JP3417728B2 - 無電解ニッケルめっき方法 - Google Patents
無電解ニッケルめっき方法Info
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Description
用することができる無電解ニッケルめっき方法、詳しく
は硫酸塩が蓄積しないニッケル源と次亜リン酸塩系の還
元剤からなるめっき液により無電解ニッケルめっきを行
う過程で、めっき老化液中に生成蓄積する亜リン酸塩を
分離除去することにより補給めっき液およびpH調整剤
としてリサイクル使用するシステムの無電解ニッケルめ
っき方法に関する。
解ニッケルめっき液の基本構成は、ニッケル源として硫
酸ニッケルを、還元剤として次亜リン酸ナトリウムを組
み合わせた組成が一般的であり、めっき液のpHを一定
値に保持するために水酸化ナトリウムまたは水酸化アン
モニウムが使用されている。
き操作を行うと、めっき液中に次亜リン酸ナトリウムが
酸化して生成する亜リン酸ナトリウムおよびニッケル源
となる硫酸ニッケルが反応して生成する硫酸ナトリウム
が経時的に生成蓄積し、めっき速度の低下、異常析出、
皮膜物性の劣化等の現象を惹起する。したがって、一定
期間使用しためっき液は定期的に更新され、使用済のめ
っき浴は老化液として再利用されぬまま海洋等に廃棄処
分されてきた。しかしながら、1995年からロンドン
・ダンピング条約により、地球環境保護のため海洋廃棄
処分が禁止されており、無電解めっき老化液を無害化ま
たは再利用するための合理的な処理方法の開発が重要な
課題となっている。
で蓄積される亜リン酸ナトリウムや硫酸ナトリウムの除
去については、既に各種の試みがなされているが、いず
れも工業的に実用されていない。例えば、除去方法とし
て電解隔膜を用いて不要成分を分離する手段が知られて
いるが、この方法では不要成分と共に有効成分もめっき
液から除かれてまう欠点がある。また、ニッケルおよび
ナトリウムイオンを予めイオン交換樹脂でめっき液より
分離し、残りの液にカルシウムまたはマグネシウム塩を
加えて硫酸塩および亜リン酸塩を不溶化して分離し、イ
オン交換樹脂に吸着させたナトリウムとニッケルを分
別、脱離したのち、ニッケルのみをめっき液に戻して再
利用する方法が提案されたが、技術的にも経済的にも問
題が多く実用されていない。このほか、現場的には老化
しためっき液の1部を廃棄し、新液を補充して延命を図
る方法も採用されているが、根本的な解決法とは言い難
い。
いる従来技術とは異なり、硫酸塩が蓄積しない無電解ニ
ッケルめっき液として、ニッケルイオン、次亜リン酸イ
オン、醋化剤および安定剤の各薬液を含有する無電解ニ
ッケルめっき液において、定常状態のニッケルイオンと
次亜リン酸イオンとの基本液組成が、それぞれNi2+と
して0.017〜0.34モル/リットル、H2 PO2
- として0.17〜1モル/リットル、かつモル比(H
2 PO2 - /Ni2+)は2〜3の範囲にある液が本出願
人により提案されている(特開平6−264252号公報)。
このめっき液によれば、硫酸塩の生成蓄積がないため、
めっき液の延命および老化液の廃液処理が容易になる利
点がある。しかし、亜リン酸塩の蓄積に対する除去対策
については配慮されていない。
液の処理方法に関しては多くの提案がなされているが、
部分的には合理的なプロセスと評価される要素はあるも
のの、経済的かつ技術的に十分な実用性のある技術は開
発されていない。老化液の処理問題は、単に処理方法に
止まらず、構成するめっき液それ自体を含めた全体的問
題として捉え、最も合理的な解決手段を創出する必要が
ある。
に有効なめっき老化液のリサイクル使用について鋭意研
究を重ねた結果、硫酸イオンを含まないニッケル源をめ
っき液とし、この場合のめっき操作過程で生じるめっき
液の老化液を特定の温度およびpH条件下でカルシウム
成分で処理すると、蓄積した亜リン酸イオンがカルシウ
ムイオンと選択的に反応してニッケルイオンを随伴させ
ることなく亜リン酸カルシウムとして効果的に除去する
ことができ、処理後の回収母液は残留Ca2+が少ないこ
とから、めっき液へのリサイクルが十分に可能になるこ
とを確認した。
もので、その目的とするところは、硫酸イオンを含まな
