JP3937770B2 - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気記録媒体の製造方法に関し、特に、磁性層が磁性粒子と非磁性粒子を含み、カラム構造を有する金属磁性薄膜型の磁気記録媒体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えばビデオテープレコーダー等の磁気記録装置においては、高画質化を図るために、高密度記録化が一層強く要求されている。このような高密度記録化に対応する磁気記録媒体として、金属または合金からなる強磁性材料を非磁性支持体上に直接被着させて磁性層を形成した、いわゆる金属磁性薄膜型の磁気記録媒体が提案され、注目を集めている。
【0003】
ここで、強磁性材料の合金としてはCo−Ni合金、Co−Cr合金、Co−O等が挙げられる。強磁性材料は、めっきや真空薄膜形成手段により非磁性支持体上に成膜される。真空薄膜形成手段としては真空蒸着法、スパッタリング法またはイオンプレーティング法等が挙げられる。非磁性支持体としてはポリエステルフィルム、ポリアミドまたはポリイミドフィルム等が用いられる。
【0004】
この金属磁性薄膜型の磁気記録媒体は、磁性塗料の塗布により磁性層が形成される塗布型の磁気記録媒体に比較して、保磁力や残留磁化、角型比等に優れ、短波長での電磁変換特性にも優れる。また、強磁性材料を直接被着させるため、磁性層の厚みを極めて薄くできる。これにより、記録減磁や再生時の厚み損失が著しく小さくなり、良好な電磁変換特性が得られる。
さらに、磁性層中に非磁性の結合剤や添加物を混入する必要がないため、磁性材料の充填密度が高まり、磁束密度を高くすることができる。このように、金属磁性薄膜型の磁気記録媒体は、多くの利点を有する。
【0005】
薄膜型磁気記録媒体の電磁変換特性をさらに向上させ、より大きな出力を得られるようにするため、薄膜型磁気記録媒体に磁性層を形成する前に、強磁性金属材料を非磁性支持体に対し斜めに入射させて被着させる、いわゆる真空斜方蒸着法が提案されている。
【0006】
真空蒸着法によって磁性層が形成される蒸着型の磁気テープ(蒸着テープ)は、生産効率が高いだけでなく、特性も安定している。このことから、蒸着テープはハイバンド8mm用テープ、民生用デジタルビデオ用テープ、あるいはコンピューターデータ記録用テープ(例えばAITやMammoth)として、すでに実用化されている。
【0007】
斜方蒸着テープにおいて、磁性粒子は複数の柱状の集合体(カラム)を構成し、このようなカラムが非磁性支持体上に並べられた構造となることが知られている。一般に、このような磁性層の構造は、カラム構造と呼ばれている。従来、カラム構造としては、磁性粒子と非磁性粒子がランダムに集合し、一つのカラムを形成するものが知られていた。磁性粒子と非磁性粒子がランダムに集合したカラムにおいて、磁性粒子の粒径は一般に10nm程度である。
【0008】
例えば、磁性層としてCo−O薄膜を形成する場合、磁性粒子はCo粒子であり、非磁性粒子は酸素含有量が高いCoO粒子である。CoOは反強磁性体で、ネール温度が約300Kであることが知られている。ネール温度が室温に極めて近いため、Coの磁気異方性に大きな影響を及ぼすことはない。
【0009】
このような磁性粒子と非磁性粒子は、電子線回折や透過型電子顕微鏡を用いた高分解能観察により識別できる。また、これらの手法と元素マッピングの手法とを組み合わせて、これらの粒子から形成される微細構造を解析することも可能である。ここで、元素マッピングの手法としてはエネルギー分散型X線分光法(EDX)やエネルギーフィルター法が挙げられる(第24回日本応用磁気学会学術講演概要集(2000)(12pA-14, p.22)、金属学会誌 第65巻 第5号(2001) 349-355「TEMとEELSを用いたCo−CoO斜方蒸着テープの微細構造評価」)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
高密度記録を達成するためには、さらなる高再生出力、低ノイズ媒体が必要とされている。斜方蒸着テープにおいて、これらの要求を満たすためには、磁気記録媒体の磁性粒子の粒径および形状と、カラム形状を適切に制御する必要がある。
【0011】
電磁変換特性S/Nは、磁性粒子の粒径を小さくして粒径のばらつきを小さくすることにより向上する。しかしながら、磁性粒子の粒径が小さく粒径のばらつきも小さい磁性層を形成できる方法については、現在のところ明らかとなっていない。
