JP4208337B2 - 無機繊維含有熱可塑性樹脂ペレットを用いた成形用材料、該成形用材料を用いた成形方法および成形品 - Google Patents

無機繊維含有熱可塑性樹脂ペレットを用いた成形用材料、該成形用材料を用いた成形方法および成形品 Download PDF

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、射出成形、押出成形などに用いることのできる無機(ガラス)繊維含有熱可塑性樹脂ペレットを用いた成形用材料に関する。詳しくは、製造、取り扱い性にすぐれ、溶融混練時の繊維破断が少なく、特に、強度、剛性にすぐれ、任意の見かけ密度の成形品の成形が可能である無機繊維含有熱可塑性樹脂ペレットを用いた成形用材料、成形方法および成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、熱可塑性樹脂の強度、剛性、耐熱性の向上のためにガラス繊維などの無機繊維を用いた強化方法が一般に行われている。強化方法としては、たとえばチョップドストランド状のガラス繊維を用いて単純ブレンドして溶融混練して得られるペレットが多用されている。しかし、このペレットを用いて射出成形した場合、最終成形品中のガラス繊維長さが実質的に0.5mm以下になり、ガラス繊維の強化効果を十分生かすことができていない。このため、ガラス繊維束を引抜きながら樹脂を含浸することによって、繊維が平行に配列したストランドとなし、これを切断することにより繊維を長く保った繊維強化ペレットが提案されている。
【0003】
これらの繊維強化ペレットとしては、ガラス繊維と熱可塑性樹脂との濡れ性が重要であり、たとえば、▲1▼特公昭63−37694号公報には、熱可塑性樹脂として、剪断速度がゼロの時、100Ns/cm2 よりも小さい溶融粘度を有するものを用いることが開示されている。また、熱可塑性樹脂としては、熱可塑性ポリエステル、ポリアミド、ポリスルフォン、ポリオキシメチレン、ポリプロピレン、ポリアリーレンサルファイド、ポリフェニレンオキシド/ポリスチレンブレンド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンなどの高強度、高性能な熱可塑性樹脂が例示されている。
【0004】
すなわち、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維などの無機繊維は、これらの繊維を配合することにより、マトリックスとなる樹脂の強度、剛性を強化することを目的とされている。このことは前記▲1▼特公昭63−37694号公報の記載を待つまでもなく、用いられる熱可塑性樹脂は、それ自体強度、剛性の高いエンジニアリングプラスチックとして分類される熱可塑性樹脂が主体である。したがって、他の樹脂としては、ポリプロピレン樹脂の開示があるのみである。
【0005】
ポリプロピレン系樹脂は、自動車分野を中心として、リサイクル性などの要望により多用されてきており、ガラス繊維による強化樹脂も用いらている。たとえば、▲2▼特開平8−259753号公報には、樹脂としてアタクチックポリプロピレン含有量が5wt%未満であるポリプロピレン樹脂と不飽和カルボン酸および/またはその無水物により変性された変性ポリプロピレン樹脂を用い、2〜50mmのガラス長繊維からなるペレットが開示され、強度と剛性が共にすぐれていることが示されている。
【0006】
また、これらのガラス繊維が互いに平行に配列した状態の長繊維ペレットを用いた成形品は、射出成形などにより成形する場合の溶融混練において、繊維の切断が生じ、最終成形品中の繊維長さが十分でない場合がある。また、強度、剛性にはすぐれるものの耐衝撃性が十分でない場合がある。このため、▲3▼特開平6−340784号公報、▲4▼特開平8−3396号公報には、エチレン系エラストマー、スチレン系エラストマーなどのエラストマーを配合することが開示されている。
【0007】
しかしながら、もともと、成形材料として長いガラス繊維を含有するペレットを用いるため溶融混練時の溶融粘度が高いことに加えて、これらのエラストマーの配合はさらに溶融流動性を悪化させる原因となっている。このため、大型成形品、薄肉成形品の成形が極めて困難となっている。このため、原料ペレットの長繊維の特徴を生かし、成形品中でのガラス繊維長を長く維持することが困難で、その応用分野が制限されているのが実情である。また、マトリックスとなる熱可塑性樹脂が高強度、高剛性では引き抜き成形後のストランドのペレット化の切断が困難で、切断粉の発生などの問題点もある。
【0008】
一方、射出成形で成形された無機繊維強化樹脂成形品は、強度や剛性を向上させるために、ガラス繊維などの繊維量を増やすと、成形品の重量が増大するとともに、ガラス繊維の配向による異方性のために反り変形が大きくなる傾向にある。このため、重量軽減のために、原材料に発泡剤を混入させ、成形品となる樹脂を発泡させながら成形を行う発泡射出成形方法が提案されている(特開平7−247679号公報)。この発泡射出成形方法では、軽量化を達成するために、かなりの量の発泡剤を用いても、十分な発泡倍率を得ることは容易でない。しかも、発泡倍率が十分得られたとしても、成形品にシルバーが発生するなど外観が損なわれるうえ、均一性に劣り、性能が十分確保できない場合がある。また、薄肉の成形品への適用が困難であり、その応用分野は大きく制限されているのが実情である。
【0009】
また、前記▲3▼特開平6−340784号公報には、エチレン系エラストマー、スチレン系エラストマー、特定の無機フイラーの併用とともに、密度が1.10g/cm3 以下の成形体が記載され、軽量成形体が発明の目的とされている。しかしながら、実施例から明らかなように、成形品の密度は、1.03〜1.10g/cm3 の範囲であり、ポリプロピレン系樹脂の密度より大幅に高いものであり、市場より望まれている軽量化とは程遠いものに過ぎない。
【0010】
これらの問題点を解消するものとして、強度、剛性および耐衝撃性等の機械的特性や外観品質を維持しつつ、軽量化を図るために、▲5▼国際公開 WO97/29896号公報には、比較的長い繊維を含有した繊維強化樹脂ペレットを用い、含有する繊維によりスプリングバック現象を発生させ、このスプリングバック現象で成形中の樹脂を膨張させ、軽量成形品を得る膨張成形方法が開示されている。この方法によれば、機械的特性を損なわずに、成形品の軽量化を充分達成できるので、繊維強化樹脂成形品の軽量化を図るのに有効であるといえる。
【0011】
上記▲5▼に示された成形方法では、幅広い膨張倍率の成形が可能であり、また、軽量化にもかかわらず、すぐれた曲げ強度、曲げ剛性、耐衝撃性を有するものである。これらの特性から幅広い分野への適用可能性を秘めている。しかしながら、用途によっては、より高いレベルの耐衝撃性を要求される分野がある。特に自動車などの部品にあっては、省エネルギー、省資源の見地から金属から樹脂への材料転換が急速に進んでいる。また、建築、土木材料にあっては木材の枯渇、耐久性、作業性の向上などから樹脂製の軽量化資材が求められている。さらに、省資源、廃棄物削減の社会的要請から、リサイクル可能な熱可塑性樹脂が注目されている。
