JP2005194636A - 長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料用のガラス繊維 - Google Patents

長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料用のガラス繊維 Download PDF

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賢一郎 増嶋
Yoshiro Shinno
義朗 新野
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Abstract

【課題】高い機械的強度を有する長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形体用ガラス繊維、および該ガラス繊維を使用した長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料を提供する。
【解決手段】ポリオレフィン樹脂中に、複数本のガラス繊維が、実質的に、同一長さかつ同一方向に並行配列して含まれる長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料用のガラス繊維であって、該ガラス繊維に付着された集束剤が、シランカップリング剤と、ポリオレフィン樹脂と、ブロックイソシアネートと、を含有することを特徴とする長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料用のガラス繊維が使用される。
【選択図】なし

Description

本発明は、機械的強度に優れた長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形体を得るためのガラス繊維、および該ガラス繊維を使用した長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料に関する。
従来、ポリオレフィン樹脂成形体の機械的物性、特に耐衝撃性や耐熱性を向上させることを目的として、ガラス繊維を混入し強化することが行われている。この場合、ポリオレフィン樹脂成形体は、通常、ペレット状の成形材料を製造しこれを成形することにより製造される。このポリオレフィン樹脂成形材料としては、チョップトストランドなどの短繊維をポリオレフィン樹脂に配合し押出機で押し出すことにより製造する短繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料と、連続するガラス長繊維を引きながらポリオレフィン樹脂のエマルジョン浴などを通過させて樹脂を含浸させ、次いで適宜の長さに切断して製造する長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料が知られている。
短繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料は、例えば、特許文献1などに記載されている。しかし、これらの短繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料は、繊維の長さが短いチョップトストランドのガラス繊維である上に、押出機での混練中にガラス繊維の折損が避けられないため一般的に機械的強度などの特性には限界がある。
これに対し、長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料は、長繊維のガラス繊維を使用し、かつ短繊維強化樹脂成形材料の場合のように、押出機での混練などの過程を含まないために機械的強度の大きいポリオレフィン樹脂成形体が得られ、近年注目されている。かかる長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料は、例えば、特許文献2などに開示されているが、これら従来の長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料も、得られるオレフィン樹脂成形体の機械的強度はいまだ充分ではなく、大きい機械的強度が要求される分野には使用することが困難で、さらなる向上が強く望まれている。
特開平2000-281391号公報 特開平3−181528号公報
本発明は、上記問題を解決すべくなされたものであり、その目的は高い機械的強度を有する長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形体を得るためのガラス繊維、および該ガラス繊維を使用した長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意研究を進めたところ、長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料に含まれるガラス繊維の集束剤が最終的に製造される長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形体の機械的強度に大きく関係し、かかる集束剤として、特定の組成を有するものを選択することにより上記目的が達成されることを見出した。