【0012】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、したがって本発明は、カラム構造を構成する磁性粒子の粒径や粒径のばらつきを制御できる磁気記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の磁気記録媒体の製造方法は、金属磁性材料を気化し、金属蒸気を酸素の存在下で非磁性支持体上に堆積させて、磁性粒子の集合体である複数のカラムと、前記カラム間を互いに分離する非磁性粒子とを含む磁性層を形成する工程を有する磁気記録媒体の製造方法であって、前記磁性層を形成する工程において、前記金属蒸気の前記非磁性支持体表面に対する最小入射角を45°以上60°以下の範囲内とし、前記非磁性支持体上の前記金属蒸気が入射する部分における前記磁性層の平均堆積速度である成膜レートを0.5μm/s以上とし、前記磁性粒子の平均粒径を10nm以下とし、前記カラムの径を15nm以下とすることを特徴とする。
【0014】
好適には、前記磁性粒子は前記カラムの長手方向に結晶配向し、前記磁性粒子の粒径は、前記磁性粒子が超常磁性を示さない範囲で、ほぼ最小の粒径である。好適には、前記金属蒸気を酸素の存在下で前記非磁性支持体上に堆積させ、前記磁性層を前記金属磁性材料の部分酸化膜とする。
【0015】
好適には、前記磁性粒子はCo粒子であり、前記非磁性粒子はCoO粒子である。好適には、前記金属蒸気が通過する開口部が設けられた少なくとも一つのマスクを用いて、前記入射角の制御を行う。さらに好適には、前記入射角の最小入射角はほぼ45°である。
好適には、前記成膜レートをほぼ0.5μm/s以上とする。さらに好適には、前記成膜レートをほぼ1.0μm/s以上とする。
【0016】
好適には、複数の磁性層を積層する。
本発明の磁気記録媒体の製造方法は、好適には、前記磁性層上に保護膜を形成する工程をさらに有する。好適には、前記保護膜を形成する工程は、塗料の塗布および乾燥工程を含む。
【0017】
これにより、カラム構造を構成する磁性粒子の粒径およびそのばらつきを小さくすることが可能となる。したがって、磁気記録媒体の磁気特性および電磁変換特性が向上する。本発明の磁気記録媒体の製造方法によれば、高記録密度化に対応できる高出力・低ノイズの磁気記録媒体を製造することが可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の磁気記録媒体の製造方法の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態の磁気記録媒体の製造方法により製造される磁気記録媒体の断面図である。図1に示すように、非磁性支持体1上に磁性層2が形成されている。磁性層2の上層に保護膜3が形成されている。
【0019】
磁性層2はカラム4を構成する強磁性粒子と、強磁性粒子からなるカラム4を互いに隔てる非磁性粒子とから構成される。カラム4は強磁性粒子が連なった構造を有する。一つのカラム4の径は15nm程度以下、好適には5〜10nm程度である。
【0020】
記録密度を上げ、かつ低ノイズ化するためには、強磁性粒子の平均粒径が10nm以下、好適には3〜6nm程度であることが好ましい。強磁性粒子をさらに微細化すると、超常磁性を示すようになり、残留磁化がなくなる。強磁性粒子が超常磁性を示す粒径は、磁気異方性を用いて理論的に計算することが可能である。例えばCo粒子の場合には、粒径がほぼ2.6nm以下になると超常磁性を示すようになり、磁気記録を行うことはできなくなる。
【0021】
また、真空斜方蒸着法により磁性層2が形成される間、気体状となった金属磁性材料は常に一定の入射角で非磁性支持体1に到達するわけではなく、入射角が変化しながら磁性層が堆積する。したがって、強磁性粒子が連なったカラムは直線状ではなく、わずかに曲がった形状となるが、カラム内の強磁性粒子のc軸方向のばらつきが20°以内となるように、強磁性粒子を結晶配向させることが望ましい。
【0022】
磁気記録媒体の記録信号をAMRヘッドで再生する場合には、磁性層2の残留磁化Mrと膜厚δとの積Mr・δの値を7〜25mAとすることが望ましい。GMRヘッドで再生する場合には、Mr・δの値を3〜15mAとすることが望ましい。
磁性層2の膜厚δは、磁気記録媒体の記録信号をAMRヘッドで再生する場合は120nm以下、さらに好適には50〜80nmとする。GMRヘッドで再生する場合は、膜厚δを80nm以下、好適には20〜40nmとする。
【0023】
図1に示す磁気記録媒体の非磁性支持体1の材料としては、ポリエステル類、ポリオレフィン類、セルロース誘導体、ビニル系樹脂、ポリイミド類、ポリアミド類、ポリカーボネート等に代表されるような高分子材料が用いられる。
また、磁性層2を構成する金属磁性材料としては、Fe、Co、Ni等の強磁性金属やCo−Ni系合金、Fe−Co系合金、Fe−Ni系合金、Co−Pt系合金、Co−Ni−Pt系合金、Fe−Co−Ni系合金、Fe−Ni−B系合金、Fe−Co−B系合金、Fe−Co−Ni−B系合金等や、Co−Cr系合金等が挙げられる。
