JP2012000982A - 有機繊維強化ポリオレフィン樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

有機繊維強化ポリオレフィン樹脂成形体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】長い有機繊維を用いて成形体を製造する場合であっても繊維塊の発生を抑制した有機繊維強化ポリオレフィン樹脂成形体の製造方法を提供すること。
【解決手段】残存する有機繊維の重量平均繊維長が4mm以上であり、成形体の厚みが3mm以下の有機繊維強化ポリオレフィン樹脂成形体の製造方法であって、前記有機繊維強化ポリオレフィン樹脂を溶融する溶融工程、溶融された前記有機繊維強化ポリオレフィン樹脂を一対の金型で構成する金型キャビティ内へキャビティクリアランスを変化させながら供給し充填する充填工程、および、前記有機繊維強化ポリオレフィン樹脂を冷却して、前記金型から取り出す取出工程、を含み、上記充填工程において、式(1)を満たす。
0.2≦C/L≦1.0 (1)
Cは、上記充填工程における前記キャビティクリアランスの最大値(mm)を表し、Lは、溶融工程前の前記樹脂中の有機繊維の重量平均繊維長(mm)を表す。
【選択図】 図1

Description

本発明は有機繊維強化ポリオレフィン樹脂成形体の製造方法に関するものである。
ポリオレフィン樹脂および繊維を含む繊維強化ポリオレフィン樹脂からなる成形体は、剛性に優れるため、様々な分野で用いられている。最近では従来のガラス繊維等に代表される無機繊維だけではなく、有機繊維を用いることも検討されている。
ポリオレフィン樹脂および有機繊維を含む繊維強化ポリオレフィン樹脂を用いて成形体を製造する場合、使用する有機繊維の長さが長くなるほど得られる成形体の機械強度は大きくなるが、繊維強化ポリオレフィン樹脂を成形する工程において有機繊維が絡まりあい糸玉状の繊維塊が発生しやすくなる。繊維塊が発生すると、得られる成形体の強度がばらついたり、得られる成形体の外観が悪くなったりすることがある。
繊維塊の発生を抑制する方法として特許文献1には、樹脂および有機繊維を含み、さらに任意に繊維の延伸力を増すための材料を含む樹脂組成物を延伸する方法が開示されている。
特開2007−245348号公報
しかしながら、特許文献1に記載の繊維を延伸することによって繊維塊の発生を抑制する方法は、1mm程度の比較的短い繊維を用いる場合には有効であるが、長い繊維を用いる場合には十分な効果は得られなかった。
本発明は、比較的長い有機繊維とポリオレフィン樹脂とを含む有機繊維強化ポリオレフィン樹脂を用いて成形体を製造する場合であっても繊維塊の発生を抑制し、外観良好な成形体を得ることができる有機繊維強化ポリオレフィン樹脂成形体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の上記課題は、以下の手段<1>により解決された。
<1> 残存する有機繊維の重量平均繊維長が4mm以上であり、成形体の厚みが3mm以下の有機繊維強化ポリオレフィン樹脂成形体の製造方法であって、前記方法が以下の工程(1)〜(4)を含み、
(1)ポリオレフィン樹脂と、重量平均長が4mm以上である有機繊維とを含む有機繊維強化ポリオレフィン樹脂を準備する準備工程、
(2)前記有機繊維強化ポリオレフィン樹脂を溶融して溶融有機繊維強化ポリオレフィン樹脂を得る溶融工程、
(3)溶融有機繊維強化ポリオレフィン樹脂を、一対の、相対的に互いに接近および離反可能な金型で形成されていて、それらの間に可変のキャビティクリアランスを有する金型キャビティ内へ充填する充填工程、
および、
(4)充填された前記溶融有機繊維強化ポリオレフィン樹脂を冷却して有機繊維強化ポリオレフィン樹脂成形体を形成し、該有機繊維強化ポリオレフィン樹脂成形体を前記金型キャビティから取り出す取出工程、
充填工程において、式(I)の関係を満たすことを特徴とする有機繊維強化ポリオレフィン樹脂成形体の製造方法。
0.20≦C/L≦1.0 (I)
式中、Cは、上記充填工程における、前記キャビティクリアランスの最大値(mm)を表し、Lは、準備工程から得られる有機繊維強化ポリオレフィン樹脂中の有機繊維の重量平均長(mm)を表す。
なお、「有機繊維強化ポリオレフィン樹脂」とは、有機繊維と、ポリオレフィン樹脂とを含む、有機繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物を意味する。
本発明によれば、比較的長い有機繊維とポリオレフィン樹脂からなる有機繊維強化ポリオレフィン樹脂を用いて成形体を製造した場合であっても繊維塊の発生を抑制し、外観良好な成形体を得ることができる有機繊維強化ポリオレフィン樹脂成形体の製造方法を提供することができた。
本発明の方法に用いられる金型の、成形面と垂直方向の断面図である。 本発明の製造方法の工程を示す、金型の成形面と垂直方向の断面図である。 本発明の製造方法の工程を示す、金型の成形面と垂直方向の断面図である。 本発明の製造方法の工程を示す、金型の成形面と垂直方向の断面図である。
以下、本発明に係る製造方法の好適な実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、同一の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。また、図面に示すように、X軸およびY軸は金型の成形面と垂直な水平面上で互いに90度をなし、以下必要な場合にX軸およびY軸を用いて説明する。
[金型]
本発明で用いられる一対の金型は、相対的に互いに接近および離反可能である。両方の金型が可動であってもよい。
図1〜4に示す金型Mは、射出成形用の一対の金型であり、固定側金型2と、可動側金型1とを有している。以下、本発明に用いられる金型について図を用いて説明する。
可動側金型1および固定側金型2は、X軸方向に対向して配置されている。可動側金型1と固定側金型2とが接していない状態から、可動側金型1を固定側金型2の方へ動かして、可動側金型1を固定側金型2に接触させることによって、これら金型によって金型キャビティ3が形成される。可動側金型1は、図示しない型開閉機構によりX軸方向に往復動する。図2に示した固定側金型2と可動側金型1とが接触を開始した状態から、可動側金型1を固定側金型2の方へ動かすことによって、金型キャビティ3は小さくなる。キャビティクリアランスは、固定側金型2の成形面と、該成形面と対向する可動側金型1の成形面との距離である。キャビティクリアランスは、可動側金型を動かすことによって可変である。
図1では、固定側金型2と可動側金型1とが型締めされている。固定側金型2と可動側金型1とが型締めされたときにこれら金型によって形成される金型キャビティ3は、所望の成形体の形状に対応する。
