JP2003317219A - 磁気記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体及びその製造方法

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JP2003317219A JP2002118979A JP2002118979A JP2003317219A JP 2003317219 A JP2003317219 A JP 2003317219A JP 2002118979 A JP2002118979 A JP 2002118979A JP 2002118979 A JP2002118979 A JP 2002118979A JP 2003317219 A JP2003317219 A JP 2003317219A
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Yasuyoshi Sato
泰美 佐藤
Jota Ito
条太 伊藤
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    • G11B5/00Recording by magnetisation or demagnetisation of a record carrier; Reproducing by magnetic means; Record carriers therefor
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    • GPHYSICS
    • G11INFORMATION STORAGE
    • G11BINFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
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    • G11B5/84Processes or apparatus specially adapted for manufacturing record carriers
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸素を導入しながら、金属磁性薄膜を形成す
る真空蒸着プロセスによって得られる磁気記録媒体およ
びその製造方法において、AIT3フォーマットに適用
できる低ノイズでありながら高出力が得られる高記録容
量の磁気記録媒体並びにその製造方法を提供する。 【解決手段】 真空蒸着プロセスを適用して非磁性支持
体の走行速度を150m/min以上、200m/mi
n以下の範囲に制御し、連続的に高速走行させながら該
非磁性支持体上に酸素ガスの導入下、Co金属磁性薄膜
を設け、該Co金属磁性薄膜の保磁力Hcを100kA
/m以上、115kA/m以下とし、かつ角型比Rsを
0.79以上とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ミニコンピュータ
やパーソナルコンピュータなどのオフィスコンピュータ
やその他の各種用途におけるコンピュータの記憶媒体、
特に外部記憶媒体として用いられる大容量の磁気テープ
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ミニコンピュータ、パーソナルコ
ンピュータなどのオフィスコンピュータの普及に伴っ
て、外部記憶媒体としてコンピュータデータを記録する
ための磁気テープ、いわゆるテープストリーマーの研究
が盛んに行われている。このような用途の磁気テープの
実用化に際しては、特にコンピュータの小型化、情報処
理能力の増大と相まって記録の大容量化、小型化を達成
するために記録容量の向上が強く要求されている。ま
た、磁気テープの使用環境の広がりによる幅広い環境条
件下、特に変動の激しい温湿度条件下などでの使用、デ
ータ保存に対する信頼性、更に高速での繰り返し使用に
よる多数回走行におけるデータの安定した記録、読み出
し等の性能に対する信頼性なども従来にも増して要求さ
れている。
【0003】一般に、磁気テープは、合成樹脂などの可
撓性材料の非磁性支持体上に磁性層が設けられた構成で
ある。そして、上述したような用途に対応する大きな記
録容量(体積記録容量)を達成するためには、磁性層を
強磁性の金属磁性薄膜にすることにより磁性層自体の記
