JPH09153218A - 薄膜型磁気記録媒体の製造方法および薄膜型磁気記録媒体 - Google Patents

薄膜型磁気記録媒体の製造方法および薄膜型磁気記録媒体

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JPH09153218A
JPH09153218A JP7311789A JP31178995A JPH09153218A JP H09153218 A JPH09153218 A JP H09153218A JP 7311789 A JP7311789 A JP 7311789A JP 31178995 A JP31178995 A JP 31178995A JP H09153218 A JPH09153218 A JP H09153218A
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substrate
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magnetic recording
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Kiyokazu Toma
清和 東間
Kazuya Yoshimoto
和也 吉本
Ryuji Sugita
龍二 杉田
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた記録再生特性が得られるととも
に、高い生産性の得られる磁気記録媒体の製造方法およ
び磁気記録媒体を提供する。 【解決手段】 走行する基板上に真空蒸着装置により蒸
着を施して磁性層を形成する薄膜型磁気記録媒体の製造
方法であって、磁性層が形成され始める磁性層形成開始
部よりも走行下流側の基板に対向するように配置した再
蒸発用部材を蒸発材料の融点以上に昇温することによっ
て、蒸発源から蒸発して上記再蒸発用部材に到達した原
子を再蒸発させ、この再蒸発させた原子と蒸発源から直
接蒸発した原子とを互いに混じりあった状態で同時に基
板上に到達させて磁性層を形成することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高密度記録再生特
性に優れた薄膜型磁気記録媒体およびこれを提供する薄
膜型磁気記録媒体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録再生装置は高密度化して
おり、短波長記録再生特性に優れた磁気記録媒体が要望
されている。磁気記録媒体としては、現在では基板上に
磁性粉を塗布した塗布型磁気記録媒体が主に使用されて
いるが、これらは上記要望を十分に満足するものではな
い。
【0003】そこで、塗布型磁気記録媒体に代わるもの
として、真空蒸着法、スパッタリング法、メッキ法等に
より製造することができ、優れた短波長記録再生特性を
発揮する薄膜型磁気記録媒体が注目されている。この薄
膜型磁気記録媒体における磁性層としては、例えば、C
o、Co−Ni、Co−Ni−P、Co−O、Co−N
i−O、Co−Cr、Co−Ni−Cr、Co−Cr−
Ta、Co−Cr−Pt等が種々検討されているが、磁
気テープへの応用の点からは、これらの中でCo−O、
Co−Ni−Oが最も適していると考えられている。そ
して、既にCo−Ni−Oを磁性層とした蒸着テープ
が、Hi8方式VTR用テープとして実用化されてい
る。
【0004】以下に、従来の薄膜型磁気記録媒体の製造
方法の一例としてHi8方式VTR用の蒸着テープの製
造方法を、図9を用いて説明する。図9は、蒸着テープ
を作製するための、従来の真空蒸着装置内部の構成の一
例を示す概略断面図である。
【0005】基板1は供給ロール2に巻き付けられてお
り、冷却されている円筒状キャン3に沿ってaの向きに
走行して、巻き取りロール4に巻き取られる。ここで、
基板1は高分子材料からなるフィルム状基板であり、例
えばポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミド
フィルム、ポリアミドフィルム、ポリエーテルイミドフ
ィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム等が挙げら
れるが、これらに制限されるものではない。蒸発源5に
は、蒸発材料6として例えばCo、Co−Ni等の金属
や合金が充填されている。蒸発源5としては、例えば電
子ビーム蒸発源のような、Co等の高融点金属であって
も高い蒸発速度で蒸発させ得るものが好ましい。
【0006】このような真空蒸着装置において、蒸発源
5を蒸発材料6の融点以上に昇温することにより、蒸発
源5から蒸発した蒸発原子を基板1に付着させ、磁性層
を形成する。このとき、基板1に付着させる蒸発原子の
量を厳密に制御することが重要であり、このため不用な
蒸発原子が基板1に付着するのを防止すべく、円筒状キ
ャン3の周囲の一部には、遮蔽板7,8が設けられてい
る。
【0007】遮蔽板7は、磁性層形成開始部における蒸
発原子の基板1への初期入射角(以下、φiと記す)を
規定し、遮蔽板8は、磁性層形成終了部における蒸発原
子の基板1への終期入射角(以下、φfと記す)を規定
するものである。ここで、蒸発原子の入射角は、蒸発原
子の入射方向と基板1の法線とのなす角度で定義され
る。なお、Hi8方式VTR用の蒸着テープを製造する
際の初期入射角φiは90゜、終期入射角φfは約30
゜である。φiが90゜とは、蒸発原子の入射方向が基
板1と接する場合であり、この場合には遮蔽板7を省略
することができる。
【0008】遮蔽板8の端部には、蒸着時に真空蒸着装
置の真空槽内に酸素を導入するための酸素導入ノズル9
が設けられ、酸素導入量を最適化することにより、記録
再生特性および実用特性の優れた蒸着テープを得ること
ができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、薄膜型磁気
記録媒体には、上述のように優れた短波長記録再生特
性、すなわち短波長領域における高いS/N比が要求さ
れるとともに、より高い生産性が望まれる。
【0010】走行する基板上に上述のような真空蒸着法
によって高S/N比を有する磁性層を形成するために
は、磁性層形成開始部の初期入射角φiおよび磁性層形
成終了部の終期入射角φfを大きくすれば良いことが一
般に知られている。しかしながら、φiおよびφfを大
きくすると、高いS/N比は得られるものの、磁性層形
成時の基板の走行速度を遅くせざるを得ず、生産性が低
下することとなる。
【0011】本発明は、このような課題を解決し、高い
生産性で、高いS/N比を有する薄膜型磁気記録媒体を
得る薄膜型磁気記録媒体の製造方法を提供することを目