【0024】
なお、これらの金属磁性材料を蒸着源として斜方蒸着法により磁性層2を形成する場合には、蒸着雰囲気に酸素ガスを導入し、磁性層を例えばCo−O薄膜、Co−Ni−O薄膜等の酸素含有膜としてもよい。これにより、磁性層の結晶粒子が微細化し、媒体ノイズが低減される。
酸素ガスは酸素ガス導入管から蒸着雰囲気に導入される。酸素ガス導入管を設置する位置や方向を調整することによっても、磁性層の磁性粒子の粒径およびそのばらつきを小さくすることができる。
【0025】
図示しないが、非磁性支持体1と磁性層2との間には、適当なバリア層を設けてもよい。バリア層としては例えばCr薄膜やSiO2 膜等、非磁性材料からなる層が用いられる。
また、磁性層2の上層には保護膜3や、潤滑剤を含有する潤滑層等を形成してもよい。保護膜3の材料としてはグラファイト、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、ダイヤモンド等のカーボンや、SiO2 等を用いることができるが、薄膜での強度の観点からカーボンが好ましい。
【0026】
図2は、図1に示す磁気記録媒体の磁性層2の断面を模式的に示す図である。磁気記録媒体の断面試料をミクロトーム法により作製し、透過型電子顕微鏡で観察した。得られた高分解能像にフーリエ変換による画像処理を行い、磁性粒子(Co)と非磁性粒子(CoO)を分離したところ、図2に示すようなカラム構造が観察された。
【0027】
図2に示すように、磁性粒子5がほぼ一列に並んでいて、それらを非磁性粒子6が分離している。磁性粒子5の粒径は3〜7nmの間に分布し、平均粒径は5nm程度である。また、磁性粒子5により構成されるカラムの径7は5〜8nmである。
【0028】
図3は、本実施形態の磁気記録媒体の製造方法において、磁性層の形成に用いられる蒸着装置の概略図である。図3に示すように、非磁性支持体1は供給リール11から供給され、クーリングドラム12上で非磁性支持体1に磁性層が斜方蒸着される。クーリングドラム12は、例えば−20℃程度に冷却されている。磁性層が蒸着された非磁性支持体1は、巻き取りリール13によって巻き取られる。
【0029】
ルツボ14内の蒸着源15に電子銃(不図示)から電子ビームEBを照射して、蒸着源15を蒸発させる。蒸着源15としては、前述した各種金属磁性材料が用いられる。これらの金属磁性材料が気化し、マスク16の開口部を通過して、クーリングドラム12上の非磁性支持体1に堆積する。
【0030】
マスク16が設けられていることにより、非磁性支持体1に対して所定の入射角で金属磁性材料が入射する。図3は最小入射角θminが45°、最大入射角θmaxが90°となるようにマスク16が配置された例を示す。本実施形態の磁気記録媒体の製造方法によれば、好適には、最小入射角θminが45°以上60°以下となるようにマスク16が配置される。これにより、非磁性支持体1上に堆積する磁性粒子の粒径およびそのばらつきを小さくすることができる。
【0031】
蒸発した金属磁性材料のうち、非磁性支持体1に対する入射角が所定の範囲外となるものは、マスク16の蒸着源15側の面に堆積する。また、必要に応じて蒸着源15とクーリングドラム12との間に複数のマスクが設けられることもある。
【0032】
蒸着装置内には、供給リール11や巻き取りリール13が設置される5×10-1〜1×10-2Pa程度の部分と、さらに減圧される蒸着雰囲気17とを遮断するため、例えば金属製の隔壁18が設けられる。蒸着雰囲気17は、図示しない真空ポンプにより、例えば1×10-1〜1×10-3Pa程度に減圧される。
【0033】
本発明の磁気記録媒体の製造方法において、非磁性支持体1はクーリングドラム12の回転に伴い、一定の速度で蒸着雰囲気17を通過する。非磁性支持体1の走行速度をテープライン速度とする。
【0034】
図3に示すように斜方蒸着を行った場合、クーリングドラム12の回転に伴って、非磁性支持体1上の任意の1点に対する入射角は変化する。また、マスク16の開口部を通過した金属蒸気の密度にも分布が生じる。したがって、非磁性支持体1上の任意の1点が蒸着雰囲気17を通過する間、磁性層の堆積速度は変動する。
【0035】
そこで、非磁性支持体1上の任意の1点に対する蒸着が開始してから、蒸着が終了するまでの成膜レートを平均化したものを、成膜レートとした。これは、非磁性支持体1上の任意の1点に対して蒸着が行われる時間で、磁性層の膜厚を割ったものに等しい。非磁性支持体1上の任意の1点に対して蒸着が行われる時間は、テープライン速度と、マスク16およびその開口部の配置によって決定される。成膜レートを変化させる場合は、電子ビームEBのパワーを変化させる。
【0036】
