JP4074863B2 - 長繊維強化ポリプロピレン樹脂成形材料 - Google Patents

長繊維強化ポリプロピレン樹脂成形材料 Download PDF

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Description

本発明は、機械的物性に優れたポリプロピレン樹脂成形品を得るための長繊維強化ポリプロピレン樹脂成形材料に関する。
ポリプロピレン樹脂は、比較的安価な軽量素材であり、その成形加工の容易さから、自動車部品,家庭電化製品,食品包装フィルム,玩具,雑貨など、幅広い分野で利用されている汎用素材であるが、機械的物性、特に耐衝撃性や耐熱性に劣るため、その用途としては限られていた。
ポリプロピレン樹脂の機械的物性を向上させるため、様々な研究がなされており、例えば、ポリプロピレン樹脂にガラス繊維やフィラーなどを充填させ、複合材料とすることで飛躍的に機械的物性が向上させることができる。ポリプロピレン樹脂などの熱可塑性プラスチック素材をガラス繊維などと組み合わせて調整し、一体化させたものはFRTP(Fiber Reinforced Thermo Plastics)と呼ばれており、軽量かつ機械的強度に優れた素材であり、様々な研究がなされている。
例えば、下記の特許文献1では、オレフィン樹脂を含有するサイジング剤で一旦サイジング処理された強化用繊維束の連続物を引きながら、オレフィン系樹脂50〜98質量部と不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性された変性オレフィン系樹脂2〜50質量部を主成分とする樹脂成分を該繊維束中に含浸させ、長繊維強化成形用オレフィン系樹脂組成物中に5〜80質量%の強化用繊維を含有することを特徴とする長繊維強化成形用オレフィン系樹脂組成物について開示されている。
特開平3−181528号公報
上記特許文献1に開示されているように、ポリオレフィン系樹脂を含む被膜形成剤で集束されたガラス繊維に、ポリオレフィン樹脂、及び変性ポリオレフィン樹脂とを含むマトリッスク樹脂を含浸させることで、ポリオレフィン樹脂成形品の機械的物性を向上させることができる。しかしながら、変性ポリプロピレン樹脂などの変性ポリオレフィン系樹脂は高価な原料であり、コスト的な問題から、その添加量を抑える必要性があった。
そこで本発明の目的は、マトリックス樹脂における変性ポリプロピレン樹脂の添加量が極少量であっても優れた機械的物性を備えた長繊維強化ポリプロピレン樹脂成形材料を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために種々の研究をおこなった結果、ガラス繊維を被膜形成剤で処理した後、酸変性ポリプロピレンを含むマトリックス樹脂を含浸させて、調製される長繊維強化ポリプロピレン樹脂成形材料において、シランカップリング剤と特定の物性を備えた酸変性ポリプロピレン樹脂とを含む組成物をガラス繊維の被膜形成剤として用いることで、ガラス繊維の集束性を高めることができ、また、ガラス繊維とマトリックス樹脂との密着性を向上させることができるため、マトリックス樹脂における酸変性ポリプロピレンの含有量が少量であっても優れた機械的物性を持った長繊維強化ポリプロピレン樹脂成形材料を提供できることを見出した。
すなわち、本発明の長繊維強化ポリプロピレン樹脂成形材料は、ガラス繊維に、シランカップリング剤(A)と、重量平均分子量が20,000〜80,000の酸変性ポリプロピレン樹脂(B)とを含む被膜形成剤を、前記ガラス繊維と前記被膜形成剤中の固形分との合計100質量部に対し、前記酸変性ポリプロピレン樹脂(B)の固形分が0.2〜1質量部となるように付与することによって集束されたガラス繊維に、ポリプロピレン樹脂(C)98.2〜98.6質量部、及び酸変性ポリプロピレン樹脂(D)1.4〜1.8質量部を含むマトリックス樹脂が含浸されていることを特徴とする。
また、前記被膜形成剤における前記酸変性ポリプロピレン樹脂(B)の酸価は10〜50(mgKOH/g)であることが好ましい。
さらに、前記被膜形成剤における前記酸変性ポリプロピレン樹脂(B)の固形分は、該被膜形成剤の固形分全量を100質量部としたときに、40〜80質量部含有されていることが好ましい。
