JP3938956B2 - アスファルト組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はアスファルトと新規なエチレン−芳香族ビニル化合物共重合体とを含有するアスファルト組成物に関する。
【0002】
さらに詳しくは、本発明は、耐流動性、低温特性、タフネス、テナシティー等の機械的特性の改良された、排水性舗装を含む道路舗装、防水シート、遮音シート、ルーフィング等の用途に好適に用いられる新規なアスファルト組成物に関する。
【0003】
【従来の技術】
アスファルトは、安価でかつ耐久性に優れた材料であり、土木建築分野を中心に広範な用途に使用されているが、特にエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、クロロプレンゴム等のゴム状物質とアスファルトとからなる組成物では、アスファルトの機械的特性等が改良されており、道路舗装、建築物の防水補修等の用途に広く使用されている。
【0004】
しかしながら、エチレン−酢酸ビニル共重合体あるいはエチレン−エチルアクリレート共重合体とアスファルトとからなる組成物では、低温伸度等の低温特性に劣るため、道路舗装に用いられた場合に、寒冷地を中心に冬季に舗装面のひび割れが発生して好ましくない。
【0005】
また、スチレン−ブタジエン共重合体あるいはクロロプレンゴムとアスファルトとからなる組成物では、低温特性の改良は果たされるものの、タフネスやテナシティーといった機械的特性の改良効果が不十分であるため、排水性舗装等の高度の機械的特性が要求される用途に供する場合には、更なる改良が望まれている。
【0006】
そのために、アスファルト組成物中のゴム状重合体の添加量を増加させることで、改質効果を高める方法が一般に行われているが、この方法では、配合に要する溶解時間が長くなり、また組成物の溶融粘度が高くなるため施工作業性に劣り、また経済的にも不利を来す。
【0007】
このように、低温伸度等の低温特性と、タフネス、テナシティー等の機械的特性に優れ、かつ施工作業性に優れたアスファルト組成物は、これまでに見出されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、このような従来のアスファルト組成物の欠点を改良し、大きな低温伸度を有し、同時にタフネス、テナシティー等の機械的特性に優れ、更に土木建築工事での施工作業性に優れる、新規なアスファルト組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、アスファルトと特定の組成及び構造を有する新規なエチレン−芳香族ビニル化合物共重合体とを含有する新規なアスファルト組成物により上記の課題を解決したものである。
【0010】
即ち、本発明は、(A)アスファルト1〜99重量部と、(B)下記のエチレン−芳香族ビニル化合物共重合体99〜1重量部とを含有するアスファルト組成物である。
(B)は芳香族ビニル化合物含量が1〜55モル%であるエチレン−芳香族ビニル化合物共重合体であって、下記の一般式(1)で示される構造を主とし、その構造中に含まれる下記の一般式(2)で示されるエチレンと芳香族ビニル化合物の交互構造のフェニル基の立体規則性がアイソタクティクダイアッド分率mで0.75以上であるエチレン−芳香族ビニル化合物共重合体。
【0011】
【化5】
【0012】
(式中、Phはフェニル基等の芳香族基、xは繰り返し単位数を示す2以上の整数、yは1以上の整数であって、各繰り返し単位において同一でも異なっていてもよい。zは0または1であって、各繰り返し単位において同一でも異なっていてもよい。)
【0013】
【化6】
【0014】
(式中、Phはフェニル基等の芳香族基、x’は繰り返し単位数を示し2以上の整数を表す。)
【0015】
また、本発明は(B)成分のエチレン−芳香族ビニル化合物共重合体が、エチレンと芳香族ビニル化合物単量体とを上記の一般式(3)または(4)で示される遷移金属化合物と、助触媒とを用いて重合することにより製造される上記のアスファルト組成物である。
【0016】
以下、本発明の内容を詳細に説明する。なお、下記の説明で、化学式中のPhはフェニル基等の芳香族基を、Meはメチル基を表す。
