JP3935468B2 - 長繊維強化ポリオレフィン樹脂用ロービング及びそれを用いた樹脂成形用材料 - Google Patents

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本発明は、機械的強度に優れた長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形品を得るための、ガラス繊維からなるロービング及びそれを用いた樹脂成形用材料に関する。
従来より、ガラス繊維で強化された熱可塑性樹脂成形品の機械的物性、特に耐衝撃性や耐熱性を向上させることを目的として、各種の長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形用材料が提案されている。
例えば、下記の特許文献1には、ガラス繊維束に対する熱可塑性樹脂の含浸性を向上させ、ガラス単繊維間に空隙を生じさせないことを主目的として、低粘度のポリプロピレン樹脂を原料として、連続したガラス繊維束への樹脂の含浸性を向上させることが開示されており、含浸ダイに導入されたガラス繊維束を、含浸ダイ内部に設けた突起やローラなどに接触させて、張力をかけることによりガラス繊維束を開繊して、ガラス繊維束に対する熱可塑性樹脂の含浸性を向上させることが開示されている。
また、下記の特許文献2には、ガラス繊維束の巻取りや、回巻体からの引き出しにおける毛羽の発生に関して、ガラス繊維の集束剤に低レベルの非イオン性及び陽イオン性の界面活性剤の添加剤を付与することで、毛羽の発生等が改善することが開示されている。
特公昭63−37694公報 特表2002−528661号公報
しかし、上記の特許文献1の方法では、ガラス繊維束の集束剤については考慮されていないので、ガラス繊維回巻体からガラス繊維束を引き出す際に、いわゆるバックテンションである引き出し張力が加わり、これにより糸のもつれや、毛羽立ちが生じ易い。この糸のもつれや毛羽立ちは、含浸ダイのノズルや含浸ダイ前の繊維ガイドに詰まり、これによって糸切れが生じて、生産性の低下や作業性が低下するといった問題があった。
また、上記の特許文献2に記載されているような界面活性剤を集束剤に配合した場合においても、上記のバックテンションによる糸のもつれや毛羽立ちの発生防止が充分でなく、やはり糸切れが生じて、生産性の低下や作業性が低下するという問題があった。
また、連続繊維束を熱可塑性樹脂で含浸させるために、含浸ダイに導入されたガラス繊維束を、含浸ダイ内部に設けた突起やローラなどに接触させて、ガラス繊維束を開繊させることが行われているが、開繊性が不充分な場合、ガラス繊維が束となったままの部分で樹脂との含浸性が劣り、得られる成形品の外観不良、強度不良、クラックが生じるといっ問題があった。
更に、前記ガラス繊維の集束剤としてポリプロピレン樹脂を使用した場合では、特にポリプロピレン樹脂集束剤と界面活性剤との馴染みがよく、これによって回巻体からの糸離れが悪くなるのでバックテンションが増大しやすい。これにより糸のもつれや毛羽立ちが生じ易くなり、また低荷重での開繊性不良や、開繊の均一性も劣るといった問題もあった。
したがって、本発明の目的は、上記問題に鑑み、ロービングに樹脂を含浸して長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形用材料を製造する際に、ガラス繊維の糸のもつれや毛羽立ちが発生せず、開繊性にも優れ、その結果、得られる成形品の外観や機械的強度に優れる、長繊維強化ポリオレフィン樹脂用ロービング及びそれを用いた樹脂成形用材料を提供することにある。
すなわち、本発明の長繊維強化ポリオレフィン樹脂用ロービングは、長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形品の強化繊維として用いられ、複数のガラス繊維に集束剤が付着されたロービングであって、前記集束剤が、シランカップリング剤と、酸変性ポリプロピレン樹脂と、ポリエチレンワックスの平均粒子径が0.1〜3.0μmで、ポリエチレンワックスの環球法による軟化点が120〜140℃であるポリエチレンワックス水分散体とを含有することを特徴とする。
本発明の長繊維強化ポリオレフィン樹脂用ロービングによれば、集束剤がポリエチレンワックスを含有する。このポリエチレンワックスは、従来の界面活性剤を用いた集束剤に比べて、ある範囲に制御された粒子径を持っている。このため、この粒子がガラス繊維束中に均一に存在するので、ロービングを巻き取った回巻体からの糸離れが良好になるとともに、開繊させるための突起やローラ等から受ける外力によりガラス繊維束がより均一に開繊することが可能となる。したがって、毛羽の発生を防止でき、かつ、充分な開繊性を得ることができる。そして、ポリエチレンワックスの環球法による軟化点が120〜140℃であることにより、回巻体からのストランドの糸離れ性、開繊性が向上する。さには、水分散体におけるポリエチレンワックスの平均粒子径を0.1μm以上とすることにより、この粒子がガラス繊維束中に均一に存在することによって、開繊させるための突起やローラ等から受ける外力によりガラス繊維束がより均一に開繊することが可能となる。また、3.0μm以下とすることによって、集束性の悪化による作業性の低下を防止できる。
