JP3936789B2 - 共重合体ラテックスの製造方法および該共重合体ラテックスを含有するカーペットバッキング剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、共重合体ラテックスの製造方法および風合いと接着強度とに優れるカーペットが得られるカーペットバッキング剤組成物に関する。さらに詳しくは、低温時の屈曲性と室温時の剛性を併せ持ち、さらに接着強度の優れる共重合体ラテックスの製造方法およびカーペットバッキング剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より多くのカーペットの製造工程においてブタジエンを主成分とするブタジエン系共重合体ラテックスが、繊維どうしや繊維と基布などを接着するバインダーとして、カーペットバッキング剤組成物に用いられている。近年コストダウンを目的としてより少ないバインダー量でこれらの接着強度を得るために種々の検討がされている。
【0003】
例えばスチレン、アクリロニトリル、メチルメタクリレート等の剛性を付与する単量体の使用比率を増やし、ブタジエンの使用比率を減らすことで接着強度は増加する。しかしそれによって、低温時のカーペットの屈曲性が低下するので、冬場の気温が低い時期に床面への敷き詰め施工を行う場合、ロール状態の形状が残るという問題が起き易くなる。
【0004】
そこで、特公平1―47595号公報では共役ジエン系単量体を含む単量体混合物を、重合率70重量%以上まで重合させた後に、単量体混合物をさらに添加して重合させることで接着強度と低温時の屈曲性のバランスに優れるカーペットを与える共重合体ラテックスが得られるという技術が示されている。また特公平8―6077号公報ではαメチルスチレンダイマーやターピノーレン等の連鎖移動剤の存在下で脂肪族共役ジエン系単量体を乳化重合するこにより風合いと接着強度に優れるカーペットを与える共重合体ラテックスが得られるという技術が明らかにされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら従来の共重合体ラテックスを用いた場合、接着強度と低温時の屈曲性のバランスは満足なレベルでなく、近年さらに高いレベルの接着強度と低温時の屈曲性のバランスを発現する技術が求められてきていた。また、αメチルスチレンダイマーやターピノーレン等の特定の連鎖移動剤は、共重合体ラテックスに残留する量が多く、得られるカーペットの臭気原因となるため、これら特定の連鎖移動剤の使用量は制限され、物性改良効果が小さいという問題もあった。
【0006】
さらに別の問題として、カーペットの敷き詰め施工以前にはロール状にしてカーペットを運搬しているが、夏期の気温が高い時期にはカーペットの剛性が低すぎるとロール状のカーペットが折れ曲がり、運搬に支障を来たすという問題が発生していた。このため、カーペットの室温時の剛性を高くするカーペットバッキング剤組成物が求められている。
【0007】
以上のように、低温時の屈曲性、室温時の剛性、及び接着強度に優れるカーペットを得るためのカーペットバッキング剤組成物が求められていたが、従来の技術ではその要求に充分応えることは出来なかった。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述の問題点を解決するために鋭意検討した結果、特定の添加方法で単量体を添加する製造方法によって得られた共重合体ラテックスをカーペットバッキング剤組成物に用いることで、低温時の屈曲性、室温時の剛性、及び接着強度に優れるカーペットを得ることが出来るという事実を見いだし本発明に到達した。
【0009】
すなわち、本発明は、脂肪族共役ジエン系単量体20〜70重量部、エチレン系不飽和カルボン酸単量体0.5〜10重量部及びその他の共重合可能な単量体20〜79.5重量部からなる単量体(合計100重量部)を乳化重合を行うに際し、脂肪族共役ジエン系単量体を5〜40重量%含む単量体1〜30重量部(a)を重合反応槽に添加し乳化重合し、単量体(a)の重合転化率が20〜90重量%に達した時点で、脂肪族共役ジエン系単量体を5〜40重量%含む単量体10〜40重量部(b)を重合反応槽に添加し乳化重合して得られる共重合体ラテックスの存在下に、脂肪族共役ジエン系単量体を40〜90重量%含む単量体20〜89重量部(c)を乳化重合する(ただし(a)+(b)+(c)=100重量部)ことを特徴とする共重合体ラテックスの製造方法および該共重合体ラテックスと無機充填剤からなるカーペットバッキング剤組成物を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における脂肪族共役ジエン系単量体の使用量は、20〜70重量%である。20重量%未満では、低温時の屈曲性、接着強度が低下する。70重量%を超えると室温時の剛性、接着強度が低下する。好ましくは30〜60重量%、さらに好ましくは35〜55重量%である。