本発明の(B)エチレン−芳香族ビニル化合物共重合体とは、上記の一般式(1)で示される構造を主として有する共重合体において、上記の一般式(2)で示されるエチレンと芳香族ビニル化合物の交互構造のフェニル基の立体規則性がアイソタクティクダイアッド分率mで0.75以上であり、共重合体の芳香族ビニル化合物含量が1〜55モル%である共重合体である。その構造は、核磁気共鳴法(NMR法)によって決定される。
【0017】
以下に、本発明の(B)成分の代表例であるエチレン−スチレン共重合体を例に取り、(B)成分について更に詳細に説明する。
スチレン含量が1〜55モル%であるこの共重合体の13C−NMRスペクトルは、主に以下に示す位置にピークを示す。
即ち、主鎖メチレン及びメチン炭素に由来するピークを25ppm付近、27ppm付近、30ppm付近、36ppm付近、及び45ppm付近に、また、フェニル基のうちポリマー主鎖に結合していない5個の炭素に由来するピークを126ppm付近及び128ppm付近に、フェニル基のうち共重合体の主鎖に結合している1個の炭素に由来するピークを146ppm付近に示す。
特開平3−163088号公報に記載されている共重合体の13C−NMRスペクトルとの比較により、これはヘッド−テイル構造のスチレン連鎖を有しない、いわゆる擬似ランダム共重合体である。
【0018】
本発明の(B)成分である、一般式(1)で表される共重合体は、下式(i)で与えられる指数θが、スチレン含量が1〜45モル%未満の場合70より大きく、45〜55モル%の場合30より大きいことを特徴とする。
θ=Al/A2×100 式(i)
ここで、AlはTMSを基準とした13C−NMRによって25〜50ppmの範囲に見い出される、下記一般式(1’)中のα〜εのメチン、メチレン炭素に帰属されるピーク面積の総和である。また、A2はTMSを基準にした13C−NMRによる25〜50ppmの範囲のピークの面積の総和である。
【0019】
【化7】
【0020】
(式中、xは繰り返し単位数を示す2以上の整数、yは1以上の整数であって、各繰り返し単位において互いに同一でも異なっていてもよい。zは0または1であって、各繰り返し単位において互いに同一でも異なっていてもよい。zが0の場合は、ポリマー内においてエチレンに対するスチレンの結合方向が一様である場合を示し、1の場合は、エチレンに対するスチレンの結合方向が一様でない場合、即ち異種結合を含む場合を示している。)
【0021】
一般式(1)で表される共重合体中に含まれるエチレン−スチレン交互構造の割合を示す指数λを下式(ii)で定義する。
λ=A3/A2×100 式(ii)
ここで、A3はTMSを基準とした13C−NMRによって25〜50ppmの範囲に見い出されるエチレン−スチレン交互構造由来の、下記の一般式(2’)中のa、b、c3種類のメチン、メチレン炭素に帰属されるピークの面積の総和である。また、A2はTMSを基準にした13C−NMRによる25〜50ppmの範囲のピークの面積の総和である。
【0022】
【化8】
【0023】
(式中、x’は繰り返し単位数を示し2以上の整数を表す。)
【0024】
本発明の(B)成分であるエチレン−スチレン共重合体は、交互構造指数λが70より小さく0.1より大きい、好ましくは70より小さく3より大きい、特に好ましくは70より小さく10より大きいことを特徴とする。
また、本発明のエチレン−スチレン共重合体では、重合条件等により、下記の一般式(5)で示される、スチレンに由来する異種結合構造を含む場合がある。
【0025】
【化9】
【0026】
(式中、nは0または1以上の整数を表す。)
【0027】
また、スチレン含量が30モル%以上の場合には、下記の一般式(6)で表される限定的なスチレンの連鎖構造を含むことができる。
【0028】
【化10】
【0029】
しかし、いずれにせよ、本発明の(B)成分であるエチレン−スチレン共重合体は、いずれのスチレン含量においても、TMSを基準とした13C−NMRスペクトルにおいて、40.8〜41.0ppmのシンジオタクティクポリスチレン、40.5〜41.0ppmのアタクティクポリスチレン、及びアイソタクティクポリスチレンの明確なピークが見られない。すなわち、これらのピークで特徴づけられる、以下の一般式(7)で示されるような、ヘッド−テイル構造のアタクティク、シンジオタクティク、またはアイソタクティクポリスチレンの連鎖が実質的に存在しないことが特徴である。