的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明の薄膜型磁気記録媒体の製造方法は、走行す
る基板上に真空蒸着装置により蒸着を施して磁性層を形
成する薄膜型磁気記録媒体の製造方法であって、以下の
点を要旨とする。
【0013】1.磁性層が形成され始める磁性層形成開
始部よりも走行下流側の基板に対向するように配置した
再蒸発用部材を蒸発材料の融点以上に昇温することによ
って、蒸発源から蒸発して上記再蒸発用部材に到達した
原子を再蒸発させ、この再蒸発させた原子と蒸発源から
直接蒸発した原子とを互いに混じりあった状態で同時に
基板上に到達させて磁性層を形成することを特徴とす
る。
【0014】2.磁性層形成開始部より走行上流側の基
板に対向するように下地層形成用の再蒸発用部材を配置
し、この下地層形成用の再蒸発用部材を蒸発材料の融点
以上に昇温することによって、蒸発源から蒸発して上記
下地層形成用の再蒸発用部材に到達した原子を再蒸発さ
せ、同時に、磁性層形成開始部よりも基板の走行上流側
の下地層が形成される領域に酸素を供給し、この再蒸発
させた原子を酸素存在下で基板上に到達させて、磁性層
の下地となる下地層を形成することを特徴とする。
【0015】3.下地層が形成される領域に酸素を供給
する際に、下地層形成領域における基板の走行下流側か
ら走行上流側に向かって酸素を供給することを特徴とす
る。 4.再蒸発用部材として張力を印加した薄板を用いるこ
とで、蒸発材料の融点以上の高温条件下において、再蒸
発用部材の初期形状を保持させることを特徴とする。
【0016】5.再蒸発用部材における基板と反対側に
熱反射用部材を設け、再蒸発用部材に輻射熱を与えるこ
とを特徴とする。 6.再蒸発用部材における基板と反対側に冷却用部材を
設け、真空蒸着装置内の壁面の温度上昇を防止すること
を特徴とする。
【0017】7.再蒸発用部材における基板と反対側に
冷却用部材を設け、この冷却用部材と上記再蒸発用部材
との間に熱反射用部材を設け、再蒸発用部材に輻射熱を
与えるとともに、真空蒸着装置内の壁面の温度上昇を防
止することを特徴とする。
【0018】8.カーボンからなる熱反射用部材を用い
ることを特徴とする。 9.再蒸発用部材に電流を流して抵抗加熱により昇温さ
せ、冷却用部材に上記再蒸発用部材に流す電流と等しい
電流を逆方向に流すことを特徴とする。
【0019】10.再蒸発用部材を複数用い、互いに隣
接する再蒸発用部材に逆方向の電流を流し、抵抗加熱に
より昇温させることを特徴とする。 11.再蒸発用部材および冷却用部材の近傍にコイルを
設け、このコイルに電流を流すことによって、再蒸発用
部材および冷却用部材に電流を流すことにより発生する
磁界を打ち消す減磁界を発生させることを特徴とする。
【0020】また、以上の製造方法によって得られる本
発明の薄膜型磁気記録媒体は、以下の点を要旨とする。 12.上記1.の薄膜型磁気記録媒体の製造方法によっ
て製造される薄膜型磁気記録媒体であって、磁性層が形
成され始める磁性層形成開始部よりも走行下流側の基板
に対向するように配置した再蒸発用部材から再蒸発して
基板に向かう原子と蒸発源から蒸発して上記基板に直接
向かう原子とが互いに混じりあった状態で同時に基板上
に到達して形成される磁性層の膜厚が10nm以上50
nm以下であることを特徴とする。
【0021】13.上記2.の薄膜型磁気記録媒体の製
造方法によって製造される薄膜型磁気記録媒体であっ
て、磁性層が形成され始める磁性層形成開始部よりも走
行下流側の基板に対向するように配置した再蒸発用部材
から再蒸発して基板に向かう原子と蒸発源から蒸発して
上記基板に直接向かう原子とが互いに混じりあった状態
で同時に基板上に到達して形成される磁性層の膜厚が1
0nm以上50nm以下であり、かつ下地層形成用の再
蒸発用部材から再蒸発して基板に向かう原子で形成され
る下地層の膜厚が10nm以上であることを特徴とす
る。
【0022】本発明によれば、走行する基板上に真空蒸
着装置により磁性層を形成する際に、再蒸発用部材を基
板に対向するように配置し、この再蒸発用部材を蒸発材
料の融点以上に昇温することによって、蒸発源からの蒸
発原子のうち再蒸発用部材に到達した原子を再蒸発させ
て、従来の製造方法では基板に到達しなかった蒸発原子
を基板に差し向けることができる。したがって、従来の
製造方法では、磁性層形成にまったく寄与せず廃棄され
ていた蒸発原子の一部を磁性層として利用できることと
なり、磁性層の生産性を向上させることが可能となる。
【0023】さらに、本来は、再蒸発用部材の表面で再
蒸発した原子の飛び出し方向はほぼ再蒸発用部材の法線
方向であるため、本発明の場合、再蒸発用部材からの再
蒸発原子は基板へほぼ垂直方向に入射することとなり、
これにより形成される膜は磁性層として十分な働きをし
ないのであるが、本発明においては、再蒸発用部材から
再蒸発して基板にほぼ垂直入射する蒸発原子と蒸発源か
ら蒸発して基板に斜め入射する蒸発原子とを互いに混じ
りあった状態で同時に基板上に到達させて磁性層を形成
するので、実質的には基板に対して斜めに入射する蒸発
原子により磁性層が形成される。したがって、得られる
磁性層の特性を損なうことなく、再蒸発用部材からの蒸
発原子を磁性層として有効に利用することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明を説
明する。本発明の薄膜型磁気記録媒体の製造方法に用い
られる第一の実施態様である真空蒸着装置内部の概略断
面図を図1に示す。図1において、基板走行系1,2,
3,4、蒸発源等5,6および酸素導入ノズル9は、図
9で示した従来の装置とほぼ同様である。ただし、本発
明においては、遮蔽板7は使用せず、代わりに再蒸発用
部材10を設ける。
【0025】本発明においては、蒸発原子が再蒸発用部
材10に到達しても付着せずに再蒸発される程度の温度
にまで、再蒸発用部材10を昇温することが必要であ
る。具体的には、再蒸発用部材10が蒸発材料6の融点
以上に昇温されていれば、蒸発原子の付着はほとんど無
い。蒸発原子の付着を完璧に無くすためには、再蒸発用
部材10の温度は高ければ高い方が良いが、昇温の困難
さ、再蒸発用部材10の寿命等を考慮して適宜決定する
ことが好ましい。例えば、蒸発材料6がコバルト(C
o)の場合、1800℃程度に昇温すると、再蒸発用部
材10へのコバルト原子の付着がほとんど無く、安定的
に再蒸発させることができる。
【0026】再蒸発用部材10を構成する材料は、特に
限定されるものではないが、上述のような一般に高温条
件下にてその形状を維持することができ、かつその温度
において蒸発材料6に対して化学的あるいは金属学的に
安定であり、しかも昇温手段に対応し得る材料を選択す