【0011】
本発明において使用される脂肪族共役ジエン系単量体としては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン、置換直鎖共役ペンタジエン類、置換および側鎖共役ヘキサジエン類などが挙げられ、1種または2種以上用いることができる。特に1,3−ブタジエンが好ましい。
【0012】
本発明におけるエチレン系不飽和カルボン酸単量体の使用量は、0.5〜10重量%である。エチレン系不飽和カルボン酸単量体の使用量が0.5重量%未満では重合安定性が低下し、10重量%を超えるとラテックスの粘度が高くなり過ぎ好ましくない。好ましくは、1〜5重量%である。
【0013】
本発明において使用されるエチレン系不飽和カルボン酸単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸などのモノまたはジカルボン酸が挙げられ、1種または2種以上用いることができる。
【0014】
本発明におけるその他の共重合可能な単量体の使用量は、20〜79.5重量%である。この範囲を外れると、接着強度が低下する。好ましくは35〜69重量部、さらに好ましくは40〜64重量%である。
【0015】
本発明において使用できるその他の共重合可能な単量体としては、芳香族ビニル系単量体、不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体、ヒドロキシアルキル基を含有する不飽和単量体、シアン化ビニル単量体、不飽和カルボン酸アミド単量体等が挙げられる。
【0016】
芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、メチルα−メチルスチレン、ビニルトルエンおよびジビニルベンゼン等が挙げられ、1種または2種以上用いることができる。特にスチレンが好ましい。
【0017】
不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、ジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジメチルイタコネート、モノメチルフマレート、モノエチルフマレート、2−エチルヘキシルアクリレート、等が挙げられ、1種または2種以上用いることができる。特にメチルメタクリレートが好ましい。
【0018】
ヒドロキシアルキル基を含有する不飽和単量体としては、β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジ−(エチレングリコール)マレエート、ジ−(エチレングリコール)イタコネート、2−ヒドロキシエチルマレエート、ビス(2−ヒドロキシエチル)マレエート、2−ヒドロキシエチルメチルフマレートなどが挙げられ、1種または2種以上用いることができる。特にβ−ヒドロキシエチルアクリレートが好ましい。
【0019】
シアン化ビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリルなどが挙げられ、1種または2種以上用いることができる。特にアクリロニトリルが好ましい。
【0020】
不飽和カルボン酸アミド単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等が挙げられ、1種または2種以上用いることができる。特にアクリルアミドが好ましい。
【0021】
さらに、上記の単量体のほかに、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニルエステル類等を使用することができる。
【0022】
単量体の添加方法については次の通り行う。単量体は、連続添加あるいは分割添加し、前半に重合反応槽に添加される単量体50重量部(即ち、重合反応槽に単量体の添加を開始してから、単量体の添加量が50重量部に達するまでに添加された単量体50重量部)中に含まれる脂肪族共役ジエン系単量体の割合A重量%と後半の50重量部(即ち、重合反応槽に添加された単量体が50重量部に達した後、全単量体の添加が終了するまでに添加された単量体50重量部)中に含まれる脂肪族共役ジエン系単量体の割合B重量部が下記の条件を満足するようにする。
