JP3934088B2 - 電解コンデンサの駆動用電解液 - Google Patents

電解コンデンサの駆動用電解液 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解コンデンサの駆動用電解液に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、高周波数低インピーダンスのアルミ電解コンデンサには、γ−ブチロラクトンを主体とする溶媒に、フタル酸やマレイン酸などカルボン酸の4級アンモニウム塩を溶質として用いた電導度の高い電解液などが知られている。(例えば特許文献1)
【0003】
しかし、これら4級アンモニウム塩系電解液は、その塩基性成分が陰極封口部分から漏れることがあり、信頼性が劣る。
【0004】
この液漏れ問題を回避するために、電導度を犠牲にして電導度は低いが、液漏れ問題がなく信頼性の高い3級アンモニウム塩系電解液を使用することが業界内で検討されている。このような電解液の一つとして、トリエチルアミン塩やペンタアルキルグアニジン塩(例えば、特許文献2)を溶質として用いることが考えられているが、4級アンモニウム塩系電解液に比較して、電導度が低いので、さらに電導度の高い電解液の開発が望まれている。
【0005】
【特許文献1】
特開昭62−145713
【特許文献2】
特開平9−97749
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、液漏れ問題がなく高信頼性であり、そして高い電導度を有する電解コンデンサの駆動用電解液を得ようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の電解コンデンサの駆動用電解液は、有機極性溶媒に、溶質として3級以下のアルコキシアルキルアミン類のカチオンと酸アニオンとの塩を溶解したものである。
【0008】
上記アルコキシアルキルアミン類のカチオンの1例は一般式(1)で表される。
【0009】
【化3】
Figure 0003934088
【0010】
(1)式中、R1 、R2 の少なくとも一方は、それぞれ水素原子、若しくは炭素数が1乃至12の直鎖状または分枝状のアルキル基であり、R3 は置換基を有してもよい炭素数が1乃至6のアルキル基、R4 は炭素数が1乃至6の低級アルキル基または炭素数が1乃至6のアシル基である。
【0011】
そして、(1)式中でR1 及びR2 を構成するアルキル基の少なくとも一方は、置換基として炭素数が1乃至6のアルコキシ基または炭素数が1乃至6のアシルオキシ基を有していてもよく、好適な置換基としてメトキシ基及びエトキシ基が挙げられる。このようなアルキル基としてメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル及びヘキシル基が挙げられる。特に好適なのは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、メトキシメチル、メトキシエチル及びメトキシプロピル基である。
【0012】
また、上記アルコキシアルキルアミン類のカチオンの別の例は、一般式(2)で表される。
【0013】
【化4】
Figure 0003934088
式中mおよびnは1または2であり、YはCH2、酸素原子、硫黄原子、又はN−R5基(R5は置換基を有してもよい炭素数1乃至6の低級アルキル基であり、該置換基は炭素数1乃至6の低級アルキル基または炭素数1乃至6のアルコキシ基である)である。
【0014】
更に、上記一般式(1)または(2)において、R3 は炭素数1乃至6のアルキレン基で、このアルキレン基は炭素数1乃至6の低級アルキル基を有してもよい。好適なアルキレン基はメチレン、エチレン、プロピレン及びブチレン基であり、置換基としてはメチル及びエチル基が好適である。
【0015】
上記一般式(1)または(2)で表されるアルコキシアルキルアミン類の例としては下記に示す通りのものが挙げられる。
