JPH11138534A - ガラス繊維強化複合材料の製造方法 - Google Patents

ガラス繊維強化複合材料の製造方法

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JPH11138534A
JPH11138534A JP9305203A JP30520397A JPH11138534A JP H11138534 A JPH11138534 A JP H11138534A JP 9305203 A JP9305203 A JP 9305203A JP 30520397 A JP30520397 A JP 30520397A JP H11138534 A JPH11138534 A JP H11138534A
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JP
Japan
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glass fiber
die
fiber bundles
resin
fiber bundle
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JP9305203A
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English (en)
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Manabu Nomura
学 野村
Kaoru Wada
薫 和田
Shigeharu Arai
重治 新井
Takemasa Kimura
勇政 木村
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Asahi Fiber Glass Co Ltd
Idemitsu Petrochemical Co Ltd
Original Assignee
Asahi Fiber Glass Co Ltd
Idemitsu Petrochemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガラス繊維束に対する樹脂の含浸性を高め、
かつ引取り速度を大幅に向上できるガラス繊維強化複合
材料の連続製造方法を提供すること。 【解決手段】 予め複数のガラス繊維束をダイス内の溶
融樹脂温度より高い沸点を有する液状物で接触処理した
のち、それぞれの繊維束が接触しないように分離した状
態で連続的にダイス内に導き、溶融熱可塑性樹脂と接触
させ、ダイスから引出し、冷却してガラス繊維強化複合
材料を連続的に製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガラス繊維強化複
合材料の製造方法に関し、さらに詳しくは、ガラス繊維
束に対する樹脂の含浸性を高め、かつ引取り速度を大幅
に向上できるガラス繊維強化複合材料の連続製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、繊維束(フィラメントを集めたス
トランド又はロービング)に熱可塑性樹脂を含浸させた
繊維強化複合材料は、機械物性に優れる成形物を与える
ことから、各種構造体の素材として広く用いられてい
る。このような繊維強化複合材料の製造方法としては、
例えば繊維束に熱可塑性樹脂を、溶融引抜き(溶融引出
し)法によって含浸させ、場合によっては、3〜300
mm程度の長さのペレットに切断することにより、繊維
強化複合材料を製造する方法が提案されている(特公昭
63−37694号公報)。しかしながら、この方法に
おいては、一般に熱可塑性樹脂の溶融物は粘度が高いた
め、繊維束に樹脂を充分に含浸させることが困難であ
り、したがって、それを改善するために、これまで様々
な対策が講じられてきた。例えば、特公昭63−376
94号公報に見られるように、樹脂の分子量を下げ、粘
度を著しく小さくして含浸を促進したり、また、米国再
発行特許第32772号明細書に見られるように、ダイ
スを工夫し、繊維束を擦るように圧力をかけ、含浸を促
進する方法などが提案され、実用化されている。
