JP4023936B2 - フレキシブルチューブ用継手 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はフレキシブルチューブ用継手に関し、特にガス配管などに使用されるコルゲイト管にて構成されたフレキシブルチューブのための、フレキシブルチューブ用継手に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種のフレキシブルチューブ用継手として、内部に当接面を有する金属製の筒状本体と、コルゲイト管の先端数山分の被覆体が取り除かれたフレキシブルチューブを挿通させた状態で、先端部が前記筒状本体の内部にねじ込まれる金属製の押輪と、この押輪の先端部に取り付けられるとともに、この押輪に挿通されたフレキシブルチューブのコルゲイト管の外周の谷部に係り合い可能な金属製の突部を有するリテーナとを備えたものが、たとえば特開平8−159350号公報に開示されている。
【0003】
このようなフレキシブルチューブ用継手においては、押輪を筒状本体に仮にゆるくねじ合わせた状態でこの押輪の中にフレキシブルチューブを挿入させることで、このフレキシブルチューブの先端の山部がリテーナの突部を押し拡げてこの突部の位置を通過する。これにより、リテーナの先端からコルゲイト管の先端が所定量突出した状態で、リテーナの突部がコルゲイト管の谷部に係り合うので、その後に押輪をさらにねじ込むことによって、リテーナの先端から突出したコルゲイト管の先端部分をこのリテーナの突部と前記筒状本体の当接面との間で密接状態で圧し潰すことができる。
【0004】
これによって、フレキシブルチューブが継手にシール状態で接続され、金属部どうしによるコルゲイト管の圧し潰しによりシールするのでシール部は耐火性を有し、またコルゲイト管の先端部分がリテーナの突部と筒状本体の当接面との間に挟み込まれているので、コルゲイト管の抜け出しを阻止できる効果もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この特開平8−159350号公報に記載された継手では、上述のようにフレキシブルチューブの挿入後にさらに押輪のねじ込み作業が必要であり、しかもそのねじ込みによってコルゲイト管の先端部分を圧し潰さなければならないため、比較的大きな力を必要とするという問題点がある。
【0006】
そこで本発明は、このような問題点を解決して、継手にフレキシブルチューブを差し込むことで継手とチューブとを接合することができ、しかも継手とフレキシブルチューブとの抜け出し防止性、シール性、シール部の耐火性をも兼備できるようにすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため本発明は、コルゲイト管にて構成されたフレキシブルチューブのための継手が、筒状本体と、先端部が筒状本体の内部に挿入される押輪とを具備し、フレキシブルチューブは、コルゲイト管が、押輪の端部から、この押輪と筒状本体との内部に向けて挿通可能とされ、前記押輪の内周には、この押輪の先端側に向かって拡径するテーパ面が形成され、押輪のテーパ面の内周側に環状のリテーナが配置され、このリテーナは、プレス成形加工品により構成されて、押輪のテーパ面に接触可能な外周部と、径方向の内向きに突出する突部とを有するとともに、拡径および縮径可能とされ、前記リテーナは、フレキシブルチューブが挿通されたときに、コルゲイト管の外周の山部により突部が押し拡げられることによってこの山部の通過を許容し、かつ、この山部を通過させることによって突部がコルゲイト管の外周の谷部に係り合うように変形可能とされ、筒状本体の内部に環状のシール材が設けられ、この環状のシール材は、その内周面によってコルゲイト管の山部の外周をシール可能であるとともに、少なくともその一部が耐火性を有する材料にて形成されているようにしたものである。
【0008】
このような構成であると、フレキシブルチューブを継手の内部に挿入することで、これらフレキシブルチューブと継手とがシール状態で互いに確実に接合されることになる。
【0009】
フレキシブルチューブに継手からの抜け出し力が作用した場合には、リテーナの外周部が押輪の内周のテーパ面に押圧されることで、その反力により突部に径方向の内向きの力が作用し、この力によってリテーナに縮径力が作用して、突部がコルゲイト管の谷部に強く係り合うことになるため、その抜け出しが阻止されることになる。
【0010】
リテーナは、プレス成形加工品により構成されるため、安価に製造することができる。
【0011】
