JP2004055052A - 蒸着テープの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】次世代磁気テープの狭トラックピッチ化に対応できる、テープ長手方向に生じる収縮量が緩和されて経時においても寸法変化が小さく、オフトラック量がトラック幅の半分以下である蒸着テープの製造方法を提供する。
【解決手段】非磁性支持体の一主面上に磁性層、保護層と、他主面上にバックコート層を順次形成した後、(1)ヒートロール温度:190〜230℃、ホットロール処理時の張力:10〜30N/mとする条件、または(2)巻取り時の張力:10〜30N/m、次工程までの放置時間:72時間以下とする条件のいずれかでテープ長手方向に生じる収縮量を緩和させつつカッピング量を矯正するホットロール処理工程を導入する。ホットロール処理工程後に非磁性支持体の一主面側および他主面側最外表面に潤滑剤を塗布する。
【選択図】 図1
【解決手段】非磁性支持体の一主面上に磁性層、保護層と、他主面上にバックコート層を順次形成した後、(1)ヒートロール温度:190〜230℃、ホットロール処理時の張力:10〜30N/mとする条件、または(2)巻取り時の張力:10〜30N/m、次工程までの放置時間:72時間以下とする条件のいずれかでテープ長手方向に生じる収縮量を緩和させつつカッピング量を矯正するホットロール処理工程を導入する。ホットロール処理工程後に非磁性支持体の一主面側および他主面側最外表面に潤滑剤を塗布する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ミニコンピュータやパーソナルコンピュータなどのオフィスコンピュータやその他の各種用途におけるコンピュータの記憶媒体、特に外部記憶媒体として用いられる大容量の蒸着テープに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ミニコンピュータ、パーソナルコンピュータなどのオフィスコンピュータの普及に伴って、外部記憶媒体としてコンピュータデータを記録するための磁気テープ、いわゆるテープストリーマーの研究が盛んに行われている。このような用途の磁気テープの実用化に際しては、特にコンピュータの小型化、情報処理能力の増大と相まって記録の大容量化、小型化を達成するために記録容量の向上が強く要求されている。一方、ビデオカセット用の磁気記録媒体としては、ビデオカセットの小型化に伴い、より一層のコンパクト化と長時間記録化が望まれている。
【0003】
また、磁気テープの使用環境の広がりにより種々の環境条件下、特に変動の激しい温湿度条件下などでの使用における、データ保存に対する信頼性、更に高速での繰り返し使用による多数回走行におけるデータの安定した記録、読み出し等の性能に対する信頼性なども従来にも増して要求されている。
【0004】
一般に、磁気テープは、合成樹脂などの可撓性材料の非磁性支持体上に磁性層が設けられた構成である。そして、上述したような用途に対応する大きな記録容量(体積記録容量)を達成するためには、磁性層を強磁性の金属磁性薄膜にすることにより磁性層自体の記録密度を高めると共に、磁気テープの全厚を薄くすることが有効な方法であるとされている。すなわち、磁気テープとしては、非磁性支持体上に金属磁性薄膜を成膜した、いわゆる蒸着テープが有効である。
【0005】
このような非磁性支持体上に金属磁性薄膜を成膜した磁気テープ(蒸着テープ)において、更なる高容量化を進める手法としてテープのトラックピッチを狭めて記録密度を上げる検討が進んでおり、例えばデータストレージ用途として100GByteを目標にした開発が行われている。
【0006】
しかしながら、トラックピッチを狭めると蒸着テープの寸法変化に対して非常に敏感になり、記録後において蒸着テープが収縮して規定以上の寸法変化が生じた場合、再生時のヘッドトレースが正規のトラックから外れてしまうという問題(オフトラック)が発生する。この場合、記録された情報が正常に再生されず、データストレージメディアとして致命的な欠陥となってしまう。
【0007】
ここで上記オフトラックとは、信号が記録されたテープの寸法が経時で変化した場合の記録時と再生時におけるトラックのズレ量を示す。
一般に、蒸着テープは、長手方向に張力をかけた状態で製造されるため、テープが引っ張られた状態(伸びた状態)でカセットに組み込まれる。このようにテープが伸びた状態でデータが記録されると、テープは高温環境下や長期保存により、クリープ回復で元の寸法に戻ろうとするるため、長時間経過後に記録を再生した際、記録時のトラックの角度と再生時のトラックの角度が変化する。この角度のズレを長さで表した指標がオフトラック量である。
【0008】
これまでの知見から、オフトラック量はトラック幅の1/2程度に抑える必要がある。この範囲を超えると再生時にヘッドが正規のトラックをトレースすることができず、データを再生できなくなるという記録媒体としては致命的な状態に至る。
現在、開発が進められているテープストレージの主要規格である次世代フォーマット、例えばAIT3フォーマットでのトラック幅は5.5μmであるため、この場合のオフトラック量は2.75μm以下が必要とされ、このような非常に小さい値に抑える技術開発が求められている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような技術要請に応えるためになされたもので、その目的は次世代磁気テープの狭トラックピッチ化に対応できる、テープ長手方向に生じる収縮量が緩和されて経時においても寸法変化が小さく、オフトラック量がトラック幅の半分以下である蒸着テープの製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係る蒸着テープの製造方法は、非磁性支持体上に金属磁性薄膜が形成された後で導入される熱処理工程、すなわち、カッピング量を矯正(調整)するためにヒートロール表面上を接触走行させつつ加熱下に張力をかけてホットロール処理を施した後、張力付与下に巻取るホットロール処理工程において、下記(1)または(2)の条件で処理することにより、テープ長手方向に生じる収縮量を緩和させたものである。
(1)前記ヒートロール温度を190〜230℃とし、前記ホットロール処理時の張力を10〜30N/mとする。
(2)前記巻取り時の張力を10〜30N/mとし、次工程までの放置時間を72時間以下とする。
以下、本発明について具体的に説明する。
【0011】
請求項1に係る発明は、非磁性支持体上に金属磁性薄膜を有する蒸着テープを連続的に供給して、ヒートロール表面上を接触走行させつつ加熱下に張力をかけてホットロール処理を施した後、張力付与下に巻取るホットロール処理工程を備えた蒸着テープの製造方法において、前記ヒートロール温度を190〜230℃とし、前記ホットロール処理時の張力を10〜30N/mとすることを特徴とする蒸着テープの製造方法である。
【0012】
請求項1の構成によれば、蒸着テープにシワ発生や切断などの異常を生じることなく適切なカッピング量の矯正効果が得られると共に、テープ長手方向に生じる収縮量が緩和され、経時における寸法変化も小さく、オフトラック量がトラック幅の半分以下に抑制される。これによって、長時間保管においてもデータ保存に対する信頼性が得られるほか、高速での繰り返し使用(多数回走行)におけるデータの安定した記録、読み出しが実現できる。
【0013】
請求項2に係る発明は、非磁性支持体上に金属磁性薄膜を有する蒸着テープを連続的に供給して、ヒートロール表面上を接触走行させつつ加熱下に張力をかけてホットロール処理を施した後、張力付与下に巻取るホットロール処理工程を備えた蒸着テープの製造方法において、前記巻取り時の張力を10〜30N/mとし、次工程までの放置時間を72時間以下とすることを特徴とする蒸着テープの製造方法である。
【0014】
請求項2の構成によれば、蒸着テープにシワ発生や切断などの異常を生じず、また生産性を落とすことなくカッピング量の矯正が実施されると共に、テープ長手方向に生じる収縮量が緩和され、経時における寸法変化も小さく、オフトラック量がトラック幅の半分以下に抑制される。これによって、長時間保管におけるデータ保存に対する信頼性、多数回走行におけるデータの安定した記録、読み出しの信頼性が確保される。
【0015】
請求項3に係る発明は、前記蒸着テープのオフトラック量が2.0μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の蒸着テープの製造方法である。
【0016】
請求項4に係る発明は、前記蒸着テープがAIT3フォーマット対応であることを特徴とする請求項1または2に記載の蒸着テープの製造方法である。
【0017】
前記請求項3および請求項4によれば、テープストレージの主要規格である次世代フォーマットにおけるトラック幅に対して要求されるオフトラック量を満たす蒸着テープが製造され、AIT3フォーマットのトラック幅5.5μmに対しても対応することができる。
【0018】
請求項5に係る発明は、非磁性支持体の一主面上に、少なくとも金属磁性薄膜を成膜する工程と、保護層を成膜する工程と、前記非磁性支持体の金属磁性薄膜が成膜される側と反対側の他主面上にバックコート層を成膜する工程と、該金属磁性薄膜、保護層およびバックコート層が形成された前記非磁性支持体を、ヒートロール表面上を接触走行させつつ加熱下に張力をかけてホットロール処理を施し、張力付与下に巻取るホットロール処理工程とを備えた蒸着テープの製造方法であって、前記ヒートロール温度を190〜230℃とし、前記ホットロール処理時の張力を10〜30N/mとしてテープ長手方向に生じる収縮量を緩和させることを特徴とする蒸着テープの製造方法である。
【0019】