いめっき液組成において、めっき老化液から亜リン酸塩
を分離除去してめっき液およぼpH調整剤としてリサイ
クル使用することができる技術性ならびに経済性に優れ
る無電解ニッケルめっき方法を提供することにある。
めの本発明による無電解ニッケルめっき方法は、ニッケ
ル源となる水酸化ニッケル、炭酸ニッケルもしくは次亜
リン酸ニッケルと、還元剤となる次亜リン酸または次亜
リン酸ニッケルを組み合わせた基本組成のめっき液を用
いて無電解ニッケルめっきを行う方法において、次亜リ
ン酸塩の酸化により蓄積する亜リン酸塩を、常温下かつ
pH6〜9の条件下で炭酸カルシウムまたは/および水
酸化カルシウムと反応させ、沈澱生成する亜リン酸カル
ウシムを分離除去した回収母液をめっき液およびpH調
整剤としてリサイクル使用することを構成上の特徴とす
る。
の基本組成は、従来技術のような硫酸ニッケル一次亜リ
ン酸ナトリウム系ではなく、ニッケル源として水酸化ニ
ッケル、炭酸ニッケルもしくは次亜リン酸ニッケル、建
浴または補給用として次亜リン酸または次亜リン酸ニッ
ケル等の還元剤を選択して組み合わせためっき液を使用
することが前提的要件となる。該基本組成となる成分系
には、従来技術で常用されている錯化剤、安定剤、光沢
剤、界面活性剤等の補助薬剤を配合してめっき液を構成
する。
ッケルめっき処理を行うと、経時的に次亜リン酸塩が酸
化されて亜リン酸イオンが生成蓄積されるが、ニッケル
源として硫酸ニッケルを用いていない関係で硫酸塩の蓄
積はない。したがって、無電解ニッケルめっき過程で老
化しためっき液の組成は、ニッケル、次亜リン酸、亜リ
ン酸、錯化剤、ナトリウム等の各イオンと、光沢剤、界
面活性剤、安定剤および被めっき物から溶解した微量の
金属イオンを含有するものとなる。
解ニッケルめっき老化液の1部または全量を反応槽に移
し、液温を常温下に冷却したのち、炭酸カルシウム、水
酸化カルシウムもしくはこれらの混合物を粉末のままも
しくは水性スラリー状にして撹拌下の反応槽に添加し、
pHを6〜9、好ましくは6.5〜8.8の範囲に調整
して脱亜リン酸塩の処理を施す。
設定する理由は、この条件において処理液に対する亜リ
ン酸カルシウムの溶解を防止するとともに、ニッケルイ
オンの完全な溶解を確保するためである。液温が50℃
を越えると、錯化剤の錯化作用が弱化してニッケルイオ
ンが沈殿するようになり、10℃以下の低温になると反
応時間が長くなる。また、pHは6未満になると処理液
に対する亜リン酸カルシウムの溶解度が増して分離除去
が困難となり、他方pHが9を越えるとニッケルイオン
が沈澱し易くなる。
は/および水酸化カルシウムの添加量は、処理液中の亜
リン酸イオンと当量であることが好ましい。炭酸カルシ
ウムを単独で加えた場合には、添加量が亜リン酸イオン
の当量を越えてもpHが9以上にはならないので条件的
な悪影響はないが、未反応の炭酸カルシウムが残留する
不都合が生じる。水酸化カルシウムを前記の当量以上加
えると、pHが9を越えるためニッケルイオンが水酸化
物として沈殿する結果を招く。カルシウム成分が処理液
中の亜リン酸イオンに対する当量を下回ると、未反応の
亜リン酸イオンが処理液に残存するだけでなく、pHが
6以下になって亜リン酸カルシウムの溶解度も増大する
ため、処理液に溶存する亜リン酸およびカルシウムイオ
ンの量が著しく多くなる。
ルシウム源との反応の関係から、炭酸カルシウムや水酸
化カルシウムの溶解が反応律速となるので亜リン酸カル
シウムの生成時間を十分に採る必要があり、2時間以
上、好ましくは4時間前後を掛けて撹拌下で反応させる
ことが好ましい。
沈殿生成した亜りん酸カルシウムを分離除去する。この
濾過操作により、無電解めっき老化液中の大部分の亜リ
ン酸塩ならびに金属不純物が選択的に分離される。一
方、有効成分であるニッケル、次亜リン酸、錯化剤等は
沈殿せずに濾液中に溶存している。このようにして亜リ
ン酸カルシウムを分離除去した回収母液は、そのままめ
っき液の補給用として、あるいはpH調整剤としてリサ
イクル使用される。
存するカルシウムイオンの濃度として、0.12g/l 以
下になるように亜リン酸カルシウムを分離除去すること
が好ましい。この溶存カルシウムの低濃度化は、概ね上
記の処理操作により達成することができるが、成分組成
