JP2005032360A - 磁気記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】磁気記録媒体の高記録密度化を図る上で、強磁性粒子の集合体であるカラムの相互の適切な位置関係を明らかとする。
【解決手段】非磁性支持体上にカラム構造の磁性層を有する磁気記録媒体において、前記カラム構造を、平均粒径5〜10nmの強磁性金属粒子が3〜7個連なった構造の複数のカラムと、前記カラムを囲み前記カラム間を互いに分離するように配置された非磁性粒子で構成し、かつ、膜厚み方向に隣接する前記カラムの中心間距離Xと、膜面内方向に隣接する前記カラムの中心間距離Yの比で定義される値Y/Xを0.5以上とする。
【選択図】図1
【解決手段】非磁性支持体上にカラム構造の磁性層を有する磁気記録媒体において、前記カラム構造を、平均粒径5〜10nmの強磁性金属粒子が3〜7個連なった構造の複数のカラムと、前記カラムを囲み前記カラム間を互いに分離するように配置された非磁性粒子で構成し、かつ、膜厚み方向に隣接する前記カラムの中心間距離Xと、膜面内方向に隣接する前記カラムの中心間距離Yの比で定義される値Y/Xを0.5以上とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、磁気記録媒体に関し、特に、蒸着型の磁気記録媒体であって、強磁性粒子と非磁性粒子からなるカラム構造の薄膜記録媒体に関する。
例えばビデオテープレコーダー(VTR)等の分野においては、高画質化を図るために、高記録密度化が一層強く要求されている。これに対応する磁気記録媒体として、金属材料あるいは合金材料からなる強磁性材料をめっきや真空薄膜形成手段によって非磁性支持体上に直接被着させて磁性層を形成した、いわゆる金属磁性薄膜型の磁気記録媒体が提案され、注目を集めている。
ここで、合金材料としてはCo-Ni合金、Co−Cr合金、Co−O等が挙げられ、真空薄膜形成手段としては、具体的には真空蒸着法、スパッタリング法あるいはイオンプレーティング法等が挙げられる。また、非磁性支持体としては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリアミドあるいはポリイミドフィルム等が用いられる。
この金属磁性薄膜型の磁気記録媒体は、磁性塗料の塗布によって得られる塗布型の磁気記録媒体に比較して、保磁力や残留磁化、角型比等に優れ、短波長での電磁変換特性にも優れる。また、強磁性材料を直接被着させるため、磁性層の厚みを極めて薄くできる。これにより、記録減磁や再生時の厚み損失が著しく小さくなり、良好な電磁変換特性が得られる。さらに、磁性層中に非磁性の結合剤や添加剤を混入する必要がないため、磁性材料の充填密度が高まり、磁束密度を高くすることができる。このように、金属磁性薄膜型の磁気記録媒体は、多くの利点を有する。
真空蒸着法によって磁性層が形成される蒸着型の磁気テープ(蒸着テープ)は、生産効率が高いだけでなく、特性も安定している。このことから、蒸着テープはハイバンド8mm用テープ、民生用デジタルビデオ用テープ、あるいはコンピューターデータ記録用テープ(例えばAITやMammoth)として、すでに実用化されている。
薄膜型磁気記録媒体の電磁変換特性をさらに向上させ、より大きな再生出力を得られるようにするため、強磁性金属材料を非磁性支持体に対し斜めに入射させて被着させる真空斜方蒸着法が提案されている。斜方蒸着テープにおいて、磁性粒子は複数の柱状の集合体(カラム)を構成し、このようなカラムが非磁性支持体上に並べられた構造となることが知られている。
一般に、このような磁性層の構造は、カラム構造と呼ばれている。従来、カラム構造としては、強磁性粒子と非磁性粒子がランダムに集合し、一つのカラムを構成するものが知られていた。強磁性粒子と非磁性粒子がランダムに集合したカラムにおいて、強磁性粒子の粒径は一般に10nm程度である。
磁気記録媒体の記録密度を向上させるため、さらに高再生出力で、低ノイズの媒体が必要とされている。斜方蒸着テープにおいて、これらの要求を満たすためには、磁気記録媒体のカラム構造を適切に制御する必要がある。このような観点でカラム構造を規定した磁気記録媒体は、特許文献1に開示されている。
