JP3938626B2 - 建築用板材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、建築用板材に関し、建築物の内外装材として縦張りや横張りとして壁面を構築するのに好適なものであり、特に施工時の嵌合が容易であり、嵌合強度を保持しつつ位置合わせのためのスライド等の施工性の向上を図るものである。
【0002】
【従来の技術】
建築物の内外装用にサイディング材と称される建築用板材が用いられており、この建築用板材を上下方向に連結する横張りとしたり、横方向に連結する縦張りとして壁面が構築される。
【0003】
このような建築用板材であるサイディング材は、例えば図4(a),(b)に特開昭61−60960号公報に開示されたものを示すように、金属薄板などの表面材1の左右両端縁を曲げ加工して略逆樋状に形成するとともに、左右両端部に互いに嵌合連結される雌雄状連結部2,3を形成する一方、この表面材1の表面を下にした略樋状の部分にポリウレタン等の合成樹脂発泡体などを充填材4として充填し、この充填材4を覆うように紙やアルミ箔などの裏面材5を取付けて構成されている。
【0004】
そして、サイディング材同志を連結するための雌雄状連結部2,3としては、同図(b)に嵌合状態を示すように、雄状連結部2が、サイディング材の厚さ方向中間部に表面材1を突き出して折り重ねた平板状の突出片2aを備え、厚さ方向下端にさらに外方に突き出した釘打用片2bがU字状の連結部2cを介して形成されて構成される一方、雌状連結部3が、表面材1を垂直に折り曲げた上部端面3aに連続して側方に開口するU字状の嵌合溝3bが形成されて構成されている。
【0005】
したがって、このサイディング材を、例えば横張りにする場合には、雄状連結部2を上方に配置して釘打用片2bを釘で壁面の下地材に固定し、この雄状連結部2の平板状の突出片2aに次の段のサイディング材の雌状連結部3のU字状の嵌合溝3bを被せるように連結することを繰り返すことで行われる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、サイディング材を連結して壁面を構築する場合に、雄状連結部2の突出片2aに対して雌状連結部3の嵌合溝3bを真っ直ぐ下ろすように被せなければならず、壁面用の下地材と干渉し易く施工がやり難いという問題がある。
【0007】
また、このようなサイディング材を用いて壁面を構築する場合には、雄状連結部2に次の段の雌状連結部3を被せるようにして連結した後、位置合わせのためサイディング材を左右に動かして微調整する必要があるが、雄状連結部2の突出片2aと雌状連結部3の嵌合溝3bが密着するように接触しており、微調整することが難しく、通常サイディング材の長さ(左右長)が4m程度と長いことから一層微調整が難しいという問題もある。
【0008】
さらに、サイディング材を用いて壁面を構築した状態では、サイディング材に風圧などが作用すると、横張りの場合には、上部は釘打用片2bに打ち込まれた釘で固定されるものの、下部は雌状連結部3の嵌合溝3bによって支持されることになるが、この嵌合溝3bがU字状に形成されているため、風圧などによってU字部分の頂部を支点にして力が加わり、大きな保持力を得ることができないという問題がある。
【0009】
この発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、施工時の嵌合が容易であり、嵌合強度を保持しつつ位置合わせのためのスライド等の施工性の向上を図ることができる建築用板材を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記従来技術が有する課題を解決するこの発明の請求項1記載の建築用板材は、表面材と充填材と裏面材とからなり、当該表面材を折り曲げて平坦部とその幅方向両端に雌雄状連結部を備えた略逆樋状に形成し、この表面材の内部に前記充填材を充填して前記裏面材で覆った建築用板材であって、前記雌雄状連結部のうち雄状連結部は、前記建築用板材の幅方向一端の厚さ方向中間部に、前記表面材を折り曲げて外方に突き出す水平突出部とこの水平突出部先端から内方に