JP2006059397A - 磁気記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】磁性層の結晶配向を制御すると共に、耐食性も向上させることができる磁気記録媒体を提供する。
【解決手段】非磁性支持体1の上に下地層5を介して磁性層2を形成する。下地層5はスパッタリング法により成膜し、CrまたはNiAlにより構成する。磁性層2は真空斜法蒸着法により成膜し、Co粒子が複数連なったカラムを形成する。CrまたはNiAlの(110)結晶面の上に、Coの(002)結晶面が優先的にエピタキシャル成長するので、Co粒子の結晶配向が向上し、磁性層2の膜厚を薄くしても磁気特性を向上させることができる。また、下地層5は磁性層2の腐食を防止する効果も有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、非磁性支持体に真空斜法蒸着法により磁性層が形成された磁気記録媒体に関する。
ビデオテープレコーダー(VTR)などの磁気記録装置においては、高画質化を図るために、高密度記録化が一層強く要求されている。これに対応する磁気記録媒体としては、非磁性支持体の上に、強磁性材料を直接蒸着させて磁性層を形成した、いわゆる金属磁性薄膜型の磁気記録媒体が提案されている。
この金属磁性薄膜型の磁気記録媒体は、塗布型の磁気記録媒体に比較して、保磁力Hc、残留磁化Mr、および角型比Sなどに優れ、短波長での電磁変換特性にも優れている。また、強磁性材料を直接蒸着させるので、磁性層の厚みを極めて薄くすることができ、記録減磁あるいは再生時の厚み損失が著しく小さくなり、良好な電磁変換特性が得られる。
このような磁気記録媒体では、磁性層に1軸磁気異方性の最も高い強磁性材料であるコバルト(Co)が広く用いられている。しかし、コバルト粒子のみでは、コバルト粒子間の磁気的相互作用が大きく、保磁力が非常に小さくなってしまうので、磁気記録媒体としては適さない。そこで、磁性層を蒸着により形成する際に、コバルトまたはコバルト合金の金属蒸気に酸素ガスを供給し、非磁性である酸化コバルト粒子を意図的に混入させることにより、保磁力Hcを向上させる手法が用いられている。
また、記録方向における電磁変換特性をさらに向上させ、より大きな出力が得られるようにするために、磁性層を蒸着する際に、強磁性材料を非磁性支持体に対して斜めに入射させて被着させる、いわゆる真空斜法蒸着法も用いられている。
これら酸素導入法および真空斜法蒸着法を用いることにより、蒸着型の磁気テープ(蒸着テープ)では、その保磁力を向上させることに成功し、おおよそ100kA/m〜160kA/mの範囲で保磁力Hcを調整することが可能となった。これにより、このような磁気テープは、民生用デジタルビデオテープ(例えばDVCあるいはDV−cam)またはコンピューターデータ記録用テープ(例えば、AITあるいはMammoth)としてすでに実用化されている。
ところが、近年では、ハード・ディスク装置(HDD)あるいはDVD(digital video disc)などの他の記録媒体において大容量化が著しく進んでおり、磁気テープについても更なる高記録密度化が求められている。例えば、1TBを超える大容量の磁気テープを実現するには、高記録周波数帯域での更なる高再生出力化および低ノイズ化が必要である。それには、記録分解能の優れた記録ヘッドと、感度の高い再生ヘッド、例えば異方性磁気抵抗効果型ヘッド(AMRヘッド)または巨大磁気抵抗効果型磁気ヘッド(GMRヘッド)との導入が必要不可欠であり、磁気テープにもそれらに対応する特性が要求されている。具体的は、磁性層の薄膜化、並びに保磁力Hc、角型比Sおよび保磁力角型比S* の更なる向上が求められている。
しかし、従来の手法により作製された蒸着テープの磁性層では、保磁力Hcは最大で160kA/mが限界であり、保磁力角型比S* も最大で60%が限界であった。また、この磁性層では、50nm以下に膜厚を薄くすると保磁力Hcが低下してしまい、さらに耐食性も悪化するなどの問題もあった。
なお、磁気テープに比べて高記録密度を達成しているHDDでは、磁性層が20nm以下と非常に薄いにも関わらず、高い保磁力Hc、角型比Sおよび保磁力角型比S* を実現している。これは、HDDでは成膜にスパッタリング法を用いているので、コバルト粒子間に容易に他の金属粒子、例えばクロム粒子あるいは白金粒子を存在させることができ、これら他の金属粒子がコバルト粒子の磁気的分離または微細化を促進させるからである。また、下地層の果たす役割も大きく、HDDでは、下地層表面の結晶面に配向させてエピタキシャル成長させることにより、磁性層の結晶配向を制御している。