る必要がある。具体的には、タングステン、モリブデ
ン、カーボン、タンタル等の高融点材料が挙げられる。
しかし、例えば、蒸発材料6がコバルトの場合にタンタ
ルを再蒸発用部材10を構成する材料として用いると、
タンタルがコバルトと結合しやすく、十分に高温にして
いても、コバルト原子が再蒸発するよりも合金化する方
が優勢となる。そして、合金化が進行するに伴って、電
気抵抗が変化し、かつ融点も低下するので、再蒸発用部
材10を所望の温度に維持するのが困難となる。また、
一般に高温条件下では再蒸発用部材10にストレスがた
まり易く、物理的に破壊する場合がある。例えば、カー
ボンは高温で負の熱膨張係数を有する特異な材料であ
り、これを再蒸発用部材10を構成する材料として用い
た場合には高温時に収縮して破断を生じ易い。
【0027】また、再蒸発用部材10を蒸発材料6の融
点以上に昇温するための昇温手段としては、抵抗加熱、
誘導加熱、電子ビーム加熱等のいずれの手段でも良く、
特に限定されるものではないが、比較的簡易な装置構成
で高温まで昇温でき、しかも温度制御も容易で再現性も
高いことから、抵抗加熱が好適である。
【0028】上述のように、再蒸発用部材10の表面で
再蒸発した原子の飛び出し方向は、ほぼ再蒸発用部材1
0の法線方向である。したがって、再蒸発用部材10を
基板1に対向させた配置の場合、再蒸発用部材10から
の再蒸発原子の基板1への入射方向は、ほぼ垂直方向と
なる。ところが、基板1に蒸発原子を単に差し向けて垂
直入射により形成した膜は、磁性層として十分な働きを
しない。本発明においては、この再蒸発用部材10から
の垂直入射の蒸発原子を磁性層として有効に利用するた
め、再蒸発用部材10から再蒸発して基板1にほぼ垂直
入射する蒸発原子と蒸発源5から蒸発して基板1に斜め
入射する蒸発原子とが、互いに混じりあった状態で同時
に基板1上に到達して磁性層を形成するようにした。こ
れは、二源蒸着法の原理を応用したものである。
【0029】二源蒸着法においては、二つの蒸発源から
一つの基板に蒸発原子を差し向けるとき、それぞれの入
射角と蒸発速度とをパラメータとして、基板1に堆積す
る膜の特性を制御することができる。すなわち、それぞ
れの蒸発源からの蒸気流の基板に対する入射角と蒸発量
とをベクトル的に足し合わせた結果合成して得られる入
射角および蒸発量によって、膜が基板1に形成される。
【0030】図1においては、蒸発源5から直接基板1
に向かう蒸発原子の入射角φiは、膜形成開始部で90
゜であり、再蒸発用部材10からの再蒸発原子は膜形成
開始部の比較的入射角の大きい部分に差し向けられてい
る。このため、膜形成開始部付近で形成される磁性層
は、再蒸発用部材10からの垂直入射原子と蒸発源5か
らの斜め入射原子とを合成した蒸気流で形成されること
となる。すなわち、両蒸発原子の混合により、再蒸発用
部材10からの蒸発原子は基板1に対して斜めに入射す
ることになる。このように斜めに入射すれば、膜には斜
め磁気異方性が発生し、薄膜型磁気記録媒体の磁性層と
しての機能を発揮することになる。したがって、図1に
示すように、再蒸発用部材10を磁性層形成開始部より
も走行下流側の基板1に対向するように配置すること
で、従来の製造方法では磁性層形成にまったく寄与せず
廃棄されていた蒸発原子の一部を磁性層として利用でき
るようになり、磁性層の生産性を向上させることが可能
となる。
【0031】次に、第二の実施態様である真空蒸着装置
内部の概略断面図を図2に示す。この実施態様は、再蒸
発用部材からの再蒸発原子を磁性層を構成する下地層と
して有効に利用するためのものである。図2において
は、図1に示した構成とほぼ同様であるが、下地層形成
用の再蒸発用部材11および酸素導入ノズル12が新た
に追加された構成となっている。なお、本実施態様にお
いても、再蒸発用部材10は上述した図1の場合と同様
の機能を果たすものである。
【0032】下地層形成用の再蒸発用部材11は、図2
に示すように、再蒸発用部材10よりも基板1の走行上
流側にあって基板1に対向するように配置されている。
この下地層形成用の再蒸発用部材11も上記の再蒸発用
部材10と同様に蒸発材料6の融点以上に昇温される。
下地層形成用の再蒸発用部材11に到達した蒸発原子
は、この下地層形成用の再蒸発用部材11の表面で再蒸
発して、基板1に差し向けられ、堆積し、下地層とな
る。
【0033】下地層を形成する場合、蒸発原子の入射角
は限定されるものではなく垂直入射でも良い。ただし、
下地層の磁化が大きいと、ノイズの発生源となるだけで
なく、下地層の上に引き続き形成される磁性層の結晶配
向性を改善するという効果も十分に発揮できなくなる。
そこで、酸素導入ノズル12から下地層が形成される領
域に向けて酸素を導入し、下地層の磁化を小さくするこ
とが好ましい。
【0034】このとき、酸素導入ノズル12から多量の
酸素を導入し過ぎると、基板1の走行下流側の磁性層形
成領域に多量に酸素が回り込む結果となり、磁性層全体
の磁気特性ひいては再生出力が低下することとなる。そ
のため、下地層形成用の再蒸発用部材11および酸素導
入ノズル12は、できるだけ磁性層形成開始部よりも基
板1走行上流側に離れた位置に設置することが望まし
い。逆に、酸素導入ノズル12からの酸素導入量が少な
すぎると、下地層における飽和磁化が大きくなってノイ
ズの発生が顕著となる。そこで、酸素導入ノズル12か
ら放出される酸素が効率よく下地層形成領域に向かうよ
うにし、磁性層形成領域に酸素が回り込まないようにす
るため、酸素の放出方向は、基板1の走行下流側から走
行上流側に向かうようにすると良い。このように、酸素
導入ノズル12から酸素を導入する際には、下地層形成
用の再蒸発用部材11により形成される下地層形成領域
の飽和磁化を十分に下げられるような放出方向と量を設
定することが重要である。
【0035】本発明において、再蒸発用部材10は、蒸
発材料6の融点以上の比較的高温に昇温される。したが
って、このような高温条件下においては、再蒸発用部材
10が熱膨張を生じ、例えば高温で伸びて変形して他の
部材に接触したり、カーボン等の場合は高温から常温に
戻す際に伸びて変形して他の部材に接触することがあ
る。このような熱膨張に対する対策としては、再蒸発用
部材10に張力Fを印加することが効果的である。具体
的には、再蒸発用部材10として、図3に示すような張
力Fを印加した薄板13を用いると良い。張力Fを印加
することにより、再蒸発用部材10が温度によって伸張
する場合、収縮する場合のいずれの場合においても、再
蒸発用部材10を初期の形状に保持することができる。
ここで、張力Fを印加する方法は、特に限定されるもの
ではないが、再蒸発用部材10の伸縮に対してほぼ一定
張力となるようにすることが重要である。具体的な方法
