JP3936590B2 - 電子機器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示部や各種操作ボタン等を有する操作パネルを備えた移動体としての自動車などに装着される電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
移動体としての自動車のインストルメントパネル(以下インパネと呼ぶ)には、電子機器としてのカーステレオ100(図12ないし図15に示す)が取り付けられる。図12ないし図15に例示されたカーステレオ100は、前記インパネに取り付けられる機器本体101と液晶ディスプレイ等の表示部102やタッチスイッチや押圧ボタン等の操作ボタン103を有する操作パネル104とを備えている。
【0003】
機器本体101は、CDプレーヤ、MD(Mini disc)プレーヤやナビゲーション装置を構成するCD−ROMプレーヤなどの再生装置を内蔵している。操作パネル104は、液晶ディスプレイ等の表示部102に前記ナビゲーション装置における地図情報や、CDプレーヤ及びMDプレーヤの再生状況を示す情報などを表示する。また、操作パネル104の操作ボタン103は、前記ナビゲーション装置、CDプレーヤ、MDプレーヤの各種機能の動作指令を行う際に操作される。また、操作ボタン103は、前記表示部102即ち操作パネル104の角度を調整する際にも用いられる。
【0004】
前述したカーステレオ100は、インパネに装着する際にかかる設置スペースを抑制するために、図13に示すように、機器本体101の使用者に相対する面105(以下前面と称する)に前記CD、MD、CD−ROMなどのディスクを機器本体内に出し入れ自在とする挿入口を設けている。さらに、カーステレオ100は、図12及び図14中に実線で示す前面105を覆う位置と、図13及び図15中に実線で示す前面105の少なくとも一部を開放する位置とに亘って、操作パネル104をスライド移動可能としている。
【0005】
このとき、操作パネル104の下端部が前記前面105から前方に移動され、またはその前方に移動された下端部が機器本体101の内部方向に移動されることで操作パネル104の上端部が前記前面105に沿ってスライドする。このように、操作パネル104をスライドさせて、表示部102即ち操作パネル104の角度を調整する。尚、操作パネル104が前面105を覆う位置にあるときは、その前面105を囲むフレーム枠内に収容される。
【0006】
前述したカーステレオ100は、アーム部材106と、ローラ107などを備えて、前記操作パネル104をスライドさせている。前記アーム部材106は、モータなどの駆動源からの駆動力により前記前面105から前方に移動し、その前方に移動した状態から機器本体101の内部方向に移動するとともに前記操作パネル104の下端部を回転自在に支持している。アーム部材106は、前記モータの出力軸の回転数と比例した距離、前記前面105から前方に移動したり機器本体101の内部方向に移動する。ローラ107は、操作パネル104の上端部に回転自在に設けられかつ機器本体101のフレーム枠の両側内壁に形成された溝108内に侵入している。前記溝108は、鉛直方向に沿って延びている。
【0007】
前述したカーステレオ100は、図13及び図15中に実線で示す位置で、CD、MD、CD−ROMなどのディスクを機器本体101内に出し入れさせる。CD、MD、CD−ROMなどのディスクを機器本体101内に挿入した後、アーム部材106を機器本体101の内部方向に移動する。図12及び図14に示す前面105を覆う位置に操作パネル104を移動させる。そして、タッチスイッチや各種の押圧ボタンなどの前述した操作ボタン103が操作されると、CDプレーヤ、MDプレーヤ、CD−ROMプレーヤなどの再生装置を動作させる。これらプレーヤの再生状況を示す情報を液晶ディスプレイなどの表示部102に表示する。又、表示部102に表示される情報を見易くするため、使用者は、操作ボタン103を1又は複数回操作して図14の実線で示す位置と図15の実線で示す位置との間で操作パネル104を1又は複数ステップ傾かせて所望する角度(向き)に調整する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来のカーステレオ100では、操作ボタン103などを操作して、前記操作パネル104の角度(向き)を調整する。前記前面105を覆う位置から前記前面105の少なくとも一部を開放する位置に向かって、操作パネル104を移動させる。このとき、操作パネル104が傾くにしたがい使用者の指先から操作ボタン103が徐々に離れることになる。
【0009】
このため、前記操作パネル104の向きを調整する際には、操作パネル104の表面が水平に近づくにしたがって、使用者の指先から前記操作ボタン103が徐々に離れる。そうなると、操作パネル104の表面が水平に近づくにしたがって、指先を徐々に操作パネル104に向って動かす(例えば、腕を伸ばす、または体全体を動かす)必要があり、決して利便性の良いものではなかった。
【0010】
また、前述した従来のカーステレオ100は、前記操作パネル104にばねなどの付勢手段を取り付けている。この付勢手段は、前記前面105を覆う位置と該前面105の一部を開放する位置とに亘って、前記ローラ107を前記溝108の内縁に向かって付勢している。この付勢手段が、前記ローラ107を付勢することによって、前記自動車の走行中などの振動などにより前記操作パネル104が前記機器本体101に対して振動することを防止している。
【0011】
しかしながら、前述した従来のカーステレオ100は、付勢手段が前記前面105を覆う位置と該前面105の一部を開放する位置とに亘って、常にローラ107を付勢している。このため、前記ローラ107が溝108内を移動する際に生じる摩擦力が大きくなっている。このため、前記駆動源に必要とされるトルクが大きくなる傾向であった。このため、消費電力が多くなるとともに前記駆動源自体が大型化して、コストが高騰する傾向であった。
【0012】
上記した問題点を鑑みてなされた本発明の第1の目的は、操作パネルがスライド自在となる電子機器において、その操作性を向上させることにあり、また、第2の目的は、消費電力を抑制できかつ低コスト化を図ることにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
第1の目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の電子機器は、機器本体の一つの面に対しスライド移動自在に取り付けられかつ前記一つの面を覆う状態と前記一つの面の少なくとも一部を開放する状態とに亘って移動自在な操作パネルを備えた電子機器において、前記操作パネルを移動可能とする駆動手段を備え、前記駆動手段は、駆動源と、前記駆動源の駆動力により前記一つの面から前方に移動するスライド部材と、長手方向の中央部を中心として前記スライド部材に回転自在に支持されかつ前記スライド部材と共に移動可能であるとともに、その一端部が前記操作パネルの下端部を回転自在に支持する支持アームと、前記機器本体に設けられかつ前記支持アームの他端部を前記支持アームの移動方向に案内する第1のガイド部と、前記機器本体に設けられかつ操作パネルの上端部を鉛直方向に案内する第2のガイド部と、を備え、前記第1のガイド部は、前記支持アームが前記一つの面から前方に移動するにしたがってその他端部を徐々に降下させる第1の傾斜部を有し、前記操作パネルは、前記支持アームの他端部が前記第1の傾斜部により案内されることで、その下端部が前記一つの面から前方へ移動しつつ上昇することにより、その上端部を中心として回転移動することを特徴としている。
