JP3934375B2 - ラインサーマルプリンタの記録方法およびそれに用いるラインサーマルプリンタ - Google Patents

ラインサーマルプリンタの記録方法およびそれに用いるラインサーマルプリンタ Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ラインサーマルプリンタの記録方法およびそれに用いるラインサーマルプリンタに係り、特に、紙送りモータを駆動して記録紙を搬送しつつこの記録紙に対して1ラインの記録を行う際にサーマルヘッドの同時に発熱させる発熱素子群を複数のブロックに分割し、各ブロックごとに順次発熱素子を発熱させる分割駆動を行うのに好適なラインサーマルプリンタの記録方法およびそれに用いるラインサーマルプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、水平方向に複数の発熱素子を整列配置したラインサーマルヘッド(以下、単に「サーマルヘッド」と称する)を用いたラインサーマルプリンタによって記録紙上に所望の記録を行う場合、電源容量の制約等によって前記サーマルヘッドの発熱素子を複数のブロックに分割して通電する分割駆動方式の記録方法が採用されていた。
【0003】
このような分割駆動を行う場合においては、1ラインの記録を行う際に、発熱素子の分割数に応じて紙送りモータの駆動速度が異なる。
【0004】
なお、本明細書において、「1ライン」とは、1ドット(主操作方向)×発熱させる発熱素子数の総ドット(副操作方向)のドットの集合体からなる記録をいうものとする。また、紙送りをほぼ連続的に行いながら分割数が複数となる分割駆動を行う場合には、1ラインを形成する各ブロックの記録が主操作方向にわずかにずれるが、この場合においても各ブロックの記録を副操作方向に繋ぎ合わせたものを1ラインとして扱うことができる。
【0005】
図3および図4は、前述した発熱素子の分割数と、紙送りモータの駆動速度との関係を示すものである。
【0006】
すなわち、図3に示すように、前記サーマルヘッド1の発熱素子2を分割せずに、1ラインの記録3を行う場合の分割数を1とする。この分割数が1の記録3を行う場合は、1ラインの記録3を一度に行うことができ、このときの1ラインの記録3に要する時間をtとする。
【0007】
一方、図4に示すように、前記サーマルヘッド1の同時に発熱させる発熱素子2を6つのブロック5に分割する場合、分割数は6となる。このとき、1ラインの記録3を行うためには、全ブロック5による発熱が完了する迄、極わずかな時間であるが紙送りモータ(図示せず)を一時的に停止しなければならない。このため、1ライン分の記録3を行うのに要する時間は前述した分割数1のときの6倍(6t)となる。
【0008】
このことは、分割数が多い場合よりも分割数が少ない場合の方が、1ラインの記録3を迅速に行うことができることを意味し、これにともなって紙送りモータの駆動速度を高速化できることを意味している。
【0009】
図5は、このような分割数によって紙送りモータの駆動速度を変化させる制御を示したものである。
【0010】
図5において、「1分割」または「6分割」の文字が記入された区間7は、記録紙上の行方向の記録範囲に相当するものであり、各区間7において、記入された文字の分割数による分割駆動を行うことを意味している。そして、各区間7の縦方向の寸法は、当該分割数からなる記録が連続して要求されるライン数および当該ライン数に応じた紙送りモータのステップ数に比例して長くなっている。
【0011】
つまり、各区間7の縦方向の寸法が大きいほど、同一の分割数による記録が連続して行われる度合いが大きいことを示すものである。また、この区間7の右横に描かれた折れ線からなるグラフは、各区間7の記録を行う際の紙送りモータの駆動速度を示したものである。
【0012】
図5に示すように、1分割による記録を行う場合は、6分割による記録を行う場合よりも紙送りモータの駆動速度を速くすることができる。なお、図において、「1分割」の各区間7において、駆動速度のピークが異なるが、これは、紙送りモータの負担を低減する観点から、立ち上がり(加速度)を急峻にしないように制御するためである。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、紙送りモータの駆動速度を高速度の駆動から急激に減速させる場合、紙送りモータに震動が生じてしまうことが知られている。このような紙送りモータの震動は、記録紙の適正な搬送を妨げ、いわゆるジッタと称される記録不良を生じてしまう虞があるため、紙送りモータの震動を抑制することは良好な記録を実現する上で重要な課題となっていた。