【0012】
これら熱可塑性樹脂材料としては、主としてリサイクル性を考慮してポリプロピレン系樹脂あるいはこれにタルクなどの無機充填材やゴムなどの配合により、各種物性の向上が図られている。しかしながら、これらの材料では成形性と物性の両立のために、軽量化に自ずと限界があるのが実情である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来技術の欠点を克服し、無機繊維長がペレット長に略等しい無機繊維含有ペレットを用いた成形用材料の製造を容易にし、射出成形性の向上、成形品の耐衝撃性を高め、特に、射出あるいは射出圧縮成形において、成形金型キャビティを拡大して溶融樹脂を膨張させる膨張成形品の成形において、成形性、耐衝撃性などの物性バランスにすぐれた軽量成形品を得ることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ガラス繊維などの無機繊維と熱可塑性樹脂からなる長繊維ペレットにおいて、熱可塑性樹脂の選択について鋭意研究した結果、従来のマトリックス樹脂の強度、剛性の改良思想とは全く異なり、軟質の樹脂を用いた場合、ペレットの製造が容易であるばかりでなく、これを用いて繊維長を長く保って成形した成形品は、曲げ特性、衝撃特性、ウエルド強度など物性バランスにすぐれた成形品が得られること、特に、膨張成形で得られた軽量成形品でその効果が顕著であることを見いだした。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0015】
すなわち、本発明は、(1)不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性された変性熱可塑性樹脂を0.01〜10重量%含有する熱可塑性樹脂および互いに平行に配列されペレットとほぼ同一長を有する10〜90重量%の無機繊維を含み、長さが3〜100mmである無機繊維含有熱可塑性樹脂ペレット(A)30〜90重量%と、
熱可塑性樹脂(B)70〜10重量%とからなる成形用材料であって、
前記無機繊維含有熱可塑性樹脂ペレット(A)に含まれる熱可塑性樹脂および前記熱可塑性樹脂(B)は、それぞれ曲げ弾性率が100〜800MPa、融点が140〜170℃の軟質ポリプロピレン系樹脂である成形用材料
(2)上記(1)に記載の成形用材料を溶融混練し、成形金型キャビティに射出あるいは射出圧縮して成形する成形方法。
(3)上記(1)に記載の成形用材料を溶融混練し、成形金型キャビティに射出あるいは射出圧縮して充填後、成形金型キャビティ容積を拡大して膨張させる膨張成形方法。
(4)成形金型キャビティ容積の拡大開始後に溶融樹脂へガスを注入する上記(3)記載の膨張成形方法。
(5)上記(3)または(4)に記載の成形方法で成形されてなる無機繊維含有量が10〜60重量%、平均繊維長が2〜20mmである成形品。
(6)見かけ密度が0.2〜1.0g/cm 3 である上記(5)記載の成形品を提供するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下本発明について詳細に説明する。
本発明の無機繊維含有熱可塑性樹脂ペレットは、曲げ弾性率が50〜1,000MPaの熱可塑性樹脂と互いに平行に配列されペレットとほぼ同一長を有する10〜90重量%の無機繊維を含み、長さが3〜100mmである無機繊維含有熱可塑性樹脂ペレットである。本発明で用いられる熱可塑性樹脂としては、その曲げ弾性率が50〜1,000MPa、好ましくは100〜800MPaの範囲にあるところの、軟質熱可塑性樹脂である。ここで曲げ弾性率が50MPa未満であると強度、耐熱性が十分でなく、1,000MPaを越えると成形性、耐衝撃性などが十分でない場合がある。軟質熱可塑性樹脂としては、特に制限なく、たとえば、エチレン;プロピレン;ブテン−1などのオレフィンの単独重合体やこれらの共重合体、あるいはこれらと他の共重合可能な不飽和単量体との共重合体などのポリオレフィン系樹脂などが挙げられる。これらは一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0017】
これらの中で、ポリオレフィン系樹脂の例としては、高密度,中密度,低密度ポリエチレンや、直鎖状低密度ポリエチレン,エチレン−酢酸ビニル共重合体,エチレン−アクリル酸エチル共重合体などのポリエチレン系樹脂、プロピレン単独重合体,プロピレン−エチレンランダム共重合体,プロピレン−エチレン−ブテン−1ランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体などのポリプロピレン系樹脂などを挙げることができる。本発明においては、これらの中で、特にポリプロピレン系樹脂が好適である。このポリプロピレン系樹脂としては、アイソタクチック規則性の低いポリプロピレン系樹脂、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・ブテン−1ランダム共重合体、プロピレン・エチレンブロック共重合体などがある。
【0018】
また、本発明で用いられる軟質の熱可塑性樹脂としては、エチレン−プロピレンエラストマーなどのエラストマーの範疇に分類されるものであってもよいが、エラストマー特性にすぐれたものでないことが好ましい。一般の熱可塑エラストマーとして用いられるものは樹脂の溶融流動性の点から好ましくない。したがって、ポリプロピレン系樹脂であれば、結晶部を含有する樹脂が好ましい。
【0019】
中でも、エチレンまたはブテン−1などを0〜4重量%含有するポリプロピレン系樹脂が好ましい。しかしながら、一般のポリプロピレン樹脂は、曲げ弾性率が1,200MPa以上であり、従来ガラス繊維強化ポリプロピレン系樹脂に用いられていたのは、1,300MPa以上である。したがって、本発明で用いるポリプロピレン系樹脂は、特殊なポリプロピレン系樹脂であることが好ましい。
【0020】
たとえば、特開昭63−243106号公報、特開昭63−243107号公報、特開平2−255707号公報、特開平3−168234号公報、特開平7−173223号公報などに記載の製造方法で得られたポリプロピレン系樹脂、あるいは公知のシンジオタクチックポリプロピレン系樹脂などを用いることができる。
【0021】
特に、曲げ弾性率が100〜800MPa、融点が140〜170℃の範囲である軟質ポリプロピレン系樹脂が耐熱性の点から好ましく用いられる。以下、好ましい軟質ポリプロピレン系樹脂の例について述べる。軟質ポリプロピレン系樹脂としては、(イ)曲げ弾性率が100〜800MPa、(ロ)融点が140〜170℃のプロピレンの単独重合体、プロピレンと他のオレフィンとの共重合体またはこれらの混合物を例示できる。具体的には、(I)プロピレンの単独重合体及び/又は4重量%以下の他のオレフィン単位を含有する共重合体を用いてもよく、また、この(I)成分の樹脂と、(II)プロピレン以外のオレフィン単位10〜80重量%を含有するプロピレン系共重合体とからなる組成物を用いてもよい。