特許文献1記載の磁気記録媒体の磁性層は、強磁性粒子が連なったカラムと、カラム間を分離するように配置された非磁性粒子を含む。このカラムは強磁性粒子が3個以上連なった構造を有し、カラムの径は約15nm以下である。強磁性粒子はカラムの長手方向に結晶配向し、強磁性粒子の粒径は約10nm以下である。
また、特許文献2には、磁性層の成膜レートが強磁性粒子の粒径およびそのばらつきと、カラム構造に影響することが開示されている。特許文献2には、成膜レートを0.5μm/s以上、好適には1.0μm/s以上とすることにより、強磁性粒子の粒径とそのばらつきが小さくなり、再生出力およびS/N比が向上することが記載されている。上記の特許文献1および2では、磁性層として例えばCo−O薄膜が形成される。
以上のように、磁気記録媒体の記録密度を向上させる目的で、カラム構造の検討がなされているが、磁性層の膜厚み方向および膜面内方向におけるカラム間隔について規定した磁気記録媒体は開示されていない。このようなカラム間隔によっても、斜方蒸着テープの電磁変換特性は変化する。したがって、磁性粒子の粒径やカラムを構成する磁性粒子の数だけでなく、カラム同士の位置関係についても検討し、適切に制御する必要がある。
特開2003−6831号公報
特開2003−59040号公報
解決しようとする問題点は、磁気記録媒体の高記録密度化を図る上で、強磁性粒子の集合体であるカラムの相互の適切な位置関係が明らかとなっていない点である。
本発明は、磁気記録媒体の電磁変換特性を向上させるため、磁性層を構成するカラムの膜厚み方向における中心間距離Xと膜面内方向における中心間距離Yの比Y/Xを0.5以上に規定したことを最も主要な特徴とする。好適には、前記カラムは前記強磁性金属粒子が3〜7個連なった構造を有する。好適には、前記強磁性金属粒子の平均粒径は5〜10nmである。前記磁性層の膜厚は100nm以下である。
本発明の磁気記録媒体は、上記の比Y/Xを0.5以上としたことにより、電磁変換特性が向上する。これにより、磁気記録媒体の記録密度の向上が可能となる。また、磁性層の膜厚が100nm以下であることにより、磁気抵抗効果型磁気ヘッドや巨大磁気抵抗効果型磁気ヘッドの信号検出感度に適合し、これらの高感度ヘッドを記録信号の再生に用いることが可能となる。これによっても、記録密度を向上させることができる。
以下に、本発明の磁気記録媒体の実施の形態について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態の磁気記録媒体の断面図である。図1に示すように、非磁性支持体1上に磁性層2が形成されている。磁性層2の上層に保護膜3、さらにトップコート層4が形成されている。磁性層2は真空斜方蒸着によって形成され、強磁性粒子または強磁性粒子と非磁性粒子が連なったカラム5を含む構造(斜方柱状構造)となっている。
図2は図1の磁性層2を模式的に示す断面図の一例である。磁性層2は強磁性粒子11と非磁性粒子12を含む。強磁性粒子11が3〜5個連なって一つのカラムが構成される。非磁性粒子12は、強磁性粒子11からなるカラムの間に充填されている。このような強磁性粒子と非磁性粒子は、電子線回折や等価型電子顕微鏡を用いた高分解能観察により識別できる。また、これらの手法と元素マッピングの手法とを組み合わせて、磁性層の微細構造が解析される。元素マッピングの手法としてはエネルギー分散型X線分光法(EDX)やエネルギーフィルター法が挙げられる。
電磁変換特性を良好とするには、一つのカラムの径(カラム径)13は15nm以下であることが好ましい。また、強磁性粒子11の平均粒径は10nm以下、さらに好適には5〜10nmであることが好ましい。強磁性粒子をさらに微細化すると、超常磁性を示すようになり、残留磁化がなくなる。強磁性粒子が超常磁性を示す粒径は、磁気異方性を用いて理論的に計算することが可能である。例えば、コバルト粒子の場合には、粒径がほぼ2.6nm以下になると、超常磁性を示すようになり、磁気記録を行うことはできなくなる。
強磁性粒子の粒径を上記の範囲内とすることにより、磁気記録媒体の記録密度を上げ、ノイズを低減することが可能となる。また、磁性粒子が連なったカラムは直線状ではなく、わずかに曲がった形状となるが、カラム内の磁性粒子のc軸方向のばらつきが20°以内となるように磁性粒子を結晶配向させる。