【0015】
第1の目的を達成するために、請求項2に記載の本発明の電子機器は、請求項1記載の電子機器において、前記第1のガイド部は、前記第1の傾斜部より前記機器本体の内部側に設けられ、かつ前記支持アームが前記一つの面から前方に移動する際にその他端部を水平方向に案内する水平部を備えたことを特徴としている。
【0016】
第1の目的を達成するために、請求項3に記載の本発明の電子機器は、請求項1又は2に記載の電子機器において、前記第1のガイド部は、前記第1の傾斜部より前記一つの面寄りに設けられ、かつ前記支持アームが前記一つの面から前方に移動するにしたがって前記他端部を徐々に上昇させる第2の傾斜部を有し、前記操作パネルは、前記支持アームの他端部が前記第2の傾斜部により案内されることで、前記一つの面を覆う状態から前記一つの面の少なくとも一部を開放する状態とすべく移動されることを特徴としている。
【0017】
前記第1の目的に加え第2の目的を達成するために、請求項4に記載の本発明の電子機器は、請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の電子機器において、前記操作パネルが前記一つの面を覆う状態にあるときのみ前記操作パネルを付勢する付勢手段を備えたことを特徴としている。
【0018】
請求項1に記載した本発明の電子機器によれば、駆動手段により、機器本体の一つの面を覆う状態では操作パネルが上端部を中心として回転自在とされる。このため、操作パネルの向き(角度)を調整する際に、操作パネルの表面を使用者の指先に近づかせることができる。
【0019】
なお、本明細書に記した前方とは、前記一つの面に対し直交しかつ前記一つの面から操作パネルを操作する使用者に向かう方向である。さらに、本明細書に記した機器本体の内部方向とは、前記一つの面に対し直交しかつ前記使用者即ち一つの面から離れる方向である。
【0020】
一端部が操作パネルの下端部を支持する支持アームが、中央部を中心として回転自在に支持されている。また、支持アームは、駆動源により一つの面から前方に移動される。一つの面を覆う状態では、操作パネルが上端部を中心として回転自在とされる。支持アームの他端部を案内する第1のガイド部が、支持アームが一つの面から前方に移動するにしたがって支持アームの他端部を徐々に降下させる第1の傾斜部を備えている。
【0021】
このため、機器本体の一つの面を覆う状態で、支持アームを一つの面から前方に移動させると、支持アームの他端部が徐々に降下して一端部が徐々に上昇する。このため、簡易な構成により、操作パネルを上端部を中心として回転させることができる。
【0022】
請求項2に記載した本発明の電子機器によれば、水平部が第1の傾斜部より機器本体の内部側に設けられかつ支持アームの他端部を水平方向に案内する。このため、操作パネルを傾ける際に、操作パネルが一旦機器本体から水平前方に移動され、操作パネルの上端部が若干鉛直方向に降下される。このため、操作パネルの上端部を中心として回転する際に、該上端部と機器本体とが干渉することを防止できる。
【0023】
請求項3に記載した本発明の電子機器によれば、一つの面を覆う状態から該一つの面の少なくとも一部を開放する状態に向かって操作パネルが移動する際に、操作パネルの上端部が一つの面に沿ってスライド自在となる。支持アームの他端部を案内する第1のガイド部が、支持アームが一つの面から前方に移動するにしたがって支持アームの他端部を徐々に上昇させる第2の傾斜部を備えている。この第2の傾斜部は、第1の傾斜部より機器本体の一つの面寄りに配されている。
【0024】
このため、操作パネルが機器本体の一つの面を覆う状態から該一つの面の少なくとも一部を開放する状態に向かって、支持アームを一つの面から前方に移動させると、支持アームの他端部が徐々に上昇して一端部が徐々に降下する。このため、操作パネルの下端部が一つの面から前方に移動するにしたがって徐々に降下するとともに、操作パネルの上端部が一つの面に沿って徐々に降下する。このため、操作パネルは、一つの面の少なくとも一部を確実に開放できる。
【0025】
請求項4に記載した本発明の電子機器によれば、付勢手段が一つの面を覆う状態の操作パネルを付勢する。このため、操作パネルなどに設けられる表示部などに各種の情報を表示したり操作パネルなどに設けられる各種のスイッチなどを操作する際に、自動車の走行中などに生じる振動により、操作パネルが機器本体に対して振動することを防止できる。
【0026】
また、操作パネルが一つの面を覆う状態にあるときのみ、付勢手段が操作パネルを付勢する。このため、操作パネルが一つの面を覆う状態から該一つの面の少なくとも一部を開放する状態に向かって移動する際に、該操作パネルの移動を妨げる摩擦力を抑制できる。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態にかかる電子機器としての多機能電子機器1を図1乃至図11を参照して説明する。図1などに示す多機能電子機器1は、移動体としての自動車のインストルメントパネルに装着される。
【0028】
多機能電子機器1は、図1ないし図3に示すように、機器本体2と、操作パネルとしての操作表示ユニット3と、操作表示ユニット3を図1に示す第1の位置と図2に示す第2の位置と図3に示す第3の位置とに亘って移動させる駆動手段としての駆動機構4(図4などに示す)と、を備えている。なお、以下図1中矢印Zで示す方向を機器本体2の前方と呼ぶ。この矢印Zは、後述の前面10aに直交しかつ前記前面10aから操作表示ユニット3などを操作する自動車の乗員(以下使用者と呼ぶ)に向かう方向である。
【0029】
機器本体2は、図4に示す箱状に形成されたシャーシ10と、図3中手前に位置するシャーシ10の前方に設けられた一つの面としての前面10aと、このシャーシ10内に収容されるCDプレーヤ6等の再生装置とを備え、操作表示ユニット3を前面10aに対しスライド移動させる駆動機構4(図4に示す)を収容している。
【0030】
シャーシ10は、図4に示すように、底壁11と、該底壁11の周縁から立設しかつ前記前面10aに連なる一対の側壁12などを備えている。一対の側壁12は、シャーシ10の幅方向に沿って、互いに相対する。
【0031】
また、シャーシ10は、前面10aにはその全ての辺に立設するように一体成形された複数の立設壁10cを備え、操作表示ユニット3が第1の位置にあるときには、複数の立設壁10cによって形成された空間領域に収容されている。
【0032】
図示例では、再生装置としてCDプレーヤ6、MDプレーヤ7、ナビゲーション装置を構成するCD−ROMプレーヤ8とがシャーシ10内に収容されている。なお、図示してないが、ラジオ放送を受信するAM/FMチューナ等やテレビ放送波を受信するテレビチューナ等を収容しても良い。これらの再生装置や受信装置は、例えば、操作表示ユニット3に設けられた後述する押しボタン19等を使用者が押圧することによって動作する。
