JP2006012319A - 磁気記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】極めて優れた磁気特性、及び電磁変換特性を有する高密度記録に適したテープ状の磁気記録媒体を提供する。
【解決手段】長尺状の高分子フィルムよりなる非磁性支持体上に、Ru膜よりなる下地層2、Coを主成分とする磁性層3、及び保護層4が順次形成され、下地層2の、Ruの結晶方位である(0、0、2)面と(1、0、0)面の比、あるいは(1、0、1)面と(0、0、2)面の比に関して、特定の数値以上であるものに特定し、RuのC軸が、確実に面内に配向している磁気記録媒体10を提供する。
【選択図】図1
【解決手段】長尺状の高分子フィルムよりなる非磁性支持体上に、Ru膜よりなる下地層2、Coを主成分とする磁性層3、及び保護層4が順次形成され、下地層2の、Ruの結晶方位である(0、0、2)面と(1、0、0)面の比、あるいは(1、0、1)面と(0、0、2)面の比に関して、特定の数値以上であるものに特定し、RuのC軸が、確実に面内に配向している磁気記録媒体10を提供する。
【選択図】図1
Description
本発明は、高密度記録型の磁気記録媒体に関するものであり、特に、再生用磁気ヘッドとして、磁気抵抗効果型磁気ヘッド(MRヘッド)や、巨大磁気抵抗効果型磁気ヘッド(GMRヘッド)のような、高感度型の磁気ヘッドを用いたシステムに好適なテープ状の磁気記録媒体に関する。
近年、磁気記録媒体においては、大容量のデータを取り扱うために、高密度記録化への要求が益々高まってきている。
特に最近においては、さらなる高密度記録化を達成するために、磁性層を薄膜化させるとともに、記録信号の再生を行う際、従来の誘導型ヘッドに代えて、高感度型の磁気抵抗効果型磁気ヘッド(MRヘッド)や、巨大磁気抵抗効果型磁気ヘッド(GMRヘッド)が適用されるようになってきており、その用途は、ハードディスクだけではなく、磁気テープにも拡大している。
特に最近においては、さらなる高密度記録化を達成するために、磁性層を薄膜化させるとともに、記録信号の再生を行う際、従来の誘導型ヘッドに代えて、高感度型の磁気抵抗効果型磁気ヘッド(MRヘッド)や、巨大磁気抵抗効果型磁気ヘッド(GMRヘッド)が適用されるようになってきており、その用途は、ハードディスクだけではなく、磁気テープにも拡大している。
高密度記録型の磁気テープ媒体としては、従来、真空蒸着法によって磁気記録層が形成された、いわゆるCoO−O蒸着テープが実用化されてきたが、今後さらなる高密度記録化への要望に応じるべく、磁性層の薄膜化を図り、かつ良好な磁気特性をも確保するための研究が進められているが、これらの特性を両立させることは、現在において技術的に限界に近づいていると言える。
一方、ハードディスクの分野においても飛躍的な高密度記録化への技術開発がなされてきており、基板上にCoPt系やCoCrTa系の金属薄膜をスパッタリング法によって形成した構成を有しているものが提案されている(例えば、特許文献1〜4参照。)。
特開平7−57236号公報
特開平7−73433号公報
特開平9−198641号公報
特開2003−123240号公報
上述したような、磁気テープ媒体における従来の現状に鑑み、ハードディスクの記録層の構成を、磁気テープの記録層に応用させることに関する技術の検討がなされてきている。
しかしながら、ハードディスクの製造工程においては、記録層をスパッタリング法によって基板上に成膜する際に、通常300℃以上の加熱処理を施すため、基板は極めて高い耐熱性を有する材料であることが必要とされている。
すなわち、従来のハードディスクの記録層構成をテープ状の磁気記録媒体に応用することを考えると、ベースフィルムに、ポリイミド等のような、極めて耐熱性に優れた材料を適用することが必要となり、従来用いられているポリエチレンテレフタレート(PET)等のような、いわゆる汎用性の高いプラスチックフィルムを適用できなくなるため、コスト高を招来し、実用上現実的ではないと考えられてきた。