更に、本発明においては、前記集束剤における前記ポリエチレンワックスの含有量が、前記集束剤の全固形分質量に対して1〜20質量%であることが好ましい。この態様によれば、ガラス繊維束が充分に開繊し、外観や強度の不良を引き起こすことがなく、また、引き取り張力の低下により作業性が低下することもない。
一方、本発明の長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形用材料は、上記の長繊維強化ポリオレフィン樹脂用ロービングに、ポリオレフィン樹脂からなるマトリックス樹脂を含浸又は塗布してなり、前記マトリックス樹脂中に、集束剤が付着されたガラス繊維が実質的に同一長さで、かつ、同一方向に並列して配置されていることを特徴とする。
この長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形用材料によれば、含有されたガラス繊維が、糸のもつれや毛羽立ちを起こしておらず、十分に開繊された状態でポリオレフィン樹脂を含浸されているので、得られる成形品の外観や機械的強度に優れる。
本発明によれば、長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形用材料を製造する際に、ガラス繊維の糸のもつれや毛羽立ちが発生せず、開繊性にも優れるので、ポリオレフィン樹脂がガラス繊維間に十分に含浸された長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形用材料を得ることができ、このような成形材料を用いることにより、外観や機械的強度に優れた樹脂成形品を得ることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明は、ロービングの集束剤として、シランカップリング剤と、ポリオレフィン樹脂と、ポリエチレンワックスとを含有するものを用いることを特徴としている。
集束剤に使用するポリオレフィン樹脂は酸変性ポリプロピレン樹脂を用いることが好ましい。酸変性ポリプロピレン樹脂は、ポリプロピレン樹脂をクロルスルホン化した後にスルホン基に変換させるか、直接スルホン化するか、更にはポリプロピレン樹脂の製造時に、ポリプロピレンに重合性不飽和カルボン酸化合物又はその誘導体を共重合させるか、更にはポリプロピレン樹脂に、付加重合性不飽和カルボン酸化合物又はその誘導体をグラフト重合させるなどの方法で得ることができる。
また、ポリプロピレン樹脂としては、ポリプロピレンの単独重合体又は2種以上のポリプロピレンの共重合体から選ばれたものがいずれも使用可能であり、その具体例としては、例えば、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチレン−α−プロピレン共重合体、プロピレン−α−プロピレン共重合体などが挙げられる。
スルホン化された好ましいポリプロピレン樹脂としては、上記の如きポリプロピレン樹脂に塩素と二酸化イオウ、又はクロルスルホン酸を反応させクロルスルホン化し、これをスルホン基に変化させたもの、及び直接スルホン化したポリプロピレン樹脂が挙げられる。より好ましいのはスルホン化ポリエチレン及びスルホン化ポリプロピレンである。
不飽和カルボン酸化合物又はその誘導体で変性された酸変性ポリプロピレン樹脂としては、ポリプロピレンの単独重合体又は2種以上のポリプロピレンの共重合体、例えば、ポリプロピレン樹脂として上記で例示した樹脂などに不飽和カルボン酸化合物又はその誘導体をグラフト重合したもの、ポリプロピレンから選ばれた1種又は2種以上の単量体と不飽和カルボン酸化合物又はその誘導体から選ばれた1種又は2種以上をランダム又はブロック共重合したもの、及び、これに更に不飽和カルボン酸又はその誘導体をグラフト重合したものが挙げられる。
ここで、カルボン酸変性のために使用される不飽和カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。また、不飽和カルボン酸の誘導体としてはこれらの酸の無水物、エステル、アミド、イミド、金属塩などがあり、その具体例としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸グリシジル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、フマル酸ジメチルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジアミド、フマル酸モノアミド、マレイミド、N−ブチルマレイミド、メタクリル酸ナトリウムなどを挙げることができる。これらの化合物のうちでフリーのカルボン酸基を有さないものは、重合後に加水分解などによりカルボン酸基を生成させる。