【0033】
前面10aには、図3に示すように、前記MDプレーヤ7にMDを挿入する挿入口20と、CDプレーヤ6及びCD−ROMプレーヤ8にCD及びCD―ROMを挿入する挿入口21a及び挿入口21bとが設けられている。
【0034】
さらに、ガイド溝17が形成された立設壁10cと前面10aとは、図10に示すように、互いに別体に形成されている。立設壁10cと前面10aとが互いに固定されるなどして、前述した機器本体2が組立られる。立設壁10cと前面10aとの間には、ねじりスプリング22が設けられている。ねじりスプリング22は、図7ないし図9に示すように、リング状の円環部23と、この円環部23から外周方向に向って延びた付勢手段としての一端部24と、円環部23から外周方向に向って延びた他端部25とを一体に備えている。ねじりスプリング22は、ローラ18の背面側に配される。ねじりスプリング22の一端部24は、ローラ18の後述する凹溝26(図11に示す)内に侵入可能である。
【0035】
ねじりスプリング22の一端部24は、操作表示ユニット3が第1の位置と第2の位置、及び第1の位置と第2の位置との間にあるときは、ローラ18の凹溝26と接触して、該ローラ18即ち操作表示ユニット3を機器本体2の外方向に向って付勢する。また、ねじりスプリング22は、操作表示ユニット3が第2の位置と第3の位置の間、及び第3の位置にあるときは、ローラ18の凹溝26即ち操作表示ユニット3と間隔をあけて接触しないとともに、ローラ18即ち操作表示ユニット3を付勢しない。
【0036】
駆動機構4は、操作表示ユニット3の後述の下端部3aを前面10aから前方に移動させかつ下端部3aまたは後述の上端部3bを中心として、操作表示ユニット3の後述の表示部5の表面5aが上方に向くように傾かせる(向きを変更する)機構である。駆動機構4は、図4に示すように、駆動源としてのモータ27と、複数の駆動歯車28と、回転部材としてのカム歯車29と、アーム部材30と、スライド部材としてのスライドフレーム31及び支持アーム32と、第1のガイド部としてのガイド孔13を有するガイド部材40と、第2のガイド部としてのガイド溝17(図1ないし図3などに示す)とを備えている。
【0037】
モータ27は、シャーシ10の底壁11に固定されている。モータ27の出力軸にはウォーム33が取付けられている。複数の駆動歯車28は、それぞれ、シャーシ10の底壁11に回転自在に支持されている。駆動歯車28は互いにかみ合っている。
【0038】
駆動歯車28のうち一つは、ウォーム33とかみ合っているとともに、他はカム歯車29とかみ合っている。駆動歯車28は、モータ27の駆動力をカム歯車29に伝える。カム歯車29は、円盤状に形成されかつシャーシ10の底壁11に回転自在に設けられている。このため、カム歯車29は、勿論モータ27の駆動力により回転する。
【0039】
カム歯車29には、所定の形状を有する孔34が形成されている。孔34は、カム歯車29の表面29aからその裏面に亘って貫通している。孔34は、カム歯車29の回転中心から該カム歯車29の外縁に向って延びて、平面形状が円弧状に形成されている。なお、カム歯車29の回転中心から外縁に向って延びた円弧状は、本明細書に記した所定の形状である。孔34は、回転中心から外縁に向かうにしたがって曲率半径r1,r2,r3(図5に示す)が徐々に大きくなっている。
【0040】
孔34の内側にアーム部材30の後述する突起部35が侵入する。孔34は、使用者による操作表示ユニット3の角度調整のための操作に応じて操作表示ユニット3が前述した第1の位置から第2の位置を経て第3の位置に変位する際に、後述する表示部5の表面5aと前面10aとのなす角度の変化率が一定となる形状に形成されている。即ち、前記表面5aと前面10aとのなす角の単位時間あたりの変化率(角速度)が、一定となる形状に、孔34は形成されている。
【0041】
カム歯車29の表面29aには、その外縁近傍に角度調整部50が取付けられている。この角度調整部50は、カム歯車29の表面29aから上方に延在した複数の遮断部51,51…が設けられている。これらの複数の遮断部51はカム歯車29の周方向に沿って所定の間隔をあけて配されている。角度調整部50は、図示せぬ光センサからの光を遮断部51が遮断することによりカム歯車29の回転角度を調整する。つまり、使用者が操作表示ユニット3の傾く角度を調整するための操作を行う度に、モータ27からの駆動力を受けたカム歯車29の回転角度を調整する。例えば、使用者が操作表示ユニット3の角度を調整するための押しボタン19のうちの操作ボタンを1回操作すると、光センサからの光を遮断部51が2つ遮断したことを検出してその回転を止める。そして、そのカム歯車29の回転角度に応じて、操作表示ユニット3を所定角度傾かせる。
【0042】
アーム部材30は、板金などからなり帯状に形成されている。アーム部材30は、一端がシャーシ10の底壁11に回転自在に設けられている。アーム部材30の他端には、長孔36が形成されている。長孔36の長手方向は、アーム部材30の長手方向と平行である。アーム部材30の中央部は、カム歯車29の表面29aに重ねられる。アーム部材30の中央部には孔34内に侵入する突起部35を設けている。アーム部材30は、カム歯車29が回転すると一端を中心として回転する。又、長孔36内には、後述の突起37が侵入する。このため、アーム部材30の他端はスライドフレーム31と連結されている。
【0043】
スライドフレーム31は、シャーシ10の底壁11に重ねられている。スライドフレーム31は、前記前面10aを通して機器本体2から突出する方向と前面10aに没する方向に沿って移動可能となるように、シャーシ10即ち機器本体2に設けられている。なお、前面10aを通して機器本体2から突出する方向とは、前面10aから矢印Zに沿って前方に向かう方向である。前面10aに没する方向とは、図1中の矢印Xに沿って機器本体2の内部に向かう方向である。矢印Xは、前面10aに直交しかつ使用者即ち前面10aから離れる方向である。矢印Xは、機器本体2の内部に向かう方向(内部方向と呼ぶ)をなしている。
【0044】
スライドフレーム31には、アーム部材30の長孔36内に侵入する突起37が設けられている。スライドフレーム31は、カム歯車29が回転すると、図5中実線で示す前記前面10aに没して機器本体2内に収容された位置と、図6中実線で示す前記前面10aを通して前面10aから前方に移動して機器本体2外に突出した位置と、に亘ってスライドする。
【0045】
一対の支持アーム32は、スライドフレーム31の幅方向の両縁に支持されている。支持アーム32の一端部32aは、操作表示ユニット3の下端部3aを回転自在に支持している。
【0046】
支持アーム32は、平面形状がく字状に形成されている。支持アーム32は、長手方向の中央部を中心として回転自在にスライドフレーム31の両縁に支持されている。このため、支持アーム32は、スライドフレーム31を介してシャーシ10即ち機器本体2に、長手方向の中央部を中心として回転自在に支持されている。
【0047】