図2の例において、強磁性粒子11はCo粒子であり、非磁性粒子12は酸素含有量が高いCoO粒子である。CoOは反強磁性体で、ネール温度が約300Kであることが知られている。ネール温度が室温に極めて近いため、Coの磁気異方性に大きな影響を及ぼすことはない。
図2に示すように、膜厚み方向に隣接するカラムの中心間の距離14の平均値を、膜厚み方向のカラム中心間距離Xとする。また、膜面内方向に隣接するカラムの中心間の距離15の平均値を、膜面内方向のカラム中心間距離Yとする。本発明の磁気記録媒体によれば、比Y/Xを0.5以上とする。比Y/Xが0.5未満の場合、良好な電磁変換特性が得られない。
ヘッドの飽和を防止して、ヘッドの検出感度に対応した再生を行うには、異方性磁気抵抗効果型ヘッド(AMRヘッド)で再生する場合、磁性層2の残留磁化量Mrと膜厚δとの積Mr・δの値を7〜25mAとすることが好ましい。また、巨大磁気抵抗効果型ヘッド(GMRヘッド)で再生する場合には、積Mr・δの値を5〜15mAとすることが好ましい。
磁性層2の残留磁化量Mrは、強磁性粒子の密度や種類によって変動するが、積Mr・δの値を上記の範囲内とするには、磁性層の膜厚δを、AMRヘッドで再生する場合に100nm以下、さらに好適には40〜60nmとする。また、GMRヘッドで再生する場合は膜厚δを80nm以下、さらに好適には20〜40nmとする。
図3は、本実施形態の磁気記録媒体の磁性層を形成するための蒸着装置を表す概略図である。図3に示すように、非磁性支持体1は供給リール21から供給され、クーリングドラム22上で非磁性支持体1に磁性層が斜方蒸着される。クーリングドラム22は、例えば−20°程度に冷却され、これにより非磁性支持体1の熱変形が防止されている。磁性層が蒸着された非磁性支持体1は、巻き取りリール23によって巻き取られる。電子銃24からルツボ25内の蒸着源26に電子ビーム27を照射して、磁性層を成膜する。蒸着源26としては、前述した各種金属磁性材料が用いられる。蒸着雰囲気は、バルブ28を介して接続された真空ポンプにより、例えば1×10−1〜1×10−3Pa程度に減圧される。
斜方蒸着を行う際に、蒸着雰囲気に少なくとも酸素ガス導入管29から酸素ガスを導入し、磁性層を例えばCo−O薄膜、Co−Ni−O薄膜等の酸素含有膜としてもよい。これにより、磁性層の結晶粒が微細化され、媒体ノイズを低減することができる。酸素ガス導入管29は、金属蒸気の非磁性支持体1に対する入射角が例えば45°となる部分の近傍に酸素を導入する。これと異なる位置、例えば金属蒸気の非磁性支持体1に対する入射角が90°となる部分の近傍等に、他の酸素ガス導入管を配置してもよい。
本実施形態の磁気記録媒体の非磁性支持体1の材料としては、ポリエステル類、ポリオレフィン類、セルロース誘導体、ビニル系樹脂、ポリイミド類、ポリアミド類、ポリカーボネート等に代表されるような高分子材料が用いられる。
また、磁性層2を構成する金属磁性材料としては、Fe、Co、Ni等の強磁性材料やCo−Ni系合金、Fe−Co系合金、Fe−Ni系合金、Co−Pt系合金、Co−Ni−Pt系合金、Fe−Co−Ni系合金、Fe−Ni−B系合金、Fe−Co−B系合金、Fe−Co−Ni−B系合金等や、Co−Cr系合金等が挙げられる。
図示しないが、非磁性支持体1と磁性層2との間には、適当なバリア層を設けてもよい。バリア層としては例えばCr薄膜やSiO2膜等、非磁性材料からなる層が用いられる。図1に示すように、磁性層2上層には保護膜3を形成することが望ましい。保護膜3の材料としてはグラファイト、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、ダイヤモンド、SiO2等を用いることができるが、薄膜強度からはDLCが特に好ましい。保護膜3は例えばスパッタ法や化学気相成長法(CVD法)により形成できる。
磁気記録媒体の走行性や耐久性を向上させるため、保護膜3の上層にトップコート層4を形成してもよい。トップコート層4は、例えばフッ素系潤滑剤、好適にはパーフルオロポリエーテル構造を有するフッ素系潤滑剤などの公知の潤滑剤を溶剤に溶解させ、磁気記録媒体の最表面に塗布することにより形成できる。トップコート層4は潤滑剤以外の添加剤を含有してもよい。また、磁気記録媒体の走行性や耐久性を向上させるため、非磁性支持体1の磁性層2と反対側の面に、例えばカーボンブラックを含有するバックコート層(不図示)を形成してもよい。
