JP4542873B2 - メカニカルタイプの管継手 - Google Patents

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Description

本発明は、給水・給湯、冷温水、冷却水などの配管に用いられ、それら配管の一端部をシール状にかつ抜止め状に簡易迅速に差込み接続することのできるメカニカルタイプの管継手に関する。
給水・給湯などの配管に用いられる管継手として、例えば、図7、図8に示すような差込み式管継手が提案されている。この差込み式管継手は、筒状の継手本体31の軸心方向両端にそれぞれ管Pの一端部が差し込まれる受口部32を開口し、この受口部32の内周面に軸方向に向かって窄まり状のテ−パ面33を形成し、受口部32の内奥部内周には管端ストッパー部34を設けている。継手本体31の受口部32の内部には拡縮径自在なロックリング35と、このロックリング35より内奥側に配されたゴムパッキン36とが組み込まれている。一方、この管継手で接続される薄肉ステンレス鋼管など管Pの一端部外周面の所定位置には、予め、ロックリング35に係合させるロックリング溝37を円周方向に設けている。継手本体31の受口部32の外周壁には、ロックリング35がロックリング溝37に確実に係合しているか否かを視認できる1個もしくは2個以上の視認用窓38が設けられている。
この差込み式管継手は、一旦、図7に示すごとく受口部32に管Pの一端部をロックリング溝37がロックリング35の位置を通過し、管Pの最先端が管端ストッパー部34に突き当たるまで挿入した後、図8に示すように管Pを手で少し引き戻し、この引戻し途上でロックリング35がテ−パ面33との当接により縮径作用を受けてロックリング溝37に係合することにより管Pの抜止め機能が確保されるというものである。
この差込み式管継手によれば、予め管Pに溝付け加工を施すだけで、管Pの接合に際しては管Pを継手本体31内の管端ストッパー部34に当たるまで差し込んだ後、少し引き戻すだけのワンタッチ操作で簡単かつ迅速に接続できるという利点がある。
特開2002−340256号公報
しかるに、上記差込み式管継手では、溝付け加工を施していない管Pでも継手本体31内に挿入でき、この挿入によりゴムパッキン36によるシールが機能するため水漏れがない。このため施工後において管Pの抜止め不良の異常を発見できないという問題があった。
また、ロックリング溝37は管Pの抜出し防止を確実にするために図8中の拡大図に示すように断面鋸歯形状に加工する必要があるが、そのような特殊形状の溝付け作業には専用工具が必要となるため、工場で溝付け加工できても、施工現場では工具の摩耗やへたりなどを管理し難く、そのような工具で加工してもロックリング37がだれたりして正規の溝付け加工を行ない難い。またそのような特殊形状の溝付け加工は容易でなく、手動式の溝付け加工では断面鋸歯形状のロックリング溝37の鋸歯形状が誤って逆向きに加工されることもある。そのような不具合な溝付け加工された管Pが挿入されると、施工後に管Pの抜出し事故を惹き起こすおそれがあった。
さらに、管Pのロックリング溝37がロックリング35の位置に達しない挿入不足の場合にもゴムパッキン36でシールされるようになっている。そのため、施工後における漏れ検査で漏れの無いことを合格するため、管Pの挿入不足を検出できず、施工後に管Pの抜出し事故を惹き起こすおそれがあった。
また、管Pの挿入完了を確認するためには視認用窓38が必要となるが、これでは暗所や受口部32外周面上の視認用窓38の無い部位の方向からは確認できずその確認の確実性を欠くなどの問題があった。
本発明の目的は、このような問題を解決するためになされたもので、上記のような差込み式継手に押輪を併用することにより管の抜出し事故や流体漏れ事故の発生を確実に防止できる信頼性の高いメカニカルタイプの管継手を提供することにある。
本発明のメカニカルタイプの管継手は以下のように構成したことに特徴を有するものである。