また、支持アーム32は、前面10aから矢印Zに沿って前方に移動したり、前方に移動した状態から矢印Xに沿って機器本体2の内部方向にスライド自在にシャーシ10即ち機器本体2に支持されている。さらに、支持アーム32は、モータ27の駆動力により、後述するように前面10aから矢印Zに沿って前方に移動されたり、前方に移動した状態から矢印Xに沿って機器本体2の内部方向に移動される。支持アーム32は、長手方向がスライドフレーム31のスライド方向に沿いかつ長手方向の両端に近づくのにしたがって徐々に底壁11から離れる状態で配される。
【0048】
支持アーム32の他端部32bには、図7ないし図9に示すように、ガイド孔13内に侵入するガイドローラ38が設けられている。ガイドローラ38は、ガイド孔13内を移動自在である。このため、支持アーム32の他端部32bは、ガイド孔13により前記支持アーム32の移動方向に案内される。
【0049】
なお、これらのカム歯車29と、孔34と、アーム部材30と、突起部35と、スライド部材31などを備えて、駆動機構4は、操作表示ユニット3の前面10aに対して傾く際の角度を一定とすべく、下端部3aを前面10aから前方に移動させるにしたがってその移動速度を徐々に遅くする構成となっている。
【0050】
ガイド部材40は、一対設けられ(図4中には一方のみ示す)、シャーシ10の側壁12に取り付けられている。ガイド部材40は、シャーシ10の幅方向に沿って、互いに間隔をあけて相対している。ガイド部材40は、側壁12の内側に配されている。ガイド部材40は、図7ないし図9に示す第1のガイド部としてのガイド孔13を備えている。このため、ガイド孔13は、機器本体2に設けられている。ガイド孔13は、前面10aから離れた側から前面10aに向って、水平部としての直線部14と、第1の傾斜部15と、第2の傾斜部16とを順に配している。
【0051】
直線部14は、底壁11に沿って直線状に延びた長孔形状に形成されている。このため、直線部14は、水平方向に沿って延びている。第1の傾斜部15は、直線部14と連通している。第1の傾斜部15は、直線部14より前面10a寄りに設けられている。このため、直線部14は、第1の傾斜部15より前面10aから離れた側即ち機器本体2の内部側に設けられている。直線部14は、支持アーム32が前面10aから前方に移動する際に、ガイドローラ38即ち他端部32bを水平方向に案内する。第1の傾斜部15は、直線部14から離れるのにしたがって即ち前面10aに近づくのにしたがって徐々に底壁11に近づく方向に傾斜している。このため、第1の傾斜部15は、支持アーム32が前面10aから前方に移動するのしたがって、ガイドローラ38即ち支持アーム32の他端部32bを徐々に降下させる。
【0052】
第2の傾斜部16は、第1の傾斜部15より前面10a寄りに設けられている。第2の傾斜部16は、第1の傾斜部15に連通している。第2の傾斜部16は、第1の傾斜部15から離れるのにしたがって即ち前面10aに近づくのにしたがって徐々に底壁11から離れる方向に傾斜している。このため、第2の傾斜部16は、支持アーム32が前面10aから前方に移動するにしたがってガイドローラ38即ち支持アーム32の他端部32bを徐々に上昇させる。
【0053】
ガイド溝17は、前述した空間領域内に収容された操作表示ユニット3の両側に位置する立設壁10cの内面に形成されている。このため、ガイド溝17は、シャーシ10即ち機器本体2に設けられている。ガイド溝17は、立設壁10cの内面から凹に形成されている。ガイド溝17の長手方向は、前面10a即ち鉛直方向に沿っている。このガイド溝17には、後述する操作表示ユニット3の両側面上方に突設したローラ18が摺動可能に係合される。このため、ガイド溝17は、操作表示ユニット3のローラ18即ち上端部3bを鉛直方向に案内する。
【0054】
前述した構成の駆動機構4は、図1及び図7に示す第1の位置では、図5中実線で示すように、突起部35が孔34のカム歯車29の回転中心寄りの端部に位置しかつスライドフレーム31が前面10aに没して機器本体2内に収容されている。さらに、支持アーム32のガイドローラ38が、ガイド孔13の直線部14の前面10aから離れた側の端部に位置している。
【0055】
第1の位置から前述した第2の位置に向って移動する際には、まず、モータ27がカム歯車29を図5中の矢印Kに沿って回転させる。すると、カム歯車29が回転するのに連動して、突起部35がカム歯車29の回転中心寄りの端部から外縁に向って孔34内を移動する。すると、アーム部材30が一端を中心として、他端が前面10aに近づく方向に回転する。そして、長孔36内を突起37が移動するなどして、スライドフレーム31が図5中に実線で示す位置から二点鎖線で示す位置に向って、前面10aから矢印Zに沿って前方に移動する。
【0056】
すると、支持アーム32がスライドフレーム31とともに、前面10aから矢印Zに沿って前方に移動する。このとき、まず、ガイドローラ38が直線部14内を前面10aに向って移動する。その後、ガイドローラ38が第1の傾斜部15内を前面10aに向って移動する。そして、図2及び図8に示す第2の位置に変位する。第2の位置では、ガイドローラ38は、ガイド孔13の第1の傾斜部15と第2の傾斜部16との間に位置している。
【0057】
さらに、モータ27が駆動して、カム歯車29を矢印Kに向って回転すると、図6中に二点鎖線で示す位置から実線で示す位置に向って、突起部35が孔34のカム歯車29の回転中心寄りの端部から外縁寄りの端部に向って移動する。そして、スライドフレーム31が前面10aからより前方に移動する。さらに、支持アーム32のガイドローラ38が、ガイド孔13の第2の傾斜部16内を移動して前面10aに近づく。こうして、駆動機構4は、第1の位置から前述した第2の位置を経て第3の位置に変位する。また、第3の位置から第2の位置を経て第1の位置に変位する際には、駆動機構4は、モータ27を逆方向に回転させることにより、前述の記載と逆の動きをする。
【0058】
こうして、各支持アーム32が前面10aから前方に移動したり、前面10aから前方に移動した位置から機器本体2の内部方向に移動する。なお、前述した第1の位置から第2の位置を経て第3の位置に移動する際には、前記孔34内を突起部35が移動しかつ曲率半径r1,r2,r3が前述したように形成されているので、カム歯車29の回転に連動してアーム部材30を回転させることで、前記スライドフレーム31即ち操作表示ユニット3の下端部3aを前面10aから前方に移動させる。カム歯車29の回転に伴い突起部35が孔34内を移動することで、アーム部材30の回転速度を徐々に遅くさせる。そして、カム歯車29の回転する角度に対しスライドフレーム31即ち下端部3aが前方に移動する距離が徐々に減少する。
【0059】
例えば、図5中の実線で示す位置から二点鎖線で示す位置に移動する際には、カム歯車29が角度θ度回転すると、スライドフレーム31が距離L1移動する。図6中の二点鎖線で示す位置から実線で示す位置に移動する際には、カム歯車29が角度θ度回転すると、スライドフレーム31が距離L2移動する。距離L1は距離L2より長い。このように、スライドフレーム31即ち操作表示ユニット3の下端部3aが前面10aから前方に移動するにしたがって、スライドフレーム31即ち操作表示ユニット3の下端部3aが移動する速度が徐々に遅くなる。