本実施形態の磁気記録媒体の製造方法によれば、磁性層の成膜レートは0.5μm/s以上、さらに好適には1.0μm/s以上とすることが望ましい。成膜レートを高くする場合、テープライン速度と酸素導入量も高くすることが望ましい。成膜レートは電子ビームのパワーに依存するため、電子ビームのパワーを最大にしたときの成膜レートが、成膜レートの上限となる。
【0037】
以下、本実施形態の磁気記録媒体の製造方法を、実験例1〜13に基づいて説明する。
(実験例1)
図1に示す磁気テープを以下の条件で作製した。非磁性支持体1として高分子フィルムを用い、高分子フィルム上に斜方蒸着によりCo−O系の磁性層2を形成した。磁性層2の膜厚は80nmとした。
【0038】
磁性層2の斜方蒸着は、テープライン速度を30m/minとし、酸素導入量を0.3slmとし、蒸着時の蒸着雰囲気の真空度を7.0×10-2Paとして行った。蒸着時の蒸着雰囲気の真空度は以下の実験例で全て共通とした。磁性層2の成膜レートは0.3μm/sとした。
その後、カーボンブラックを結合剤中に分散させた塗料を、磁性層2上に塗布し、保護膜3を形成した。保護膜3は以下の実験例で全て同様に形成した。
【0039】
実験例1の断面試料をミクロトーム法により作製し、透過型電子顕微鏡で観察した結果、図4に示すようなカラム構造が確認された。実験例1のカラム構造は、図2に示す磁性粒子がほぼ一列に並んだカラム構造とは異なった。
実験例1の場合、図4に示すように、磁性粒子21と非磁性粒子22とのランダムな集合体によりカラム構造が形成され、磁性粒子21の繋がりは見られなかった。磁性粒子21の粒径は5〜8nmの間に分布していた。カラムの径23は20〜30nmであり、図2に示すカラム構造に比較して明らかに太かった。
【0040】
実験例1の磁気テープの磁気特性は、飽和磁化Msが300kA/m、残留磁化Mrと膜厚δの積Mr・δが17.3mA、保磁力Hcが100kA/mであった。
電磁変換特性は、記録波長を0.5μmとしてAMRヘッドで再生した場合の再生出力とS/N比に基づいて評価した。実験例1の再生出力およびS/N比は、実験例2〜7の再生出力およびS/N比の基準としたため、ともに0dBである。
【0041】
(実験例2)
磁性層2の成膜レートを0.5μm/s、テープライン速度を50m/minとしたことを除き、実験例1と同様に磁気テープを作製した。但し、実験例1では蒸着雰囲気への酸素の導入を1箇所から行ったが、実験例2〜7では蒸着雰囲気に2箇所から酸素を導入した。実験例2のトータル酸素導入量は0.5slmとした。
【0042】
実験例2の断面試料をミクロトーム法により作製し、透過型電子顕微鏡で観察した結果、図5に示すようなカラム構造が確認された。磁性層のほぼ中央より下層側(非磁性支持体に近い側)の部分Aでは、磁性粒子24が一列に並ばずに集合体を形成し、それらを非磁性粒子25が分離している。
【0043】
磁性層の下層側の部分Aでは、磁性粒子24の平均粒径が8nmであり、長さ20nmの磁性粒子24も見られた。磁性層の下層側の部分Aでは、磁性層の上層側(保護膜に近い側)の部分Bに比較して、磁性粒子24の平均粒径が大きかった。また、下層側の部分Aではカラムの径26がほぼ15nmであり、上層側の部分Bでのカラムの径に比較して太かった。
一方、上層側の部分Bでは、磁性粒子24の粒径は3〜7nmの間に分布し、平均粒径は5nm程度であった。また、磁性粒子24により構成されるカラムの径は5〜8nmであった。
【0044】
実験例2の磁気テープの磁気特性は、飽和磁化Msが303kA/m、残留磁化Mrと膜厚δの積Mr・δが18.4mA、保磁力Hcが120kA/mであった。
電磁変換特性は、実験例1を基準にして再生出力が+1.5dB、S/N比が+1.3dBであった。
【0045】
(実験例3)
斜方蒸着を行う際のテープライン速度を80m/minとし、酸素導入量を0.8slmとし、磁性層2の成膜レートを0.8μm/sとしたことを除き、実験例2と同様に磁気テープを作製した。
【0046】
実験例3の断面試料をミクロトーム法により作製し、透過型電子顕微鏡で観察した結果、図5に示すようなカラム構造が確認された。磁性層のほぼ中央より下層側(非磁性支持体に近い側)の部分Aでは、磁性粒子24が一列に並ばずに集合体を形成し、それらを非磁性粒子25が分離している。
【0047】
磁性層の下層側の部分Aでは、磁性粒子24の平均粒径が8nmであり、長さ20nmの磁性粒子24も見られた。磁性層の下層側の部分Aでは、磁性層の上層側の部分Bに比較して、磁性粒子24の平均粒径が大きかった。また、下層側の部分Aではカラムの径26がほぼ15nmであり、上層側の部分Bでのカラムの径に比較して太かった。
一方、上層側の部分Bでは、磁性粒子24の粒径は3〜7nmの間に分布し、平均粒径は5nm程度であった。また、磁性粒子24により構成されるカラムの径は5〜8nmであった。
【0048】