【0003】これらの方法により、繊維束中への樹脂の
含浸は大幅に向上するものの、充分に満足しうるもので
はなく、繊維が樹脂で濡らされていない部分がまだ多く
存在するので繊維が抜けて毛羽となり、顔料マスターバ
ッチなどのブレンド時や、成形現場での空送ラインなど
で大きなトラブルが生じるなどの問題があった。また、
これらの方法においては、引抜き抵抗が大きく、特公昭
63−37694号公報における実施例で示されるよう
に、引抜き速度が数十cm/分程度にすぎず、生産性が
低いという欠点がある。ここで引抜き速度を上げようと
すると、含浸性が低下するのを免れない上、繊維が痛
み、繊維切れが発生し、生産安定性が低下する。そこ
で、これらの問題を解決するために、本発明者らは、先
に、水性エマルジョン中に繊維束を通し、繊維束と溶融
樹脂との濡れ性を改善することにより、生産性を高め、
かつ樹脂含浸の良好な繊維強化複合材料を製造する方法
を提案した(特開平8−90659号公報)。しかしな
がら、この方法においては、繊維束がダイス内の溶融樹
脂と接触する前に、繊維束に付着している媒体を乾燥除
去する必要があり、したがって、かなり長い乾燥炉を要
するのみならず、乾燥処理費がかかるなどの問題があ
り、必ずしも充分に満足しうるものではなかった。ま
た、繊維束に樹脂を含浸させる際の押圧方法の改善技術
として、特許第2586078号,特開昭58−138
616号公報,特開平6−254857号公報,特開平
6−254976号公報などに記載の発明が知られてい
るが、これらは、いずれも含浸性や引取り速度が不充分
であるなどの欠点を有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来技術がもつ欠点を克服し、ガラス繊維束に対する樹
脂の含浸性を高め、かつ引取り速度を大幅に向上するこ
とができ、生産性に優れるとともに、水性エマルジョン
処理,樹脂溶液処理などのように、ダイスに導入する前
に繊維束を乾燥処理する工程を必要としないガラス繊維
強化複合材料の連続製造方法を提供することを目的とす
るものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、ガラス繊維束
をダイス内で溶融熱可塑性樹脂と連続的に接触させる前
に、予め該ガラス繊維束をダイス内の溶融樹脂温度より
も高い沸点を有する液状物で接触処理し、それぞれの繊
維束が接触しないように分離した状態でダイス内に連続
的に導くことにより、その目的を達成しうることを見出
した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したもので
ある。すなわち本発明は、複数のガラス繊維束をダイス
内に連続的に導き、溶融熱可塑性樹脂と接触させたの
ち、ダイスから連続的に引出し、冷却してガラス繊維強
化複合材料を製造するに当たり、該複数のガラス繊維束
をダイス内の溶融樹脂温度より高い沸点を有する液状物
で接触処理したのち、それぞれの繊維束が接触しないよ
うに分離した状態で連続的にダイス内に導くことを特徴
とするガラス繊維強化複合材料の製造方法を提供するも
のである。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の方法において用いられる
ガラス繊維束については特に制限はないが、一般的には
径6〜20μmのガラスフィラメント200〜2000
本からなるものが好適である。ガラスフィラメントの径
が6μm未満では樹脂の含浸性が不充分となるおそれが
あり、20μmを超えると得られる複合材料の強度が不
足する上、外観が低下する傾向がみられる。樹脂の含浸
性及び複合材料の強度や外観性などを考慮すると、この
ガラスフィラメントの径の特に好ましい範囲は、8〜1
8μmである。また、フィラメント数が200本未満で
は繊維束が多くなりすぎ、ガイドピンなどで分ける数も
増え、安定生産が困難になるおそれがあり、2000本
を超えるとガイドピンで繊維束同士を分けても一つの繊
維束の中で、フィラメント同士がループを形成しやすく
なり、好ましくない。安定生産及びフィラメント同士の
ループ形成防止などの面から、フィラメント数は、特に