固定側金型2には、溶融有機繊維強化ポリオレフィン樹脂(以下、単に「溶融樹脂」ともいう。)を金型キャビティ3に供給するためのゲート部4が設けられており、ゲート部4は溶融樹脂供給通路5に接続されている。溶融樹脂供給通路5の先端部には、その通路を遮断できるバルブピン6等の開閉機構が設けられている。バルブピン6は、X軸方向に往復運動可能であり、溶融樹脂7の供給時にはバルブピン6を後退させて溶融樹脂7の流路を確保し、溶融樹脂7の供給完了後にバルブピン6を前進させて溶融樹脂7の流路を遮断することができる。バルブピン6は油圧や空気圧、電動等の駆動源(図示せず)により駆動する。それぞれがバルブピン6を備えたゲート部4を2以上有する金型を用いる場合、各バルブピンの動作を制御することによって、各ゲート部4から金型キャビティ3へ溶融樹脂を供給するタイミングを自在に制御することができる。
ゲート部4の出口におけるゲート部4の面積は7mm2以上、50mm2以下であることが好ましい。面積が上記の範囲内であると、溶融樹脂を金型キャビティ内に供給するときに、溶融樹脂中に含有されている有機繊維の切断が防止され、かつ、成形体を取り出した後、成形体の製品部からゲート部をカットしやすい。
ゲート部4の設置場所や数は、製造する成形体の形状や大きさによって適宜決定される。なお、この例ではX軸方向に可動なように金型が配置されているが、Y軸方向に可動なように金型が配置されていてもよい。
[成形体の製造方法]
このような金型を用いて有機繊維強化ポリオレフィン樹脂成形体を製造する方法を説明する。
本発明の方法は、残存する有機繊維の重量平均繊維長が4mm以上であり、成形体の厚みが3mm以下の有機繊維強化ポリオレフィン樹脂成形体の製造方法であって、前記方法が以下の工程(1)〜(4)を含み、
(1)ポリオレフィン樹脂と、有機繊維とを含む有機繊維強化ポリオレフィン樹脂を準備する準備工程、
(2)前記有機繊維強化ポリオレフィン樹脂を溶融して溶融有機繊維強化ポリオレフィン樹脂を得る溶融工程、
(3)溶融有機繊維強化ポリオレフィン樹脂を、一対の、相対的に互いに接近および離反可能な金型で形成されていて、それらの間に可変のキャビティクリアランスを有する金型キャビティ内へ充填する充填工程、
および、
(4)充填された前記溶融有機繊維強化ポリオレフィン樹脂を冷却して有機繊維強化ポリオレフィン樹脂成形体を形成し、該有機繊維強化ポリオレフィン樹脂成形体を前記金型キャビティから取り出す取出工程、
前記充填工程において、式(I)の関係を満たすことを特徴とする。
0.20≦C/L≦1.0 (I)
[式中、Cは、上記充填工程における、前記キャビティクリアランスの最大値(mm)を表し、Lは、準備工程から得られる有機繊維強化ポリオレフィン樹脂中の有機繊維の重量平均長(mm)を表す。]
準備工程は、ポリオレフィン樹脂と、重量平均長が4mm以上である有機繊維とを含む有機繊維強化ポリオレフィン樹脂を準備する工程である。準備工程については、後述する。
溶融工程について説明する。溶融工程は、有機繊維強化ポリオレフィン樹脂を溶融して溶融有機繊維強化ポリオレフィン樹脂を得る工程である。
溶融工程では、スクリュを備える溶融装置を用いることが好ましい。溶融工程において、有機繊維の折損を抑制するため、溶融装置内のスクリュは深溝で圧縮比の小さいスクリュであることが好ましい。
溶融工程において有機繊維の折損を抑制するためには、スクリュ回転数や背圧を低くすることや、有機繊維強化ポリオレフィン樹脂を溶融するときの温度を低くすることが好ましい。ここで、「溶融」とは、「可塑化」と同義であり、加熱と機械的操作により有機繊維強化ポリオレフィン樹脂を成形可能な状態まで柔軟にすることをいう。
具体的には、有機繊維強化ポリオレフィン樹脂を溶融する温度は、有機繊維強化ポリオレフィン樹脂中のポリオレフィン樹脂の融点以上であって、有機繊維の融点をTm(℃)とするとき、(Tm−30)℃以下であることが好ましく、170℃〜220℃であることがより好ましく、180℃〜200℃であることが特に好ましい。有機繊維強化ポリオレフィン樹脂を溶融するときの上限温度を、上記のように、(Tm−30)℃以下の温度とすることにより、溶融装置内において有機繊維強化ポリオレフィン樹脂を可塑化する場合や溶融有機繊維強化ポリオレフィン樹脂を金型キャビティ内に供給する場合に有機繊維の切断を防止することができる。そのため、ポリオレフィン樹脂および残存する有機繊維の重量平均繊維長が4mm以上である有機繊維を含む有機繊維強化ポリオレフィン樹脂成形体を得ることができる。該成形体は、強度に優れる。
次に、充填工程について説明する。充填工程は、溶融有機繊維強化ポリオレフィン樹脂を、一対の、相対的に互いに接近および離反可能な金型で形成されていて、それらの間に可変のキャビティクリアランスを有する金型キャビティ内へ充填する工程である。
金型キャビティ内へ溶融樹脂を供給するときの金型温度は、好ましくは10℃〜100℃、より好ましくは30℃〜80℃、特に好ましくは50℃〜70℃である。
充填工程は、2つの態様に代表される。
一つの態様における充填工程を、充填工程(A)と称する。充填工程(A)は、キャビティクリアランスがCであるときに金型キャビティに前記溶融樹脂の供給を開始し、前記溶融樹脂を供給しながら、または供給完了後に、前記金型を型締めする工程である。ここでCは、充填工程におけるキャビティクリアランスの最大値を表し、後述する式(I)を満たす。溶融樹脂を供給しながら可動側金型を固定側金型の方へ動かして金型を型締めしてもよく、溶融樹脂の供給を完了した後に、可動側金型を固定側金型の方へ動かして金型を型締めしてもよい。図2は、キャビティクリアランスがCであるときに、溶融樹脂7を金型キャビティ3内に供給を開始した状態を示す。
他の態様における充填工程を、充填工程(B)と称する。充填工程(B)は、キャビティクリアランスがCより小さいときに金型キャビティに溶融樹脂の供給を開始し、前記溶融樹脂を供給しながら前記キャビティクリアランスがCになるまで金型を相対的に互いに離反するように移動し、更に前記溶融樹脂を供給しながら、または供給完了後に、前記金型を型締めする工程である。溶融樹脂を供給しながら可動側金型を固定側金型の方へ動かして金型を型締めしてもよく、溶融樹脂の供給を完了した後に、可動側金型を固定側金型の方へ動かして金型を型締めしてもよい。
図4は、キャビティクリアランスがCより小さいときに、溶融樹脂7を金型キャビティ3内に供給を開始した状態を示す。
充填工程(B)において、前記溶融樹脂7の供給を開始するときのキャビティクリアランスは特に制限はないが、溶融樹脂をキャビティに供給する前に型締めしたときのキャビティクリアランスよりも大きいことが好ましく、より好ましくは1mm以上である。キャビティクリアランスが1mm以上である場合は、前記溶融樹脂に負荷されるせん断力が大きくなりすぎないため、繊維塊が発生しにくい。また溶融樹脂の供給を開始するときのキャビティクリアランスは、キャビティクリアランスの最大値C(mm)未満であればよい。
このようにキャビティクリアランスがCよりも小さいときに溶融樹脂の供給を開始することによって、ゲート周辺における外観がより優れる成形体を得ることができる。
充填工程(B)において、溶融樹脂の供給を開始した後、溶融樹脂の供給を継続しながらキャビティクリアランスをCまで拡大する(図2)。キャビティクリアランスを拡大する方法としては、射出成形機の型締め装置を用いて機械的に可動側金型を固定側金型から離反するように動かしてキャビティクリアランスを拡大する方法や、使用する型締め装置の型締め力を溶融樹脂の供給圧力によって若干可動側金型が固定側金型から離反するように動く程度に低く設定しておき、溶融樹脂の供給圧力によりキャビティクリアランスを拡大する方法が挙げられる。