によっては溶存するカルシウムイオン濃度が0.12g/
l よりやや高くなることがあり、ニッケルめっき皮膜に
悪影響を及ぼす危険性がある。このような場合には、上
記の処理で得られた回収母液を加熱濃縮して、再度、亜
リン酸カルシウムを分離除去することが好ましい実施態
様となる。
一律ではないが、多くの場合、処理液を全容量の1/3
以下に加熱濃縮したのち冷却し、沈澱する亜リン酸カル
シウムを濾過する方法で行われる。全容量の1/5以下
にまで濃縮することは溶存カルシウム濃度の減少の点で
は好ましいが、濃縮するための消費熱量が大きく経済的
でない。しかし、補給用として利用する場合は、濃厚液
の方がめっき液の調整が容易となることから、1/5以
下に濃縮しても特に支障はない。
液を処理した回収母液は、液組成を確認し、必要に応じ
て次亜リン酸ニッケル等の不足の薬剤を添加して液組成
を調整したのち、建浴液もしくは補給用めっき液として
リサイクル使用する。
くは次亜リン酸ニッケルをニッケル源、次亜リン酸また
は次亜リン酸ニッケルを還元剤とした基本組成のめっき
液を用いて無電解ニッケルめっき処理する方法におい
て、処理中に生成蓄積する亜リン酸塩を効率的に分離除
去してめっき老化液のリサイクル再利用を可能にしたと
ころに特徴付けられる。
っき反応により経時的に蓄積する亜リン酸イオンを常温
かつpH6〜9の条件下でカルシウムイオンと作用さ
せ、下記(1) 式の沈澱反応を介して、Ni2+を沈殿させ
ることなく、実質的に亜リン酸カルシウムのみを選択的
に沈殿させて分離除去させるものである。この反応によ
る分離除去は、回収母液を加熱濃縮して、再度、濾過処
理することにより一層確実にすることができる。 HPO3 2 - +Ca2+→CaHPO3 ↓ …(1)
っき方法によれば、従来技術のように基本組成に硫酸イ
オンが介在しないため、めっき老化液には硫酸ナトリウ
ムの蓄積が生じることがなく、これが本処理システムの
工業的に信頼性を高める重要な根拠となっている。めっ
き老化液中に硫酸イオンが共存すると、老化液中の亜リ
ン酸イオンに対し当量以下のカルシウムイオンを添加し
た場合は、反応当初は上記(1) 式の反応に加え、下記の
(2) 式の反応が併起し、含水石膏が共沈する。長時間反
応を継続させれば(3) 式の複分解反応により、亜リン酸
カルシウムが沈殿するが、(3) 式の反応は速度が極めて
遅いため、実質的には(1) 式と(2) 式の競合反応が同時
に起生する。 SO4 2 - +Ca2++2H2 O→CaSO4 ・2H2 O↓ …(2) CaSO4 ・2H2 O+HPO3 2 - →CaHPO3 ↓+SO4 2 - …(3)
増加に連れて亜リン酸カルシウムの溶解度が増加するこ
とも実験的に確かめられている。したがって、亜リン酸
イオンの除去効率は大幅に低下し、溶存カルシウム濃度
も高くなり、またナトリウムイオンは全く影響されずに
残留することから、このままではめっき液として再利用
することはできないし、回収母液を1/5以下に加熱濃
縮しても溶存カルシウム濃度を低下させることも不可能
となる。
量以上のカルシウムイオンを添加した場合は(1) 式およ
び(2) 式の反応が併起し、生成する沈殿量が多くなるだ
けでなく、水酸化カルシウムを用いた場合は処理液のp
Hが9を越え、有効成分であるニッケルイオンも沈殿す
る。また、硫酸カルシウムの沈殿物が微細なため濾過性
および洗浄性に劣ることから、濾過時間が長くなるだけ
でなく濾過ケーキから有効成分を十分に洗浄回収するこ
とができない。更に、回収固形分は水酸化ニッケル、石
膏および亜リン酸カルシウムの混合物となり、その処分
方法が問題となることから、硫酸ニッケルをニッケル源
とする従来の基本組成を前提としては本発明の作用効果
を得ることはできない。
体的に説明する。
リウム25g/l 、コハク酸ナトリウム10g/l 、硝酸鉛
11mg/lからなる組成を有し、pH4.5に調整した無
電解ニッケルめっき液4l を5l のガラスビーカーに建
浴し、90℃に加温した後、脱脂、酸洗浄した鉄片(5
cm×10cm×0.2mm)10枚を1度に浸漬し30分間
無電解ニッケルめっきを16回行った。なお、めっき操
作の途中で、めっき反応により消耗する薬剤(主に次亜
リン酸ニッケル)を30分毎に補給し、液のpHを4.