本発明の長繊維強化ポリプロピレン樹脂成形材料によれば、シランカップリング剤(A)と、重量平均分子量が20,000〜80,000の酸変性ポリプロピレン樹脂(B)とを含有した組成物をガラス繊維の被膜形成剤として用いることで、ガラス繊維の集束性を向上させることができ、また、ガラス繊維とマトリックス樹脂との密着性を向上させることができる。
よって、マトリックス樹脂中に要する酸変性ポリプロピレン樹脂(D)が少量であっても、機械的物性に優れた長繊維強化ポリプロピレン樹脂成形材料を得ることができるため、原料コストを低く抑えることができる。
本発明におけるガラス繊維の被膜形成剤は、シランカップリング剤(A)と、重量平均分子量が20,000〜80,000の酸変性ポリプロピレン樹脂(B)とを含有する。
本発明における被膜形成剤に用いるシランカップリング剤(A)としては、アミノ基を有するアミノシランが好ましく、該アミノシランのアミノ基は、1級及び/又は2級のアミノ基であることがより好ましい。好ましい具体例としては、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−N’−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシランのようなアミノシランが挙げられる。前記アミノシランは、被膜形成剤中の酸変性ポリプロピレン(B)との反応性が特に高いために繊維の集束性が向上し、また、マトリックス樹脂との密着性を高め、機械的物性を向上させることができるため好ましい。なかでもγ−アミノプロピルトリエトキシシランがポリプロピレン樹脂成形品の色調が良好であることからも好ましい。
本発明における被膜形成剤で使用される酸変性ポリプロピレン樹脂(B)は、例えば、ポリプロピレン樹脂をクロルスルホン化した後にスルホン基に変換させる、あるいは直接スルホン化させる、又はポリプロピレン樹脂の製造時にポリオレフィンに重合性不飽和カルボン酸化合物又はその誘導体を共重合させる、もしくはポリプロピレン樹脂に付加重合性不飽和カルボン酸化合物又はその誘導体をグラフト重合させる、などの方法で得ることができる。ポリプロピレンの単独重合体でもよいが、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチレン−α−プロピレン共重合体、プロピレン−α−プロピレン共重合体などの共重合体であってもよい。
本発明では、被膜形成剤に用いる酸変性ポリプロピレン樹脂(B)としては、スルホン化されたポリプロピレン樹脂であることが好ましい。スルホン化されたポリプロピレン樹脂としては、例えば、ポリプロピレン樹脂に塩素と二酸化イオウ、又はクロルスルホン酸を反応させクロルスルホン化し、これをスルホン基に変化させたもの、あるいはポリプロピレン樹脂を直接スルホン化したものなどが挙げられる。
また、不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性されたポリプロピレンの単独重合体、あるいは共重合体である酸変性ポリプロピレン樹脂も好ましく用いることができる。上記の酸変性ポリプロピレン樹脂としては、例えばポリプロピレンに不飽和カルボン酸又はその誘導体をグラフト重合したもの、あるいはプロピレンと不飽和カルボン酸又はその誘導体から選ばれた1種又は2種以上をランダムもしくはブロック共重合したもの、あるいはこれらの重合体にさらに不飽和カルボン酸又はその誘導体をグラフト重合したものなどが挙げられる。
ポリプロピレン樹脂の酸変性に用いられる不飽和カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。また、不飽和カルボン酸の誘導体としてはこれらの酸の無水物、エステル、アミド、イミド、金属塩などが挙げられる。その具体例としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸グリシジル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、フマル酸ジメチルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジアミド、フマル酸モノアミド、マレイミド、N−ブチルマレイミド、メタクリル酸ナトリウムなどを挙げられる。