【0060】
また、各支持アーム32がシャーシ10の内外方向に移動することで、操作表示ユニット3の両側面上方に設けられたローラ18がガイド溝17に沿って摺動する。すなわち、モータ27からの駆動力を受けて各支持アーム32がシャーシ10の外方向に移動することにより操作表示ユニット3は、その表示部5の表面5aが上方に向くように傾かされる。さらに、シャーシ10の前面10aの少なくとも一部を開放する位置(図3に示す)に移動される。また、支持アーム32がシャーシ10の内方向(機器本体2の内部方向)に移動することにより、傾かされた操作表示ユニット3は前面10aを覆う位置(図1に示す)に移動され、ローラ18はガイド溝17の上端部に位置付けられる。
【0061】
操作表示ユニット3は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)などからなる画像情報等を表示する表示部5を備えている。表示部5の表面5aは、操作表示ユニット3の前面をなしている。操作表示ユニット3は、表示部5に、CD−ROMプレーヤによって再生された地図情報や、テレビチューナが受信したテレビ放送波の映像等を表示する。
【0062】
操作表示ユニット3は、駆動機構4により前面10aに対してスライド自在に機器本体2に取り付けられている。また、操作表示ユニット3は、その表面に押しボタン19を複数設けている。押しボタン19は、使用者により図1中矢印Xで示す方向に押圧されることにより操作される。これらの押しボタン19が操作されることにより、シャーシ10の内部に収容された各種再生装置等が動作するとともに、操作表示ユニット3がスライド移動される。
【0063】
例えば、押しボタン19のうちの選択ボタン(例えば、CD、MD等を選択するためのボタン)やOPENボタンが押圧操作されると、操作表示ユニット3が駆動機構4により前面10aに対してスライド移動される。すなわち、選択ボタンによりMDが選択されると、駆動機構によって操作表示ユニット3がシャーシ10の前面10aに形成された挿入口20のみを開放する位置までスライド移動される。また、OPENボタンが押圧操作されることにより、シャーシ10の前面10aに形成されたすべての挿入口(挿入口20、挿入口21a及び挿入口21b)が開放される位置までスライド移動される。
【0064】
そして、CDやMD等の所望のディスクが挿入口20及び挿入口21a,21bから挿入又は排出されると、操作表示ユニット3は、駆動機構4により自動的にシャーシ10の前面10aを覆う位置(挿入口20及び挿入口21a,21bを覆い隠す位置)まで移動される。なお、シャーシ10の前面10aを開放した状態で所望のディスクが挿入されると、操作表示ユニット3は自動的にその前面10aを覆う位置に移動され、例えば、使用者が押しボタン19のうち再生(プレイ)ボタンやサーチボタン等を操作することによりそのディスクの再生や、サーチ動作等が行われる。
【0065】
また、例えば、押しボタン19のうちアングルボタンが押圧操作されると、操作表示ユニット3の傾く角度が調整される。使用者が所望する角度に操作表示ユニット3を傾かせようとしてアングルボタンを1回押圧操作すると、その操作に応じてモータ27の駆動力によりカム歯車29が回転する。そして、角度調整部50における2つの遮断部51が光センサからの光を遮断した場合、モータ27の駆動が停止し、カム歯車29の回転が止まる。そして、その回転角度に応じて操作表示ユニット3が所定角度傾く。続けて使用者がアングルボタンを押圧操作すると、カム歯車29が更に回転して2つの遮断部51が光センサからの光を遮断し、その回転角度に応じて操作表示ユニット3がさらに所定角度傾く。
【0066】
なお、これらのスライド移動は、図示せぬマイコン等が駆動機構4のモータ27の回転方向や回転数を制御することにより行われる。このマイコンは、モータ27に対し常に一定の駆動電圧を出力させるように制御する。すなわち、使用者による選択ボタンの操作や、OPENボタンの操作、及びアングルボタンの操作の各々の操作毎にモータ27の回転数を変化させることなく、常に一定の回転数となるように制御する。従って、そのモータ27からの駆動力により回転されるカム歯車29の回転速度も一定となり、操作表示ユニット3はモータ27から出力される一定の駆動力により回転されることになる。このため、モータ27は、一定の駆動力を出力して、下端部3aを前面10aから前方に移動させるための駆動力をカム歯車29などに与える。
【0067】
操作表示ユニット3の両側面の下端部3aは、支持アーム32に支持されている。支持アーム32が前述したようにモータ27の駆動力により前面10aから前方に移動し、その前方に移動した状態から機器本体2の内部方向に移動するので、操作表示ユニット3の下端部3aは前方に移動し、その前方に移動した状態から機器本体2の内部方向に移動する。
【0068】
ローラ18は、円盤状に形成されかつ操作表示ユニット3の両側面の上端部3bに軸芯周りに回転自在に設けられている。ローラ18は、前述したガイド溝17に係合して、軸芯周りに回転することでガイド溝17に沿って移動自在に設けられている。このため、操作表示ユニット3の上端部3bは、前面10aに沿って移動する。なお、ローラ18は、ガイド溝17に沿って滑らかに摺動すべく該ガイド溝17に対して極僅かな隙間をもって係合されている。また、ローラ18は、操作表示ユニット3の側面から突出している。
【0069】
また、ローラ18の外周面18aには、凹溝26が形成されている。凹溝26は、ローラ18の外周面18aから凹に形成されており、ローラ18の周方向に沿って延びている。凹溝26は、ローラ18の全周に亘って形成されている。凹溝26内には、ねじりスプリング22の一端部24が侵入可能である。
【0070】
前述した構成の多機能電子機器1は、MD、CDやCD−ROMを機器本体2内に挿入して、MD、CDやCD−ROMの再生を行ったり、表示部5で地図情報やテレビ放送波の映像を表示する。このとき、使用者が図1に示す第1の位置と図2に示す第2の位置とに亘って、操作表示ユニット3を変位させて表示部5の向きを調整する。
【0071】
図1に示す第1の位置では、操作表示ユニット3が前面10aを覆っている。そして、図5中実線で示すように、突起部35が孔34のカム歯車29の回転中心寄りの端部に位置しかつスライドフレーム31が前面10aに没して機器本体2内に収容されている。さらに、図7に示すように、支持アーム32のガイドローラ38が、ガイド孔13の直線部14の前面10aから離れた側の端部に位置している。
【0072】
図1に示す第1の位置から図2に示す第2の位置に向って操作表示ユニット3を移動する際には、まず、モータ27がカム歯車29を回転させ、カム歯車29が回転するのに連動して、突起部35がカム歯車29の外縁に向って孔34内を移動する。すると、アーム部材30が一端を中心として、他端が前面10aに近づく方向に回転する。そして、長孔36内を突起37が移動するなどして、スライドフレーム31が前面10aから前方に移動する。
【0073】