一端部の外面の所定位置に環状のロックリング溝(6)を形成した管(P)の前記一端部が差し込まれる受口部(7)を有する継手本体(1)と、この継手本体(1)の受口部(7)の外周に設けた雄ねじ(10)にねじ込み結合されかつ管(P)の外周に遊嵌される押輪(2)とを有する。継手本体(1)の受口部(7)の内部と押輪(2)の内部にわたって、環状のゴムパッキン(3)、環状のパッキン押さえ(4)及び拡縮径自在なロックリング(5)を内蔵している。
継手本体(1)は、受口部(7)の内周に管(P)の一端部の最先端を受ける管端ストッパー部(8)と、この管端ストッパー部より軸方向外側部に並べて形成された環状のゴムパッキン収容空間部(9)とを設けており、ロックリング(5)と管端ストッパー部(8)との間隔(M)と、管(P)の一端部の最先端からロックリング溝(6)までの間隔(L)とは等しく設定しており、ゴムパッキン(3)は、その自由状態において、管(P)の外径より少し大きい内径部を有し、かつその軸方向外側端部が受口部(7)の軸方向外側端部より外方へ突出してパッキン押さえ(4)と当接するようゴムパッキン収容空間部(9)内に収容されるとともに、管(P)の外周に該外周との間に隙間(c)を形成するよう遊嵌されるようにしている。
押輪(2)は、これの内周に、その軸方向内側から外側に向かって順に、雄ねじ(10)に螺合する雌ねじ(11)と、管(P)の一端部を押輪(2)から継手本体(1)の受口部(7)内に挿入し、管(P)の最先端がロックリング(5)を押し拡げながら該ロックリング(5)内を通過し、更にパッキン押さえ(4)内及びゴムパッキン(3)内を通過して管端ストッパー部(8)に当たるまで挿入すると、ロックリング(5)と管端ストッパー部(8)との間隔(M)は管(P)の一端部の最先端とロックリング溝(6)との間隔(L)と等しく設定されているため、ロックリング(5)の弾性復元作用によりロックリング溝(6)に嵌まり込むべきロックリング(5)が、一端部の外面の所定位置にロックリング溝(6)が形成されていない溝未加工管や不良の溝加工管の一端部が押輪(2)から継手本体(1)の受口部(7)内に挿入され、溝未加工管や不良の溝加工管の最先端がロックリング(5)を押し拡げながら該ロックリング(5)内を通過し、更にパッキン押さえ(4)内及びゴムパッキン(3)内を通過して管端ストッパー部(8)に当たるまで挿入されることによって、ロックリング(5)の弾性復元作用によりロックリング溝(6)に嵌まり込むことができないときに、溝未加工管や不良の溝加工管の外面で押し拡げられたままになっているロックリング(5)を径方向内方に押圧して該ロックリングに縮径方向の力を作用させる軸方向外方に向かって窄まり状の第1テーパ面(12)と、この第1テーパ面の径小側端部に連なりかつロックリング溝(6)に嵌まり込み係合したロックリング(5)が摺動自在に内嵌合可能で軸方向に真直ぐなストレート面(13)と、このストレート面の軸方向外側端部に連なりかつ管(P)が抜出し方向に移動するに伴いロックリング溝(6)に嵌まり込み係合しているロックリング(5)が押圧当接したとき該ロックリングに縮径方向の力を作用させる軸方向外方に向かって窄まり状の第2テ−パ面(14)とが形成されている。
前記第1テーパ面(12)及びストレート面(13)によって形成される周面で囲まれた空間がロックリング収容空間(15)とされており、ロックリング(5)は、自由状態において、その内周に管(P)の外径より小さい内径の食込み歯(5a)を有してロックリング収容空間(15)内に収容されている。
かくして押輪(2)をパッキン押さえ(4)がゴムパッキン(3)を軸方向に圧縮変形させながら受口部(7)の軸方向外側端部(7a)に当接するまで締め付ける本締めにより、管(P)の一端部外周面とゴムパッキン収容空間部(9)の内周面との間が前記ゴムパッキン(3)の圧縮変形によりシールされるとともに、ストレート面(13)がロックリング溝(6)に嵌まり込んでいるロックリング(5)の外周にまで移動するようにしてある。