請求項5の構成によれば、非磁性支持体上に金属磁性薄膜、保護層およびバックコート層が形成された後にホットロール処理工程が導入されるので、その後の工程で好ましくない張力や加熱などのストレスに曝されることがない。ホットロール処理工程では、ヒートロール温度とホットロール処理時の張力とを制御してホットロール処理が加えられカッピング量の矯正が行われつつ、テープ長手方向に生じる収縮量が緩和されるので、蒸着テープに異常を生じることなく経時における寸法変化の小さい蒸着テープが製造される。
【0020】
請求項6に係る発明は、非磁性支持体の一主面上に、少なくとも金属磁性薄膜を成膜する工程と、保護層を成膜する工程と、前記非磁性支持体の金属磁性薄膜が成膜される側と反対側の他主面上にバックコート層を成膜する工程と、該金属磁性薄膜、保護層およびバックコート層が形成された前記非磁性支持体を、ヒートロール表面上を接触走行させつつ加熱下に張力をかけてホットロール処理を施し、張力付与下に巻取るホットロール処理工程とを備えた蒸着テープの製造方法であって、前記巻取り時の張力を10〜30N/mとし、次工程までの放置時間を72時間以下としてテープ長手方向に生じる収縮量を緩和させることを特徴とする蒸着テープの製造方法である。
【0021】
請求項6の構成によれば、非磁性支持体上に金属磁性薄膜、保護層およびバックコート層が形成された後にホットロール処理工程が導入されるので、その後の工程で好ましくない張力や加熱などのストレスに曝されることがない。ホットロール処理工程では、巻取り時の張力と次工程までの放置時間とを制御してカッピング量の矯正が行われつつ、テープ長手方向に生じる収縮量が緩和されるので蒸着テープに異常を生じることがないほか、次工程までの放置時間がコントロールされることによって、オフトラック量がトラック幅の半分以下に維持される。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法は、非磁性支持体上に金属磁性薄膜からなる磁性層が形成された後に、適宜の製造段階で導入されるテープの反り(カッピング)を矯正するためのホットロール処理工程における処理条件を適切に制御することによって、テープ長手方向に生じる収縮量を緩和させるものである。
前述のように上記ホットロール処理工程は、非磁性支持体上に金属磁性薄膜を有する蒸着テープを連続的に供給して、ヒートロール表面上を接触走行させつつ加熱下に張力をかけてホットロール処理を施した後、張力付与下に巻取る工程からなるものである。
【0023】
以下、図1に例示するフロー、および図2に例示する磁気記録媒体の概略断面図を参考にしながら本発明の蒸着テープの製造方法を更に説明する。なお、本発明の磁気記録媒体の製造方法は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でその他の態様が取り得る。
【0024】
先ず、本発明における前記ホットロール処理工程は、磁性層形成後の適宜の製造段階で導入されるが、図1のフローに示す例では、図2の非磁性支持体1の一主面A上に磁性層2と、保護層3とが順次形成され、更に磁性層2が形成された側と反対側の他主面B上にバックコート層4が形成された後に導入して行われる場合である。
更に、図1に示すようにホットロール処理工程後に保護層3上およびバックコート層4上に潤滑剤5が塗布されてもよい。このようにして図2に示す概略断面図の層構成からなる蒸着テープが作製される。
【0025】
上記ホットロール処理工程のホットロール処理においては、前記のように非磁性支持体1の一主面A上に磁性層2、保護層3が、他主面B上にバックコート層4が形成された媒体(被処理体)に対して、図3の概略構成図に示すような熱処理システム、すなわちホットロール装置30を用いて加熱処理が行われる。
ホットロール装置30は、上記構成の被処理体31を連続走行させながら金属磁性薄膜からなる磁性層2側に熱処理を施すようになされたものであり、詳細は以下のように行われる。
【0026】
図3において、被処理体31が反時計回りに回転する巻出しロール33から、反時計回りに定速回転する巻取りロール34に向かって順次走行するようになされている。この被処理体31が巻出しロール33側から巻取りロール34側に走行する中途部には、当該被処理体31に熱処理を施すヒートロール32が配設されている。ヒートロール32は、例えば、直径が250mm程度の金属製の円筒であり、内部に加熱手段(加熱誘導コイルなど)を備え、ロール表面温度(100〜300℃程度の範囲)をコントロールできるようになされている。熱処理時には、ニップロール35によって被処理体31がヒートロール32に密着する構成となっている。
【0027】
また、巻出しロール33とヒートロール32の中途部にはガイドロール36a、36b、36cが配設されており、ダンサーロール37によって、被処理体31に適当な張力を与えつつ、円滑な走行ができるようになされている。
なお、巻出しロール33、巻取りロール34、ヒートロール32、ガイドロール36a、36b、36c、ダンサーロール37は、それぞれ被処理体31の幅と略同じ長さからなる円筒状をなすものである。
【0028】
上記ホットロール装置30によりホットロール処理を施した後、張力付与下に巻取ることによってホットロール処理工程が実施される。そして、このホットロール処理工程において、本発明の目的とするテープ長手方向に生じる収縮量を緩和するためには、前述のように下記(1)あるいは(2)のいずれかの条件に設定する必要がある。
(1)ヒートロール温度:190〜230℃、ホットロール処理時の張力:10〜30N/m、
(2)巻取り時の張力:10〜30N/m、次工程までの放置時間:72時間以下
【0029】
上記条件(1)の場合、ヒートロール温度が190〜230℃の範囲外では、カッピングの矯正効果が得られず、そのためカッピング量が規格を超えてしまい(規格外)、蒸着テープとしての信頼性が得られなくなってしまう。
また、ホットロール処理時の張力が10N/mよりも低い場合には、テープ(非磁性支持体)の走行安定性が悪化してシワが発生したり、テープが切断したりする問題が発生する。一方、ホットロール処理時の張力が30N/mよりも大きい場合には、収縮量が緩和されずオフトラック量がAIT3フォーマットで要求される2.0μm以下を達成できない。
【0030】
上記条件(2)の場合、巻取り時の張力を10〜30N/mとする理由は、10N/mよりも低い場合には、テープにシワが発生したり、テープが切断したりして走行安定性が悪化し、また巻取り時の張力が30N/mよりも大きい場合には、収縮量が緩和されずオフトラック量が2.0μm以下を達成できず、AIT3フォーマットに対応できないためである。
また、次工程までの放置時間が72時間を超えるとオフトラック量がAIT3フォーマットで要求される2.0μm以下を達成できない。更に72時間を越えるようなリードタイムでは生産性が悪化してしまい現実的な生産時間を逸脱してしまう。
【0031】
次に、図2に示した蒸着テープの各構成層について更に詳しく説明する。
非磁性支持体1に使用される基体としては、通常、蒸着テープの基体として用いられている公知の材料を適用することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、あるいは芳香族ポリアミドなどのポリアミドフィルムを用いることができる。なお、これらのフィルムには突起が形成され、表面粗さがコントロールされたものであってもよい。
【0032】
また、金属磁性薄膜からなる磁性層2に用いられる材料としては、Co、Co−Ni合金、Co−Cr合金等、従来公知の強磁性金属材料をいずれも使用することができ、これらの強磁性金属材料を真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の真空蒸着薄膜形成技術によって、上記非磁性支持体1上に被着させることで形成することができる。
例として、図4に示す連続巻取り式真空蒸着装置を用いて金属磁性薄膜からなる磁性層2を形成する場合について説明する。
【0033】
〈連続巻取り式真空蒸着装置による磁性層の形成プロセス〉
連続巻取り式真空蒸着装置40においては、真空室46内に、巻出しロール41と巻取りロール45とが設けられており、これらの間に非磁性支持体1が順次走行するようになされている。これら巻出しロール41と巻取りロール45との間において、非磁性支持体1が走行する途中には、冷却キャン47が設けられている。この冷却キャン47には、図示しない冷却装置が設けられ、周面を走行する非磁性支持体1の温度上昇による熱変形等を抑制している。なお、真空室46には必要によりガスを導入するためのガス導入管48が設けられている。
【0034】
真空室46内には、冷却キャン47の下方にルツボ43が設けられており、ルツボ43内には、強磁性金属材料44が充填されている。一方、真空室46の側壁部には、ルツボ43内に充填された強磁性金属材料44を加熱蒸発させるための電子銃42が設けられ、これより放出される電子線Eの照射によって蒸発した強磁性金属材料44が非磁性支持体1の表面に金属磁性薄膜として蒸着し、図2に示した磁性層2が形成される。
【0035】
次に、図2に示した層構成のように磁性層2上にカーボンからなる保護層3を形成する。保護層3は、磁気ヘッドの接触による磨耗や損傷等、外部からのストレスに対して蒸着テープを保護するために設けられる。
【0036】
この保護層3に用いる材料としては、通常の蒸着テープに使用されているものを用いることができるが、例えば硬度の高いカーボン(C)等を主体とする薄膜材料が好ましく使用できる。このようなカーボン薄膜の成膜は、真空成膜技術(マグネトロンスパッタ法、CVD法など)によって行うことができる。
例として、図5に示すマグネトロンスパッタリング装置50を用いてカーボンからなる保護層3を形成する場合について説明する。
【0037】
〈マグネトロンスパッタリング装置による保護層の形成プロセス〉