実験例3の磁気テープの磁気特性は、飽和磁化Msが318kA/m、残留磁化Mrと膜厚δの積Mr・δが19.9mA、保磁力Hcが125kA/mであった。
電磁変換特性は、実験例1を基準にして再生出力が+3.0dB、S/N比が+2.2dBであった。
【0049】
(実験例4)
斜方蒸着を行う際のテープライン速度を100m/minとし、酸素導入量を1.0slmとし、磁性層2の成膜レートを1.0μm/sとしたことを除き、実験例2と同様に磁気テープを作製した。
【0050】
実験例4の断面試料をミクロトーム法により作製し、透過型電子顕微鏡で観察した結果、図2に示すようなカラム構造が確認された。磁性粒子5の粒径は3〜7nmの間に分布し、平均粒径は5nm程度であった。また、磁性粒子5により構成されるカラムの径7は5〜8nmであった。
【0051】
実験例4の磁気テープの磁気特性は、飽和磁化Msが318kA/m、残留磁化Mrと膜厚δの積Mr・δが20.4mA、保磁力Hcが132kA/mであった。
電磁変換特性は、実験例1を基準にして再生出力が+3.5dB、S/N比が+2.8dBであった。
【0052】
(実験例5)
斜方蒸着を行う際のテープライン速度を120m/minとし、酸素導入量を1.2slmとし、磁性層2の成膜レートを1.2μm/sとしたことを除き、実験例2と同様に磁気テープを作製した。
【0053】
実験例5の断面試料をミクロトーム法により作製し、透過型電子顕微鏡で観察した結果、図2に示すようなカラム構造が確認された。磁性粒子5の粒径は3〜7nmの間に分布し、平均粒径は5nm程度であった。また、磁性粒子5により構成されるカラムの径7は5〜8nmであった。
【0054】
実験例5の磁気テープの磁気特性は、飽和磁化Msが326kA/m、残留磁化Mrと膜厚δの積Mr・δが21.7mA、保磁力Hcが145kA/mであった。
電磁変換特性は、実験例1を基準にして再生出力が+3.8dB、S/N比が+3.0dBであった。
【0055】
(実験例6)
斜方蒸着を行う際のテープライン速度を150m/minとし、酸素導入量を1.5slmとし、磁性層2の成膜レートを1.5μm/sとしたことを除き、実験例2と同様に磁気テープを作製した。
【0056】
実験例6の断面試料をミクロトーム法により作製し、透過型電子顕微鏡で観察した結果、図2に示すようなカラム構造が確認された。磁性粒子5の粒径は3〜7nmの間に分布し、平均粒径は5nm程度であった。また、磁性粒子5により構成されるカラムの径7は5〜8nmであった。
【0057】
実験例6の磁気テープの磁気特性は、飽和磁化Msが334kA/m、残留磁化Mrと膜厚δの積Mr・δが22.7mA、保磁力Hcが145kA/mであった。
電磁変換特性は、実験例1を基準にして再生出力が+4.0dB、S/N比が+3.1dBであった。
【0058】
(実験例7)
図6は、実験例7で作製した磁気テープの断面図である。図6に示すように、非磁性支持体1上に下層磁性層2aと上層磁性層2bが順に積層されている。上層磁性層2bの上層に保護膜3が形成されている。
【0059】
下層磁性層2aと上層磁性層2bは、それぞれカラム4を構成する強磁性粒子と、カラム4を互いに隔てる非磁性粒子とから構成される。カラム4は強磁性粒子が連なった構造を有する。一つのカラム4の径は15nm程度以下、好適には5〜10nm程度である。
【0060】
図6に示す磁気テープを以下の条件で作製した。非磁性支持体1として高分子フィルムを用い、高分子フィルム上に斜方蒸着によりCo−O系の下層磁性層2aを形成した。下層磁性層2aの膜厚は40nmとした。
下層磁性層2aの斜方蒸着は、テープライン速度を100m/minとし、酸素導入量を1.0slmとして行った。下層磁性層2aの成膜レートは1.0μm/sとした。
【0061】
次に、再び斜方蒸着を行って下層磁性層2a上に上層磁性層2bを形成した。上層磁性層2bの膜厚は40nmとした。
このとき、図3に示す蒸着装置において、非磁性支持体1を再度、供給リール11から供給し、下層磁性層2aを形成するときと同じ方向から、金属蒸気を蒸着させた。テープライン速度、酸素導入量および成膜レートは下層磁性層2aの場合と同様にした。
その後、カーボンブラックを結合剤中に分散させた塗料を、磁性層2上に塗布し、保護膜3を形成した。保護膜3は以下の実験例で全て同様に形成した。
【0062】
実験例7の断面試料をミクロトーム法により作製し、透過型電子顕微鏡で観察した結果、図7に示すように、下層磁性層2aと上層磁性層2bで同様なカラム構造が確認された。各磁性層2a、2bにおいて磁性粒子27がほぼ一列に並んでいて、それらを非磁性粒子28が分離している。磁性粒子27の粒径は3〜7nmの間に分布し、平均粒径は5nm程度であった。また、磁性粒子27により構成されるカラムの径29は5〜8nmであった。