【0014】
しかし、従来は、図5に示すように、異なる分割数の分割駆動への切り換え地点Pにおいて、紙送りモータの駆動速度を切り換え後の分割駆動に応じた駆動速度に変化させるようになっていた。すなわち、従来は、分割駆動の切り換えが行われて初めて紙送りモータの駆動速度を変化させるようになっていた。
【0015】
このため、分割数が小さい分割駆動から、これよりも分割数が多い分割駆動へ切り換える場合に、紙送りモータの駆動速度を急激に減速させることとなっていた。
【0016】
従って、従来は、紙送りモータの駆動速度を減速させる際の紙送りモータの震動を抑えることができず、記録不良の発生によって高品位の記録を行うことができないといった問題が生じていた。
【0017】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたもので、分割数の変化にともなう紙送りモータの駆動速度の変化を緩やかにし、急激な減速によって紙送りモータに震動が生じることを防止することができるラインサーマルプリンタの記録方法およびそれに用いるラインサーマルプリンタを提供することを目的とするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため本発明に係るラインサーマルプリンタの記録方法の特徴は、ある任意の分割数による分割駆動から、これよりも分割数の多い分割駆動に切り換えて前記紙送りモータの駆動速度を前記任意の分割数による分割駆動の際の駆動速度よりも遅くする場合に、前記分割駆動の切り換え地点を記録データに基づいて検出し、この検出した分割駆動の切り換え地点よりも所定ステップ前の地点から前記紙送りモータの駆動速度を前記分割駆動の切り換え後の分割数に応じた駆動速度に減速するように制御する点にある。
【0019】
そして、このような方法を採用したことにより、分割数が多い分割駆動への切り換え地点を記録データに基づいて予め検出し、この分割駆動の切り換え地点よりも所定ステップ前の地点から紙送りモータの駆動速度を減速させるように制御することができるため、従来のように分割駆動の切り換えが行われて初めて紙送りモータを減速させるようなことはなく、駆動速度の急激な減速に基づく紙送りモータの震動を有効に抑えることができる。
【0020】
また、本発明に係るラインサーマルプリンタの特徴は、ある任意の分割数による分割駆動から、これよりも分割数の多い分割駆動に切り換えて前記紙送りモータの駆動速度を前記任意の分割数による分割駆動の際の駆動速度よりも遅くする場合に、前記分割駆動の切り換え地点を記録データに基づいて予め検出する検出部を設け、この検出部が検出した分割駆動の切り換え地点よりも所定ステップ前の地点から前記紙送りモータの駆動速度を前記分割駆動の切り換え後の分割数に応じた駆動速度に減速するように制御する制御部を設けた点にある。
【0021】
そして、このような構成を採用したことにより、前記検出部によって分割数が多い分割駆動への切り換え地点を予め検出することができ、また、前記制御部によって、前記分割駆動の切り換え地点よりも数ステップ前に紙送りモータの駆動速度を減速させるように制御することができるため、従来のように分割駆動の切り換えが行われて初めて紙送りモータを減速させるようなことはなく、駆動速度の急激な減速に基づく紙送りモータの震動を有効に抑えることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るラインサーマルプリンタの記録方法の実施形態を図1を参照して説明する。
【0023】
本実施形態においては、ある任意の分割数による分割駆動から、これよりも分割数の多い分割駆動に切り換えて前記紙送りモータの駆動速度を前記任意の分割数による分割駆動の際の駆動速度よりも遅くする場合に、前記分割駆動の切り換え地点Pを記録データに基づいて予め検出し、続いて前記検出した分割駆動の切り換え地点Pよりも所定ステップ前の地点から前記紙送りモータの駆動速度を遅くするように制御を行う。
【0024】
より具体的には、例えば、図1に示すように分割数が1の分割駆動と、分割数が6の分割駆動とが混在した記録を行う場合、本実施形態においては、従来(図参照)のように分割数6の分割駆動に切り替わって初めて紙送りモータの駆動速度を減速させるのではない。
【0025】
すなわち、図1に示すように、本実施形態においては、1分割と6分割との分割駆動の切り換え地点Pを、例えば前記6分割の分割駆動を要求する旨の記録データに基づいて予め検出し、実際に記録紙に記録を行う段階においては、予め検出した切り換え地点Pよりも所定ステップ前の地点から紙送りモータの駆動速度を6分割の駆動速度に切り換えるように制御を行う。