傾斜する傾斜突出部とからなる突起を備えるとともに、一端部の厚さ方向下端には、この傾斜突出部に連続して折り返されて前記突起の先端よりさらに外方に突出する釘打用片を備えてなり、一方、前記雌状連結部は、前記建築用板材幅方向他端の厚さ方向中間部に、前記表面材を内方に折り曲げた上部挾持部と、前記傾斜突出部の傾斜よりも大きく下方に傾斜するとともに、先端が前記建築用板材の幅方向外方に突出する長さとされた下部挾持部と、これら上下部挾持部を連結するガイド凹部を備えてなり、前記ガイド凹部が、前記上下部挟持部の最も狭い連結部から前記建築用板材の表面側および裏面側に向かってほぼ均等に拡がる半円形より大なる円弧状の略鍵穴形状に形成され、前記裏面材の一端部を前記雌状連結部の内側に巻き込むように位置させる一方、これら雄状連結部と雌状連結部とを連結したときに当該雄状連結部の前記突起の先端と当該雌状連結部の前記ガイド凹部との間に隙間を形成する構造としたことを特徴とするものである。
【0011】
この建築用板材によれば、表面材と充填材と裏面材とからなる建築用板材の幅方向両端の雌雄状連結部のうち雄状連結部を外方に突き出す水平突出部と内方に傾斜した傾斜突出部とで楔状の突起を形成し、この傾斜突出部に連続して折り返されて突起先端よりさらに外方に突出する釘打用片を形成して構成し、一方、雌状連結部を、表面材を内方に折り曲げた上部挾持部と、下方に傾斜して上部挾持部より外方に突出する下部挾持部と、これら上下部挾持部を連結する最も狭い連結部から前記建築用板材の表面側および裏面側に向かってほぼ均等に拡がる略円形状で半円形より大なる円弧状のガイド凹部を連結した略鍵形状に形成して構成するようにしてあり、連結時には雌状連結部の下部挾持部が外方に突き出して傾斜していることおよび雄状連結部の傾斜突出部の傾斜を利用して容易に連結できるようになり、連結後には、上下挾持部による接触面積の減少によって位置合わせなどの微調整を容易とし、これら上下挾持部を略円形のガイド凹部で連結してリング状のバネ効果による大きな保持力を得るようにし、施工後の熱膨張などの影響を突起先端とガイド凹部の隙間で吸収できるようにしてある。
【0012】
また、この発明の請求項2記載の建築用板材は、請求項1記載の構成に加え、前記雄状連結部の前記水平突出部の上方に、前記表面材を前記建築用板材の厚さ方向に折り曲げて傾斜させた上部傾斜面を形成するとともに、前記傾斜突出部の基端に連続して当該上部傾斜面と一平面を成す下部傾斜面を形成して当該雄状連結部を略倒イ字状に形成したことを特徴とするものである。
【0013】
この建築用板材によれば、雄状連結部の楔状の突起の上下に上部傾斜面と下部傾斜面をそれぞれ形成するようにしており、上部傾斜面で横張りにした場合の雨水や埃などの付着を防止でき、下部傾斜面で嵌合連結の際に下部挾持部先端を倣わせて連結作業が容易にできるようになる。
【0014】
さらに、この発明の請求項3記載の建築用板材は、請求項1または2記載の構成に加え、前記充填材が発泡原液を注入して発泡固化させたものであり、前記雄状連結部の前記突起の内部にも充填されることを特徴とするものである。
【0015】
この建築用板材によれば、雄状連結部の突起を楔状とする形状による強度向上に加え、突起の内部に発泡体を充填することでさらに強度が高まり、また、嵌合連結部の断熱性能の向上も図ることができるようになる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
図1〜図3はこの発明の建築用板材の一実施の形態にかかり、図1は平面図およびA−A断面図、図2は壁面を構築する際の連結工程を示す説明図である。
【0017】
この建築用板材であるサイディング材10は、図3にその製造工程を示すように、長尺な表面材11の長さ方向両端縁をフォーミングロール等で曲げ加工して、表面を下にして略樋状(表面を上にした状態では略逆樋状となる)に形成するとともに、両端部に互いに嵌合連結される雌雄状連結部12,13を形成する一方、この表面材11の略樋状の内部にポリウレタン発泡体などの充填材14が設けられ、紙やアルミ箔などの裏面材15が、その一端縁を雌状連結部13の内側に位置するようにして充填材14を覆うように取付けられてサンドイッチ構造とされ、所定長さで切断されてサイディング材10とされている。
