃度が作業条件の上限を超えるので好ましくない。他方、1/10当量未満では処理液中の未反応亜リン酸イオンの残存量が増加し作業効率を下げるので好ましくない。
【0027】
次亜リン酸はカルシウム塩の添加に併せて反応液のpHを4.5〜5.8に保持させるように添加する。
【0028】
なお、処理時間は、炭酸カルシウムや水酸化カルシウムの溶解速度、及び、下記(1)式に示すような、亜リン酸イオンとの反応による微溶性の第一亜リン酸カルシウムの生成、次いで下記(2)式に示すような、第一亜リン酸カルシウムから、より難溶性の第二亜リン酸カルシウムを生成する反応速度に依存する。
【0029】
【化1】
【0030】
上記(2)式の反応が反応律速となるため十分に時間を採る必要があるので、2時間以上掛けて攪拌下で反応させることが好ましい。
【0031】
反応が終了したら、処理液を濾過し、沈殿生成した亜リン酸カルシウムを分離除去する。この濾過操作により、めっき液中の亜リン酸塩は選択的に分離される。
【0032】
一方、有効成分であるニッケルイオン、次亜リン酸塩、錯化剤等は沈殿せずに濾液中に溶存している。このようにして亜リン酸カルシウムを分離除去した回収母液は、液組成を確認し、pHを調整し、必要に応じて次亜リン酸ニッケル等の薬剤を添加してめっき液として再使用する。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を比較例と対比して具体的に説明する。
【0034】
[実施例1]
次亜リン酸ニッケル六水塩26.3g/L ,亜リン酸50.0g/L ,リンゴ酸30g/L ,酢酸10g/L ,硝酸鉛11mg/L からなる組成を有し、pH4.5の無電解ニッケルめっき液1Lを2Lのガラスビーカーに分取した。
液温を60℃に調整した上記めっき液に、水酸化カルシウム粉末4.52g(めっき液中の亜リン酸イオンの1/10当量)を攪拌下のめっき液に粉末の状態で添加した。
2時間攪拌を続けた後、5Cの濾紙を用い処理液を濾過し、母液を定量分析した。分析の結果を表1に示す。なお、母液のpHを測定したところ4.9であった。
【0035】
[実施例2]
次亜リン酸ニッケル六水塩26.3g/L ,亜リン酸80.0g/L ,リンゴ酸30g/L ,酢酸10g/L ,硝酸鉛11mg/L からなる組成を有し、pH4.5の無電解ニッケルめっき液1Lを2Lのガラスビーカーに分取した。
液温を60℃に調整した上記めっき液に、水酸化カルシウム粉末7.23g(めっき液中の亜リン酸イオンの1/10当量)を攪拌下のめっき液に粉末の状態で添加した。
2時間攪拌を続けた後、5Cの濾紙を用い処理液を濾過し、母液を定量分析した。分析の結果を表1に示す。なお、母液のpHを測定したところ5.4であった。
【0036】
[ 実施例3]
次亜リン酸ニッケル六水塩26.3g/L ,亜リン酸100.0g/L ,リンゴ酸30g/L ,酢酸10g/L 硝酸鉛11mg/L からなる組成を有し、pH4.5の無電解ニッケルめっき液1Lを2Lのガラスビーカーに分取した。
液温を60℃に調整した上記めっき液に、水酸化カルシウム粉末9.04g(めっき液中の亜リン酸イオンの1/10当量)を攪拌下のめっき液に粉末の状態で添加した。
2時間攪拌を続けた後、5Cの濾紙を用い処理液を濾過し、母液を定量分析した。分析の結果を表1に示す。なお、母液のpHを測定したところ5.7であった。
【0037】
[実施例4]
次亜リン酸ニッケル六水塩26.3g/L ,亜リン酸50.0g/L ,リンゴ酸30g/L ,酢酸10g/L ,硝酸鉛11mg/L からなる組成を有し、pH4.5の無電解ニッケルめっき液1Lを2Lのガラスビーカーに分取した。
液温を60℃に調整した上記めっき液に、水酸化カルシウム粉末22.59g(めっき液中の亜リン酸イオンの1/2当量)を攪拌下のめっき液に粉末の状態で添加した。全量添加した後、50%次亜リン酸を添加し、溶液のpHを4.7に調整した。めっき液のpHを4.7に調整するため要した次亜リン酸は9.6gであった。