【0026】
従って、図1に示す1分割から6分割へ切り替わる切り換え地点Pに近傍する所定ステップ分(所定ライン分)の1分割駆動の記録は、6分割駆動の際の紙送りモータの駆動速度の下で記録されることとなる。
【0027】
このように制御することによって、紙送りモータを従来よりも緩やかに減速することができるため、紙送りモータに過度なトルクが作用することを防止することができる。
【0028】
なお、紙送りモータの駆動速度を減速させる目安となる前記所定ステップは、必要に応じて種々の値を設定することができる。
【0029】
次に、本発明に係るラインサーマルプリンタの実施形態を図2および図3を参照して説明する。
【0030】
図2は、本実施形態におけるラインサーマルプリンタ12の構成を示したものである。
【0031】
前記ラインサーマルプリンタ12は、副操作方向に複数の発熱素子2を整列配置したサーマルヘッド1を有しており、このサーマルヘッド1は、ラテン13に接離可能とされている。
【0032】
また、前記サーマルヘッド1には、このサーマルヘッド1を駆動するためのドライバ14が接続されている。
【0033】
前記ドライバ14には、ヘッド制御部15が接続されており、このヘッド制御部15は、発熱素子2に対して選択的な通電制御を行うようにドライバ14に対して要求を出すようになっている。
【0034】
その際に、前記ヘッド制御部15は、記録データに応じて発熱素子2の分割数を決定するとともに、分割数に応じた発熱素子2のブロック5を割り振り、各ブロック5の発熱素子群に対して順次通電を行うべく、前記ドライバ14に対して分割駆動のための要求を記録データとして出力するようになっている。
【0035】
従って、前記ドライバ14には、記録データに応じた所定の分割数からなる分割駆動の要求が、記録データとしてのラインごとに順次入力されるようになっており、前記ドライバ14は、各ラインの記録の際に各ラインの分割数に応じた分割駆動を行うようになってる。
【0036】
前記ラインサーマルプリンタ12は、記録紙を前記プラテン13とサーマルヘッド1との間に搬送する搬送ローラ17を有しており、この搬送ローラ17は、ステッピングモータ等の紙送りモータ18によって回転駆動されるようになっている。
【0037】
前記紙送りモータ18には、制御部としてのモータ制御部19が接続されており、このモータ制御部19は、駆動パルスの印加等によって紙送りモータ18の駆動を制御するようになっている。また、前記モータ制御部19は、駆動パルス数等を変化させることによって紙送りモータ18の駆動速度を変化させるようになっている。
【0038】
前記ヘッド制御部15には、切り換え地点検出部20が接続されており、この切り換え地点検出部20は、ある任意の分割数による分割駆動から、これよりも分割数の多い分割駆動に切り換える場合は、この分割駆動の切り換え地点Pを前記ヘッド制御部15が出力した分割駆動の要求(記録データ)に基づいて予め検出するようになっている。また、前記切り換え地点検出部20は、検出した前記切り換え地点Pのデータを出力するようになっている。
【0039】
そして、前記モータ制御部19は、前記切り換え地点検出部20が出力した前記切り換え地点Pのデータに基づいて、この切り換え地点Pよりも所定ステップ前の地点から前記紙送りモータの駆動速度を前記切り換え後の分割駆動に応じた駆動速度に変化させるように制御を行うようになっている。
【0040】
次に、本実施形態の作用について説明する。なお、初期状態において、便宜上、前記サーマルヘッド1は、現在、ある任意の分割数による分割駆動によって1ライン分の記録を行っているものとする。また、前記紙送りモータ18は前記任意の分割数に応じた駆動速度で記録紙の搬送を行っているものとする。
【0041】
次に、初期状態から、前記任意の分割数よりも分割数の多い分割駆動に切り換える場合は、前記ヘッド制御部15によって当該分割数の多い分割駆動の要求を記録データとして前記ドライバ14へ出力する。
【0042】
このとき、前記切り換え地点検出部20は、前記記録データの基づいて、分割数の多い分割駆動への駆動の切り換え地点Pを記録データの段階で検出するとともに、この検出した切り換え地点Pのデータを前記モータ制御部19へ出力する。
【0043】
前記モータ制御部19は、前記切り換え地点Pのデータを受信すると、このデータに基づいて、前記切り換え地点Pよりも所定ステップ前の地点から紙送りモータ18の駆動速度を切り換え後の分割数に応じた駆動速度に減速するように制御する。