【0063】
実験例7の磁気テープの磁気特性は、飽和磁化Msが334kA/m、残留磁化Mrと膜厚δの積Mr・δが21.9mA、保磁力Hcが150kA/mであった。
電磁変換特性は、実験例1を基準にして再生出力が+4.2dB、S/N比が+3.2dBであった。
【0064】
(実験例8)
磁性層の膜厚を40nm、テープライン速度を60m/minとしたことを除き、実験例1と同様に磁気テープを作製した。実験例8〜13のテープライン速度は、実験例1〜6のテープライン速度の各2倍とした。
実験例8の断面試料をミクロトーム法により作製し、透過型電子顕微鏡で観察した結果、図4に示すようなカラム構造が確認された。図4に示すように、磁性粒子21と非磁性粒子22とのランダムな集合体によりカラム構造が形成され、磁性粒子21の繋がりは見られなかった。磁性粒子21の粒径は5〜8nmの間に分布していた。カラムの径23は20〜30nmであり、図2に示すカラム構造に比較して明らかに太かった。
【0065】
実験例8の磁気テープの磁気特性は、飽和磁化Msが285kA/m、残留磁化Mrと膜厚δの積Mr・δが8.6mA、保磁力Hcが85kA/mであった。
電磁変換特性は、記録波長を0.5μmとしてGMRヘッドで再生した場合の再生出力とS/N比に基づいて評価した。実験例8の再生出力およびS/N比は、実験例9〜13の再生出力およびS/N比の基準としたため、ともに0dBである。
【0066】
(実験例9)
磁性層の膜厚を40nm、テープライン速度を100m/minとしたことを除き、実験例2と同様に磁気テープを作製した。
実験例9の断面試料をミクロトーム法により作製し、透過型電子顕微鏡で観察した結果、図5に示すようなカラム構造が確認された。磁性層のほぼ中央より下層側の部分Aでは、磁性粒子24が一列に並ばずに集合体を形成し、それらを非磁性粒子25が分離している。
【0067】
磁性層の下層側の部分Aでは、磁性粒子24の平均粒径が8nmであり、長さ20nmの磁性粒子24も見られた。磁性層の下層側の部分Aでは、磁性層の上層側の部分Bに比較して、磁性粒子24の平均粒径が大きかった。また、下層側の部分Aではカラムの径26がほぼ15nmであり、上層側の部分Bでのカラムの径に比較して太かった。
一方、上層側の部分Bでは、磁性粒子24の粒径は3〜7nmの間に分布し、平均粒径は5nm程度であった。また、磁性粒子24により構成されるカラムの径は5〜8nmであった。
【0068】
実験例9の磁気テープの磁気特性は、飽和磁化Msが287kA/m、残留磁化Mrと膜厚δの積Mr・δが8.9mA、保磁力Hcが104kA/mであった。
電磁変換特性は、実験例8を基準にして再生出力が+1.4dB、S/N比が+1.5dBであった。
【0069】
(実験例10)
磁性層の膜厚を40nm、テープライン速度を160m/minとしたことを除き、実験例3と同様に磁気テープを作製した。
実験例10の断面試料をミクロトーム法により作製し、透過型電子顕微鏡で観察した結果、図5に示すようなカラム構造が確認された。磁性層のほぼ中央より下層側の部分Aでは、磁性粒子24が一列に並ばずに集合体を形成し、それらを非磁性粒子25が分離している。
【0070】
磁性層の下層側の部分Aでは、磁性粒子24の平均粒径が8nmであり、長さ20nmの磁性粒子24も見られた。磁性層の下層側の部分Aでは、磁性層の上層側の部分Bに比較して、磁性粒子24の平均粒径が大きかった。また、下層側の部分Aではカラムの径26がほぼ15nmであり、上層側の部分Bでのカラムの径に比較して太かった。
一方、上層側の部分Bでは、磁性粒子24の粒径は3〜7nmの間に分布し、平均粒径は5nm程度であった。また、磁性粒子24により構成されるカラムの径は5〜8nmであった。
【0071】
実験例10の磁気テープの磁気特性は、飽和磁化Msが305kA/m、残留磁化Mrと膜厚δの積Mr・δが9.8mA、保磁力Hcが112kA/mであった。
電磁変換特性は、実験例8を基準にして再生出力が+3.0dB、S/N比が+2.5dBであった。
【0072】
(実験例11)
磁性層の膜厚を40nm、テープライン速度を200m/minとしたことを除き、実験例4と同様に磁気テープを作製した。
実験例11の断面試料をミクロトーム法により作製し、透過型電子顕微鏡で観察した結果、図2に示すようなカラム構造が確認された。磁性粒子5の粒径は3〜7nmの間に分布し、平均粒径は5nm程度であった。また、磁性粒子5により構成されるカラムの径7は5〜8nmであった。
【0073】
実験例11の磁気テープの磁気特性は、飽和磁化Msが307kA/m、残留磁化Mrと膜厚δの積Mr・δが9.9mA、保磁力Hcが116kA/mであった。
電磁変換特性は、実験例8を基準にして再生出力が+3.5dB、S/N比が+2.9dBであった。
【0074】
