JP3939634B2 - オーミック電極形成用導体ペースト - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は有害な鉛成分を含まずに高密着強度が得られるオーミック電極を形成するための導体ペーストに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
キュリー点以下の室温付近において温度上昇とともに抵抗値が低下する特性を示すNTCサーミスタや、温度上昇とともに抵抗値が大きくなるPTCサーミスタや、バリスターや、半導体コンデンサーなどの電極には、セラミック素体とオーミック接触性を有する電極用導体ペーストが必要である。従来、この電極用導体ペーストは、貴金属、銅またはニッケル等の導電性粉末と、金属酸化物やガラスなどの無機結合剤と、有機ビビクルから構成されるものが一般的であった。その導体ペーストはセラミック素体上に塗布され、800〜900℃の温度で焼成することで電極が形成される。そして、現在一般に用いられている導体ペーストは、密着強度を向上するためにガラスフリットに酸化鉛を配合しているものが多い(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、アルミニウムが48〜96重量%およびケイ素が4〜52重量%からなる主成分に対して、ガラスフリットが10〜50重量%添加される半導体磁器用オーミック性電極材料が開示されており、その段落番号[0016]には、低融点ガラスフリットとして、平均粒径が10μmのほうけい酸鉛系ガラスフリットを用いることが記載されている。
【0004】
しかし、近年、環境上の問題から鉛化合物の使用が制限されており、非鉛化ガラスフリットの要求が高まっているが、鉛成分を含有しないガラスフリットでは十分な密着強度を得ることが困難である。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−62804号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来のオーミック電極形成用導体ペーストは鉛成分を含有しており、環境への悪影響が懸念される。しかし、単に鉛成分を含有しないガラスフリットを用いるだけでは十分な密着強度が得られず、そのようなガラスフリットから得られる導体ペーストでは実使用に適する電極を形成することはできない。
【0007】
本発明は従来の技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、導体ペースト中に鉛成分を含有することなく高い密着強度を得ることができるオーミック電極形成用導体ペーストを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、導電性粉末、鉛成分を含有しないガラスフリット、Mo化合物、金属Zn及び有機ビヒクルを含有しており、適量のMo化合物と金属Znを含有することにより、密着性と良好なオーミック接触(接触抵抗値が低いこと)を確保することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
すなわち、本発明に係るオーミック電極形成用導体ペーストは、導電性粉末、鉛成分を含有しないガラスフリット、Mo化合物および金属Znを有機ビヒクル中に均一に分散させてなるものである。
【0010】
導電性粉末としては、Au、Ag、Pt、Pd、CuまたはNiのうち少なくとも1種類の金属粉末を用いることができる。これらの金属粉末の平均粒径は、0.5〜10μmのものが好ましい。0.5μm未満の小粒径のものは高温で焼成すると焼結して塊状化するという欠点があり、一方、10μmを超える大粒径のものは分散性が良くないからである。これらの導電性粉末は、単独金属の粉末として、金属粉末の混合物として、あるいは合金粉末として使用することができる。また、これらの導電性粉末のなかでは、経済的理由でAg粉末、Ag粉末にPt粉末やPd粉末を混合したもの、またはAgとPtもしくはAgとPdの合金化粉末が好適に使用される。
【0011】
鉛成分を含有しないガラスフリットとしては、例えば、ホウケイ酸亜鉛系ガラス、ホウ酸ビスマス系ガラス、ホウ酸亜鉛系ガラスまたはホウケイ酸系ガラスのような鉛成分を含まないガラスフリットを用いることができる。ガラスフリットの粒径は、10μm以下であることが好ましい。10μmを超える粒径の大きいものを用いると、ペースト中のガラスフリットの分散性が著しく悪化し、ペースト成分の均一性が得られないからである。ガラスフリットは、導電性粉末100重量部に対して0.01〜10.0重量部添加するのが好ましい。ガラスフリット0.01重量部未満では必要な密着強度が得られず、10.0重量部を超えると、良好なオーミック接触が得られないからである。この点で、導電性粉末100重量部に対して、ガラスフリットを0.05〜5.0重量部添加するのがより好ましい。
【0012】
Mo化合物としては、金属Mo、MoSi2、MoO3、ナフテン酸Moまたはオクチル酸Moのうち少なくとも1種類を用いることができる。これらMo化合物の添加量はMo金属に換算した場合に、導電性粉末100重量部に対して0.01〜5.0重量部とするのが好ましい。0.01重量部未満では必要な密着強度が得られず、5.0重量部を超えるとオーミック接触に伴う抵抗が増加するからである。これらの点を考慮すると、Mo化合物の添加量はMo金属に換算した場合に、導電性粉末100重量部に対して0.05〜3.0重量部とするのが特に好ましい。
【0013】