コルゲイト管と継手とはシール材によってシールされるが、シール材の少なくとも一部が耐火性を有する材料にて形成されているため、火災などの発生時においても、この耐火性を有する材料にて形成された部分は焼失せず、したがって所要のシール性が維持されることになる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1において、1はフレキシブルチューブで、薄肉のステンレス製のコルゲイト管2と、このコルゲイト管2の外周を覆う樹脂製のチューブ状の被覆体3とによって構成されている。コルゲイト管2において、4は山部、5は谷部である。このフレキシブルチューブ1は、コルゲイト管2の先端の数山分につき被覆体3が取り除かれた状態で継手に接続される。
【0013】
この継手において、11は筒状本体で、真鍮などの金属によって形成され、その一端に外ねじ部12が形成されることで、ガス管などの被接続体に接続することができるように構成されている。13は六角部で、外ねじ部12のねじ込み操作のために用いられる。14は、その他端側の端面である。
【0014】
筒状本体11の他端側の内周には、その開口側から順に、内ねじ部15と、内周面16と、環状のシール材収容部17と、コルゲイト管収容部18とが設けられている。コルゲイト管収容部18は、シール材収容部17よりも小径に形成されて、コルゲイト管2の先端の山部4を収容できるように構成されている。シール材収容部17には、環状のゴム製のシール材21が、ゆるい圧入状態で収容されている。
【0015】
25は押輪で、真鍮などの金属によって筒状に形成されるとともに、その一端側に、筒状本体11の内ねじ部15にねじ込み可能な外ねじ部26を有する。押輪25の他端側の外周には円周状の外周面27が形成されている。この外周面27は外ねじ部26よりも大径に形成され、したがって筒状本体11の端面14に向かい合う端面28が形成されている。押輪25における端面28の基端側の部分には、環状のパッキン31が装着されている。このパッキン31は、押輪25を筒状本体11にねじ込んだときに端面14と端面28との間で圧縮される。
【0016】
押輪25には、フレキシブルチューブ1を挿通させるための孔部33が貫通状態で形成されている。この孔部33における押輪25の他端側の内周には、パッキン34が収容されている。孔部33において、パッキン34よりも押輪25の一端側には、被覆体収容部36が形成されている。孔部33における押輪25の一端部の内周には、この押輪25の一端側に向かって拡径するテーパ面37が形成されている。このテーパ面37は、押輪25の一端側すなわち開口側では筒状本体11のパッキン収容部17とほぼ同径に形成され、これに対し押輪25の他端側すなわち奥側では、被覆体収容部36よりも小径になるように形成されている。したがって、被覆体収容部36とテーパ面37との境界には径方向の段部38が形成されている。
【0017】
図1に示すように押輪25を筒状本体11にねじ込んだ状態におけるこの押輪25のテーパ面37の内周側には、環状のリテーナ44が配置されている。図1〜図3に示すように、このリテーナ44は、ステンレスなどの金属材料を用いた安価なプレス成形加工品にて構成されている。
【0018】
詳細には、リテーナ44は、横断面が「へ」の字形に形成されて、押輪のテーパ面37に沿うように傾斜した外周部45と、内周側に向けて突出する突部46とを有し、突部46は、内周側に向かうにつれて先端側に飛び出す傾斜状に形成されている。リテーナ44には、突部46から外周部45に向かう軸心方向の切り込み47が、周方向に沿った複数の位置に形成されている。このため、突部46は、周方向に沿って複数に分断された形で構成されている。またリテーナ44には、反対に外周部45から突部46に向かう軸心方向の切り込み48が、切り込み47を避けて周方向に沿った複数の位置に形成されている。これにより、リテーナ44は、構成材料が周方向に沿ってジグザグに配置された形となり、したがって突部46が容易に弾性的に拡径および縮径できるように構成されている。なお、突部46から外周部45に向かう切り込み47のみを設けて、反対側の切り込み48は設けない構成とすることもできる。
【0019】
図1および図4に示すように、シール材21は、リング状の耐火部22と一般ゴム部23とが軸心方向に一体化された筒状体によって構成され、かつ耐火部22が筒状本体11の奥側になるように配置されている。これら耐火部22と一般ゴム部23とは、内径および外径が等しくなるように形成されるとともに、軸心方向の寸法がほぼ等しくなるように形成されている。耐火部22は、たとえばニトリルゴムに熱膨張性黒鉛が混入された構成となっている。一般ゴム部23は、たとえばニトリルゴムによって形成されている。
【0020】