上記の不飽和カルボン酸化合物及びその誘導体のうち、好ましいのはアクリル酸及びメタクリル酸のグリシジルエステル及び無水マレイン酸であり、これらにより変性された好ましい酸変性ポリプロピレン樹脂としては、エチレン及び/又はプロピレンを主たる樹脂構成単位とするポリオレフィン樹脂に無水マレイン酸をグラフト重合することにより変性したもの、エチレン及び/又はプロピレンを主体とするポリプロピレンと(メタ)アクリル酸グリシジルエステル又は無水マレイン酸とを共重合することにより酸変性したものが挙げられる。
上記の酸変性ポリプロピレン樹脂は、その重量平均分子量が5,000以上であること好ましく、より好ましい重量平均分子量は10,000以上であり、重量平均分子量が15,000〜50,000であることが最も好ましい。重量平均分子量が5,000未満では、ガラス繊維の集束性が低下するため作業性として不充分である。
次に、シランカップリング剤としては、アミノ基を有するものであれば特に限定しないが、前記アミノシランのアミノ基が1級及び/又は2級のアミノ基であることが好ましく、更にγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−N’−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシランのようなアミノシランが好ましい。
アミノシランは、集束剤中の酸変性ポリポリプロピレンとの反応性が特に高いと考えられ、繊維の集束性が向上し、また、樹脂との密着性を高め、機械的強度などが優れる点で好ましい。更にγ−アミノプロピルトリエトキシシランを用いることが、成形品の色調が良好であることからもより好ましい。
上記シランカップリング剤は、集束剤の固形分全質量に対して5〜50質量%、より好ましくは10〜35質量%で使用する。シランカップリング剤の使用量が低過ぎると繊維と集束剤の結合、及び処理された繊維とマトリックス樹脂との密着性が不足し、一方、シランカップリング剤の使用量が多すぎると、最終的に得られる樹脂組成物が黄変着色するので好ましくない。
次に、ポリエチレンワックスについて説明する。本発明に使用される集束剤に含有されるポリエチレンワックスは、数平均分子量500〜10000のエチレン低重合体であり、更に好ましくは1000〜5000である。前記値が500未満では、ポリエチレン樹脂自体の物性が低いことから、得られる樹脂組成物の物性が劣り、10000を超えると毛羽の発生量が増えることにより作業性が劣るので好ましくない。
また、前記ポリエチレンワックスの軟化点は、環球法軟化点で110℃以上であることが好ましく、120〜140であることがより好ましい。前記温度が110℃未満であるとポリエチレンの軟質化により物性が劣るため好ましくない。なお、環球法軟化点とは、JIS−K2207によって測定された値である。
また、本発明で用いられるポリエチレンワックスは、集束剤として使用するために、水分散体として使用されていることが好ましい。水分散体としては、エマルジョン、ディスパージョン等の形態で使用することができる。一般的に使用される界面活性剤には粒径が存在しないことが多いが、前記ポリエチレンワックスはある範囲に制御された粒子径を持ち、この粒子がガラス繊維束中に均一に存在することによって、開繊させるための突起やローラ等から受ける外力によりガラス繊維束がより均一に開繊することが可能となる。ポリエチレンワックスの平均粒子径は7.0μm以下であることが好ましく、0.1〜3.0μmであることがより好ましい。前記値が7.0μm以上であると集束性が悪化することにより作業性が劣り好ましくない。
上記ポリエチレンワックスは、集束剤の固形分全質量に対し、固形分で1〜20質量%含有されることが好ましく、3〜15質量%であることがより好ましい。前記含有量が1質量%未満であるとガラス繊維束が充分に開繊しきらず、外観や強度の不良を引き起こすことがあり、20質量%以上であると引き取り張力の低下により作業性が低下し、更には、ガラス繊維束が充分に開繊しきらず、外観や強度の不良を引き起こすことがあるため好ましくない。