機械的に可動側金型を動かしてキャビティクリアランスを拡大する場合の可動側金型の速度は0.5mm/秒以上、20mm/秒以下が好ましい。この範囲内であると、成形サイクルが長くならない。また、キャビティ内に供給された溶融樹脂が、キャビティクリアランスの拡大に伴って膨張するので、得られる成形体表面に光沢ムラ等の外観不良が発生しにくい。キャビティクリアランスを拡大する速度は、途中で減速や増速してもよい。
キャビティクリアランスの拡大を停止するタイミングは、供給する予定の溶融樹脂の全量を供給した後であっても、供給する予定の溶融樹脂を供給している途中であっても構わないが、溶融樹脂を供給しながら前記キャビティクリアランスがCになるまでキャビティクリアランスを拡大し、更に前記溶融樹脂を供給しながら、または供給完了後に、前記金型を型締めすることが好ましい。
充填工程(A)および充填工程(B)の両方において、式(I)の関係を満たすことが必要である。
0.20≦C/L≦1.0 (I)
式中、Cは、上記充填工程における、前記キャビティクリアランスの最大値(mm)を表し、Lは、準備工程から得られる有機繊維強化ポリオレフィン樹脂中の有機繊維の重量平均長(mm)を表す。
C/Lが0.20未満である場合は、溶融樹脂がキャビティ内を流動するときに、溶融樹脂に負荷されるせん断力が大きくなりすぎて繊維塊が発生しやすくなる。また、C/Lが1.0を超えるような場合は、繊維塊は解消できるものの溶融樹脂の供給跡が成形体表面に現れ、外観のよくない成形体が得られることがある。
C/Lは、好ましくは0.30以上0.70以下である。Cは、好ましくは2mm以上30mm以下である。
図3は可動側金型1を固定側金型2の方向に移動させ、型締めした状態を示している。キャビティには、溶融樹脂が充填されている。
充填工程(A)および充填工程(B)の両方において、溶融樹脂の供給完了後に型締めを行う場合は、供給完了後速やかに型締めすることが好ましい。型締めによる圧縮代(c)はキャビティ内に供給した溶融樹脂の容積と、溶融樹脂の供給を完了したときのキャビティクリアランスと、型締めを完了したときのキャビティクリアランスによって決定されるが、圧縮代(c)が0.5mm以上であることが好ましく、1.0mm以上であることがより好ましい。金型を型締めするときに、可動側金型を固定側金型の方へ動かす速度は1mm/秒以上、30mm/秒以下であることが好ましい。前記の範囲内であると、供給された前記溶融樹脂が冷却される前に、金型キャビティ内へ充填することができるので、溶融樹脂に負荷されるせん断力が大きくならない。そのため、繊維塊が発生しにくい。
充填工程(A)および充填工程(B)の両方において、金型の型締めを完了したときに一対の金型によって形成される金型キャビティは、製造する成形体の形状に対応する形状である。
取出工程について説明する。取出工程は、充填された前記溶融有機繊維強化ポリオレフィン樹脂を冷却して有機繊維強化ポリオレフィン樹脂成形体を形成し、該有機繊維強化ポリオレフィン樹脂成形体を前記金型キャビティから取り出す工程である。
キャビティ内に充填された溶融樹脂の冷却が完了したあと、可動側金型1を固定側金型2から離反する方向に移動させ、有機繊維強化ポリオレフィン樹脂成形体を取り出す。
本発明の方法によって、得られる成形体中に残存する有機繊維の重量平均繊維長は4mm以上である。重量平均繊維長が4mm以上である有機繊維を含有する成形体は、重量平均繊維長が4mm未満である有機繊維を含む成形体と比べて、剛性、耐熱性、衝撃強度および制振特性に優れる。重量平均繊維長が4mm未満の場合、金型キャビティ内への溶融樹脂の充填過程において、絡まりあいが起き難いため、一般的な射出成形方法であっても繊維塊が発生しにくく、通常の製造条件により外観良好な成形体を得ることができる。
本発明の方法によって得られる成形体は、厚みが3mm以下である。3mmを超える場合は、金型キャビティ内への溶融樹脂の充填過程において、せん断力が高くないため、一般的な射出成形方法であっても繊維塊が発生しにくく、通常の製造条件により外観良好な成形体を得ることができる。
なお、樹脂成形体の厚みが均一でない場合、その厚みとは、平均の厚みを意味する。
厚みが3mm以下である成形体を製造するためには、充填工程において、得られる成形体の厚みが3mm以下となるように型締めする。
[有機繊維強化ポリオレフィン樹脂]
本発明に用いられる有機繊維強化ポリオレフィン樹脂とは、有機繊維とポリオレフィン樹脂とを含む、有機繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物を意味する。まず、準備工程で準備する有機繊維について説明する。
<有機繊維>
本発明で使用する有機繊維は、重量平均長が4mm以上である。本発明で使用する有機繊維としてはポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ビニロン繊維、綿、麻、絹、竹等が挙げられる。これらの繊維の表面に金属層を設けて導電性を付与した繊維を用いてもよい。繊維の表面に金属層を設ける方法は、使用する繊維に応じて適宜選択すればよいが、例えば、蒸着、メッキ、スパッタリング、イオンプレーティング等の方法が挙げられる。金属層を構成する金属は、特に限定されないが、銅が好ましい。
これら有機繊維は2種類以上を併用してもよい。なかでも、ポリエステル繊維、およびビニロン繊維が好ましく、ポリアルキレンテレフタレートおよび/またはポリアルキレンナフタレンジカルボキシレートからなる有機繊維がより好ましい。
ポリアルキレンテレフタレートおよび/またはポリアルキレンナフタレンジカルボキシレートからなる有機繊維は、ポリアルキレンナフタレンジカルボキシレートからなることがより好ましい。
(ポリアルキレンナフタレンジカルボキシレート)
ポリアルキレンナフタレンジカルボキシレートとはアルキレンジオールとナフタレンジカルボン酸との縮重合生成物であり、下記式(P)または式(Q)で表されるアルキレンナフタレンジカルボキシレート単位が全繰り返し単位の量の80モル%以上を占めるポリエステルが好ましい。アルキレンナフタレンジカルボキシレート単位の含有量は、好ましくは全繰り返し単位量の90モル%以上、より好ましくは95モル%以上、更に好ましくは96〜100モル%である。
Figure 2012000982
(式(P)中、nは1以上の整数を表す。)
Figure 2012000982
(式(Q)中、nは1以上の整数を表す。)
アルキレンナフタレンカルボキシレートの主鎖を形成するアルキレン基としては、炭素数2〜4のアルキレン基が好ましい。アルキレン基として、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基が挙げられる。ポリアルキレンナフタレンジカルボキシレートは、好ましくはポリエチレンナフタレンジカルボキシレート、より好ましくはポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートである。