条件:1.2<B/A<3
この範囲以外では、低温時の屈曲性、室温時の剛性、及び接着強度が劣る。
【0023】
また、単量体の添加方法としては全量を一括添加する方法以外の方法であれば特に制限はなく、単量体を二段階で重合反応槽に連続添加、あるいは分割添加する二段重合、又は単量体を多段階で重合反応槽に連続添加あるいは分割添加する多段階重合、単量体を組成を連続的に変えながら添加するいわゆるパワーフィード重合等何れでも採用することができる。またシード粒子の存在化で単量体を添加するシード重合法を採ることも出来る。
【0024】
本発明の効果をよりいっそう高めるためには、脂肪族共役ジエン系単量体を5〜40重量%含む単量体1〜30重量部(a)を重合反応槽に添加し乳化重合し、単量体(a)の重合転化率が20〜90重量%に達した時点で、脂肪族共役ジエン系単量体を5〜40重量%含む単量体10〜50重量部(b)を重合反応槽に添加し乳化重合して得られる共重合体ラテックスの存在下に、脂肪族共役ジエン系単量体を40〜90重量%含む単量体20〜89重量部(c)を乳化重合する(ただし(a)+(b)+(c)=100重量部)ことが好ましい。
【0025】
本発明において乳化重合時の連鎖移動剤としてアルキルメルカプタンを使用することが好ましい。添加方法は次の通り行うことが好ましい。前半に重合反応槽に添加する単量体50重量部の添加終了までに重合反応槽に添加するアルキルメルカプタン量X重量部と全アルキルメルカプタン量Y重量部が下記の条件を満足するように添加することが好ましい。
条件:0.8<(Y−X)/X<5
この範囲以外では、目的とする効果、即ち、低温時の屈曲性、高温時の剛性、及び接着強度の発現が小さくなる。
【0026】
本発明で使用されるアルキルメルカプタンとしては、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ステアリルメルカプタン等が挙げられる。
【0027】
本発明の効果をよりいっそう高めるためには、脂肪族共役ジエン系単量体を5〜40重量%含む単量体1〜30重量部(a)およびアルキルメルカプタン(α)重量部を重合反応槽に添加し乳化重合し、単量体(a)の重合転化率が20〜90重量%に達した時点で、脂肪族共役ジエン系単量体を5〜40重量%含む単量体10〜50重量部(b)およびアルキルメルカプタン(β)重量部を重合反応槽に添加し乳化重合して得られる共重合体ラテックスの存在下に、脂肪族共役ジエン系単量体を40〜90重量%含む単量体20〜89重量部(c)およびアルキルメルカプタン(γ)重量部を添加し乳化重合する(ただし(a)+(b)+(c)=100重量部)に際し、下記条件3および4を満足する共重合体ラテックスの製造方法採用することが好ましい。
条件3:0.05≦(α)+(β)+(γ)≦10
条件4:0.5≦(γ)/[(α)+(β)]≦10
【0028】
本発明においては、アルキルメルカプタン以外の連鎖移動剤も使用することが出来、その添加方法については特に制限はない。それらの連鎖移動剤としてはジメチルキサントゲンサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルファイドなどのキサントゲン化合物、α−メチルスチレンダイマー、ターピノーレンなどの化合物や、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のチウラム系化合物、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール等のフェノール系化合物、アリルアルコール等のアリル化合物、ジクロルメタン、ジブロモメタン、四塩化炭素、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素化合物、α−ベンジルオキシスチレン、α−ベンジルオキシアクリロニトリル、α−ベンジルオキシアクリルアミド等のビニルエーテル、トリフェニルエタン、ペンタフェニルエタン、アクロレイン、メタアクロレイン、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、2−エチルヘキシルチオグリコレート等が挙げられる。
【0029】
これら連鎖移動剤の使用量については何ら制限はなく、共重合体ラテックスに求められる性能に応じて適宜調整することができるが、好ましくは単量体100重量部に対して0.05〜10重量部である。
【0030】