としては、再蒸発用部材10の一端もしくは両端にバネ
を接続して引っ張り状態にしておく方法が簡易である。
このとき、再蒸発用部材10の収縮量に対して十分にバ
ネの力が働くように、バネ常数および変位量を設定して
おくことが好ましい。例えば、金属を再蒸発用部材10
として使用する場合は、全長70cmで伸張量は約1c
m〜約2cmである。このようにしておくことで、再蒸
発用部材10が高温になって収縮しても、再蒸発用部材
10をほぼ初期の形状に保持することができ、安定な磁
性層形成ができる。また、実際上は、再蒸発用部材10
の幅方向、すなわち図3において薄板13の幅の狭い方
向については、張力Fを印加するのが困難である。した
がって、熱膨張の影響を低減するためには、できるだけ
再蒸発用部材10の幅を狭くすることが望ましい。な
お、以上は、再蒸発用部材10のみならず、下地層形成
用の再蒸発用部材11についても同様である。
【0036】本発明においては、図4に示すように、再
蒸発用部材10における基板1と反対側に熱反射用部材
14を設けることが好ましい。このように、再蒸発用部
材10に対向して熱反射用部材14を配置することによ
り、再蒸発用部材10を所望の温度に昇温する際に必要
とされるエネルギー、例えば抵抗加熱の場合には投入電
力を小さくすることができる。これは、再蒸発用部材1
0からの輻射熱のうち、基板1に対向していない面から
の輻射熱を利用したものであり、熱反射用部材14は、
再蒸発用部材10からの輻射熱によって昇温され、この
昇温された熱反射用部材14からの輻射により再蒸発用
部材10に熱エネルギーが供給されることとなる。熱反
射用部材14を構成する材料としては、放射率の高い材
料が望ましい。例えば、カーボンは金属に比べ放射率が
高く好適な材料である。他に、セラミック等のいわゆる
耐火物も使用可能であるが、熱伝導率が低くいため割れ
易いので注意を要する。また、図4においては、熱反射
用部材14が1個のみ配置された場合を示しているが、
一つの再蒸発用部材10に対して複数使用しても勿論良
く、複数使用すれば、熱反射効率は向上し、熱エネルギ
ーの低減効果はさらに大きくなる。なお、以上は、再蒸
発用部材10のみならず、下地層形成用の再蒸発用部材
11についても同様である。
【0037】また、本発明においては、図5に示すよう
に、再蒸発用部材10における基板1と反対側に冷却用
部材15を設けることが好ましい。なぜなら、昇温され
た再蒸発用部材10からの熱輻射は、再蒸発用部材10
の付近にある真空蒸着装置内の壁面等の部材を昇温する
ことになり、温度の高くなった真空蒸着装置内の壁面等
の部材からは多量のガスが放出される。このガスは一般
的に形成される磁性層の特性を劣化させる傾向があり、
これを防ぐために、冷却用部材15を配置するのであ
る。冷却用部材15の冷却は、例えばパイプ16中に冷
媒を流す等の任意の方法によれば良い。
【0038】さらに、本発明においては、上述の熱反射
用部材14と冷却用部材15とを併用することが、再蒸
発用部材10の実用上最も好ましい。この場合、図6に
示すように、再蒸発用部材10における基板1と反対側
に冷却用部材15を設け、この冷却用部材15と再蒸発
用部材10との間に熱反射用部材14を配置する。
【0039】また、本発明においては、上述の図5に示
す構成、すなわち再蒸発用部材10に対向して冷却用部
材15を配置する場合であって、さらに再蒸発用部材1
0の昇温手段が抵抗加熱であり、かつ冷却用部材15が
導電性である場合に、再蒸発用部材10に流す電流I1
と等しい電流I2 を冷却用部材15に逆方向に流すこと
が好ましい。これは、抵抗加熱に際して流す電流I1
は、再蒸発用部材10の厚みや幅との関係で異なるが通
常数100A程度と大きいことから、再蒸発用部材10
に対向する基板1の部分で電子やイオン等の荷電粒子を
用いた処理を行う場合に、再蒸発用部材10に流れる電
流I1 により生じる磁界の影響が無視できなくなるとい
う問題を解決するためである。すなわち、再蒸発用部材
10に流す電流I1 と大きさの等しい電流I2 を冷却用
部材15に逆方向に流すことによって、このような磁界
を低減することができる。
【0040】本発明においては、上述の磁界の影響をさ
らに広範囲にわたって抑制するために、図7に示すよう
に、再蒸発用部材10と冷却用部材15との組み合わせ
を複数配置することが好ましい。すなわち、図7では、
再蒸発用部材10と冷却用部材15との組み合わせに対
して、さらに、第二の再蒸発用部材10’と第二の冷却
用部材15’との組み合わせを追加配置している。再蒸
発用部材10と冷却用部材15との組および第二の再蒸
発用部材10’と第二の冷却用部材15’との組の各々
においては、再蒸発用部材10(10’)に流れる電流
1 (I1')の向きと冷却用部材15(15’)に流れ
る電流I2 (I2')の向きとが逆方向になっている。さ
らに、組と組との関係では、隣接する再蒸発用部材(1
0と10’)に流れる電流(I1 とI1')の向きが互い
に逆方向になるように、また、隣接する冷却用部材(1
5と15’)に流れる電流(I2 とI2')の向きが互い
に逆方向になるようにしてある。これにより、上記二組
全体から発する磁界は効果的に低減されることとなる。
【0041】さらに、これ以上に磁界の影響を抑制した
い場合には、再蒸発用部材10および冷却用部材15の
近傍にコイル17を設け、このコイル17に電流I3
流すことが好ましい。このとき用いるコイルとしては、
図7に示すような1回巻きのコイル17でも良いし、あ
るいは多数回巻きのコイルでも良い。また、コイル17
の配置は図7中の位置に限られるものではなく、磁界を
低減できる程度に再蒸発用部材10および冷却用部材1
5の近傍にあれば良い。なお、各組の再蒸発用部材10
と冷却用部材15との間に上記の熱反射用部材14を設
けるとより好適である。
【0042】以上の本発明の製造方法で得られる薄膜型
磁気記録媒体は、従来の製造方法によって得られる薄膜
型磁気記録媒体と比べ、形成される磁性層の構造および
磁気特性が異なるものである。図8に、(a)図1に示
す上記第一の実施態様の真空蒸着装置によって形成され
た磁性層、(b)図2に示す上記第二の実施態様の真空
蒸着装置によって形成された磁性層、(c)図9に示す
従来の真空蒸着装置によって形成された磁性層、の断面
を模式的に示し、以下これらについて説明する。なお、
いずれの磁性層も柱状粒子から構成されているが、ここ
ではこの柱状粒子間の隙間は実際よりも大きく誇張して
描いている。
【0043】まず、図9に示す従来の真空蒸着装置によ
って形成された磁性層について説明する。この場合、磁
性層形成開始部から磁性層形成終了部にいたる間に入射
角は、連続的に小さく変化しながら磁性層18cが形成