500〜1500本の範囲が好ましい。本発明において
は、上記ガラス繊維束を、樹脂との濡れ性や接着性など
を良好なものとするために、表面処理剤で予め処理して
おいてもよい。この表面処理剤としては、例えばシラン
系,チタネート系,アルミニウム系,クロム系,ジルコ
ニウム系,ボラン系のカップリング剤などが挙げられる
が、これらの中でシラン系カップリング剤及びチタネー
ト系カップリング剤が好ましく、特にシラン系カップリ
ング剤が好適である。
【0007】このシラン系カップリング剤としては、例
えばトリエトキシシラン,ビニルトリス(β−メトキシ
エトキシ)シラン,γ−メタクリロキシプロピルトリメ
トキシシラン,γ−グリシドキシプロピルトリメトキシ
シラン,β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチ
ルトリメトキシシラン,N−β−(アミノエチル)−γ
−アミノプロピルトリメトキシシラン,N−β−(アミ
ノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラ
ン,γ−アミノプロピルトリエトキシシラン,N−フェ
ニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン,γ−メ
ルカプトプロピルトリメトキシシラン,γ−クロロプロ
ピルトリメトキシシランなどが挙げられる。これらの中
でもγ−アミノプロピルトリエトキシシラン,N−β−
(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシ
ランなどのアミノシラン類が好適である。該ガラス繊維
束を、上記表面処理剤で処理する方法については特に制
限はなく、従来慣用されている方法、例えば水溶液法,
有機溶媒法,スプレー法など、任意の方法を用いること
ができる。
【0008】本発明の方法において、前記ガラス繊維束
に接触させて含浸する熱可塑性樹脂としては特に制限は
なく、従来繊維強化複合材料に慣用されているものの中
から、任意のものを選択して用いることができる。この
熱可塑性樹脂としては、例えばエチレン;プロピレン;
ブテン−1;3−メチルブテン−1;3−メチルペンテ
ン−1;4−メチルペンテン−1などのα−オレフィン
の単独重合体やこれらの共重合体、あるいはこれらと他
の共重合可能な不飽和単量体との共重合体などのポリオ
レフィン系樹脂、あるいはポリスチレン系樹脂,ポリ塩
化ビニル系樹脂,ポリアミド系樹脂,ポリエステル系樹
脂,ポリアセタール系樹脂,ポリカーボネート系樹脂,
ポリ芳香族エーテル又はチオエーテル系樹脂,ポリ芳香
族エステル系樹脂,ポリスルホン系樹脂,アクリレート
系樹脂,フッ素系樹脂などが挙げられる。これらは一種
用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でポリオレフィン系樹脂が好ましく、このポ
リオレフィン系樹脂の例としては、高密度,中密度,低
密度ポリエチレンや、直鎖状低密度ポリエチレン,エチ
レン−酢酸ビニル共重合体,エチレン−アクリル酸エチ
ル共重合体などのポリエチレン系樹脂、プロピレン単独
重合体,プロピレン−エチレンブロック共重合体やラン
ダム共重合体,プロピレン−エチレン−ジエン化合物共
重合体などのポリプロピレン系樹脂、ポリブテン−1,
ポリ4−メチルペンテン−1などを挙げることができる
が、本発明においては、これらの中で、特にポリプロピ
レン系樹脂が好適である。
【0009】このポリプロピレン系樹脂は、特に制限は
なく、広範囲の分子量(メルトインデックス)のものが
使用できるが、長期耐熱安定性などの点から、メルトイ
ンデックス(MI)(温度230℃,荷重2.16kg)が
60g/10分以下のものが好ましく、特に30g/1
0分以下のものが好ましい。さらに、酸変性ポリオレフ
ィン系樹脂を含有するものは、界面強度が向上し、引張
強さなどが大幅に向上する上、繊維束への樹脂含浸性が
促進するので好適である。この酸変性ポリオレフィン系
樹脂に用いられるポリオレフィン系樹脂としては、例え
ばポリプロピレン、ポリエチレン,エチレン−α−オレ
フィン共重合ゴム,エチレン−α−オレフィン−非共役
ジエン系化合物共重合体(例えばEPDMなど),エチ