本発明では、不飽和カルボン酸及びその誘導体で変性された酸変性ポリプロピレン樹脂(B)としては、アクリル酸もしくはメタクリル酸のグリシジルエステル、又は無水マレイン酸を用い、エチレン及び/又はプロピレンを主たる樹脂構成単位とするポリプロピレン樹脂に無水マレイン酸をグラフト重合することにより酸変性したもの、あるいはエチレン及び/又はプロピレンを主体とするポリプロピレンと(メタ)アクリル酸グリシジルエステル又は無水マレイン酸とを共重合することにより酸変性したものが好ましい。
本発明の被膜形成剤に用いる酸変性ポリプロピレン樹脂(B)の重量平均分子量は20,000〜80,000であることが好ましく、25,000〜50,000であることがより好ましい。重量平均分子量が20,000未満では、ガラス繊維の集束性が低下するため作業性が悪くなり、また、ポリプロピレン樹脂成形品の機械的物性が劣るため好ましくない。一方、重量平均分子量が80,000を超えると、ガラス繊維が開繊しきらず、ガラス繊維が完全に分散しきれないため、ポリプロピレン樹脂成形品の外観が劣ってしまうので好ましくない。
被膜形成剤に含まれる酸変性ポリプロピレン樹脂(B)の酸価は、10〜50(mgKOH/g)であることが好ましく、15〜45(mgKOH/g)であることがより好ましい。酸価が10(mgKOH/g)未満であるとガラス繊維とマトリックス樹脂とを接着させる酸付加量が少ないため、ガラス繊維とマトリックス樹脂との密着性は低下してしまい、50(mgKOH/g)を超えると遊離した(グラフトされていない)酸成分がシランカップリング剤と反応等してしまうと考えられ、ガラス繊維とマトリックス樹脂との密着性が低下してしまい、またポリプロピレン樹脂成形品の色調も黄変しやすい。
また、本発明は被膜形成剤に重量平均分子量20,000〜80,000以外の酸変性ポリプロピレン樹脂、及び酸変性されていないポリプロピレン樹脂を用いることは可能であるが、該被膜形成剤全量を100質量部としたときに、重量平均分子量20,000〜80,000以外の酸変性ポリプロピレン樹脂、及びポリプロピレン樹脂は、10質量部以下であることが好ましい。重量平均分子量20,000未満の酸変性ポリプロピレン樹脂の含有量が10質量部を超えると、ガラス繊維の集束性が低下するため作業性として不十分であるうえに、含浸ダイ内での突起やローラによる開繊の際に、摩擦によってガラス繊維束を構成する単繊維の一部が切れて毛羽となり断線を引き起こしやすく、また、重量平均分子量80,000を超えるポリプロピレン樹脂の含有量が10質量部を超えると、ガラス繊維束が開繊しにくくなり、ガラス繊維が完全に分散しきれないため、ポリプロピレン樹脂成形品の外観が劣ってしまうので好ましくない。
さらに、本発明で使用される被膜形成剤は、上記の成分以外に塩化リチウムやヨウ化カリウムなどの無機塩や、アンモニウムクロライド型やアンモニウムエトサルフェート型などの4級アンモニウム塩に代表される帯電防止剤、あるいは脂肪族エステル系、脂肪族エーテル系、芳香族エステル系、芳香族エーテル系の界面活性剤に代表される潤滑剤などの副添加物を含有してもよい。
本発明で被膜形成剤に用いるシランカップリング剤(A)は、被膜形成剤の固形分を100質量部としたとき、5〜50質量部含まれていることが好ましく、より好ましくは10〜35質量部である。5質量部未満であると、ガラス繊維と被膜形成剤との結合性や、ガラス繊維束とマトリックス樹脂との密着性が劣り、また、50質量部を超えると、ガラス繊維が毛羽立ちやすく、また、最終的に得られるポリプロピレン樹脂成形品が黄変着色するので好ましくない。
また、本発明で被膜形成剤に用いる酸変性ポリプロピレン樹脂(B)は、被膜形成剤の固形分を100質量部としたとき、40〜80質量部含まれていることが好ましく、より好ましくは50〜70質量部である。40質量部未満であると、ガラス繊維が毛羽立ちやすく、また、マトリックス樹脂との密着性が劣るため好ましくなく、80質量部を超えると、シランカップリング剤の含有量が少なくなることによるマトリックス樹脂への反応が低下し、機械的物性が劣る好ましくない。
また、被膜形成剤に含有させる副添加物は、被膜形成剤の固形分100質量部に対し、50質量部以下であることが好ましい。50質量部を超えると成形品中におけるガラス繊維の分散性が低下し、また、毛羽立ちやすく、作業性が劣ってしまうため好ましくない。
