JP3936790B2 - 差込み継手 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、差込み継手、特に、継手本体に挿入された管が引抜き方向に引っ張られたときに、その管の外周面に抜止めリングが喰い込んでその管を抜け止めするという機能を備えた差込み継手に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の一般的な差込み継手は、図6に例示したように、筒状の継手本体1に、その継手本体1に挿入された管100に外嵌される拡縮径可能な抜止めリング2を収容する抜止めリング収容空間11が具備されており、その抜止めリング収容空間11の周面に、上記抜止めリング2が外嵌した上記管100が引抜き方向Aに移動したときにその抜止めリング2に縮径方向の力を作用させる外窄まりテーパ状の押圧面12が設けられている、という構成を有している。このため、抜止めリング2が外嵌した管100が引抜き方向に引っ張られて移動したときには、外窄まりテーパ状の上記押圧面12によって縮径方向の力が加えられた抜止めリング2が管100を強固に保持してその管100を抜け止めする。このような差込み継手は、施工性がよいことなどのため、電力・通信用ケーブルなどの保護管を接続するときの継手などに広く使用されている。
【0003】
ところが、一旦施工した後に管100と差込み継手とを取り外す必要が生じたときに、ただ単に管100を引抜き方向Aに引っ張るだけでは上述した抜止め作用が働く。そのため、施工後に管100と差込み継手とを取り外すことが困難である。
【0004】
そこで、従来は、図6に示したように、継手本体1の外壁の端部とその継手本体1に挿入されている管100との間に形成されている隙間Sを利用し、その隙間Sから取外し専用工具Kのへら部Lを挿入し、そのへら部Lを管100と抜止めリング2との間に差し込むようにして抜止めリング2を管100の外周面から浮かし、その状態で管100を引抜き方向Aに引っ張って引き抜くという手順を行っていた。なお、図6において、3は環状のシール材であり、継手本体1のシール材収容空間13に収容されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図6に示した取外し専用工具Kは、高価であるというだけでなく、配管の湾曲部などで管100が継手本体1に斜めに挿入されている場所などでは上記隙間Sが確保されていないこともあるので、そのような場所では取外し専用工具Kのへら部Lを挿入することができなくなって取外し不可能になるという問題があった。
【0006】
本発明は以上の状況の下でなされたものであり、配管作業者が携帯しているドライバーなどを使って簡単に管を引き抜くことのできる差込み継手を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、筒状の継手本体に、その継手本体に挿入された管に外嵌される拡縮径可能な抜止めリングを収容する抜止めリング収容空間が具備されており、その抜止めリング収容空間の周面に、上記抜止めリングが外嵌した上記管が引抜き方向に移動したときにその抜止めリングに縮径方向の力を作用させる外窄まりテーパ状の押圧面が設けられている、という構成を備えた差込み継手を対象としている。
【0008】
そして、そのような差込み継手において、請求項1に係る発明の差込み継手は、上記継手本体における上記抜止めリング収容空間の外壁に、その抜止めリング収容空間に収容されている抜止めリングの軸方向外端に係合させることのできる棒状体を挿入可能な第1孔部が径方向に貫設されていると共に、その第1孔部が、上記抜止めリングを覗き見ることのできる大きさを有し、この第1孔部の軸方向外側の隣接箇所に径方向外側へ突き出る凸部が設けられており、この凸部の外端が、上記第1孔部に挿入されて抜止めリングの軸方向外端に係合された上記棒状体で上記抜止めリングを軸方向内側へ押し戻すときのてこ支点に形成されている、というものである。
【0009】
この発明において、たとえばドライバービットを棒状体として用い、そのドライバービットを第1孔部から継手本体の内部に挿入して抜止めリングの軸方向外端に係合させ、その状態からドライバビットで抜止めリングを軸方向内側へ押し戻すという操作を行うと、抜止めリングに加わっている縮径方向の力が解除されて管を小さい力で引き抜くことができるようになる。また、上記第1孔部は抜止めリングを覗き見ることのできる大きさを有するので、その第1孔部から抜止めリングの位置を確認して管を引抜くときのタイミングを適切に認識することが可能である。
また、この発明によれば、上記第1孔部に挿入した棒状体で上記抜止めリングを軸方向内側へ押し戻すときのてこ支点として上記凸部が形成されているので、てこの原理を利用して抜止めリングを押し戻すことができる。このためその操作が容易であり、しかも抜止めリングを押し戻す力が少なくて済む。