一つの好適な態様として、本発明による管継手は、パッキン押さえ(4)が、押輪(2)とは別体に形成され、その軸方向外側端面の外周側に第1テーパ面(12)と接触する受け面(4b)が形成されるものとすることができる。または、パッキン押さえ(4)が、押輪(2)の内周における雌ねじ(11)と第1テーパ面(12)の径大側端部との間の部位から径方向内方へ張出し状に一体に形成されたものとすることもできる。ゴムパッキン(3)は断面菱形に形成することができる。
上記構成の管継手によれば、管(P)の接続に際し、管(P)の一端部を押輪(2)から継手本体(1)の受口部(7)内に挿入するが、このとき管(P)の一端部の最先端がロックリング(5)を押し拡げながら該ロックリング内を通過し、更にパッキン押さえ(4)内及びゴムパッキン(3)内を通過して管端ストッパー部(8)に当たるまで挿入する。すると、ロックリング(5)が弾性復元作用によりロックリング溝(6)に嵌まり込む。次いで、押輪(2)を締付け方向に回転させるが、このとき、パッキン押さえ(4)が押輪(2)とは別体に形成されたものである場合は、押輪(2)が第1テーパ面(12)をパッキン押さえ(4)の受け面(4b)に当接するまで螺進し、さらに押輪(2)を同一方向に回転させて締め付けるにつれて第1テーパ面(12)がパッキン押さえ(4)を推し進め、パッキン押さえ(4)がゴムパッキン(3)を軸方向に圧縮変形させながら受口部(7)の軸方向外側端部(7a)に当接するまで押輪(2)が本締めされる。パッキン押さえ(4)が押輪(2)と一体に形成されている場合は、押輪(2)を締付け方向に回転させるに伴いパッキン押さえ(4)がゴムパッキン(3)を軸方向に圧縮変形させながら受口部(7)の軸方向外側端部(7a)に当接するまで押輪(2)が本締めされる。
この押輪(2)の本締めによりパッキン押さえ(4)を介してゴムパッキン(3)が軸方向に圧縮変形することにより管(P)の一端部外周面とゴムパッキン収容空間部(9)の内周との間がシールされる状態が得られると同時に、押輪(2)のストレート面(13)がロックリング溝(6)に嵌まり込んでいるロックリング(5)の外周にまで移動して該ロックリング(5)がロックリング溝(6)から出ることのないよう嵌まり込み状態を保持するという管(P)の抜止め状態が得られる。
押輪(2)が本締めされることによってストレート面(13)がロックリング(5)のロックリング溝(6)への嵌まり込み状態を確実に保持し、管(P)の確固たる抜止め状態が得られるため、管(P)の一端部に予めロックリング溝付け加工するときにもその溝加工に際しその溝の形状や深さに厳密さが要求されることなく手動式溝付け工具による簡易な溝付け方法によるロックリング溝(6)で足りる。
ゴムパッキン(3)はこれの内周に挿入される管(P)の外周との間に隙間(c)を形成するようにしているので、仮に管(P)の最先端が管端ストッパー部(8)に達する手前でその管(P)の挿入が止められるという挿入不足が発生しても、施工後、水漏れ試験が行われるときに前記隙間(c)を介して水漏れが生じるためこれを検出することができ、これにより管(P)が挿入不足であることを認識することができる。これにより管(P)の挿入のし直しを促すことができる。
誤って、溝付け加工が施されていない管(P)が継手本体(1)内に挿入されるという不具合が発生した場合には、その管(P)が最先端を管端ストッパー部(8)に当たるまで挿入されると、このとき押輪(2)を締付け方向に回転させようとしても第1テーパ面(12)による押圧作用をロックリング(5)が受けて食込み歯(5a)を管(P)の外周面に摩擦で噛み込ませるため、押輪(2)を締め付け方向に回転させることができないことになり、これを容易に認識することができる。
管(P)の一端部の最先端からロックリング溝(6)までの間隔(L)と、ロックリング(5)と管端ストッパー部(8)との間隔(M)とは等しく設定して、管(P)の一端部を最先端が管端ストッパー部(8)に当たるまで挿入するとロックリング(5)がロックリング溝(6)に嵌まり込むようにしてあるので、管(P)に対しロックリング溝(6)が最先端からの前記所定距離(L)よりも長寸位置に又は短寸位置に加工されている不良の管が最先端を管端ストッパー部(8)に当てるまで挿入されるという不具合があっても、このときはロックリング(5)はロックリング溝(6)に嵌まり込まず、押輪(2)を締め付け方向に回転させようとしても第1テーパ面(12)によりロックリング(5)が押されてその食込み歯(5a)が管の外周面に摩擦で噛み込むため、押輪(2)をそれ以上に締め付け方向に回転させることができないことになり、これを容易に認識することができる。