2時間攪拌を続けた後、5Cの濾紙を用い処理液を濾過し、母液を定量分析した。分析の結果を表1に示す。
【0038】
[ 実施例5]
次亜リン酸ニッケル六水塩26.3g/L ,亜リン酸50.0g/L ,リンゴ酸 30g/L, 酢酸 10g/L ,硝酸鉛11mg/L からなる組成を有し、pH4.5の無電解ニッケルめっき液1Lを2Lのガラスビーカーに分取した。 液温を60℃に調整した上記めっき液に、水酸化カルシウム粉末45.18g(めっき液中の亜リン酸イオンと同一当量)を攪拌下のめっき液に粉末の状態で添加した。全量添加した後、50%次亜リン酸を添加し、溶液のpHを4.7に調整した。めっき液のpHを4.7に調整するため要した次亜リン酸は19.2gであった。
2時間攪拌を続けた後、5Cの濾紙を用い処理液を濾過し、母液を定量分析した。分析の結果を表1に示す。
【0039】
[ 実施例6]
次亜リン酸ニッケル六水塩26.3g/L ,亜リン酸50.0g/L ,リンゴ酸30g/L ,酢酸10g/L ,硝酸鉛11mg/L からなる組成を有し、pH4.5の無電解ニッケルめっき液1Lを2Lのガラスビーカーに分取した。
液温を40℃に調整した上記めっき液に、水酸化カルシウム粉末4.52g(めっき液中の亜リン酸イオンの1/10当量)を攪拌下のめっき液に粉末の状態で添加した。全量添加した後、50%次亜リン酸を添加し、溶液のpHを4.7に調整した。めっき液のpHを4.7に調整するため要した次亜リン酸は4.3gであった。
3時間攪拌を続けた後、5Cの濾紙を用い処理液を濾過し、母液を定量分析した。分析の結果を表1に示す。
【0040】
[ 実施例7]
次亜リン酸ニッケル六水塩26.3g/L ,亜リン酸50.0g/L ,リンゴ酸30g/L ,酢酸 10g/L,硝酸鉛11mg/Lからなる組成を有し、pH4.5の無電解ニッケルめっき液1Lを2Lのガラスビーカーに分取した。
液温を30℃に調整した上記めっき液に、水酸化カルシウム粉末4.52g(めっき液中の亜リン酸イオンの1/10当量)を攪拌下のめっき液に粉末の状態で添加した。全量添加した後、50%次亜リン酸を添加し、溶液のpHを4.7に調整した。めっき液のpHを4.7に調整するため要した次亜リン酸は4.3gであった。
3時間攪拌を続けた後、5Cの濾紙を用い処理液を濾過し、母液を定量分析した。分析の結果を表1に示す。
【0041】
[ 実施例8]
次亜リン酸ニッケル六水塩26.3g/L ,亜リン酸50.0g/L ,リンゴ酸30g/L ,酢酸10g/L ,硝酸鉛11mg/L からなる組成を有し、pH4.5の無電解ニッケルめっき液1Lを2Lのガラスビーカーに分取した。
液温を60℃に調整した上記めっき液に、水酸化カルシウム粉末4.52g(めっき液中の亜リン酸イオンの1/10当量)の30%水性懸濁液を攪拌下のめっき液に添加した。全量添加した後、50%次亜リン酸を添加し、溶液のpHを4.7に調整した。めっき液のpHを4.7に調整するため要した次亜リン酸は4.3gであった。
2時間攪拌を続けた後、5Cの濾紙を用い処理液を濾過し、母液を定量分析した。分析の結果を表1に示す。
【0042】
[ 実施例9]
次亜リン酸ニッケル六水塩26.3g/L ,亜リン酸80.0g/L ,リンゴ酸30g/L ,酢酸10g/L ,硝酸鉛11mg/L からなる組成を有し、pH4.5の無電解ニッケルめっき液1Lを2Lのガラスビーカーに分取した。
液温を60℃に調整した上記めっき液に、水酸化カルシウム粉末7.23g(めっき液中の亜リン酸イオンの1/10当量)及び炭酸カルシウム粉末39.1g(めっき液中の亜リン酸イオンの4/10当量)を攪拌下のめっき液に粉末の状態で添加した。全量添加した後、50%次亜リン酸を添加し、溶液のpHを5.2に調整した。めっき液のpHを5.2に調整するため要した次亜リン酸は15.3gであった。
2時間攪拌を続けた後、5Cの濾紙を用い処理液を濾過し、母液を定量分析した。分析の結果を表1に示す。
【0043】
[実施例10]