【0018】
このサイディング材10の表面材11としては、鉄、アルミニウム、ステンレス、銅などの金属板や合成樹脂板が用いられ、表面処理鋼板、亜鉛・ニッケル合金をめっきした鋼板、アルミニウム・亜鉛合金をめっきした鋼板、ステンレスで鋼板をクラッドしたクラッド鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板、鋼板でゴム,合成樹脂フィルムをクラッドした制振板等をあげることができ、これらの平板に限らず、エンボス加工などを施したものであっても良い。
【0019】
また、このような表面材11を表面を上にして略逆樋状に形成した裏側の凹部に接着、あるいは発泡一体化される充填材14としては、断熱、嵩上げ、補強、防火、等の機能を有するものが必要に応じて選択されるが、通常、合成樹脂発泡体、グラスウール、シージングインシュレーションボード、発泡石膏、石膏、ロックウール、セメント、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウムなどが用いられる。
【0020】
特に合成樹脂発泡体としては、ポリウレタン系フォーム、ポリエチレンフォーム、ポリスチレンフォーム等が用いられるが、中でも発泡固化に際して表面材11と接着一体化する硬質ポリウレタンフォーム、ポリイソシアヌレートフォーム、フェノールフォームが好ましく用いられる。
【0021】
さらに、裏面材15としては、充填材14を保護するものであり、防火性、生産性、パッキング性などを改善するもので、例えばクラフト紙や炭酸カルシウム混抄紙などの紙、アスファルトフェルト、アルミニウムや鉄、あるいは銅などの金属箔、合成樹脂フィルムやシート、ゴムシート、布シートやこれらをラミネートしたものなどを用いることができる。
【0022】
この裏面材15は、サイディング材10の製造工程で表面材11を略樋状に形成(製品のサイディング材10として表面材11の表面を上にした状態では、略逆樋状に形成される。)し、開口部を上に向け凹部に合成樹脂発泡体の発泡原液を注入し、発泡固化させて充填材14とする場合に、裏面材15の一端縁を雌雄状連結部12,13に挾み込む(巻き込む)ように内側に位置させることで、合成樹脂発泡体が漏れ出ることも防げる。
【0023】
このような素材を用いて構成されるサイディング材10では、雌雄連結部12,13により施工性の改善や連結状態での保持力増大および防水性の向上を図るようにしてあり、サイディング材10の一端部に形成される雄状連結部12と他端部に形成される雌状連結部13のいずれもが表面材11を連続して折り曲げ加工して形成してある。
【0024】
サイディング材10の一端部に形成される雄状連結部12は、図1(b)の右端部として示すように、表面材11を折り曲げて上部傾斜面12aがサイディング材10の厚さ方向中間部まで形成され、この上部傾斜面12aから表面材11の平坦部11aと平行に外方(図中右方)に突き出して折り曲げた水平突出部12bと、その先端をさらに内方に折り返した傾斜突出部12cとで楔状の突起121が形成され、この突起121を構成する傾斜突出部12cの基端部を折り曲げて下部傾斜面12dが形成され、この下部傾斜面12dに連続してサイディング材10の厚さ方向下端に表面材11の平坦部11aと平行に突起121より長く突き出した釘打用片12eが形成してある。
【0025】
そして、この実施の形態のサイディング材10では、上部傾斜面12aが前傾斜の傾斜面で構成されるとともに、傾斜突出部12cと釘打用片12eの基端部の下部傾斜面12dが上部傾斜面12aと一平面をなす前傾斜の傾斜面としてあり、これら上下傾斜面12a,12dから突き出す水平突出部12bおよび傾斜突出部12cで略倒イ字形状を呈する形状となっている。
【0026】
これら上部傾斜面12a及び下部傾斜面12dの形状は、前傾斜面とする場合に限らず垂直面など他の形状であっても良いが、上部傾斜面12aと雌状連結部13との関係によって目地部分の形状が定まり、横張りの場合の下面となることから下方に傾斜した前傾斜面とすれば雨水などが溜まったり、汚れの付着を防止できる。一方、下部傾斜面12dの形状を前傾斜面とすることで、雌状連結部13の先端部を倣わせて嵌合をガイドするのに利用することができる。