される。したがって、この入射角の変化に対応して、図
8(c)に示すように、基板1の表面近傍では、磁性層
18cを形成する柱状粒子は基板1に対してかなり傾斜
して成長し、磁性層18cの表面近傍では基板1から立
ち上がった形になる。
【0044】これに対して、上記第一の実施態様の真空
蒸着装置によって形成された磁性層18aは、図8
(a)に示すように、再蒸発用部材10からの再蒸発原
子と蒸発源5から直接蒸発した原子とが、磁性層形成開
始部付近で互いに混じりあった状態で同時に基板1上に
到達することを反映した柱状粒子により構成されてい
る。すなわち、磁性層18aを構成する柱状粒子は、基
板1の表面近傍の蒸気混合部分19aでは立ち上がった
状態であり、その後連続的に斜めに傾斜して成長してい
る。磁性層形成開始部付近では、蒸発源5から直接基板
1に到達する原子よりも再蒸発用部材10からの再蒸発
原子の方が多量であるために、柱状粒子は立ち上がった
状態となる。そして、磁性層形成開始部付近から基板1
の走行下流側に向かうにつれて、蒸発源5から直接基板
1に到達する原子の数が急増していくので、図8(c)
で示した柱状粒子と同様な傾斜で成長していく。
【0045】また、このような第一の実施態様の真空蒸
着装置によって形成された磁性層18aにおいては、そ
の蒸気混合部分19a、すなわち再蒸発用部材10から
の再蒸発原子と蒸発源5から直接蒸発した原子とが互い
に混じりあった状態で同時に基板1上に到達して膜を形
成している部分の膜厚が10nm〜50nmであること
が、記録再生特性の点から好ましい。
【0046】一方、上記第二の実施態様の真空蒸着装置
によって形成された磁性層においては、図8(b)に示
すように、下地層形成用の再蒸発用部材11からの再蒸
発原子が基板1にまず到達するため、基板にほぼ垂直に
成長した柱状粒子から構成される下地層20が、基板1
の表面近傍に存在する。この下地層20は、ほぼ垂直入
射で形成されるために、この上に引き続き形成される蒸
気混合部分19bよりも緻密であり、この緻密さは膜の
信頼性やスティフネス向上に寄与する。しかも、下地層
20は酸素導入ノズル12からの酸素と結合して、磁性
層18bの他の部分よりも磁化が小さい。下地層20の
上には、引き続き磁性層形成開始部付近にて、再蒸発用
部材10からの再蒸発原子と蒸発源5から直接蒸発した
原子とからなる蒸気混合部分19bが形成されるが、下
地層20とその上に存在する蒸気混合部分19bとの境
界部分には比較的鮮明な境界線が観察され、不連続性が
確認できる。そして、第一の実施態様と同様に、磁性層
形成開始部付近から基板1の走行下流側に向かうにつれ
て、蒸発源5から直接基板1に到達する原子の数が急増
していくので、図8(c)で示した柱状粒子と同様な傾
斜の柱状粒子が成長していく。
【0047】また、このような第二の実施態様の真空蒸
着装置によって形成された磁性層18bにおいては、上
述の第一の実施態様における蒸気混合部分19aと同様
に、再蒸発用部材10からの再蒸発原子と蒸発源5から
直接蒸発した原子とから形成される蒸気混合部分19b
の膜厚は、10nm〜50nmであることが好ましい。
本実施態様においては、さらに下地層20の膜厚が10
nm以上であることが、静磁気特性および記録再生特性
の点で好ましい。
【0048】以上のように、本発明の製造方法で形成し
た磁性層の構造は、従来の製造方法で形成した磁性層の
構造とは明確に区別されるものである。
【0049】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるも
のではない。
【0050】(実施例1)図1に示す真空蒸着装置を用
いて、蒸着テープを作製した。円筒状キャン3の直径は
1.5mとし、基板1として幅50cm、テープ厚7μ
mのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用した。
蒸発材料6としてはコバルト(Co)を用いた。蒸発源
5は、円筒状キャン3の中心直下から水平方向で基板走
行上流側75cmの位置であり、円筒状キャン3の中心
から鉛直方向に1m下方の位置に配置した。再蒸発用部
材10としては、膜厚0.25mmのカーボン箔(高純
度科学研究所社製)を用い、その基板幅方向の長さは7
0cmとし、基板走行方向の長さは15cmとした。こ
の再蒸発用部材10の上端の高さは円筒状キャン3の中
心と同じ高さとし、円筒状キャン3の周面からの距離は
15cmに設定した。また、図1に示すように、再蒸発
用部材10はその下端が円筒状キャン3から遠ざかるよ
うに鉛直線より傾け、その傾き角は15゜とした。そし
て、この再蒸発用部材10に、約1800℃にまで昇温
するように約900Aの電流を流した。これにより、蒸
発源5から再蒸発用部材10に到達して再蒸発用部材1
0面のほぼ法線方向に再蒸発した原子は、磁性層形成開
始部付近で蒸発源5から直接蒸発する蒸発原子と互いに
混じりあった状態で基板1に堆積することになる。な
お、このときの入射角は、初期入射角φiが90゜、終
期入射角φfが50゜であった。
【0051】以上のような条件で、磁性層18a全体の
膜厚が約160nmとなるように蒸発速度と基板走行速
行速度を設定し、酸素導入ノズル9より毎分1.2リッ
トルの酸素を導入しながらCo−O膜を作製した。これ
をサンプル1とする。
【0052】次に、従来の製造方法と生産効率を比較す
るために、上記と同様の条件にて再蒸発用部材10の無
い状態でCo−O膜を作製した。この時の膜厚は、約1
40nmであった。このことから、再蒸発用部材10の
寄与による膜厚は約20nmであることがわかる。換言
すると、再蒸発用部材10の無い状態に比べて約14%
の生産効率の向上が達成されたことになる。
【0053】さらに、静磁気特性および記録再生特性に
ついて比較するために、やはり上記と同様に再蒸発用部
材10の無い状態で、基板走行速度のみを約14%だけ
低速にして膜厚約160nmのCo−O膜を作製した。
これを比較サンプル1とする。
【0054】静磁気特性の保磁力および角形比につい
て、サンプル1と比較サンプル1とを比較すると、各々
サンプル1が103kA/mおよび0.78であり、比
較サンプル1が120kA/mおよび0.69であっ
た。サンプル1において保磁力が低いのは、この膜では
磁性層形成開始部の実質的な初期入射角φiが、再蒸発
用部材10からの再蒸発原子と合成されて、90゜より
かなり小さくなっているためと考えられる。一方、角形
比が大きいのは、上記と同じ理由で、初期入射角φiが
小さいために磁気異方性の分散が抑制されるためと考え
られる。
【0055】記録再生特性の比較は、各サンプルをテー
プ状にスリットし、センダストからなるギャップ長0.
15μmのリング型磁気ヘッドを用いて、記録波長0.