前記集束剤は、上記の成分の他に、樹脂成分として、例えば、更に、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂又はその変性物、あるいはポリプロピレン樹脂系ワックスに代表されるワックス類などのオリゴマーを併用することが可能である。ただし、上記の樹脂やオリゴマーは、通常界面活性剤による水分散性化によって得られた水分散液、あるいは樹脂やオリゴマーの骨格中に存在するカルボン酸基やアミド基の中和や水和による水溶性化によって得られる水溶液といった形態で使用されるのが一般的である。
更に、上記集束剤は、上記の成分以外に塩化リチウムやヨウ化カリウムなどの無機塩や、アンモニウムクローライド型やアンモニウムエトサルフェート型などの4級アンモニウム塩に代表される帯電防止剤、あるいは脂肪族エステル系、脂肪族エーテル系、芳香族エステル系、芳香族エーテル系の界面活性剤に代表される潤滑剤などを含んでいてもよい。
本発明において上記集束剤によって処理されるガラス繊維については、モノフィラメントの平均径が6〜23μmであることが好ましく、より好ましくは10〜17μmである。モノフィラメントの平均径が6μm未満の場合は、後にマトリックス樹脂を含浸させてペレットとした場合にペレットがコスト高になり、23μmを超える場合は、上記ペレットの機械的物性が劣るために好ましくない。
本発明の集束剤による繊維の処理方法については特に限定されるものではなく、例えば、前記の如きポリオレフィン系重合体に乳化剤と水等を加えて乳化させたエマルジョンにシランカップリング剤、pH調整剤、潤滑剤、帯電防止剤等にポリエチレンワックスを配合してなるサイジング剤を用いて、繊維にサイジング処理をする方法等があげられる。
本発明の集束剤は、該集束剤が付与された繊維の全量に対し固形分として0.1〜2.0質量%付与されていることが好ましい。付与量が0.1質量%未満であると繊維の集束性が不充分で毛羽立ち易く、また、繊維とマトリックス樹脂との接着が劣り好ましくなく、一方、付与量が2.0質量%を越えるとマトリックス樹脂の含浸時における繊維束の開繊が不充分となり、マトリックス樹脂中で未開繊の繊維束が存在することによる欠点を生じさせるため好ましくない。
次に、上記の本発明のロービングを用いた、本発明の長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形用材料について説明する。本発明の長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形用材料は、上記のロービングをポリオレフィン樹脂からなるマトリックス樹脂に含浸してなり、マトリックス樹脂中にガラス繊維が実質的に同一長さでかつ同一方向に並列して配列された線材状又はペレット状の材料からなる。
尚、本発明におけるロービングとは、円筒状に巻かれた狭義の意味のガラス繊維の他に、ケーキと呼ばれる回巻体のガラス繊維を含み、前記ロービングは、マルチエンドロービング、シングルエンドロービングがあり、本発明のロービングは前記シングルルエンドロービング及び前記ケーキによるガラス繊維体である事が好ましい。
マトリックス樹脂となるポリオレフィン樹脂としては、特に限定はなく、オレフィン単独重合体及び2種以上のオレフィン共重合体から選ばれたものが使用可能であるが、ポリプロピレンが好ましい。また、ガラス繊維との接着性を向上させるために、マレイン酸、アクリル酸などで酸変性されていることが前記集束剤との相溶性がよいため好ましい。更に、必要により、用途や成形条件に応じて、ポリオレフィン樹脂中に着色剤、改質剤、ガラス繊維以外の充填剤など、公知の添加剤を適宜配合させることができ、これらは常法に従いポリオレフィンン樹脂と混練して使用することができる。
なお、本発明において、「ガラス繊維が実質的に同一長さでかつ同一方向に並列して配列された」とは、ガラス繊維の大部分が同一方向に並列してほぼ平行に配列されているが、一部の繊維は部分的に湾曲していたり、お互いに絡み合っていたりしてもよい状態を意味する。また、ガラス繊維が実質的に同一長さであるために、線材状又はペレット状材料の繊維方向の端面に、ガラス繊維の切断された断面がほぼ揃えられて、ガラス単繊維どうしがほぼ平行に配列されている。
そして、本発明の長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形用材料では、線材状又はペレット状材料中のガラス単繊維どうしの間にもポリオレフィン樹脂が含浸しているため、成形時において高い繊維の分散性を示すとともに、優れた機械的物性を有する成形品を得ることができる。
また、本発明において、長繊維化ポリオレフィン樹脂成形用材料の繊維含有率は特に限定されないが、本発明の効果を顕著に出すには、繊維含有率を25〜70体積%とすることが好ましい。すなわち、本発明では比較的高ガラス含有率としても、マトリックス樹脂の含浸状態が良好であるために、繊維含有率が25体積%未満の場合には、ガラス繊維による補強効果が得られず好ましくなく、また、70体積%を超えると、長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形用材料の比重が増すため好ましくない。