本発明においては環内に二重結合を1つ有する環状不飽和炭化水素を用いることも可能である。該炭化水素の添加方法については特に制限はなく、一括添加方法、連続添加方法、分割添加方法いずれの方法を採ることも出来る。環内に二重結合を1つ有する環状不飽和炭化水素としてはシクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、4−メチルシクロヘキセン、1−メチルシクロヘキセンを挙げることが出来る。
【0031】
本発明における単量体、連鎖移動剤以外の各種成分の添加方法については特に制限するものではなく、一括添加方法、分割添加方法、連続添加方法の何れでも採用することができる。更に、本発明における乳化重合において、常用の重合開始剤、電解質、重合促進剤、キレート剤等を使用することができる。重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の水溶性開始剤、あるいはレドックス系開始剤あるいは、過酸化ベンゾイル等の油溶性開始剤が使用できる。
【0032】
また、上記乳化重合における水の使用量は単量体100重量部に対して80〜200重量部であることが重合安定性の面で好ましい。
【0033】
上述の製造方法で得られた共重合体ラテックスは、カーペットバッキング用として用いられるのみならず、塗工紙用組成物、ロック繊維用接着剤組成物、皮革用接着剤組成物等としても用いることができる。
【0034】
本発明によって製造された共重合体ラテックスは、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、クレイ、硫酸バリウム、珪酸、珪酸塩、酸化チタン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の充填剤とともに用いられる。これらの無機充填剤は1種単独でも、また2種以上を併用することも出来る。共重合体ラテックスと無機充填剤の使用割合は、通常共重合体ラテックス100重量部に対して、無機充填剤が30〜800重量部、好ましくは100〜700重量部である。
【0035】
また主成分である共重合体ラテックスと無機充填剤の他に必要に応じて、分散剤、消泡剤、増粘剤、発泡剤、着色剤、難燃剤、防腐剤、老化防止剤、安定剤、加硫促進剤、帯電防止剤、pH調整剤等を加えることが出来る。
【0036】
【実施例】
以下、実施例を挙げ本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例に限定されるものではない。なお実施例中、割合を示す部および%は重量基準によるものである。また実施例における諸物性の測定は次の方法に拠った。
【0037】
重合転化率の測定
共重合体ラテックス約1.0gを正確に秤量し、150℃オーブンにて60分乾燥後、残留量を測定し、以下の計算によって重合転化率を算出する。
固形分率=乾燥後重量(g)/乾燥前重量(g)
重合転化率=100×(固形分率×仕込み重量(g)―仕込み不揮発分重量(g))÷仕込み揮発性単量体重量(g)
【0038】
剥離強度及び抜糸強度
JIS L−1021の敷物試験方法により裏張り剤の剥離強度及びパイルの抜糸強度を測定した。
【0039】
低温時の屈曲性
7cm×30cmに裁断したカーペット試験片を図1の装置(カーペット反発弾性測定装置)を用いて室温が−10℃に調整された恒温室内にて、カーペットの反発弾性を測定した。測定手順は、以下のとおりである。(1)カーペット試験片5の両長尺辺の中心部を湾曲させ、台秤4(最大目盛り500g、1目盛り2g)の台3と上板1の間に図1に示した向きに入れる。この時、パイル側が上板1に接し、かつ、短尺辺が上板1および台3に取り付けられた停止板2に接するように入れる。(2)該台秤の台3を手で最下端に押し下げる。(3)該台秤の台3から手を放し、台3が停止した時の該台秤の針が指示する目盛りの値を読み取る。この値をカーペットの反発弾性とし、数値が小さい方が低温下での屈曲性が高いことを示す。
【0040】
高温時の剛性
室温が+30℃に調整された恒温室内にて行う以外は、前記低温時の屈曲性と同様の操作を行い、カーペットの反発弾性を測定する。数値が大きい方が室温下での剛性が高いことを示す。
【0041】
共重合体ラテックスの作製