施工後、地震などにより管(P)が抜出し方向に強く引っ張られるようなことがあっても、その管と共に同一方向に移動するロックリング(5)が第2テ−パ面(14)により更なる縮径作用を受けて管(P)への食込みが増すことになるため、管(P)の一端部が受口部(7)から抜け出るのを確実に阻止でき、管(P)の引抜き阻止機能を確保できる。
本発明の好適な実施例を図面に基づき説明する。図1は本発明の一実施例を示すメカニカルタイプの管継手の半欠截断面図、図2(a)〜(d)は図1の管継手の管接続作動説明図、図3は他の実施例の管継手を図2に相応して示す管接続作動説明図、図4は図1の管継手に組み込まれるロックリングの他例を示す一部断面図である。
図1において、本発明に係るメカニカルタイプの管継手は、継手本体1、押輪2、ゴムパッキン3、パッキン押さえ4、およびロックリング5などにより構成される。この管継手により接続される管Pは薄肉ステンレス鋼管等からなり、その一端部の外面の所定位置に環状のロックリング溝6を円周方向に設けている。
図1に示すように、継手本体1は筒状に形成され、これの少なくとも一端部に管Pの一端部が差し込まれる受口部7を開口し、この受口部7の内周に環状の管端ストッパー部8を設け、かつ管端ストッパー部8より軸方向外側部に並べて形成される環状のゴムパッキン収容空間部9を管端ストッパー部8より径方向外方に偏した位置に存するよう設けている。受口部7の外周には雄ねじ10を設けている。
一方、押輪2は、これの内周に、その軸方向内側から外側に向かって順に、継手本体1の雄ねじ10に螺合する雌ねじ11と、軸方向外方に向かって窄まり状の第1テ−パ面12と、この第1テーパ面12の径小側端部に連なって軸方向に真直ぐなストレート面13と、このストレート面13の軸方向外側端部に連なって軸方向外方に向かって窄まり状の第2テ−パ面14とが形成されており、第1テーパ面12及びストレート面13によって形成される周面で囲まれた空間がロックリング収容空間15とされている。
押輪2は雌ねじ11を継手本体1の雄ねじ10に螺合して継手本体1にねじ込み結合されるとともに、押輪2の内部と継手本体1の受口部7の内部にわたってゴムパッキン3、パッキン押さえ4およびロックリング5が内蔵される。
ゴムパッキン3は、自由状態において、断面菱形に形成されかつその内径部の最小寸法は管Pの外径よりも少し大きく形成されて、継手本体1のゴムパッキン収容空間部9内にその軸方向外側端部が受口部7の軸方向外側端部7aより外方へ突出するように収容され、この収容状態で管Pが挿入されると管Pの外周との間に隙間cを形成するようになっている。
パッキン押さえ4は、押輪2とは別体にリング状に形成され、その軸方向外側端面4aの外周側端に押輪2の第1テーパ面12と当接する受け面4bが形成されて、その軸方向内側端面4cがゴムパッキン3の受口部7の軸方向外側端部7aより外方へ突出する軸方向外側端部3aと当接するように組み込まれる。
ロックリング5は、自由状態において、その内周に管Pの外径より小さい内径の食込み歯5aを有する欠円状(C形状)の金属製リングからなって拡縮径変形自在に形成されており、継手本体1に対し仮締めされた状態にある押輪2のロックリング収容空間15内において第1テーパ面12とパッキン押さえ4との間に内在される。このロックリング5と押輪2のストレート面13とは、挿入される管Pのロックリング溝6にロックリング5が嵌まり込むとそのロックリング5が押輪2のストレート面13に対し摺動自在に内嵌合する関係にある。