金属Znは、導電性粉末100重量部に対して0.01〜5.0重量部添加するのが好ましい。0.01重量部未満では必要な密着強度が得られず、5.0重量部を超えるとオーミック接触に伴う抵抗が増加するからである。
【0014】
さらに、InまたはIn−Ga合金のうち少なくとも1種類を導電性粉末100重量部に対して0.01〜5.0重量部添加することができる。これらの金属を添加することで、密着強度を一層高めることができるからである。しかし、0.01重量部未満の添加量では密着強度は向上せず、5.0重量部を超えるとオーミック接触に伴う抵抗が増加するという弊害が現れるので、InまたはIn−Ga合金を添加する場合は、導電性粉末100重量部に対して0.01〜5.0重量部添加するのが好ましい。
【0015】
有機ビヒクルとしては、例えばセルロース系樹脂をα−テルピネオール等に溶解したものを挙げることができるが、これに限定されるものではなく、通常ペースト化に際して用いられるものであれば使用することができ、導電性粉末100重量部に対して5〜100重量部添加するのが好ましい。5重量部未満ではペースト化が困難で、100重量部を超えると、膜の緻密性が悪化し、電極としての特性を維持できないという不都合な点があるからである。
【0016】
ペーストを作製するに際しては、所定の配合の導電性粉末、鉛成分を含有しないガラスフリット、Mo化合物、金属Zn、さらに必要に応じて、InまたはIn−Ga合金を有機ビヒクルと混合し、3本ロールミルで混練してこれらの物質を均一に分散したペーストを得ることができる。
【0017】
【実施例】
以下に本発明の好ましい実施例を説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲において適宜の修正と変更が可能である。
【0018】
以下の表1に示す実施例1〜11と比較例1〜3の各配合(重量部)のものにエチルセルロース樹脂をα−テルピネオールに溶解した有機ビヒクルを15重量部添加し、3本ロールミルで混練して配合成分を均一に分散したペーストを得た。このペーストをMn−Ni−Co系セラミックからなるNTCサーミスタ素体上に塗布して、空気中850℃で10分間焼成して電極を形成した。なお、表1において、Ag粉末の平均粒径は2μmであり、Pt粉末の平均粒径は0.5μmである。
【0019】
そして、実施例1〜11および比較例1〜3の電極について、オーミック接触性と密着強度を評価した。その評価方法は、下記のとおりである。
(1)オーミック接触性
上記焼成ペーストからなる電極と素体との境界面に抵抗測定器の測定端子を当接し、室温で抵抗値を測定することによりオーミック接触性を評価した。この接触抵抗値が低いほどオーミック接触性は良好である。
(2)密着強度
上記焼成ペーストからなる電極上に、Sn/Ag/Cu系の鉛を含有しない半田を用いて0.6mmの直径の錫メッキ軟銅線を接着し、その錫メッキ軟銅線の引き剥がし強度を測定することにより密着強度を評価した。
【0020】
【表1】
【0021】
表1に示すように、適量のMo化合物と金属Znを配合した実施例1〜11の電極は、比較例1〜3の電極に比べて密着強度が高く、且つオーミック接触性が良好である(接触抵抗値が低い)。
【0022】
なお、実施例の中では、Mo化合物の添加量が少ない実施例5は、他の実施例に比べて密着強度がやや低く、適量のMo化合物を添加することにより密着強度が高められることが分かる。また、Mo化合物の添加量が多い実施例6と金属Znの添加量が多い実施例10の接触抵抗値は他の実施例に比べてやや高く、Mo化合物や金属Znの添加量が多くなると接触抵抗は増加する傾向にあることが分かる。また、Mo化合物については、酸化物のみならず、実施例7のMoSi2 や実施例8のオクチル酸Moや実施例11の金属Moを用いても、酸化物の場合と同様に高い密着強度と良好なオーミック接触性(接触抵抗値が低いこと)を確保できることが分かる。
【0023】
一方、比較例1は、Mo化合物が全く添加されていないので、密着強度が極めて低い。
【0024】
また、比較例2は、Mo化合物の添加量が多すぎるので、実使用に適さない程度の高い接触抵抗値である。
【0025】
さらに、比較例3は、金属Znの添加量が多すぎるので、比較例2と同様に、実使用に適さない程度の高い接触抵抗値である。
【0026】
【発明の効果】
本発明は上記のように構成されているので、鉛成分を含有することなく、高い密着強度と良好なオーミック接触性を有するオーミック電極形成用導体ペーストを提供することができる。
Claims (4)
- オーミック電極を形成するための導体ペーストであって、導電性粉末、鉛成分を含有しないガラスフリット、Mo化合物、金属Zn及び有機ビヒクルを含有することを特徴とするオーミック電極形成用導体ペースト。
- 導電性粉末100重量部に対して、鉛成分を含有しないガラスフリットを0.01〜10.0重量部、Mo化合物を0.01〜5.0重量部、金属Znを0.01〜5.0重量部添加することを特徴とする請求項1記載のオーミック電極形成用導体ペースト。
- 導電性粉末として、Au、Ag、Pt、Pd、CuまたはNiのうち少なくとも1種類の金属粉末もしくはこれらの金属の合金粉末を用いることを特徴とする請求項1または2記載のオーミック電極形成用導体ペースト。
- Mo化合物として、金属Mo、MoSi2、MoO3、ナフテン酸Moまたはオクチル酸Moのうち少なくとも1種類を用いることを特徴とする請求項1、2または3記載のオーミック電極形成用導体ペースト。
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