5に維持するため水酸化ナトリウム水溶液を常時補充す
るとともに、蒸発する水分を脱塩水を加えて補充した。
この無電解ニッケルめっき処理により、鉄片上に最大厚
み10.4μm 、最小厚み9.3μm 、平均厚み9.8
μm のニッケルめっき皮膜が析出し、形成されためっき
層は全て緻密、平滑で優れた金属光沢を示すものであっ
た。
ッケル5.8g/l 、次亜リン酸イオン13.1g/l 、亜
リン酸イオン101.1g/l 、リンゴ酸ナトリウム2
7.3g/l 、コハク酸ナトリウム11.1g/l 、鉄イオ
ン64mg/lであった。このめっき老化液を全量処理槽に
移し、30℃以下に冷却したのち炭酸カルシウム505
g を撹拌下に投入し、4時間保持した。処理後、複分解
により生成した白色沈殿物を含む処理液を遠心分離機を
用い濾過した。次いで、遠心分離機内の濾過ケーキを2
00mlの脱塩水で3回洗浄した。回収した濾液および洗
浄液を処理槽に戻し液量が1l になるまで加熱濃縮し
た。この加熱濃縮処理により生成した沈殿物を再び遠心
分離機で濾過した。濾過ケーキは白色で濾過性に優れて
おり、X線回折で分析したところ、亜リン酸カルシウム
の含水結晶であることが認められた。
ケル23.1g/l 、次亜リン酸イオン52.2g/l 、亜
リン酸イオン130mg/l、リンゴ酸ナトリウム99.5
g/l、コハク酸ナトリウム39.6g/l 、鉄イオン2mg/
l、カルシウムイオン98mg/lの組成で、pHは6.6
5であった。ついで、この回収母液をめっき槽に戻し、
脱塩水2.5l を加え、更に次亜リン酸を加えて液のp
Hを4.5に調整し、最終の液量を4l にして90℃に
加温した。このめっき液に鉄片を浸漬して無電解ニッケ
ル処理を施したところ、新めっき液と遜色のないニッケ
ルめっき皮膜が形成され、得られためっき皮膜の厚みは
10.2μm であった。この結果、めっき老化液中に溶
存する亜リン酸イオンをカルシウム塩として沈殿除去し
た回収母液は、めっき液としてリサイクル使用が可能で
あることが確認された。
浴し、実施例1と同様の操作条件で鉄片50枚をめっき
処理した。処理後のめっき老化液組成はニッケル6.1
g/l 、次亜リン酸イオン13.5g/l 、亜リン酸イオン
43.0g/l 、リンゴ酸ナトリウム25.9g/l 、コハ
ク酸ナトリウム10.7g/l 、鉄25mg/lであった。こ
のめっき老化液の全量を熱交換機を通して処理槽に移し
た。処理槽内の液温が25℃以下であることを確認した
のち、撹拌しながら水酸化カルシウム159.2g を処
理液に投入し、4時間反応させた。反応後の処理液を遠
心分離機を用いて濾過し、ついで遠心分離機内の濾過ケ
ーキを200mlの脱塩水で3回洗浄した。濾液および洗
浄液を混合し、蒸発缶でで4l に濃縮した。この液を分
析したところ、ニッケルイオン5.9g/l 、次亜リン酸
イオン13.1g/l、亜リン酸イオン0.15g/l 、リ
ンゴ酸ナトリウム24.9g/l 、コハク酸ナトリウム
9.9g/l 、鉄イオン1.5mg/l、カルシウムイオン
0.12g/lの組成であり、pHは8.5であった。処
理液を容量が1/2〜1/5になるように段階的に加熱