(ポリアルキレンテレフタレート)
ポリアルキレンテレフタレートとは、アルキレンジオールとテレフタル酸との縮重合体であり、下記式(R)で表されるアルキレンテレフタレート単位が全繰り返し単位の量の80モル%以上を占めるポリエステルが好ましい。アルキレンテレフタレート単位の含有量は、好ましくは全繰り返し単位量の90モル%以上、より好ましくは95モル%以上、更に好ましくは96〜100モル%である。
Figure 2012000982
(式(R)中、nは1以上の整数を表す。)
ポリアルキレンテレフタレートの主鎖を形成するアルキレン基としては、炭素数2〜4のアルキレン基が好ましい。アルキレン基として、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基が挙げられる。ポリアルキレンテレフタレートは、ポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。
ポリアルキレンテレフタレートおよび/またはポリアルキレンナフタレンジカルボキシレートからなる有機繊維は、該有機繊維を構成する繰り返し単位として、追加の単位を含んでいてもよい。かかる追加の単位として、(a)2個のエステル形成性官能基を有する化合物残基が挙げられる。このような2個のエステル形成性官能基を有する化合物残基を与える化合物としては、例えばシュウ酸、コハク酸、セバシン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸;シクロプロパンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸等の脂環族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニルカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸ナトリウム等のカルボン酸;グリコール酸、p−オキシ安息香酸、p−オキシエトキシ安息香酸等のオキシカルボン酸;プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチレングリコール、p−キシレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノール A、p,p’−ジヒドロキシフェニルスルホン、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2,2−ビス(p−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ポリアルキレングリコール等のオキシ化合物;等が挙げられる。またこれらの誘導体が挙げられる。
また前記オキシカルボン酸および/または前記オキシカルボン酸の誘導体を重合して得られる高分子化合物も前記追加の単位を与える成分の例としてあげられる。
更に、前記カルボン酸および前記カルボン酸の誘導体から選ばれる少なくとも1種類の化合物、前記オキシカルボン酸および前記オキシカルボン酸の誘導体から選ばれる少なくとも1種類の化合物、前記オキシ化合物および前記オキシ化合物の誘導体から選ばれる少なくとも1種類の化合物のうち2種類以上の化合物を重合して得られる高分子化合物も前記追加の単位を与える成分の例として挙げられる。
かかる追加の単位として、(b)1個のエステル形成性官能基を有する化合物残基が挙げられる。このような1個のエステル形成性官能基を有する化合物残基を与える化合物としては、例えば安息香酸、ベンジルオキシ安息香酸、メトキシポリアルキレングリコールなどが挙げられる。
(c)3個以上のエステル形成性官能基を有する化合物残基を与える成分、例えばグリセリン、ペンタエリストール、トリメチロールプロパンなどを重合して得られる重合体も、該重合体が実質的に線状である場合には、追加の単位を与える成分として使用可能である。
有機繊維の全繰り返し単位の量の80モル%以上を占めるポリエステル中には、二酸化チタンなどの艶消し剤、リン酸、亜リン酸、それらのエステルなどの安定剤が含まれてもよい。
このような有機繊維は、機械的な衝撃に対する耐性が高く、また樹脂とのなじみ性に優れる。
また、該有機繊維を含む有機繊維強化ポリオレフィン樹脂成形体は、有機繊維を含まないポリオレフィン樹脂成形体と比べて、該成形体を実際に使用する低温領域において、耐衝撃性に優れる。
有機繊維の単糸繊度は、好ましくは1〜30dtex、より好ましくは3〜15dtexである。単糸繊度の上限値は、好ましくは20dtex、より好ましくは16dtexである。単糸繊度の下限値は、好ましくは2dtexである。単糸繊度がこのような範囲にある有機繊維を用いることにより本発明の目的を達成しやすくなる。製糸性および繊維の樹脂への分散の面から、単糸繊度が1dtex以上であることが好ましく、樹脂との界面強度および樹脂の補強効果の面では単糸繊度が30dtex以下であることが好ましい。
有機繊維の表面には、該有機繊維100質量部に対して、収束剤が0.1〜10質量部付着していることが好ましく、0.1〜3質量部付着していることがより好ましい。収束剤として、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、澱粉、植物油、およびこれらとエポキシ化合物の混合物が挙げられる。収束剤は、ポリオレフィン樹脂およびポリウレタン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂を含むことが好ましい。なお、収束剤に含まれるポリオレフィン樹脂は、以下に述べる準備工程で準備するポリオレフィン樹脂と同一であってもよい。
次に、準備工程で準備するポリオレフィン樹脂について説明する。
<ポリオレフィン樹脂>
ポリオレフィン樹脂としては、オレフィンの単独重合体または2種類以上のオレフィンの共重合体が好ましく適用できる。ポリオレフィン樹脂としては、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等が挙げられる。ポリオレフィン樹脂として好ましくは、ポリプロピレン樹脂である。ポリオレフィン樹脂は、単一のポリオレフィン樹脂でもよく、2種以上のポリオレフィン樹脂の混合物でもよい。
ポリプロピレン樹脂としては、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレンと炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体であるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレンを単独重合してプロピレン単独重合体を生成させた後に、該プロピレン単独重合体の存在下にエチレンとプロピレンを共重合して得られるプロピレン系ブロック共重合体等が挙げられる。耐熱性の観点から、ポリプロピレン樹脂として好ましくは、プロピレン単独重合体、プロピレンを単独重合した後にエチレンとプロピレンを共重合して得られるプロピレン系ブロック共重合体である。