このような問題を解決するものとして、高温加熱処理工程を必要とせず、室温程度の低温でも成膜可能なCo−Pt−Crを主体としSi酸化物を含有する元素構成の層を記録層として応用することが考えられるが、磁気テープ媒体のベースであるプラスチックフィルム上にこのような磁性層を成膜した場合、格子間のミスマッチにより、結晶配向が乱れ、著しく媒体ノイズが高くなるという問題が生じる。
一方、Co−Pt−Crを主体としSi酸化物を含有するグラニュラー型磁性膜を、樹脂製基板上に記録層として設けた面内磁気記録媒体に関しては、磁性層の下層にRu膜を形成することによって、格子間のミスマッチを改善させたものが提案されている(例えば、上記特許文献4参照)。これは、Ruが、Coと同じ六方最密構造をとるものであり、また、Coと近い格子定数を有しているため、磁性層の下層として好適な材料であることを利用したものである。
また、記録層をCo−Pt、またはCo−Pt−Crと、酸化珪素からなるグラニュラー構造とし、下層にRu膜を形成した構成とすると、基板に対する加熱処理工程が不要となるので、PETやPEN等の汎用性プラスチックフィルムも適用可能になるという利点もある。
しかしながら、上述した技術によっても、今後、一層の高記録密度化が進む磁気テープ媒体に関して、高保磁力、及び優れた電磁変換特性を得るためには不充分であった。
すなわち、磁性層に隣接する下層のRu膜の結晶配向は、磁性層の結晶配向に影響するものであるため、その下層(Ru膜)の結晶配向については、厳密な検討が必要となってくるのである。
すなわち、磁性層に隣接する下層のRu膜の結晶配向は、磁性層の結晶配向に影響するものであるため、その下層(Ru膜)の結晶配向については、厳密な検討が必要となってくるのである。
そこで本発明においては、磁性層の下層のRu膜の結晶配向についての厳密な検討を行い、これを数値的に特定することにより、極めて優れた磁気特性、及び電磁変換特性を有する高密度記録に適したテープ状の磁気記録媒体を得ることを目的とする。
本発明においては、長尺状の高分子フィルムよりなる非磁性支持体上に、Ru膜よりなる下地層、Coを主成分とする磁性層、及び保護層が順次積層形成されてなり、Ru膜の結晶方位である(0、0、2)面と(1、0、0)面の比が、(1、0、0)/(0、0、2)=1.2以上であり、RuのC軸が面内に配向している磁気記録媒体を提供する。
また、本発明においては、長尺状の高分子フィルムよりなる非磁性支持体上に、Ru膜よりなる下地層、Coを主成分とする磁性層、及び保護層が順次積層形成されてなり、Ru膜の結晶方位である(0、0、2)面と(1、0、1)面の比が、(1、0、1)/(0、0、2)=1.5以上であり、RuのC軸が面内に配向している磁気記録媒体を提供する。
また、本発明においては、長尺状の高分子フィルムよりなる非磁性支持体上に、Ru膜よりなる下地層、Coを主成分とする磁性層、及び保護層が順次積層形成されてなり、下地層の結晶方位である(0、0、2)面、(1、0、0)面、及び(1、0、1)面の比が、(1、0、0)/(0、0、2)=0.4以上で、かつ(1、0、1)/(0、0、2)=0.7以上であり、RuのC軸が面内に配向している磁気記録媒体を提供する。
本発明によれば、Coを主成分とする磁性層の下層に形成したRu膜の結晶配向について、具体的に数値を特定し、これを確実にC軸を面内に配向させた構成としたことにより、上層に形成する磁性層のC軸の面内配向が高められ、高保磁力化が実現された。その結果、極めてノイズが低く、電磁変換特性に優れた、高密度記録型の磁気記録テープ媒体を得ることができた。
本発明の磁気記録媒体の実施形態について、以下、図を参照して具体的に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
図1に、本発明の磁気記録媒体の概略断面図を示す。
磁気記録媒体10は、長尺状の非磁性支持体1上に、下地層2、磁性層3、及び保護層4が順次積層形成された構成のテープ状の磁気記録媒体である。以下、各層について説明する。