すると、支持アーム32がスライドフレーム31とともに、前面10aから前方に移動する。まず、ガイドローラ38が直線部14内を前面10aに向って移動する。このため、操作表示ユニット3の下端部3aが底壁11に沿って移動して前面10aから前方に移動するとともに、上端部3b即ちローラ18がガイド溝17及び前面10a即ち鉛直方向に沿って、底壁11に向って移動(降下)する。その後、ガイドローラ38が第1の傾斜部15内を前面10aに向って移動する。第1の傾斜部15が徐々に底壁11に近づく方向に傾斜しているので、ガイドローラ38即ち他端部32bが徐々に底壁11に近づいて、降下する。
【0074】
支持アーム32が中央部を中心としてスライドフレーム31に回転自在に支持されているので、支持アーム32の一端部32a即ち操作表示ユニット3の下端部3aが徐々に上昇する。そして、操作表示ユニット3は、表示部5の表面5aを上方に向けて、あたかもローラ18即ち上端部3bを中心として回転する(傾く)。このため、第1の位置と、第2の位置と、第1の位置と第2の位置との間では、操作表示ユニット3は、ガイドローラ38即ち支持アーム32の他端部32bが第1の傾斜部15により案内されることで、ローラ18即ち上端部3bを中心として回転自在に支持される。
【0075】
そして、図2及び図8に第2の位置に変位する。第2の位置では、図2中の矢印X(使用者)からみて、操作表示ユニット3が前面10aを覆っている。第2の位置では、ガイドローラ38は、第1の傾斜部15と第2の傾斜部16との間に位置している。こうして、第1の位置と第2の位置とに亘って、下端部3aが前面10aから前方に移動又は前方に移動した状態から機器本体2の内部方向に移動して、上端部3bが前面10aに沿ってスライドして、操作表示ユニット3が上端部3bを中心として回転する。
【0076】
このように、表示部5の表面5aが上方に向くように、操作表示ユニット3が傾く。前述した第1の位置と、第2の位置と、第1の位置と第2の位置との間とに、操作表示ユニット3が位置する状態は、本明細書に記した前面(一つの面)10aを覆う状態をなしている。
【0077】
第1の位置と第2の位置の間では、ねじりスプリング22の一端部24は、凹溝26に接触しているとともにローラ18即ち操作表示ユニット3を付勢している。また、前述した第1の位置から第2の位置に向って変位する(操作表示ユニット3が上端部3bを中心として回転する)際には、スライドフレーム31が前面10aから前方に移動する速度が徐々に遅くなっている。このため、表示部5の表面5aが傾く角度の変化率が一定となる。
【0078】
多機能電子機器1は、MD、CDやCD−ROMを機器本体2内に挿入したり、これらを機器本体2外に排出する際には、操作表示ユニット3を図3に示す第3の位置に移動させる。
【0079】
第2の位置から第3の位置に操作表示ユニット3が移動する際には、モータ27が駆動して、カム歯車29を更に矢印Kに向って回転する。突起部35が孔34のカム歯車29の外縁寄りの端部に向って移動する。そして、アーム部材30が一端を中心として更に回転して、スライドフレーム31即ち操作表示ユニット3の下端部3aが前面10aから更に前方に移動する。
【0080】
さらに、支持アーム32のガイドローラ38が、ガイド孔13の第2の傾斜部16内を移動して前面10aに近づく。前面10aに近づくのにしたがって、第2の傾斜部16が底壁11から徐々に離れる方向に傾斜しているので、ガイドローラ38即ち他端部32bが底壁11から徐々に離れて降下する。そして、支持アーム32が中央部を中心として回転自在に支持されているので、操作表示ユニット3の下端部3aが徐々に下方に変位する。
【0081】
さらに、操作表示ユニット3の下端部3aが前面10aから前方に移動するので、ローラ18即ち操作表示ユニット3の上端部3bが前面10aに沿って移動して底壁11に近づいて降下する。このため、ガイド溝17は、前記前面10aを覆う状態から、後述する前面10aの少なくとも一部を開放する状態に向かって操作表示ユニット3を移動させる際に、操作表示ユニット3の上端部3bを前面10aに沿ってスライド自在に支持する。
【0082】
こうして、操作表示ユニット3が第2の位置から第3の位置に変位する際には、下端部3aを中心として回転し、前記挿入口20及び挿入口21a,21bを開放する。即ち、操作表示ユニット3は、前面10aの一部を外部に露出させて開放する。前述した第2の位置と第3の位置との間と、第3の位置とに、操作表示ユニット3が位置する状態は、本明細書に記した前面(一つの面)10aの少なくとも一部を開放する状態をなしている。こうして、操作表示ユニット3は、ガイドローラ38すなわち支持アーム32の他端部32bが第2の傾斜部16により案内されることで、前面10aを覆う状態から前面10aの少なくとも一部を開放する状態とすべく移動される。さらに、操作表示ユニット3が第2の位置から第3の位置に変位すると、ねじりスプリング22の一端部24がローラ18と間隔をあける。このため、操作表示ユニット3が前面10aを覆う状態にあるときのみ、ねじりスプリング22の一端部24はローラ18即ち操作表示ユニット3を付勢する。
【0083】
駆動機構4は、下端部3a又は上端部3bを中心として回転させて、表示部5の表面5aが上方に向くように、操作表示ユニット3を傾かせる。また、第3の位置から第2の位置を経て第1の位置に変位する際には、モータ27を逆方向に回転させることにより、前述の記載と逆の動きをする。こうして、前記前面10aを覆う状態において、駆動機構4は、上端部3bを中心として操作表示ユニット3を回転させて、該操作表示ユニット3の向きを変更可能とする。また、アングルボタンの操作により、操作表示ユニット3の向きが複数ステップ変更(調整)される。駆動機構4は、前面10aを覆う状態から前面10aの少なくとも一部を開放する状態に向かって操作表示ユニット3を移動させる際に、操作表示ユニット3の上端部3bと下端部3aとの双方を降下させる。
【0084】
本実施形態によれば、一端部32aで操作表示ユニット3の下端部3aを支持する支持アーム32が、中央部を中心として回転自在に支持されている。支持アーム32は、モータ27により前面10aから前方に移動されたり前方に移動した状態から機器本体2の内部方向に移動される。前面10aを覆う状態では、操作表示ユニット3が上端部3bを中心として回転自在とされる。支持アーム32の他端部32bをその移動方向に案内するガイド孔13には、支持アーム32が前面10aから前方に移動するにしたがって支持アーム32の他端部32bを徐々に降下させる第1の傾斜部15が備えられている。
【0085】
このため、機器本体2の前面10aを覆う状態で、支持アーム32を前面10aから前方に移動させると、支持アーム32の他端部32bが徐々に降下して一端部32aが徐々に上昇する。このため、簡易な構成により、操作表示ユニット3を上端部3bを中心として回転させることができる。
【0086】
このため、操作表示ユニット3を向き(角度)を調整する際に、操作表示ユニット3の表示部5の表面5aを使用者の指先に近づかせることができる。このため、操作表示ユニット3の向きを調整する際に、指先を操作表示ユニット3に向かって動かす必要がなくなる。従って、操作表示ユニット3の操作性が向上する。
【0087】