【0022】
しかしながら、特に好ましいところの軟質ポリプロピレン系樹脂(I)が前記の、(イ)曲げ弾性率と(ロ)融点に加えて、(ハ)同位体炭素核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)によるペンタッド分率において、rrrr/(1−mmmm)×100が10〜60%,(ニ)示差走査熱量分析計(DSC)にて測定した融解エンタルピー(ΔH)が10〜100J/gであるプロピレンの単独重合体及び/又は4重量%以下の他のオレフィン単位を含有する共重合体100〜20重量%と、(II)プロピレン以外のオレフィン単位10〜80重量%を含有するプロピレン系共重合体0〜80重量%、好ましくは0〜50重量%とからなるポリプロピレン系樹脂である。
【0023】
以下、本発明における、曲げ弾性率が50〜1,000MPaである、軟質ポリプロピレン系樹脂に関連する望ましい性状(イ)〜(ニ)について説明する。
まず、軟質ポリプロピレン系樹脂は、好ましくは(イ)曲げ弾性率が100〜800MPa、より好ましくは200〜700MPaである。100MPa未満では、強度、剛性が不十分であり、800MPaを越えると耐衝撃性、低温耐衝撃性が不十分となる。なお、曲げ弾性率はJIS−K7202に準拠して求めた値である。
(ロ)融点が140〜170℃、好ましくは150〜165℃である。ここで融点は、示差走査熱量分析計(DSC)にて測定した融解ピーク温度(Tm)である。融点が140℃未満では充分な耐熱性が得られない。この融点は、Perkin−Elmer社製DSC−7を用いて測定を行い、JIS K7121に準拠して融解ピークの温度として求めた値である。
【0024】
また、(I)成分であるプロピレンの単独重合体及び4重量%以下の他のオレフィン単位を含有する共重合体について、(ハ)同位体炭素核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)によるペンタッド分率において、rrrr/(1−mmmm)×100が10〜60%の範囲にあることが望ましい。この値が10%未満では耐熱性が不十分であり、また60%を超えると柔軟性が不十分である。これらの面から、好ましいrrrr/(1−mmmm)×100は15〜55%の範囲である。ここでrrrrとは任意の連続する5つのプロピレン単位で構成される炭素−炭素結合による主鎖に対して、側鎖である5つのメチル基が交互に反対方向に位置する立体構造あるいはその割合を意味し、mmmmとは任意の連続する5つのプロピレン単位で構成される炭素−炭素結合による主鎖に対して、側鎖である5つのメチル基がいずれも同方向に位置する立体構造あるいはその割合を意味する。
【0025】
なお、このrrrr/(1−mmmm)×100は、次のようにして測定した値である。すなわち、JNM−FX−200(日本電子社製,13C−核共鳴周波数50.1MHz)を用い、測定モード:プロトン完全デカップリング法,パルス幅:6.9μs(45°),パルス繰り返し時間:3s,積算回数:10000回,溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン/重ベンゼン(90/10容量%),試料濃度250mg/2.5ミリリットル溶媒,測定温度:130℃の条件にて、13C−NMR測定を行い、メチル基の立体規則性によるケミカルシフトの違いにより、すなわち、22.5〜19.5ppm領域に現れるmmmm〜mrrmの各ピークの面積強度比から、ペンタッド分率を測定し、rrrr/(1−mmmm)×100の値を求めた。
【0026】
さらに、上記(I)成分について、(ニ)DSCにて測定した融解エンタルピー(ΔH)が10〜100J/gであることが望ましい。ΔHが100J/gを超えると柔軟性が損なわれ、本発明の目的が達せられない場合がある。このΔHは、通常20〜100J/gの範囲である。なお、該ΔHは、Perkin−Elmer社製DSC−7を用いて測定を行い、JIS K−7122に準拠して、結晶融解時に吸収される総熱エネルギーとして求めた値である。なお、DSCによる融点、ΔHの測定における、昇温、降温速度は10℃/分である。
【0027】
また、上記(I)成分のプロピレンの単独重合体及び4重量%以下の他のオレフィン単位を含有する共重合体は、沸騰n−ヘプタン不溶分量が40〜95重量%の範囲にあるものが好ましい。この沸騰n−ヘプタン不溶分量が95重量%を超えると柔軟性が損なわれるおそれがあり、また、40重量%未満では充分な機械的強度が得られない傾向がみられる。柔軟性及び機械的強度のバランスの面から、より好ましい沸騰n−ヘプタン不溶分量は45〜93重量%の範囲である。なお、沸騰n−ヘプタン不溶分量は、ソックスレー抽出試験器を用い、沸騰n−ヘプタンで6時間抽出した後の抽出残分量から算出して得られた値である。
【0028】
軟質ポリプロピレン系樹脂において、上記(A)成分として用いられるポリプロピレン系樹脂は、メルトインデックス(MI)が0.5〜1,000g/10分、好ましくは2〜600g/10分の範囲にあるのが望ましい。このMIが0.5g/10分未満では成形が困難であり、また1,000g/10分を超えると得られる成形品の機械的物性が不充分となる場合がある。成形性及び成形品の機械的物性等のバランスの面から、より好ましいMIは5〜500g/10分の範囲である。なお、MIは、JIS K7210に準拠し、荷重2.16kg,温度230℃の条件で測定した値である。
【0029】
(I)成分又は(I)+(II)成分からなる軟質ポリプロピレン系樹脂は、例えば気相一段重合法,スラリー一段重合法,気相多段重合法,スラリー多段重合法,又はブレンド法等によって製造することができる。例えば、重合法によって製造する場合には、マグネシウム,チタン,ハロゲン原子及び電子供与体からなる固体触媒成分、及び必要に応じて用いられる結晶性ポリオレフィンから構成される固体成分と、有機アルミニウム化合物と、アルコキシ基含有芳香族化合物と、必要に応じて用いられる電子供与性化合物とからなる触媒系の存在下、プロピレンを単独重合又はプロピレンとその他のオレフィン類とを共重合させればよい。
【0030】
また、軟質ポリプロピレン系樹脂は、重合して得られた比較的高分子量のパウダーに過酸化物を添加し、押出機内で分解し低分子量化すると成形加工時の取扱が容易となる。この過酸化物により樹脂を分解し、低分子量化しても、その樹脂は、流動性が良好(MIの増大)になるのみで、上述したペンダッド分率、融解ピーク温度及び融解エンタルピーにはほとんど影響しない。過酸化物として、例えば、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)−ヘキサン、1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、又は2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等を混合し、所望により、酸化防止剤,安定剤,塩素捕捉剤を添加することができる。