これに対して、磁気テープでは、非磁性支持体に直接強磁性材料を蒸着させているので、磁性層の結晶は無配向であり、そのために保磁力Hc、角型比Sおよび保磁力角型比S* が低いと考えられる。そこで、この問題を解決する手段として、磁性層の下に酸化コバルトよりなる下地層を設けることが試みられており、それにより保磁力Hc、角型比Sおよび保磁力角型比S* が向上することが確認されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平6−52537号公報
しかしながら、酸化コバルトは電気抵抗が高く、電荷を蓄えやすいので、下地層を酸化コバルトにより形成すると、その上に磁性層を蒸着する際にアーク放電が発生し、成膜装置および磁気テープが損傷してしまうという問題があった。しかも、酸化コバルトは、硬くて脆いなどの特性を有するので、磁気テープの耐久性が低下してしまうという問題もあった。よって、磁性層の結晶配向を制御する他の手段の開発が求められていた。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、下地層を設けることにより、磁性層の結晶配向を制御すると共に、耐食性も向上させることができる磁気記録媒体を提供することにある。
本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体と、この非磁性支持体に設けられたクロム(Cr)またはニッケル−アルミニウム(Ni−Al)合金よりなる下地層と、この下地層を介して非磁性支持体に真空斜法蒸着法により形成されたコバルト(Co)を含む磁性層とを有するものである。
本発明の磁気記録媒体によれば、クロムまたはニッケル−アルミニウム合金よりなる下地層を設けるようにしたので、下地層の結晶配向を利用することにより、磁性層の結晶配向性を向上させることができる。よって、磁性層を薄く、例えば50nm以下としても、保磁力Hc、角型比Sおよび保磁力角型比S* を向上させることができ、高記録密度化を図ることができる。また、磁性層の酸化を抑制することができ、耐食性も向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る磁気記録媒体である磁気テープの断面構造を表すものであり、図2は図1に示した磁性層2の一構造例を模式的に表すものである。この磁気テープは、例えば、AMRヘッドあるいはGMRヘッドを用いた記録再生システムに対して用いるのに適したものであり、非磁性支持体1の上に、磁性層2,保護層3および潤滑層4が非磁性支持体1の側からこの順に積層されている。また、非磁性支持体1と磁性層2との間には、下地層5が設けられている。
非磁性支持体1は、例えば、ポリエステル類、ポリオレフィン類、セルロース誘導体、ビニル系樹脂、ポリイミド類、ポリアミド類、あるいはポリカーボネートなどに代表される高分子材料により構成されている。
磁性層2は真空斜方蒸着法により形成されたものであり、例えば図2に示したように、強磁性粒子11と非磁性粒子12とを含む斜方柱状構造を有している。強磁性粒子11は、複数個連なって強磁性粒子11の集合体であるカラム13を形成している。カラム13は複数形成されており、磁性層2の積層方向yに対してそれぞれほぼ同一方向に傾斜している。なお、カラム13は例えば直線状ではなくわずかに湾曲した形状となっている。1つのカラムにおいて強磁性粒子11は連続して3個以上、例えば3個から8個程度連なっている。
強磁性粒子11は、コバルト粒子により構成されている。コバルトの結晶構造は六方最密構造であり、その磁化容易軸はc軸である。強磁性粒子11の磁化容易軸の方向mはカラムの傾斜方向とほぼ同一であり、そのばらつきは小さい方が好ましく、例えば20°以内となるように結晶配向していることが好ましい。保磁力Hc、角型比Sおよび保磁力角型比S* を向上させることができるからである。