録密度を高めると共に、磁気テープの全厚を薄くするこ
とが有効な方法であるとされている。すなわち、磁気テ
ープとしては、非磁性支持体上に金属磁性薄膜を成膜し
た、いわゆる蒸着テープが有効である。
【0004】このような金属磁性薄膜を成膜した蒸着テ
ープの非磁性支持体としては、一般にポリエステル、主
としてポリエチレンテレフタレートフィルムが用いられ
ている。特に、ホームビデオカセットテープ、例えば8
mmテープに用いられる非磁性支持体としては、厚さ7
〜10μm程度のポリエチレンテレフタレートフィルム
が用いられ、コンピュータのデータバックアップ用のテ
ープストリーマーには厚さ5〜7μm程度のポリエチレ
ンフィルムが用いられている。また、ビデオテープに使
用される磁気記録媒体の記録時間を延長するための方法
としては、例えば、特開平6−215350号公報に記
載されるように、非磁性支持体としてポリエステルを主
成分とし、更に具体的にはポリエチレンナフタレートを
用いるのが望ましいとされている。しかし、ビデオカセ
ットテープの長時間記録化、テープストリーマーの大容
量化に対して、更に記録媒体の厚さを薄くすることが要
求されている。
【0005】また、昨今の情報量の増大化に伴い、テー
プストリーマーにおいても、大容量化が要求されており
磁気記録密度の向上、すなわち記録波長の短波長化、狭
トラックピッチ化が強く要求されている。しかしなが
ら、短波長化、狭トラックピッチ化はともに出力やS/
Nの低下ををもたらすため、ヘッド性能向上とともにテ
ープのさらなる高出力化、高S/N化が要求されてい
る。
【0006】8mm幅の蒸着テープを記録媒体として使
用するテープストリーマーフォーマットとして、テープ
ストレージの主要規格の一つにAIT(Advanced Inte
lligent Tape:ソニー株式会社が開発した規格およびテ
ープドライブの名称)があるが、この規格において、次
世代フォーマットとしてAIT3(100GB/巻程
度)が出現している。このAIT3規格では、従来のA
IT2(50GB/巻程度)に対して更に高容量化が求
められ、トラックピッチを従来の半分に狭めることで2
倍の高容量化を実現するものであるが、この高容量化に
伴って従来のAIT2より更に高出力のテープが求めら
れている。
【0007】高容量磁気テープとして、例えばCoのよ
うな強磁性金属あるいはその合金からなる蒸着薄膜が形
成された記録媒体が用いられるが、上記のような高出力
化に対応するものとして、金属磁性薄膜を磁性層として
形成する際に、その製造工程、すなわち蒸着プロセスで
酸素を導入する方法がある。このような非磁性支持体上
に酸素を導入しながら金属磁性体、例えばCoを蒸着す
る方法としては、図1に例示するような連続巻取り式真
空蒸着装置10を用いて蒸着を行うことができる。図1
中、非磁性支持体1は、連続的に巻き出しロール2から
供給され、酸素導入管4から供給される微量の酸素の存
在下に金属磁性体3(Co)が該非磁性支持体1の表面
に蒸着して金属磁性薄膜が形成され、巻き取り取りロー
ル5で巻き取られる。このように酸素を導入することに
よって、蒸着時に成長するCo結晶が微細化され残留磁
化Mrが大きくなって出力が向上する。
【0008】しかし、上記のような酸素導入下でCoの
蒸着を行う場合、導入酸素量があまり少ないと結晶の微
細化が進行せず、このため金属磁性薄膜からなる磁性層
の出力は低下し、ノイズが大きくなるという問題があ
る。一方、導入酸素量が多過ぎると、微細化が進み低ノ
イズとなるとともに抗磁力、すなわち保持力Hcの上昇
によって自己減磁が減少して高出力となるが、その出力
増加には極大値があり、高出力化の限界がある。出力の
極大値に対応する酸素量以上に導入量を増加させて保磁
力Hcを大きくすると、逆に残留磁化Mrが低下して出
力が低下するという問題がある。
【0009】また、導入酸素によって磁性膜表面には酸
化膜が生じるが、この酸化膜は導入酸素量の少ない方が
薄くなり高出力に繋がる。しかし、前述のように酸素量
が少ないと蒸着金属磁性体(Co)の微細化が進まず、
出力の低下を生じるというように相反する方向に働く。
【0010】上記のように酸素導入により非磁性支持体
上に金属磁性薄膜を形成する磁気テープの場合、保磁力
Hcと残留磁化Mrとに関する特性を両立し、低ノイ
ズ、すなわち高S/Nで高出力を達成することが課題と
なっていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な問題点に鑑みなされたもので、その目的は酸素を導入
しながら、金属磁性薄膜を形成する真空蒸着プロセスに
よって得られる磁気記録媒体の前記問題点を解決し、保
磁力Hcを維持しつつ、残留磁化Mrを向上して、低ノ
イズでありながら、高出力が得られる高記録容量の磁気
記録媒体並びにその製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は前記のような技
術的背景に基づいて創案されたものであり、酸素ガスの
導入下に金属磁性体の蒸着を行う真空蒸着プロセスを適
用して、非磁性支持体上に連続的に金属磁性薄膜からな
る磁性層を設けるに際して、該非磁性支持体を従来より
も高速で走行させながら、金属磁性体を蒸着させるため
の出力を調整することにより、金属結晶の微細化と、磁
性膜の酸化度とを制御し、これによって保磁力Hcと角
型比Rsとの特性を適性な値に制御することができ、低
ノイズ化と高出力化とを可能とすることを見出し本発明
に到達した。なお角型比Rsは、残留磁化Mrと飽和磁
化Msとの比(Mr/Ms)で表され、残留磁化Mrの
大きさに直接関わる特性である。また、金属磁性体には
合金を含むが、特にCoやCo合金が本発明の磁気記録
媒体として有用である。
【0013】請求項1の発明は、非磁性支持体上に少な
くとも金属磁性薄膜からなる磁性層を設けた蒸着型の磁
性記録媒体であって、前記金属磁性薄膜の保磁力Hcが
100kA/m以上、115kA/m以下であり、かつ
角型比Rsが0.79以上であることを特徴とする磁気
記録媒体である。
【0014】請求項2の発明は、前記非磁性支持体がポ
リアミドフィルムであることを特徴とする請求項1に記
載の磁気記録媒体である。
【0015】請求項3の発明は、前記磁気記録媒体が磁
気記録システムのAIT3フォーマットに対応した記録
媒体であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録
媒体である。
【0016】請求項1〜3によれば、酸素ガスの導入下
に金属磁性体の蒸着を行う真空蒸着プロセスによって、
蒸着された金属磁性薄膜の保磁力Hcを100kA/m
以上、115kA/m以下とし、かつ角型比Rsを0.
79以上とすることができる。これによって低ノイズ化
と高出力化が達成され、次世代テープストレージの主要
規格であるAIT3フォーマット(100GB/巻程
度)に対応できる記録周波数2T(21.55MHz)
でAIT2フォーマット比+1.5dB以上の出力が得
られる高密度の磁気記録媒体が提供される。また、非磁
性支持体としてポリアミドフィルムを使用することによ
り、高強度で磁気テープの膜厚が薄くできるため、大容
量で長時間記録の可能な磁気記録媒体が提供される。
【0017】請求項4の発明は、非磁性支持体を連続的
に走行させながら、酸素ガスの導入下に金属磁性体の蒸
着を行う真空蒸着プロセスによって、該非磁性支持体上
に少なくとも金属磁性薄膜からなる磁性層を設け、前記
金属磁性薄膜の保磁力Hcを100kA/m以上、11
5kA/m以下とし、かつ角型比Rsを0.79以上と
する磁気記録媒体の製造方法であって、前記非磁性支持
体の走行速度を150m/min以上、200m/mi
n以下とすることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法
である。
【0018】上記のように、酸素ガスの導入下に金属磁
性体の蒸着を行う真空蒸着プロセスを適用し、連続的に
走行させながら非磁性支持体上に金属磁性薄膜からなる
磁性層を設けるに際して、該非磁性支持体の走行速度を
150m/min以上、200m/min以下の範囲に
制御して高速とすることにより、金属結晶の微細化が促
進されるとともに、磁性膜の酸化度が従来よりも低く制
御される。その結果、表面酸化膜の厚みが減少して隙間
損失が低減し、保磁力Hcを維持しつつ、残留磁化Mr
が向上して、低ノイズでありながら高出力が得られる磁
気記録媒体の製造方法が提供される。なお、本発明にお
いては、次世代AITフォーマットに対応できる出力
1.5dBを達成するためハイレート蒸着法を導入した
結果として、磁気記録媒体の保持力Hcは従来の出力最
適条件よりもやや下がる傾向にある。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、図2に示す磁気記録媒体の