【0031】
この軟質ポリプロピレン系樹脂には、所望により他の樹脂や各種添加剤成分、例えば各種安定剤,無機又は有機充てん剤,さらには帯電防止剤,塩素捕捉剤,アンチブロッキング剤,防曇剤,有機系難燃剤,難燃助剤,染料,顔料,天然油,合成油,ワックス等を配合することができる。
本発明に用いられる曲げ弾性率が、50〜1,000MPaの熱可塑性樹脂がガラス繊維などの無機繊維と良好な親和性、接着性を有さない場合には、不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性された変性熱可塑性樹脂、たとえば変性ポリオレフィン樹脂、特に変性ポリプロピレン系樹脂を含有することが好ましい。この変性ポリオレフィン樹脂は、ガラス繊維などの無機繊維と樹脂の界面強度を向上させ、引張強さなどが大幅に向上する上、繊維束への樹脂含浸性が促進するので好ましい。
【0032】
また、変性に用いられる不飽和カルボン酸としては、例えばアクリル酸,メタクリル酸,マレイン酸,フマル酸,イタコン酸,クロトン酸,シトラコン酸,ソルビン酸,メサコン酸,アンゲリカ酸などが挙げられ、またその誘導体としては、酸無水物,エステル,アミド,イミド,金属塩などがあり、例えば無水マレイン酸,無水イタコン酸,無水シトラコン酸,アクリル酸メチル,メタクリル酸メチル,アクリル酸エチル,アクリル酸ブチル,マレイン酸モノエチルエステル,アクリルアミド,マレイン酸モノアミド,マレイミド,N−ブチルマレイミド,アクリル酸ナトリウム,メタクリル酸ナトリウムなどを挙げることができる。これらの中で不飽和ジカルボン酸及びその誘導体が好ましく、特に無水マレイン酸、フマル酸が好適である。
【0033】
これらの不飽和カルボン酸やその誘導体は、前記ポリオレフィン系樹脂を変性する場合、一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また変性方法については特に制限はなく、従来公知の種々の方法を用いることができる。例えば該ポリオレフィン系樹脂を適当な有機溶媒に溶解し、不飽和カルボン酸やその誘導体及びラジカル発生剤を添加して攪拌、加熱する方法、あるいは前記各成分を押出機に供給してグラフト共重合を行う方法などを用いることができる。この変性ポリオレフィン系樹脂としては、前記不飽和カルボン酸やその誘導体の付加量が0.01〜20重量%、好ましくは0.02〜10重量%の範囲にあるものがよく、特に無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂が好適である。
【0034】
つぎに、本発明で用いる無機繊維としては、強度、剛性の高い連続繊維であれば特に制限はなく、ガラス繊維、炭素繊維、炭化珪素繊維、ステンレス繊維、銅繊維等の金属繊維等を例示できる。とくに、ガラス繊維が好ましく用いられる。ガラス繊維としては、E−ガラス、S−ガラスなどがあり、その径が3〜30μm、好ましくは6〜25μmの範囲にあるのが望ましい。この場合、繊維径が3μm未満では樹脂の含浸や取り扱いが困難になり、30μmを越えると成形品の外観や物性が低下することがある。熱可塑性樹脂との複合化に当たっては、通常、この複数のガラスフィラメントを集めた繊維束、いわゆるガラス繊維ロービングの形態で用いられる。
【0035】
本発明においては、上記ガラス繊維を、樹脂との濡れ性や接着性などを良好なものとするために、表面処理剤で予め処理しておいてもよい。この表面処理剤としては、例えばシラン系,チタネート系,アルミニウム系,クロム系,ジルコニウム系,ボラン系カップリング剤などが挙げられるが、これらの中でシラン系カップリング剤及びチタネート系カップリング剤が好ましく、特にシラン系カップリング剤が好適である。
【0036】
このシラン系カップリング剤としては、例えばトリエトキシシラン,ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン,γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン,γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン,β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン,N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン,N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン,γ−アミノプロピルトリエトキシシラン,N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン,γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン,γ−クロロプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。これらの中でもγ−アミノプロピルトリエトキシシラン,N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノシラン類が好適である。このガラス繊維を、上記表面処理剤で処理する方法については特に制限はなく、従来慣用されている方法、例えば水溶液法,有機溶媒法,スプレー法など、任意の方法を用いることができる。
【0037】
本発明の無機繊維含有熱可塑性樹脂ペレットの製造をガラス繊維の場合を例に説明する。前記ガラス繊維束として、樹脂の含浸性,樹脂との濡れ性や接着性、得られる複合材料の機械物性、コスト、取扱い性などの点から、繊維径6〜25μmのガラス繊維200〜3000本からなり、アミノシラン系カップリング剤で表面処理したものが好適に用いられる。次に、ガラス繊維束を、ダイス内に導き、押出機より供給される軟質の溶融熱可塑性樹脂と接触させたのち、ダイスから引出す。この際、ガラス繊維束を流動パラフインなどのダイス内の溶融樹脂温度以上の沸点を有する液状物質で処理することもできる。ダイスから引出されたストランドは冷却後、引取り機にて引き取ったのち、カッターにより3〜100mm、好ましくは5〜50mmの長さに切断し、ペレット化される。このペレットの長さが3mm未満では、成形品の補強効果が充分に発揮されないおそれがあり、100mmを超えると溶融混練成形機への供給において噛み込みが悪くなり、安定的に均一の成形品の生産が困難となる場合がある。
【0038】