【0030】
【化11】
【0031】
(式中、qは3以上の整数を表す。)
【0032】
本発明のエチレン−スチレン共重合体において、エチレンとスチレンの交互共重合構造のフェニル基の立体規則性がアイソタクティク構造とは、アイソタクティクダイアッド分率mが0.75以上、好ましくは0.85以上、さらに好ましくは0.95以上を示す構造をいう。ここで、アイソタクティクダイアッド分率mは、25ppm付近に現れるメチレン炭素ピークにおいて、ラセミダイアッド構造に由来する25.4〜25.5ppm付近のピーク面積Arと、メソダイアッド構造に由来する25.2〜25.3ppm付近のピーク面積Amとから、下式(iii)によって求めることができる。なお、13C−NMRスペクトルは、共に重クロロホルムを溶媒とし、TMSを基準として求めた。
m=Am/(Ar+Am) 式(iii)
【0033】
芳香族ビニル化合物単量体の代表例としてスチレンを例にとり、本発明の(B)成分であるエチレン−芳香族ビニル化合物共重合体を説明したが、(B)成分に用いられる芳香族ビニル化合物単量体の具体例には、スチレン、各種の置換スチレン、例えばp−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、o−t−ブチルスチレン、m−t−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−クロロスチレン、o−クロロスチレン、α−メチルスチレン等があり、またジビニルベンゼン等の一分子中に複数個のビニル基を有する単量体があり、これらを単独で、あるいは2種以上を併用して用いる。
【0034】
本発明の(B)成分は重量平均分子量1000以上であるが、アスファルト組成物としての要求特性を満足するためには、好ましくは1万以上、特に好ましくは3万以上である。
【0035】
本発明の(B)成分は、必ずしもそれが純粋な共重合体である必要はなく、構造及び立体規則性が本発明の範囲にあれば、他の構造が含まれていても良く、また、他の単量体が共重合されていても差し支えない。共重合される他の単量体としては、プロピレン、1−ヘキセン、1−オクテン等の炭素数3以上のα−オレフィン、ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン単量体、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキセン等の環状オレフィン等が挙げられる。
【0036】
また、重合条件等によっては、芳香族ビニル化合物単量体が熱重合あるいはラジカル重合したアタクティクホモポリマーが少量含まれる場合があるが、その量は全体の10重量%以下であることが好ましい。このようなホモポリマーは溶媒抽出等の手段により除去できるが、物性上特に問題がなければ、これを含んだまま使用することもできる。
【0037】
本発明の(B)成分の製法は特に制限はないが、好ましくは、エチレンと芳香族ビニル化合物単量体とを、非置換または置換インデニル基を少なくとも1個以上含有する遷移金属化合物または、非置換または置換シクロペンタジエニル基及び非置換または置換インデニル基を含有する遷移金属化合物と助触媒とを用いて重合することにより製造される。当該遷移金属化合物は、下記の一般式(3)または一般式(4)で示される遷移金属化合物である。
【0038】
【化12】
【0039】
(式中、Ind1、Ind2は、非置換または置換インデニル基であり、Ind1とInd2は互いに同一であっても、異なっていても良い。
Yは、Ind1、Ind2と結合を有し、他の置換基を有する炭素、珪素、ゲルマニウムまたはほう素であり、他の置換基としては水素、ハロゲン、アルキル基好ましくは炭素数1〜15のアルキル基、またはアリール基好ましくは炭素数6〜10のアリール基、アルキルアリール基好ましくは炭素数7〜40のアルキルアリール基等がある。この置換基は互いに異なっていても同一でも、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等の環状構造を有していてもよい。
Yの構造を例示すると、−CH2 −、−CMe2 −、−CPh2 −、−SiH2 −、−SiMe2 −、−SiPh2 −等がある。
【0040】