N,N−ジメチル−N−(2−メトキシエチル)アミン、N,N−ジメチル−N−(2−エトキシエチル)アミン、N,N−ジメチル−N−(2−プロポキシエチル)アミン、N,N−ジエチル−N−(2−メトキシエチル)アミン、N,N−ジイソプロピル−N−(2−メトキシエチル)アミン、N,N−ジエチル−N−(2−エトキシエチル)アミン、N,N−ジイソプロピル−N−(2−エトキシエチル)アミン、N,N−ジメチル−N−(1−メトキシ−2−プロピル)アミン、N,N−ジエチル−N−(1−メトキシ−2−プロピル)アミン、N,N−ジメチル−N−(1−ジメチル−2−メトキシエチル)アミン、N,N−ジメチル−N−(1−エチル−2−メトキシエチル)アミン、N,N−ジメチル−N−(1−ジエチル−2−メトキシエチル)アミン、N,N−ジメチル−N−(1−メチル−2−エトキシエチル)アミン、N,N−ジメチル−N−(2−メトキシプロピル)アミン、N,N−ジエチル−N−(2−メトキシプロピル)アミン、N,N−ジメチル−N−(2−メトキシブチル)アミン、N,N−ジメチル−N−(2−エトキシプロピル)アミン、N,N−ジメチル−N−(2−メトキシ−2−メチルプロピル)アミン、N−メチル−N,N−ジ(2−メトキシエチル)アミン、N−エチル−N,N−ジ(2−メトキシエチル)アミン、N−メチル−N,N−ジ(2−エトキシエチル)アミン、N−メチル−N,N−ジ(1−メチル−2−メトキシエチル)アミン、N−メチル−N,N−ジ(1,1−ジメチル−2−メトキシエチル)アミン、N−メチル−N,N−ジ(2−メトキシプロピル)アミン、N−メチル−N,N−ジ(2−メトキシ−2−メチルプロピル)アミン、N,N,N−トリ(2−メトキシエチル)アミン、N,N,N−トリ(2−エトキシエチル)アミン、N,N,N−トリ(1−メチル−2−メトキシエチル)アミン、N,N,N−トリ(1,1−ジメチル−2−メトキシエチル)アミン、N,N,N−トリ(2−メトキシプロピル)アミン、N,N,N−トリ(2−メトキシ−2−メチルプロピル)アミン、N−(2−メトキシエチル)ピロリジン、N−(2−メトキシエチル)ピペリジン、N−(2−メトキシエチル)ピペラジン、N−(2−エトキシエチル)ピロリジン、N−(1−メトキシ−2−プロピル)ピロリジン、N−(1−ジメチル−2−メトキシエチル)ピロリジン、N−(2−メトキシプロピル)ピロリジン、N−(2−メトキシ−2−メチルプロピル)ピロリジンなどが挙げられる。
【0016】
これらのアルコキシアルキルアミン類として例示したもののうち好適なものは、3級アミンであるN,N−ジメチル−N−(2−メトキシエチル)アミン、N,N−ジメチル−N−(1−メトキシ−2−プロピル)アミン、N,N−ジメチル−N−(2−メトキシプロピル)アミン、N,N−ジエチル−N−(2−メトキシエチル)アミン、N,N−ジメチル−N−(2−エトキシエチル)アミン、N−メチル−N,N−ジ(2−メトキシエチル)アミン、N,N,N−トリ(2−メトキシエチル)アミン、N−(2−メトキシエチル)ピロリジン、N−(1−メトキシ−2−プロピル)ピロリジン、N−(2−メトキシプロピル)ピロリジンである。
【0017】
上記に例示したアルコキシアルキルアミン類と酸アニオンとから溶質である塩が構成される。この塩を構成する酸アニオンは、下記に例示するような有機酸または無機酸である。
有機酸としては、ポリカルボン酸であるアゼライン酸、2−メチルアゼライン酸、セバシン酸、1,6−デカンジカルボン酸、5,6−デカンジカルボン酸、7−ビニルヘキサデセン−1,16−ジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、チオジプロピオン酸などや、オキシカルボン酸である、グリコール酸、乳酸、酒石酸、サリチル酸、マンデル酸などや、モノカルボン酸として、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、アクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸、安息香酸、p−ニトロ安息香酸、アニス酸、ケイ皮酸、ナフトエ酸などがあり、その他に、ボロジシュウ酸、ボロジグリコール酸、ボロジサリチル酸、エチレングリコールホウ酸エステルなどもある。
【0018】