従来から、繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料に使用されるガラス繊維の集束剤は種々の組成のものが提案されている。例えば、短繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料を開示する上記特許文献2には、ガラス繊維の集束剤として、(A)ポリウレタン樹脂エマルジョン、(B)変成ポリプロピレン樹脂エマルジョン、(C)シランカップリング剤、(D)ポリカルボジイミド系樹脂エマルジョンおよび(E)ブロックイソシアネートの組成物が開示されている。しかし、かかる組成を有する集束剤は、チョップドストランドと樹脂を混練して得られる短繊維強化樹脂用には好適ではあるが、後記する比較例に示されるように、ポリオレフィンマトリックス樹脂用のガラス繊維の集束剤として、ウレタンを用いて長繊維強化樹脂を得る場合には、繊維束中に樹脂が充分に含浸されず、機械的強度の大きい繊維強化樹脂体は得られない。
一方、上記特許文献2に開示される、長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料用のガラス繊維は、オレフィン系重合体からなるサイジング剤やカップリングリング剤で処理されている。しかし、この場合、後記する比較例に示されるように、製造される長繊維強化ポリオレフィン樹脂体の機械的強度は不充分であり、なお大きな改善の余地がある。
本発明は、長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料に使用されるガラス繊維の集束剤として、シランカップリング剤と、ポリオレフィン樹脂と、ブロックイソシアネートと、を含有する新規な組成を使用することにより、得られる長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形体の機械的強度が改善されることを見出し、本発明に至ったものである。
すなわち、本発明は下記を特徴とする要旨を有するものである。
(1)ポリオレフィン樹脂中に、複数本のガラス繊維が実質的に同一長さかつ同一方向に並列して配置された長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料用のガラス繊維であって、該ガラス繊維に付着された集束剤が、シランカップリング剤と、ポリオレフィン樹脂と、解離温度が130〜200℃であるブロックイソシアネートと、を含有することを特徴とする長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料用のガラス繊維。
(2)ポリオレフィン樹脂、シランカップリング剤、およびブロックイソシアネートが、集束剤の全固形分質量あたり、それぞれ、30〜94質量%、5〜 50質量%、および1〜20質量%含有されている上記(1)に記載の長維強化ポリオレフィン樹脂成形材料用のガラス繊維。
(3)ブロックイソシアネートにおける再生NCO量が3%以上である上記(1)または(2)に記載の長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料用のガラス繊維。
(4)集束剤が、ガラス繊維に対して、固形分として、0.1〜2質量%付着する上記(1)〜(3)のいずれかに記載の長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料用のガラス繊維。
(5)ポリオレフィン樹脂が、酸変性ポリオレフィン樹脂である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料用のガラス繊維。
(6)ポリオレフィン樹脂中に、複数本のガラス繊維が実質的に同一長さでかつ同一方向に並行配列して含有された長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料であって、上記ガラス繊維に付着された集束剤が、シランカップリング剤と、ポリオレフィン樹脂と、ブロックイソシアネートと、を含有することを特徴とする長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料。
(7)ポリオレフィン樹脂が、溶融法によって得られた酸変性ポリオレフィン樹脂である上記(6)に記載の長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料。
本発明によれば、機械的強度、特に、引張強度、曲げ強度、及び衝撃強度、更に、耐熱性に優れた長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形体を得るためのガラス繊維、および該ガラス繊維を使用した長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料が提供される。
本発明により何故に上記の如き優れた効果が得られるかについては必ずしも明らかではない。しかし、繊維強化樹脂成形体の大きな機械的強度を与えるためにはガラス繊維の集束力は大きくなければならないとする従来の思想は、長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形体の場合にはあてはまらないことがあきらかである。本発明で使用されるガラス繊維の集束剤の集束力は必ずしも大きくなく、むしろ、適度に高い開繊性を有するものであり、毛羽立ちの発生の少ないものである。これは、長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形体の場合には、含有されるガラス繊維束を開繊させながらポリオレフィン樹脂に含浸させることに基因するものと思われる。