プロピレン−エチレンランダム共重合体のエチレンに由来する構成単位の含有量(ただし、プロピレンに由来する構成単位とエチレンに由来する構成単位の合計量を100モル%とする。)、プロピレンと炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体であるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体のα−オレフィンに由来する構成単位の含有量(ただし、プロピレンに由来する構成単位とα−オレフィンに由来する構成単位の合計量を100モル%とする。)、プロピレン−エチレン−α−オレフィンランダム共重合体のエチレンに由来する構成単位とα−オレフィンに由来する構成単位の合計含有量(ただし、プロピレンに由来する構成単位とエチレンに由来する構成単位とα−オレフィンに由来する構成単位の合計量を100モル%とする。)は、いずれも50モル%未満であることが好ましい。前記エチレンに由来する構成単位の含有量、α−オレフィンに由来する構成単位の含有量およびエチレンに由来する構成単位とα−オレフィンに由来する構成単位の合計含有量は、「新版 高分子分析ハンドブック」(日本化学会、高分子分析研究懇談会編 紀伊国屋書店(1995))に記載されているIR法またはNMR法を用いて測定される。
ポリエチレン樹脂としては、例えば、エチレン単独重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体等が挙げられる。なお、エチレン−プロピレンランダム共重合体のプロピレンに由来する構成単位の含有量(ただし、エチレンに由来する構成単位とプロピレンに由来する構成単位の合計量を100モル%とする。)、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体に含有されるα−オレフィンに由来する構成単位の含有量(ただし、エチレンに由来する構成単位とα−オレフィンに由来する構成単位の合計量を100モル%とする。)、エチレン−プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体に含有されるプロピレンに由来する構成単位とα−オレフィンに由来する構成単位の合計含有量(ただし、エチレンに由来する構成単位とプロピレンに由来する構成単位とα−オレフィンに由来する構成単位の合計量を100モル%とする。)は、いずれも50モル%未満であることが好ましい。
ポリオレフィン樹脂に含まれるα−オレフィンに由来する構成単位を与えるα−オレフィンとしては、炭素数4〜20のα−オレフィンが挙げられる。具体的には、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、メチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ペンテン、エチル−1−ペンテン、トリメチル−1−ブテン、メチルエチル−1−ブテン、1−オクテン、メチル−1−ペンテン、エチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ヘキセン、プロピル−1−ヘプテン、メチルエチル−1−ヘプテン、トリメチル−1−ペンテン、プロピル−1−ペンテン、ジエチル−1−ブテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等が挙げられる。好ましくは、炭素数4〜8のα−オレフィン(例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン)である。
ポリオレフィン樹脂は、溶液重合法、スラリー重合法、バルク重合法、気相重合法等によって製造することができる。これらの重合法を単独で用いてもよく、2種以上の重合法を組み合わせてもよい。ポリオレフィン樹脂のより具体的な製造方法の例としては、例えば、「新ポリマー製造プロセス」(佐伯康治・尾見信三編著、工業調査会(1994年発行))、特開平4−323207号公報、特開昭61−287917号公報等に記載されている重合法が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂の製造に用いられる触媒としては、マルチサイト触媒やシングルサイト触媒が挙げられる。好ましいマルチサイト触媒として、チタン原子、マグネシウム原子およびハロゲン原子を含有する固体触媒成分を用いて得られる触媒が挙げられ、また、好ましいシングルサイト触媒として、メタロセン触媒が挙げられる。ポリオレフィン樹脂としてポリプロピレン樹脂を用いる場合、ポリプロピレン樹脂の製造に用いられる好ましい触媒として、上記のチタン原子、マグネシウム原子およびハロゲン原子を含有する固体触媒成分を用いて得られる触媒が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂のメルトフローレート(MFR)は、繊維が均一に樹脂に分散した成形体を製造しやすいこと、外観のよい成形体が得られること、衝撃強度に優れる成形体が得られることから、好ましくは1〜500g/10分、より好ましくは10〜400g/10分、更に好ましくは20〜300g/10分である。なお、MFRは、ASTM D1238に従い、230℃、21.2N荷重で測定した値である。
ポリオレフィン樹脂がプロピレン単独重合体である場合、ポリプロピレン樹脂のプロピレン単独重合体のアイソタクチックペンタッド分率は、好ましくは0.95〜1.0、より好ましくは0.96〜1.0、更に好ましくは0.97〜1.0である。アイソタクチックペンタッド分率とは、A. ZambelliらによってMacromolecules,第6巻,第925頁(1973年)に発表されている方法、すなわち13C−NMRを使用して測定されるプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック連鎖、換言すればプロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率である。ただし、NMR吸収ピ−クの帰属は、Macromolecules,第8巻,第687頁(1975年)に基づいて行う。
ポリオレフィン樹脂がプロピレンを単独重合した後にエチレンとプロピレンを共重合して得られるプロピレンブロック共重合体である場合、前記プロピレン単独重合体部のアイソタクチックペンタッド分率は、好ましくは0.95〜1.0、より好ましくは0.96〜1.0、更に好ましくは0.97〜1.0である。
ポリオレフィン樹脂は、下記の変性ポリオレフィン樹脂を含むことが好ましい。
<変性ポリオレフィン樹脂>
変性ポリオレフィン樹脂は、ポリオレフィン樹脂を不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸誘導体よりなる群から選ばれる変性剤で変性して得られた樹脂である。変性ポリオレフィン樹脂の原料となるポリオレフィン樹脂とは、上記ポリオレフィン樹脂と同じポリオレフィン樹脂である。変性ポリオレフィン樹脂は、オレフィンの単独重合体または2種類以上のオレフィンの共重合体に不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸誘導体からなる群から選択される少なくとも1種類の変性剤を反応させて得られる樹脂であって、分子中に変性剤に由来する構成単位を有している樹脂である。変性ポリオレフィン樹脂の例として、下記(d)、(e)および(f)の変性ポリオレフィン樹脂が挙げられる。変性ポリオレフィン樹脂として、下記(d)、(e)および(f)の変性ポリオレフィン樹脂の中から選択される1種以上を使用することができる。