図5の概略構成図に示すマグネトロンスパッタリング装置50においては、真空室58内に、巻出しロール51と巻取りロール57とが設けられ、これら巻出しロール51と巻取りロール57との間で、被処理テープ52が順次走行するようになされている。
これら巻出しロール51から巻取りロール57に被処理テープ52が走行する途中には、円筒状の回転可能な対向電極用の冷却キャン53が設けられている。
【0038】
また、真空室58内には、冷却キャン53と対向する位置にターゲット54が設けられている。ターゲット54は、図2に示す保護層4の材料となるものであり、例えばカーボンが用いられる。
これらターゲット54は、カソード電極を構成するバッキングプレート55に支持されている。そして、バッキングプレート55の裏面には、磁場を形成するマグネット56が配設されている。
【0039】
このマグネトロンスパッタリング装置50において、ガス導入管59から希ガス(例えばArガス)を導入するとともに、冷却キャン53をアノード、バッキングプレート55をカソードとして電圧を印加すると、プラズマ化したArガスによりターゲット54から原子がはじき出され、マグネット56によって形成される磁場により効果的に前記磁性層2上に保護膜3が形成される。
【0040】
次に、図2の層構成に示すように上記磁性層2、保護層3が形成された側とは反対側の非磁性支持体1の他主面上にバックコート層4を形成する。
バックコート層4の形成に用いる材料としては、一般にバックコート層用として使用されるものであれば如何なるものであってもよく、例えばカーボン、金属の酸化物または炭化物あるいは窒化物等が挙げられる。
【0041】
また、バックコート層4は、上記カーボン等の材料を有機バインダーと共に分散混合し、非磁性支持体1の他主面B表面に塗布することで成膜することができる。また、CVDやスパッタ法等の真空蒸着法などの薄膜形成プロセスによって成膜してもよい。
例として、図6に示すバックコート層塗布コーター60を用いてバックコート層4を形成する場合について以下に説明する。
【0042】
〈バックコート層塗布コーターによるバックコート層の形成プロセス〉
バックコート層塗布コーター60においては、巻出しロール61と巻取りロール68とが設けられており、これらの間に被処理媒体64が順次走行するようになされている。被処理媒体64が走行する途中には、コーターヘッド62と、ドライヤー66が設けられている。
巻出しロール61から送り出された被処理媒体64の前記磁性層2、保護層3が形成された側とは反対側の非磁性支持体1他主面B上に、グラビアロール63により、バックコート層用塗料をコーティングし、サクションロール65を経由してドライヤー66に導き、ノズル67の加熱手段によって塗料を乾燥してバックコート層4が形成される。
【0043】
上記のようにして非磁性支持体1の一主面A上に磁性層2、保護層3、および他主面B上にバックコート層4がそれぞれ形成された後、前述のようにホットロール処理工程において、ヒートロール表面上を接触走行させつつ加熱下に張力をかけてホットロール処理を施した後、張力付与下に巻取られる。
図1のフロー例では、上記ホットロール処理工程でカッピング量の矯正が行われた後、潤滑剤5(図2)が塗布される。
【0044】
潤滑剤5は、磁性層2形成側とバックコート層4形成側の最外表面に塗布形成され、これによって蒸着テープ表面の摩擦係数を低減し、走行性や耐久性を向上させることができる。
この潤滑剤5に用いる材料としては、通常の薄膜磁性記録媒体用として使用されているものを用いることができるが、中でも、例えばパーフルオロポリエーテル系の潤滑剤を好ましく用いることができる。
【0045】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。ただし、本発明はなんら実施例に限定されるものではない。
【0046】
実験例1〜30
以下のような手順と製法で、前記図2に示した蒸着テープ構成と同様にして各構成層を形成し、実験例1〜30それぞれの評価用蒸着テープを作製した。
【0047】
〔磁性層の形成〕
非磁性支持体1として、幅1m、長さ5000mのポリアミドフィルム(東レ株式会社製)を用いて、前記図4に示した概略構成図からなる連続巻取り式真空蒸着装置40により下記条件でコバルト(Co)金属磁性薄膜からなる磁性層2を形成した。
すなわち、先ずポリアミドフィルムを真空室46内にセッティングし、その内部が10−3Pa程度の圧力となるように真空排気した。そして、ガス導入管48から酸素ガスを導入して微量の酸素存在下で、蒸着源として強磁性金属材料44にCoを用い、蒸着の入射角を磁性支持体1の法線方向に対して45〜90°とする条件で連続真空斜め蒸着を行った。その際、非磁性支持体1を−40℃程度まで冷却した冷却キャン47上で50m/minの速度で走行させつつ、Co金属磁性薄膜の厚みが180nmとなるように電子銃42のパワーをコントロールして磁性層2を形成した。
【0048】
〔保護層の形成〕
次に、前記図5に示した概略構成図からなるマグネトロンスパッタリング装置50を用いて保護層3を形成した。
上記Co金属磁性薄膜が形成されたポリアミドフィルム(被処理テープ52)を真空室58内にセッティングし、その内部を10−4Pa程度の圧力まで真空排気した後、アルゴンガス(Ar)を導入して0.8Pa程度の圧力にした。そして−40℃程度まで冷却した冷却キャン53上で5m/minの速度で走行させつつ、Co金属磁性薄膜からなる磁性層2上に厚みが8nm程度のカーボンからなる保護層3を形成した。
【0049】
〔バックコート層の形成〕
続いて、下記組成からなるバックコート層用塗料を調製し、この塗料を用いて前記図6に示した概略構成図からなるバックコート層塗布コーター60により、上記磁性層2が形成された側と反対の非磁性支持体1の他主面上に、塗布および乾燥を行いバックコート層4を形成した。なお、ドライヤー温度は120℃とし、張力は50N/mに設定して塗布、乾燥を行った。
【0050】
【0051】
〔ホットロール処理工程/ホットロール処理〕
次に、上記のようにして非磁性支持体1の一主面A上に磁性層2、保護層3を、他主面B上にバックコート層4を形成した後、前記図3に示した概略構成図からなるホットロール装置30を用いてホットロール処理を行った。
実験例1〜30のホットロール処理条件は、ホットロール処理時の張力をそれぞれ5N、10N、20N、30N、40N、50Nに変え、各ホットロール処理時の張力におけるヒートロール温度を170℃、190℃、210℃、230℃、250℃に変化させて割り付けたものである(例えば、実験例1:張力5N、温度170℃、実験例2:張力5N、温度190℃、〜実験例30:張力50N、温度250℃)。
【0052】
なお、ホットロール処理における走行速度は100m/minとし、ヒートロールへの抱角は50°とした。また、張力はヒートロール後のダンサーロールを調整することで調節した。
【0053】
ホットロール処理後、巻取り時の張力を80N/mとして各テープを巻取った。そしてこのテープを72時間放置した後、次工程である潤滑剤の塗布を行った。
【0054】
〔潤滑剤の塗布〕
ホットロール処理を施した上記各テープの磁性層2側およびバックコート層4側最外表面に、潤滑剤5としてパーフルオロポリエーテル化合物を10nmの厚みとなるように塗布した。潤滑剤乾燥時のドライヤー温度は80℃、走行時の張力は80N/mとした。
【0055】
〔パンケーキへの裁断〕
以上のような製法とプロセスで各構成層が形成された広幅、長尺の実験例1〜30の蒸着テープ原反(ジャンボロール)を図7に示す裁断装置70を用いて所望する幅、長さに裁断してパンケーキ(円形状のハブに巻き取られた形態)を得た。
裁断時の巻取り張力は60g/8mm、タッチロール圧力は200g/8mm、走行速度は200m/minとし、パンケーキへの巻取り長は5000mとして評価用蒸着テープを作製した。なお、図7に示す裁断装置70の概略構成は以下のようである。
【0056】
裁断装置70においては、ジャンボロールロール71(巻きだし)から送り出された蒸着テープ原反77が走行する途中に裁断ユニット72が設けられており、この裁断ユニット72を通過する際に蒸着テープ原反77は、上刃73と下刃74からなる裁断手段により所望する幅に裁断され、タッチロール75を介してパンケーキ76に巻取られる。
上記裁断装置70により裁断した実験例1〜30の評価用蒸着テープをカセットに組込み、オフトラック量の測定を行った。
【0057】
<評価>
上記で作製した各評価用蒸着テープを図8に概念を示すオフトラックの測定方法により、下記(I)、(II)の手順でテープの寸法変化による記録時と再生時におけるトラックの幅方向のズレ量であるオフトラックの評価を行った。
測定方法:
(I)評価用蒸着テープをAITカセットに組み込んで信号を記録後、温度60℃、湿度20%Rhの環境下で24時間保存。
(II)保存完了後、取り出したAITカセットに組み込んだテープの出力波形(オシロスコープ)を測定。
【0058】
上記(I)の保存環境は、AITドライブの動作保証範囲で最も厳しいと考えられる条件を基にして設定している。また、テープの寸法変化が飽和し切る時間として24時間保存を設定している。この状態でオフトラック評価を行うことにより、データとしては最悪値を得ることができる。
【0059】
(II)において、図8(a)の保存後に示すようにオシロスコープ上の波形で、ヘッドの入口側でトラックを合せる(出力A)と、出口側で出力が低下(出力B)する。これは、上記温湿環境で保存したため、図8の(b)に示すように、主に長手方向にテープが収縮してトラックの角度がズレ、これによりトラックズレTpが生じたことによる。この出口部分でのトラックの幅方向のズレ量をオフトラックと定義し、テープの寸法安定度の指針としている。
オフトラック量は、上記ヘッドの入口側出力Aと出口側出力B、およびトラックピッチTpから、オフトラック量(μm)=(A−B)÷A×Tpとして求められる。