本発明で使用されるガラス繊維の集束剤は、シランカップリング剤と、ポリオレフィン樹脂と、ブロックイソシアネートと、を含有する。ここで使用されるポリオレフィン樹脂は、ポリオレフィンの単独重合体または共重合体がいずれでもよい。その具体例としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチレン−α−プロピレン共重合体、プロピレン−α−プロピレン共重合体などが挙げられる。
ポリオレフィン樹脂は、なかでも、酸変性ポリオレフィン樹脂が好ましい。酸変性ポリオレフィン樹脂は、例えば、ポリオレフィン樹脂をクロルスルホン化した後にスルホン基に変換させるか、直接スルホン化するか、またはポリオレフィン樹脂の製造時に、ポリオレフィンに重合性不飽和カルボン酸化合物またはその誘導体を共重合させるか、さらにはポリオレフィン樹脂に、付加重合性不飽和カルボン酸化合物またはその誘導体をグラフト重合させるなどの方法で得ることができる。
酸変性ポリオレフィン樹脂としては、なかでも、スルホン化されたポリプロピレン樹脂が好ましい。スルホン化されたポリプロピレン樹脂としては、上記の如きポリプロピレン樹脂に塩素と二酸化イオウ、またはクロルスルホン酸を反応させクロルスルホン化し、これをスルホン基に変化させたもの、および直接スルホン化したポリプロピレン樹脂が挙げられる。
酸変性ポリプロピレン樹脂としては、不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性されたポリプロピレンの単独重合体または共重合体も好ましい。その好ましい例としては、ポリプロピレンに不飽和カルボン酸またはその誘導体をグラフト重合したもの、プロピレンと不飽和カルボン酸またはその誘導体から選ばれた1種または2種以上をランダムまたはブロック共重合したもの、またはこれらの重合体にさらに不飽和カルボン酸またはその誘導体をグラフト重合したものが挙げられる。
上記カルボン酸変性のために使用される不飽和カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。また、不飽和カルボン酸の誘導体としてはこれらの酸の無水物、エステル、アミド、イミド、金属塩などが挙げられる。その具体例としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸グリシジル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、フマル酸ジメチルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジアミド、フマル酸モノアミド、マレイミド、N−ブチルマレイミド、メタクリル酸ナトリウムなどを挙げられる。
上記の不飽和カルボン酸およびその誘導体のうち、好ましいのはアクリル酸若しくはメタクリル酸のグリシジルエステル、または無水マレイン酸である。これらにより変性された好ましい酸変性ポリプロピレン樹脂としては、エチレンおよび/またはプロピレンを主たる樹脂構成単位とするポリオレフィン樹脂に無水マレイン酸をグラフト重合することにより変性したもの、エチレンおよび/またはプロピレンを主体とするポリプロピレンと(メタ)アクリル酸グリシジルエステルまたは無水マレイン酸とを共重合することにより酸変性したものが挙げられる。
上記ポリオレフィン樹脂または酸変性ポリオレフィン樹脂は、その重量平均分子量が5,000以上であること好ましく、より好ましくは10,000以上であり、さらには15,000〜50,000が好ましい。重量平均分子量が5,000未満では、ガラス繊維の集束性が低下するため作業性として不十分である。
上記ポリオレフィン樹脂は、集束剤の全固形分質量あたり、30〜94質量%、より好ましくは40〜70質量%含有される。ポリオレフィン樹脂の含有量が低過ぎると繊維と集束剤の接着性や処理された繊維とマトリックス樹脂との密着性が不足する。一方、ポリオレフィン樹脂の含有量が多すぎると、最終的に得られる繊維強化樹脂成形体が黄変着色するので好ましくない。
上記集束剤に含有されるシランカップリング剤としては、アミノ基を有するアミノシランが好ましく、該アミノシランのアミノ基は、1級および/または2級のアミノ基であることが好ましい。好ましい具体例としては、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−N’−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシランのようなアミノシランが挙げられる。前記アミノシランは、集束剤中の酸変性ポリオレフィンとの反応性が特に高いために繊維の集束性が向上し、また、ポリオレフィン樹脂との密着性を高め、機械的強度などが優れる点で好ましい。なかでもγ−アミノプロピルトリエトキシシランが成形体の色調が良好であることからも好ましい。
上記シランカップリング剤は、集束剤の全固形分質量中5〜50質量%、より好ましくは10〜35質量%含有される。シランカップリング剤の含有量が低過ぎると繊維と集束剤の結合性や処理された繊維とマトリックス樹脂との密着性が不足する。一方、シランカップリング剤の含有量が多すぎると、最終的に得られる樹脂組成物が黄変着色するので好ましくない。