上記の図1に示す磁気テープを、以下のように作製した。まず、非磁性支持体1となる高分子フィルム上に、斜方蒸着法によりCo−O系の磁性層2を膜厚50nmで形成した。斜方蒸着は、テープライン速度を100m/min.として、酸素ガスを蒸着雰囲気に2箇所から導入して行った。トータル酸素導入量は0.65slmとした。また、蒸着時真空度は7×10−2Paとした。磁性層2上に、CVD法により保護膜3を形成し、その上にトップコート4を施した。
実施例1の磁気テープの磁気特性は、飽和磁束密度Bsが450mT、保磁力Hcが130kA/mであった。また、電磁変換特性は記録波長を0.5μm(キャリア周波数12MHz)としてAMRヘッドで再生した場合、比較例1(後述)を基準にして再生出力で+2.2dB、C/N比で+3.0dBという結果が得られた。C/N測定におけるノイズレベルは、記録波長0.5μm(キャリア周波数12MHz)を記録した場合におけるスペクトラムにおける、10MHzのノイズレベルと14MHzのノイズレベルの平均値とした。
この磁気テープの断面試料をミクロトーム法により作製し、透過型電子顕微鏡で観察した。得られた高分解能像にフーリエ変換による画像処理を行い、磁性粒子(Co)と非磁性粒子(CoO)の分離を試みたところ、図2のようなカラム構造となっていた。図2に示すように、強磁性粒子11がほぼ1列に並び、それらを非磁性粒子12が分離していた。
強磁性粒子11の粒径は5〜10nmの間に分布し、平均粒径は7nmであった。また、強磁性粒子11により構成されたカラムの径13は6〜11nmであった。強磁性粒子の繋がりは平均して3〜5個であった。さらに、膜厚み方向のカラム中心間距離X14と、膜面内方向のカラム中心間距離Y15の比Y/Xは0.5であった。
トータル酸素量を0.7slmとしたことを除き、実施例1と同様に磁気テープを作製し、評価を行った。磁気特性は飽和磁束密度Bsが450mT、保磁力Hcが150kA/mであった。また、電磁変換特性は記録波長を0.5μmとしてAMRヘッドで再生した場合、比較例1を基準にして再生出力で+2.0dB、C/N比で+2.5dBという結果が得られた。
断面試料を透過型電子顕微鏡で観察した結果、図4に示すようなカラム構造となっていた。実施例1と同様に、強磁性粒子31がほぼ1列に並び、それらを非磁性粒子32が分離していた。強磁性粒子31の径の分布と平均粒径およびカラムの径33は、実施例1と同様であった。実施例1と比較すると、磁性粒子の繋がりがやや多く、6〜7個の繋がりが見られた。また、膜厚み方向のカラム中心間距離X34と、膜面内方向のカラム中心間距離Y35の比Y/Xは、実施例1に比べてやや大きく0.6であった。
テープライン速度を50m/min.として、磁性層2の膜厚を100nmとし、トータル酸素導入量を0.33slmとしたことを除き、実施例1と同様に磁気テープを作製し、評価を行った。磁気特性は飽和磁束密度Bsが450mT、保磁力Hcが110kA/mであった。また、電磁変換特性は記録波長を0.5μmとしてAMRヘッドで再生した場合、比較例1を基準にして再生出力で+3.0dB、C/N比で+2.5dBという結果が得られた。
断面試料を透過型電子顕微鏡で観察した結果、図2に示すようなカラム構造となっていた。実施例1〜2と同様に、強磁性粒子11がほぼ1列に並び、それらを非磁性粒子12が分離していた。強磁性粒子11の径の分布と平均粒径は、実施例1〜2と同様であった。また、強磁性粒子11により構成されたカラムの径13は6〜9nmであった。強磁性粒子の繋がりは実施例1と同程度であり、平均して3〜5個であった。また、膜厚み方向のカラム中心間距離X14と、膜面内方向のカラム中心間距離Y15の比Y/Xは、実施例1と同程度であり0.5であった。
トータル酸素導入量を0.40slmとしたことを除き、実施例3と同様に磁気テープを作製し、評価を行った。磁気特性は飽和磁束密度Bsが400mT、保磁力Hcが130kA/mであった。また、電磁変換特性は記録波長を0.5μmとしてAMRヘッドで再生した場合、比較例1を基準にして再生出力で+3.2dB、C/N比で+2.2dBという結果が得られた。