このようなものにおいて、継手を構成する場合には、まず筒状本体11の収容部17にシール材21をはめこんでおく。押輪25には、パッキン31とパッキン34とを取り付けておく。そして、押輪25のテーパ面37の内周側にリテーナ44収容した状態で、この押輪25を筒状本体11にねじ込んで固定する。すると、図5に示す状態となる。このとき、筒状本体11の端面14に押輪25の端面28が接近することでパッキン31が圧縮される。
【0021】
この状態の継手とフレキシブルチューブ1とを接合させる際には、図5に示す状態から、図1に示すようにコルゲイト管2の谷部5で切管されかつコルゲイト管2の先端の数山分につき被覆体3が取り除かれた状態のフレキシブルチューブ1を、押輪25の端部から孔部33の中に挿入する。すると、図6に示すように、コルゲイト管2の先端の山部4がリテーナ44の突部46に当たり、このリテーナ44をシール材21に近づく方向に移動させる。すると、リテーナ44の外周部45は押輪25のテーパ面37から離れる。
【0022】
この状態でさらにフレキシブルチューブ1を挿入すると、リテーナ44がシール材21の端面に当たり、今度は図7に示すようにコルゲイト管2の山部4がリテーナ44の傾斜突部46に作用して、このリテーナ44を押し拡げて突部46の内周を通過する。このとき、上述のようにリテーナ44には周方向に複数の切り込み47、48が形成されされていることから、このリテーナ44の押し拡げは容易に行われる。
【0023】
同様にしてコルゲイト管2の先端の数山がリテーナ44の突部46を通過すると、このコルゲイト管2の先端の数山は、図1に示すようにシール材21の内部に入り込む。また、コルゲイト管2の最先端の山部4は、シール材21の位置を通り過ぎて、収容部18の中に入り込む。このとき、シール材21は、その内周面がコルゲイト管2の山部4に密着して、このコルゲイト管2との間のシールを行うように機能する。図1は、このときの状態を示す。また、このとき、リテーナ44は、弾性によって元の縮径状態に戻っており、突部46がコルゲイト管2の一つの谷部5にはまり込んで係り合っている。
【0024】
図1の状態では、フレキシブルチューブ1の被覆体3は、収容部36にはまり込んで段部38に接近している。さらに、この状態では、押輪25のパッキン34がフレキシブルチューブ1の被覆体3の外周をシールする。パッキン31、34は、主として継手の内部に水などが浸入することを防止するために用いられる。
【0025】
このように、フレキシブルチューブ1を継手の内部に挿入するだけのワンタッチ操作で、部材のねじ込み作業などの他の操作はいっさい必要とせずに、これらフレキシブルチューブ1と継手とをシール状態で互いに確実に接合することができる。
【0026】
図1に示す状態から、フレキシブルチューブ1に継手から抜け出す方向の力が作用した場合には、コルゲイト管2の一つの谷部5に突部46が係り合っているリテーナ44の外周部45が押輪25のテーパ面37に当たり、リテーナ44は押輪25から径方向内向きの反力を受ける。すると、抜け出し方向とは反対向きに傾斜した突部46が全周にわたってコルゲイト管2の一つの谷部5の外周を押さえ付けることになって、これらリテーナ44とコルゲイト管2との係り合いが確実なものになり、これによって継手からのフレキシブルチューブ1の抜け出しが防止されることになる。
【0027】
すなわち、突部46が一つの谷部5にのみに係り合っているため、押輪25のテーパ面37の作用によってリテーナ44が縮径したときに、この突部46の先端に谷部5との係り合い力を集中させることができる。これによって、大きな抜け出し力が作用した場合にも、継手からのフレキシブルチューブ1の抜け出しを確実に防止することができる。
【0028】
接合完了後に、火災などによって継手が高温にさらされた場合には、シール材21における一般ゴム部23は焼失しても、奥側の耐火部22では、熱膨張性黒鉛が膨張して、コルゲイト管2とのシール性を維持する。したがって所要の耐火性が確保されることになる。火災などによって高温にさらされた場合は奥側の耐火部22が脆くなってしまうが、コルゲイト管2の先端の山部4が筒状本体11の収容部18に収容されているため、このコルゲイト管2が径方向に横振れすることがなく、したがって脆くなった耐火部22がコルゲイト管2の横振れによって損傷を受けてシール性能が低下するようなことを防止できる。
【0029】
図8は本発明の他の実施の形態を示す。ここでは、筒状本体11と押輪25との内部にわたって、真鍮などの金属や所要の強度を有した樹脂などによって形成されたカラー40が設けられている。
【0030】
このような構成であると、フレキシブルチューブ1に継手からの抜け出し力が作用して、リテーナ44が薄肉のコルゲイト管2を押さえつけるときに、カラー40がコルゲイト管2をバックアップすることになって、リテーナ44の力によリコルゲイト管2が変形したり、この変形に伴う継手からの抜け出しが発生したりすることが確実に防止される。