上記集束剤に含有されるブロックイソシアネートは、イソシアネ−ト化合物の−NCO基をブロック剤で安定化したものである。ブロックイソシアネ−ト化合物の原料となるイソシアネ−ト化合物としては、未反応のNCO基を含むように調製されたポリウレタン樹脂初期重合体、または、メチレンジイソシアネ−ト、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、トリレンジイソシアネ−ト、キシリレンジイソシアネ−ト、ジフェニルメタンジイソシアネ−ト若しくはジシクロヘキシルメタンジイソシアネ−ト等が挙げられる。これらイソシアネ−ト化合物のNCO基は、水に分散して使用できるようブロック剤で安定化させる。
ブロックイソシアネートのブロック剤としては既知のものを使用できるが、特に、フェノ−ル、マロン酸ジエチルエステル、アセト酢酸エステル、アセチルアセトン、ε−カプロラクタム、メチルエチルケトオキシム、ビス4、4−エチレンウレアなどが好ましい。本発明で使用されるブロック剤で安定化されたブロックイソシアネ−トは、分解温度が好ましくは130〜200℃、特に150〜180℃であることが好適である。分解温度が130℃未満であると、ガラス繊維の回巻体の集束剤の乾燥温度が通常約120℃であるため、乾燥の際にブロック剤が分解してしまい含浸の際のマトリッスク樹脂であるポリオレフィン樹脂との接着性が低く、得られる繊維強化成形体の機械的強度が低下し好ましくない。
本発明で使用されるブロックイソシアネートは、ブロックイソシアネート中に含まれる再生NCO量が3〜5%であることが好ましい。再生NCO量とは、ブロックイソシアネートの総分子量中に」含まれるNCOの総分子量の割合を示すものである。これが3%未満であると成形品の機械的強度が劣り好ましくなく、また5%を超えてもそれ以上の効果は期待できない。
上記ブロックイソシアネートは、集束剤の全固形分質量に対して、固形分で1〜20質量%含有されることが好ましく、さらに3〜15質量%がより好ましい。前記値が1質量%未満であると十分な機械的強度を有する繊維強化成形体が得られず、20質量%以上であるとそれ以上の効果が得られず好ましくない。
本発明で使用される集束剤は、前述の成分の他に、樹脂成分として、例えば、さらに、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂またはその変性物、あるいはポリプロピレン樹脂系ワックスに代表されるワックス類などのオリゴマーを含有することが可能である。これらの樹脂やオリゴマーは、通常界面活性剤による水分散性化によって得られた水分散液、あるいは樹脂やオリゴマーの骨格中に存在するカルボン酸基やアミド基の中和や水和による水溶性化によって得られる水溶液といった形態で使用されるのが好ましい。
さらに、本発明で使用される集束剤は、上記の成分以外に塩化リチウムやヨウ化カリウムなどの無機塩や、アンモニウムクロライド型やアンモニウムエトサルフェート型などの4級アンモニウム塩に代表される帯電防止剤、あるいは脂肪族エステル系、脂肪族エーテル系、芳香族エステル系、芳香族エーテル系の界面活性剤に代表される潤滑剤などを含有してもよい。
本発明で使用される集束剤は、ポリオレフィン樹脂と、シランカップリング剤と、ブロックイソシアネートと、を混合することにより調製されるが、通常、水などの水性媒体中でこれらの成分を混合することにより調製される。集束剤は、各成分の含有量が固形成分でそれぞれ上記した範囲になるように混合されるが、各成分の合計の含有量は、固形分として、好ましくは0.1〜2質量%、特に好ましくは0.2〜1質量%であるのが好適である。該含有量が0.1質量%より小さい場合には、集束性が不足して毛羽立ち易くなり、ガラス繊維とマトリックス樹脂との接着性が劣り、逆に2質量%より大きい場合には、繊維束の開繊性が低下し好ましない。
本発明において集束剤によって処理されるガラス繊維は、モノフィラメントの平均径が6〜23μmであることが好ましく、より好ましくは10〜17μmである。モノフィラメントの平均径が6μm未満の場合は、後にマトリックス樹脂を含浸させて成形用材料とした場合にコスト高になり、一方、23μmを超える場合は、上記成形用材料の機械的物性が劣るために好ましくない。
本発明において集束剤によるガラス繊維の処理方法については特に限定されるものではなく、既知のいずれの処理方法であってもよい。集束剤は、ガラス繊維に対して収束剤の固形分が好ましくは0.1〜2質量%、特に好ましくは0.2〜1質量%付与されることが好ましい。付与量が0.1質量%未満であるとガラス繊維の集束性が不十分で毛羽立ち易く、また、ガラス繊維とマトリックス樹脂との接着が劣り好ましくない。一方、付与量が2質量%を越えるとマトリックス樹脂の含浸時における繊維束の開繊が不十分となり、マトリックス樹脂中で未開繊のガラス繊維束が存在することによる欠点を生じさせるため好ましくない。
本発明において樹脂成形材料のマトリックス樹脂となるポリオレフィン樹脂は、特に制限されないが、なかでも、ガラス繊維との接着性を向上させるために、酸変性ポリオレフィン樹脂が好ましい。ポリオレフィン樹脂または酸変性ポリオレフィン樹脂は、上記集束剤に含有されるものと同様なものが使用できるが、マレイン酸、アクリル酸などの不飽和カルボン酸で変性された酸変性ポリオレフィン樹脂が前記集束剤との相溶性がよいため好ましい。