【0010】
また、請求項2に係る発明の差込み継手は、上記請求項1に係る発明において、上記継手本体における外壁の端部に、上記抜止めリング収容空間に収容されている抜止めリングの軸方向外端に突き合わせることのできる棒状体を挿入可能な第2孔部が軸方向に貫設されている、というものである。
【0011】
この発明において、上記ドライバービットを第2孔部から継手本体の内部に挿入して抜止めリングの軸方向外端に突き合わせ、その状態からドライバビットで抜止めリングを突いて軸方向内側へ押し戻すという操作を行うと、抜止めリングに加わっている縮径方向の力が解除されて管を小さい力で引き抜くことができるようになる。
【0012】
この請求項2に係る発明の差込み継手は、請求項1に係る発明の第1孔部と、上記した第2孔部とを併せ有するものである。そのため、この発明においては請求項1に係る発明について説明した作用も発揮される。
【0013】
請求項3に係る発明の差込み継手は、上記第1孔部及び上記第2孔部のそれぞれが、上記継手本体の外壁の周方向複数箇所に形成されている、というものであり、この発明によると、抜止めリングの周方向の複数箇所に対して上記した押し戻し操作を行うことができるようになるので、抜止めリングを確実に押し戻して管を小さい力で簡単に引き抜くことができるようになる。
【0014】
【0015】
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係る差込み継手の実施の一形態を示す正面図、図2は図1のII−II線に沿う断面図、図3は図1のIII−III線に沿う断面図である。
【0017】
この差込み継手は、筒状の継手本体1に、その継手本体1に挿入された管100に外嵌される拡縮径可能な抜止めリング2を収容する抜止めリング収容空間11が具備されている。そして、抜止めリング収容空間11の周面に外窄まりテーパ状の押圧面12が設けられている。また、継手本体1における抜止めリング収容空間11の軸方向内側にはシール材収容空間13が形成されている。そして、シール材収容空間13にゴム輪でなる環状のシール材3が収容保持されているのに対し、抜止めリング収容空間11には金属製の抜止めリング2が収容保持されている。抜止めリング2は、断面台形状に形成されていて、その周方向の一箇所が欠除されており、縮径時にはその欠除部分の隙間が狭まり、拡径時にはその欠除部分の隙間が拡がるようになっている。
【0018】
この差込み継手に管100を接続するときは、管100を継手本体1に挿入してその管端101を図2や図3のように継手本体1に設けられているストッパ14に突き当てる。このようにすると、管100にシール材3と抜止めリング2とが外嵌し、シール材3が径方向に圧縮されてその箇所をシールし、抜止めリング2が上記押圧面12の径大側部分で少し拡径されて管100に抱き付いた状態になる。したがって、管100が引抜き方向Aに引っ張られると、管100に抱き付いている抜止めリング2も管100と共に引抜き方向Aに移動する。そのため、抜止めリング2が押圧面12の径小側部分に移動してその押圧面12の作用によって抜止めリング2に縮径方向の力が加わり、その力によって抜止めリング2が強く管100に抱き付いて管100を抜け止めする。このような管100に対する抜止め作用は、管100を差込み継手に接続施工した後、管100を引き抜く必要が生じてその管100を引抜き方向Aに引っ張ったときにも発揮される。したがって、このままでは、管100を引き抜くことは困難である。
【0019】
そこで、この実施形態では、継手本体1における抜止めリング収容空間11の外壁の周方向4箇所に、図2に示すように第1孔部4を径方向に貫設してあり、また、継手本体1における外壁の端部の周方向4箇所に、図1及び図3に示すように第2孔部5を軸方向に貫設してある。第1孔部4は、抜止めリング収容空間11に収容されている抜止めリング2の軸方向外端21の少し外側まで拡がっており、また、外部から抜止めリング2を覗き見ることのできる大きさを有している。そして、第1孔部4や第2孔部5には、マイナス型のドライバービット(棒状体の一例である)の先端部を挿入することができるようになっている。
【0020】
したがって、図4のように抜止めリング2が押圧面12の径小側部分に移動して管100に強く抱き付いているときに、棒状体としてのマイナス型のドライバービット200の先端を第1孔部4から抜止めリング収容空間11に挿入して抜止めリング2の軸方向外端21に実線で示すように係合させ、その状態からドライバビット200をこじて抜止めリング2を軸方向内側へ押し戻すという操作を行うと、抜止めリング2が押圧面12の径大側部分に押し戻されてその抜止めリング2に加わっている縮径方向の力が解除される。この状態では、管100が抜止め作用を受けなくなっているので、その管100を小さい力で引き抜くことができる。第1孔部4を通して抜止めリング2の位置を目で見て確認することができるので、管100を引抜くときのタイミングを適切に認識できる。なお、図4には押圧面12の径大側部分へ押し戻された抜止めリング2を破線で表してある。