構成例、図3に示す磁気記録媒体の概略製造工程フロ
ー、および各構成層の形成方法例を参考にしながら本発
明を更に説明する。なお、本発明の磁気記録媒体は、以
下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要
旨を逸脱しない範囲でその他様々な構成が取り得る。
【0020】図2に例示するように、本発明の磁気記録
媒体の構成は、非磁性支持体1と、この非磁性支持体1
の一主面1a上に成膜された金属磁性薄膜からなる磁性
層22と、磁性層22の表面上に成膜された保護層23
と、非磁性支持体1の他主面1b上に形成されたバック
コート層24とからなるものである。このような構成の
磁気記録媒体は、例えば図3に示す概略製造工程フロー
に従って作製される。
【0021】上記磁気記録媒体の非磁性支持体1として
は、合成樹脂などの可撓性材料(フィルム等)が好まし
く、特にポリアミドフィルムが好適である。このポリア
ミドフィルムを非磁性支持体1として用いた場合には、
前記ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタ
レートフィルムに比べ強度が高いため、磁気記録媒体の
厚さを薄くすることが可能であり、テープストリーマー
の大容量化への対応に適している。また、金属磁性薄膜
からなる磁性層22としては、強磁性金属が好ましく、
特にCoやCo合金が好ましい。以下に、各工程につい
て順に詳しく説明する。
【0022】[磁性層の形成]前記のように本発明にお
いては、酸素ガスの導入下に金属磁性体の蒸着を行う真
空蒸着プロセスを適用して連続的に走行させながら非磁
性支持体1上に強磁性の金属磁性薄膜からなる磁性層2
2を設けるに際して、非磁性支持体1の走行速度を適正
な範囲で制御しながら従来(100m/min程度)よ
りも速い走行速度で蒸着を行う。磁性層22の形成を前
記図1に示した連続巻き取り式真空蒸着装置10を用い
て蒸着する場合を例として説明する。非磁性支持体1と
して用いられるポリアミドフィルム(フィルム)は、巻
き出しロール2から供給され冷却キャン6の外周表面に
沿って走行し、巻き取りロール5で連続的に巻き取られ
るように装着される。この連続走行の際、電子銃8から
放射された電子によって加熱されたるつぼ7内の金属磁
性体3、例えばCoが蒸発して非磁性支持体1上に付着
し、磁性層22が形成される。この磁性層22の形成の
際に酸素導入管4から導入された酸素によって適度に酸
化され、磁性金属結晶(Co結晶)の微細化が行われ
る。
【0023】上記るつぼ7内の金属磁性体3、例えばC
oを蒸着させる場合、蒸着条件として、非磁性支持体1
の走行速度を従来条件よりも高速にし、電子銃8に投入
する電力量を増加して電子ビーム出力を増し、従来と同
じ厚さの金属磁性薄膜を形成すると、従来法よりもCo
結晶の微細化が進むばかりでなく、より少ない膜酸化度
で出力特性の最大値が得られるとともに、出力特性を較
べると、更に高出力が得られることが判明した。なお、
出力特性は従来と同波長での比較である。上記のような
従来よりも高速度での蒸着と抑制した膜酸化度、すなわ
ち従来よりも低い膜酸化度とする制御により、磁性層の
高い出力を得る方法、いわゆる「ハイレート蒸着法」に
よって本発明の磁気記録媒体が得られる。
【0024】このようなハイレート蒸着法によって出力
を所望の値1.5dB以上とするには、非磁性支持体1
として用いられるフィルムの走行速度は150m/mi
n以上とすることが必要であるが、好ましくは150m
/min以上、200m/min以下である。150m
/minよりも遅いと所望の出力1.5dB以上を得る
ことができない。走行速度が200m/minよりも速
いと通常の装置能力の限界を超え、所定の金属磁性薄膜
の厚さを得るのが困難となる。また、保磁力Hcが10
0kA/mよりも小さいか、115kA/mよりも大き
いと、出力1.5dB以上を達成することができず、角
型比Rsが0.79よりも小さいと同様に出力1.5d
B以上を満足することができない。
【0025】[保護層の形成]次に、図4に示すような
マグネトロンスパッタリング装置30を用いて、磁性層
22を形成したフィルム32の磁性層22表面に保護層
23を形成する。すなわち、マグネトロンスパッタリン
グ装置30内に磁性層22が形成されたフィルム32を
巻き出しロール31から冷却キャン34外周を経由して