レン−芳香族モノビニル化合物−共役ジエン系化合物共
重合ゴムなどが挙げられる。また、上記α−オレフィン
としては、例えばプロピレン;ブテン−1;ペンテン−
1;ヘキセン−1;4−メチルペンテン−1などが挙げ
られ、これらは一種用いてもよく、二種以上を組み合わ
せて用いてもよい。これらのポリオレフィン系樹脂の中
では、ポリプロピレンやポリエチレンが好適であり、中
でもポリプロピレンが最も好ましい。
【0010】また、酸変性に用いられる不飽和カルボン
酸類としては、不飽和カルボン酸及びその誘導体が挙げ
られ、該不飽和カルボン酸としては、例えばアクリル
酸,メタクリル酸,マレイン酸,フマル酸,イタコン
酸,クロトン酸,シトラコン酸,ソルビン酸,メサコン
酸,アンゲリカ酸などが挙げられ、またその誘導体とし
ては、酸無水物,エステル,アミド,イミド,金属塩な
どがあり、例えば無水マレイン酸,無水イタコン酸,無
水シトラコン酸,アクリル酸メチル,メタクリル酸メチ
ル,アクリル酸エチル,アクリル酸ブチル,マレイン酸
モノエチルエステル,アクリルアミド,マレイン酸モノ
アミド,マレイミド,N−ブチルマレイミド,アクリル
酸ナトリウム,メタクリル酸ナトリウムなどを挙げるこ
とができる。これらの中で不飽和ジカルボン酸及びその
誘導体が好ましく、特に無水マレイン酸が好適である。
これらの不飽和カルボン酸やその誘導体は、前記ポリオ
レフィン系樹脂を変性する場合、一種用いてもよく、二
種以上を組み合わせて用いてもよい。また変性方法につ
いては特に制限はなく、従来公知の種々の方法を用いる
ことができる。例えば該ポリオレフィン系樹脂を適当な
有機溶媒に溶解し、不飽和カルボン酸やその誘導体及び
ラジカル発生剤を添加して攪拌、加熱する方法、あるい
は前記各成分を押出機に供給してグラフト共重合を行う
方法などを用いることができる。この変性ポリオレフィ
ン系樹脂としては、前記不飽和カルボン酸やその誘導体
の付加量が0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜1
0重量%の範囲にあるものがよく、特にマレイン酸付加
ポリプロピレンが好適である。
【0011】一方、本発明の方法において、前記ガラス
繊維束を接触処理するのに用いられる液状物としては、
ダイス内の溶融樹脂温度より高い沸点を有し、かつ使用
する熱可塑性樹脂に対し、悪影響を及ぼさないものであ
ればよく、特に制限されず、様々なものを使用すること
ができる。このような液状物としては、室温で液体状の
ものが好ましく、例えば流動パラフィン,プロセスオイ
ル,高沸点芳香族系オイルなどの石油系オイルや各種可
塑剤などの液状樹脂添加剤、液状ポリブテンなどのα−
オレフィンオリゴマーや液状ポリブタジエンなどの液状
樹脂、さらには高沸点溶剤,熱媒体などが挙げられる。
これらの液状物は、処理された後、一部は残存してダイ
ス内に入る。したがって、これらの液状物としては、ダ
イス内で含浸される溶融樹脂に混入しても、物性的にも
悪影響を与えることなく、また相溶性のあるものを使用
するのが好ましい。これらの中で流動パラフィンなどの
石油系オイルが好適である。これらの液状物は単独で用
いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてよい。この
液状物は、前記したように、ダイス内の溶融樹脂温度よ
り高い沸点を有することが必要であり、この沸点がダイ
ス内の溶融樹脂温度以下では、この液状物で接触処理さ
れたガラス繊維束を、ダイス内で溶融熱可塑性樹脂と接
触させる際に液状物の蒸発が起こり、ガラス繊維束への
樹脂の含浸性が低下する。
【0012】本発明の方法においては、複数のガラス繊
維束を連続的にダイス内に導き、溶融熱可塑性樹脂と接
触させる前に、予め該ガラス繊維束を前記液状物で接触
処理し、繊維束を濡らすとともに、繊維束中の空気を追
い出し、これにより熱可塑性樹脂の含浸性が向上するも
のと考えられる。具体的には、液状物中に複数のガラス
繊維束を通過させるか、又はロールコーターにて液状物
をガラス繊維束に塗布したのち、所望により、この繊維
束を圧縮ロール又はテンションバーなどに通し、ガラス