【0031】
【発明の効果】
以上のように本発明によると、フレキシブルチューブを継手の内部に挿入することで、部材のねじ込み作業などの他の操作はいっさい必要とせずに、これらフレキシブルチューブと継手とをシール状態で互いに確実に接合することができる。また、リテーナの外周部が押輪の内周のテーパ面に押圧され、その反力により突部がコルゲイト管の谷部に強く係り合うことになるため、継手からのフレキシブルチューブの抜け出しを阻止できる。リテーナは、プレス成形加工品により構成されるため、安価に製造することができる。さらに、コルゲイト管と継手とはシール材によってシールされ、しかもシール材の少なくとも一部が耐火性を有する材料にて形成されているため、火災などの発生時においても、この耐火性を有する材料にて形成された部分は焼失せず、したがって所要のシール性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態のフレキシブルチューブ用継手の構成を示す断面図である。
【図2】図1におけるリテーナを詳細に示す図である。
【図3】同リテーナの斜視図である。
【図4】図1におけるシール材の斜視図である。
【図5】図1の継手にフレキシブルチューブが差し込まれる前の状態を示す断面図である。
【図6】図5の次の段階を示す要部拡大断面図である。
【図7】図6の次の段階を示す要部拡大断面図である。
【図8】 本発明の他の実施の形態のフレキシブルチューブ用継手の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 フレキシブルチューブ
2 コルゲイト管
4 山部
5 谷部
11 筒状本体
21 シール材
25 押輪
37 テーパ面
44 リテーナ
45 外周部
46 突部
47 切り込み
Claims (6)
- コルゲイト管にて構成されたフレキシブルチューブのための継手であって、筒状本体と、先端部が筒状本体の内部に挿入される押輪とを具備し、
フレキシブルチューブは、コルゲイト管が、押輪の端部から、この押輪と筒状本体との内部に向けて挿通可能とされ、
前記押輪の内周には、この押輪の先端側に向かって拡径するテーパ面が形成され、
押輪のテーパ面の内周側に環状のリテーナが配置され、
このリテーナは、プレス成形加工品により構成されて、押輪のテーパ面に接触可能な外周部と、径方向の内向きに突出する突部とを有するとともに、拡径および縮径可能とされ、
前記リテーナは、フレキシブルチューブが挿通されたときに、コルゲイト管の外周の山部により突部が押し拡げられることによってこの山部の通過を許容し、かつ、この山部を通過させることによって突部がコルゲイト管の外周の谷部に係り合うように変形可能とされ、
筒状本体の内部に環状のシール材が設けられ、
この環状のシール材は、その内周面によってコルゲイト管の山部の外周をシール可能であるとともに、少なくともその一部が耐火性を有する材料にて形成されていることを特徴とするフレキシブルチューブ用継手。 - リテーナの外周部は押輪のテーパ面に沿った斜め方向に形成され、リテーナの突部は、内周側に向かうにつれて先端側に飛び出す傾斜状に形成されていることを特徴とする請求項1記載のフレキシブルチューブ用継手。
- リテーナは、突部側から外周面側に向かう軸心方向の切り込みを有することを特徴とする請求項1または2記載のフレキシブルチューブ用継手。
- 筒状本体と、先端部が筒状本体の内部に挿入される押輪とを具備するとともに、フレキシブルチューブを構成するコルゲイト管が、押輪の端部から、この押輪と筒状本体との内部に向けて挿通可能とされ、かつ押輪の内周に、この押輪の先端側に向かって拡径するテーパ面が形成された継手に用いられるリテーナであって、
押輪のテーパ面の内周側に配置される環状のプレス成形加工品により構成されて、押輪のテーパ面に接触可能な外周部と、径方向の内向きに突出する突部とを有するとともに、拡径および縮径可能とされ、
フレキシブルチューブが挿通されたときに、コルゲイト管の外周の山部により突部が押し拡げられることによってこの山部の通過を許容し、かつ、この山部を通過させることによって突部がコルゲイト管の外周の谷部に係り合うように変形可能とされ、
ていることを特徴とするフレキシブルチューブ用継手のためのリテーナ。 - 外周部は押輪のテーパ面に沿った斜め方向に形成され、突部は、内周側に向かうにつれて先端側に飛び出す傾斜状に形成されていることを特徴とする請求項4記載のフレキシブルチューブ用継手のためのリテーナ。
- 突部側から外周面側に向かう軸心方向の切り込みを有することを特徴とする請求項4または5記載のフレキシブルチューブ用継手のためのリテーナ。
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