本発明で用いる被膜形成剤は、上記範囲内でシランカップリング剤(A)と、重量平均分子量20,000〜80,000の酸変性ポリプロピレン樹脂(B)と、必要に応じて上記で示したような副添加物とを混合することにより調製されるが、通常、水などの水性媒体中でこれらの成分を混合することにより調製される。
本発明に用いるガラス繊維は、材質については特に限定はないが、モノフィラメントの平均径が6〜23μmであることが好ましく、より好ましくは10〜17μmである。モノフィラメントの平均径が6μm未満の場合は、長繊維強化ポリプロピレン樹脂成形用材料を得る際にコスト高となるため経済的に好ましくなく、また、平均径が23μmを超える場合は、前記成形用材料の機械的物性が劣るため好ましくない。
本発明において被膜形成剤によるガラス繊維の処理方法については特に限定されるものではなく、ロールコーター、カーテンコータ方式による塗布、スプレー方式による塗布等の、既知の処理方法であってもよい。
被膜形成剤は、ガラス繊維と被膜形成剤中の固形分との合計100質量部に対し、酸変性ポリプロピレン樹脂(B)の固形分が0.1〜2質量部となるよう付与することが好ましく、0.2〜1質量部となるように付与することがより好ましい。付与量が0.1質量部未満であるとガラス繊維の集束性が不十分で毛羽立ち易く、また、ガラス繊維とマトリックス樹脂との接着が劣るため好ましくない。一方、付与量が2質量部を超えるとマトリックス樹脂の含浸時における繊維束の開繊が不十分となり、マトリックス樹脂中で未開繊のガラス繊維束が存在することによる欠点を生じさせるため好ましくない。
被膜形成剤にて集束されたガラス繊維は、100〜7,000本のガラス繊維が集束されたものであることが好ましい。前記値が100本未満では、ガラス繊維が毛羽立ちやすく、突起やローラーによる開繊の際に糸切れ易くなるうえに、多数の回巻体が必要となり作業効率が劣る。一方、前記値が7,000本よりも多いと、マトリックス樹脂との含浸性が劣るため好ましくない。
上記ガラス繊維をマトリックス樹脂に含有させることで本発明の長繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物が得られる。
本発明に用いるマトリックス樹脂は、ポリプロピレン樹脂(C)と酸変性ポリプロピレン樹脂(D)とを含有しており、前記マトリックス樹脂に用いる酸変性ポリプロピレン樹脂(D)は、前記被膜形成剤に含有されるものと同様なものが使用できるが、特にマレイン酸、アクリル酸などの不飽和カルボン酸で変性された酸変性ポリプロピレン樹脂が前記被膜形成剤との相溶性がよいため好ましい。
不飽和カルボン酸により酸変性された酸変性ポリプロピレン樹脂は、その製法としてポリオレフィン樹脂にマレイン酸、アクリル酸等を押出機にて変性させる押出法や、予めバッチ等で溶融させながら重合させる溶融法が挙げられる。なかでも、本発明では、溶融法によって作成されたポリプロピレン樹脂を用いることが、ポリプロピレン樹脂成形品の機械的物性をより向上させることができるため好ましい。
ポリプロピレン樹脂(C)は、用途や成形条件に応じて、ポリプロピレン樹脂中に着色剤、改質剤、ガラス繊維以外の充填剤など、既知の添加剤を適宜配合させることができ、これらは常法に従いポリプロピレン樹脂と混練して配合することができる。
本発明において、長繊維強化ポリプロピレン樹脂成形材料のマトリックス樹脂には、ポリプロピレン樹脂(C)が98.0〜99.0質量部含まれていることが重要であり、98.2〜98.6質量部含まれていることがより好ましい。また、酸変性ポリプロピレン樹脂(D)は1.0〜2.0質量部含まれていることが重要であり、1.4〜1.8質量部含まれていることがより好ましい。
酸変性ポリプロピレン樹脂(D)とは、マトリックス樹脂とガラス繊維との接着性を向上させ、また、ポリプロピレン樹脂成形品の機械的物性を向上させるために必要である。1.0質量部未満ではその添加効果が乏しく、また2.0質量部を超えた添加量であっても本発明は前記の特定の被膜形成剤を用いているため、一定以上の効果は得ることはできず、原料コストが高くなるだけであるので好ましくない。