【0060】
なお、これまでの研究結果から、オフトラックはパンケーキの巻取り長とパンケーキ形態での保存期間の影響を受けることが分かっている。これは高分子材料(例えば、ポリアミドフィルム等)のクリープ特性に由来している。この点を考慮してオフトラックの測定精度をあげるため、測定は裁断後7日間経過したパンケーキを採用し、測定ポイントは最悪点となるパンケーキ最外周部とすることで統一して評価を行った。
評価結果を表1および図9に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
<評価結果>
上記表1および図9に示したように、温湿環境に保存した後のオフトラック量はホットロール処理時のヒートロール温度およびホットロール処理時の張力と密接な関係が見られ、ホットロール処理時の張力が低いほど小さくなると共に、ヒートロール温度が高温であるほど小さくなることが分かった。
また、ヒートロール温度が170℃以下の場合、および250℃以上の場合には、ホットロール処理本来の目的であるカッピングの矯正効果が得られず、いずれの評価用蒸着テープも規格のカッピング量を超えてしまった。
【0063】
ホットロール処理時の張力の影響については、表1に示したように5N/mではテープ(非磁性支持体)の走行安定性が悪化し、シワやベースの切断が発生するという問題が生じた。このことから、ホットロール処理に要求される現実的な張力としては、10N/m以上が必要であることが分かった。
更に、ホットロール処理時の張力が40N/m以上では、オフトラック量が目標とする2.0μmを超えてしまうことが判明した。
【0064】
以上の結果から、AIT3フォーマットとして必要なオフトラック量2.0μmを達成し、なおかつカッピングを適切な規定範囲に収めるためには、ヒートロール温度およびホットロール処理時の張力を、目標とする2.0μmを満たす実験例7、8、9、実験例12、13、14、実験例17、18、19から、以下の範囲の条件に設定する必要があることが確認された。
ヒートロール温度 : 190〜230℃
ホットロール処理時の張力 : 10〜30N/m
【0065】
実験例31〜65
先ず、幅1m、長さ5000mのポリアミドフィルム(東レ株式会社製)を非磁性支持体として用い、この非磁性支持体上に前記実験例(1〜30)の手順および製法と同様にして順次、磁性層、保護層、バックコート層を前記図2に示した構成で形成し、各テープ(実験例31〜65用)を作製した。
【0066】
〔ホットロール処理工程/ホットロール処理および巻取り時の張力〕
次に、上記のようにして非磁性支持体1の一主面A上に磁性層2、保護層3を、他主面B上にバックコート層4を形成した各テープを、前記図3に示した概略構成図からなるホットロール装置30を用いてホットロール処理を行った。
【0067】
各テープ(実験例31〜65用)のホットロール処理時の張力は、ヒートロール後のダンサーロールを調整し、50N/mの一定とした。また、ホットロール処理における走行速度は100m/minとし、ヒートロールへの抱角は50°とした。ヒートロール温度は、所望するカッピング量に合わせて適宜調整した。
【0068】
次に、ホットロール処理後における、巻取り時の張力条件をそれぞれ5N/m、10N/m、20N/m、30N/m、40N/m、50N/m、70N/mに変えて各テープを巻き取った。
そして、それぞれの張力で巻取られたテープを、次工程までの放置時間として1時間、6時間、24時間、72時間、168時間の条件で放置した後、各テープの磁性層2側およびバックコート層4側最外表面に、潤滑剤5としてパーフルオロポリエーテル化合物を10nmの厚みとなるように塗布した。潤滑剤乾燥時のドライヤー温度は80℃、走行時の張力は80N/mとした。以上の条件で各実験例31〜65の評価用蒸着テープを作製した。
【0069】
上記実験例31〜65の評価用蒸着テープについて、前記実験例の評価方法に準拠してオフトラック量の評価を行った。評価結果を表2および図10に示す。
【0070】
【表2】
【0071】
〈評価結果〉
表2および図10に示したように、オフトラック量は巻取り時の張力と、巻取り後における次工程までの放置時間と密接な関係が見られる。すなわち、オフトラック量は、巻取り時の張力が低いほど小さくなり、また次工程までの放置時間が短いほど小さくなることが分かった。
【0072】
ここで次工程までの放置時間が168時間では、オフトラック量が目標とする2.0μmを超えてしまうことが分かった。また、72時間を超えるような放置時間では、リードタイムの面で生産性が悪化するため、現実的な製造時間として適用するには長すぎてしまい問題である。
なお、次工程までの放置時間が1時間の場合には、製造設備に付帯する制約や操作などに要する時間から判断すると、場合によっては放置時間としてやや短時間の傾向はある。
【0073】
巻取り時の張力の影響については、表2に示したように5N/mではテープ(非磁性支持体)の走行安定性が悪化し、シワやベースの切断が発生した。ホットロール処理工程の巻取り時に要求される現実的な張力としては、10N/m以上が必要であることが分かった。
【0074】
以上の結果から、AIT3フォーマットとして必要なオフトラック量2.0μmを達成し、なおかつカッピングを適切な規定範囲に収めるためには、ホットロール処理工程の巻取り時の張力および次工程までの放置時間を、以下の範囲の条件に設定する必要があることが確認された(実験例36、37、38、39、実験例41、42、43、44、実験例46、47、48、49)。
巻取り時の張力 : 10〜30N/m
次工程までの放置期間 : 72時間以下
【0075】
前記一連の実験例から、本発明の条件で製造された蒸着テープは、AIT3フォーマットのトラック幅に適応したオフトラック量を有しており、データ記録後にテープが経時において寸法変化した場合でも本来の特性を損なうことなく、データの再生を可能にすることが確認できた。
【0076】
【発明の効果】
本発明の蒸着テープの製造方法によれば、ホットロール処理工程のホットロール処理におけるヒートロール温度を190〜230℃とし、ホットロール処理時の張力を10〜30N/mとするか、あるいはホットロール処理工程の巻取り時の張力を10〜30N/mとし、次工程までの放置時間を72時間以下とするか、いずれかの条件により、テープ長手方向に生じる収縮量が緩和して、AIT3フォーマットのトラック幅に適応したオフトラック量2.0μmが達成されると共に、適切なカッピング量の矯正が行われ、データ記録後にテープが経時で寸法変化した場合でも本来の特性を損なうことなく、データの再生を可能にする蒸着テープが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施の形態において本発明の製造方法に関するホットロール処理工程を説明するための一例を示すフロー図である。
【図2】発明の実施の形態および実施例における蒸着テープの層構成を示す概略断面図である。
【図3】発明の実施の形態および実施例におけるホットロール処理に用いるホットロール装置の概略構成図である。
【図4】発明の実施の形態および実施例における磁性層を形成するための連続巻取り式真空蒸着装置の概略構成図である。
【図5】発明の実施の形態および実施例における保護層を形成するためのマグネトロンスパッタリング装置の概略構成図である。
【図6】発明の実施の形態および実施例におけるバックコート層を形成するためのバックコート層塗布コーターの概略構成図である。
【図7】実施例において蒸着テープ原反をパンケーキに裁断するための裁断装置の概略構成図である。
【図8】実施例の評価においてオシロスコープ出力波形からオフトラック量を測定する方法を模式的に示した概念図である。
【図9】実験例1〜30のホットロール処理工程におけるホットロール処理時の張力とオフトラック量との関係をヒートロール温度をパラメータとして示した図である。
【図10】実験例31〜65のホットロール処理工程における巻取り時の張力とオフトラック量との関係を次工程までの放置時間をパラメータとして示した図である。
【符号の説明】
1……非磁性支持体、2……磁性層、3……保護層、4……バックコート層、5…潤滑剤、30……ホットロール装置、31……被処理体、32……ヒートロール、33……巻出しロール、34……巻取りロール、35……ニップロール、36a……ガイドロール、36b……ガイドロール、36c……ガイドロール、37……ダンサーロール、40……連続巻取り式真空蒸着装置、41……巻出しロール、42……電子銃、43……ルツボ、44……強磁性金属材料、45……巻取りロール、46……真空室、47……冷却キャン、48……ガス導入管、50……マグネトロンスパッタリング装置、51……巻出しロール、52……被処理テープ、53……冷却キャン、54……ターゲット、55……バッキングプレート、56……マグネット、57……巻取りロール、58……真空室、59……ガス導入管、60……バックコート層塗布コーター、61……巻出しロール、62……コーターヘッド、63……グラビアロール、64……被処理媒体、65……サクションロール、66……ドライヤー、67……ノズル、68……巻取りロール、70……裁断装置、71……ジャンボロール、72……裁断ユニット、73……上刃、74……下刃、75……タッチロール、76……パンケーキ、77……蒸着テープ原反、A……一主面、B……他主面、E……電子線
【発明の属する技術分野】
本発明は、ミニコンピュータやパーソナルコンピュータなどのオフィスコンピュータやその他の各種用途におけるコンピュータの記憶媒体、特に外部記憶媒体として用いられる大容量の蒸着テープに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ミニコンピュータ、パーソナルコンピュータなどのオフィスコンピュータの普及に伴って、外部記憶媒体としてコンピュータデータを記録するための磁気テープ、いわゆるテープストリーマーの研究が盛んに行われている。このような用途の磁気テープの実用化に際しては、特にコンピュータの小型化、情報処理能力の増大と相まって記録の大容量化、小型化を達成するために記録容量の向上が強く要求されている。一方、ビデオカセット用の磁気記録媒体としては、ビデオカセットの小型化に伴い、より一層のコンパクト化と長時間記録化が望まれている。