更に、本発明において、長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形用材料の長さは特に限定されないが、3〜30mmであることが好ましい。長さが3mm未満の場合は、長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形用材料の線材状又はペレット状物の製造時に毛羽が発生しやすくなる場合があり、また、長繊維強化の効果が発現しにくい。一方、長さが30mmを超える場合には、射出成形によって成形する際に繊維の分散や繊維の流動性の低下を招く場合がある。
更に、長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形用材料の平均径が0.3〜3.0mmであることが好ましい。本発明の長維強化ポリオレフィン樹脂成形用材料では特殊なガラス繊維集束剤を用いているため、比較的細い径の長維強化ポリオレフィン樹脂成形用材料を生産する際の作業性の問題を改善するものであるが、0.3mm未満であると上記成形材料の嵩密度が小さくなり、輸送供給性が劣り好ましくない。一方、3.0mmを越えると射出成形によって成形する場合に繊維の分散性が劣りため好ましくない。
長繊維化ポリオレフィン樹脂成形用材料の製造方法は、例えば、回巻体の内側もしくは外側から引き出した上記のロービングを含浸ダイに導入する。含浸ダイには、押出機から溶融したポリプロピレン樹脂等が供給され、ロービングにポリプロピレン樹脂が含浸される。ポリプロピレン樹脂が含浸されたロービングは、ダイスを通して引き出され、それによって余分なポリプロピレン樹脂が除去されて所定の繊維含有率とされるとともに、所定形状に賦形されて、所望の長繊維強化ポリプロピレン樹脂成形用材料となる。
なお、上記の例では、連続したガラス繊維束にポリプロピレン樹脂を塗布又は含浸する方法として、ロービングに溶融したポリプロピレン樹脂を含浸させる溶融含浸法を採用したが、その他の方法を採用することもできる。例えば、ポリプロピレン樹脂のエマルジョン、ポリプロピレン樹脂粉末を水又はその他の液体中に分散させた懸濁液、あるいはポリプロピレン樹脂を溶媒に溶解させた樹脂溶液などを、ロービングに塗布又は含浸させた後、分散媒又は溶媒を除去させる方法を採用することもできる。
また、上記塗布又は含浸させる方法としても、含浸ダイを用いる方法以外に、ロールコーターやカーテンコーターなどの方法を採用することもできる。更に、ポリプロピレン樹脂粉末をロービングに付着させた後、必要に応じて加熱溶融し、次いで冷却する方法を採用することもできる。この製造方法によれば、従来技術のように、含浸ダイ内においてガラス繊維束を突起やローラなどに接触させ、張力をかけて繊維束を開繊し、ポリプロピレン樹脂を含浸させなくても、切断物の加熱工程によりガラス繊維束に対するポリプロピレン樹脂の含浸を促すことができる。ただし、乾燥や脱溶媒の工程が不要なことやコスト面からは、溶融含浸法を採用することが好ましい。
以下に、本発明を実施例及び比較例によって更に詳細に説明する。
<製造例>
後記表1、2の上段に示すような配合割合で、実施例1比較例1〜7の長繊維強化ポリオレフィン樹脂用ロービング、及びそのロービングをマトリックス樹脂に含浸させた長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形用材料(ペレット)を製造した。なお、それぞれの集束剤及びマトリックス樹脂の具体的な原料としては以下の材料を用いた。
[集束材]
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン
酸化ポリプロピレンエマルジョン (重量平均分子量25,000、酸価45)
界面活性剤A (ポリオキシエチレン誘導体、HLB13)
界面活性剤B (ポリオキシエチレン誘導体、HLB12.8)
低分子量ポリエチレンワックスディスパージョン (三井化学製:品番は表中に記載)
[マトリックス樹脂]
ポリプロピレン樹脂 (HOMO、MI=30)
マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂 (HOMO、MI=10、酸価10)
ハイドロパーオキサイド
試験例1
実施例及び比較例のロービングを評価した結果をまとめて後記表1、2の中段に示す。なお、引き取りテンション、発生毛羽量、開繊幅(開繊状態)については、図1に示すような評価装置を用い、以下の手順及び測定方法によって実施例及び比較例のロービングを評価した。
(準備)
a)評価用試料(ガラス繊維回巻体)3を指定位置にセットした。