強磁性粒子11の平均粒径は例えば10nm以下であることが好ましく、3nm〜6nmの範囲内であればより好ましい。強磁性粒子11は小さい方が媒体ノイズを低くすることができるので好ましいが、あまり微細化すると、超常磁性を示すようになり、残留磁化がなくなってしまうからである。強磁性粒子11が超常磁性を示す粒径は、磁気異方性を用いて理論的に計算することが可能である。コバルト粒子の場合には、粒径がほぼ2.6nm以下になると、超常磁性を示すようになり、磁気記録を行うことができなくなる。なお、強磁性粒子11の粒径というのは、c軸に対して垂直な方向の直径を意味している。
非磁性粒子12は、真空斜方蒸着の際に酸素ガスを導入することにより形成されたものであり、酸化コバルト(CoO)粒子により構成されている。非磁性粒子12は、各カラム13を囲み、各カラム13の間を互いに分離するように位置しており、強磁性粒子11の間における磁気的相互作用を分離する作用を有している。
なお、強磁性粒子11と非磁性粒子12とは、電子線回折あるいは透過型電子顕微鏡を用いた高分解能観察により識別することができる。また、これらの手法と元素マッピングの手法とを組み合わせることにより、磁性層2の微細構造が解析される。元素マッピングの手法としてはエネルギー分散型X線分光法(EDX)やエネルギーフィルター法が挙げられる。
磁性層2の膜厚δは、50nm以下であることが好ましく、特に30nm以下の範囲内であればより好ましい。強磁性粒子11の結晶配向性を高めることができると共に、高記録密度化を図ることができるからである。磁性層2の残留磁化量Mrと膜厚δとの積Mr・δの値は、AMRヘッドで再生する場合には、8mA〜30mAの範囲内であることが好ましく、GMRヘッドで再生する場合には、2mA〜15mAの範囲内であることが好ましい。この範囲内においてヘッドの飽和を防止して、ヘッドの検出感度に対応した再生を行うことができるからである。
保護層3は、グラファイト、ダイヤモンド状炭素(DLC;Diamond-Like Carbon )、ダイヤモンド、または二酸化ケイ素(SiO2 )などにより構成され、薄膜強度からはDLCが特に好ましい。
潤滑層4は、例えば、パーフルオロカーボン系材料、あるいはコハク酸を主骨格とするモノエステル系材料などの潤滑剤を含んでおり、潤滑剤以外に添加剤を含有してもよい。
下地層5は、クロムまたはニッケル−アルミニウム合金により構成されている。これらクロムおよびニッケル−アルミニウム合金(ニッケルとアルミニウムとが1:1のモル比のもの)の結晶構造は体心立方構造であり、下地層5は、磁性層2の側の表面に(110)結晶面を有するように構成されることが好ましい。体心立方構造の(110)結晶面の面間隔は、磁性層2の強磁性粒子11を構成するコバルトの結晶構造である六方最密構造の(002)結晶面の面間隔に非常に近いので、下地層5の(110)結晶面の上にコバルトの(002)結晶面を容易にエピタキシャル成長させることができ、強磁性粒子11の結晶配向性を高めることができるからである。
また、下地層5はクロムまたはニッケル−アルミニウム合金により構成されることにより、非磁性支持体1の側から磁性層2に水分あるいは酸素が侵入することを抑制し、磁性層2の酸化を抑制する機能も有している。
下地層5の膜厚は、例えば60nm以上であることが好ましい。下地層5が薄いと表面に良好な(110)結晶面が形成されず、下地層5の(110)結晶面に配向した強磁性粒子11のエピタキシャル成長を十分に促すことができないからである。但し、下地層5の厚みを60nmよりも厚くしてもその効果は大きく変わらないので、あまり厚くする必要はなく、例えば150nm以下とすることが好ましい。下地層5があまり厚くなると、内部応力が強まり、クラックなどの損傷の他、カッピングやカーリングなどのテープ特性へ悪影響をもたらすからである。
なお、図示しないが、磁気テープの走行性や耐久性を向上させるために、非磁性支持体1の磁性層2と反対側の面に、例えばカーボンブラックを含有するバックコート層を有していてもよい。
この磁気テープは、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、非磁性支持体1の上に、例えばスパッタリング法により下地層5を形成する。図3は下地層5の成膜に用いる連続巻取式スパッタリング装置の一例を表すものである。図3に示したように、非磁性支持体1を供給リール21から供給し、ドラム22を介して巻き取りリール23により巻き取る。その際、ドラム22と、ドラム22に対向して配置されたターゲット24との間に電圧を印加するなどして、ターゲット24の原子をはじき出し、非磁性支持体1の上に堆積させる。その際、非磁性支持体1の温度を制御することにより、例えば室温程度に保持することにより、体心立方構造を有するクロムまたはニッケル−アルミニウム合金の(110)結晶面を面内方向へ配向させる。下地層5の膜厚は、電圧、例えば直流電圧あるいは高周波電圧の大きさ、および非磁性支持体1の走行速度により制御する。