【0003】
また、磁気テープの使用環境の広がりにより種々の環境条件下、特に変動の激しい温湿度条件下などでの使用における、データ保存に対する信頼性、更に高速での繰り返し使用による多数回走行におけるデータの安定した記録、読み出し等の性能に対する信頼性なども従来にも増して要求されている。
【0004】
一般に、磁気テープは、合成樹脂などの可撓性材料の非磁性支持体上に磁性層が設けられた構成である。そして、上述したような用途に対応する大きな記録容量(体積記録容量)を達成するためには、磁性層を強磁性の金属磁性薄膜にすることにより磁性層自体の記録密度を高めると共に、磁気テープの全厚を薄くすることが有効な方法であるとされている。すなわち、磁気テープとしては、非磁性支持体上に金属磁性薄膜を成膜した、いわゆる蒸着テープが有効である。
【0005】
このような非磁性支持体上に金属磁性薄膜を成膜した磁気テープ(蒸着テープ)において、更なる高容量化を進める手法としてテープのトラックピッチを狭めて記録密度を上げる検討が進んでおり、例えばデータストレージ用途として100GByteを目標にした開発が行われている。
【0006】
しかしながら、トラックピッチを狭めると蒸着テープの寸法変化に対して非常に敏感になり、記録後において蒸着テープが収縮して規定以上の寸法変化が生じた場合、再生時のヘッドトレースが正規のトラックから外れてしまうという問題(オフトラック)が発生する。この場合、記録された情報が正常に再生されず、データストレージメディアとして致命的な欠陥となってしまう。
【0007】
ここで上記オフトラックとは、信号が記録されたテープの寸法が経時で変化した場合の記録時と再生時におけるトラックのズレ量を示す。
一般に、蒸着テープは、長手方向に張力をかけた状態で製造されるため、テープが引っ張られた状態(伸びた状態)でカセットに組み込まれる。このようにテープが伸びた状態でデータが記録されると、テープは高温環境下や長期保存により、クリープ回復で元の寸法に戻ろうとするるため、長時間経過後に記録を再生した際、記録時のトラックの角度と再生時のトラックの角度が変化する。この角度のズレを長さで表した指標がオフトラック量である。
【0008】
これまでの知見から、オフトラック量はトラック幅の1/2程度に抑える必要がある。この範囲を超えると再生時にヘッドが正規のトラックをトレースすることができず、データを再生できなくなるという記録媒体としては致命的な状態に至る。
現在、開発が進められているテープストレージの主要規格である次世代フォーマット、例えばAIT3フォーマットでのトラック幅は5.5μmであるため、この場合のオフトラック量は2.75μm以下が必要とされ、このような非常に小さい値に抑える技術開発が求められている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような技術要請に応えるためになされたもので、その目的は次世代磁気テープの狭トラックピッチ化に対応できる、テープ長手方向に生じる収縮量が緩和されて経時においても寸法変化が小さく、オフトラック量がトラック幅の半分以下である蒸着テープの製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係る蒸着テープの製造方法は、非磁性支持体上に金属磁性薄膜が形成された後で導入される熱処理工程、すなわち、カッピング量を矯正(調整)するためにヒートロール表面上を接触走行させつつ加熱下に張力をかけてホットロール処理を施した後、張力付与下に巻取るホットロール処理工程において、下記(1)または(2)の条件で処理することにより、テープ長手方向に生じる収縮量を緩和させたものである。
(1)前記ヒートロール温度を190〜230℃とし、前記ホットロール処理時の張力を10〜30N/mとする。
(2)前記巻取り時の張力を10〜30N/mとし、次工程までの放置時間を72時間以下とする。
以下、本発明について具体的に説明する。
【0011】
請求項1に係る発明は、非磁性支持体上に金属磁性薄膜を有する蒸着テープを連続的に供給して、ヒートロール表面上を接触走行させつつ加熱下に張力をかけてホットロール処理を施した後、張力付与下に巻取るホットロール処理工程を備えた蒸着テープの製造方法において、前記ヒートロール温度を190〜230℃とし、前記ホットロール処理時の張力を10〜30N/mとすることを特徴とする蒸着テープの製造方法である。
【0012】
請求項1の構成によれば、蒸着テープにシワ発生や切断などの異常を生じることなく適切なカッピング量の矯正効果が得られると共に、テープ長手方向に生じる収縮量が緩和され、経時における寸法変化も小さく、オフトラック量がトラック幅の半分以下に抑制される。これによって、長時間保管においてもデータ保存に対する信頼性が得られるほか、高速での繰り返し使用(多数回走行)におけるデータの安定した記録、読み出しが実現できる。
【0013】
請求項2に係る発明は、非磁性支持体上に金属磁性薄膜を有する蒸着テープを連続的に供給して、ヒートロール表面上を接触走行させつつ加熱下に張力をかけてホットロール処理を施した後、張力付与下に巻取るホットロール処理工程を備えた蒸着テープの製造方法において、前記巻取り時の張力を10〜30N/mとし、次工程までの放置時間を72時間以下とすることを特徴とする蒸着テープの製造方法である。
【0014】
請求項2の構成によれば、蒸着テープにシワ発生や切断などの異常を生じず、また生産性を落とすことなくカッピング量の矯正が実施されると共に、テープ長手方向に生じる収縮量が緩和され、経時における寸法変化も小さく、オフトラック量がトラック幅の半分以下に抑制される。これによって、長時間保管におけるデータ保存に対する信頼性、多数回走行におけるデータの安定した記録、読み出しの信頼性が確保される。
【0015】
請求項3に係る発明は、前記蒸着テープのオフトラック量が2.0μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の蒸着テープの製造方法である。
【0016】
請求項4に係る発明は、前記蒸着テープがAIT3フォーマット対応であることを特徴とする請求項1または2に記載の蒸着テープの製造方法である。
【0017】
前記請求項3および請求項4によれば、テープストレージの主要規格である次世代フォーマットにおけるトラック幅に対して要求されるオフトラック量を満たす蒸着テープが製造され、AIT3フォーマットのトラック幅5.5μmに対しても対応することができる。
【0018】
請求項5に係る発明は、非磁性支持体の一主面上に、少なくとも金属磁性薄膜を成膜する工程と、保護層を成膜する工程と、前記非磁性支持体の金属磁性薄膜が成膜される側と反対側の他主面上にバックコート層を成膜する工程と、該金属磁性薄膜、保護層およびバックコート層が形成された前記非磁性支持体を、ヒートロール表面上を接触走行させつつ加熱下に張力をかけてホットロール処理を施し、張力付与下に巻取るホットロール処理工程とを備えた蒸着テープの製造方法であって、前記ヒートロール温度を190〜230℃とし、前記ホットロール処理時の張力を10〜30N/mとしてテープ長手方向に生じる収縮量を緩和させることを特徴とする蒸着テープの製造方法である。
【0019】
請求項5の構成によれば、非磁性支持体上に金属磁性薄膜、保護層およびバックコート層が形成された後にホットロール処理工程が導入されるので、その後の工程で好ましくない張力や加熱などのストレスに曝されることがない。ホットロール処理工程では、ヒートロール温度とホットロール処理時の張力とを制御してホットロール処理が加えられカッピング量の矯正が行われつつ、テープ長手方向に生じる収縮量が緩和されるので、蒸着テープに異常を生じることなく経時における寸法変化の小さい蒸着テープが製造される。
【0020】
請求項6に係る発明は、非磁性支持体の一主面上に、少なくとも金属磁性薄膜を成膜する工程と、保護層を成膜する工程と、前記非磁性支持体の金属磁性薄膜が成膜される側と反対側の他主面上にバックコート層を成膜する工程と、該金属磁性薄膜、保護層およびバックコート層が形成された前記非磁性支持体を、ヒートロール表面上を接触走行させつつ加熱下に張力をかけてホットロール処理を施し、張力付与下に巻取るホットロール処理工程とを備えた蒸着テープの製造方法であって、前記巻取り時の張力を10〜30N/mとし、次工程までの放置時間を72時間以下としてテープ長手方向に生じる収縮量を緩和させることを特徴とする蒸着テープの製造方法である。
【0021】
請求項6の構成によれば、非磁性支持体上に金属磁性薄膜、保護層およびバックコート層が形成された後にホットロール処理工程が導入されるので、その後の工程で好ましくない張力や加熱などのストレスに曝されることがない。ホットロール処理工程では、巻取り時の張力と次工程までの放置時間とを制御してカッピング量の矯正が行われつつ、テープ長手方向に生じる収縮量が緩和されるので蒸着テープに異常を生じることがないほか、次工程までの放置時間がコントロールされることによって、オフトラック量がトラック幅の半分以下に維持される。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法は、非磁性支持体上に金属磁性薄膜からなる磁性層が形成された後に、適宜の製造段階で導入されるテープの反り(カッピング)を矯正するためのホットロール処理工程における処理条件を適切に制御することによって、テープ長手方向に生じる収縮量を緩和させるものである。