断面試料を透過型電子顕微鏡で観察した結果、図4に示すようなカラム構造となっていた。実施例1〜3と同様に、強磁性粒子31がほぼ1列に並び、それらを非磁性粒子32が分離していた。強磁性粒子31の径の分布と平均粒径は、実施例1〜3と同様であった。また、強磁性粒子31により構成されたカラムの径33は6〜11nmであった。強磁性粒子の繋がりは実施例1よりやや多く、平均して6〜7個であった。また、膜厚み方向のカラム中心間距離X34と、膜面内方向のカラム中心間距離Y35の比Y/Xは、実施例2と同程度であり0.6であった。
以下に、比較例を示す。
(比較例1)
酸素ガスを蒸着雰囲気に1箇所から導入し、トータル酸素導入量は0.6slmとしたことを除き、実施例1と同様に磁気テープを作製し、評価を行った。磁気特性は飽和磁束密度Bsが450mT、保磁力Hcが100kA/mであった。また、電磁変換特性は記録波長を0.5μmとしてAMRヘッドで再生した場合の再生出力およびC/Nは、他の試料の電磁変換特性の基準としたため、ともに0dBである。
(比較例1)
酸素ガスを蒸着雰囲気に1箇所から導入し、トータル酸素導入量は0.6slmとしたことを除き、実施例1と同様に磁気テープを作製し、評価を行った。磁気特性は飽和磁束密度Bsが450mT、保磁力Hcが100kA/mであった。また、電磁変換特性は記録波長を0.5μmとしてAMRヘッドで再生した場合の再生出力およびC/Nは、他の試料の電磁変換特性の基準としたため、ともに0dBである。
断面試料を透過型電子顕微鏡で観察した結果、図5に示すようなカラム構造となっていた。比較例1のカラム構造は、実施例1〜4の磁性構造に見られるような、磁性粒子がほぼ1列に並んだカラム構造とは異なった。
比較例1の場合、図5に示すように、強磁性粒子41と非磁性粒子42とのランダムな集合体によりカラムが形成されていた。強磁性粒子41の繋がりは見られなかった。強磁性粒子41の径はほぼ5〜10nmの間に分布していたが、カラム径43は15〜25nmであり、実施例の試料に比較して明らかに太かった。比較例では、強磁性粒子の繋がりが見られなかったため、膜厚み方向において隣接する強磁性粒子の中心間の距離X44の平均値と、膜面内方向において隣接する強磁性粒子の中心間の距離Y44の比Y/Xを求めた。比較例1の比Y/Xは、実施例1と同程度で0.5であった。
(比較例2)
酸素ガスを蒸着雰囲気に1箇所から導入し、トータル酸素導入量は0.28slmとしたことを除き、実施例3と同様に磁気テープを作製し、評価を行った。磁気特性は飽和磁束密度Bsが450mT、保磁力Hcが90kA/mであった。また、電磁変換特性は記録波長を0.5μmとしてAMRヘッドで再生した場合、比較例1を基準にして再生出力で+1.5dB、C/N比で−2.0dBという結果が得られた。
酸素ガスを蒸着雰囲気に1箇所から導入し、トータル酸素導入量は0.28slmとしたことを除き、実施例3と同様に磁気テープを作製し、評価を行った。磁気特性は飽和磁束密度Bsが450mT、保磁力Hcが90kA/mであった。また、電磁変換特性は記録波長を0.5μmとしてAMRヘッドで再生した場合、比較例1を基準にして再生出力で+1.5dB、C/N比で−2.0dBという結果が得られた。
断面試料を透過型電子顕微鏡で観察した結果、比較例1と同様に、図5に示すようなカラム構造となっていた。すなわち、磁性粒子がほぼ一列に並んだカラム構造とは異なり、強磁性粒子41と非磁性粒子42とのランダムな集合体によりカラム構造が形成されていた。強磁性粒子41の繋がりは見られなかった。強磁性粒子41の径はほぼ5〜10nmの間に分布していたが、12nm以上の大きい強磁性粒子41も観察された。カラム径43は比較例1と同様に15〜25nmであり、実施例の試料に比較して明かに太かった。また、膜厚み方向に隣接する強磁性粒子の中心間距離X24と、膜面内方向に隣接する強磁性粒子の中心間距離Y25の比で定義される値Y/Xは、比較例1と同程度で0.5であった。
(比較例3)
テープライン速度を200m/min.として、トータル酸素量を1.1slmとしたことを除き、実施例1と同様に磁気テープを作製し、評価を行った。磁気特性は飽和磁束密度Bsが480mT、保磁力Hcが95kA/mであった。また、電磁変換特性は記録波長を0.5μmとしてAMRヘッドで再生した場合、比較例1を基準にして再生出力で+1.0dB、C/N比で−1.0dBという結果が得られた。