【0027】
また、この実施の形態のサイディング材10では、充填材14として硬質ポリウレタンフォームが用いられており、表面材11に発泡原液が注入され、裏面材15で覆い、上下コンベア間に挾んで発泡固化する従来の発泡方法によって、三者が積層一体化されている。充填材14として表面材11と裏面材15間で発泡固化する硬質ポリウレタンフォームなどを用いる場合、突起121の内部にも充填すれば、雄状連結部12の強度が高まり好ましいが、突起121の先端部まで完全に充填する必要はない。尚、充填材14を覆うように設けられる裏面材15の一端縁は、雄状連結部12の内側に巻き込むように位置させても、釘打用片12eを覆うように設けても良い。図面では、突起121の先端と同じ位置としてある。
【0028】
また、釘打用片12eの先端が上方または下方に折り曲げられて円弧状の折曲部12fが形成してあり、サイディング材10の運搬や施工の際に安全に取り扱えるようにしてある。
【0029】
サイディング材10の他端部に形成される雌状連結部13は、図1(b)の左端部として示すように、表面材11を折り曲げて上部端面部13aが形成され、この上部端面部13aから表面材11の平坦部11aと平行に内側(後方)に引っ込むように折り曲げて上部挾持部13bが形成され、この上部挾持部13bの内側端部を略円形状に折り曲げて形成したガイド凹部13cの開口上端部と連続するようにし、このガイド凹部13cの開口下端部に連続して開口部を拡げるように下方に傾斜する下部挾持部13dが形成されている。
【0030】
雌状連結部13の裏面材15は、その一端縁が内側に巻き込むように位置しており、嵌合連結の際にめくれる等の不具合が生じないようにしてある。
【0031】
この下部挾持部13dの先端は上部端面部13aより外側に突き出す長さとしてあり、嵌合連結時に突き出た部分を見ながら連結作業ができ、また、この雌状連結部13でもサイディング材10の運搬や施工の際に安全に取り扱えるように下部挾持部13dの先端が上方または下方に折り曲げて円弧状としてある。この雌状連結部13では、この円弧状の折曲部をガイド部13eとして機能させ、雄状連結部12との嵌合連結の際に釘打用片12eと下部端面部12cに倣わせてサイディング材10を作業者の手前側に傾けて連結作業を容易にできるようにしてある。
【0032】
このような雌状連結部13では、水平の上部挾持部13bと下方に傾斜した下部挾持部13dとが略C字状のガイド凹部13cで連結された形状となっており、上部挾持部13bと下部挾持部13dとの間隔が開口部の先端が広く、次第に狭くなって下部挾持部13dとガイド凹部13cとの連結部で最も狭くなり、ガイド凹部13c内で再び拡がった状態の略鍵穴形状に形成してある。
【0033】
そして、この雌状連結部13の上部挾持部13bと下部挾持部13dとの最も間隔が狭くなっている部分で雄状連結部12の水平突出部12b及び傾斜突出部12cを挾んで連結することから、固定側の傾斜突出部12cの傾斜面に沿って挿入側の下部挾持部13dを挿入することで挿入作業が容易となり、また、嵌合状態での接触部が少ないことから長さ方向にスライドし易く、位置合わせが容易となる。
【0034】
サイディング材10を連結して壁面を構成した後、台風などの強風雨を受けると壁面に負圧が生じて、サイディング材10が剥がれようとするが、上部挾持部13b、ガイド凹部13c、下部挾持部13dの形状によるバネ効果(略C字状の形状効果)並びに下部挾持部13d先端が釘打用片12e或いは下部傾斜面12dに接し、且つ下部挾持部13dとガイド凹部13cとの連結部が水平突出部12b及び傾斜突出部12cを挾むように接することの支持効果で、強固な嵌合を保持するようにしてある。また、嵌合状態における目地部が風雨に晒された場合には、雨水が水平突出部12bと上部挾持部13bとの隙間の毛細管現象によって内部に浸入しようとするが、水平突出部12bとガイド凹部13cにて形成される空間で毛細管現象を断ち切ることができ、さらに風圧を受けて雨水が突起121先端を乗り越えたとしても、この部分の空間で止まり裏側の下地材に至ることはない。仮に雨水が突起121先端を乗り越えた場合、裏面材15の一端縁が下部挾持部13dの先端付近に位置すると、雨水が裏面材15や充填材14に浸透することも考えられるが、裏面材15の一端縁が雌状連結部13の内側に位置するため、このような虞もない。