濃縮した。この際、生成した沈殿物を再び遠心分離機で
濾過し、再度、脱塩水を加えて4lに調整してカルシウ
ム濃度を分析した結果を表1に示した。
イクル使用し、無電解ニッケルめっき操作を継続したと
ころ、めっき速度、めっき皮膜物性ともに全く新液によ
るめっき時と同様であった。
様にめっき処理を行った後のめっき老化液全量を熱交換
機を通して処理槽に移し、炭酸カルシウム161g を撹
拌下に液温30℃の処理液に投入した。更に、水酸化カ
ルシウム40gを投入し4時間撹拌処理した。反応後の
処理液を遠心分離機を用い濾過したのち遠心分離機内の
濾過ケーキを200mlの脱塩水で3回洗浄した。濾液お
よび洗浄液を混合し、蒸発缶で0.8l に濃縮した。こ
の処理で生成した沈殿物を再び遠心分離機で濾過した。
濾過ケーキはいずれも白色で濾過性に優れていた。濃縮
液を分析したところ、ニッケル29.9g/l 、次亜リン
酸イオン65.8g/l 、亜リン酸イオン62mg/l、リン
ゴ酸ナトリウム124.1g/l 、コハク酸ナトリウム5
0.1g/l 、鉄5mg/l、カルシウムイオン105mg/lの
組成であり、pHは8.55であった。この濃縮液をめ
っき液の補給液としてリサイクル使用し、めっき操作を
継続したところ、めっき速度、析出皮膜物性共全く問題
は生じなかった。
6.5g/l および表2に示す錯化剤からなり、表2に併
載したpHに調整した無電解ニッケルめっき液4l を5
l ガラスビーカーに建浴し、実施例1と同様の操作条件
で鉄片50枚をめっき処理した。
し、30℃に冷却した後、水酸化カルシウムの40%ス
ラリーを撹拌下の処理液にpHが8.0±0.5になる
まで添加した。4時間撹拌を続けた後、遠心分離機を用
いて濾過した。次いで、遠心分離機内の濾過ケーキを2
00mlの脱塩水で3回洗浄した。回収した濾液および洗
浄液を処理槽に戻し、液量が0.8l になるまで濃縮し
た。この時生成した沈殿物を再び遠心分離機で濾過し
た。濾過ケーキは白色で濾過性に優れていた。得られた
濃縮液の分析値を表3に示した。
サイクル使用しめっき操作を継続したが、めっき速度、
析出皮膜共全く問題は生じなかった。
1.6g/l 、リンゴ酸ナトリウム25g/l 、コハク酸ナ
トリウム10g/l 、硝酸鉛11mg/lからなる組成を有
し、pH4.5に調整した無電解ニッケルめっき液4l
を5l のガラスビーカーに建浴し、90℃に加温したの
ち、脱脂、酸洗した鉄片(5cm×10cm×0.2mm)1
0枚を1度に浸漬し30分間保持する無電解ニッケルめ
っき処理を12回繰り返した。めっき操作の途中でめっ
き反応により消耗した薬剤を補給すると共に、液のpH
を水酸化ナトリウムを加えて4.5に保持し、蒸発する
水分を脱塩水を加えて補充した。得られたニッケルめっ
き皮膜は、全て緻密、平滑で優れた金属光沢を示し、め
っき層の厚さは最大10.5μm 、最小8.6μm 、平
均9.2μm であった。
6.1g/l 、次亜リン酸イオン14.3g/l 、亜リン酸
イオン77.8g/l 、硫酸イオン28.3g/l 、リンゴ
酸ナトリウム26.8g/l 、コハク酸ナトリウム10.