本発明の無機繊維含有熱可塑性樹脂ペレットにおける繊維と樹脂成分との含有割合は、無機繊維が10〜90重量%で、軟質の熱可塑性樹脂成分が90〜10重量%の範囲にある。無機繊維の含有量が10重量%未満では繊維量が不足し、定量的に引出すことが困難となることがあり、樹脂量が多くなるためペレット形状を制御することが困難となる。また、90重量%を超えると樹脂の含浸が困難となる場合があり、ストランドの切断時にペレット割れが起こりやすくなり、無機繊維の脱落とともに、ペレットの形状を制御することが困難になる。樹脂の含浸性及び引出し性の面から、特にガラス繊維の場合にあっては、ガラス繊維が20〜85重量%であって、軟質の熱可塑性樹脂成分が80〜15重量%の範囲にあるのが好ましい。
【0039】
本発明においては、前記の無機繊維含有熱可塑性樹脂ペレット(A)を単独で成形材料とすることもできるが、通常は、該樹脂ペレット(A)と熱可塑性樹脂(B)との混合物を成形用材料とすることができる。ここで熱可塑性樹脂(B)としては、樹脂ペレット(A)の熱可塑性樹脂と同一、あるいは類似の樹脂、あるいは樹脂ペレット(A)の熱可塑性樹脂と相溶性ないし親和性を有する樹脂を用いることが好ましい。
【0040】
ここで熱可塑性樹脂(B)としては、樹脂ペレット(A)の樹脂と同様な軟質樹脂を用いることもできるが、従来無機繊維強化樹脂材料として用いられていた高強度、高剛性の樹脂を用いることもできる。樹脂ペレット(A)の樹脂、熱可塑性樹脂(B)には、必要に応じて、種々の物性改良のために他の樹脂、ゴム類,充填剤,添加剤を含有させることもできる。この場合の含有量は熱可塑性樹脂の一部を置き換えたものとする。添加物の例としては、たとえば、耐衝撃改良剤として、エチレン−プロピレン共重合体ゴム,ポリブタジエンゴム,スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体ゴム(SBS),SBSを水添したスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体ゴム(SEBS)などのゴム類を添加することもできる。しかしながら、本発明にあっては、一般的に軟質樹脂からなる無機繊維含有熱可塑性樹脂ペレット(A)を用いるものであり、耐衝撃性の更なる改良のためには、熱可塑性樹脂エラストマーの代わりに、軟質樹脂の曲げ弾性率の低いものを用いることが、特に成形性の観点から好ましい。
【0041】
また、成形品の要求特性、成形性等を考慮して、金属粉,カーボンブラック,グラファイト,タルク,マイカ,クレー,炭酸カルシウム,シリカ,水酸化アルミニウム,水酸化マグネシウム,硫酸カルシウム,ガラス短繊維,チタン酸カルシウムウィスカー,繊維状のマグネシウムオキシサルフェートなどの無機充填剤、架橋樹脂粉末などの有機充填剤、結晶化促進剤、酸化防止剤(リン系,フェノール系,硫黄系など)、中和剤、発泡剤、滑剤、分散剤、過酸化物、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、可塑剤、プロセスオイル、エポキシ化合物、金属不活性化剤、硫化亜鉛、酸化チタンなどの顔料、染料などの添加剤を添加することもできる。
【0042】
これら添加剤としては、各種安定剤、帯電防止剤、着色剤、核剤、過酸化物などを含有することができる。特に、長期的に安定した性能、さらにはリサイクルも考慮して、フェノール系、リン系、硫黄系などの酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤の含有が望ましい。これらの各種添加剤は、無機繊維含有成形材料中の樹脂に対して、重量として、通常酸化防止剤500〜8,000ppm、好ましくは1,000〜3,000ppm、光安定剤500〜10,000ppm、好ましくは1,000〜6,000ppm、紫外線吸収剤500〜10,000、好ましくは1,000〜6,000ppmである。これらの添加剤は、たとえばポリオレフィン樹脂を用いたマスターバッチとして添加される。
【0043】
また、熱可塑性樹脂(B)としては、ペレット状、粒子状、フレーク状など制限はないが、好ましくは溶融混練(添加剤含有含む)してペレット状としたものが好ましい。さらに、熱可塑性樹脂(B)として、従来一般に用いられていた曲げ弾性率が1,000MPaを越える高強度、高剛性の熱可塑性樹脂ペレットあるいは無機長繊維強化熱可塑性樹脂ペレットを用いることができる。これらの熱可塑性樹脂は、(A)成分と(B)成分の分子量、溶融粘度すなわちメルトインデックス(MI)などは任意に選定して用いることができる。(B)成分の熱可塑性樹脂の含有量は、成形用材料中の無機(ガラス)繊維量の調整、あるいは樹脂の混合による物性や溶融粘度の調整のために任意であり、通常10〜70重量%、好ましくは、20〜60重量%程度である。これらは、成分(A)中の無機繊維含有量を50重量%以上と比較的多くして、成形用材料中の無機繊維の含有量が10〜60重量%、好ましくは15〜50重量%の範囲になるように用いることが効率的である。
【0044】
本発明の成形用材料は、基本的には、(A)または、(A)+(B)成分からなるものである。しかし、必要により、例えば、膨張成形による軽量成形品の成形の場合には、膨張、特に初期の膨張を補助するために、0.01〜3重量%、好ましくは、0.1〜1重量%と少量の発泡剤を含有させることができる。
ここで、発泡剤の種類は、熱によりガスを発生するものであれば、限定されない。例えば、シュウ酸誘導体、アゾ化合物、ヒドラジン誘導体、セミカルバジド、アジド化合物、ニトロソ化合物、トリアゾール、尿素およびその関連化合物、亜硝酸塩、水素化物、炭酸塩ならびに重炭酸塩等が採用できる。さらに具体的に例示すれば、アゾジカルボンアミド(ADCA)、ベンゼンスルホヒドラジド、N,N−ジニトロペンタメチレンテトラミン、テレフタルアジド等が採用できる。発泡剤としては、これらの化学分解発泡剤のみでなく、樹脂の溶融加熱時に気体を発生するものであれば、水、アルコール、プロパン、ブタン、フッ素化合物、有機溶媒などの物理発泡剤を用いることもできる。これらの発泡剤はポリオレフィン樹脂などの熱可塑性樹脂に高濃度に溶融混入されたマスターバッチ(MB)として通常用いられる。
【0045】
本発明の成形用材料は、各種成形機により最終の成形品製造用の材料として用いられる。成形法としては、射出成形、射出圧縮成形、圧縮成形、押出成形など特に制限はないが、射出成形、射出圧縮成形、特に以下に示す射出膨張成形に好ましく用いられる。
以下、図面をもとに本発明の膨張成形方法を説明する。図1は、膨張成形方法の主要部である成形金型部の概念断面図を示す。図1において、1は固定金型、2は可動金型、3は成形金型キャビティ、4はスプルー、5は射出樹脂、6はガス注入管、7はガス排気管をそれぞれ示す。
【0046】
図1から明らかなように、本発明の膨張成形方法では、成形金型キャビティ3の容積を変化できることが必要である。通常は、金型開閉方向のキャビティ厚みを変化できるものである。すなわち、可動金型2を進退させる機能を有する射出成形装置が用いられる。この射出成形機としては、一般に射出圧縮成形が可能な成形機、あるいは、一般の射出成形機に可動金型移動装置が装備された射出成形装置が用いられる。