巻き取りロール35に到るように装着した後、真空排気
装置39によって装置内を10−4Pa程度に減圧し、
ガス導入管33から例えばArガス等の不活性ガスを導
入する。この際の装置内圧力は0.8Pa程度に保たれ
る。次に、フィルムを−40℃程度に冷却した冷却キャ
ン34上を走行させながら、バッキングプレート37上
のターゲット36(例えば、カーボン)のスパッタリン
グによって磁性層22上に保護膜23を形成する。カー
ボン膜からなる保護膜23の厚さは8nm程度とするの
が好ましい。また、走行速度は15m/分程度である。
【0026】[バックコート層の形成]次いで、磁性層
22が設けられた非磁性支持体1(フィルム)の一主面
1aとは反対面の他主面1b上にバックコート層24を
形成する。バックコート層24は、例えばカーボンとバ
インダー用の樹脂を各種溶剤で溶かした、いわゆる塗料
を用いて形成することができる。このような塗料の処方
に用いられるバインダー樹脂としては、記録媒体として
の特性を満たすものであればいずれでも用いられるが、
例えばポリエステルポリウレタンなどがある。バックコ
ート層用塗料をポリアミドフィルムの他主面1b上に塗
布・乾燥することによってバックコート層24を形成す
ることができる。
【0027】[そり補正]バックコート層を形成した
後、図5に概略装置構成を示すようなホットロール装置
40によって、テープのそり(カッピング)を補正する
熱処理、すなわちホットロール処理を行う。図5におい
て、ヒートロール42は内部に加熱手段、例えば加熱誘
導コイル等を備えた直径が250mm程度の金属製の円
筒状ロールであり、所定の温度範囲でロールの表面温度
を自由にコントロールできるようにしてある。なお、温
度範囲としては100℃〜300℃程度に制御される。
巻き出しロール41から供給された磁性層22およびカ
ーボン保護層23を形成済みのフィルム44は、回転す
るヒートロール42の表面にフィルムの磁性層22面側
を接触させつつ走行してそりが補正され、巻き取りロー
ル43で巻き取られる。
【0028】[潤滑剤処理]そり補正の後、フィルム上
に形成されたカーボン保護層23表面に潤滑剤を塗布す
る。潤滑剤としてはパーフルオロポリエーテル系などが
好ましく用いられ、塗布厚さは10nm程度である。こ
の潤滑剤塗布により、優れた走行性、耐摩耗性、耐久性
などの特性が付与される。
【0029】上記のような工程で非磁性支持体1のポリ
アミドフィルム上に金属磁性薄膜からなる磁性層22、
保護層23、バックコート層24および潤滑剤が形成さ
れてなるテープ原反が製作される。製作されたテープ原
反を8mm幅にスリットすることにより、磁気テープが
得られる。また、磁気テープをAITカセット本体に収
納すればAIT用カセットテープが得られる。
【0030】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
する。ただし、本発明はなんら実施例に限定されるもの
ではない。
【0031】実験例1〜26 図6に示す層構成の磁気記録媒体を前記図3に示す概略
製造工程フローと同様にして作製した。すなわち図6の
磁気記録媒体は、ポリアミドフィルム(東レ株式会社
製)からなる非磁性支持体1と、この非磁性支持体1の
一主面1a上に成膜されたCo磁性薄膜(下層)52a
とCo磁性薄膜(上層)52bとの2層からなる磁性層
52と、磁性層52上に成膜されたカーボンからなる保
護層53と、非磁性支持体1の他主面1b上に形成され
たカーボンブラックからなるバックコート層54とを備
えた構成からなるものである。上記各構成層のプロセス
条件を下記に示す。
【0032】まず、前記図1に示す連続巻き取り式真空
蒸着装置10を用いて、本発明のハイレート蒸着法によ
って、非磁性支持体1の一主面1aに2層の蒸着膜を形
成した。すなわち、非磁性支持体1として幅1m、長さ
10000mのポリアミドフィルム(フィルム)を用
い、これを連続巻き取り式真空蒸着装置10内に装着
し、装置内部が10−3Paの真空状態となるように排
気した。そして、表1に示すようにフィルムの走行速度
と酸素導入量を変化させて、それぞれフィルムを連続的
に走行させながら連続真空斜め蒸着法により、フィルム
表面にCo金属磁性薄膜(Co磁性薄膜)を形成した。
【0033】酸素は、酸素導入管11から導入し、蒸着
の入射角はポリアミドフィルムの法線方向に対して90
〜45度までとし、冷却キャン6は−40℃に温度調整