Xは、水素、塩素、臭素等のハロゲン、メチル基、エチル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基、トリメチルシリル基等のシリル基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等のアルコキシ基等である。
MはZr、Hf、Ti等の第IV族金属である。)
【0041】
Ind1及び/またはInd2の例としては、1−インデニル、2−アルキル−1−インデニル、2−アルキル−4−アリール−1−インデニル、2,4−ジアルキル−1−インデニル、2,4−ジアリール−1−インデニル、2,4,6−トリアルキル−1−インデニル、1−アルキル−4,5−ベンゾ−1−インデニル、2,5−ジアルキル−1−インデニル、2,5,6−トリアルキル−1−インデニル、2,4,5−トリアルキル−1−インデニル、2−アリール−1−インデニル、2,6−ジアルキル−4−アリール−1−インデニル、2−アルキル−5−アリール−1−インデニル、2−アルキル−5,6−ジアリール−1−インデニル、2−アルキル−4,5−ジアリール−1−インデニル、2−アルキル−4、6−ジアリール−1−インデニル等が挙げられる。
【0042】
【化13】
【0043】
(式中、Indは、非置換または置換インデニル基である。
Cpは、非置換または置換シクロペンタジエニル基である。
Yは、Ind、Cpと結合を有し、他の置換基を有する炭素、珪素、ゲルマニウムまたはほう素であり、他の置換基としては水素、ハロゲン、アルキル基好ましくは炭素数1〜15のアルキル基、またはアリール基好ましくは炭素数6〜10のアリール基、アルキルアリール基好ましくは炭素数7〜40のアルキルアリール基等がある。この置換基は互いに異なっていても同一でも、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等の環状構造を有していてもよい。
Yの構造を例示すると、−CH2 −、−CMe2 −、−CPh2 −、−SiH2 −、−SiMe2 −、−SiPh2 −等がある。
【0044】
Xは、水素や塩素、臭素等のハロゲン、メチル基、エチル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基、トリメチルシリル基等のシリル基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等のアルコキシ基等である。
Mは、Zr、Hf、Ti等の第IV族金属である。)
【0045】
Indは一般式(3)のInd1、Ind2に使用できるものを例示できる。
Cpの例としては、シクロペンタジエニル、2−アルキル−1−シクロペンタジエニル、2,4−ジアルキル−1−シクロペンタジエニル、2,4,5−トリアルキル−1−シクロペンタジエニル、2−トリアルキルシリル−1−シクロペンタジエニル、2−トリアルキルシリル−4−アルキル−1−シクロペンタジエニル、2−トリアルキルシリル−4,5−ジアルキル−1−シクロペンタジエニル、2−アルキル−4−アリール−1−シクロペンタジエニル、2−アルキル−4,5−ジアリール−1−シクロペンタジエニル、2,5−ジアルキル−4−アリール−1−シクロペンタジエニル、2,4−ジアルキル−5−アリール−1−シクロペンタジエニル、2−アリール−1−シクロペンタジエニル、2−アリール−4−アルキル−1−シクロペンタジエニル、2−アリール−4,5−ジアルキル−1−シクロペンタジエニル、2,3,4,5−テトラアルキルシクロペンタジエニル、2,3,4,5−テトラアリールシクロペンタジエニル等がある。
【0046】
本発明の(B)成分の製造に際しては、上記の遷移金属錯体と共に助触媒として有機アルミニウム化合物及び/またはほう素化合物を用いることが好ましい。
助触媒として用いる有機アルミニウム化合物としては、メチルアルモキサン、エチルアルモキサン、トリイソブチルアルモキサン等のアルモキサンが好適に用いられるが、特にメチルアルモキサンが好ましい。必要に応じ、これら種類の異なるアルモキサンの混合物を用いてもよい。また、これらアルモキサンとアルキルアルミニウム、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムやハロゲンを含むアルキルアルミニウム、例えばジメチルアルミニウムクロライド等を併用してもよい。