【0047】
本発明の膨張成形品の成形は、図1において、固定金型1に対して、可動金型2が前進して、可動金型2が鎖線で示す位置、すなわち、成形金型キャビティのクリアランスがD1となる位置まで前進する。ついで、無機(ガラス)繊維含有膨張成形用材料が、図示しないスクリュー装置により溶融混練・可塑化計量され、スプルー4から成形金型キャビティ3中に、成形金型キャビティクリアランスD2に相当する溶融樹脂5が射出される。このD2は、次工程における圧縮により成形金型キャビティ全体に充填、充満する量である。ここで、無機(ガラス)繊維含有膨張成形用材料の溶融混練は、無機(ガラス)繊維の破損を極力抑制する装置、条件が好ましく通常圧縮比2.5以下、好ましくは2以下である。
【0048】
前記無機(ガラス)繊維含有溶融樹脂の射出時、溶融樹脂の射出量は、溶融樹脂射出時の成形金型キャビティ容積の通常2/3以下であり、射出樹脂圧力は低く、また樹脂、無機(ガラス)繊維の配向は少ないか実質的に起こらない。溶融樹脂の射出開始後、通常数秒後に可動金型2が一点鎖線で示す位置、すなわち、成形金型キャビティクリアランスD2となる位置まで再度前進させることにより、溶融樹脂5を圧縮し成形金型キャビティに完全充填する。これにより、成形品の表面部は金型により冷却が開始されるとともに、金型表面は、微小な凹凸までも完全に転写される。表面がある程度冷却されスキン層が形成された後、可動金型2は、膨張成形品厚みである成形金型クリアランスD3の位置まで後退することにより膨張し、冷却することにより、膨張成形品が成形され、可動金型2を開放することにより、膨張成形品が取り出される。
【0049】
なお、図1には、圧縮による充填完了時に可動金型2が固定金型1に対して、可動可能なクリアランスCを残した場合を例示しているが、このクリアランスCを無くすることもできる。しかし、圧縮工程で溶融樹脂を金型キャビティ全体にまんべんなく行き渡らせるためには、あるレベルの規定圧力が作用するようになることが、成形品の外観などのために好ましい場合がある。また、前記圧縮工程においては、金型キャビテイ厚みを制御する場合の他、樹脂の圧縮力を制御する成形方式を採用することもできる。たとえば、後記する表皮材の一体成形の場合には、表皮材の種類により圧縮力を制御して、表皮材の損傷を防止するようにすることもできる。
【0050】
本発明の膨張成形方法は、基本的には前記方法であるが、可動金型2の後退開始後に、ガス注入管6から窒素ガスなどを注入することができる。このガスの注入は無機(ガラス)繊維による膨張を補助するとともに、膨張後において成形品を金型表面に押圧して、金型転写性、外観の向上に寄与する。さらに、注入ガスの圧力を必要によりある程度のレベルに制御しながら、排気管より排気しながら、膨張成形品内にガスを流通させることにより、成形品の冷却を促進することができる。このことは、空隙の形成により断熱状態となった膨張成形品を、外部金型により冷却しなければならない不都合に変えて、成形品の内部からの冷却を可能にするものであり、成形サイクルの改善に大きく寄与するものである。なお、注入ガスとしては、特に、制限はないが、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガスが好ましく用いられる。また、ガス圧力は、0.01〜20MPaの範囲、好ましくは、0.1〜5MPaの範囲で選定される。
【0051】
また、前記ガスとしては、通常は室温のガスであるが、温度が15℃以下、好ましくは、0℃以下の冷却用ガスを採用することもできる。この際に、揮発性の水などの液体を同伴させると、より冷却効果がよくなる。さらに、前記ガスは、前記溶融樹脂を可塑化して射出する射出装置のノズルの内部に設けられたガスノズル、または、前記金型の内部に設けられたスプル、ランナおよびキャビティのいずれかに開口されるガスノズル、ガスピンから、無機繊維含有溶融樹脂の内部へ注入することができる。これらのなかでも、金型に設けられたガスピン、特に、キャビティに開口されたガスピンから注入するのが好ましい。
【0052】
上記成形方法は、好ましい成形方法の例を示したが、成形品の形状、大きさなどによっては、溶融樹脂の射出充填方法として、圧縮工程を省くこともできる。しかし、前記したように、樹脂の配向、無機(ガラス)繊維の配向防止、溶融樹脂の充填の容易さ、金型転写性などから射出圧縮成形方法の採用が好ましい。
また、本発明の膨張成形方法では、前記金型に、成形品の表面を被覆一体化するための表皮材を、成形前に予め装着させることができる。このように、予め成形前に表皮材が装着された金型を用いれば、表面が表皮材で被覆一体化された膨張成形品が得られる。ここで、表皮材としては、織布や不織布等の布、熱可塑性樹脂シート、フイルム、合成皮革、熱可塑性樹脂の発泡シート、および、模様等が印刷されたフィルム等の単層材、ならびに、熱可塑性エラストマーや塩化ビニル樹脂等の表皮材に、熱可塑性樹脂や熱可塑性樹脂の発泡体シート等からまる裏地材を裏打ちした多層材が採用できる。なお、表皮材は成形品に全面被覆することもできるし、部分被覆することもできる。
【0053】
本発明の膨張成形品は、前記膨張成形方法により得られたものである。この膨張成形品は、表面には空隙のないスキン層を有し、また加圧下に冷却されるため微小凹凸や模様などが忠実に転写されている。また、リブやボスや成形品の端部まで忠実に賦形されている。また、中央部分は、無機(ガラス)繊維と樹脂が膨張して、通常連続した空隙が形成されている。この空隙は、無機(ガラス)繊維の含有量や繊維の長さ、膨張倍率などにより任意に制御できる。したがって、膨張倍率としては、軽量成形品の見かけ密度が、0.2〜1.0g/cm3 、好ましくは0.3〜0.8g/cm3 の範囲になるように、通常1.2〜6、好ましくは1.5〜5である。
【0054】
したがって、樹脂組成と膨張倍率で、用途に要求される見かけ密度、強度、剛性、耐衝撃性を考慮して組成、膨張倍率を選定できる。膨張成形品としては、板状ないしは板状部を主要部とする成形品が好ましい。本発明の膨張成形品は、高比重のガラス繊維を用いても、成形品は膨張により軽量化し、見かけ密度は大幅に低くなっている。しかも、見かけ密度が低く、しかも曲げ弾性率が50〜1,000MPaの軟質熱可塑性樹脂を含有しているにもかかわらず、高い曲げ強度、曲げ剛性、衝撃性をバランスよく有するものである。これは、ガラス繊維の絡み合いと表面と中間部の連続した空隙構造との複合構造によるものであり、従来の発泡剤によるガラス繊維含有軽量成形品とは、全く異質の成形品である。
【0055】
本発明の膨張成形品が、低い曲げ弾性率の軟質の樹脂を使用しているにもかかわらず、すぐれた機械的特性を有することは、全く予想外のことである。したがって、機械的物性以外に、さらに、断熱性、遮音性、さらには、表面のスキン層を音が透過する処理をすれば吸音性も有するものとなる。したがって、本発明の膨張成形品は、そのリサイクル性と相まって自動車の内装材、建材、土木など各種分野での省エネルギー、省資源化材料としての活用が期待される。