テープライン速度を200m/min.として、トータル酸素量を1.1slmとしたことを除き、実施例1と同様に磁気テープを作製し、評価を行った。磁気特性は飽和磁束密度Bsが480mT、保磁力Hcが95kA/mであった。また、電磁変換特性は記録波長を0.5μmとしてAMRヘッドで再生した場合、比較例1を基準にして再生出力で+1.0dB、C/N比で−1.0dBという結果が得られた。
断面試料を透過型電子顕微鏡で観察した結果、図6に示すようなカラム構造となっていた。実施例1〜4と同様に、強磁性粒子51がほぼ1列に並んでいて、それらを非磁性粒子52が分離していた。強磁性粒子51の径の分布と平均粒径は、実施例1〜4と同様であった。また、強磁性粒子51により構成されたカラムの径53は5〜10nmであった。強磁性粒子の繋がりは実施例1と同程度であり、平均して3〜5個であった。膜厚み方向のカラム中心間距離X54と、膜面内方向のカラム中心間距離Yとの比Y/Xは、実施例1〜4よりも小さく0.2であった。
上記の実施例1〜4および比較例1〜3の磁気テープの磁気特性および電磁変換特性を表1にまとめた。
表1に示すように、磁性層中で強磁性粒子がほぼ一列に並んだカラム構造をとり、強磁性粒子が3〜7個繋がり、かつ膜厚み方向のカラム中心間距離Xと、膜面内方向のカラム中心間距離Yの比Y/Xが0.5以上である実施例1〜4では、比較例1〜3よりも磁気特性および電磁変換特性が優れていた。したがって、高密度記録に適した、高出力・低ノイズの磁気テープが得られた。
上記の本発明の実施形態によれば、特にAMRヘッドで再生に適した、高再生出力かつ低ノイズの磁気記録媒体が得られる。本発明の磁気記録媒体の実施形態は、上記の説明に限定されない。例えば、GMRヘッド等、他の磁気抵抗効果型磁気ヘッドを用いて再生を行う磁気記録媒体に、本発明の磁気記録媒体の磁性層のカラム構造を形成してもよい。また、磁気テープに限らず、例えばディスク等の磁気記録媒体の磁性層に、上記の実施形態と同様なカラム構造を形成してもよい。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
磁気記録媒体の電磁変換特性が向上し、磁気記録媒体の高記録密度化が可能となる。
1…非磁性支持体、2…磁性層、3…保護膜、4…トップコート層、5…カラム、11、31、41、51…強磁性粒子、12、32、42、52…非磁性粒子、13、33、43、53…カラム径、14、34、44、54…膜厚み方向のカラム(または強磁性粒子)中心間距離X、15、35、45、55…膜面内方向のカラム(または強磁性粒子)中心間距離Y、21…供給リール、22…クーリングドラム、23…巻き取りリール、24…電子銃、25…ルツボ、26…蒸着源、27…真空ビーム、28…バルブ、29…酸素ガス導入管
Claims (5)
- 非磁性支持体上にカラム構造の磁性層を有する磁気記録媒体であって、前記カラム構造は、強磁性金属粒子の集合体である複数のカラムと、前記カラムを囲み前記カラム間を互いに分離するように配置された非磁性粒子で構成され、かつ、膜厚み方向に隣接する前記カラムの中心間距離Xと、膜面内方向に隣接する前記カラムの中心間距離Yの比で定義される値Y/Xが0.5以上である
磁気記録媒体。 - 前記カラムは前記強磁性金属粒子が3〜7個連なった構造を有する
請求項1記載の磁気記録媒体。 - 前記強磁性金属粒子の平均粒径は5〜10nmである
請求項1記載の磁気記録媒体。 - 前記磁性層の膜厚は100nm以下である
請求項1記載の磁気記録媒体。 - 記録信号が磁気抵抗効果型磁気ヘッドまたは巨大磁気抵抗効果型磁気ヘッドを用いて再生される
請求項4記載の磁気記録媒体。
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Cited By (1)
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JP2015082329A (ja) * | 2013-10-22 | 2015-04-27 | ソニー株式会社 | 磁気記録媒体 |
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2003
- 2003-07-07 JP JP2003271388A patent/JP2005032360A/ja not_active Abandoned
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