図1に、本発明の磁気記録媒体の概略断面図を示す。
磁気記録媒体10は、長尺状の非磁性支持体1上に、下地層2、磁性層3、及び保護層4が順次積層形成された構成のテープ状の磁気記録媒体である。以下、各層について説明する。
非磁性支持体1は、従来のテープ状の磁気記録媒体用のベースフィルムを適用可能であり、例えば、厚さ3μm〜10μmのポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等からなる高分子フィルムをいずれも適用できる。
下地層2は、Ru膜よりなるものとする。
Ruは、後述する磁性層3の主成分であるCoと同じ六方最密構造をとるものであり、またCoと近い格子定数を有する。
このことから、Ru膜よりなる下地層2を形成する際に、RuのC軸を面内に配向させるようにすることにより、上層に形成される磁性層3のC軸の面内配向が高められ、高保磁力化が図られ、磁気特性の向上が図られる。
Ruは、後述する磁性層3の主成分であるCoと同じ六方最密構造をとるものであり、またCoと近い格子定数を有する。
このことから、Ru膜よりなる下地層2を形成する際に、RuのC軸を面内に配向させるようにすることにより、上層に形成される磁性層3のC軸の面内配向が高められ、高保磁力化が図られ、磁気特性の向上が図られる。
本発明においては、下地層2を構成するRu膜の結晶配向について、下記の第一〜第三の構成のいずれかに特定することとした。
先ず、第一の構成として、下地層2の、Ruの結晶方位である(0、0、2)面と、(1、0、0)面の比が、(1、0、0)/(0、0、2)=1.2以上とする。
第二の構成として、下地層2の、Ruの結晶方位である(0、0、2)面と、(1、0、1)面の比が、(1、0、1)/(0、0、2)=1.5以上とする。
第三の構成として、下地層2の、結晶方位である(0、0、2)面、(1、0、0)面、及び(1、0、1)面の比が、(1、0、0)/(0、0、2)=0.4以上、かつ(1、0、1)/(0、0、2)=0.7以上とする。
先ず、第一の構成として、下地層2の、Ruの結晶方位である(0、0、2)面と、(1、0、0)面の比が、(1、0、0)/(0、0、2)=1.2以上とする。
第二の構成として、下地層2の、Ruの結晶方位である(0、0、2)面と、(1、0、1)面の比が、(1、0、1)/(0、0、2)=1.5以上とする。
第三の構成として、下地層2の、結晶方位である(0、0、2)面、(1、0、0)面、及び(1、0、1)面の比が、(1、0、0)/(0、0、2)=0.4以上、かつ(1、0、1)/(0、0、2)=0.7以上とする。
下地層のRuの結晶方位の比を、上記第一〜第三の構成に特定することにより、磁性層のCoのC軸を面内に配向させることができるようになる。
なお、結晶配向については、X線回折により測定し、各結晶方位のピーク強度の比より求めることができる。
なお、結晶配向については、X線回折により測定し、各結晶方位のピーク強度の比より求めることができる。
図2に、Ru膜のX線回折(X-ray diffractometer)測定図を示す。
図中Aは、Ru膜の結晶配向の比が、上記本発明において特定した数値範囲にある場合の測定線の一例である。一方、図中Bは、Ruの結晶配向の比が、上記本発明において特定した数値範囲外にある場合の測定線の一例である。
図中Aは、Ru膜の結晶配向の比が、上記本発明において特定した数値範囲にある場合の測定線の一例である。一方、図中Bは、Ruの結晶配向の比が、上記本発明において特定した数値範囲外にある場合の測定線の一例である。
Ru膜の結晶配向は、スパッタリング法による成膜時のプロセスガスの圧力と膜厚を選定することにより、制御することができる。
例えば、下地層成膜用のスパッタ装置として、アネルバ(株)製のSPF−430Hを使用し、Ru膜形成時のArによるプロセス圧力を5Pa以上とし、下地層の膜厚を15nm以上になるようにすることにより、上述したような結晶配向の範囲を実現できることが確かめられた。