次亜リン酸ニッケル六水塩26.3g/L ,亜リン酸100.0g/L ,リンゴ酸30g/L ,酢酸10g/L ,硝酸鉛11mg/L からなる組成を有し、pH4.5の無電解ニッケルめっき液1Lを2Lのガラスビーカーに分取した。
液温を60℃に調整した上記めっき液に、炭酸カルシウム粉末61.0g(めっき液中の亜リン酸イオンの1/2当量)を攪拌下のめっき液に粉末の状態で添加した。全量添加した後、50%次亜リン酸を添加し、溶液のpHを5.2に調整した。めっき液のpHを5.2に調整するため要した次亜リン酸は20.1gであった。
2時間攪拌を続けた後、5Cの濾紙を用い処理液を濾過し、母液を定量分析した。分析の結果を表1に示す。
【0044】
[ 実施例11]
次亜リン酸ニッケル六水塩26.3g/L ,亜リン酸50.0g/L ,リンゴ酸30g/L ,酢酸10g/L ,硝酸鉛11mg/L からなる組成を有し、pH4.5の無電解ニッケルめっき液1Lを2Lのガラスビーカーに分取した。
液温を60℃に調整した上記めっき液に、水酸化カルシウム粉末22.6g(めっき液中の亜リン酸イオンの1/2当量)を攪拌下のめっき液に20%スラリー溶液の状態で添加した。全量添加した後、50%次亜リン酸を添加し、溶液のpHを4.7に調整した。めっき液のpHを4.7に調整するため要した次亜リン酸は9.5gであった。
2時間攪拌を続けた後、5Cの濾紙を用い処理液を濾過し、母液を定量分析した。分析の結果を表1に示す。
【0045】
[ 実施例12]
次亜リン酸ニッケル六水塩26.3g/L ,亜リン酸50.0g/L ,リンゴ酸30g/L ,酢酸10g/L ,硝酸鉛11mg/L からなる組成を有し、pH4.5の無電解ニッケルめっき液1Lを2Lのガラスビーカーに分取した。
液温を60℃に調整した上記めっき液に、水酸化カルシウム粉末22.6g(めっき液中の亜リン酸イオンの1/2当量)を攪拌下のめっき液に20%スラリー溶液の状態で添加した。上記スラリー溶液の添加と同時に、50%次亜リン酸を添加し、溶液のpHを5.8に調整した。めっき液のpHを5.8に調整するため要した次亜リン酸は4.0gであった。
2時間攪拌を続けた後、5Cの濾紙を用い処理液を濾過し、母液を定量分析した。分析の結果を表1に示す。
【0046】
[ 実施例13]
次亜リン酸ニッケル六水塩26.3g/L ,亜リン酸50.0g/L ,リンゴ酸30g/L ,酢酸 10g/L ,硝酸鉛11mg/L からなる組成を有し、pH4.5の無電解ニッケルめっき液1Lを2Lのガラスビーカーに分取した。
液温を60℃に調整した上記めっき液に、予め水酸化カルシウム粉末22.6g(めっき液中の亜リン酸イオンの1/2当量)の20%スラリー溶液に50%次亜リン酸溶液7.1gを混合したものを添加した。
2時間攪拌後、50%次亜リン酸を添加し、溶液のpHを4.7に調整した。
めっき液のpHを4.7に調整するため要した次亜リン酸は2.5gであった。5Cの濾紙を用い処理液を濾過し、母液を定量分析した。分析の結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
[ 実施例14]
次亜リン酸ニッケル六水塩26.3g/L ,亜リン酸50.0g/L ,リンゴ酸 15g/L ,乳酸10g/L ,酢酸5g/L 硝酸鉛11mg/L からなる組成を有し、pH4.5の無電解ニッケルめっき液1Lを2Lのガラスビーカーに分取した。
液温を60℃に調整した上記めっき液に、炭酸カルシウム粉末4.57g(めっき液中の亜リン酸イオンの1/10当量)を攪拌下のめっき液に粉末の状態で添加した。全量添加した後、50%次亜リン酸を添加し、溶液のpHを4.7に調整した。めっき液のpHを4.7に調整するため要した次亜リン酸は2.3gであった。
2時間攪拌を続けた後、5Cの濾紙を用い処理液を濾過し、母液を定量分析した。分析の結果を表2に示す。
【0049】
【表2】
【0050】
[ 比較例1 ]
次亜リン酸ニッケル六水塩26.3g/L ,亜リン酸50.0g/L ,リンゴ酸30g/L ,酢酸10g/L ,硝酸鉛11mg/L からなる組成を有し、pH4.5の無電解ニッケルめっき液1Lを2Lのガラスビーカーに分取した。