5μmにおける記録再生特性を評価することにより行っ
た。その結果、再蒸発用部材10を用いた本発明のサン
プル1が、従来の製造方法の比較サンプル1より再生出
力および再生出力/ノイズともに約+1.5dB高かっ
た。これは、サンプル1は、保磁力がやや低いにもかか
わらず角形比が大きいためと考えられる。
【0056】以上から、再蒸発用部材10を設けること
により、高生産性で高性能な薄膜型磁気記録媒体が製造
できることがわかった。
【0057】なお、サンプル1の磁性層の断面を走査型
電子顕微鏡で観察すると、図8(a)に示したような柱
状粒子から磁性層が形成されており、蒸気混合部分19
aの膜厚がおよそ30nm〜40nmであると観察され
た。上述の検討で、再蒸発用部材10の寄与による膜厚
が約20nmであることを示したが、実際の膜中では、
再蒸発用部材10から再蒸発して磁性層形成に寄与する
原子が、磁性層の膜厚の範囲のうち、磁性層形成開始部
から約30nm〜40nmに及んでいることを示してい
る。さらに厳密な分析が可能であれば、再蒸発用部材1
0からの再蒸発原子は磁性層全体に及んでいることが明
確になると考えられる。しかし、磁性層形成終了部に近
づくにつれ、蒸発源5から直接蒸発する原子の量が圧倒
的に多くなり、逆に再蒸発用部材10からの再蒸発原子
の量は磁性層形成終了部に近づくにつれ急激に減少する
ことから、磁性層形成終了部付近に再蒸発用部材10か
らの再蒸発原子が及んでも生産性向上に極わずかに寄与
するだけで、磁気特性に対しては無視されるものと考え
られる。
【0058】(実施例2)蒸気混合部の膜厚の影響を調
べるために、再蒸発用部材10の長さを変化させること
以外は実施例1と同様にして、磁性層を形成した。すな
わち、再蒸発用部材10の上端部の位置および傾斜角を
実施例1と同様にし、その長さを3cm〜30cmの範
囲で変化させて、蒸気混合部分19aの膜厚が約5nm
〜約70nmの範囲にある磁性層を形成した。
【0059】得られたサンプルについて実施例1と同様
の方法にて記録再生特性を評価した。その結果、従来の
製造方法で作製した比較サンプル1に対して+0.5d
B以上の再生出力および再生出力/ノイズが得られたの
は、膜厚が約10nm〜約50nmの範囲のサンプルで
あった。また、+1dB以上の再生出力および再生出力
/ノイズが得られたのは、膜厚が約15nm〜約35n
mの範囲のサンプルであった。
【0060】以上から、実施例1における蒸気混合部分
19aの膜厚は、約10nm〜約50nmの範囲が好適
であり、さらに好ましくは約15nm〜約35nmの範
囲が良いことがわかった。
【0061】(実施例3)図2に示す真空蒸着装置を用
いて、蒸着テープを作製した。円筒状キャン3、基板
1、蒸発材料6、蒸発源5および再蒸発用部材10の配
置と大きさ等については、実施例1と同様とした。
【0062】下地層形成用の再蒸発用部材11として
は、実施例1と同様の膜厚0.25mmのカーボン箔
(高純度科学研究所社製)を用い、その基板幅方向の長
さは70cmとした。また、この下地層形成用の再蒸発
用部材11は、図7に示すように二つに分割されてな
り、各々の基板1走行方向の長さは15cmで、全長は
30cmとした。この下地層形成用の再蒸発用部材11
の上端の高さは円筒状キャン3の中心より42cm上方
とし、円筒状キャン3の周面からの距離は11cmとし
て設定した。また、図2に示すように、下地層形成用の
再蒸発用部材11はその下端が円筒状キャン3から遠ざ
かるように鉛直線より傾け、その傾き角は23゜とし
た。そして、この下地層形成用の再蒸発用部材11に、
約1800℃にまで昇温するように約1800Aの電流
を流した。これにより、蒸発源5から下地層形成用の再
蒸発用部材11に到達して再蒸発用部材11面のほぼ法
線方向に再蒸発した原子は、ほぼ垂直入射で基板1に到
達し堆積することになる。なお、このときの入射角は、
初期入射角φiが90゜、終期入射角φfが50゜であ
った。
【0063】また、酸素導入ノズル12は、円筒状キャ
ン3の中心より5cm上方に設け、円筒状キャン3の周
面からの距離は2cmとした。図2に示すように、酸素
の吹き出し方向は基板1の走行上流側とした。
【0064】以上のような条件で、蒸発速度を実施例1
と同様として、磁性層18b全体の膜厚が約160nm
となるように基板走行速度を設定し、酸素導入ノズル9
より毎分1.2リットルの酸素を、酸素導入ノズル12
より毎分0.8リットルの酸素を導入しながらCo−O
膜を作製した。これをサンプル2とする。なお、このと
きの基板走行速度は、実施例1でサンプル1を作製した
場合よりも、約30%程度増加させる必要があった。
【0065】得られたサンプル2の静磁気特性の保磁力
および角形比は、125kA/mおよび0.85であっ
た。また、記録再生特性は、実施例1と同様に、サンプ
ルをテープ状にスリットし、センダストからなるギャッ
プ長0.15μmのリング型磁気ヘッドを用いて、記録
波長0.5μmにおいて評価すると、サンプル1よりも
約+1.5dB程度、再生出力および再生出力/ノイズ
が高かった。これは、サンプル1よりも保磁力や角形比
が改善された結果と考えられる。
【0066】このような優れた結果は、下地層20の形
成により、この上に形成される磁性層の結晶配向性が改
善されたためと考えられる。すなわち、結晶配向性が改
善されたために、傾斜している磁性層部分が相対的に薄
くなったにもかかわらず、記録再生特性が向上したもの
と考えられる。
【0067】なお、サンプル2の磁性層の断面を走査型
電子顕微鏡で観察すると、図8(b)に示すように、傾
斜した柱状粒子と、基板表面に形成されたほぼ垂直で緻
密な柱状粒子とから構成されていた。また、基板表面の
柱状粒子からなる下地層20の膜厚は約30nmであ
り、蒸気混合部分19bの膜厚がおよそ20nm〜30
nmであると観察された。
【0068】本実施例における生産性を磁性層形成速度
で比較すると、従来の製造方法で作製した比較サンプル
1に比べて約45%の増加となった。
【0069】(実施例4)下地層の膜厚の影響を調べる
ために、下地層形成用の再蒸発用部材11の長さを変化
させること以外は実施例3と同様にして、磁性層を形成
した。すなわち、下地層形成用の再蒸発用部材11の上
端部の位置および傾斜角を実施例3と同様にし、その基
板走行方向の長さを5cm〜40cmの範囲で変化させ
て、下地層20の膜厚が約5nm〜約50nmの範囲に
ある磁性層を形成した。
【0070】得られたサンプルについて実施例1と同様
の方法にて記録再生特性を評価した。その結果、下地層
20の膜厚が増加するに伴い、静磁気特性および記録再
生特性ともに向上するが、下地層20の膜厚が20nm
以上では、その効果はほぼ飽和する傾向がみられた。さ
らに、下地層20の膜厚としては、約10nm以上あれ
ば好適であるが、さらに好ましくは約20nm以上が良