(d)オレフィンの単独重合体に、変性剤をグラフト重合して得られる変性ポリオレフィン樹脂。
(e)2種以上のオレフィンを共重合して得られる共重合体に、変性剤をグラフト重合して得られる変性ポリオレフィン樹脂。
(f)オレフィンを単独重合した後に2種以上のオレフィンを共重合して得られるブロック共重合体に、変性剤をグラフト重合して得られる変性ポリオレフィン樹脂。
変性ポリオレフィン樹脂は、溶液法、バルク法、溶融混練法等によって製造することができる。また、2種以上の方法を併用してもよい。溶液法、バルク法、溶融混練法等の具体的な例としては、例えば、「実用ポリマ−アロイ設計」(井出文雄著、工業調査会(1996年発行))、Prog. Polym. Sci., 24, 81−142(1999)、特開2002−308947号公報、特開2004−292581号公報、特開2004−217753号公報、特開2004−217754号公報等に記載されている方法が挙げられる。
変性ポリオレフィン樹脂としては、市販されている変性ポリオレフィン樹脂を用いてもよく、例えば、商品名モディパー(日油(株)製)、商品名ブレンマーCP(日油(株)製)、商品名ボンドファースト(住友化学(株)製)、商品名ボンダイン(住友化学(株)製)、商品名レクスパール(日本ポリエチレン(株)製)、商品名アドマー(三井化学(株)製)、商品名モディックAP(三菱化学(株)製)、商品名ポリボンド(クロンプトン(株)製)、商品名ユーメックス(三洋化成(株)製)等が挙げられる。
変性ポリオレフィン樹脂の製造に用いられる不飽和カルボン酸としては、炭素数3以上の不飽和カルボン酸、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。また、不飽和カルボン酸誘導体としては、不飽和カルボン酸の酸無水物、エステル化合物、アミド化合物、イミド化合物、金属塩等が挙げられる。不飽和カルボン酸誘導体の具体例としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、フマル酸ジメチルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジアミド、フマル酸モノアミド、マレイミド、N−ブチルマレイミド、メタクリル酸ナトリウム等が挙げられる。また、不飽和カルボン酸によるポリオレフィンの変性には、該不飽和カルボン酸の源として、クエン酸やリンゴ酸のように、ポリオレフィンにグラフトする工程で脱水して不飽和カルボン酸を生じるものを用いることが出来る。不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸誘導体として、好ましくはアクリル酸、メタクリル酸グリシジル、無水マレイン酸、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルである。
変性ポリオレフィン樹脂は、エチレンおよびプロピレンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンに由来する単位を主な構成単位として含有するポリオレフィン樹脂に、無水マレイン酸またはメタクリル酸グリシジルまたはメタクリル酸2−ヒドロキシエチルをグラフト重合することによって得られる樹脂であることが好ましい。
変性ポリオレフィン樹脂の、変性剤に由来する構成単位の含有量は、該変性ポリオレフィン樹脂を含む有機繊維強化ポリオレフィン樹脂成形体の耐衝撃強度、疲労特性、剛性等の機械的強度の向上という観点から、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量%、更に好ましくは0.2〜2質量%、特に好ましくは0.4〜1質量%である。なお、変性剤に由来する構成単位の含有量は、赤外吸収スペクトルまたはNMRスペクトルによって、変性剤に基づく吸収を定量して算出した値である。
有機繊維強化ポリオレフィン樹脂中の樹脂成分に含まれる変性剤由来の構成単位の含有量が同じである場合を比較すると、樹脂成分が、変性剤での変性の程度の少ない変性ポリオレフィン樹脂のみからなるよりは、多量の変性されていないポリオレフィン樹脂と、少量の高度に変性された変性ポリオレフィン樹脂との組み合わせであるほうが有機繊維強化ポリオレフィン樹脂の機械的強度という観点から好ましい。
これは、変性剤でポリオレフィン樹脂を変性すると、生成した変性ポリオレフィン樹脂中の重合体は、変性前のポリオレフィン樹脂中の重合体の分子量よりも分子量が小さくなる傾向があるためである。
本発明では、変性されていないポリオレフィン樹脂と変性ポリオレフィン樹脂とを併用することが好ましい。
有機繊維強化ポリオレフィン樹脂のポリオレフィン樹脂中の変性ポリオレフィン樹脂の含有量は、樹脂成分の剛性や機械的強度の向上という観点や、有機繊維束への樹脂成分の含浸性の向上という観点から、0.5〜40質量%であることが好ましく、0.5〜30質量%であることがより好ましく、1〜20質量%であることが更に好ましい。
有機繊維強化ポリオレフィン樹脂中の有機繊維の含有量およびポリオレフィン樹脂の含有量は、有機繊維強化ポリオレフィン樹脂の剛性や機械的強度の向上という観点や、成形体の外観の観点から、それぞれ1〜70質量%および30〜99質量%であることが好ましく、5〜68質量%および32〜95質量%であることがより好ましく、10〜65質量%および35〜90質量%であることが更に好ましく、15〜60質量%および40〜85質量%であることが特に好ましく、20〜55質量%および45〜80質量%であることが最も好ましい。
有機繊維強化ポリオレフィン樹脂は、1種以上のエラストマーを含んでいてもよい。エラストマーとしては、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、PVC系エラストマー等が挙げられる。
有機繊維強化ポリオレフィン樹脂には、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、中和剤、紫外線吸収剤等の安定剤、気泡防止剤、難燃剤、難燃助剤、分散剤、帯電防止剤、滑剤、シリカ等のアンチブロッキング剤、染料や顔料等の着色剤、可塑剤、造核剤、結晶化促進剤、発泡剤等を任意成分として配合してもよい。
発泡剤については、後述する。
有機繊維強化ポリオレフィン樹脂には、ガラスフレーク、マイカ、ガラス粉、ガラスビ−ズ、タルク、クレー、アルミナ、カーボンブラック、ウォールスナイト等の板状、粉粒状、ウィスカー状の無機化合物等を配合してもよい。
次に、準備工程で準備する有機繊維強化ポリオレフィン樹脂について説明する。
<有機繊維強化ポリオレフィン樹脂の製造方法>