した。また、Co磁性薄膜の厚さが常に0.10μmな
るように電子銃8に投入する電力を変化させ電子ビーム
の強さを調節して作製した。このような条件でCo磁性
薄膜(下層)52aを形成した後、フィルムを巻き戻し
て、Co磁性薄膜(下層)2a表面上に、前記下層と同
様の条件でCo磁性薄膜(上層)2bを蒸着した。上層
の厚さも0.10μmとなるよう電子ビーム出力を調節
した。なお、フィルムの走行速度が200m/minを
超える場合には装置の性能上の限界により所定の金属磁
性膜厚さが得られないため、これ以上の高速度での実験
は行わなかった。
【0034】
【表1】
【0035】次に、上記表1の各条件で得られたそれぞ
れの蒸着フィルムの磁性層52表面上に前記図4に示し
た構成のマグネトロンスパッタリング装置30を用いて
DCスパッタ法によりカーボン保護層53を形成した。
スパッタリング条件は、前記実施の形態で説明したと同
様に、装置内部が10−4Paになるまで減圧した後、
Arガスを導入して0.8Paに調整した。冷却キャン
の温度は−40℃に調節し、走行速度は15m/分とし
て磁性層52表面上にカーボン膜を厚みが8nmとなる
ように制御してカーボン保護層53を形成した。
【0036】フィルム上に磁性層52、保護層53を形
成した後、下記組成からなるバックコート層用塗料を調
製し、この塗料を用いてそれぞれのフィルムのCo磁性
薄膜が成膜された面とは反対側の他主面1bに塗布・乾
燥してカーボンを含むバックコート層54を形成した。
【0037】 〈バックコート層用塗料組成〉 カーボンブラック(旭社製:#50) 100重量部 ポリエステルポリウレタン(*1) 100重量部 メチルエチルケトン(*2) 500重量部 トルエン(*2) 500重量部 (*1):ニッポラン社製:商品名N−2304 (*2):溶剤
【0038】更に、上記条件で各層が形成されたそれぞ
れのフィルム(サンプルテープ群)について前記図5に
示した構成のホットロール装置40によって、そり(カ
ッピング)を補正するためにホットロール処理を行っ
た。条件は実施の形態で示したと同様であり、ヒートロ
ール42の直径は250mmの金属製円筒で、内部の加
熱誘導コイルにより100℃〜300℃の範囲でロール
表面温度を制御して行った。上記ホットロール処理を行
った各サンプルテープ群の保護層53表面に、潤滑剤と
してパーフルオロポリエーテルを約10nmの厚みとな
るように塗布した。
【0039】<評価>上記のようにしてポリアミドフイ
ルム製の非磁性支持体1上に磁性層52、カーボン保護
層53、バックコート層54を形成し、潤滑剤を塗布し
たテープ原反を8mm幅のサンプルテープに裁断し、A
ITカセットに組み込んでAIT3ドライブで記録周波
数2T(21.55MHz)での出力の測定を行った。
また磁気特性をVSM(振動試料型磁力計)で測定し
た。結果を表2、図7、図8に示す。なお、表2には表
1に記載の前記各非磁性支持体の走行速度を併記する。
【0040】
【表2】
【0041】図7において、横軸はVSMで測定した保
磁力Hcを示し、縦軸はAIT3の記録周波数2T(2
1.55MHz)における出力を示す。また、図8にお
いて、横軸はVSMで測定した保磁力Hcを示し、縦軸
は角型比Rsを示す。AIT3フォーマットにおいて要
求される出力は、記録周波数2T(21.55MHz)
で1.5dB以上であるが、表1、図7および8から、
この出力条件を満たす範囲は非磁性支持体の走行速度を
150m/min、170m/min、200m/mi
nとした場合で、保磁力Hcが100kA/m以上、1
15kA/m以下であり、かつ角型比Rsが0.79以
上であることが分かる。走行速度が100m/min、
130m/minの場合には、AIT3フォーマットに
要求される出力1.5dBが得られなかった。
【0042】
【発明の効果】酸素ガスの導入下に強磁性金属を蒸着す
る真空蒸着プロセスにより、連続的に走行させながら非
磁性支持体上に金属磁性薄膜からなる磁性層を設けるに
際して、従来よりも高速度走行とする「ハイレート蒸着
法」を適用することによって、金属結晶の微細化が促進
されるとともに、磁性膜の酸化度が従来よりも低く制御
され、表面酸化膜の厚みが減少して隙間損失が低減す
る。前記非磁性支持体の走行速度を150m/min以
上、200m/min以下とし、蒸着出力条件を適性に
制御することにより、低ノイズで高出力の得られる保磁