いことがわかった。
【0071】また、下地層20の膜厚を約30nm一定
となるようにし、実施例2と同様に、再蒸発用部材10
の長さを変化させて磁性層を形成して特性を調べたとこ
ろ、図8(a)の場合と同様に、図8(b)における蒸
気混合部分19bの膜厚は、約10nm〜約50nmの
範囲が好適であり、さらに好ましくは約15nm〜約3
5nmの範囲が良いことがわかった。
【0072】(実施例5)熱反射用部材14として、再
蒸発用部材10とほぼ同じ大きさで厚さが2mmのカー
ボン板を、再蒸発用部材10から約1cm離して図4に
示すように配置し、実施例1と同様の真空蒸着装置にお
いて、再蒸発用部材10が約1800℃となるまで抵抗
加熱を行った。その結果、再蒸発用部材10を約180
0℃とするのに必要な抵抗加熱時の電力は、カーボン板
を設置しない場合に比べて約20%程度削減された。さ
らに、熱反射用部材14の電力削減効果は、厚みが同じ
なら、薄い熱反射用部材を多層にして使用する方が高
く、最大で約35%の削減効果があることがわかった。
【0073】(実施例6)図5に示すように、再蒸発用
部材10に対向して約5cm離して再蒸発用部材10と
ほぼ同じ大きさの銅製の冷却用部材15を配置したこと
以外は実施例1と同様にして、磁性層を形成した。この
とき、冷却用部材15に溶接されたパイプ16に水を流
すことにより冷却用部材15を冷却した。その結果、実
施例1においては、部分的に200℃以上になっていた
真空蒸着装置内の壁面の温度が100℃以下になり、形
成された磁性層の保磁力および角型比は110kA/m
および0.80であった。また、静磁気特性の改善によ
りサンプル1に対して+0.2dB以上の再生出力およ
び再生出力/ノイズが得られ、記録再生特性の改善が確
認された。
【0074】(実施例7)実施例6の真空蒸着装置の構
造に追加して、図6に示すように再蒸発用部材10と冷
却用部材15との間に熱反射用部材14を配置した。そ
れ以外は実施例6と同様にして、磁性層を形成した。そ
の結果、真空蒸着装置内の壁面の温度は実施例6の場合
よりもさらに低温となり、形成された磁性層の保磁力お
よび角型比は115kA/mおよび0.81であった。
また、静磁気特性の改善によりサンプル1に対して+
0.3dB以上の再生出力および再生出力/ノイズが得
られ、記録再生特性の改善も確認された。
【0075】(実施例8)実施例1と同様の真空蒸着装
置において、蒸発源5の加熱源としてピアス型電子銃を
使用し、この電子銃からの電子ビームを走査して蒸発源
5を加熱した際、電子ビームが磁界により偏向される現
象が認められた。電子ビームが偏向されると、これを補
正する必要があり、電子ビームの設定が複雑となるた
め、これを回避すべく以下の3つの対策を施した。な
お、再蒸発用部材10の基板走行方向の長さは30c
m、このとき必要な電流は約1800Aであった。
【0076】第1の対策として、図5に示すように、再
蒸発用部材10に流れる電流I1 と同じ電流I1'を冷却
用部材15に流した。その結果、再蒸発用部材10と冷
却用部材15とで囲まれる部分の磁界は強まるものの、
再蒸発用部材10および冷却用部材15以外の部分の磁
界は弱まり、電子ビームの偏向がかなり抑制されて電子
ビームの設定が比較的容易となった。
【0077】さらに第2の対策として、図7に示すよう
に、上記の第一の対策における再蒸発用部材10および
冷却用部材15を各々二分割した。その結果、一つの再
蒸発用部材10に必要な電流値が半分に削減された。さ
らに、図7に示すように、この二つの再蒸発用部材10
に流す電流の向きを互いに変え、かつ二分割した各々の
組において再蒸発用部材10および冷却用部材15に流
す電流の向きを互いに変えた。その結果、再蒸発用部材
10から発生する磁界を大幅に弱めることができた。
【0078】さらに第3の対策として、図7に示すよう
に、再蒸発用部材10と冷却用部材15との近傍に1回
巻のコイル17を配置して電流I3 を流した。このと
き、この電流I3 の向きと大きさは、電子ビームの偏向
具合を見ながら調節した。
【0079】以上の3つの対策の効果は、蒸発速度に現
れた。すなわち、このときの蒸発速度を基準とすると、
第1の対策で約3%、第2の対策で再蒸発用部材を2分
割して約6%さらに第3の対策で下部コイルに電流を流
して約10%の改善が認められた。
【0080】
【発明の効果】本発明によれば、走行する基板上に真空
蒸着装置により磁性層を形成する際に、再蒸発用部材を
基板に対向するように配置し、この再蒸発用部材を蒸発
材料の融点以上に昇温することによって、蒸発源からの
蒸発原子のうち再蒸発用部材に到達した原子を再蒸発さ
せて、従来の製造方法では基板に到達しなかった蒸発原
子を基板に差し向けることができる。したがって、従来
の製造方法では、磁性層形成にまったく寄与せず廃棄さ
れていた蒸発原子の一部を磁性層として利用できること
となり、磁性層の生産性を向上させることが可能とな
る。
【0081】また、本来は、再蒸発用部材の表面で再蒸
発した原子の飛び出し方向はほぼ再蒸発用部材の法線方
向であるため、本発明の場合、再蒸発用部材からの再蒸
発原子は基板へほぼ垂直方向に入射することとなり、こ
れにより形成される膜は磁性層として十分な働きをしな
いのであるが、本発明においては、再蒸発用部材から再
蒸発して基板にほぼ垂直入射する蒸発原子と蒸発源から
蒸発して基板に斜め入射する蒸発原子とを互いに混じり
あった状態で同時に基板上に到達させて磁性層を形成す
るので、実質的には基板に対して斜めに入射する蒸発原
子により磁性層が形成される。したがって、得られる磁
性層の特性を損なうことなく、再蒸発用部材からの蒸発
原子を磁性層として有効に利用することができる。
【0082】さらに、本発明においては、磁性層形成開
始部より走行上流側の基板に対向するように下地層形成
用の再蒸発用部材をさらに追加して設けた構成とするこ
とにより、従来は磁性層形成に寄与せず廃棄されていた
蒸発原子のさらに一部を、再蒸発用部材の設置により活
用される再蒸発原子に加えて有効に利用することがで
き、これによって、磁性層の結晶配向性を改善するとい
う働きをなす下地層を、磁性層の下地として形成するこ
とができる。すなわち、下地層形成用の再蒸発用部材を
構成に付加することは、生産性の向上とともに、静磁気
特性や記録再生特性の改良にも貢献することとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薄膜型磁気記録媒体の製造方法に用い
られる第一の実施態様の真空蒸着装置の内部構成を示す
概略断面図である。
【図2】本発明の薄膜型磁気記録媒体の製造方法に用い
られる第二の実施態様の真空蒸着装置の内部構成を示す
概略断面図である。
【図3】本発明の薄膜型磁気記録媒体の製造方法に用い
られる再蒸発用部材の一実施態様を示す斜視図である。