次いで、下地層5の上に、真空斜方蒸着法により磁性層2を形成する。図4は、磁性層2の成膜に用いられる連続巻取式斜方蒸着装置の一例を表すものである。図4に示したように、非磁性支持体1を供給リール31から供給し、ドラム32の上で非磁性支持体1に磁性層2を斜方蒸着する。ドラム32は、例えば−20℃程度に冷却されており、これにより非磁性支持体1の熱変形が防止される。磁性層2が蒸着された非磁性支持体1は、巻き取りリール33により巻き取る。
蒸着は、電子銃34から坩堝35内の蒸着源35Aに電子ビーム34Aを照射することにより行う。蒸着源35Aにはコバルトを用いる。蒸着雰囲気は、真空ポンプ36により、例えば1×10-1Pa〜1×10-3Pa程度に減圧する。非磁性支持体1の走行に伴い、コバルト蒸気の非磁性支持体1に対する入射角は高入射角から低入射角に連続的に変化する。これにより、コバルト粒子よりなる強磁性粒子11が形成され、カラム13は連続的にわずかに湾曲した形状となる。また、強磁性粒子11が形成される際には下地層5の結晶面の影響を受け、下地層5の(110)結晶面の上に強磁性粒子11の(002)結晶面が優先的に形成される。最大入射角θmax および最低入射角θmin は、マスク37を配置することにより調節する。最大入射角θmax は例えば70°以上90°以下の範囲内、最低入射角θmin は例えば30°以上60°以下の範囲内とすることが好ましい。
また、マスク37とドラム32との間に酸素導入管38を配置して、蒸着雰囲気に酸素ガスを局所的に導入する。酸素ガスは局所的に微量導入するので、蒸着雰囲気の真空度を低下させるものではない。これにより、磁性層2に酸化コバルトよりなる非磁性粒子12を形成する。
続いて、磁性層2の上に、例えば、化学気相成長(CVD;Chemical Vapor Deposition )法あるいは物理蒸着(PVD;physical vapor deposition )法により保護層3を形成する。更に、保護層3の上に、例えば、潤滑剤を含む塗料を塗布し、乾燥させることにより潤滑層4を形成する。これにより、図1に示した磁気テープが完成する。
このように本実施の形態によれば、クロムまたはニッケル−アルミニウム合金よりなる下地層5を設けるようにしたので、下地層5の(110)結晶面を利用して強磁性粒子11をエピタキシャル成長させることにより、磁性層2の結晶配向性を向上させることができる。よって、磁性層2を薄くしても、保磁力Hc、角型比Sおよび保磁力角型比S* を向上させることができ、高記録密度化を図ることができる。また、磁性層2の非磁性支持体1の側からの酸化を抑制することができ、耐食性も向上させることができる。
特に、下地層5の膜厚を60nm以上とするようにすれば、また、磁性層2の膜厚を50nm以下とするようにすれば、磁性層2の結晶配向性をより向上させることができ、より高い効果を得ることができる。
更に、本発明の具体的な実施例について説明する。
(実施例1−1〜1−10)
図1に示した構造を有する磁気テープを以下のようにして作製した。まず、非磁性支持体1となる高分子フィルムの上に、図3に示した連続巻取式スパッタリング装置を用いて、下地層5を形成した。その際、実施例1−1〜1−5では下地層5をクロムにより形成し、実施例1−6〜1−10ではニッケル−アルミニウム合金により形成した。また、実施例1−1〜1−5および実施例1−6〜1−10で、下地層5の膜厚を20nm〜100nmの範囲内で20nmずつ変化させた。
次いで、図4に示した連続巻取式斜方蒸着装置を用いて、斜方蒸着法により酸素ガスを導入しながらコバルト粒子と酸化コバルト粒子とを含む磁性層2を形成した。磁性層2の膜厚は、いずれも50nmで一定とした。続いて、磁性層2の上にCVD法によりDLCよりなる保護層3を形成し、更に、保護層3の上に潤滑層4を形成した。また、非磁性支持体1の磁性層2と反対側の面(走行面)には、カーボンブラックを結合剤中に分散させた塗料を塗布し、バックコート層を形成した。これにより、実施例1−1〜1−10の磁気テープを得た。