(実験例12)
磁性層の膜厚を40nm、テープライン速度を240m/minとしたことを除き、実験例5と同様に磁気テープを作製した。
実験例12の断面試料をミクロトーム法により作製し、透過型電子顕微鏡で観察した結果、図2に示すようなカラム構造が確認された。磁性粒子5の粒径は3〜7nmの間に分布し、平均粒径は5nm程度であった。また、磁性粒子5により構成されるカラムの径7は5〜8nmであった。
【0075】
実験例12の磁気テープの磁気特性は、飽和磁化Msが311kA/m、残留磁化Mrと膜厚δの積Mr・δが10.3mA、保磁力Hcが131kA/mであった。
電磁変換特性は、実験例8を基準にして再生出力が+3.7dB、S/N比が+3.1dBであった。
【0076】
(実験例13)
磁性層の膜厚を40nm、テープライン速度を300m/minとしたことを除き、実験例6と同様に磁気テープを作製した。
実験例13の断面試料をミクロトーム法により作製し、透過型電子顕微鏡で観察した結果、図2に示すようなカラム構造が確認された。磁性粒子5の粒径は3〜7nmの間に分布し、平均粒径は5nm程度であった。また、磁性粒子5により構成されるカラムの径7は5〜8nmであった。
【0077】
実験例13の磁気テープの磁気特性は、飽和磁化Msが316kA/m、残留磁化Mrと膜厚δの積Mr・δが10.7mA、保磁力Hcが132kA/mであった。
電磁変換特性は、実験例8を基準にして再生出力が+3.9dB、S/N比が+3.2dBであった。
【0078】
以上の実験例1〜13について、磁性層の成膜条件、磁気特性、電磁変換特性および磁性粒子の平均粒径を表1にまとめた。
【0079】
【表1】
Figure 0003937770
【0080】
まず、単層の磁性層が膜厚80nmで形成される実験例1〜6を比較する。カラム構造については、成膜レートが0.3μm/sのとき(実験例1)、図4に示すように磁性粒子と非磁性粒子がランダムに集合したカラム構造となる。それに対し、成膜レートが0.5μm/s以上になると(実験例2〜6)、図2および図5に示すように磁性粒子が連なったカラム構造が得られている。
【0081】
成膜レートが0.5μm/s以上の実験例の中でも、成膜レートが相対的に低いとき(実験例2および実験例3)では、図5に示すようにカラム全体が一様に細くならず、磁性粒子の粒径のばらつきが見られる。
それに対し、成膜レートをさらに上げたとき(実験例4〜6)は、図2に示すように磁性粒子がほぼ一列に並び、磁性粒子の粒径のばらつきが抑制される。
【0082】
磁気特性については、実験例1〜6の順に成膜レートが上がると、それに伴って飽和磁化Ms、残留磁化Mrと膜厚δとの積Mr・δおよび保磁力Hcが高くなる。
また、電磁変換特性についても、実験例1〜6の順に成膜レートが上がると、それに伴って再生出力とS/N比が高くなる。
【0083】
なお、電子ビームのパワーの制約から、成膜レートを1.5μm/sより高くすることは出来なかった。
以上のように、成膜レートを0.5μm/s以上、好適には1.0μm/s以上とすることにより、磁性層の磁性粒子の粒径およびそのばらつきを小さくし、磁気記録媒体の磁気特性および電磁変換特性を高くすることができる。
【0084】
次に、磁性層が単層の場合と2層構造の場合とを比較する。実験例4では、成膜レートを1.0μm/sとして、膜厚80nmの単層の磁性層を形成した。一方、実験例7では、成膜レートを1.0μm/sとして、膜厚50nmの磁性層を2層積層し、膜厚の合計を80nmとした。
【0085】
実験例4と実験例7を比較すると、磁気特性については、飽和磁化Ms、残留磁化Mrと膜厚δとの積Mr・δおよび保磁力Hcが全て実験例7で高くなっている。また、電磁変換特性については、再生出力とS/N比がともに実験例7で高くなっている。
【0086】
以上のように、磁性層を2層構造とすることにより、磁気記録媒体の磁気特性および電磁変換特性を高くすることができる。また、磁性層を2層構造とした場合にも、磁性層が単層の場合と同様に、成膜レートを高くすると磁気記録媒体の磁気特性および電磁変換特性が向上する。
【0087】
次に、単層の磁性層が膜厚40nmで形成される実験例8〜13を比較する。磁性層の膜厚が80nmの場合(実験例1〜6)と同様に、カラム構造については、成膜レートが0.3μm/sのとき(実験例8)、図4に示すように磁性粒子と非磁性粒子がランダムに集合したカラム構造となる。それに対し、成膜レートが0.5μm/s以上になると(実験例9〜13)、図2および図5に示すように磁性粒子が連なったカラム構造が得られている。
【0088】
成膜レートが0.5μm/s以上の実験例の中でも、成膜レートが相対的に低いとき(実験例9および実験例10)では、図5に示すようにカラム全体が一様に細くならず、磁性粒子の粒径のばらつきが見られる。