繊維束への液状物の含浸を促進するとともに、ガラス繊
維束中の空気を追い出す方法が好ましく用いられる。こ
の圧縮ロールなどの処理により、不必要な液状物を除く
とともに、その量を一定にすることができる。この操作
により、ダイス内での樹脂の含浸性が飛躍的に向上し、
高分子量の樹脂でも含浸が可能となる。なお、ロールコ
ーターを用いる場合、繊維束の引取り速度に対応して回
転速度を調節することにより、液状物をかきあげて繊維
束に濡らす量を調整する。
【0013】本発明の方法においては、連続生産を効率
よく行うために、複数のガラス繊維束を前記のようにし
て液状物で接触処理したのち、それぞれの繊維束が接触
しないように分離した状態で連続的にダイス内に導く処
置がとられる。このような処置を講じないと、液状物で
濡れた繊維束同士が接触し、ダイス内に導かれる前にル
ープを形成して、糸切れ(繊維切れ)が頻発し、連続生
産性が低下する。それぞれのガラス繊維束が接触しない
ように分離した状態で連続的にダイス内に導くには、ガ
イドピンを設けるのが有利である。このガイドピンは、
液状物中にガラス繊維束を通過させた後又はロールコー
ターで液状物をガラス繊維束に塗布した後に設けてもよ
いし、所望により設置される圧縮ロール又はテンション
バーの後に設けてもよく、またその両方に設けてもよ
い。さらに、これら以外に、必要ならば、液状物中にガ
ラス繊維束を通過させる前又はロールコーターで液状物
をガラス繊維束に塗布する前に設けることができる。
【0014】次に、このようにして処理されたガラス繊
維束を連続的にダイス内に導き、押出機より供給される
温度200〜300℃程度の溶融熱可塑性樹脂と接触さ
せたのち、ダイスから引出す。ダイスから引出されたス
トランドは冷却後、引取り機にて引き取ったのち、カッ
ターにより3〜100mm程度の長さに切断して、ペレ
ット化するのが好ましい。このペレットの長さが3mm
未満では補強効果が充分に発揮されないおそれがあり、
100mmを超えると成形中に噛み込みが悪くなり、安
定的な生産が困難となる場合がある。また、ダイスから
引出された繊維束を引き揃えて、板状や異形状とするこ
ともできる。このようにして得られた繊維強化複合材料
におけるガラス繊維と樹脂成分との含有割合は、ガラス
繊維が10〜90重量%で、樹脂成分が90〜10重量
%の範囲にあるのが好ましい。ガラス繊維の含有量が1
0重量%未満では繊維量が不足し、定量的に引出すこと
が困難であり、90重量%を超えると樹脂の含浸が困難
となる。樹脂の含浸性及び引出し性の面から、特にガラ
ス繊維が30〜80重量%で、樹脂成分が70〜20重
量%の範囲にあるのが好ましい。
【0015】本発明においては、必要に応じて、熱可塑
性樹脂に、種々の物性改良のために他の樹脂類,充填
剤,添加剤を含有させることもできる。たとえば、耐衝
撃改良剤として、エチレン−プロピレン共重合体ゴム,
ポリブタジエンゴム,スチレン−ブタジエン−スチレン
ブロック共重合体ゴム(SBS),SBSを水添したス
チレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合
体ゴム(SEBS)などのゴム類を添加することもでき
る。また、成型品の要求特性等を考慮して、金属粉,カ
ーボンブラック,グラファイト,タルク,マイカ,クレ
ー,炭酸カルシウム,シリカ,水酸化アルミニウム,水
酸化マグネシウム,硫酸カルシウム,ガラス繊維,チタ
ン酸カルシウムウィスカー,繊維状のマグネシウムオキ
シサルフェートなどの無機充填剤、架橋樹脂粉末などの
有機充填剤、結晶化促進剤、酸化防止剤(リン系,フェ
ノール系,硫黄系など)、中和剤、発泡剤、滑剤、分散
剤、過酸化物、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、耐
電防止剤、難燃剤、難燃助剤、可塑剤、エポキシ化合
物、金属不活性化剤、硫化亜鉛、酸化チタンなどの顔
料、染料などの添加剤を添加することもできる。このよ
うにして、得られたガラス繊維強化複合材料は、そのま
ま成形してもよく、同種又は類似の繊維を含まない樹
脂、あるいはまた他の樹脂とブレンドして成形してもよ
い。次に、図1及び図2は、それぞれ本発明の方法を説