なお、適用するスパッタ装置によって、成膜条件を適宜変更設定することにより、上記と同様に、Ru膜の結晶配向を所望の値に制御することができる。
例えば、下地層成膜用のスパッタ装置として、アネルバ(株)製のSPF−430Hを使用し、Ru膜形成時のArによるプロセス圧力を5Pa以上とし、下地層の膜厚を15nm以上になるようにすることにより、上述したような結晶配向の範囲を実現できることが確かめられた。
なお、適用するスパッタ装置によって、成膜条件を適宜変更設定することにより、上記と同様に、Ru膜の結晶配向を所望の値に制御することができる。
なお、非磁性支持体1と下地層2との間には、適宜、機能層を形成してもよい。例えば、非磁性支持体1と下地層2との間にTi膜、あるいはTiW膜等を形成することにより、Ru膜の配向性を高める効果が得られる。
また、非磁性支持体1側からの磁性層3に水分が侵入すると磁気特性の劣化を来たすので、これを防止するために、非磁性支持体1と下地層2との間に、例えばTi、Al、SiO2等の膜よりなるシールド層を設けてもよい。
次に磁性層3について説明する。
磁性層3は、Coを主成分とする強磁性の結晶粒と、それを取り巻く非磁性粒界からなるグラニュラー構造を有しているものとする。例えば、Co−Pt−Crの結晶粒間に、Si酸化物が島状に分散した構造となっているものとすることができる。このような構造とすることにより、磁化遷移部分の磁化のばらつきに起因するノイズの低減化を図ることができ、同時に、各結晶粒が磁気的に孤立化することによって磁化の回転が一斉回転型になり、保磁力Hcが大きくなるという効果を得られる。磁性層3は、例えばCo−Pt−Cr合金に、酸化珪素が添加されてなる材料をターゲットとして用い、従来公知のスパッタリング法を行うことによって成膜することができる。
また、磁性層は、Co−Ptと酸化珪素よりなるグラニュラー構造を有しているものとしてもよい。
磁性層3は、Coを主成分とする強磁性の結晶粒と、それを取り巻く非磁性粒界からなるグラニュラー構造を有しているものとする。例えば、Co−Pt−Crの結晶粒間に、Si酸化物が島状に分散した構造となっているものとすることができる。このような構造とすることにより、磁化遷移部分の磁化のばらつきに起因するノイズの低減化を図ることができ、同時に、各結晶粒が磁気的に孤立化することによって磁化の回転が一斉回転型になり、保磁力Hcが大きくなるという効果を得られる。磁性層3は、例えばCo−Pt−Cr合金に、酸化珪素が添加されてなる材料をターゲットとして用い、従来公知のスパッタリング法を行うことによって成膜することができる。
また、磁性層は、Co−Ptと酸化珪素よりなるグラニュラー構造を有しているものとしてもよい。
次に、保護層4について説明する。
保護層4は、例えばダイヤモンドライクカーボン(DLC)、グラファイトライクカーボン、アモルファスカーボン、CN、BN、WC、WMoC、ZrNbN、B4C、SiO2、ZrO2等により形成することができる。特に、ダイヤモンドライクカーボンが好ましく、従来公知のCVD法、PVD法等により形成できる。
保護層4は、例えばダイヤモンドライクカーボン(DLC)、グラファイトライクカーボン、アモルファスカーボン、CN、BN、WC、WMoC、ZrNbN、B4C、SiO2、ZrO2等により形成することができる。特に、ダイヤモンドライクカーボンが好ましく、従来公知のCVD法、PVD法等により形成できる。
保護層4形成面の最上層には、例えば炭化水素系もしくはフッ素系の潤滑剤を塗布し潤滑剤層(図示せず)を形成してもよい。これにより、走行性の向上が図られる。
また、磁性層形成面とは反対側の面に、バック層(図示せず)を設けてもよい。なおバック層は、例えばカーボンを主成分とするものにより形成でき、従来公知のウエットプロセスあるいはドライプロセスのいずれの方法によって形成してもよい。