【0044】
これにより、分割駆動の切り換え地点Pよりも所定ステップ前から切り換え後の分割駆動に応じた駆動速度で紙送りモータが駆動されるため、紙送りモータの駆動速度を緩やかに変化させることができる。
【0045】
このため、紙送りモータ18に震動が生じることはなく、記録紙の搬送を安定的に行うことができる。このような状態で搬送される記録紙に対して前記サーマルヘッド1によって分割駆動をともなう記録を行えば、ジッタのない良好な品位の記録を得ることができる。
【0046】
従って、本実施形態によれば、分割数が多い分割駆動への切り換え地点Pを記録データに基づいて予め検出し、この分割駆動の切り換え地点Pよりも所定ステップ前の地点から紙送りモータ18の駆動速度を減速させるように制御することができるため、従来のように分割駆動の切り換えが行われて紙送りモータを減速させるようなことはなく、駆動速度の急激な減速に基づく紙送りモータ18の震動を有効に抑えることができる。
【0047】
なお、本発明は、前記実施形態のものに限定されることはなく、必要に応じて種々変更するようにしても良い。
【0048】
【発明の効果】
以上述べたように本発明に係るラインサーマルプリンタの記録方法およびそれに用いるラインサーマルプリンタによれば、紙送りモータに作用する震動を抑制することによって安定的な紙送りを実現することができ、ジッタの少ない高品位な記録を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るラインサーマルプリンタの実施形態を示す図
【図2】 本発明に係るラインサーマルプリンタの構成を示したブロック図
【図3】 従来の分割駆動を用いたラインサーマルプリンタの記録方法の一例において、分割数1の分割駆動による1ラインの記録動作を示した図
【図4】 従来の分割駆動を用いたラインサーマルプリンタの記録方法の一例において、分割数6の分割駆動による1ラインの記録動作を示した図
【図5】 従来採用されてた分割数に応じて紙送りモータの駆動速度を変化させるラインサーマルプリンタの記録方法を示した図
【符号の説明】
1 サーマルヘッド
2 発熱素子
5 ブロック
12 ラインサーマルプリンタ
15 ヘッド制御部
18 紙送りモータ
19 モータ制御部
20 切り換え地点検出部

Claims (2)

  1. 紙送りモータを所定の速度で駆動することによってプラテンと複数の発熱素子が形成されたサーマルヘッドとの間に記録紙を搬送し、この記録紙に対して記録データに応じて1ラインの記録を行う際に、前記サーマルヘッドの同時に発熱させる発熱素子群を複数のブロックに分割して各ブロックごとに順次発熱素子を発熱させる分割駆動を行い、この分割駆動の際に、分割数に応じて前記紙送りモータの駆動速度を変化させるラインサーマルプリンタの記録方法であって、
    ある任意の分割数による分割駆動から、これよりも分割数の多い分割駆動に切り換えて、前記紙送りモータの駆動速度を前記任意の分割数による分割駆動の際の駆動速度よりも遅くする場合に、前記分割駆動の切り換え地点を記録データに基づいて予め検出し、この検出した分割駆動の切り換え地点よりも所定ステップ前の地点から前記紙送りモータの駆動速度を前記分割駆動の切り換え後の分割数に応じた駆動速度に減速するように制御することを特徴とするラインサーマルプリンタの記録方法。
  2. 紙送りモータを所定の速度で駆動することによってプラテンと複数の発熱素子が形成されたサーマルヘッドとの間に記録紙を搬送し、この記録紙に対して記録データに応じて1ラインの記録を行う際に、前記サーマルヘッドの同時に発熱させる発熱素子群を複数のブロックに分割して各ブロックごとに順次発熱素子を発熱させる分割駆動を行い、この分割駆動の際に、分割数に応じて前記紙送りモータの駆動速度を変化させるラインサーマルプリンタであって、 ある任意の分割数による分割駆動から、これよりも分割数の多い分割駆動に切り換えて前記紙送りモータの駆動速度を前記任意の分割数による分割駆動の際の駆動速度よりも遅くする場合に、前記分割駆動の切り換え地点を記録データに基づいて予め検出するための検出部と、この検出部が検出した分割駆動の切り換え地点よりも所定ステップ前の地点から前記紙送りモータの駆動速度を前記分割駆動の切り換え後の分割数に応じた駆動速度に減速するように制御する制御部とを設けたことを特徴とするラインサーマルプリンタ。
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