更に他の有機酸として、フェノール類であるフェノール、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、n−プロピルフェノール、イソプロピルフェノール、n−アミルフェノール、イソアミルフェノール、イソノニルフェノール、イソドデシルフェノール、オイゲノール、グアヤコール、ナフトール、シクロヘキシルフェノール、カテコール、レゾルシン、ピロガロール、フロログルシンなどがある。
【0019】
そのほか、リン酸エステル類として、メチルリン酸エステル、ジメチルリン酸エステル、イソプロピルリン酸エステル、ジイソプロピルリン酸、ブチルリン酸エステル、ジブチルリン酸エステル、2−エチルヘキシルリン酸エステル、ジ(2−エチルヘキシル)リン酸エステル、イソデシルリン酸エステル、ジイソデシルリン酸エステルなども挙げられる。
【0020】
無機酸としてはオルトリン酸、ホウ酸などが挙げられる。
【0021】
上記に例示した酸アニオンのうちで好適なものは、カルボン酸、モノ及びジアルキルリン酸エステルであり、特に好適なものは、フタル酸及びマレイン酸である。
【0022】
本発明の電解液における溶剤としては、有機極性溶剤を用いることができる。この有機極性溶剤の具体例は以下の通りであり、2種以上併用することもできる
【0023】
アルコール類として、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、ベンジルアルコール、アミルアルコール、フルフリルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ヘキシトールなどがある。
【0024】
エーテル類として、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどがある。
【0025】
アミド類として、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックアミドなどがある。
【0026】
オキサゾリジノン類として、N−メチル−2−オキサゾリジノン、3,5−ジメチル−2−オキサゾリジノンなどがある。
【0027】
ラクトン類として、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、β−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトンなどがある。
【0028】
ニトリル類として、アセトニトリル、アクリロニトリル、アジポニトリル、3−メトキシプロピオニトリルなどがある。
【0029】
カーボネート類として、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどがある。
【0030】
その他の有機溶剤として、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホオキシド、スルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、トルエン、キシレン、パラフィン類などがある。
【0031】
上記に例示した溶剤のうち好適なものは、γ−ブチロラクトン及びエチレングリコールを主体とする溶剤である。γ−ブチロラクトンと、エチレングリコールが1〜29重量%との混合比の溶媒が最も好ましい。
【0032】
本発明の電解液には必要により、種々の添加剤を添加することができる。添加剤としては、マンニトール、ソルビトール等の多価アルコールや、リン酸またはリン酸誘導体、ホウ酸誘導体、コロイダルシリカおよびニトロ化合物が挙げられる。
【0033】
【発明の実施の形態】
γ−ブチロラクトンを主体とする溶媒に対し、一般式(1)または(2)で表される3級アルコキシアルキルアミン類のカルボン酸塩を溶質とすることにより、液漏れ問題がなく高信頼性であり、そして高い電導度を有する電解液を得ることができる。
【0034】
【実施例】
以下、本発明の実施例1〜22の配合並びに得られた電解液の比抵抗を表1及び表2に示す。
【0035】
【表1】
Figure 0003934088
【0036】
【表2】
Figure 0003934088
【0037】