100リットルのオートクレーブに、水140重量部、炭酸水素ナトリウム0.4部、過硫酸カリウム1.0部、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.7部及び表1、2に示す、1段目の単量体、連鎖移動剤及び環内に2重結合を1つ有する環状不飽和炭化水素を仕込だ後、70℃で1時間重合を行った。単量体の重合転化率を表1、2に示した。さらに表1、2に示す各時間で第2段目の各単量体等を添加して重合を継続した。続けて、表1、2に示す各時間で3段目の単量体等を添加して重合転化率が98%になるまで重合を継続し重合を終了した。得られた共重合体ラテックスを水酸化ナトリウムを用いてPH8に調整した後、水蒸気蒸留で未反応単量体等を除去し、共重合体ラテックス1〜12を得た。13については重合安定性が劣り、共重合体ラテックスを得ることが出来なかった。各共重合体ラテックスにおいて、前半に重合反応槽に添加した単量体50重量部中に含まれる脂肪族共役ジエン系単量体のA重量部と後半に重合反応槽に添加した50重量部中に含まれる脂肪族共役ジエン系単量体のB重量部との比率(B/A)、前半に重合反応槽に添加する単量体50重量部の添加終了までに重合反応槽に添加したアルキルメルカプタン量X重量部と全アルキルメルカプタン量Y重量部との関係((Y−X)/X))についておよび1段目、2段目、3段目のアルキルメルカプタン添加量の関係((γ)/[(α)+(β)])は、表1、2に示した。
【0042】
カーペットバッキング剤の調整
共重合体ラテックス1〜12を用いて、それぞれ下記の処方に基づき調整した。
共重合体ラテックス 100 部
トリポリリン酸ナトリウム 1 部
スチレン化フェノール 0.5部
重質炭酸カルシウム 400 部
これらの配合物を十分に分散した後、固形分72%で粘度が40000cpsになるように増粘剤と水を添加して調整した。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
カーペットの作製
これらカーペットバッキング剤をナイロン繊維のタフテッドカーペット生機の裏面に1m2当たり固形分で700gになるように均一に塗布し、ジュート織布を張り合わせて、130℃のオーブン中で15分間乾燥して、タフテッドカーペットを得た。得られたタフテッドカーペットについて各試験を行い結果を表3、4に示した。
【0046】
【表3】
【0047】
【表4】
【0048】
【発明の効果】
本発明の製造方法で得られる共重合体ラテックスを用いたカーペットバッキング剤は、得られるカーペットの低温時の柔軟性と室温下での硬さに優れ、かつ接着強度に優れる。
従って、カーペット用として幅広く使用することが出来る。
【0049】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例において、カーペットの低温時の屈曲性および高温時の剛性を評価するためのカーペット反発弾性測定装置の概念図
【符号の説明】
1・・・上板、2・・・停止板、3・・・台秤の台、4・・・台秤、
5・・・カーペット試験片
Claims (2)
- 脂肪族共役ジエン系単量体20〜70重量部、エチレン系不飽和カルボン酸単量体0.5〜10重量部及びその他の共重合可能な単量体20〜79.5重量部からなる単量体(合計100重量部)を乳化重合を行うに際し、脂肪族共役ジエン系単量体を5〜40重量%含む単量体1〜30重量部(a)を重合反応槽に添加し乳化重合し、単量体(a)の重合転化率が20〜90重量%に達した時点で、脂肪族共役ジエン系単量体を5〜40重量%含む単量体10〜40重量部(b)を重合反応槽に添加し乳化重合して得られる共重合体ラテックスの存在下に、脂肪族共役ジエン系単量体を40〜90重量%含む単量体20〜89重量部(c)を乳化重合する(ただし(a)+(b)+(c)=100重量部)ことを特徴とする共重合体ラテックスの製造方法。
- 脂肪族共役ジエン系単量体を5〜40重量%含む単量体1〜30重量部(a)およびアルキルメルカプタン(α)重量部を重合反応槽に添加し乳化重合し、単量体(a)の重合転化率が20〜90重量%に達した時点で、脂肪族共役ジエン系単量体を5〜40重量%含む単量体10〜40重量部(b)およびアルキルメルカプタン(β)重量部を重合反応槽に添加し乳化重合して得られる共重合体ラテックスの存在下に、脂肪族共役ジエン系単量体を40〜90重量%含む単量体20〜89重量部(c)およびアルキルメルカプタン(γ)重量部を添加し乳化重合する(ただし(a)+(b)+(c)=100重量部)に際し、下記条件3および4を満足する請求項1に記載の共重合体ラテックスの製造方法。
条件3:0.05≦(α)+(β)+(γ)≦10条件4:0.5≦(γ)/[(α)+(β)]≦10
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