また、実施例1−1〜1−10に対する比較例1−1として、下地層を形成せずに、非磁性支持体の上に磁性層を直接形成したことを除き、他は実施例1−1〜1−10と同様にして磁気テープを作製した。
作製した実施例1−1〜1−10および比較例1−1の磁気テープについて、飽和磁束密度Ms、残留磁化量Mr、保磁力Hc、角型比S、および保磁力角型比S* をそれぞれ調べた。それらの結果を表1,2にそれぞれ示す。なお、表1,2では、飽和磁束密度Msおよび残留磁化量Mrを磁性層2の膜厚δとの積Ms・δ,Mr・δで表した。また、図5,6に、下地層5の膜厚と、保磁力Hc、角型比Sおよび保磁力角型比S* との関係を示す。
Figure 2006059397
Figure 2006059397
表1,2および図5,6に示したように、クロムまたはニッケル−アルミニウム合金よりなる下地層5を設けた実施例1−1〜1−10によれば、下地層を設けていない比較例1−1よりも保磁力Hc、角型比Sおよび保磁力角型比S* を向上させることができた。また、下地層5の膜厚を厚くするに従い、保磁力Hc、角型比Sおよび保磁力角型比S* は徐々に向上し、下地層5の膜厚が60nmを超えるとほぼ一定となった。
すなわち、クロムまたはニッケル−アルミニウム合金よりなる下地層5を設けるようにすれば、磁性層2の強磁性粒子11の結晶配向を促すことができ、下地層5の膜厚を60nm以上とすればより高い効果を得られることが分かった。
(実施例2−1〜2−14)
下地層5の膜厚を60nmで一定とし、磁性層2の膜厚を20nm〜200nmの範囲内で変化させたことを除き、他は実施例1−1〜1−10と同様にして磁気テープを作製した。その際、実施例2−1〜2−7では下地層5をクロムにより形成し、実施例2−8〜2−14ではニッケル−アルミニウム合金により形成した。また、実施例2−1〜2−14に対する比較例2−1〜2−7として、下地層を形成せずに、非磁性支持体の上に磁性層を直接形成したことを除き、他は実施例2−1〜2−14と同様にして磁気テープを作製した。すなわち、磁性層の膜厚は実施例2−1〜2−14と同様に20nm〜200nmの範囲内で変化させた。
作製した実施例2−1〜2−14および比較例2−1〜2−7の磁気テープについても、飽和磁束密度Ms、残留磁化量Mr、保磁力Hc、角型比S、および保磁力角型比S* をそれぞれ調べた。それらの結果を表3,4にそれぞれ示す。表3,4においても、飽和磁束密度Msおよび残留磁化量Mrは磁性層2の膜厚δとの積Ms・δ,Mr・δで表した。また、図7,8に、下地層5をクロムにより構成した実施例2−1〜2−7における磁性層2の膜厚と、Mr・δ、保磁力Hc、角型比Sおよび保磁力角型比S* との関係を示すと共に、図9,10に、下地層5をニッケル−アルミニウム合金により構成した実施例2−8〜2−14における磁性層2の膜厚と、Mr・δ、保磁力Hc、角型比Sおよび保磁力角型比S* との関係を示す。
Figure 2006059397
Figure 2006059397
表3,4および図7〜10に示したように、下地層5を設けた実施例2−1〜2−14によれば、各磁性層の膜厚において、下地層を設けていない比較例2−1〜2−7と比べて、Mr・δは同程度であるが、保磁力Hc、角型比Sおよび保磁力角型比S* を向上させることができた。また、磁性層2の膜厚が薄くなるに従い、保磁力Hc、角型比Sおよび保磁力角型比S* は向上し、比較例2−1〜2−7との差もより大きくなった。
すなわち、クロムまたはニッケル−アルミニウム合金よりなる下地層5を設けるようにすれば、磁性層2の強磁性粒子11の結晶配向を促すことができ、特に下地層5との界面付近において大きな効果を得られることが分かった。よって、磁性層2の膜厚を薄くした方が強磁性粒子11の結晶配向性をより高めることができ、例えば、磁性層2の膜厚をAMRヘッドあるいはGMRヘッドに対応可能な50nm以下とした場合に、特に有効であることが分かった。
(実施例3−1〜3−6)
下地層5の膜厚を60nmで一定とし、磁性層2の膜厚を50nm,35nm,または20nmと変化させたことを除き、他は実施例1−1〜1−10と同様にして磁気テープを作製した。その際、実施例3−1〜3−3では下地層5をクロムにより形成し、実施例3−4〜3−6ではニッケル−アルミニウム合金により形成した。また、実施例3−1〜3−6に対する比較例3−1〜3−3として、下地層を形成せずに、非磁性支持体の上に磁性層を直接形成したことを除き、他は実施例3−1〜3−6と同様にして磁気テープを作製した。すなわち、磁性層の膜厚は実施例3−1〜3−6と同様に50nm,35nm,または20nmと変化させた。