【0047】
助触媒として用いるほう素化合物は、N,N−ジメチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、リチウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ペンタフルオロフェニル)ボレート等である。また、これらほう素化合物と上記有機アルミニウム化合物を同時に用いても差し支えない。
特に、ほう素化合物を助触媒として用いる場合、重合系内に含まれる水等の重合に悪影響を与える不純物の除去にトリイソブチルアルミニウム等のアルキルアルミ化合物の添加は有効である。
【0048】
本発明の(B)成分の製造では、適当な溶媒の存在下あるいは不存在下で、所望の単量体を遷移金属錯体および助触媒と混合して重合することができる。用いられる溶媒にはペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロ置換ベンゼン、クロロ置換トルエン等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素等があり、単独または混合溶媒として用いることが出来る。
【0049】
(B)成分の製造にあたり、重合温度は、−78℃から200℃が適当であり、好ましくは0℃〜160℃である。−78℃より低い重合温度は工業的に不利であり、200℃を超えると金属錯体の分解が起こるので適当ではない。
助触媒として有機アルミニウム化合物を用いる場合には、錯体の遷移金属に対し、アルミニウム原子/錯体金属原子比で好ましくは0.1〜100000、特に好ましくは10〜10000の範囲で用いる。0.1より小さいと遷移金属錯体の活性化が不十分であり、100000を超えると経済的に不利となる。
助触媒としてほう素化合物を用いる場合には、ほう素原子/錯体金属原子比で0.01〜100の範囲で用いることが適当であるが、好ましくは0.1〜10、特に好ましくは1で用いられる。0.01より小さいと遷移金属錯体の活性化が不十分であり、100を超えると経済的に不利となる。
第IV族金属錯体と助触媒は、重合槽外で混合、調製しても、重合時に槽内で混合してもよい。
【0050】
本発明の(A)成分として用いるアスファルトは特に制限はなく、慣用されているアスファルト、たとえばストレートアスファルト、セミブローンアスファルト、ブローンアスファルト、PDA(プロパン脱礫)アスファルト等の石油系アスファルトを単独で、あるいは混合して使用することができる。好ましくは針入度40〜120のストレートアスファルト、針入度10〜30のブローンアスファルト及びこれらの混合物が挙げられる。
アスファルトが石油系アスファルトである場合、アスファルトを製造する原油は特に限定されず、通常の石油製品の製造に用いられるパラフィン基、ナフテン基、混合基原油のいずれを用いても良い。
また、本発明で用いる(A)成分は、アスファルトと、タール、ピッチ等の他の歴青物質との混合物であっても良い。
【0051】
本発明のアスファルト組成物は、用途に応じ、従来のアスファルト組成物に用いられる可塑剤、プロセスオイル等の添加剤、シリカ、タルク、クレー、炭酸カルシウム、焼却灰、ガラス繊維、ガラスビーズ、粉砕ガラス等の充填材、砕石、砂利、砂、ケイ砂、スラグ等の骨材、カーボンブラック、ベンガラ等の顔料、アゾジカルボンアミド等の発泡剤、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、クロロプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体等のゴム状物質、ポリエチレン、ポリプロピレン、FRP粉砕物等を適量混合して使用することができる。
【0052】
本発明のアスファルト組成物は(A)成分のアスファルトと(B)成分のエチレン−芳香族ビニル化合物共重合体とを混合して製造されるが、使用する混合装置には特に制限はなく、熱溶融缶、ロール、ニーダー、バンバリーミキサー、コニーダー、単軸押出機、二軸押出機等の公知の混合装置を使用することができる。
【0053】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものではない。