不飽和カルボン酸で変性された酸変性ポリオレフィン樹脂は、その製法としてポリオレフィン樹脂にマレイン酸、アクリル酸等を押出機にて変性させる押出法や、予めバッチ等で溶融させながら重合させる溶融法が挙げられる。なかでも、本発明のガラス繊維は、溶融法によって作成されたポリオレフィン樹脂を用いることが機械的強度をより向上させることができ特に好ましい。
また、ポリオレフィン樹脂は、必要により、用途や成形条件に応じて、ポリオレフィン樹脂中に着色剤、改質剤、ガラス繊維以外の充填剤など、既知の添加剤を適宜配合させることができ、これらは常法に従いポリオレフィン樹脂と混練して配合することができる。
本発明の長維強化ポリオレフィン樹脂成形材料は、ポリオレフィン樹脂のマトリックス樹脂中にガラス繊維が実質的に同一長さでかつ同一方向に並行配列して含有される好ましくは線材状またはペレット状物からなる。この場合、ガラス繊維が実質的に同一長さでかつ同一方向に並行配列して含有されるとは、ガラス繊維の大部分が同一方向に並列してほぼ平行に配列されているが、一部の繊維は部分的に湾曲していたり、お互いに絡み合っていたりしてもよい状態を意味する。
また、本発明の長維強化ポリオレフィン樹脂成形材料では、線材状またはペレット状物中のガラス繊維の間にもポリオレフィン樹脂が含浸しているため、成形時においてガラス繊維が高い分散性を示すとともに、優れた機械的物性を有する繊維強化成形体を得ることができる。
本発明における長維強化ポリオレフィン樹脂成形材料におけるガラス繊維の含有率は、特に限定されないが、本発明の効果を顕著に出すには、成形材料中好ましくは25〜70容積%、特に好ましくは40〜60容積%とすることが好適である。繊維含有率が25容積%未満の場合には、ガラス繊維による補強効果が得られず好ましくなく、また、70容積%を超えると長維強化ポリオレフィン樹脂成形材料の比重が増すため好ましくない。
また、本発明の長維強化ポリオレフィン樹脂成形材料におけるガラス繊維の長さは、特に限定されないが、好ましくは3〜30mm、特に好ましくは6〜20mmであることが好適である。長さが3mm未満の場合は、長維強化ポリオレフィン樹脂成形材料の線材状またはペレット状物の製造時に毛羽が発生しやすくなる場合があり、また、繊維強化の効果が発現しにくい。一方、長さが30mmを超える場合には射出成形によって成形する際にガラス繊維の分散や流動性の低下を招く場合がある。
さらに、本発明の前記長維強化ポリオレフィン樹脂成形材料の平均径は好ましは0.3〜3mm、特に好ましくは1〜2.5mmであるのが好適である。本発明では特定のガラス繊維集束剤を用いているため、比較的細い平均径のガラス繊維を含有するポリオレフィン樹脂成形材料を製造する際の作業性の問題を改善するものであるが、平均径が0.3mm未満であると上記成形材料の嵩密度が小さくなり、輸送供給性が劣り好ましくない。一方、平均径が3mmを超えると射出成形によって成形する場合に繊維の分散性が劣り好ましくない。
本発明の長維強化ポリオレフィン樹脂成形材料は例えば以下のようにして製造される。例えば、回巻体の内側もしくは外側から引き出した連続したガラス繊維束を含浸ダイに導入する。含浸ダイには、押出機から溶融したポリオレフィン樹脂が供給され、ガラス繊維束にポリオレフィン樹脂が含浸される。ポリオレフィン樹脂が含浸されたガラス繊維束は、ダイスを通して引き出され、それによって余分なポリオレフィン樹脂が除去され、所定の繊維含有率とされるとともに、所定形状に賦形されて、所望の長維強化ポリオレフィン樹脂成形材料となる。
なお、長維強化ポリオレフィン樹脂成形材料の製造方法としては、上記方法とは別の方法を使用できる。例えば、ポリオレフィン樹脂のエマルジョン、ポリオレフィン樹脂粉末を水またはその他の液体中に分散させた懸濁液、あるいはポリオレフィン樹脂を溶媒に溶解させた樹脂溶液などを、ガラス繊維束に塗布または含浸させた後、乾燥により分散媒または溶媒を除去させる方法を採用することもできる。
また、ポリオレフィン樹脂をガラス繊維束に塗布または含浸させる方法としても、含浸ダイを用いる方法以外に、ロールコーターやカーテンコーターなどの方法を採用することもできる。さらに、ポリオレフィン樹脂粉末をガラス繊維束に付着させた後、必要に応じて加熱溶融し、次いで冷却する方法を採用することもできる。本発明では、乾燥や脱溶媒の工程が不要なことやコスト面から、なかでも、溶融含浸法を採用することが好ましい。
以下に、本発明の実施例を挙げてさらに本発明を具体的に説明するが、本発明の解釈はかかる実施例に限定されないことはもちろんである。
<実施例>
後記する表1の上段・中段に示すような配合割合で実施例1〜4、比較例1〜3の長繊維強化ポリオレフィン樹脂用ガラス繊維集束剤を作成し、これを2200TEX番手のガラス繊維束(繊維径16μm)に塗布して乾燥させたダイレクトロービング(2200TEX)を得た。
前記ガラス繊維を下記に示すマトリックス樹脂に引取速度=14m/minで含浸させ、得られたロッドを長さ8mmに切断して長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料を得た。
なお、マトリッスク樹脂は、実施例1〜3及び比較例1〜2は、下記に示すマトリックス樹脂a、bを50:50で用い、実施例4及び比較例3は下記に示すマトリックス樹脂cを用いた。