力Hcと角型比Rsが実現できる。すなわち、非磁性支
持体上に形成された金属磁性薄膜の保磁力Hcを100
kA/m以上、115kA/m以下とし、かつ角型比R
sを0.79以上とすることにより、1.5dB以上の
出力が得られ、これによって次世代テープストレージの
主要規格であるAIT3フォーマット(100GB/巻
程度)に対応できる磁気記録媒体が提供される。また、
非磁性支持体としてポリアミドフィルムを使用すること
により、高強度で磁気テープの膜厚が薄くできるため、
大容量で長時間記録の可能な磁気記録媒体が提供され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の詳細な説明および実施例における金属
磁性薄膜からなる磁性層を形成するための連続巻き取り
式真空蒸着装置を示す模式図である。
【図2】本発明の実施の形態における磁気記録媒体を説
明するための構成例を示す層構成断面図である。
【図3】本発明の実施の形態および実施例における磁気
記録媒体の製造工程を示す概略製造工程フロー図であ
る。
【図4】本発明の実施の形態および実施例における保護
層を形成するためのマグネトロンスパッタリング装置を
示す模式図である。
【図5】本発明の実施の形態および実施例におけるそり
補正のための熱処理を施すホットロール装置概略構成を
示す模式図である。
【図6】本発明の実施例における磁気記録媒体の層構成
を示す断面図である。
【図7】本発明の実施例における磁気記録媒体の保磁力
HcとAIT3フォーマットによる記録周波数2T(2
1.55MHz)での出力との関係を示す図である。
【図8】本発明の実施例における磁気記録媒体の保磁力
Hcと角型比Rsとの関係を示す図である。
【符号の説明】
1……非磁性支持体、1a……一主面、1b……他主
面、2……巻き出しロール、3……金属磁性体、4……
酸素導入管、5……巻き取りロール、6……冷却キャ
ン、7……るつぼ、8……電子銃、10……連続巻き取
り式真空蒸着装置、20……磁気記録媒体、22……磁
性層、23……保護層、24……バックコート層、30
……マグネトロンスパッタリング装置、31……巻き出
しロール、32……フィルム、33……ガス導入管、3
4……冷却キャン、35……巻き取りロール、36……
ターゲット、37……パッキングプレート、38……マ
グネット、39……真空排気装置、40……ホットロー
ル装置、41……巻き出しロール、42……ヒートロー
ル、43……巻き取りロール、44……フィルム、50
……磁気記録媒体、52……磁性層、52a……Co磁
性薄膜(下層)、52b……Co磁性薄膜(上層)、5
3……カーボン保護層、54……バックコート層

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に少なくとも金属磁性薄
    膜からなる磁性層を設けた蒸着型の磁気記録媒体であっ
    て、前記金属磁性薄膜の保磁力Hcが100kA/m以
    上、115kA/m以下であり、かつ角型比Rsが0.
    79以上であることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記非磁性支持体がポリアミドフィルム
    であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒
    体。
  3. 【請求項3】 前記磁気記録媒体が磁気記録システムの
    AIT3フォーマットに対応した記録媒体であることを
    特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 非磁性支持体を連続的に走行させなが
    ら、酸素ガスの導入下に金属磁性体の蒸着を行う真空蒸
    着プロセスによって、該非磁性支持体上に少なくとも金
    属磁性薄膜からなる磁性層を設け、前記金属磁性薄膜の
    保磁力Hcを100kA/m以上、115kA/m以下
    とし、かつ角型比Rsを0.79以上とする磁気記録媒
    体の製造方法であって、前記非磁性支持体の走行速度を
    150m/min以上、200m/min以下とするこ
    とを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
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