7g/l 、鉄イオン48mg/lの組成であった。このめっき
老化液を処理槽に移し30℃以下に冷却した後、炭酸カ
ルシウム389g (老化液中の亜リン酸イオンと等モ
ル)を撹拌下のめっき液に粉末のまま投入し、4時間保
持した。反応後の処理液を遠心分離機を用い濾過し、つ
いで、遠心分離機内の濾過ケーキを200mlの脱塩水で
3回洗浄した。濾液ケーキは濾過性が悪く、濾過に長時
間を要しただけでなく、洗浄性も悪く、濾過ケーキは淡
緑色を呈していた。濾過および洗浄液混合し、脱塩水を
加えて4lに調整した液を分析したところ、ニッケル
4.1g/l 、次亜リン酸ナトリウム9.6g/l 、亜リン
酸イオン15.4g/l 、硫酸イオン18.5g/l 、リン
ゴ酸ナトリウム18.0g/l 、コハク酸ナトリウム7.
2g/l 、鉄イオン1mg/l、カルシウムイオン0.75g/
l で、pHは6.90であった。
ケーキの濾過性が悪いため固液の分離が悪く、めっき液
中の有効成分であるニッケルイオン、次亜リン酸ナトリ
ウム、リンゴ酸ナトリウム、コハク酸ナトリムウが濾過
ケーキ中に取り込まれ、回収率が悪かった。本処理液を
0.8l になるまで加熱濃縮し、生成した沈殿を濾過し
た後、脱塩水を加えて4l に調整した液中のカルシウム
イオンの分析値は150mg/lであり、不足成分を補給し
ても、無電解めっき液として再利用することはできなか
った。
し、比較例1と同様の操作条件でめっき処理をおこなっ
ためっき老化液を30℃以下に冷却し、処理槽に移し
た。水酸化カルシウム375g (老化液中の亜リン酸お
よび硫酸イオンの合量と等モル)を粉末のまま撹拌下の
処理液に添加し4時間反応させた。反応後の処理液を遠
心分離機を用い濾過した。ついで、遠心分離機内の濾過
ケーキを200mlの脱塩化で3回洗浄した。濾過ケーキ
は濾過性が悪く、濾過に長時間を要しただけでなく、洗
浄性も悪く、濾過ケーキは緑色を呈していた。濾液およ
び洗浄液を混合し、脱塩水を加えて4l に調整した液を
分析したところ、ニッケルイオン0.52g/l 、次亜リ
ン酸ナトリウム8.6g/l 、亜リン酸イオン5.3g/
l、硫酸イオン8.5g/l 、リンゴ酸ナトリウム16.
1g/l 、コハク酸ナトリウム6.4g/l 、鉄イオン1mg
/l、カルシウムイオン0.81g/l の組成であり、pH
は9.42であった。
固液の分離が悪く、めっき液中の有効成分である次亜リ
ン酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、コハク酸ナトリ
ウムが濾過ケーキ中に取り込まれ、回収率が低下した。
特にニッケルイオンの大部分は水酸化物として沈殿し、
濾過ケーキに移行した。本処理液を0.8l になるまで
加熱濃縮し、生成した沈殿を濾過した後、脱塩水を加え
て4l に調整した液中のカルシウムイオンの分析値は1
60mg/lであり、不足成分を補給しても、無電解めっき
液として再利用することはできなかった。
し、実施例2と同様のめっき処理を行っためっき老化液
の全量を処理槽に移し、冷却しないまま炭酸カルシウム
505g を添加し4時間撹拌反応させた。この時の初期
の温度は70℃、4時間後では50℃であった。反応
後、処理液を遠心分離機を用いて濾過した。生成した沈
殿物は緑色を帯び細かく濾過性が悪かった。次いで遠心
分離機内の濾過ケーキを200mlの脱塩水で3回洗浄し
た。濾液および洗浄液を混合し、液量が0.8l になる
まで加熱濃縮し、濾過した濾液の組成分析を行ったとこ
ろ、ニッケル8.0g/l 、次亜リン酸イオン52.5g/
l 、亜リン酸イオン0.12g/l 、リンゴ酸ナトリウム
100g/l 、コハク酸ナトリウム40.5g/l 、鉄イオ
ン1mg/l以下、カルシウムイオン110mg/lで、pHは
6.81であった。本処理液は、各成分を大量補給しな
ければ無電解めっき液とし再利用することはできなかっ
た。
し、実施例2と同様のめっき処理を行っためっき老化液
の全量を処理槽に移し、25℃に冷却した後、撹拌しな
がら老化液中の亜リン酸イオン濃度に対し1.3倍モル