明するための異なる例の説明図である。まず、ガラス繊
維束Aをガイドピン8aで分割して液状物1(図1)中
又はロールコーター9(図2)を通過させたのち、ガイ
ドピン8bで繊維束を分けて圧縮ロール2の間を通過さ
せる。さらに、ガイドピン8cにより、濡れた繊維束同
士が接触しないようにしてダイス3内に導き、押出機4
より供給される溶融熱可塑性樹脂と接触させる。次い
で、これをダイス3から引出し、ストランドを冷却水5
で冷却後、引き取りロール6にて引き取り、さらにペレ
タイザー7で所望の長さのペレットに切断する。なお、
図1及び図2において、圧縮ロール2及びガイドピン8
cは、必要により設けられるものであって、必須ではな
い。また、繊維束の数、ダイス出口孔の数などによって
は、ガイドピンは、複数段とすることもできる。
【0016】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説
明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定さ
れるものではない。 実施例1 フィラメント径13μm、フィラメント数600本のガ
ラス繊維束16本を引出し、ガイドピンで分割したの
ち、ロールコーターにて流動パラフィン(沸点358
℃、出光興産(株)製、商品名:ダフニーオイルCP5
0S)を濡らした。その後、さらにガイドピンにより、
濡れた繊維束同士が接触しないようにして、ダイス内に
導いた。ダイス内で、無水マレイン酸変性ポリプロピレ
ン2重量%を含むMIが30g/10分(温度230
℃,荷重2.16kg)の溶融ポリプロピレン(240
℃)を繊維束に含浸させ、引出し、冷却してガラス繊維
強化ポリプロピレン複合材料を製造した。引取り速度は
4m/分及び40m/分であった。また、得られた複合
材料は、ガラス繊維約65重量%を含有し、かつ径は2.
5mmであった。この複合材料をさらに長さ8mmのペ
レットに切断した。この複合材料の連続生産安定性につ
いて、下記の基準に従って評価した。
【0017】次に、引取速度40m/分で得られたペレ
ット60重量%とMIが60g/10分のポリプロピレ
ン40重量%をドライブレンドしたのち、射出成形にて
試験片を作製し、成形品中の未解繊の繊維束数,デュポ
ン式衝撃強さ,引張強さ及び熱変形温度(HDT)(高荷
重)を下記の要領に従って評価した。結果を第1表に示
す。 (1)連続生産安定性 ◎: 24時以上、繊維破断もなく安定して連続生産が
可能 ○: 12時間以上24時間未満で繊維が破断し、連続
生産が困難である △: 1時間以上12時間未満で繊維が破断し、連続生
産が不可能 ×: 1時間未満で繊維が破断し、連続生産が不可能 (2)成形品中の未解繊の繊維束数 140×140×2mmの平板を成形し、平板表面を目
視により未解繊繊維束を観察し、10個の平板の未解繊
繊維束の数の合計により示した。 (3)デュポン式衝撃強さ サンプル厚さ3mm、荷重2kg、撃芯1/4インチ、
受皿50mmφの条件で実施し、完全に破壊若しくは撃
芯から貫通する高さを求め、衝撃強さとして示した。 (4)引張強さ JIS K−7113に準拠して測定した。 (5)HDT(高荷重) JIS K−7287に準拠して測定した。
【0018】比較例1 実施例1において、ロールコーターにて流動パラフィン
を繊維束につけることをしなかった以外は、実施例1と
同様にして実施した。結果を第1表に示す。なお、3時
間で繊維の切断が発生し、連続生産は困難であった。 比較例2 実施例1において、ガイドピンを用いず、繊維束同士を
個々に分けなかったこと以外は、実施例1と同様にして
実施した。結果を第1表に示す。
【0019】実施例2 フィラメント径10μm、フィラメント数1050本の
ガラス繊維束16本を引出し、ガイドピンで分割したの
ち、流動パラフィン収容槽に通すことにより、流動パラ
フィンを含浸させた。その後、さらにガイドピンにより
繊維束を分けて、圧縮ロールに通し、含浸を促進したの
ち、ガイドピンにより、濡れた繊維束同士が接触しない
ようにして、ダイス内に導いた。ダイス内で、マレイン
酸変性ポリプロピレン2重量%を含むMIが10g/1
0分の溶融ポリプロピレン(250℃)を繊維束に含浸