集束剤原料の内容(化合物名、商品名、製造会社)
・酸化ポリプロピレンエマルジョン:重量平均分子量25000、酸価45
・ブロックイソシアネートA:HDI+NP、BN-5(解離温度150℃)、第一工業製薬社
・ブロックイソシアネートB:HDI+オキシム、BN-11(解離温度150℃)、 第一工業製薬社
・ブロックイソシアネートC:XDI+オキシム BN−8(解離温度120℃)、第一工業製薬社
・ブロックイソシアネートD:MDI+オキシム、BN−27(解離温度180℃)、第一工業製薬社
・ウレタン: H12−MDI−ポリエステルポリオールウレタン

マトリックス樹脂の内容(化合物名、商品名、製造会社)
・a:ポリプロピレン樹脂: HOMO MI=30、サンアロマー社
・b:マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂: HOMOマレイン酸の付加量4%、酸価35、 MI=10、溶融法
・c:マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂: HOMOマレイン酸の付加量1%、酸価10、 MI=10、押出し法
Figure 2005194636
Figure 2005194636
表1の結果より、実施例1〜3は機械的強度に優れるものであった。これに対しブロックイソシアネートを使用しない集束剤を用いた比較例1は、実施例に比べ充分な機械的強度が得られていない。また、ブロックイソシアネートを使用しても解離温度が低いブロックイソシアネートを使用した集束剤を用いた比較例2では成形品の機械的強度が劣り、さらに変性ポリプロピレンにウレタンを併用した集束剤を用いた比較例3も成形品の機械的強度が劣るものであった。
また、変性剤を押出し法により付与した酸化ポリプロピレンにおいて、ブロックイソシアネートを集束剤として使用しない比較例4では、成形品の機械的強度はかなり低い。これに対し、ブロックイソシアネートを使用した集束剤を用いた実施例4では、機械的強度が格段に向上していることが分かる。

Claims (7)

  1. ポリオレフィン樹脂中に、複数本のガラス繊維が実質的に同一長さでかつ同一方向に並行配列して含まれる長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料用のガラス繊維であって、該ガラス繊維に付着された集束剤が、ポリオレフィン樹脂と、シランカップリング剤と、解離温度が130〜200℃のブロックイソシアネートと、を含有することを特徴とする長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料用のガラス繊維。
  2. ポリオレフィン樹脂、シランカップリング剤、およびブロックイソシアネートが、集束剤の全固形分質量あたり、それぞれ、30〜94質量%、5〜50質量%、および1〜20質量%含有されている請求項1に記載の長維強化ポリオレフィン樹脂成形材料用のガラス繊維。
  3. ブロックイソシアネートにおける再生NCO量が3%以上である請求項1または2に記載の長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料用のガラス繊維。
  4. 集束剤が、ガラス繊維に対して、固形分として、0.1〜2質量%付着する請求項1〜3のいずれかに記載の長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料用のガラス繊維。
  5. ポリオレフィン樹脂が、酸変性ポリオレフィン樹脂である請求項1〜4のいずれかに記載の長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料用のガラス繊維。
  6. ポリオレフィン樹脂中に、複数本のガラス繊維が実質的に同一長さでかつ同一方向に並行配列して含有された長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料であって、上記ガラス繊維に付着された集束剤が、シランカップリング剤と、ポリオレフィン樹脂と、ブロックイソシアネートと、を含有することを特徴とする長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料。
  7. ポリオレフィン樹脂が、溶融法によって得られた酸変性ポリオレフィン樹脂である請求項6に記載の長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料。
JP2003435155A 2003-12-26 2003-12-26 長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料用のガラス繊維 Pending JP2005194636A (ja)

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JP2010538176A (ja) * 2007-09-06 2010-12-09 サン−ゴバン テクニカル ファブリックス ヨーロッパ ガラスストランド用の物理ゲルの形態であるサイジング組成物、得られたガラスストランドおよびそのストランドを含む複合材
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