【0056】
【実施例】
次に、本発明の効果を具体的な実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
軟質ポリプロピレン系樹脂(FPP)の製造
▲1▼マグネシウム化合物の調整
内容積約5リットルの撹拌機付きガラス製反応器を窒素ガスで充分に置換した後、これにエタノール約2,430g、ヨウ素16g及び金属マグネシウム160gを仕込み、撹拌しながら加熱して、還流条件下で系内からの水素ガスの発生がなくなるまで反応させ、固体状反応生成物を得た。この固体状反応生成物を含む反応液を減圧下乾燥させることによりマグネシウム化合物を得た。
【0057】
▲2▼固体触媒成分(W)の調製
窒素ガスで充分に置換した内容積5リットルのガラス製反応器に、上記▲1▼で得られたマグネシウム化合物(粉砕していないもの)160g,精製ヘプタン800ミリリットル,四塩化ケイ素24ミリリットル及びフタル酸ジエチル23ミリリットルを仕込み、系内を80℃に保ち、撹拌しながら四塩化チタン770ミリリットルを加えて110℃で2時間反応させた後、固体成分を分離して90℃の精製ヘプタンで洗浄した。さらに、四塩化チタン1,220ミリリットルを加え、110℃で2時間反応させた後、精製ヘプタンで充分に洗浄し、固体触媒成分(W)を得た。
【0058】
ついで、内容積5リットルの攪拌機付き反応槽に精製ヘプタン2.3リットルを投入し、前記の固体触媒成分を250g、トリエチルアルミニウム12g、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン5gの割合で供給した。その後、プロピレンをプロピレン分圧で0.3kg/cm2 Gになるまで導入し、25℃で4時間反応させた。反応終了後、固体触媒成分を精製ヘプタンで数回洗浄し、更に二酸化炭素を供給し、24時間攪拌した。
【0059】
▲3▼気相重合
内容積200リットルの重合槽に、上記▲2▼で調整された固体触媒成分6.0g/時間、トリイソブチルアルミニウム(TIBA)0.15モル/時間、1−アリル−3,4−ジメトキシベンゼン(ADMB)0.0042モル/時間、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CHMDMS)0.012モル/時間、プロピレン43kg/時間で供給し、70℃,28kg/cm2 Gで重合を行った。ポリマーの生成量は30kg/時間であった。
【0060】
この重合で得られたポリマーの極限粘度〔η〕(135℃,デカリン中)は、4.6デシリットル/gであった。
また、上記ポリマーの沸騰n−ヘプタン不溶成分量は91.5重量%であり、該沸騰n−ヘプタン不溶成分の〔η〕は4.87デシリットル/g、沸騰n−ヘプタン可溶成分の〔η〕は1.70デシリットル/gであった。
【0061】
一方、該ホモポリマーの13C−NMRスペクトル(mmmm:0.749、rrrr:0.053)から算出したペンタッド分率rrrr/(1−mmmm)×100は21.1%であり、DSCにて測定した融点(融解ピーク温度)は160.0℃、融解エンタルピー(ΔH)は74.5J/gであった。なお、プロピレンの頭−尾間の結合に関する逆転結合はみられなかった。
【0062】
得られたパウダーに2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)−ヘキサンを混合し、これにさらに酸化防止剤,安定剤,塩素捕捉剤を添加して混合し、40mmφ押出成形機で押し出して、メルトインデックス(MI)〔230℃,2.16kg荷重〕が、10g/10分のペレットを得た。なお、上記ポリマーを過酸化物で分解して低分子量化したが、この低分子量化ポリマーにあっても、上述したペンタッド分率,融解ピーク温度及び融解エンタルピーに変化はなかった。このペレットからプレス成形により、厚み3mmのシートを成形し、このシートから幅10mmの短冊状試験片を切り出し、JIS K7203に準拠して、曲げ試験を行った。曲げ弾性率は、600MPaであった。
【0063】
実施例1
ガラス繊維(繊維径:13μm、繊維数600本からなるアミノシラン処理ガラス繊維束)を、沸点358℃の流動パラフィンで接触処理したあと、圧縮ロール間を通し、ついでこれをダイス内に導いた。ペレット中のガラス繊維の含有量が70重量%になるように、樹脂供給量、引き抜き速度を制御し、ダイス内で、前記軟質ポリプロピレン系樹脂(FPP):27重量%および無水マレイン酸変性ポリプロピレン:3重量%からなる樹脂溶融物(230℃)を接触含浸させたのち、ストランドとしてこれを引出し、引き取り冷却して切断し、長さ12mmのガラス繊維含有軟質ポリプロピレン系樹脂ペレットを得た。ガラス繊維含有軟質ポリプロピレンペレット(A)50重量%と軟質ポリプロピレン樹脂(FPP)50重量%をドライブレンドし、成形用材料とした。
【0064】
射出成形機は、型締力:450t、ガラス繊維の破断を極力少なくするために圧縮比:1.9のスクリューを用いた。成形金型は、400mm×200mm×厚み可変の板状成形品成形用金型(2等分した各中央部に2個のゲート)を用いた。成形金型キャビティの容積を変更できるように、可動金型を進退させるためのIPMユニット(出光石油化学株式会社製)を装備した金型構造を有する射出成形装置である。なお、金型には、キャビティ内への窒素ガスの注入、排気設備を設けた。
【0065】
成形用材料を溶融混練・可塑化計量した後、成形金型キャビティ厚みを、D1(2mm)にセットし、成形金型キャビティ厚み、D2(0.8mm)に相当する溶融樹脂を射出した。射出開始後に、可動金型を前進させ、金型キャビティ厚みD2(0.8mm)に相当するまで圧縮して溶融樹脂(樹脂温度:270℃)を金型キャビティ(金型温度:90℃)に充填した。圧縮充填終了2秒後に、可動金型を金型キャビティ厚みがD3(2.5mm)になるように後退させ膨張させた。可動金型後退開始2秒後に、ガスピンより1MPaの窒素ガスを樹脂中に注入した。その後25秒冷却して固化し、ガス排気後、金型を開放して板状膨張成形品を得た。板状膨張成形品は内部に大きな中空もなく、約3.1倍に膨張し、ヒケ、シルバーの発生なくスキン層を有する外観良好なものであった。成形品の評価結果を第1表に示す。
【0066】
なお、評価方法を下記に示す。
(1)ガラス繊維含有量(重量%):試験片灰化後重量を測定。
(2)平均ガラス繊維長:試験片を灰化後、万能投影機で倍率10倍で直接撮影し、その画像を用いてデジタイザーにて平均ガラス繊維長を求めた。
(3)見かけ密度(g/cm3):成形品の重量(g)/成形品の容積(cm3
(4)面密度(g/cm2):成形品の重量(g)/成形品の投影面積(cm2
(5)曲げ試験:成形品から、160mm×50mm×厚みからなる曲げ試験用試験片を切り出し、支点間距離80mmの三点曲げ試験を試験速度10mm/分、室温(23℃)で行うことにより測定した。
(6)デュポン衝撃強さ:荷重=1kg、撃芯=1/2インチR、受皿=50mm径。