させ、引出し、冷却してガラス繊維強化ポリプロピレン
複合材料を製造した。引取り速度は30m/分であっ
た。また、得られた複合材料は、ガラス繊維約40重量
%を含有し、かつ径は3mmであった。この複合材料を
さらに長さ12mmのペレットに切断した。得られたペ
レットを用い、射出成形にて試験片を作製し、性能を評
価した。結果を第1表に示す。なお、24時間連続生産
しても、繊維の切断は認められなかった。 比較例3 実施例2において、流動パラフィン収容槽を通さず、流
動パラフィンを繊維束につけることをしなかった以外
は、実施例2と同様にして実施した。結果を第1表に示
す。なお、4時間で繊維の切断が発生し、連続生産は困
難であった。
【0020】
【表1】
【0021】〔注〕なお、フィラメント径13μm、フ
ィラメント数3200本のガラス繊維束を用いて、実施
例1と同様にして実施したところ、連続生産安定性は、
引取り速度40m/分で△、4m/分で○であり、成形
品中の未解織の繊維数は37、デュポン式衝撃強さは2.
4kg・m、引張強さは155MPa、HDT(高荷
重)は162℃であった。
【0022】
【発明の効果】本発明によれば、ガラス繊維束に対する
樹脂の含浸性を高め、常用されている分子量レベルの樹
脂の使用を可能にし、かつ引取り速度を大幅に向上する
ことができるとともに、水性エマルジョン処理のよう
に、ダイスに導入する前に繊維束を乾燥処理する工程を
必要とせず、ガラス繊維強化複合材料を極めて生産性よ
く、連続的に製造することができる。本発明の方法で得
られたガラス繊維強化複合材料は、例えばインパネコ
ア,バンパービーム,ドアステップ,ルーフラック,リ
アクォターパネル,エアクリーナーケースなどの各種自
動車部品、その他コンクリートパネル,ケーブルトラフ
などに好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の方法の一例を説明するための工程概
略図である。
【図2】 本発明の方法の別の例を説明するための工程
概略図である。
【符号の説明】
1 :液状物 2 :圧縮ロール 3 :ダイス 4 :押出機 5 :冷却水 6 :引取りロール 7 :ペレタイザー 8a:ガイドピン 8b:ガイドピン 8c:ガイドピン 9 :ロールコーター A :ガラス繊維束
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新井 重治 東京都千代田区神田鍛冶町3丁目6番地3 旭ファイバーグラス株式会社内 (72)発明者 木村 勇政 東京都千代田区神田鍛冶町3丁目6番地3 旭ファイバーグラス株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数のガラス繊維束をダイス内に連続的
    に導き、溶融熱可塑性樹脂と接触させたのち、ダイスか
    ら連続的に引出し、冷却してガラス繊維強化複合材料を
    製造するに当たり、該複数のガラス繊維束をダイス内の
    溶融樹脂温度より高い沸点を有する液状物で接触処理し
    たのち、それぞれの繊維束が接触しないように分離した
    状態で連続的にダイス内に導くことを特徴とするガラス
    繊維強化複合材料の製造方法。
  2. 【請求項2】 複数のガラス繊維束を液状物で接触処理
    したのち、それぞれの繊維束が接触しないように、ガイ
    ドピンを介して分離した状態でダイス内に導く請求項1
    記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 個々のガラス繊維束が、ガラスフィラメ
    ント200〜2000本からなるものである請求項1記
    載の製造方法。
  4. 【請求項4】 溶融熱可塑性樹脂が、酸変性ポリオレフ
    ィン系樹脂を含有していてもよいポリプロピレン系樹脂
    である請求項1記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 液状物が、流動パラフィンを含有するも
    のである請求項1記載の製造方法。
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