このように押輪2が継手本体1に仮締め状態に組付けられ、これら継手本体1及び押輪2内にゴムパッキン3、パッキン押さえ4およびロックリング5が内蔵された状態では、図1のように、ロックリング5と管端ストッパー部8との間隔Mは管Pの一端部の最先端とロックリング溝6との間隔Lと等しく設定されている。
このように構成された管継手において、管Pを接続するには、図2(a),(b)に示すように、管Pの一端部を押輪2から継手本体1の受口部7内に挿入するが、このとき管Pの最先端がロックリング5を押し拡げながら該ロックリング5内を通過し、更にパッキン押さえ4内及びゴムパッキン3内を通過して管端ストッパー部8に当たるまで挿入させる(同図(c)参照)。すると、ロックリング5と管端ストッパー部8との間隔Mは管Pの一端部の最先端とロックリング溝6との間隔Lと等しく設定されているため、同図(c)のようにロックリング5が弾性復元作用によりロックリング溝6に嵌まり込む。次いで、押輪2を締付け方向に回転させると、同図(d)のように押輪2は第1テーパ面12がパッキン押さえ4の受け面4aに当接するまで螺進する。
更に押輪2を同一方向に回転させて締め付けるにつれて第1テーパ面12がパッキン押さえ4を推し進め、同図(e)のようにパッキン押さえ4がゴムパッキン3を軸方向に圧縮変形させながら受口部7の軸方向外側端部7aに当接するまで押輪2が完全に締め付けられて本締めされる。この押輪2の本締めにより、同図(e)のようにゴムパッキン3が圧縮変形して管Pの一端部外周面との間の隙間cを塞ぐとともに該一端部外周面とゴムパッキン収容空間部9の内周面との間をシールする状態が得られ、これと同時に、押輪2のストレート面13がロックリング溝6に嵌まり込んでいるロックリング5の外周にまで移動するため、その押輪2のストレート面13の当接ないし押圧によりロックリング5がロックリング溝6から出ることなく、その嵌まり込み状態を堅持し得て管Pの抜止め状態を確実にする状態が得られる。
図2(d)中に示すように、押輪2が第1テーパ面12をパッキン押さえ4の受け面4bに当接させるとともに、ストレート面13をロックリング溝6に嵌まり込んでいるロックリング5の外周にまで移っている状態時には、ロックリング5と第2テーパ面14の径大側端部との間の間隔L2がパッキン押さえ4の軸方向内側端面4cと受口部7の軸方向外側端部7aとの間の間隔L1よりも大きい寸法となるように設定している。したがって、施工後、地震などにより管Pが抜出し方向に強く引っ張られるようなことがあっても、管Pと共に同一方向に移動するロックリング3が図2(d)中、破線で示すように第2テ−パ面14に当接することにより更なる縮径作用を受けてロックリング溝6への食込みが増すことになり、これにより管Pの一端部が受口部7から抜け出るのを確実に阻止でき、管Pの引抜き阻止機能を確保できる。
管Pの挿入時に、仮に管Pの最先端が管端ストッパー部8に達する手前でその挿入を止めるという挿入不足が発生すると、この挿入不足状態ではゴムパッキン3の内周と管Pの外周との間に隙間c(図2(b)参照)が形成されているので、施工後、漏れ試験が行われるときに漏れを検出することができ、これにより管Pが挿入不足であることを認識することができて管Pの挿入のし直しを促すことになる。
誤って、溝付け加工が施されていない管Pが継手本体1内に挿入されるという不具合が発生した場合には、管Pが最先端を管端ストッパー部8に当たるまで挿入されると、このとき押輪2を締付け方向に回転させようとしても第1テーパ面12によりロックリング5が押圧されて食込み歯5aを管Pの外周面に摩擦で噛み込ませるため、押輪2を締め付け方向に回転させることができないことになり、これを容易に認識することができる。
また、上記構成の管継手によれば、管Pにロックリング溝6が最先端からの所定距離Lよりも長寸位置に加工されている長寸溝加工管P1(図5参照)又は短寸位置に加工されている短寸溝加工管P2(図6参照)など不良の溝加工管が挿入されるという不具合があっても、押輪2を締め付け方向に所定以上に回転させることができないことになってこれを容易に認識することができる。