有機繊維強化ポリオレフィン樹脂の製造方法としては、例えば、次の(1)〜(3)の方法等が挙げられる。
(1)各成分の全てを混合して混合物とした後、その混合物を溶融混練する方法。
(2)全成分を逐次添加することにより混合物を得た後、その混合物を溶融混練する方法。
(3)プルトルージョン法。
上記の(1)または(2)の方法において、各成分を混合する方法としては、例えば、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、ブレンダー等によって各成分を混合する方法が挙げられる。混合物を溶融混練する方法としては、バンバリーミキサー、プラストミル、ブラベンダープラストグラフ、一軸または二軸押出機等によって混合物を溶融混練する方法が挙げられる。
準備工程で準備する有機繊維強化ポリオレフィン樹脂はプルトルージョン法で製造することが好ましい。プルトルージョン法は、有機繊維強化ポリオレフィン樹脂の製造の容易さ、得られる成形体の剛性や耐衝撃強度等の機械的強度や制振特性の向上という観点から好ましい。プルトルージョン法とは、基本的には連続した繊維束を引きながら、繊維束に樹脂を含浸させる方法であり、例えば、次の(1)〜(3)の方法等が挙げられる。
(1)ポリオレフィン樹脂と溶媒からなるエマルジョン、サスペンジョンあるいは溶液を入れた含浸槽の中に繊維束を通し、繊維束に該エマルジョン、サスペンジョンまたは溶液を含浸させた後、溶媒を除去する方法。
(2)ポリオレフィン樹脂の粉末を繊維束に吹き付けたのち、または、ポリオレフィン樹脂の粉末を入れた槽の中に繊維束を通し繊維にポリオレフィン樹脂の粉末を付着させたのち、該粉末を溶融して繊維束にポリオレフィン樹脂を含浸させる方法。
(3)クロスヘッドの中に繊維束を通しながら、押出機等からクロスヘッドに溶融ポリオレフィン樹脂を供給し、繊維束に該ポリオレフィン樹脂を含浸させる方法。
準備工程で準備する有機繊維強化ポリオレフィン樹脂は、上記(3)のクロスヘッドを用いるプルトルージョン法、より好ましくは、特開平3−272830号公報等に記載されているクロスヘッドを用いるプルトルージョン法で製造することが好ましい。
上記のプルトルージョン法において、樹脂を繊維束に含浸させる操作は1段で行ってもよく、2段以上に分けて行ってもよい。
また、プルトルージョン法によって製造された有機繊維強化ポリオレフィン樹脂ペレットと、溶融混練法によって製造された有機繊維強化ポリオレフィン樹脂ペレットをブレンドしてもよい。
金型キャビティへ溶融樹脂を充填しやすいという観点と、強度が高い成形体が得られるという観点のバランスから、本発明で使用する有機繊維強化ポリオレフィン樹脂ペレットの長さは、重量平均長で4mm以上であることが好ましく、4mm以上20mm以下であることがより好ましい。この範囲内であると重量平均長が4mm以上である残存有機繊維を含む成形体を得ることができる。
プルトルージョン法で製造された有機繊維強化ポリオレフィン樹脂ペレットの長さとその有機繊維強化ポリオレフィン樹脂ペレットに含有される有機繊維の長さは等しい。有機繊維強化ポリオレフィン樹脂ペレットの長さとその有機繊維強化ポリオレフィン樹脂ペレット中に含有される有機繊維の長さとが等しいということは、有機繊維強化ポリオレフィン樹脂ペレットに含有される有機繊維の長さが、ペレットの全長の90〜110%の範囲内にあることをいう。長さはいずれも重量平均とする。
本発明において、有機繊維強化ポリオレフィン樹脂として、プルトルージョン法で製造された有機繊維強化ポリオレフィン樹脂ペレットが好ましく使用される。
有機繊維強化ポリオレフィン樹脂には、溶融工程で発泡剤を混合させてもよい。本発明で使用される発泡剤は特に限定されるものではなく、公知の化学発泡剤や物理発泡剤を用いることができる。発泡剤の添加量は、化学発泡剤の場合はポリオレフィン樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、0.2〜3質量部であることがより好ましい。物理発泡剤の場合、発泡剤の添加量は、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、0.2〜3質量部であることがより好ましい。
化学発泡剤としては、無機系化学発泡剤や有機系化学発泡剤などが挙げられる。無機系化学発泡剤としては、例えば、炭酸水素ナトリウム等の炭酸水素塩、炭酸アンモニウム等が挙げられる。有機系化学発泡剤としては、例えば、ポリカルボン酸、アゾ化合物、スルホンヒドラジド化合物、ニトロソ化合物、p−トルエンスルホニルセミカルバジド、イソシアネート化合物等が挙げられる。ポリカルボン酸としては、例えば、クエン酸、シュウ酸、フマル酸、フタル酸等が挙げられる。
化学発泡剤を用いる場合、化学発泡剤を高濃度に含有するマスターバッチを作製し、準備工程で得られた有機繊維強化ポリオレフィン樹脂とマスターバッチとを予め混合して混合物を得る。該混合物を、溶融工程で用いる。
物理発泡剤としては、窒素、二酸化炭素、アルゴン、ネオン、ヘリウム等の不活性ガス、ブタン、ペンタン等のフロン系以外の揮発性有機化合物等が挙げられる。このうち、二酸化炭素、窒素、あるいはこれらの混合物を使用することが好ましい。これらは単独または2種以上を併用してもよい。物理発泡剤と化学発泡剤は併用してもよく、その場合化学発泡剤の添加量は、既述したように、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、0.2〜8質量部であることがより好ましい。
物理発泡剤を用いる場合、溶融工程において、物理発泡剤を射出成形装置のノズルまたはシリンダ内に注入する方法が挙げられる。溶融樹脂と物理発泡剤とを均一に混合しやすいことから、有機繊維強化ポリオレフィン樹脂を溶融しているシリンダ内に物理発泡剤を注入する方法が好ましい。
[成形体の用途]
本発明の方法により得られる成形体の用途としては、自動車内装部品や外装部品、エンジンルーム内部品、トランクルーム内部品等の自動車用部品、二輪車部品、家具や電気製品の部品、建材が挙げられる。本発明の方法により得られる成形体は、とりわけ、自動車用部品として有用である。
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例または比較例では、以下に示した樹脂を用いた。
(1)有機繊維:PEN(ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート)繊維(単糸の直径:33μm、有機繊維には3質量%のポリウレタン樹脂で表面処理が施されている。)
(2)変性ポリオレフィン樹脂:特開2004−197068号公報の実施例1に記載された方法に従って作製した無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(MFR:60g/10分、無水マレイン酸グラフト量:0.6質量%)
(3)ポリオレフィン樹脂:住友ノーブレンU501E1(住友化学(株)製、MFR:120g/10分)
上記(1)を30質量%、(2)を3質量%、(3)を67質量%となるように、プルトルージョン法によりペレット長が11mmの有機繊維強化ポリオレフィン樹脂ペレットを作製した。
[評価方法]