また、磁性層形成面とは反対側の面に、バック層(図示せず)を設けてもよい。なおバック層は、例えばカーボンを主成分とするものにより形成でき、従来公知のウエットプロセスあるいはドライプロセスのいずれの方法によって形成してもよい。
本発明の磁気記録媒体10は、特にMRヘッドやGMRヘッドのような高感度型の再生用磁気ヘッドを搭載した磁気記録テープシステム用の磁気記録媒体として好適である。
以下、本発明の磁気記録媒体について、具体的な例を挙げて説明するが、本発明は以下に示す例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜従来公知の構成を置換したり追加したりすることができるものとする。
〔実施例1〕
非磁性支持体1として、膜厚6.4μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用意した。
次に、アネルバ(株)のスパッタ装置SPF−430Hを用いて、非磁性支持体1の上に、下地層2となるRu膜、及び磁性層3を順次スパッタリング法により成膜した。
磁性層成膜用には、Co−Pt−Cr−SiO2の焼結ターゲットを用い、組成は、Co:60at%、Pt:8at%、Cr:16at%、Si:at%とした。
下地層2は、電力200W、Arガス圧8Pa条件で成膜を行い、次いで、磁性層3を電力200W、Arガス圧1.0Paの条件で成膜を行い、膜厚は、それぞれ下地層15nm、磁性層10nmとした。
得られたサンプルについて、X線回折により測定を行ったところ、Ruの(1、0、0)面と(0、0、2)面のピーク強度比は、(1、0、0)/(0、0、2)=0.3となり、(1、0、1)面と(0、0、2)面のピーク強度比は、(1、0、1)/(0、0、2)=1.5となった。
非磁性支持体1として、膜厚6.4μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用意した。
次に、アネルバ(株)のスパッタ装置SPF−430Hを用いて、非磁性支持体1の上に、下地層2となるRu膜、及び磁性層3を順次スパッタリング法により成膜した。
磁性層成膜用には、Co−Pt−Cr−SiO2の焼結ターゲットを用い、組成は、Co:60at%、Pt:8at%、Cr:16at%、Si:at%とした。
下地層2は、電力200W、Arガス圧8Pa条件で成膜を行い、次いで、磁性層3を電力200W、Arガス圧1.0Paの条件で成膜を行い、膜厚は、それぞれ下地層15nm、磁性層10nmとした。
得られたサンプルについて、X線回折により測定を行ったところ、Ruの(1、0、0)面と(0、0、2)面のピーク強度比は、(1、0、0)/(0、0、2)=0.3となり、(1、0、1)面と(0、0、2)面のピーク強度比は、(1、0、1)/(0、0、2)=1.5となった。
なお、本実施例においては、非磁性支持体上に下地層と磁性層の成膜を行ったものをサンプルとし、これについての評価を行うこととしたが、磁気記録テープ媒体とする場合には、更に、保護層4、バック層、潤滑層、必要に応じて所望の機能を有する層を形成させるものとする。
〔実施例2〜8〕
下地層2を構成するRu膜の成膜時のArガス圧と、膜厚を、下記表1に示すように変更した。その他の条件は、実施例1と同様にしてサンプルを作製した。
また、X線回折の測定結果は、表1に示した通りとなった。
下地層2を構成するRu膜の成膜時のArガス圧と、膜厚を、下記表1に示すように変更した。その他の条件は、実施例1と同様にしてサンプルを作製した。
また、X線回折の測定結果は、表1に示した通りとなった。
〔実施例9〕
下地層2を構成するRu膜の成膜時のArガス圧と、膜厚を、下記表1に示すように変更した。
更に、磁性層3を形成する際のターゲットをCo−Pt−SiO2の焼結ターゲットとし、組成は、Co:65at%、Pt:19at%、Si:16at%とした。
その他の条件は、実施例1と同様にしてサンプルを作製した。
また、X線回折の測定結果は、表1に示した通りとなった。
下地層2を構成するRu膜の成膜時のArガス圧と、膜厚を、下記表1に示すように変更した。