すなわち、図5(b)に示すように、長寸溝加工管P1が最先端を管端ストッパー部8に当てるまで挿入されると、ロックリング5はロックリング溝6に嵌まり込まず、このときは押輪2を締め付け方向に回転させようとしても第1テーパ面12によりロックリング5が押されてその食込み歯5aが管P1の外周面に摩擦で噛み込むため、押輪2をそれ以上に締め付け方向に回転させることができないことになり、これを認識することができる。短寸溝加工管P2の場合においても、図6(b)のように管端ストッパー部8に当たるまで挿入されると、ロックリング5はロックリング溝6に嵌まり込まず、押輪2を締め付け方向に回転させようとしても第1テーパ面12によりロックリング5が押されてその食込み歯5aが管Pの外周面に摩擦で噛み込むため、押輪2をそれ以上に締め付け方向に回転させることができず、これ又認識することができる。
上記実施例ではパッキン押さえ4が押輪2とは別体に形成されたものである場合について説明したが、パッキン押さえ4は、図3(a)に示すように押輪2の内周における雌ねじ11と第1テーパ面12の径大側端部との間の部位から径方向内方へ張出し状に一体に形成されているものであってもよい。この場合、図3(a)〜(c)に示すように管Pの一端部を押輪2から継手本体1の受口部7内に管Pの最先端が管端ストッパー部8に当たるまで挿入してロックリング5がロックリング溝6に嵌まり込んだ後に、押輪2を締付け方向に回転させることは上記実施例の場合と同様であるが、パッキン押さえ4が押輪2の締付け回転による螺進と同時にゴムパッキン3を軸方向に圧縮変形させる点が上記実施例の場合と少し異なる。押輪2をパッキン押さえ4がゴムパッキン3を軸方向に圧縮変形させながら受口部7の軸方向外側端部7aに当接するまで締め付けるという本締めにより、図3(d)のように、パッキン押さえ4を介してゴムパッキン3が軸方向に圧縮変形して管Pの一端部外周面とゴムパッキン収容空間部9の内周との間をシールするとともに、押輪2のストレート面13がロックリング溝6に嵌まり込んでいるロックリング5の外周にまで移動して該ロックリング5がロックリング溝6から出ることのないよう嵌まり込み状態に保持されることは上記実施例の場合と全く同様である。
拡縮径変形自在なロックリング5は、内周に食込み歯5aを有する形状であればよく、図1に示す断面形状のようにその断面円形の円周一部に切欠5bを設けて食込み歯5aを形成するものに限定されるものではなく、そのほかに、例えば、図4に示すような断面三角形状の食込み歯5aを形成する形のものであってもよい。
本発明の一実施例を示すメカニカルタイプの管継手の半欠截断面図である。 (a)〜(e)は図1の管継手の管接続作動説明図である。 他の実施例の管継手を図2に相応して示す管接続作動説明図である。 図1の管継手に組み込まれるロックリングの他例を示す一部断面図である。 (a),(b)は不良の長寸溝加工管が挿入された場合の不具合な状態を示す管接続作動説明図である。 (a),(b)は不良の短寸溝加工管が挿入された場合の不具合な状態を示す管接続作動説明図である。 従来例の差込み式管継手に管を最も深く差込んだ時の状態の半欠截断面図である。 図7の差込み式管継手に管を抜止め状態に差込み終えた時の状態の一部断面図である。
符号の説明
P 管
c 隙間
1 継手本体
2 押輪
3 ゴムパッキン
4 パッキン押さえ
4b 受け面
5 ロックリング
6 ロックリング溝
7 受口部
8 管端ストッパー部
9 ゴムパッキン収容空間部
10 雄ねじ
11 雌ねじ
12 第1テーパ面
13 ストレート面
14 第2テーパ面
15 ロックリング収容空間

Claims (4)

  1. 一端部の外面の所定位置に環状のロックリング溝を形成した管の前記一端部が差し込まれる受口部を有する継手本体と、この継手本体の前記受口部の外周に設けた雄ねじにねじ込み結合されかつ前記管の外周に遊嵌される押輪とを有し、
    前記継手本体の受口部の内部と前記押輪の内部にわたって、環状のゴムパッキン、環状のパッキン押さえ及び拡縮径自在なロックリングを内蔵しており、