b)ガラス繊維ストランド4の端糸を引き出し、台5上に支持された直径210mmの予備開繊バー1及び予備開繊バー2に通した。
c)開繊BOX6中の図示しない直径5mmの上下に互い違いに配置された5本の串からなる(上下それぞれピッチ12mm)からなる開繊串にストランド4を通し、引取装置7にストランド4の端糸をかけた。
d)開繊BOX6の開繊串の上部バー8に所定の重りを載せることで上下の串で挟み込み、通過するストランド4に荷重をかけた。
e)引取装置7を引取速度18m/minで所定時間起動させた。
(テンション測定)
f)引取装置7の起動中にテンションメーターを使用してストランド4の引取テンションを計測した。
(開繊幅測定)
g)引き続き、開繊BOX6の開繊串中を通るストランド4の幅をノギスで計測した。また、開繊状態を目視で観察し、○:良好(均一に開繊)、△:普通(部分的に開繊)、×:悪い(開繊性劣る)、の3段階で評価した。
(毛羽量測定)
h)所定時間引取後、サクションで吸引された開繊BOX6内のメッシュ上の毛羽を回収し、毛羽重量を精秤した。
i)測定荷重を替え、引取装置7を所定時間起動させた後、f)〜h)を繰り返した。
j)試料交換時は前試料のストランドを予備開繊バー1手前で裁断し、新たに評価する試料を指定位置にセット後、端糸を結束した。
k)結束端糸部を引取装置まで通過させ、工程の点検後、d)〜j)の手順を繰り返した。
試験例2
実施例及び比較例のペレットの物性を評価した。その結果をまとめて表1、2の下段に示す。





























Figure 0003935468
Figure 0003935468
表1、2の結果より、低分子量ポリエチレンワックスを添加したものはいずれもテンションが低い。これはガラスストランドの回巻体からの糸離れを示すもので、ストランド引き出し時のバックテンションによるガラスフィラメントの端部の糸切れ性を低減させて、毛羽の発生が抑えられる。従って、引き取りテンションが低く、発生毛羽量が少なく、含浸ダイのノズルや含浸ダイ前の繊維ガイドへの毛羽詰まりによる糸切れの発生の低減が可能であり、生産性低下や作業性の低下が生じない。これに対して比較例では、引き取りテンションが大きく、また、発生毛羽量も多く、前記の毛羽詰等による生産性、作業性の低下が生じ易くなる。集束剤に低分子量ポリエチレンワックスを添加した実施例においては、低荷重領域での開繊性の均一性が向上していることがわかる。その物性は潤滑成分を添加していないブランクのものと同等な結果となっていることから、物性に影響を及ぼすことは少ない。一方、集束剤に低分子量ポリエチレンワックスを含有せず、界面活性剤を添加した比較例では、低荷重側での開繊性の均一性が不足している。
また、実施例のなかでも、ポリエチレン粒径が大きい方が開繊幅が広くなり、針入度法硬度が小さく、環球法軟化点が高い方が物性が良好であることがわかり、作業性(毛羽発生量、開繊性),物性のバランスより、実施例1に使用したW900で最も良好な結果が得られていることがわかる。
本発明は、長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形品に用いる成形材料として好適に利用できる。
試験例1における評価装置の概略構成図である。
符号の説明
1、2 予備開繊バー
3 評価用試料
4 ストランド
5 台
6 開繊BOX
7 引取装置
8 バー

Claims (3)

  1. 長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形品の強化繊維として用いられ、複数のガラス繊維に集束剤が付着されたロービングであって、
    前記集束剤が、シランカップリング剤と、酸変性ポリプロピレン樹脂と、ポリエチレンワックスの平均粒子径が0.1〜3.0μmで、ポリエチレンワックスの環球法による軟化点が120〜140℃であるポリエチレンワックス水分散体とを含有することを特徴とする長繊維強化ポリオレフィン樹脂用ロービング。
  2. 前記集束剤における前記ポリエチレンワックスの含有量が、前記集束剤の全固形分質量に対して1〜20質量%である請求項に記載の長繊維強化ポリオレフィン樹脂用ロービング。
  3. 請求項1又は2に記載の長繊維強化ポリオレフィン樹脂用ロービングを、ポリオレフィン樹脂からなるマトリックス樹脂に含浸してなり、前記マトリックス樹脂中に、集束剤が付着されたガラス繊維が実質的に同一長さで、かつ、同一方向に並列して配置されていることを特徴とする長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形用材料。
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