【図4】本発明の薄膜型磁気記録媒体の製造方法に用い
られる再蒸発用部材およびその近傍の一実施態様を示す
斜視図である。
【図5】本発明の薄膜型磁気記録媒体の製造方法に用い
られる再蒸発用部材およびその近傍の他の実施態様を示
す斜視図である。
【図6】本発明の薄膜型磁気記録媒体の製造方法に用い
られる再蒸発用部材およびその近傍の他の実施態様を示
す斜視図である。
【図7】本発明の薄膜型磁気記録媒体の製造方法に用い
られる再蒸発用部材およびその近傍の他の実施態様を示
す斜視図である。
【図8】本発明の薄膜型磁気記録媒体の製造方法に用い
られる第一,第二の実施態様の真空蒸着装置および従来
法に用いられる真空蒸着装置で形成された磁性層の断面
構造を示す模式図である。
【図9】従来の薄膜型磁気記録媒体の製造方法に用いら
れる真空蒸着装置の内部構成を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 基板 5 蒸発源 6 蒸発材料 10 再蒸発用部材 11 下地層形成用の再蒸発用部材 12 酸素導入ノズル 13 薄板 14 熱反射用部材 15 冷却用部材 16 パイプ 17 コイル 18 磁性層 19 蒸気混合部分 20 下地層

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 走行する基板上に真空蒸着装置により
    蒸着を施して磁性層を形成する薄膜型磁気記録媒体の製
    造方法であって、磁性層が形成され始める磁性層形成開
    始部よりも走行下流側の基板に対向するように配置した
    再蒸発用部材を蒸発材料の融点以上に昇温することによ
    って、蒸発源から蒸発して上記再蒸発用部材に到達した
    原子を再蒸発させ、この再蒸発させた原子と蒸発源から
    直接蒸発した原子とを互いに混じりあった状態で同時に
    基板上に到達させて磁性層を形成することを特徴とする
    薄膜型磁気記録媒体の製造方法。
  2. 【請求項2】 磁性層形成開始部より走行上流側の基
    板に対向するように下地層形成用の再蒸発用部材を配置
    し、この下地層形成用の再蒸発用部材を蒸発材料の融点
    以上に昇温することによって、蒸発源から蒸発して上記
    下地層形成用の再蒸発用部材に到達した原子を再蒸発さ
    せ、同時に、磁性層形成開始部よりも基板の走行上流側
    の下地層が形成される領域に酸素を供給し、この再蒸発
    させた原子を酸素存在下で基板上に到達させて、磁性層
    の下地となる下地層を形成することを特徴とする請求項
    1記載の薄膜型磁気記録媒体の製造方法。
  3. 【請求項3】 下地層が形成される領域に酸素を供給
    する際に、下地層形成領域における基板の走行下流側か
    ら走行上流側に向かって酸素を供給することを特徴とす
    る請求項2記載の薄膜型磁気記録媒体の製造方法。
  4. 【請求項4】 再蒸発用部材として張力を印加した薄
    板を用いることで、蒸発材料の融点以上の高温条件下に
    おいて、再蒸発用部材の初期形状を保持させることを特
    徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の薄
    膜型磁気記録媒体の製造方法。
  5. 【請求項5】 再蒸発用部材における基板と反対側に
    熱反射用部材を設け、再蒸発用部材に輻射熱を与えるこ
    とを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記
    載の薄膜型磁気記録媒体の製造方法。
  6. 【請求項6】 再蒸発用部材における基板と反対側に
    冷却用部材を設け、真空蒸着装置内の壁面の温度上昇を
    防止することを特徴とする請求項1から4までのいずれ
    か1項に記載の薄膜型磁気記録媒体の製造方法。
  7. 【請求項7】 再蒸発用部材における基板と反対側に
    冷却用部材を設け、この冷却用部材と上記再蒸発用部材
    との間に熱反射用部材を設け、再蒸発用部材に輻射熱を
    与えるとともに、真空蒸着装置内の壁面の温度上昇を防
    止することを特徴とする請求項1から4までのいずれか
    1項に記載の薄膜型磁気記録媒体の製造方法。
  8. 【請求項8】 カーボンからなる熱反射用部材を用い
    ることを特徴とする請求項5または7記載の薄膜型磁気
    記録媒体の製造方法。
  9. 【請求項9】 再蒸発用部材に電流を流して抵抗加熱
    により昇温させ、冷却用部材に上記再蒸発用部材に流す
    電流と等しい電流を逆方向に流すことを特徴とする請求
    項6または7記載の薄膜型磁気記録媒体の製造方法。
  10. 【請求項10】 再蒸発用部材を複数用い、互いに隣接
    する再蒸発用部材に逆方向の電流を流し、抵抗加熱によ
    り昇温させることを特徴とする請求項1から9までのい
    ずれか1項に記載の薄膜型磁気記録媒体の製造方法。
  11. 【請求項11】 再蒸発用部材および冷却用部材の近傍
    にコイルを設け、このコイルに電流を流すことによっ
    て、再蒸発用部材および冷却用部材に電流を流すことに
    より発生する磁界を打ち消す減磁界を発生させることを
    特徴とする請求項9または10記載の薄膜型磁気記録媒
    体の製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項1記載の薄膜型磁気記録媒体の
    製造方法によって製造される薄膜型磁気記録媒体であっ
    て、磁性層が形成され始める磁性層形成開始部よりも走
    行下流側の基板に対向するように配置した再蒸発用部材
    から再蒸発して基板に向かう原子と蒸発源から蒸発して
    上記基板に直接向かう原子とが互いに混じりあった状態
    で同時に基板上に到達して形成される磁性層の膜厚が1
    0nm以上50nm以下であることを特徴とする薄膜型
    磁気記録媒体。
  13. 【請求項13】 請求項2記載の薄膜型磁気記録媒体の
    製造方法によって製造される薄膜型磁気記録媒体であっ
    て、磁性層が形成され始める磁性層形成開始部よりも走
    行下流側の基板に対向するように配置した再蒸発用部材
    から再蒸発して基板に向かう原子と蒸発源から蒸発して
    上記基板に直接向かう原子とが互いに混じりあった状態
    で同時に基板上に到達して形成される磁性層の膜厚が1
    0nm以上50nm以下であり、かつ下地層形成用の再
    蒸発用部材から再蒸発して基板に向かう原子で形成され
    る下地層の膜厚が10nm以上であることを特徴とする
    薄膜型磁気記録媒体。
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