表1及び表2に示されている略記号は、それぞれ次の化合物を表す。
DMMEA−P:フタル酸モノN,N−ジメチル−N−(2−メトキシエチル)アミン塩
DMMEA−M:マレイン酸モノN,N−ジメチル−N−(2−メトキシエチル)アミン塩
DMMPA−P:フタル酸モノN,N−ジメチル−N−(1−メトキシ−2−プロピル)アミン塩
DMMnPA−P:フタル酸モノN,N−ジメチル−N−(2−メトキシプロピル)アミン塩
DEMEA−P:フタル酸モノN,N−ジエチル−N−(2−メトキシエチル)アミン塩
DMEEA−P:フタル酸モノN,N−ジエチル−N−(2−エトキシエチル)アミン塩
MDMEA−P:フタル酸モノN−メチル−N,N−ジ(2−メトキシエチル)アミン塩
TMEA−P:フタル酸モノN,N,N−トリ(2−メトキシエチル)アミン塩
MEP−P:フタル酸モノN−(2−メトキシエチル)ピロリジン塩
MPP−P:フタル酸モノN−(1−メトキシ−2−プロピル)ピロリジン塩
NMPP−P:フタル酸モノN−(2−メトキシプロピル)ピロリジン塩
MEP−M:マレイン酸モノN−(2−メトキシエチル)ピロリジン塩
GBL:γ−ブチロラクトン
EG:エチレングリコール
上述の化合物の代表的なもののアミンの製造例を次に示す。
【0038】
【製造例1】
実施例1〜12で用いられているアミンDMMEAの合成例1
N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アミン445.7g(5.0mol)に攪拌下で37%ホルマリン405.8g(5.0mol)を滴下し、ついで88%蟻酸313.8gを50℃以下で滴下し、その後88℃まで徐々に加熱して反応を完結させた。冷却後、水酸化ナトリウム200gを加えると上下層に分離したので、下層(水層)を除去し、上層をそのまま、あるいはシクロヘキサンを用いて還流脱水した後精留することにより、60.3乃至73.5%の収率で純度99%のN,N−ジメチル−N−(2−メトキシエチル)アミン(DMMEA)が得られた。
【0039】
【製造例2】
実施例1〜12で用いられているアミンDMMEAの合成例2
2−メトキシエタノール228.3g(3.0mol)、銅クロム酸化物触媒(日揮化学株式会社製N−203)11.4gをオートクレーブに入れ密封後、N,N−ジメチルアミン202.9g(4.5mol)を導入し、さらに水素を2MPaまで加圧し、230℃で20時間反応させた。得られた反応混合物を脱N,N−ジメチルアミンした後、ガスクロマトグラフィーにより分析したところ、目的物のN,N−ジメチル−N−(2メトキシエチル)アミンの含量は61.1%であった。これを合成例1と同様に精製することにより65.8%の収率で純度99%のN,N−ジメチル−N−(2−メトキシエチル)アミン(DMMEA)が得られた。
【0040】
DMMEAの合成例1と合成例2とによって得られたアミンは、そのフタル酸塩DMMEA−Pを用いた電解液の電導度、及びこれらの電解液を用いて得たアルミニウム電解コンデンサの特性の面で全く差異がみられなかった。
【0041】
【製造例3】
実施例19及び22で用いられているアミンMEPの製造例
2−メトキシエタノール150.0g(1.97mol)、銅クロム酸化物触媒(日揮化学株式会社製N−203)7.5g、ピロリジン210.3g(2.96mol)をオートクレーブに入れ、密封後水素を2MPaまで加圧して導入し、230℃で20時間反応させた。得られた反応混合物をガスクロマトグラフィ−により分析したところ、目的物のN−(2−メトキシエチル)ピロリジン(MEP)の含量は62.5%であった。これを精留することにより55.1%の収率で純度99%のN−(2−メトキシエチル)ピロリジン(MEP)が得られた。
【0042】
【製造例4】
実施例13で用いられているアミンDMMPAの合成
製造例2における2−メトキシエタノールのかわりに1−メトキシ−2−プロパノール270.3g(3.0mol)を用いる他は製造例2と同様に操作して、17.6%の収率で純度99%のN,N−ジメチル−N−(1−メトキシ−2−プロピル)アミンDMMPAが得られた。
【0043】
【製造例5】
実施例17で用いられているアミンMDMEAの合成