【0035】
この雌状連結部13の下部挾持部13dの下方への傾斜角度は、平坦部11aに対して5〜45度が好ましい。5度以下では連結作業において手前に傾けると雌状連結部13の上部端面部13aが水平突出部12bに接触し易くなり、上部端面部13aに傷が付く虞があり、45度以下では手前に傾けると下部挾持部13dが水平に近くなり、下部挾持部13dの長さ関係によっては連結作業が難しくなる場合がある。下部挾持部13dの傾斜を極端に、例えば90度(垂直)とするとそれ自体の強度は高まるものの負圧に対する嵌合保持力は、専らガイド凹部13cの効果によってのみとなり、一方、0度(水平)としても同様であり、上部挾持部13bとガイド凹部13cと下部挾持部13dの形状によるバネ効果を発揮させ、連結作業性を高めるには5〜45度が好ましい。
【0036】
一方、雄状連結部12の傾斜突出部12cの傾斜角度は雌状連結部13の下部挾持部13dよりわずかに小さい角度にすることで、隙間を形成し、これによって位置合わせのためのスライドを可能にする。傾斜突出部12cの角度は2度程度であれば良い。
【0037】
また、このサイディング材10は、連結状態における両者の接触点が釘打用片12eの基端と下部傾斜面12dとの隅部と、下部挾持部13dの先端部であり、これによってサイディング材10の張り上がり有効幅が決められるが、このサイディング材10では、図2の連結工程図中に示すように、雌状連結部13のガイド凹部13cの底部から下部挾持部13dの先端までの長さL13が、雄状連結部12の基端面の一つである下部傾斜面12dから水平突出部12bの先端までの長さL12より長く形成してあり、連結状態で水平突出部12bとガイド凹部13cとの間に隙間が形成されるようにしてある。
【0038】
この水平突出部12bとガイド凹部13cとに隙間を形成することによって、風圧などの外力が加わる場合に接触点を中心に変形が生じることを防止し、日射などの熱膨張の吸収を行うことができる。
【0039】
さらに、このサイディング材10では、図2から明らかなように、雄状連結部12の釘打用片12eの上に雌状連結部13が連結嵌合されることから、雌状連結部13のサイディング材10の充填材14に段差部14aが形成されて厚さが薄くしてあり、釘打用片12eと干渉しないようにしてある。
【0040】
また、このサイディング材10では、幅方向中央部に連結部に生じる目地と同等の凹条溝16が形成してあり、その深さが雄状連結部12の上部傾斜面12aの深さとほぼ同一とされ、雌状連結部13側の側面16aが雄状連結部12の上部傾斜面12aと平行に形成される一方、雄状連結側の側面16bが雌状連結部13の上部端面部13aと平行に形成してある。
【0041】
これによって、この凹条溝16が雄状連結部12と雌状連結部13との連結によって生じる目地と同一の形状となり、半分の幅のサイディング材10を連結して構築した壁面と同一の外観に仕上げることができる。
【0042】
なお、凹状溝16を設けることは任意であり、異なる幅のサイディング材10を連結して壁面を構築したように、偏心した位置に設けても、また複数設けても、連結部の目地形状と異なる凹状溝であっても、また、図3に示したサイディング材10のように、設けなくても良い。
【0043】
さらに、連結状態において、雌状連結部13の上部端面部13aと、雄状連結部12の上部傾斜面12aとが接するようにして目地部分のない状態で連結するようにしても良い。
【0044】
次に、このように構成したサイディング材10を用いて、例えば横張りの外壁面などを構築する場合には、図2にその連結工程を示すように、最下段のサイディング材10を図示しないスタート金物などを用いて雌状連結部13を下にして嵌合した後、上部の雄状連結部12の釘打用片12eを釘で壁面の下地材に固定する。