また、直線部14が第1の傾斜部15より機器本体2の内部側に設けられかつ支持アーム32の他端部32bを水平方向に沿って移動させる。このため、操作表示ユニット3を傾ける際に、操作表示ユニット3の下端部3aが一旦機器本体2から水平前方に移動され、操作表示ユニット3の上端部3bが若干鉛直方向に降下される。こうすることで、操作表示ユニット3の上端部3bを中心として回転する際に、該上端部3bと機器本体2とが干渉することを防止できる。したがって、操作表示ユニット3の向きを容易に調整できることにくわえ、操作表示ユニット3の向きを確実に変更できる。
【0088】
さらに、前面10aを覆う状態から該前面10aの少なくとも一部を開放する状態に向かって操作表示ユニット3が移動する際に、操作表示ユニット3の上端部3bが前面10aに沿ってスライド自在となる。ガイド孔13が、支持アーム32が前面10aから前方に移動するにしたがって支持アーム32の他端部32bを徐々に上昇させる第2の傾斜部16を備えている。この第2の傾斜部16は、第1の傾斜部15より機器本体2の前面10a寄りに配されている。
【0089】
このため、操作表示ユニット3が機器本体2の前面10aを覆う状態から該前面10aの少なくとも一部を開放する状態に向かって、支持アーム32を前面10aから前方に移動させると、支持アーム32の他端部32bが徐々に上昇して一端部32aが徐々に降下する。このため、操作表示ユニット3の下端部3aが前面10aから前方に移動するにしたがって徐々に降下するとともに、操作表示ユニット3の上端部3bが前面10aに沿って徐々に降下する。したがって、操作表示ユニット3は、前面10aの少なくとも一部をより一層確実に開放でき、機器本体2内にCD、MD、CD―ROMを確実に挿入できるとともに、機器本体2内からCD、MD、CD―ROMを確実に排出できる。
【0090】
また、ねじりスプリング22の一端部24が前面10aを覆う状態の操作表示ユニット3を付勢する。このため、操作表示ユニット3などに設けられる表示部5などに各種の情報を表示したり押しボタン18を操作する際に、自動車の走行中などに生じる振動により、操作表示ユニット3が機器本体2に対し振動されることを防止できる。
【0091】
また、操作表示ユニット3が前面10aを覆う状態にあるときのみ、ねじりスプリング22の一端部24が操作表示ユニット3を付勢する。このため、操作表示ユニット3が前面10aを覆う状態から該前面10aの少なくとも一部を開放する状態に向かって移動する際に、該操作表示ユニット3の移動を妨げる摩擦力を抑制できる。したがって、操作表示ユニット3を移動させる際に必要となるモータ27のトルクを抑制でき、モータ27の大型化を抑制できる。したがって、モータ27が消費する消費電力を抑制できるとともに低コスト化を図ることができる。
【0092】
さらに、駆動機構4が、操作表示ユニット3の下端部3aが前面10aから前方に移動するにしたがって、該下端部3aの前方に移動する速度が徐々に遅くなって、操作表示ユニット3の傾く際の角速度が一定となる構成である。このため、操作表示ユニット3の第1の位置から第2の位置に向かう際に傾く角速度が、第1の位置から第2の位置に向かうにしたがって徐々に速くなることを抑制できる。したがって、使用者のアングルボタンなどの操作毎に操作表示ユニット3の傾く角度のバラツキをなくすことができ、使用者に不快感を与えることを防止でき、該使用者が容易に操作表示ユニット3の向きを調整できるようになる。
【0093】
駆動機構4が、スライドフレーム31と、モータ27により回転されかつ円弧状の孔34が形成されたカム歯車29と、機器本体2に一端が回転自在に支持されかつ他端がスライドフレーム31と連結されているとともに孔34に侵入する突起部35を設けたアーム部材30とを備えている。このため、モータ27によりカム歯車29が回転すると、孔34内を突起部35が移動してアーム部材30がシャーシ10に対して回転する。そして、スライドフレーム31が前面10aから前方に移動したり機器本体2の内部方向に移動する。突起部35が、孔34内を移動するので、カム歯車29の回転する角度よりアーム部材30の回転する角度が小さくなる。
【0094】
また、孔34がカム歯車29の回転中心から外縁まで延びた円弧状に形成されている。さらに、孔34の曲率半径r1,r2,r3が外縁に向かうにしたがって徐々に大きくなっている。また、第1の位置では、突起部35が孔34の回転中心寄りに位置し、第2の位置では突起部35が孔34の外縁寄りに位置する。操作パネル3の下端部3aが前面10aから前方に移動するにしたがって、突起部35がカム歯車29の回転中心から外縁に向って徐々に移動する。このため、操作表示ユニット3の下端部3aが前方に移動するのにしたがって、突起部35の外縁に向かう速度が徐々に遅くなり、アーム部材30の回転速度が徐々に遅くなる。
【0095】
したがって、操作表示ユニット3の下端部3aが前面10aから前方に移動するにしたがって、該下端部3aの移動する速度が確実に徐々に遅くなる。このため、操作表示ユニット3の第1の位置から第2の位置に向かう際に傾く速度が、第1の位置から第2の位置に向かうにしたがって徐々に速くなることを確実に抑制できる。したがって、使用者のアングルボタンなどの操作毎に操作表示ユニット3の傾く角度のバラツキをより確実になくすことができ、使用者に不快感を与えることをより確実に防止でき、該使用者がより容易に操作表示ユニット3の向きを調整できるようになる。
【0096】
また、モータ27に出力する駆動電圧が一定であるので、簡便な構成で操作表示ユニット3の傾く際の角速度が徐々に速くなることを防止でき、操作表示ユニット3の傾く際の角速度を確実に一定にできる。したがって、モータ27の回転数を操作表示ユニット3の傾きに応じて変化させる場合と比較して、多機能電子機器1の低コスト化を図ることができる。
【0097】
前述した実施形態では、多機能電子機器1は、CDプレーヤ6とMDプレーヤ7とCD−ROMプレーヤ8とを内蔵して、CD、MD、CD−ROMを再生する。しかしながら、本発明の電子機器は、CD、MD、CD−ROM以外の他の記録媒体を再生可能な再生装置を内蔵しても良いことは勿論である。
【0098】
前述した実施形態では、操作表示ユニット3の表示部5に押しボタン19を複数設けている。しかしながら、本発明では、表示部5に所謂タッチスイッチ(タッチパネルとも呼ぶ)を設けても良いことは勿論である。
【0099】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1に記載の本発明によれば、機器本体の一つの面を覆う状態では操作パネルが上端部を中心として回転自在とれる。このため、操作パネルの向き(角度)を調整する際に、操作パネルの表面を使用者の指先に近づかせることができる。このため、操作パネルの向きを調整する際に、指先を操作パネルに向かって動かす必要がなくなり、操作性が向上する。
【0100】
一端部が操作パネルの下端部を支持する支持アームが、中央部を中心として回転自在に支持されている。また、支持アームは、駆動源により一つの面から前方に移動される。一つの面を覆う状態では、操作パネルが上端部を中心として回転自在とされる。支持アームの他端部を案内する第1のガイド部が、支持アームが一つの面から前方に移動するにしたがって支持アームの他端部を徐々に降下させる第1の傾斜部を備えている。
【0101】