2−メトキシエタノール181.6g(2.39mol)、銅クロム酸化物触媒(日揮化学株式会社製N−203)7.1g、N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アミン141.7g(1.58mol)をオートクレーブに入れ、密封後水素を2MPaまで加圧して導入し、230℃で20時間反応させた。得られた反応混合物を精留することにより37.6%の収率で純度100%のN−メチル−N,N−ジ(2−メトキシエチル)アミン(MDMEA)が得られた。
【0044】
【製造例6】
実施例18で用いられているアミンTMEAの合成
2−メトキシエタノール500g(6.57mol)、安定化ニッケル触媒(日揮化学株式会社製N−103)26.3gをオートクレーブに入れ、密封後アンモニア24.9g(1.46mol)を導入し、さらに水素を1MPaまで加圧して導入し、230℃で20時間反応させた。得られた反応混合物をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、目的物のN,N,N−トリ(2−メトキシエチル)アミンの含量は50.5%であった。これを精留することにより54.6%の収率で純度99%のN,N,N−トリ(2−メトキシエチル)アミン(TMEA)が得られた。
【0045】
次に、本発明とその作用、効果を比較するために得た比較例1〜6の電解液について、その配合並びに得られた電解液の比抵抗3に示す。
【0046】
【表3】
Figure 0003934088
【0047】
表3に示されている略記号は、それぞれ次の化合物を表す。
EAH−P:フタル酸モノテトラメチルアンモニウム塩(4級アンモニウム塩)
PMG−M:マレイン酸モノ1、1、2、3、3−ペンタメチルグアニジン塩
PIPG−M:マレイン酸モノ1、1、2、3、3−ペンタイソプロピルグアニジン塩
DMEA−P:フタル酸モノジメチルエタノールアミン塩
TEA−P:フタル酸モノトリエチルアミン塩
TEA−M:マレイン酸モノトリエチルアミン塩
GBL:γ−ブチロラクトン
EG:エチレングリコール
【0048】
表1及び2と表3との比較によって明らかなように、フタル酸塩である本発明の実施例2〜4、7〜8、13〜16、19〜21は、同じくフタル酸塩である比較例4、5と較べて比抵抗が低く、またマレイン酸塩である本発明の実施例12、22は同じくマレイン酸塩である比較例2、3、6と較べて比抵抗が低く、本発明の実施例の電解液は電導度が高いことがわかる。なお、比較例1の比抵抗が低いのは、溶質として4級アンモニウム塩を用いていることによる。
【0049】
さらに、本発明の実施例の中でも、エチレングリコールが未添加の実施例1及びエチレングリコールの添加量が30.0重量%の実施例5においては、他の実施例2〜4、6〜9、12〜17及び19〜22に較べて比抵抗が高くなり、低比抵抗用途に不向きである。従って、エチレングリコールの添加量は1〜29重量%の範囲が好ましい。
【0050】
また、本発明の実施例の中で、溶質濃度が45.0重量%以上の実施例9や、10.0重量%以下の実施例10、11では、その他の実施例より比抵抗が高くなり、低比抵抗用途に不向きである。従って、溶質濃度は15〜40重量%の範囲が好ましい。
【0051】
表1、2、3の電解液を使用して6.3V−1000μF(φ10×12.5mmL)のアルミニウム電解コンデンサを各10個を作製し、tanδ、等価直列抵抗について初期特性測定後、高温印加試験(105℃、1000時間、6.3V印加)を行い表4、5の結果を得た。
【0052】
【表4】
Figure 0003934088
【0053】
【表5】
Figure 0003934088
【0054】
表4から明らかなように、電解液の溶質にフタル酸塩を用いている場合、本発明の実施例2〜4、6〜8、13〜20は比較例、4及び5と較べて、高温印加試験においてtanδおよび等価直列抵抗の増大が抑制され、優れた特性を示していることがわかる。
【0055】
また表5から明らかなように、電解液の溶質にマレイン酸塩を用いている場合、本発明の実施例12及び22は比較例2、3、6と較べて、高温印加試験においてtanδおよび等価直列抵抗の増大が抑制され、優れた特性を示していることがわかる。