【0054】
各実施例で得られたポリマーの分析は以下の手段によって実施した。
13C−NMR測定は、装置は日本電子社製JNMGX−270またはα−500を用い、溶媒は重クロロホルムまたは重1,1,2,2−テトラクロロエタンを用い、TMSを基準として測定した。
ポリマー中のスチレン含量の決定は、1H−NMRで行い、装置は日本電子社製JNMGX−270またはα−500を用い、溶媒は重クロロホルムまたは1,1,2, 2−テトラクロロエタンを用い、TMSを基準として、フェニル基プトン由来のピークとアルキル基由来のプロトンピークの強度比較で行った。
分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて標準ポリスチレン換算の分子量を求めた。溶媒はTHFまたは1,2,4−トリクロロベンゼンを用い、カラムは東ソー社製HLC−8020またはセンシュウ科学社製GPC−7100を用いた。
【0055】
アスファルト組成物の物性評価は以下の方法で行った。
溶融粘度は180℃でブルックフィールド型粘度計により測定した。
タフネス、テナシティーは舗装道路に関する試験方法(舗装試験法便覧/日本道路協会編)に準じて測定した。伸度、針入度、軟化点はJIS K2207に準拠して測定した。
【0056】
参考例1
窒素置換後、エチレンで置換された容量300mlの攪拌機付きオートクレーブに、スチレン20ml、トルエン60mlを加え、更にメチルアルモキサン(東ソーアクゾ社製、MMAO−3A)をAl原子基準で8.4mmol加えた。次いで、室温でエチレンを導入して9kg/cm2 Gに昇圧した後、オートクレーブ上部に設置した耐圧タンクから、ラセミ体のイソプロピリデンビス(1−インデニル)ジルコニウムジクロリド8.4μmolをトルエン40mlに溶解した触媒液をオートクレーブ中に注下した。次いで、エチレン圧を10kg/cm2 Gに維持しながら1時間重合を行った。重合終了後、内容液を大過剰の塩酸酸性メタノール液中に投入してポリマーを回収した。これを減圧下にて60℃で10時間乾燥したところ、18.2gのエチレン−スチレン共重合体(P1)を得た。
【0057】
参考例2
窒素置換後、エチレンで置換された容量1Lの攪拌機付きオートクレーブに、スチレン340ml、トルエン40mlを加え、さらにメチルアルモキサン(東ソーアクゾ社製、MMAO−3A)をAl原子基準で25mmol加えた。次いで、室温でエチレンを導入して9kg/cm2 Gに昇圧した後、オートクレーブを加熱し、内温を50℃で安定させた。オートクレーブ上部に設置した耐圧タンクから、ラセミ体のイソプロピリデンビス(1−インデニル)ジルコニウムジクロリド25μmolをトルエン100mlに溶解した触媒液をオートクレーブ中に注入した。エチレン圧を2kg/cm2 Gに維持しながら1時間重合を行った。重合終了後、内容液を大過剰の塩酸酸性メタノール液中に投入してポリマーを回収した。これを減圧下にて60℃で10時間以上乾燥したところ、64gのエチレン−スチレン共重合体(P2)を得た。
【0058】
参考例3
窒素置換後、エチレンで置換された容量1Lの攪拌機付きオートクレーブに、スチレン80ml、トルエン360mlを加え、更にメチルアルモキサン(東ソーアクゾ社製、MMAO−3A)をAl原子基準で8.4mmol加えた。次いで、室温でエチレンを導入して9kg/cm2 Gに昇圧した後、オートクレーブ上部に設置した耐圧タンクから、ラセミ体のイソプロピリデンビス(1−インデニル)ジルコニウムジクロリド8.4μmolをトルエン40mlに溶解した触媒液をオートクレーブ中に注下した。次いで、エチレン圧を10kg/cm2 Gに維持しながら1時間重合を行った。ポリマーを参考例1と同様にして回収した結果、97gのエチレン−スチレン共重合体(P3)を得た。
【0059】
参考例4
窒素置換後、エチレンで置換された容量1Lの攪拌機付きオートクレーブに、スチレン80ml、トルエン360mlを加え、更にメチルアルモキサン(東ソーアクゾ社製、MMAO−3A)をAl原子基準で8.4mmol加えた。次いで、室温でエチレンを導入して9kg/cm2 Gに昇圧した後、オートクレーブ上部に設置した耐圧タンクから、ラセミ体のイソプロピリデンビス(1−インデニル)ジルコニウムジクロリド2.1μmolをトルエン40mlに溶解した触媒液をオートクレーブ中に注下した。エチレン圧を10kg/cm2 Gに維持しながら1時間重合を行った。重合終了後、内容液を大過剰の塩酸酸性メタノール液中に投入してポリマーを回収した。これを減圧下、60℃で10時間以上乾燥したところ、58gのエチレン−スチレン共重合体(P4)を得た。