【0021】
図4は第1孔部4を利用した場合を説明的に示しているけれども、図5のように第2孔部5を利用することも可能である。すなわち、図5のように、ドライバービット200の先端を第2孔部5から抜止めリング収容空間11に挿入して抜止めリング2の軸方向外端21に突き合わせ、その状態からドライバビット200で抜止めリング2を突いて軸方向内側へ押し戻すという操作を行うと、抜止めリング2に加わっている縮径方向の力が解除されて管100を小さい力で引き抜くことができる。なお、図5には軸方向内側へ押し戻された抜止めリング2を破線で表してある。
【0022】
図3で説明したように第1孔部4を利用して抜止めリング2を軸方向内側へ押し戻す操作を行うときには、ドライバビット200をてこの原理を利用してこじるようにすれば、小さな力で抜止めリング2を押し戻すことができる。そこで、この実施形態では、継手本体1における第1孔部4の軸方向外側の隣接箇所に径方向外側へ突き出る凸部6を設けてあり、その凸部6の外端61をてこ支点として形成してある。したがって、図4で説明したようにドライバビット200をこじるときに、そのドライバービット200を凸部6の外端61に押し当ててこじるようにすると、操作が容易になり、しかも抜止めリング2を押し戻す力が少なくて済むようになる。なお、図例では上記凸部6が環状に形成されているけれども、この凸部6は環状に形成されている必要は必ずしもない。
【0023】
上記差込み継手では、第1孔部4及び第2孔部5のそれぞれが、継手本体1の外壁の周方向4箇所に形成されているので、抜止めリング2の周方向の4箇所に対して上記した押し戻し操作を同時にあるいはタイミングをずらして行うことができるようになるので、抜止めリング2を確実に押し戻して管100を小さい力で簡単に引き抜くことができるようになるという利点がある。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、配管作業者が携帯しているドライバーなどを使って、差込み継手に一旦挿入した管を小さい力で簡単に引き抜くことができるようになるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る差込み継手の実施の一形態を示す正面図である。
【図2】 図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】 図1のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】 第1孔部を利用して管を引き抜くときの操作説明図である。
【図5】 第2孔部を利用して管を引き抜くときの操作説明図である。
【図6】 従来の取外し専用工具を使って管を引き抜くときの操作説明図である。
【符号の説明】
1 継手本体
2 抜止めリング
4 第1孔部
5 第2孔部
6 凸部
11 抜止めリング収容空間
12 押圧面
61 凸部の外端
100 管
Claims (3)
- 筒状の継手本体に、その継手本体に挿入された管に外嵌される拡縮径可能な抜止めリングを収容する抜止めリング収容空間が具備されており、その抜止めリング収容空間の周面に、上記抜止めリングが外嵌した上記管が引抜き方向に移動したときにその抜止めリングに縮径方向の力を作用させる外窄まりテーパ状の押圧面が設けられている差込み継手であって、
上記継手本体における上記抜止めリング収容空間の外壁に、その抜止めリング収容空間に収容されている抜止めリングの軸方向外端に係合させることのできる棒状体を挿入可能な第1孔部が径方向に貫設されていると共に、その第1孔部が、上記抜止めリングを覗き見ることのできる大きさを有し、
上記第1孔部の軸方向外側の隣接箇所に径方向外側へ突き出る凸部が設けられており、この凸部の外端が、上記第1孔部に挿入されて抜止めリングの軸方向外端に係合された上記棒状体で上記抜止めリングを軸方向内側へ押し戻すときのてこ支点に形成されている差込み継手。 - 上記継手本体における外壁の端部に、上記抜止めリング収容空間に収容されている抜止めリングの軸方向外端に突き合わせることのできる棒状体を挿入可能な第2孔部が軸方向に貫設されている請求項1に記載した差込み継手。
- 上記第1孔部及び上記第2孔部のそれぞれが、上記継手本体の外壁の周方向複数箇所に形成されている請求項2に記載した差込み継手。
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