液温を30℃に調整した上記めっき液に、水酸化カルシウム粉末22.59g(めっき液中の亜リン酸イオンの1/2当量)を攪拌下のめっき液に粉末の状態で添加した。
3時間攪拌を続けた後、5Cの濾紙を用い処理液を濾過し、母液を定量分析した。分析の結果を表3に示す。なお、母液のpHは6.8であった。
【0051】
[ 比較例2]
次亜リン酸ニッケル六水塩26.3g/L ,亜リン酸50.0g/L ,リンゴ酸30g/L ,酢酸10g/L ,硝酸鉛11mg/L からなる組成を有し、pH4.5の無電解ニッケルめっき液1Lを2Lのガラスビーカーに分取した。
液温を60℃に調整した上記めっき液に、水酸化カルシウム粉末45.18g(めっき液中の亜リン酸イオンと同当量)を攪拌下のめっき液に粉末の状態で添加した。
2時間攪拌を続けた後、5Cの濾紙を用い処理液を濾過し、母液を定量分析した。分析の結果を表3に示す。なお、母液のpHは12.5であった。
【0052】
[ 比較例3]
次亜リン酸ニッケル六水塩26.3g/L ,亜リン酸100.0g/L ,リンゴ酸30g/L ,酢酸10g/L ,硝酸鉛11mg/L からなる組成を有し、pH4.5の無電解ニッケルめっき液1Lを2Lのガラスビーカーに分取した。
液温を60℃に調整した上記めっき液に、水酸化カルシウム粉末45.18g(めっき液中の亜リン酸イオンの1/2当量)を攪拌下のめっき液に粉末の状態で添加した。
2時間攪拌を続けた後、5Cの濾紙を用い処理液を濾過し、母液を定量分析した。分析の結果を表3に示す。なお、母液のpHは11.2であった。
【0053】
[ 比較例4 ]
次亜リン酸ニッケル六水塩26.3g/L ,亜リン酸100.0g/L ,リンゴ酸30g/L ,酢酸10g/L ,硝酸鉛11mg/L からなる組成を有し、pH4.5の無電解ニッケルめっき液1Lを2Lのガラスビーカーに分取した。
液温を30℃に調整した上記めっき液に、炭酸カルシウム粉末61.0g(めっき液中の亜リン酸イオンの1/2当量)を攪拌下のめっき液に粉末の状態で添加した。
3時間攪拌を続けた後、5Cの濾紙を用い処理液を濾過し、母液を定量分析した。分析の結果を表3に示す。なお、母液のpHは8.2であった。
【0054】
【表3】
【0055】
【発明の効果】
以上、各種実施例と共に具体的に説明したように、本発明によれば、無電解ニッケルめっき液中に生成する亜リン酸塩のみを、亜リン酸カルシウムとして沈殿して分離除去することができるため、無電解ニッケルめっき液中の有効成分を消耗することなく無電解ニッケルめっき液を再生してリサイクル使用することができる。
【0056】
また分離した亜リン酸カルシウムは不純物を含まないため、リン酸塩薬剤として、また原料として有効に利用することができる。
Claims (2)
- 水酸化ニッケルと次亜リン酸を含む無電解ニッケルめっき液、炭酸ニッケルと次亜リン酸を含む無電解ニッケルめっき液、次亜リン酸ニッケルを含む無電解ニッケルめっき液、または、次亜リン酸ニッケルと次亜リン酸ナトリウムを含む無電解ニッケルめっき液を再生する方法において、
反応終了時の液のpHが4.5〜5.8になるように、炭酸カルシウム及び水酸化カルシウムから選ばれた少なくとも一種を、前記液中に含まれる亜リン酸イオンの1/10〜1/2当量の添加量で、上記無電解ニッケルめっき液に添加することにより、次亜リン酸塩の酸化により無電解ニッケルめっき液中に生成蓄積する亜リン酸塩を、亜リン酸カルシウムとして沈殿生成させ、沈殿生成した亜リン酸カルシウムを分離除去する
ことを特徴とする無電解ニッケルめっき液の再生方法。 - 請求項1の無電解ニッケルめっき液の再生方法において、
反応終了時の液のpHが4.5〜5.8になるように、上記無電解ニッケルめっき液に、炭酸カルシウム及び水酸化カルシウムから選ばれた少なくとも一種を添加すると共に、次亜リン酸を添加する
ことを特徴とする無電解ニッケルめっき液の再生方法。
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