作製した実施例3−1〜3−6および比較例3−1〜3−3の磁気テープについて、斜め記録方式により磁気変換特性を調べた。磁気変換特性の測定は、記録ヘッドにMIG(Metal In Gap)ヘッド、再生ヘッドにAMRヘッドを搭載したドラムテスターを使用し、回転速度6.77m/sで行った。記録周波数fは12MHz〜48MHzの範囲内で12MHzごとに変化させ、それぞれについて出力およびノイズを測定し、信号対雑音比(C/N比)を計算した。それらの結果を表5,6にそれぞれ示す。なお、表5,6には、記録波長10μmでの遷移領域幅(孤立再生波形のPW50)も合わせて示す。また、図11,12に、記録周波数fとC/N比と磁性層の膜厚との関係を示す。
Figure 2006059397
Figure 2006059397
表5,6および図11,12に示したように、下地層5を設けた実施例3−1〜3−6によれば、下地層を設けていない比較例3−1〜3−3に比べて、各周波数fにおいてC/N比を向上させることができ、周波数fが大きいほどその程度が大きかった。これは下地層5により磁性層2における強磁性粒子11の結晶配向が改善し、磁化反転が急峻化したことによるものである。比較例3−1〜3−3よりも実施例3−1〜3−6の方が遷移領域幅PW50が狭くなっていることからも、記録磁界の反転に対する応答が敏感となっていることが分かる。
また、一般に面内記録の場合、短波長領域での出力の延びを表す周波数特性は、磁性層の膜厚が薄くなるほど改善する。実施例3−1〜3−6は斜め記録であるが、面内記録に近い記録方式であり、いずれも磁性層2の膜厚が薄くなるほど周波数特性が向上している。比較例3−1〜3−3についても同様の傾向が見られるが、実施例3−1〜3−6の方がより向上しており、短波長記録により適していることが分かった。
(実施例4−1〜4−18)
下地層5の膜厚を30nm,60nmまたは90nmと変化させ、更に磁性層2の膜厚を50nm,40nm,または20nmと変化させたことを除き、他は実施例1−1〜1−10と同様にして磁気テープを作製した。その際、実施例4−1〜4−9では下地層5をクロムにより形成し、実施例4−10〜4−18ではニッケル−アルミニウム合金により形成した。また、実施例4−1〜4−18に対する比較例4−1〜4−3として、下地層を形成せずに、非磁性支持体の上に磁性層を直接形成したことを除き、他は実施例4−1〜4−18と同様にして磁気テープを作製した。すなわち、磁性層の膜厚は実施例4−1〜4−18と同様に50nm,40nm,または20nmと変化させた。
作製した実施例4−1〜4−18および比較例4−1〜4−3の磁気テープについて、高温高湿環境下で保存する前後における磁化量Mr・δをそれぞれ測定し、その劣化率を調べた。その際、磁気テープは温度65℃、湿度90%の恒温槽に6日間保存した。それらの結果を表7,8にそれぞれ示す。また、図13,14に、Mr・δの劣化率と、下地層の膜厚と、磁性層の膜厚との関係を示す。
Figure 2006059397
Figure 2006059397
表3,4および図13,14に示したように、下地層5を設けた実施例4−1〜4−18によれば、下地層を設けていない比較例4−1〜4−3に比べて、Mr・δの劣化率を改善することができた。また、その改善の程度は磁性層2の膜厚が薄いほど大きく、下地層5の膜厚が厚いほど大きかった。
すなわち、クロムまたはニッケル−アルミニウム合金よりなる下地層5を設けるようにすれば、磁性層2の耐食性を向上させることができ、特に磁性層2の膜厚が薄い場合に高い効果を得られることが分かった。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形が可能である。例えば、上記実施の形態および実施例では、磁気テープの積層構造について一例を挙げて説明したが、全ての層を備えていなくてもよく、他の層を更に備えていてもよい。また、磁性層2は単層構造でもよいが、2層以上の積層構造とされていてもよい。
更に、上記実施の形態および実施例では、磁気テープを構成する各層の材料および成膜方法などについて具体的に例を挙げて説明したが、保護層3および潤滑層4などは他の材料により構成してもよく、他の成膜方法により形成してもよい。