【0045】
この後、図2(a)に示すように、次の段のサイディング材10の雌状連結部13を下にして下部挾持部13dの先端が雄状連結部12の傾斜突出部12cと釘打用片12eとの間に入るように手前に傾けて挿入する。
【0046】
そして、サイディング材10を傾けたまま下部挾持部13dの先端のガイド部13eが釘打用片12eの内側面に接触するまで押し込む(図2(b)参照)。
【0047】
さらに、サイディング材10を立てるようにすると、下部挾持部13dの先端のガイド部13eが釘打用片12dの内側面に接触しながら倣って行くとともに、下部挾持部13dの狭くなっている部分が傾斜突出部12cの傾斜面に沿って行き、雄状連結部12の下部傾斜面12dの外側面と接触するようになる(図2(c)参照)。
【0048】
そして、さらに立てるようにすると、下部挾持部13dの先端のガイド部13eが雄状連結部12の下部傾斜面12dの傾斜した外側面と接触しながら倣って行き、サイディング材10が垂直状態になると完全に連結された状態になる(図2(d)参照)。
【0049】
こうして固定状態の雄状連結部12にサイディング材10の雌状連結部13を嵌合連結した後、サイディング材10の横方向の位置を合わせ、上部の雄状連結部12の釘打用片12eを釘で壁面の下地材に固定し、次の段のサイディング材10も同様に固定することを繰り返して壁面が構築される。
【0050】
このように次の段のサイディング材10を嵌合連結する場合に、図4に示す従来のサイディング材では、手前に傾けると長さ方向で撓むため垂直にして下地材に沿わせるようにして真っ直ぐに下ろして連結せざるを得ず、突出片2aに雌状連結部の上部端面3aが当たり、嵌合が難しく、多くの人手を必要とするが、このサイディング材10では、1人作業であっても長さ方向の下部挾持部13dのいずれか一端が突起121に係り易く、下部挾持部13dの挿入が容易となり、さらに釘打用片12eの内側壁および傾斜突出部12cの傾斜面に沿って立てるようにするだけで簡単に連結することができ、従来に比べ、簡単に嵌合連結することができる。
【0051】
また、このように次の段のサイディング材10の下部の雌状連結部13が前段の固定状態の雄状連結部12に嵌合連結された状態では、楔状の突起121が上下挾持部13b,13dで挾まれた状態となるが、下部挾持部13dの傾斜角度に比べて傾斜突出部12cの角度を小さくして隙間が形成されるようにしてあり、その接触面積が従来のU字状の嵌合溝の周囲全体に突出部を接触させて連結する場合に比べて小さくなっているので、次の段のサイディング材10を簡単に横方向に動かして長さ方向の位置調整ができる。
【0052】
さらに、連結固定状態のサイディング材10では、上部が釘で固定されるが、下部は雌雄状連結部12,13によって支持されることになるが、風圧などが作用した場合に、上下挾持部13b,13dが略円形状のガイド凹部13cを介して連結されているので、上下挾持部13b,13dにガイド凹部13cによって互いを狭めるようなバネ力が作用し、しかも水平突出部12bとガイド凹部13cとの間に隙間が形成されるようにしてあるので、従来のU字状の頂点部分を支点に曲がるように変形しようとするものに比べ、大きな挾み着ける保持力が得られ、連結強度が高く、薄い表面材の使用も可能となる。
【0053】
【発明の効果】
以上、一実施の形態とともに具体的に説明したようにこの発明の請求項1記載の建築用板材によれば、表面材と充填材と裏面材とからなる建築用板材の幅方向両端の雌雄状連結部のうち雄状連結部を、外方に突き出す水平突出部と内方に傾斜した傾斜突出部とで楔状の突起を形成し、この傾斜突出部に連続して折り返されて突起先端よりさらに外方に突出する釘打用片を形成して構成し、一方、雌状連結部を、表面材を内方に折り曲げた上部挾持部と、下方に傾斜して上部挾持部より外方に突出する下部挾持部と、これら上下部挾持部を連結する最も狭い連結部から前記建築用板材の表面側および裏面側に向かってほぼ均等に拡がる略円形状で半円形より大なる円弧状のガイド凹部を連結した略鍵形状に形成して構成するようにしたので、連結時には、雌状連結部の下部挾持部が外方に突き出して傾斜していることおよび雄状連結部の傾斜突出部の傾斜を利用して容易に連結することができ、連結後には、上下挾持部による接触面積の減少によって位置合わせなどの微調整が容易となり、これら上下挾持部を略円形のガイド凹部で連結してリング状のバネ効果による大きな保持力を得ることができ、施工後の熱膨張などの影響を突起先端とガイド凹部の隙間で吸収することもできる。