[成形体中の有機繊維の重量平均長]
成形体中の有機繊維の重量平均長は、特開2002−5924号公報に記載されている方法(ただし、灰化工程は行わない。)によって測定した。即ち、繊維の長さは、以下の(ii)〜(iv)の手順で測定した。
(ii)繊維を、その重量の1,000倍以上の重量の液体中に均一分散させ、
(iii)均一分散液から、0.1〜2mgの範囲の量の繊維を含有する量だけを取り出し、
(iv)ろ過または乾燥により、取り出した該均一分散液から繊維を回収し、回収した全繊維の各々について繊維長を測定し、重量平均長を算出した。
[成形体の外観評価]
成形体の外観評価は、成形体表面の繊維塊の有無、およびゲート部付近の外観を目視によって評価した。なお、ゲート部付近の外観に関しては、成形体表面にチャージマーク(樹脂の供給跡)が確認できなかった場合を「良好」とし、確認できた場合を「不良」とした。
〔実施例1〕
前記有機繊維強化ポリオレフィン樹脂ペレットを用いて、有機繊維強化ポリオレフィン樹脂成形体を次の方法で製造した。
射出成形機として、エンゲル社製射出成形機 ES2550/400HL−MuCell(型締力400トン)、金型として、成形品部寸法が350mm×450mm、高さ70mm、厚み1.5mmtの箱型形状(ゲート構造:バルブゲート)を有するものを用いた。得られる成形体の大きさが、350mm×450mm×1.5mmとなる容量の有機繊維樹脂強化ポリオレフィン樹脂ペレットを準備した。180℃のシリンダで、有機繊維強化ポリオレフィン樹脂ペレットを溶融し、溶融有機繊維強化ポリオレフィン樹脂を形成した。金型キャビティ温度を50℃とし、金型のキャビティクリアランスを3.5mmに保持した状態で、前記溶融有機繊維強化ポリオレフィン樹脂を金型キャビティ内に供給し、供給完了後、キャビティクリアランスが1.5mmとなるまで2mm/秒の速度で可動側金型を固定型金型のほうへ動かし、型締めを行った。次いでキャビティに充填された溶融有機繊維強化ポリオレフィン樹脂を20秒間冷却し、固化させて成形体を得た。結果を表1に示す。
〔実施例2〕
キャビティクリアランスが2.5mmの状態で溶融有機繊維強化ポリオレフィン樹脂を供給開始し、キャビティクリアランスが3.5mmとなるまでキャビティクリアランスを拡大しながら前記溶融有機繊維強化ポリオレフィン樹脂の供給を継続し、供給完了後、キャビティクリアランスが1.5mmとなるまで2mm/秒の速度で型締めしたこと以外は実施例1と同様の方法で成形体を得た。結果を表1に示す。
〔比較例1〕
キャビティクリアランスを1.5mmに保持した状態で溶融有機繊維強化ポリオレフィン樹脂を供給し、そのまま20秒間冷却を行ったこと以外は実施例1と同様にして成形体を得た。結果を表1に示す。
〔比較例2〕
得られる成形体の大きさが、350mm×450mm×2.0mmとなる容量の有機繊維樹脂強化ポリオレフィン樹脂ペレットを準備した。該有機繊維強化ポリオレフィン樹脂ペレットを溶融し、溶融有機繊維強化ポリオレフィン樹脂を形成した。キャビティクリアランスを2.0mmに保持した状態で溶融有機繊維強化ポリオレフィン樹脂をキャビティに供給したこと以外は比較例1と同様にして成形体を得た。結果を表1に示す。
〔実施例3〕
前記有機繊維強化ポリオレフィン樹脂ペレットを用いて、有機繊維強化ポリオレフィン樹脂成形体を次の方法で製造した。
射出成形機として、(株)佐藤鉄工所製射出圧縮成形機 SLIM1016(型締力100トン)、金型として、成形品部寸法が390mm×480mm、厚み1.6mmtの平板形状(ゲート構造:バルブゲート)を有するものを用いた。得られる成形体の大きさが、390mm×480mm×1.6mmとなる容量の有機繊維樹脂強化ポリオレフィン樹脂ペレットを準備した。180℃のシリンダで、有機繊維強化ポリオレフィン樹脂ペレットを溶融し、溶融有機繊維強化ポリオレフィン樹脂を形成した。金型キャビティ温度を50℃とし、金型のキャビティクリアランスを7mmに保持した状態で、前記溶融有機繊維強化ポリオレフィン樹脂を金型キャビティ内に供給し、供給完了後、キャビティクリアランスが1.6mmとなるまで10mm/秒の速度で可動側金型を固定型金型のほうへ動かし、型締めを行った。次いでキャビティに充填された溶融有機繊維強化ポリオレフィン樹脂を20秒間冷却し、固化させて成形体を得た。結果を表1に示す。
〔比較例3〕
キャビティクリアランスを13mmに保持した状態で溶融有機繊維強化ポリオレフィン樹脂をキャビティに供給し、そのまま20秒間冷却を行ったこと以外は実施例3と同様にして成形体を得た。結果を表1に示す。
Figure 2012000982
1:可動側金型
2:固定側金型
3:金型キャビティ
4:ゲート部
5:溶融樹脂供給通路
6:バルブピン
7:溶融樹脂
M:金型

Claims (4)

  1. 残存する有機繊維の重量平均繊維長が4mm以上であり、成形体の厚みが3mm以下の有機繊維強化ポリオレフィン樹脂成形体の製造方法であって、前記方法が以下の工程(1)〜(4)を含み、
    (1)ポリオレフィン樹脂と、有機繊維とを含む有機繊維強化ポリオレフィン樹脂を準備する準備工程、
    (2)前記有機繊維強化ポリオレフィン樹脂を溶融して溶融有機繊維強化ポリオレフィン樹脂を得る溶融工程、
    (3)溶融有機繊維強化ポリオレフィン樹脂を、一対の、相対的に互いに接近および離反可能な金型で形成されていて、それらの間に可変のキャビティクリアランスを有する金型キャビティ内へ充填する充填工程、
    および、
    (4)充填された前記溶融有機繊維強化ポリオレフィン樹脂を冷却して有機繊維強化ポリオレフィン樹脂成形体を形成し、該有機繊維強化ポリオレフィン樹脂成形体を前記金型キャビティから取り出す取出工程、
    前記充填工程において、式(I)の関係を満たすことを特徴とする有機繊維強化ポリオレフィン樹脂成形体の製造方法。
    0.20≦C/L≦1.0 (I)
    [式中、Cは、上記充填工程における、前記キャビティクリアランスの最大値(mm)を表し、Lは、準備工程から得られる有機繊維強化ポリオレフィン樹脂中の有機繊維の重量平均長(mm)を表す。]
  2. 前記充填工程は、キャビティクリアランスがCであるときに金型キャビティに前記溶融有機繊維強化ポリオレフィン樹脂の供給を開始し、前記溶融有機繊維強化ポリオレフィン樹脂を供給しながら、または供給完了後に、前記金型を型締めする工程である請求項1に記載の方法。
  3. 前記充填工程は、キャビティクリアランスがCより小さいときに金型キャビティに溶融有機繊維強化ポリオレフィン樹脂の供給を開始し、前記溶融有機繊維強化ポリオレフィン樹脂を供給しながら前記キャビティクリアランスがCになるまで金型を相対的に互いに離反するように移動し、更に前記溶融有機繊維強化ポリオレフィン樹脂を供給しながら、または供給完了後に、前記金型を型締めする工程である請求項1に記載の方法。
  4. 前記有機繊維がポリアルキレンテレフタレートおよび/またはポリアルキレンナフタレンジカルボキシレートである請求項1から3のいずれか1つに記載の方法。
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