前述のように上記ホットロール処理工程は、非磁性支持体上に金属磁性薄膜を有する蒸着テープを連続的に供給して、ヒートロール表面上を接触走行させつつ加熱下に張力をかけてホットロール処理を施した後、張力付与下に巻取る工程からなるものである。
【0023】
以下、図1に例示するフロー、および図2に例示する磁気記録媒体の概略断面図を参考にしながら本発明の蒸着テープの製造方法を更に説明する。なお、本発明の磁気記録媒体の製造方法は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でその他の態様が取り得る。
【0024】
先ず、本発明における前記ホットロール処理工程は、磁性層形成後の適宜の製造段階で導入されるが、図1のフローに示す例では、図2の非磁性支持体1の一主面A上に磁性層2と、保護層3とが順次形成され、更に磁性層2が形成された側と反対側の他主面B上にバックコート層4が形成された後に導入して行われる場合である。
更に、図1に示すようにホットロール処理工程後に保護層3上およびバックコート層4上に潤滑剤5が塗布されてもよい。このようにして図2に示す概略断面図の層構成からなる蒸着テープが作製される。
【0025】
上記ホットロール処理工程のホットロール処理においては、前記のように非磁性支持体1の一主面A上に磁性層2、保護層3が、他主面B上にバックコート層4が形成された媒体(被処理体)に対して、図3の概略構成図に示すような熱処理システム、すなわちホットロール装置30を用いて加熱処理が行われる。
ホットロール装置30は、上記構成の被処理体31を連続走行させながら金属磁性薄膜からなる磁性層2側に熱処理を施すようになされたものであり、詳細は以下のように行われる。
【0026】
図3において、被処理体31が反時計回りに回転する巻出しロール33から、反時計回りに定速回転する巻取りロール34に向かって順次走行するようになされている。この被処理体31が巻出しロール33側から巻取りロール34側に走行する中途部には、当該被処理体31に熱処理を施すヒートロール32が配設されている。ヒートロール32は、例えば、直径が250mm程度の金属製の円筒であり、内部に加熱手段(加熱誘導コイルなど)を備え、ロール表面温度(100〜300℃程度の範囲)をコントロールできるようになされている。熱処理時には、ニップロール35によって被処理体31がヒートロール32に密着する構成となっている。
【0027】
また、巻出しロール33とヒートロール32の中途部にはガイドロール36a、36b、36cが配設されており、ダンサーロール37によって、被処理体31に適当な張力を与えつつ、円滑な走行ができるようになされている。
なお、巻出しロール33、巻取りロール34、ヒートロール32、ガイドロール36a、36b、36c、ダンサーロール37は、それぞれ被処理体31の幅と略同じ長さからなる円筒状をなすものである。
【0028】
上記ホットロール装置30によりホットロール処理を施した後、張力付与下に巻取ることによってホットロール処理工程が実施される。そして、このホットロール処理工程において、本発明の目的とするテープ長手方向に生じる収縮量を緩和するためには、前述のように下記(1)あるいは(2)のいずれかの条件に設定する必要がある。
(1)ヒートロール温度:190〜230℃、ホットロール処理時の張力:10〜30N/m、
(2)巻取り時の張力:10〜30N/m、次工程までの放置時間:72時間以下
【0029】
上記条件(1)の場合、ヒートロール温度が190〜230℃の範囲外では、カッピングの矯正効果が得られず、そのためカッピング量が規格を超えてしまい(規格外)、蒸着テープとしての信頼性が得られなくなってしまう。
また、ホットロール処理時の張力が10N/mよりも低い場合には、テープ(非磁性支持体)の走行安定性が悪化してシワが発生したり、テープが切断したりする問題が発生する。一方、ホットロール処理時の張力が30N/mよりも大きい場合には、収縮量が緩和されずオフトラック量がAIT3フォーマットで要求される2.0μm以下を達成できない。
【0030】
上記条件(2)の場合、巻取り時の張力を10〜30N/mとする理由は、10N/mよりも低い場合には、テープにシワが発生したり、テープが切断したりして走行安定性が悪化し、また巻取り時の張力が30N/mよりも大きい場合には、収縮量が緩和されずオフトラック量が2.0μm以下を達成できず、AIT3フォーマットに対応できないためである。
また、次工程までの放置時間が72時間を超えるとオフトラック量がAIT3フォーマットで要求される2.0μm以下を達成できない。更に72時間を越えるようなリードタイムでは生産性が悪化してしまい現実的な生産時間を逸脱してしまう。
【0031】
次に、図2に示した蒸着テープの各構成層について更に詳しく説明する。
非磁性支持体1に使用される基体としては、通常、蒸着テープの基体として用いられている公知の材料を適用することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、あるいは芳香族ポリアミドなどのポリアミドフィルムを用いることができる。なお、これらのフィルムには突起が形成され、表面粗さがコントロールされたものであってもよい。
【0032】
また、金属磁性薄膜からなる磁性層2に用いられる材料としては、Co、Co−Ni合金、Co−Cr合金等、従来公知の強磁性金属材料をいずれも使用することができ、これらの強磁性金属材料を真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の真空蒸着薄膜形成技術によって、上記非磁性支持体1上に被着させることで形成することができる。
例として、図4に示す連続巻取り式真空蒸着装置を用いて金属磁性薄膜からなる磁性層2を形成する場合について説明する。
【0033】
〈連続巻取り式真空蒸着装置による磁性層の形成プロセス〉
連続巻取り式真空蒸着装置40においては、真空室46内に、巻出しロール41と巻取りロール45とが設けられており、これらの間に非磁性支持体1が順次走行するようになされている。これら巻出しロール41と巻取りロール45との間において、非磁性支持体1が走行する途中には、冷却キャン47が設けられている。この冷却キャン47には、図示しない冷却装置が設けられ、周面を走行する非磁性支持体1の温度上昇による熱変形等を抑制している。なお、真空室46には必要によりガスを導入するためのガス導入管48が設けられている。
【0034】
真空室46内には、冷却キャン47の下方にルツボ43が設けられており、ルツボ43内には、強磁性金属材料44が充填されている。一方、真空室46の側壁部には、ルツボ43内に充填された強磁性金属材料44を加熱蒸発させるための電子銃42が設けられ、これより放出される電子線Eの照射によって蒸発した強磁性金属材料44が非磁性支持体1の表面に金属磁性薄膜として蒸着し、図2に示した磁性層2が形成される。
【0035】
次に、図2に示した層構成のように磁性層2上にカーボンからなる保護層3を形成する。保護層3は、磁気ヘッドの接触による磨耗や損傷等、外部からのストレスに対して蒸着テープを保護するために設けられる。
【0036】
この保護層3に用いる材料としては、通常の蒸着テープに使用されているものを用いることができるが、例えば硬度の高いカーボン(C)等を主体とする薄膜材料が好ましく使用できる。このようなカーボン薄膜の成膜は、真空成膜技術(マグネトロンスパッタ法、CVD法など)によって行うことができる。
例として、図5に示すマグネトロンスパッタリング装置50を用いてカーボンからなる保護層3を形成する場合について説明する。
【0037】
〈マグネトロンスパッタリング装置による保護層の形成プロセス〉
図5の概略構成図に示すマグネトロンスパッタリング装置50においては、真空室58内に、巻出しロール51と巻取りロール57とが設けられ、これら巻出しロール51と巻取りロール57との間で、被処理テープ52が順次走行するようになされている。
これら巻出しロール51から巻取りロール57に被処理テープ52が走行する途中には、円筒状の回転可能な対向電極用の冷却キャン53が設けられている。
【0038】
また、真空室58内には、冷却キャン53と対向する位置にターゲット54が設けられている。ターゲット54は、図2に示す保護層4の材料となるものであり、例えばカーボンが用いられる。
これらターゲット54は、カソード電極を構成するバッキングプレート55に支持されている。そして、バッキングプレート55の裏面には、磁場を形成するマグネット56が配設されている。
【0039】
このマグネトロンスパッタリング装置50において、ガス導入管59から希ガス(例えばArガス)を導入するとともに、冷却キャン53をアノード、バッキングプレート55をカソードとして電圧を印加すると、プラズマ化したArガスによりターゲット54から原子がはじき出され、マグネット56によって形成される磁場により効果的に前記磁性層2上に保護膜3が形成される。
【0040】
次に、図2の層構成に示すように上記磁性層2、保護層3が形成された側とは反対側の非磁性支持体1の他主面上にバックコート層4を形成する。
バックコート層4の形成に用いる材料としては、一般にバックコート層用として使用されるものであれば如何なるものであってもよく、例えばカーボン、金属の酸化物または炭化物あるいは窒化物等が挙げられる。
【0041】
また、バックコート層4は、上記カーボン等の材料を有機バインダーと共に分散混合し、非磁性支持体1の他主面B表面に塗布することで成膜することができる。また、CVDやスパッタ法等の真空蒸着法などの薄膜形成プロセスによって成膜してもよい。
例として、図6に示すバックコート層塗布コーター60を用いてバックコート層4を形成する場合について以下に説明する。
【0042】
〈バックコート層塗布コーターによるバックコート層の形成プロセス〉