すなわち、本発明は、マトリックス樹脂における酸変性ポリオレフィン樹脂(D)の量が2.0質量部以下と極めて少量であっても、優れた機械的物性を提供することができるものである。
前記被膜形成剤で処理されたガラス繊維束は、上記のマトリックス樹脂を付与することで本発明の長繊維維強化ポリプロピレン樹脂成形材料を得ることができる。
本発明の長繊維強化ポリプロピレン樹脂成形材料は、ガラス繊維を被膜形成剤で集束後、例えば、以下のような工程を経て得ることができる。
回巻体の内側もしくは外側から引き出された連続したガラス繊維束を、押出機から溶融したマトリックス樹脂が供給される含浸ダイへ導入し、ガラス繊維束にマトリックス樹脂を含浸させる。マトリックス樹脂へ含浸されたガラス繊維束は、含浸ダイのダイスを通して引き出される。ダイスを経由することで過剰なマトリックス樹脂が除去されるため、所定のガラス繊維含有率が得られるとともに、所定形状に賦形された、所望の長維強化ポリプロピレン樹脂成形材料が得られる。
マトリックス樹脂に被膜形成剤で処理されたガラス繊維束を含有させる方法としては、溶融したマトリックス樹脂をガラス繊維束に含浸させる溶融含浸法と呼ばれる方法の他、水などの溶媒に分散もしくは溶解させたマトリックス樹脂液をガラス繊維束に塗布し含有させる方法、粉末状のマトリックス樹脂をガラス繊維束に付与した後、加熱溶融し次いで冷却して含有させる方法などが挙げられるが、特に溶融含浸法が、溶媒分の除去工程が不要であることやコスト面から好ましい。
マトリックス樹脂中にガラス繊維を含有させることで、本発明の長繊維維強化ポリプロピレン樹脂成形材料が得られる。本発明の長繊維維強化ポリプロピレン樹脂成形材料は、マトリックス樹脂中にガラス繊維が実質的に同一長さでかつ同一方向に並行配列して含有しており、好ましくは線材状又はペレット状物である。ガラス繊維が実質的に同一長さでかつ同一方向に並行配列して含有されているとは、ガラス繊維の大部分が同一方向に並列してほぼ平行に配列されているが、一部の繊維は部分的に湾曲していたり、お互いに絡み合っていたりしてもよい状態を意味する。
また、本発明の長繊維強化ポリプロピレン樹脂成形材料では、線材状又はペレット状物中のガラス繊維の間にもマトリックス樹脂が含浸しているため、成形時においてガラス繊維が高い分散性を示すとともに、優れた機械的物性を有するポリプロピレン樹脂成形品を得ることができる。
本発明における長繊維強化ポリプロピレン樹脂成形材料におけるガラス繊維の含有率は、特に限定されないが、本発明の効果を顕著に出すには、成形材料中に好ましくは25〜70質量部、より好ましくは40〜60質量部である。ガラス繊維の含有率が25質量部未満の場合には、ガラス繊維による補強効果が得られず、また、70質量部を超えるとマトリックス樹脂との含浸性が劣り、また、長繊維強化ポリプロピレン樹脂成形材料の比重が増し、他の材料とブレンドして成形する際、射出成形機のホッパーで他の材料との分級が生じやすいため、成形品に含まれる原料の組成比が成形品ごとに異なり好ましくない。
また、本発明の長繊維強化ポリプロピレン樹脂成形材料におけるガラス繊維の長さは、特に限定されないが、好ましくは3〜30mm、より好ましくは6〜20mmである。長さが3mm未満の場合は、長繊維強化ポリプロピレン樹脂成形材料の線材状又はペレット状物の製造時に割れや毛羽が発生しやすく、また、繊維強化の効果が発現しにくい。一方、長さが30mmを超える場合には射出成形によって成形する際にガラス繊維の分散や流動性の低下を招く恐れがある。
本発明の前記長繊維強化ポリプロピレン樹脂成形材料の平均径は好ましくは0.3〜3.4mmであり、より好ましくは1〜2.6mmである。本発明では特定のガラス繊維被膜形成剤を用いているため、比較的細い平均径のガラス繊維を含有するポリオレフィン樹脂形成材料を製造する際の作業性の問題を改善するものであるが、平均径が0.3mm未満であると上記成形材料の嵩密度が小さくなり、輸送供給性が劣り好ましくない。一方、平均径が3.4mmを超えると射出成形によって成形する場合にガラス繊維の分散性が劣るため好ましくない。
以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。しかし、これらの実施例は本発明の実施態様を具体的に説明するものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