    前記継手本体は、前記受口部の内周に前記管一端部の最先端を受ける管端ストッパー部と、この管端ストッパー部より軸方向外側部に並べて形成された環状のゴムパッキン収容空間部とを設けており、
    前記ロックリングと前記管端ストッパー部との間隔と、前記管の一端部の最先端からロックリング溝までの間隔とは等しく設定しており、
    前記ゴムパッキンは、その自由状態において、前記管の外径より少し大きい内径部を有し、かつその軸方向外側端部が前記受口部の軸方向外側端部より外方へ突出して前記パッキン押さえと当接するよう前記ゴムパッキン収容空間部内に収容されるとともに、前記管の外周に該外周との間に隙間を形成するよう遊嵌されるようにしており、
    前記押輪は、これの内周に、その軸方向内側から外側に向かって順に、前記雄ねじに螺合する雌ねじと、前記管の一端部を前記押輪から前記継手本体の前記受口部内に挿入し、前記管の最先端が前記ロックリングを押し拡げながら該ロックリング内を通過し、更に前記パッキン押さえ内及び前記ゴムパッキン内を通過して前記管端ストッパー部に当たるまで挿入すると、前記ロックリングと前記管端ストッパー部との前記間隔は前記管の一端部の最先端と前記ロックリング溝との前記間隔と等しく設定されているため、前記ロックリングの弾性復元作用により前記ロックリング溝に嵌まり込むべき前記ロックリングが、一端部の外面の前記所定位置に前記ロックリング溝が形成されていない溝未加工管や不良の溝加工管の一端部が前記押輪から前記継手本体の前記受口部内に挿入され、前記溝未加工管や不良の溝加工管の最先端が前記ロックリングを押し拡げながら該ロックリング内を通過し、更に前記パッキン押さえ内及び前記ゴムパッキン内を通過して前記管端ストッパー部に当たるまで挿入されることによって、前記ロックリングの弾性復元作用により前記ロックリング溝に嵌まり込むことができないときに、前記溝未加工管や不良の溝加工管の外面で押し拡げられたままになっている前記ロックリングを径方向内方に押圧して該ロックリングに縮径方向の力を作用させる軸方向外方に向かって窄まり状の第1テーパ面と、この第1テーパ面の径小側端部に連なりかつ前記ロックリング溝に嵌まり込み係合した前記ロックリングが摺動自在に内嵌合可能で軸方向に真直ぐなストレート面と、このストレート面の軸方向外側端部に連なりかつ前記管が抜出し方向に移動するに伴い前記ロックリング溝に嵌まり込み係合している前記ロックリングが押圧当接したとき該ロックリングに縮径方向の力を作用させる軸方向外方に向かって窄まり状の第2テ−パ面とが形成されており、前記第1テーパ面及び前記ストレート面によって形成される周面で囲まれた空間がロックリング収容空間とされており、
    前記ロックリングは、自由状態において、その内周に前記管の外径より小さい内径の食込み歯を有して前記ロックリング収容空間内に収容されており、
    前記押輪を前記パッキン押さえが前記ゴムパッキンを軸方向に圧縮変形させながら前記受口部の軸方向外側端部に当接するまで締め付ける本締めにより、前記管の一端部外周面と前記ゴムパッキン収容空間部の内周面との間が前記ゴムパッキンの圧縮変形によりシールされるとともに、前記ストレート面が前記ロックリング溝に嵌まり込んでいる前記ロックリングの外周にまで移動するようにしてあることを特徴とするメカニカルタイプの管継手。
  2. 前記パッキン押さえが、前記押輪とは別体に形成され、その軸方向外側端面の外周側に前記第1テーパ面と接触する受け面が形成されている、請求項1記載のメカニカルタイプの管継手。
  3. 前記パッキン押さえが、前記押輪の内周における前記雌ねじと前記第1テーパ面の径大側端部との間の部位から径方向内方へ張出し状に一体に形成されている、請求項1記載のメカニカルタイプの管継手。
  4. 前記ゴムパッキンが断面菱形に形成されている、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のメカニカルタイプの管継手。
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