(7)ウエルド強度:ウエルド部を中心線とした(5)の曲げ試験の最高荷重。
【0067】
実施例2
実施例1において、ガラス繊維含有軟質ポリプロピレン系樹脂ペレット(A)40重量%、軟質ポリプロピレン樹脂(FPP)60重量%をドライブレンドし、成形用材料とした。
成形用材料を溶融混練・可塑化計量した後、成形金型キャビティ厚みを、D1(3mm)にセットし、成形金型キャビティ厚み、D2(2mm)に相当する溶融樹脂を射出した。射出開始後に、可動金型を前進させ、金型キャビティ厚みD2(2mm)に相当するまで圧縮して溶融樹脂(樹脂温度:250℃)を金型キャビティ(金型温度:50℃)に充填した。その後30秒冷却して固化し、金型を開放して板状成形品を得た。板状成形品は中実でヒケ、シルバーの発生なくスキン層を有する外観良好なものであった。成形品の評価結果を第1表に示す。
【0068】
実施例3
実施例1において、ガラス繊維含有軟質ポリプロピレンペレット(A)50重量%、およびホモポリプロピレン樹脂ペレット〔引張弾性率=1,500MPa、融点(Tm)=166℃、MI(230℃、2.16kg荷重)=300g/10分〕50重量%をドライブレンドし、成形用材料とした。
【0069】
成形用材料を溶融混練・可塑化計量した後、成形金型キャビティ厚みを、D1(2mm)にセットし、成形金型キャビティ厚み、D2(0.8mm)に相当する溶融樹脂を射出した。射出開始後に、可動金型を前進させ、金型キャビティ厚みD2(0.8mm)に相当するまで圧縮して溶融樹脂(樹脂温度:250℃)を金型キャビティ(金型温度:80℃)に充填した。圧縮充填終了2秒後に、可動金型を金型キャビティ厚みがD3(2.5mm)になるように後退させ膨張させた。金型後退開始2秒後に、ガスピンより1MPaの窒素ガスを樹脂中に注入した。その後30秒冷却して固化し、ガス排気後、金型を開放して板状膨張成形品を得た。板状膨張成形品は内部に大きな中空もなく、約3.1倍に膨張し、ヒケ、シルバーの発生なくスキン層を有する外観良好なものであった。成形品の評価結果を第1表に示す。
【0070】
比較例1
ガラス繊維(繊維径:13μm、繊維数600本からなるアミノシラン処理ガラス繊維束)を、沸点358℃の流動パラフィンで接触処理したあと、圧縮ロール間を通し、ついでこれをダイス内に導いた。ペレット中のガラス繊維の含有量が70重量%になるように、樹脂供給量、引き抜き速度を制御し、ダイス内で、ホモポリプロピレン樹脂〔引張弾性率=1,500MPa、融点=166℃、MI(230℃、2.16kg荷重)=30g/10分〕:27重量%および無水マレイン酸変性ポリプロピレン:3重量%からなる樹脂溶融物(230℃)を接触含浸させたのち、ストランドとしてこれを引出し、引き取り冷却して切断し、長さ12mmのガラス繊維含有ポリプロピレン系樹脂ペレットを得た。ガラス繊維含有ポリプロピレン系樹脂ペレット50重量%、およびホモポリプロピレン樹脂ペレット〔引張弾性率=1,500MPa、融点(Tm)=166℃、MI(230℃、2.16kg荷重)=300g/10分〕50重量%をドライブレンドし、成形用材料とした以外は実施例3と同様にして、膨張成形品を得た。板状膨張成形品は内部に大きな中空もなく、約3倍に膨張し、ヒケ、シルバーの発生なくスキン層を有する外観良好なものであった。評価結果を第1表に示した。
【0071】
比較例2
実施例1おいて、成形材料として、軟質ポリフロピレン樹脂(FPP)65重量%と、ガラス繊維チョップドストランド(繊維径:13μm、繊維長:3mm)35重量%を押出成形機で溶融混練して得たペレットを用い、窒素ガスを注入しなかった以外は、実施例1に準じて成形した。なお、ペレット中の平均ガラス繊維長は、0.43μmであった。成形品は膨張せず、表面ヒケが著しいものであった。評価結果を第1表に示す。
【0072】
【表1】
Figure 0004208337
【0073】
【発明の効果】
本発明の無機繊維含有熱可塑性樹脂ペレット、成形用材料は製品剛性の低下を最小限に止め、衝撃強度、特に実用的に重要なデュポン衝撃強さにすぐれる成形品が得られる。また、成形方法として成形金型キャビティ内の樹脂を膨張倍率約3倍とし、膨張成形する軽量成形品においてすぐれた物性を有する。また、一般の熱可塑性エラストマーの配合による耐衝撃性の改良に比較して、溶融流動性にすぐれ、薄肉成形品の成形が容易となる。また、熱可塑性エラストマーの場合にはウエルド強度が低下する傾向にあるが、本願の軟質樹脂を用いた場合は、高いウエルド強度を示し、大型成形品や複雑な成形の成形に適する。さらに、軟質樹脂として特定の高融点ポリプロピレン系樹脂を用いることにより、成形品の耐熱性は実質的にホモポリプロピレン樹脂に準じるものとなる。また、溶融粘度の低下も可能なことから、例えば膨張成形された膨張成形品の場合、金型転写性よく、外観良好な軽量な成形品が得られる。膨張成形品は見かけ密度が低いにもかかわらず、すぐれた強度、剛性が得られるとともに、これらの物性を実質的に維持して、耐衝撃性、ウエルド強度が大幅に向上する。したがって、自動車部品、建材などの軽量化、ひいては省資源、省エネルギーに貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の膨張成形方法の主要部である成形金型部の概念断面図を示す。
【符号の説明】
1:固定金型
2:可動金型
3:成形金型キャビティ
4:スプルー
5:射出溶融樹脂
6:ガス注入管
7:ガス排出管

Claims (6)

  1. 不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性された変性熱可塑性樹脂を0.01〜10重量%含有する熱可塑性樹脂および互いに平行に配列されペレットとほぼ同一長を有する10〜90重量%の無機繊維を含み、長さが3〜100mmである無機繊維含有熱可塑性樹脂ペレット(A)30〜90重量%と、
    熱可塑性樹脂(B)70〜10重量%とからなる成形用材料であって、
    前記無機繊維含有熱可塑性樹脂ペレット(A)に含まれる熱可塑性樹脂および前記熱可塑性樹脂(B)は、それぞれ曲げ弾性率が100〜800MPa、融点が140〜170℃の軟質ポリプロピレン系樹脂である成形用材料。
  2. 請求項に記載の成形用材料を溶融混練し、成形金型キャビティに射出あるいは射出圧縮して成形する成形方法。
  3. 請求項に記載の成形用材料を溶融混練し、成形金型キャビティに射出あるいは射出圧縮して充填後、成形金型キャビティ容積を拡大して膨張させる膨張成形方法。
  4. 成形金型キャビティ容積の拡大開始後に溶融樹脂へガスを注入する請求項記載の膨張成形方法。
  5. 請求項またはに記載の成形方法で成形されてなる無機繊維含有量が10〜60重量%、平均繊維長が2〜20mmである成形品。
  6. 見かけ密度が0.2〜1.0g/cm3である請求項記載の成形品。
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