バックコート層塗布コーター60においては、巻出しロール61と巻取りロール68とが設けられており、これらの間に被処理媒体64が順次走行するようになされている。被処理媒体64が走行する途中には、コーターヘッド62と、ドライヤー66が設けられている。
巻出しロール61から送り出された被処理媒体64の前記磁性層2、保護層3が形成された側とは反対側の非磁性支持体1他主面B上に、グラビアロール63により、バックコート層用塗料をコーティングし、サクションロール65を経由してドライヤー66に導き、ノズル67の加熱手段によって塗料を乾燥してバックコート層4が形成される。
【0043】
上記のようにして非磁性支持体1の一主面A上に磁性層2、保護層3、および他主面B上にバックコート層4がそれぞれ形成された後、前述のようにホットロール処理工程において、ヒートロール表面上を接触走行させつつ加熱下に張力をかけてホットロール処理を施した後、張力付与下に巻取られる。
図1のフロー例では、上記ホットロール処理工程でカッピング量の矯正が行われた後、潤滑剤5(図2)が塗布される。
【0044】
潤滑剤5は、磁性層2形成側とバックコート層4形成側の最外表面に塗布形成され、これによって蒸着テープ表面の摩擦係数を低減し、走行性や耐久性を向上させることができる。
この潤滑剤5に用いる材料としては、通常の薄膜磁性記録媒体用として使用されているものを用いることができるが、中でも、例えばパーフルオロポリエーテル系の潤滑剤を好ましく用いることができる。
【0045】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。ただし、本発明はなんら実施例に限定されるものではない。
【0046】
実験例1〜30
以下のような手順と製法で、前記図2に示した蒸着テープ構成と同様にして各構成層を形成し、実験例1〜30それぞれの評価用蒸着テープを作製した。
【0047】
〔磁性層の形成〕
非磁性支持体1として、幅1m、長さ5000mのポリアミドフィルム(東レ株式会社製)を用いて、前記図4に示した概略構成図からなる連続巻取り式真空蒸着装置40により下記条件でコバルト(Co)金属磁性薄膜からなる磁性層2を形成した。
すなわち、先ずポリアミドフィルムを真空室46内にセッティングし、その内部が10−3Pa程度の圧力となるように真空排気した。そして、ガス導入管48から酸素ガスを導入して微量の酸素存在下で、蒸着源として強磁性金属材料44にCoを用い、蒸着の入射角を磁性支持体1の法線方向に対して45〜90°とする条件で連続真空斜め蒸着を行った。その際、非磁性支持体1を−40℃程度まで冷却した冷却キャン47上で50m/minの速度で走行させつつ、Co金属磁性薄膜の厚みが180nmとなるように電子銃42のパワーをコントロールして磁性層2を形成した。
【0048】
〔保護層の形成〕
次に、前記図5に示した概略構成図からなるマグネトロンスパッタリング装置50を用いて保護層3を形成した。
上記Co金属磁性薄膜が形成されたポリアミドフィルム(被処理テープ52)を真空室58内にセッティングし、その内部を10−4Pa程度の圧力まで真空排気した後、アルゴンガス(Ar)を導入して0.8Pa程度の圧力にした。そして−40℃程度まで冷却した冷却キャン53上で5m/minの速度で走行させつつ、Co金属磁性薄膜からなる磁性層2上に厚みが8nm程度のカーボンからなる保護層3を形成した。
【0049】
〔バックコート層の形成〕
続いて、下記組成からなるバックコート層用塗料を調製し、この塗料を用いて前記図6に示した概略構成図からなるバックコート層塗布コーター60により、上記磁性層2が形成された側と反対の非磁性支持体1の他主面上に、塗布および乾燥を行いバックコート層4を形成した。なお、ドライヤー温度は120℃とし、張力は50N/mに設定して塗布、乾燥を行った。
【0050】
【0051】
〔ホットロール処理工程/ホットロール処理〕
次に、上記のようにして非磁性支持体1の一主面A上に磁性層2、保護層3を、他主面B上にバックコート層4を形成した後、前記図3に示した概略構成図からなるホットロール装置30を用いてホットロール処理を行った。
実験例1〜30のホットロール処理条件は、ホットロール処理時の張力をそれぞれ5N、10N、20N、30N、40N、50Nに変え、各ホットロール処理時の張力におけるヒートロール温度を170℃、190℃、210℃、230℃、250℃に変化させて割り付けたものである(例えば、実験例1:張力5N、温度170℃、実験例2:張力5N、温度190℃、〜実験例30:張力50N、温度250℃)。
【0052】
なお、ホットロール処理における走行速度は100m/minとし、ヒートロールへの抱角は50°とした。また、張力はヒートロール後のダンサーロールを調整することで調節した。
【0053】
ホットロール処理後、巻取り時の張力を80N/mとして各テープを巻取った。そしてこのテープを72時間放置した後、次工程である潤滑剤の塗布を行った。
【0054】
〔潤滑剤の塗布〕
ホットロール処理を施した上記各テープの磁性層2側およびバックコート層4側最外表面に、潤滑剤5としてパーフルオロポリエーテル化合物を10nmの厚みとなるように塗布した。潤滑剤乾燥時のドライヤー温度は80℃、走行時の張力は80N/mとした。
【0055】
〔パンケーキへの裁断〕
以上のような製法とプロセスで各構成層が形成された広幅、長尺の実験例1〜30の蒸着テープ原反(ジャンボロール)を図7に示す裁断装置70を用いて所望する幅、長さに裁断してパンケーキ(円形状のハブに巻き取られた形態)を得た。
裁断時の巻取り張力は60g/8mm、タッチロール圧力は200g/8mm、走行速度は200m/minとし、パンケーキへの巻取り長は5000mとして評価用蒸着テープを作製した。なお、図7に示す裁断装置70の概略構成は以下のようである。
【0056】
裁断装置70においては、ジャンボロールロール71(巻きだし)から送り出された蒸着テープ原反77が走行する途中に裁断ユニット72が設けられており、この裁断ユニット72を通過する際に蒸着テープ原反77は、上刃73と下刃74からなる裁断手段により所望する幅に裁断され、タッチロール75を介してパンケーキ76に巻取られる。
上記裁断装置70により裁断した実験例1〜30の評価用蒸着テープをカセットに組込み、オフトラック量の測定を行った。
【0057】
<評価>
上記で作製した各評価用蒸着テープを図8に概念を示すオフトラックの測定方法により、下記(I)、(II)の手順でテープの寸法変化による記録時と再生時におけるトラックの幅方向のズレ量であるオフトラックの評価を行った。
測定方法:
(I)評価用蒸着テープをAITカセットに組み込んで信号を記録後、温度60℃、湿度20%Rhの環境下で24時間保存。
(II)保存完了後、取り出したAITカセットに組み込んだテープの出力波形(オシロスコープ)を測定。
【0058】
上記(I)の保存環境は、AITドライブの動作保証範囲で最も厳しいと考えられる条件を基にして設定している。また、テープの寸法変化が飽和し切る時間として24時間保存を設定している。この状態でオフトラック評価を行うことにより、データとしては最悪値を得ることができる。
【0059】
(II)において、図8(a)の保存後に示すようにオシロスコープ上の波形で、ヘッドの入口側でトラックを合せる(出力A)と、出口側で出力が低下(出力B)する。これは、上記温湿環境で保存したため、図8の(b)に示すように、主に長手方向にテープが収縮してトラックの角度がズレ、これによりトラックズレTpが生じたことによる。この出口部分でのトラックの幅方向のズレ量をオフトラックと定義し、テープの寸法安定度の指針としている。
オフトラック量は、上記ヘッドの入口側出力Aと出口側出力B、およびトラックピッチTpから、オフトラック量(μm)=(A−B)÷A×Tpとして求められる。
【0060】
なお、これまでの研究結果から、オフトラックはパンケーキの巻取り長とパンケーキ形態での保存期間の影響を受けることが分かっている。これは高分子材料(例えば、ポリアミドフィルム等)のクリープ特性に由来している。この点を考慮してオフトラックの測定精度をあげるため、測定は裁断後7日間経過したパンケーキを採用し、測定ポイントは最悪点となるパンケーキ最外周部とすることで統一して評価を行った。
評価結果を表1および図9に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
<評価結果>
上記表1および図9に示したように、温湿環境に保存した後のオフトラック量はホットロール処理時のヒートロール温度およびホットロール処理時の張力と密接な関係が見られ、ホットロール処理時の張力が低いほど小さくなると共に、ヒートロール温度が高温であるほど小さくなることが分かった。
また、ヒートロール温度が170℃以下の場合、および250℃以上の場合には、ホットロール処理本来の目的であるカッピングの矯正効果が得られず、いずれの評価用蒸着テープも規格のカッピング量を超えてしまった。
【0063】
ホットロール処理時の張力の影響については、表1に示したように5N/mではテープ(非磁性支持体)の走行安定性が悪化し、シワやベースの切断が発生するという問題が生じた。このことから、ホットロール処理に要求される現実的な張力としては、10N/m以上が必要であることが分かった。
更に、ホットロール処理時の張力が40N/m以上では、オフトラック量が目標とする2.0μmを超えてしまうことが判明した。
【0064】
以上の結果から、AIT3フォーマットとして必要なオフトラック量2.0μmを達成し、なおかつカッピングを適切な規定範囲に収めるためには、ヒートロール温度およびホットロール処理時の張力を、目標とする2.0μmを満たす実験例7、8、9、実験例12、13、14、実験例17、18、19から、以下の範囲の条件に設定する必要があることが確認された。
ヒートロール温度 : 190〜230℃