それに対し、成膜レートをさらに上げたとき(実験例11〜13)は、図2に示すように磁性粒子がほぼ一列に並び、磁性粒子の粒径のばらつきが抑制される。
【0089】
磁気特性については、実験例8〜13の順に成膜レートが上がると、それに伴って飽和磁化Ms、残留磁化Mrと膜厚δとの積Mr・δおよび保磁力Hcが高くなる。
また、電磁変換特性についても、実験例8〜13の順に成膜レートが上がると、それに伴って再生出力とS/N比が高くなる。
【0090】
なお、電子ビームのパワーの制約から、成膜レートを1.5μm/sより高くすることは出来なかった。
以上のように、成膜レートを0.5μm/s以上、好適には1.0μm/s以上とすることにより、磁性層の磁性粒子の粒径およびそのばらつきを小さくし、磁気記録媒体の磁気特性および電磁変換特性を高くすることができる。
【0091】
上記の本発明の実施形態の磁気記録媒体の製造方法によれば、金属蒸気の非磁性支持体への入射角を一定の範囲内に制御し、かつ磁性層の成膜レートを高くすることにより、磁性粒子の粒径およびそのばらつきを小さくし、磁性粒子が連なったカラム構造を形成することが可能となる。
これにより、金属磁性薄膜型の磁気記録媒体の磁気特性および電磁変換特性を高くすることが可能となる。したがって、Mr・δの値(〔0022〕参照)に応じて、特にAMRおよびGMRヘッドでの再生に適した高出力・低ノイズの磁気テープが得られる。
【0092】
本発明の磁気記録媒体の製造方法の実施形態は、上記の説明に限定されない。例えば、AMRヘッドおよびGMRヘッド以外のヘッドを用いて再生が行われる磁気記録媒体の製造に、本発明を適用することもできる。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【0093】
【発明の効果】
本発明の磁気記録媒体の製造方法によれば、カラム構造を構成する磁性粒子の粒径や粒径のばらつきを小さくし、磁気特性および電磁変換特性の高い磁気記録媒体を製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の磁気記録媒体の製造方法により製造される磁気記録媒体の断面図である。
【図2】図2は図1の磁気記録媒体の磁性層の断面を模式的に示す図である。
【図3】図3は本発明の磁気記録媒体の製造方法に用いることができる蒸着装置の概略図である。
【図4】図4は本発明の実施形態に係り、比較例(実験例1および8)の磁気記録媒体の磁性層の断面を模式的に示す図である。
【図5】図5は図1の磁気記録媒体の磁性層の断面を模式的に示す図である。
【図6】図6は本発明の磁気記録媒体の製造方法により製造される磁気記録媒体の断面図である。
【図7】図7は図6の磁気記録媒体の磁性層の断面を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1…非磁性支持体、2…磁性層、3…保護膜、4…カラム、5、21、24、27…磁性粒子、6、22、25、28…非磁性粒子、7、23、26、29…カラム径、11…供給リール、12…クーリングドラム、13…巻き取りリール、14…ルツボ、15…蒸着源、16…マスク、17…蒸着雰囲気、18…隔壁。

Claims (6)

  1. 金属磁性材料を気化し、金属蒸気を酸素の存在下で非磁性支持体上に堆積させて、磁性粒子の集合体である複数のカラムと、前記カラム間を互いに分離する非磁性粒子とを含む磁性層を形成する工程を有する磁気記録媒体の製造方法であって、
    前記磁性層を形成する工程において、前記金属蒸気の前記非磁性支持体表面に対する最小入射角を45°以上60°以下の範囲内とし、
    前記非磁性支持体上の前記金属蒸気が入射する部分における前記磁性層の平均堆積速度である成膜レートを0.5μm/s以上とし、
    前記磁性粒子の平均粒径を10nm以下とし、前記カラムの径を15nm以下とする
    磁気記録媒体の製造方法。
  2. 前記磁性粒子は前記カラムの長手方向に結晶配向し、前記磁性粒子の粒径は、前記磁性粒子が超常磁性を示さない範囲で、ほぼ最小の粒径である
    請求項1記載の磁気記録媒体の製造方法。
  3. 前記磁性粒子はCo粒子であり、前記非磁性粒子はCoO粒子である
    請求項2記載の磁気記録媒体の製造方法。
  4. 前記金属蒸気が通過する開口部が設けられた少なくとも一つのマスクを用いて、前記入射角の制御を行う
    請求項3記載の磁気記録媒体の製造方法。
  5. 複数の磁性層を積層する
    請求項1記載の磁気記録媒体の製造方法。
  6. 前記磁性層上に保護膜を形成する工程をさらに有する
    請求項1記載の磁気記録媒体の製造方法。
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