更に、磁性層3を形成する際のターゲットをCo−Pt−SiO2の焼結ターゲットとし、組成は、Co:65at%、Pt:19at%、Si:16at%とした。
その他の条件は、実施例1と同様にしてサンプルを作製した。
また、X線回折の測定結果は、表1に示した通りとなった。
〔比較例1〜3〕
下地層2を構成するRu膜の成膜時のArガス圧と、膜厚を、下記表1に示すように変更した。
その他の条件は、実施例1と同様にして比較例1〜3のサンプルを作製した。
また、X線回折の測定結果は、表1に示した通りとなった。
下地層2を構成するRu膜の成膜時のArガス圧と、膜厚を、下記表1に示すように変更した。
その他の条件は、実施例1と同様にして比較例1〜3のサンプルを作製した。
また、X線回折の測定結果は、表1に示した通りとなった。
(磁気特性の評価)
実施例1〜9、比較例1〜3のサンプルについて、磁性層の保磁力Hcの評価を行った。
保磁力は「振動試料型磁力計 VSM」を用いて測定した。このとき最大印加磁界を15kOe(1194kA/m)とした。測定結果を下記表1に示す。
実施例1〜9、比較例1〜3のサンプルについて、磁性層の保磁力Hcの評価を行った。
保磁力は「振動試料型磁力計 VSM」を用いて測定した。このとき最大印加磁界を15kOe(1194kA/m)とした。測定結果を下記表1に示す。
表1に示すように、下地層2のRu膜の結晶方位である(0、0、2)面と(1、0、1)面の比が、(1、0、1)/(0、0、2)=1.5以上である実施例1、2においては、保磁力Hcが200kA/m以上となり、優れた磁気特性が得られた。
また、下地層2のRu膜の結晶方位である(0、0、2)面、(1、0、0)面、及び(1、0、1)面の比が、(1、0、0)/(0、0、2)=0.4以上、かつ(1、0、1)/(0、0、2)=0.7以上である実施例3、5、9においても、保磁力Hcが200kA/m以上となり、優れた磁気特性が得られた。
また、下地層2のRu膜の結晶方位である(0、0、2)面と(1、0、0)面の比が、(1、0、0)/(0、0、2)=1.2以上であり、かつ(1、0、1)/(0、0、2)=0.7以上である実施例4においても、保磁力Hcが200kA/m以上となり、優れた磁気特性が得られた。
また、下地層2のRu膜の結晶方位である(0、0、2)面と(1、0、0)面の比が、(1、0、0)/(0、0、2)=1.2以上である実施例6においても、保磁力Hcが200kA/m以上となり、優れた磁気特性が得られた。
また、下地層2のRu膜の結晶方位である(0、0、2)面と(1、0、0)面の比が、(1、0、0)/(0、0、2)=1.2以上であり、かつ(0、0、2)面と(1、0、1)面の比が、(1、0、1)/(0、0、2)=1.5以上である実施例7、8においては、極めて高い保磁力Hcが得られ、特に優れた磁気特性が実現できた。
一方、下地層2のRu膜の結晶方位である(0、0、2)面と(1、0、0)面の比が、(1、0、0)/(0、0、2)=0.4未満であり、かつ(0、0、2)面と(1、0、1)面の比が、(1、0、1)/(0、0、2)=0.7未満である比較例1においては、保磁力Hcが150kA/m未満に低下してしまい、実用上充分な磁気特性が得られなかった。
また、下地層2のRu膜の結晶方位である(0、0、2)面と(1、0、0)面の比が、(1、0、0)/(0、0、2)=0.4以上であるが、(0、0、2)面と(1、0、1)面の比が、(1、0、1)/(0、0、2)=0.7未満である比較例2においても、充分な保磁力Hcの向上効果は得られず、実用上充分な磁気特性が得られなかった。
また、下地層2のRu膜の結晶方位である(0、0、2)面と(1、0、0)面の比が、(1、0、0)/(0、0、2)=0.4未満であるが、(0、0、2)面と(1、0、1)面の比が、(1、0、1)/(0、0、2)=0.7以上である比較例3においても、充分な保磁力Hcの向上効果は得られず、実用上充分な磁気特性が得られなかった。