このため、機器本体の一つの面を覆う状態で、支持アームを一つの面から前方に移動させると、支持アームの他端部が徐々に降下して一端部が徐々に上昇する。このため、簡易な構成により、操作パネルを上端部を中心として回転させることができる。
【0102】
請求項2に記載の本発明によれば、水平部が第1の傾斜部より機器本体の内部側に設けられかつ支持アームの他端部を水平方向に案内する。このため、操作パネルを傾ける際に、操作パネルが一旦機器本体から水平前方に移動され、操作パネルの上端部が若干鉛直方向に降下される。このため、操作パネルの上端部を中心として回転する際に、該上端部と機器本体とが干渉することを防止できる。したがって、操作性を向上できることにくわえ、操作パネルの向きを確実に変更できる。
【0103】
請求項3に記載の本発明によれば、一つの面を覆う状態から該一つの面の少なくとも一部を開放する状態に向かって操作パネルが移動する際に、操作パネルの上端部が一つの面に沿ってスライド自在となる。支持アームの他端部を案内する第1のガイド部が、支持アームが一つの面から前方に移動するにしたがって支持アームの他端部を徐々に上昇させる第2の傾斜部を備えている。この第2の傾斜部は、第1の傾斜部より機器本体の一つの面寄りに配されている。
【0104】
このため、操作パネルが機器本体の一つの面を覆う状態から該一つの面の少なくとも一部を開放する状態に向かって、支持アームを一つの面から前方に移動させると、支持アームの他端部が徐々に上昇して一端部が徐々に降下する。このため、操作パネルの下端部が一つの面から前方に移動するにしたがって徐々に降下するとともに、操作パネルの上端部が一つの面に沿って徐々に降下する。このため、操作パネルは、一つの面の少なくとも一部を確実に開放できる。したがって、操作性を向上できることにくわえ、操作パネルは、一つの面の少なくとも一部をより一層確実に開放できる。
【0105】
請求項4に記載の本発明によれば、付勢手段が一つの面を覆う状態の操作パネルを付勢する。このため、操作パネルなどに設けられる表示部などに各種の情報を表示したり操作パネルなどに設けられる各種のスイッチなどを操作する際に、自動車の走行中などに生じる振動により、操作パネルが機器本体に対して振動することを防止できる。
【0106】
また、操作パネルが一つの面を覆う状態にあるときのみ、付勢手段が操作パネルを付勢する。このため、操作パネルが一つの面を覆う状態から該一つの面の少なくとも一部を開放する状態に向かって移動する際に、該操作パネルの移動を妨げる摩擦力を抑制できる。したがって、操作性を向上できることにくわえ、操作パネルを移動させる際に必要となるトルクを抑制でき、駆動源の大型化を抑制できる。したがって、駆動源が消費する消費電力を抑制できるとともに低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる多機能電子機器の外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示された多機能電子機器の操作表示ユニットが第2の位置に変位した状態を示す斜視図である。
【図3】図1に示された多機能電子機器の操作表示ユニットが第3の位置に変位した状態を示す斜視図である。
【図4】図1に示された多機能電子機器の駆動機構などを示す斜視図である。
【図5】図1に示された位置に操作表示ユニットが位置づけられた状態での駆動機構などの状態を示す平面図である。
【図6】図3に示された位置に操作表示ユニットが位置づけられた状態での駆動機構などの状態を示す平面図である。
【図7】図1に示された位置に操作表示ユニットが位置づけられた状態での支持アームなどの状態を示す側面図である。
【図8】図2に示された位置に操作表示ユニットが位置づけられた状態での支持アームなどの状態を示す側面図である。
【図9】図3に示された位置に操作表示ユニットが位置づけられた状態での支持アームなどの状態を示す側面図である。
【図10】図1に示された多機能電子機器の前面と立設壁とを分解して示す正面図である。
【図11】図7中の矢印XI方向からみた平面図である。
【図12】従来の電子機器としてのカーステレオの外観を示す斜視図である。
【図13】図12に示されたカーステレオの操作表示ユニットが前面の一部を開放した状態を示す斜視図である。
【図14】図12中のA−A線に沿った断面図である。
【図15】図13中のB−B線に沿った断面図である。
【符号の説明】
1 多機能電子機器(電子機器)
2 機器本体
3 操作表示ユニット(操作パネル)
3a 下端部
3b 上端部
4 駆動機構(駆動手段)
10a 前面(一つの面)
13 ガイド孔(第1のガイド部)
14 直線部(水平部)
15 第1の傾斜部
16 第2の傾斜部
17 ガイド溝(第2のガイド部)
24 一端部(付勢手段)
27 モータ(駆動源)
32 支持アーム
32a 一端部
32b 他端部
40 ガイド部材
Claims (4)
- 機器本体の一つの面に対しスライド移動自在に取り付けられかつ前記一つの面を覆う状態と前記一つの面の少なくとも一部を開放する状態とに亘って移動自在な操作パネルを備えた電子機器において、
前記操作パネルを移動可能とする駆動手段を備え、
前記駆動手段は、
駆動源と、
前記駆動源の駆動力により前記一つの面から前方に移動するスライド部材と、
長手方向の中央部を中心として前記スライド部材に回転自在に支持されかつ前記スライド部材と共に移動可能であるとともに、その一端部が前記操作パネルの下端部を回転自在に支持する支持アームと、
前記機器本体に設けられかつ前記支持アームの他端部を前記支持アームの移動方向に案内する第1のガイド部と、
前記機器本体に設けられかつ操作パネルの上端部を鉛直方向に案内する第2のガイド部と、を備え、
前記第1のガイド部は、前記支持アームが前記一つの面から前方に移動するにしたがってその他端部を徐々に降下させる第1の傾斜部を有し、
前記操作パネルは、前記支持アームの他端部が前記第1の傾斜部により案内されることで、その下端部が前記一つの面から前方へ移動しつつ上昇することにより、その上端部を中心として回転移動することを特徴とする電子機器。 - 前記第1のガイド部は、前記第1の傾斜部より前記機器本体の内部側に設けられ、かつ前記支持アームが前記一つの面から前方に移動する際にその他端部を水平方向に案内する水平部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
- 前記第1のガイド部は、前記第1の傾斜部より前記一つの面寄りに設けられ、かつ前記支持アームが前記一つの面から前方に移動するにしたがって前記他端部を徐々に上昇させる第2の傾斜部を有し、
前記操作パネルは、前記支持アームの他端部が前記第2の傾斜部により案内されることで、前記一つの面を覆う状態から前記一つの面の少なくとも一部を開放する状態とすべく移動されることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。 - 前記操作パネルが前記一つの面を覆う状態にあるときのみ前記操作パネルを付勢する付勢手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の電子機器。
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