得られたエチレン−スチレン共重合体P1〜P4の分析値を表1に示した。
【0060】
【表1】
【0061】
実施例1〜4
表1のエチレン−スチレン共重合体4gとストレートアスファルト(60/80)96gとをニーダーに仕込み、180℃で90分間溶融混練した。得られたアスファルト組成物の物性評価を行い、その結果を表2にまとめた。
【0062】
【表2】
【0063】
比較例1
SBRゴム(スチレン15モル%、Mw28万のスチレン−ブタジエンランダム共重合体)4gを、実施例のストレートアスファルト96gと実施例と同様に溶融混練して物性評価を行い、その結果を表3にまとめた。
【0064】
比較例2
クロロプレンゴム(電気化学工業株式会社製ハードウエイDR−1)4gを、実施例のストレートアスファルト96gと実施例と同様に溶融混練して物性評価を行い、その結果を表3にまとめた。
【0065】
【表3】
【0066】
【発明の効果】
比較例と実施例との比較から明らかなように、本発明のアスファルト組成物は、低温伸度等の低温特性と、タフネス、テナシティー等の機械的特性に優れ、かつ施工作業性に優れており、排水性舗装を含む道路舗装、防水シート、遮音シート、ルーフィング等の用途に好適に用いられる。
Claims (2)
- (A)アスファルト1〜99重量部と、(B)下記のエチレン−芳香族ビニル化合物共重合体99〜1重量部とを含有することを特徴とするアスファルト組成物。
(B)は芳香族ビニル化合物含量が1〜55モル%であるエチレン−芳香族ビニル化合物共重合体であって、下記の一般式(1)で示される構造を主とし、その構造中に含まれる下記の一般式(2)で示されるエチレンと芳香族ビニル化合物の交互構造のフェニル基の立体規則性がアイソタクティクダイアッド分率mで0.75以上であることを特徴とするエチレン−芳香族ビニル化合物共重合体。
- (B)成分のエチレン−芳香族ビニル化合物共重合体が、エチレンと芳香族ビニル化合物単量体とを下記の一般式(3)または(4)で示される遷移金属化合物と、助触媒とを用いて重合することにより製造されることを特徴とする請求項1記載のアスファルト組成物。
Yは、Ind1、Ind2と結合を有し、他の置換基を有する炭素、珪素、ゲルマニウムまたはほう素であり、他の置換基としては水素、ハロゲン、アルキル基、またはアリール基、アルキルアリール基がある。置換基は互いに異なっていても同一でも、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等の環状構造を有していてもよい。
Xは、水素や塩素、臭素等のハロゲン、メチル基、エチル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基、トリメチルシリル基等のシリル基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等のアルコキシ基等である。
Mは、Zr、Hf、Ti等の第IV族金属である。)
Cpは、非置換または置換シクロペンタジエニル基である。
Yは、Ind、Cpと結合を有し、他の置換基を有する炭素、珪素、ゲルマニウムまたはほう素であり、他の置換基としては水素、ハロゲン、アルキル基、またはアリール基、アルキルアリール基がある。置換基は互いに異なっていても同一でも、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等の環状構造を有していてもよい。
Xは、水素や塩素、臭素等のハロゲン、メチル基、エチル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基、トリメチルシリル基等のシリル基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等のアルコキシ基等である。
Mは、Zr、Hf、Ti等の第IV族金属である。)
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