加えて、上記実施の形態および実施例では、AMRヘッドまたはGMRヘッドに対して用いる場合について説明したが、他のヘッドに対して用いてもよい。
磁性層の膜厚を薄くしても、保磁力Hc、角型比S、および保磁力角型比S* を高くすることができ、AMRヘッドまたはGMRヘッドなどの高感度ヘッドに対して用いることができる。
本発明の一実施の形態に係る磁気記録媒体の構成を表す断面図である。 図1に示した磁気記録媒体の磁性層の構成を表す断面図である。 図1に示した磁気記録媒体を製造する際に用いるスパッタリング装置の構成を表す断面図である。 図1に示した磁気記録媒体を製造する際に用いる蒸着装置の構成を表す断面図である。 下地層(Cr)の膜厚と、保磁力Hc、角型比Sおよび保磁力角型比S* との関係を表す特性図である。 下地層(NiAl)の膜厚と、保磁力Hc、角型比Sおよび保磁力角型比S* との関係を表す特性図である。 下地層をクロムにより構成した場合における磁性層の膜厚と、Mr・δおよび保磁力Hcとの関係を表す特性図である。 下地層をクロムにより構成した場合における磁性層の膜厚と、角型比Sおよび保磁力角型比S* との関係を示す特性図である。 下地層をニッケル−アルミニウム合金により構成した場合における磁性層の膜厚と、Mr・δおよび保磁力Hcとの関係を表す特性図である。 下地層をニッケル−アルミニウム合金により構成した場合における磁性層の膜厚と、角型比Sおよび保磁力角型比S* との関係を示す特性図である。 下地層をクロムにより構成した場合における記録周波数fと、C/N比と、磁性層の膜厚との関係を表す特性図である。 下地層をニッケル−アルミニウム合金により構成した場合における記録周波数fと、C/N比と、磁性層の膜厚との関係を表す特性図である。 Mr・δの劣化率と、下地層(Cr)の膜厚と、磁性層の膜厚との関係を表す特性図である。 Mr・δの劣化率と、下地層(NiAl)の膜厚と、磁性層の膜厚との関係を表す特性図である。
符号の説明
1…非磁性支持体、2…磁性層、3…保護層、4…潤滑層、5…下地層、11…強磁性粒子、12…非磁性粒子、13…カラム、21,31…供給リール、22,32…ドラム、23,33…巻き取りリール、24…ターゲット、34…電子銃、34A…電子ビーム、35…坩堝、35A…蒸着源、36…真空ポンプ、37…マスク、38…酸素導入管

Claims (9)

  1. 非磁性支持体と、
    この非磁性支持体に設けられたクロム(Cr)またはニッケル−アルミニウム(Ni−Al)合金よりなる下地層と、
    この下地層を介して前記非磁性支持体に真空斜法蒸着法により形成されたコバルト(Co)を含む磁性層と
    を有することを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 前記下地層は、スパッタリング法により形成されたことを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  3. 前記下地層の膜厚は、60nm以上であることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  4. 前記下地層は、前記磁性層側の表面に、(110)結晶面を有することを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  5. 前記磁性層は、コバルトよりなる強磁性粒子と、酸化コバルトよりなる非磁性粒子とを含むことを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  6. 前記磁性粒子の平均粒径は10nm以下であることを特徴とする請求項5記載の磁気記録媒体。
  7. 前記磁性層の膜厚は、50nm以下であることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  8. 更に、前記磁性層の上に、保護層を有することを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  9. 更に、前記保護層の上に、潤滑剤を含む潤滑層を有することを特徴とする請求項8記載の磁気記録媒体。
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