ホットロール処理時の張力 : 10〜30N/m
【0065】
実験例31〜65
先ず、幅1m、長さ5000mのポリアミドフィルム(東レ株式会社製)を非磁性支持体として用い、この非磁性支持体上に前記実験例(1〜30)の手順および製法と同様にして順次、磁性層、保護層、バックコート層を前記図2に示した構成で形成し、各テープ(実験例31〜65用)を作製した。
【0066】
〔ホットロール処理工程/ホットロール処理および巻取り時の張力〕
次に、上記のようにして非磁性支持体1の一主面A上に磁性層2、保護層3を、他主面B上にバックコート層4を形成した各テープを、前記図3に示した概略構成図からなるホットロール装置30を用いてホットロール処理を行った。
【0067】
各テープ(実験例31〜65用)のホットロール処理時の張力は、ヒートロール後のダンサーロールを調整し、50N/mの一定とした。また、ホットロール処理における走行速度は100m/minとし、ヒートロールへの抱角は50°とした。ヒートロール温度は、所望するカッピング量に合わせて適宜調整した。
【0068】
次に、ホットロール処理後における、巻取り時の張力条件をそれぞれ5N/m、10N/m、20N/m、30N/m、40N/m、50N/m、70N/mに変えて各テープを巻き取った。
そして、それぞれの張力で巻取られたテープを、次工程までの放置時間として1時間、6時間、24時間、72時間、168時間の条件で放置した後、各テープの磁性層2側およびバックコート層4側最外表面に、潤滑剤5としてパーフルオロポリエーテル化合物を10nmの厚みとなるように塗布した。潤滑剤乾燥時のドライヤー温度は80℃、走行時の張力は80N/mとした。以上の条件で各実験例31〜65の評価用蒸着テープを作製した。
【0069】
上記実験例31〜65の評価用蒸着テープについて、前記実験例の評価方法に準拠してオフトラック量の評価を行った。評価結果を表2および図10に示す。
【0070】
【表2】
【0071】
〈評価結果〉
表2および図10に示したように、オフトラック量は巻取り時の張力と、巻取り後における次工程までの放置時間と密接な関係が見られる。すなわち、オフトラック量は、巻取り時の張力が低いほど小さくなり、また次工程までの放置時間が短いほど小さくなることが分かった。
【0072】
ここで次工程までの放置時間が168時間では、オフトラック量が目標とする2.0μmを超えてしまうことが分かった。また、72時間を超えるような放置時間では、リードタイムの面で生産性が悪化するため、現実的な製造時間として適用するには長すぎてしまい問題である。
なお、次工程までの放置時間が1時間の場合には、製造設備に付帯する制約や操作などに要する時間から判断すると、場合によっては放置時間としてやや短時間の傾向はある。
【0073】
巻取り時の張力の影響については、表2に示したように5N/mではテープ(非磁性支持体)の走行安定性が悪化し、シワやベースの切断が発生した。ホットロール処理工程の巻取り時に要求される現実的な張力としては、10N/m以上が必要であることが分かった。
【0074】
以上の結果から、AIT3フォーマットとして必要なオフトラック量2.0μmを達成し、なおかつカッピングを適切な規定範囲に収めるためには、ホットロール処理工程の巻取り時の張力および次工程までの放置時間を、以下の範囲の条件に設定する必要があることが確認された(実験例36、37、38、39、実験例41、42、43、44、実験例46、47、48、49)。
巻取り時の張力 : 10〜30N/m
次工程までの放置期間 : 72時間以下
【0075】
前記一連の実験例から、本発明の条件で製造された蒸着テープは、AIT3フォーマットのトラック幅に適応したオフトラック量を有しており、データ記録後にテープが経時において寸法変化した場合でも本来の特性を損なうことなく、データの再生を可能にすることが確認できた。
【0076】
【発明の効果】
本発明の蒸着テープの製造方法によれば、ホットロール処理工程のホットロール処理におけるヒートロール温度を190〜230℃とし、ホットロール処理時の張力を10〜30N/mとするか、あるいはホットロール処理工程の巻取り時の張力を10〜30N/mとし、次工程までの放置時間を72時間以下とするか、いずれかの条件により、テープ長手方向に生じる収縮量が緩和して、AIT3フォーマットのトラック幅に適応したオフトラック量2.0μmが達成されると共に、適切なカッピング量の矯正が行われ、データ記録後にテープが経時で寸法変化した場合でも本来の特性を損なうことなく、データの再生を可能にする蒸着テープが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施の形態において本発明の製造方法に関するホットロール処理工程を説明するための一例を示すフロー図である。
【図2】発明の実施の形態および実施例における蒸着テープの層構成を示す概略断面図である。
【図3】発明の実施の形態および実施例におけるホットロール処理に用いるホットロール装置の概略構成図である。
【図4】発明の実施の形態および実施例における磁性層を形成するための連続巻取り式真空蒸着装置の概略構成図である。
【図5】発明の実施の形態および実施例における保護層を形成するためのマグネトロンスパッタリング装置の概略構成図である。
【図6】発明の実施の形態および実施例におけるバックコート層を形成するためのバックコート層塗布コーターの概略構成図である。
【図7】実施例において蒸着テープ原反をパンケーキに裁断するための裁断装置の概略構成図である。
【図8】実施例の評価においてオシロスコープ出力波形からオフトラック量を測定する方法を模式的に示した概念図である。
【図9】実験例1〜30のホットロール処理工程におけるホットロール処理時の張力とオフトラック量との関係をヒートロール温度をパラメータとして示した図である。
【図10】実験例31〜65のホットロール処理工程における巻取り時の張力とオフトラック量との関係を次工程までの放置時間をパラメータとして示した図である。
【符号の説明】
1……非磁性支持体、2……磁性層、3……保護層、4……バックコート層、5…潤滑剤、30……ホットロール装置、31……被処理体、32……ヒートロール、33……巻出しロール、34……巻取りロール、35……ニップロール、36a……ガイドロール、36b……ガイドロール、36c……ガイドロール、37……ダンサーロール、40……連続巻取り式真空蒸着装置、41……巻出しロール、42……電子銃、43……ルツボ、44……強磁性金属材料、45……巻取りロール、46……真空室、47……冷却キャン、48……ガス導入管、50……マグネトロンスパッタリング装置、51……巻出しロール、52……被処理テープ、53……冷却キャン、54……ターゲット、55……バッキングプレート、56……マグネット、57……巻取りロール、58……真空室、59……ガス導入管、60……バックコート層塗布コーター、61……巻出しロール、62……コーターヘッド、63……グラビアロール、64……被処理媒体、65……サクションロール、66……ドライヤー、67……ノズル、68……巻取りロール、70……裁断装置、71……ジャンボロール、72……裁断ユニット、73……上刃、74……下刃、75……タッチロール、76……パンケーキ、77……蒸着テープ原反、A……一主面、B……他主面、E……電子線
Claims (6)
- 非磁性支持体上に金属磁性薄膜を有する蒸着テープを連続的に供給して、ヒートロール表面上を接触走行させつつ加熱下に張力をかけてホットロール処理を施した後、張力付与下に巻取るホットロール処理工程を備えた蒸着テープの製造方法において、前記ヒートロール温度を190〜230℃とし、前記ホットロール処理時の張力を10〜30N/mとすることを特徴とする蒸着テープの製造方法。
- 非磁性支持体上に金属磁性薄膜を有する蒸着テープを連続的に供給して、ヒートロール表面上を接触走行させつつ加熱下に張力をかけてホットロール処理を施した後、張力付与下に巻取るホットロール処理工程を備えた蒸着テープの製造方法において、前記巻取り時の張力を10〜30N/mとし、次工程までの放置時間を72時間以下とすることを特徴とする蒸着テープの製造方法。
- 前記蒸着テープのオフトラック量が2.0μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の蒸着テープの製造方法。
- 前記蒸着テープがAIT3フォーマット対応であることを特徴とする請求項1または2に記載の蒸着テープの製造方法。
- 非磁性支持体の一主面上に、少なくとも金属磁性薄膜を成膜する工程と、該磁性薄膜上に保護層を成膜する工程と、前記非磁性支持体の金属磁性薄膜が成膜される側と反対側の他主面上にバックコート層を成膜する工程と、該金属磁性薄膜、保護層およびバックコート層が形成された前記非磁性支持体を、ヒートロール表面上を接触走行させつつ加熱下に張力をかけてホットロール処理を施し、張力付与下に巻取るホットロール処理工程とを備えた蒸着テープの製造方法であって、
前記ヒートロール温度を190〜230℃とし、前記ホットロール処理時の張力を10〜30N/mとすることを特徴とする蒸着テープの製造方法。 - 非磁性支持体の一主面上に、少なくとも金属磁性薄膜を成膜する工程と、該磁性薄膜上に保護層を成膜する工程と、前記非磁性支持体の金属磁性薄膜が成膜される側と反対側の他主面上にバックコート層を成膜する工程と、該金属磁性薄膜、保護層およびバックコート層が形成された前記非磁性支持体を、ヒートロール表面上を接触走行させつつ加熱下に張力をかけてホットロール処理を施し、張力付与下に巻取るホットロール処理工程とを備えた蒸着テープの製造方法であって、
前記巻取り時の張力を10〜30N/mとし、次工程までの放置時間を72時間以下とすることを特徴とする蒸着テープの製造方法。
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