繊維径16μmのガラス繊維(2200TEX、旭ファイバーグラス社製)4,000本を集束させ、表1に示す原料を用い、表2に示す配合割合(質量%)で調整した実施例1〜3、比較例1〜5の被膜形成剤を付与し、ガラス繊維束を得た。
上記ガラス繊維束を、酸価20(mgKOH/g)、MI=10(g/10min)[温度:190℃、荷重:2.16kgfにて測定]のマレイン酸変性プロピレン樹脂と、MI=120(g/10min)[温度:230℃、荷重:2.16kgfにて測定]のポリプロピレンホモポリマー樹脂とを、表2に示す配合割合(質量%)で調整したマトリックス樹脂に含浸させ、引き取り速度=14m/minで前記ガラス繊維束を引き上げ、実施例1〜3、比較例1〜5の長繊維強化ポリプロピレン樹脂成形材料(ペレット)を得た。
上記長繊維強化ポリプロピレン樹脂成形材料を8mmに切断し、得られたペレットを長繊維用射出成形機、及び多目的試験片金型を用い、JIS‐K6921−2に準拠した成形条件により、射出成形を行い、多目的試験片(JIS−K7139)を得た。




















Figure 0004074863












Figure 0004074863
実施例1〜3、比較例1〜5の試験片を用いて、ガラス含有率(JIS−K−7052に準拠)、引張強度(JIS−K−7161に準拠)、曲げ強度(JIS−K−7171に準拠)、曲げ弾性率(JIS−K−7171に準拠)、ノッチ付IZOD衝撃強度(試験片の厚さ8mm、JIS−K−7110に準拠)、を測定した。結果を表3に示す。
Figure 0004074863
実施例1〜3は、比較例5に比べ、マトリックス樹脂中の酸変性ポリプロピレン樹脂の添加量が少なくても、優れた機械的物性が得られるものであった。
また、実施例1〜3と比較例1は、マトリックス樹脂中に含まれる酸変性ポリプロピレン樹脂の含有量が同じではあるが、実施例1〜3は比較例1に比べ、ポリプロピレン樹脂成形品の機械的物性は優れており、同程度の機械的物性を得るためには、マトリックス樹脂中の酸変性ポリプロピレン樹脂の含有量を増加させなくてはならない(比較例2)。
よって、被膜形成剤における酸変性ポリプロピレン樹脂を、特定領域内の分子量とすることにより、マトリックス樹脂中の酸変性ポリプロピレン樹脂の添加量は少なくとも、優れた機械的物性が得られることがわかる。
また、マトリックス樹脂への酸変性ポリプロピレン樹脂の添加量が1.0%未満である、比較例3、4は、1.0%以上の添加量である、実施例1、及び比較例5に比べ、引張強度、及び曲げ強度は著しく低いことがわかる。また、実施例1、及び比較例5の機械的物性はほぼ同程度であり、マトリックス樹脂への酸変性ポリプリピレン樹脂の添加量は2.0質量部以下と量であっても、優れた機械的物性を備えることができる。
本発明により得られる長繊維強化ポリプロピレン樹脂成形材料は低コストで提供することができ、機械的物性に優れたポリプロピレン樹脂成形品を提供することができる。

Claims (3)

  1. ガラス繊維に、シランカップリング剤(A)と、重量平均分子量が20,000〜80,000の酸変性ポリプロピレン樹脂(B)とを含む被膜形成剤を、前記ガラス繊維と前記被膜形成剤中の固形分との合計100質量部に対し、前記酸変性ポリプロピレン樹脂(B)の固形分が0.2〜1質量部となるように付与することによって集束されたガラス繊維に、ポリプロピレン樹脂(C)98.2〜98.6質量部、及び酸変性ポリプロピレン樹脂(D)1.4〜1.8質量部を含むマトリックス樹脂が含浸されていることを特徴とする長繊維強化ポリプロピレン樹脂成形材料。
  2. 前記被膜形成剤における前記酸変性ポリプロピレン樹脂(B)の酸価が10〜50(mgKOH/g)である請求項1に記載の長繊維強化ポリプロピレン樹脂成形材料。
  3. 前記被膜形成剤における前記酸変性ポリプロピレン樹脂(B)の固形分が、該被膜形成剤の固形分全量を100質量部としたときに、40〜80質量部含有されている請求項1又は2に記載の長繊維強化ポリプロピレン樹脂成形材料。
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