上述したことから明らかなように、Coを主成分とする磁性層3の下層に形成したRu膜よりなる下地層2の結晶配向について、具体的に数値を特定し、これを確実にC軸を面内に配向させた構成としたことにより、上層の磁性層3のC軸の面内配向が高められ、高保磁力化が実現された。その結果、極めてノイズが低く、電磁変換特性に優れた、テープ状の磁気記録媒体が得られた。
1……非磁性支持体、2……下地層、3……磁性層、4……保護層、10……磁気記録媒体
Claims (6)
- 長尺状の高分子フィルムよりなる非磁性支持体上に、少なくとも、スパッタリング法により形成されてなる下地層、磁性層、及び保護層が順次積層された磁気記録媒体であって、
前記下地層はRu膜よりなり、前記磁性層はCoを主成分とする材料よりなり、
前記下地層の、Ruの結晶方位である(0、0、2)面と、(1、0、0)面の比が、(1、0、0)/(0、0、2)=1.2以上であり、RuのC軸が面内に配向していることを特徴とする磁気記録媒体。 - 長尺状の高分子フィルムよりなる非磁性支持体上に、少なくとも、スパッタリング法により形成されてなる下地層、磁性層、及び保護層が順次積層された磁気記録媒体であって、
前記下地層はRu膜よりなり、前記磁性層はCoを主成分とする材料よりなり、
前記下地層の、Ruの結晶方位である(0、0、2)面と、(1、0、1)面の比が、(1、0、1)/(0、0、2)=1.5以上であり、RuのC軸が面内に配向していることを特徴とする磁気記録媒体。 - 長尺状の高分子フィルムよりなる非磁性支持体上に、少なくとも、スパッタリング法により形成されてなる下地層、磁性層、及び保護層が順次積層された磁気記録媒体であって、
前記下地層はRu膜よりなり、前記磁性層はCoを主成分とする材料よりなり、
前記下地層の、結晶方位である(0、0、2)面、(1、0、0)面、及び(1、0、1)面の比が、(1、0、0)/(0、0、2)=0.4以上、かつ(1、0、1)/(0、0、2)=0.7以上であり、RuのC軸が面内に配向していることを特徴とする磁気記録媒体。 - 前記磁性層は、Co−Ptと酸化珪素、もしくはCo−Pt−Crと酸化珪素とからなるグラニュラー構造の薄膜であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
- 前記磁性層は、Co−Ptと酸化珪素、もしくはCo−Pt−Crと酸化珪素とからなるグラニュラー構造の薄膜であることを特徴とする請求項2に記載の磁気記録媒体。
- 前記磁性層は、Co−Ptと酸化珪素、もしくはCo−Pt−Crと酸化珪素とからなるグラニュラー構造の薄膜であることを特徴とする請求項3に記載の磁気記録媒体。
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JP2004189403A JP2006012319A (ja) | 2004-06-28 | 2004-06-28 | 磁気記録媒体 |
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JP2012014750A (ja) * | 2010-06-29 | 2012-01-19 | Showa Denko Kk | 熱アシスト磁気記録媒体及び磁気記憶装置 |
US11423936B2 (en) * | 2013-05-17 | 2022-08-23 | Sony Corporation | Magnetic recording medium and method of producing the same |
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-
2004
- 2004-06-28 JP JP2004189403A patent/JP2006012319A/ja active Pending
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