【0054】
また、この発明の請求項2記載の建築用板材によれば、雄状連結部の楔状の突起の上下に上部傾斜面と下部傾斜面をそれぞれ形成するようにしたので、上部傾斜面で横張りにした場合の雨水や埃などの付着を防止でき、下部傾斜面で嵌合連結の際に下部挾持部を倣わせて連結作業を容易に行うことができる。
【0055】
さらに、この発明の請求項3記載の建築用板材によれば、雄状連結部の突起を楔状とする形状による強度向上に加え、突起の内部に発泡体を充填することでさらに強度が高まり、また嵌合連結部の断熱性能の向上も図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の建築用板材の一実施の形態にかかる横平面図およびA−A断面図である。
【図2】この発明の建築用板材の一実施の形態にかかる壁面を構築する際の連結工程を示す説明図である。
【図3】この発明の建築用板材の一実施の形態にかかる製造工程の説明図である。
【図4】従来のサイディング材の横断面図および連結部の拡大断面図である。
【符号の説明】
10 サイディング材(建築用板材)
11 表面材
11a 平坦部
12 雄状連結部
12a 上部傾斜面
121 突起
12b 水平突出部
12c 傾斜突出部
12d 下部傾斜面
12e 釘打用片
12f 折曲部
13 雌状連結部
13a 上部端面部
13b 上部挾持部
13c ガイド凹部
13d 下部挾持部
13e ガイド部
14 充填材
14a 段差部
15 裏面材
16 凹条溝(中間目地)
16a 雌状連結部側の側面
16b 雄状連結部側の側面

Claims (3)

  1. 表面材と充填材と裏面材とからなり、当該表面材を折り曲げて平坦部とその幅方向両端に雌雄状連結部を備えた略逆樋状に形成し、この表面材の内部に前記充填材を充填して前記裏面材で覆った建築用板材であって、
    前記雌雄状連結部のうち雄状連結部は、前記建築用板材の幅方向一端の厚さ方向中間部に、前記表面材を折り曲げて外方に突き出す水平突出部とこの水平突出部先端から内方に傾斜する傾斜突出部とからなる突起を備えるとともに、一端部の厚さ方向下端には、この傾斜突出部に連続して折り返されて前記突起の先端よりさらに外方に突出する釘打用片を備えてなり、
    一方、前記雌状連結部は、前記建築用板材幅方向他端の厚さ方向中間部に、前記表面材を内方に折り曲げた上部挾持部と、前記傾斜突出部の傾斜よりも大きく下方に傾斜するとともに、先端が前記建築用板材の幅方向外方に突出する長さとされた下部挾持部と、これら上下部挾持部を連結するガイド凹部を備えてなり、前記ガイド凹部が、前記上下部挟持部の最も狭い連結部から前記建築用板材の表面側および裏面側に向かってほぼ均等に拡がる半円形より大なる円弧状の略鍵穴形状に形成され、
    前記裏面材の一端部を前記雌状連結部の内側に巻き込むように位置させる一方、
    これら雄状連結部と雌状連結部とを連結したときに当該雄状連結部の前記突起の先端と当該雌状連結部の前記ガイド凹部との間に隙間を形成する構造としたことを特徴とする建築用板材。
  2. 前記雄状連結部の前記水平突出部の上方に、前記表面材を前記建築用板材の厚さ方向に折り曲げて傾斜させた上部傾斜面を形成するとともに、前記傾斜突出部の基端に連続して当該上部傾斜面と一平面を成す下部傾斜面を形成して当該雄状連結部を略倒イ字状に形成したことを特徴とする請求項1記載の建築用板材。
  3. 前記充填材が発泡原液を注入して発泡固化させたものであり、前記雄状連結部の前記突起の内部にも充填されることを特徴とする請求項1または2記載の建築用板材。
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