の水酸化カルシウムを粉末のまま投入し、4時間反応さ
せた。反応後の処理液を遠心分離機を用いて濾過した。
緑色を呈した濾過ケーキは濾過性が悪く濾過に長時間を
要した。次いで遠心分離機内の濾過ケーキを200mlの
脱塩水で3回洗浄した。濾液および洗浄液を混合し、脱
塩水を加えて4l 調整した。この処理液を分析したとこ
ろ、ニッケルイオン0.65g/l 、次亜リン酸イオン1
0.0g/l 、亜リン酸イオン0.11g/l 、リンゴ酸ナ
トリウム14.4g/l 、コハク酸ナトリウム7.5g/l
、鉄イオン0.6mg/l、カルシウムイオン0.8g/l
の組成で、pHは9.8であり、カルシウム濃度が高
く、各処理液を補給してもめっき液として再利用するこ
とはできなかった。また、本処理液を1/5になるまで
加熱濃縮し、生成する沈殿物を濾過し、再び4l に調整
した液中のカルシウム濃度を分析したところ、0.14
g/l であり、めっき液として再利用することは困難であ
った。
し、実施例2と同様のめっき処理を行っためっき老化液
の全量を処理槽に移し、25℃に冷却した後、撹拌しな
がら老化液中の亜リン酸イオン濃度に対し0.7倍モル
の水酸化カルシウムを粉末のまま投入し、4時間反応さ
せた。反応後の処理液を遠心分離機を用いて濾過した。
濾過ケーキは白色で濾過性は優れていた。次いで遠心分
離機内の濾過ケーキを200mlの脱塩水で3回洗浄し
た。濾液および洗浄液を混合し、脱塩水を加えて4l 調
整した。この処理液を分析したところ、ニッケルイオン
5.7g/l 、次亜リン酸イオン12.8g/l 、亜リン酸
イオン13.5g/l 、リンゴ酸ナトリウム24.7g/l
、コハク酸ナトリウム9.9g/l 、鉄イオン10mg/
l、カルシウムイオン1.8g/l の組成で、pHは5.
2であり、このままではカルシウム濃度が高くめっき液
として再利用することはできなかった。また、1/5以
上に加熱濃縮しても溶存カルシウム濃度が高過ぎて、め
っき液として再利用することは不可能であった。
ンが蓄積しない無電解ニッケルめっき液を使用し、めっ
き操作の継続に応じて生成蓄積する亜リン酸塩をカルシ
ウム成分により亜リン酸カルシウムとして沈殿分離する
ことにより、めっき老化液を効果的にリサイクル使用す
ることが可能となる。したがって、めっき液の補給とp
Hの調整が同時に図れるため、めっき薬剤の使用量を大
幅に削減することができる。また、沈殿分離した亜リン
酸カルシウムは単体で回収できるため、各種のリン化合
物の原料として利用できる。そのうえ、本発明の用いら
れる再生装置は単純で小規模のため発生現地に設置で
き、廃棄物が大幅に減少できるので廃棄物の回収にかか
る費用を著しく低廉化し得る経済的効果ももたらされ
る。
Claims (3)
- 【請求項1】 ニッケル源となる水酸化ニッケル、炭酸
ニッケルもしくは次亜リン酸ニッケルと、還元剤となる
次亜リン酸または次亜リン酸ニッケルを組み合わせた基
本組成のめっき液を用いて無電解ニッケルめっきを行う
方法において、次亜リン酸塩の酸化により蓄積する亜リ
ン酸塩を、常温かつpH6〜9の条件下で炭酸カルシウ
ムまたは/および水酸化カルシウムと反応させ、沈澱生
成する亜リン酸カルウシムを分離除去した回収母液をめ
っき液およびpH調整剤としてリサイクル使用すること
を特徴とする無電解ニッケルめっき方法。 - 【請求項2】 回収母液中に溶存するカルシウムイオン
濃度が0.12g/l以下になるように亜リン酸カルウシ
ムを分離除去する請求項1記載の無電解ニッケルめっき
方法。 - 【請求項3】 請求項1の回収母液を加熱濃縮したの
ち、再度、亜リン酸カルウシムを分離除去する無電解ニ
ッケルめっき方法。
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- 1995-06-08 JP JP16690795A patent/JP3417728B2/ja not_active Expired - Fee Related
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