【0056】
次に、本発明の実施例2〜4、6〜8、12〜22と比較例1の電解液を使用して、6.3V−1000μF(φ10×12.5mmL)のアルミニウム電解コンデンサを各10個を作製し、温度85℃、相対湿度85%の高温高湿条件下で2000時間6.3V印加し、封口部のリード孔部からの液漏れの有無を調べ、表6の結果を得た。
【0057】
【表6】
Figure 0003934088
【0058】
表6から明らかなように、本発明の実施例2〜4、6〜8、12〜22の電解液を用いたアルミニウム電解コンデンサは、4級アンモニウム塩を溶質として用いている比較例1と較べて、高湿度条件下においても液漏れがなく、優れた信頼性を示していることがわかる。
【0059】
なお、本発明の一般式(1)または(2)で表されるアルコキシアルキルアミン類のカチオンとカルボン酸アニオンとから構成される塩の有機極性溶剤溶液からなる電解液は、実施例に限定されるものではなく、先に記載した各種化合物を単独または複数溶解した電解液を用いることができる。
【0060】
【発明の効果】
上記の如く、本発明による一般式(1)または(2)で表されるアルコキシアルキルアミン類のカチオンと酸アニオンとの塩を溶質として溶解した電解液は、高い電導度(低比抵抗)が得られ、この電解液を使用したアルミニウム電解コンデンサは、tanδおよび等価直列抵抗が小さく、高温印加試験においてtanδおよび等価直列抵抗の増大が抑制されて長寿命、高信頼性のアルミニウム電解コンデンサを実現できるとともに、高湿度条件下で電圧が印加された場合においても、リード孔部からの液漏れがない優れた信頼性を有するアルミニウム電解コンデンサを実現するものである。

Claims (9)

  1. 有機極性溶媒に対し、溶質として3級以下のアルコキシアルキルアミン類のカチオンと酸アニオンとの塩を溶解してなる電解コンデンサの駆動用電解液。
  2. 請求項1において、上記アルコキシアルキルアミン類のカチオンは一般式(1)で表されることを特徴とする電解コンデンサの駆動用電解液。
    Figure 0003934088
    式中、R1 、R2 の少なくとも一方は、それぞれ水素原子若しくは炭素数が1乃至12の直鎖状または分枝状のアルキル基、R3は置換基を有してもよい炭素数が1乃至6のアルキル基、R4 は炭素数が1乃至6の低級アルキル基または炭素数が1乃至6のアルキル基である。
  3. 請求項2において、R1 及びR2を構成するアルキル基の少なくとも一方は、置換基として炭素数が1乃至6のアルコキシ基または炭素数が1乃至6のアシルオキシ基を有することを特徴とする電解コンデンサの駆動用電解液。
  4. 請求項1において、上記アルコキシアルキルアミン類のカチオンは一般式(2)で表わされることを特徴とする電解コンデンサの駆動用電解液。
    Figure 0003934088
    式中、R3、はそれぞれ前記と同義であり、mおよびnは1または2であり、YはCH、酸素原子、硫黄原子、またはN−R基(Rは置換基を有してもよい炭素数1乃至6の低級アルキル基であり、該置換基は炭素数1乃至6の低級アルキル基または炭素数1乃至6のアルコキシ基である)である。
  5. 請求項1記載のアルコキシアルキルアミン類が、3級アミンであるN,N−ジメチル−N−(2−メトキシエチル)アミン、N,N−ジメチル−N−(1−メトキシ−2−プロピル)アミン、N,N−ジメチル−N−(2−メトキシプロピル)アミン、N,N−ジエチル−N−(2−メトキシエチル)アミン、N,N−ジメチル−N−(2−エトキシエチル)アミン、N−メチル−N,N−ジ(2−メトキシエチル)アミン、N,N,N−トリ(2−メトキシエチル)アミン、N−(2−メトキシエチル)ピロリジン、N−(1−メトキシ−2−プロピル)ピロリジン、N−(2−メトキシプロピル)ピロリジンから選ばれた化合物であることを特徴とする電解コンデンサの駆動用電解液。
  6. 請求項1記載の酸アニオンが、カルボン酸からなる群から選ばれる有機酸であることを特徴とする電解コンデンサの駆動用電解液。
  7. 請求項6記載の有機酸が、フタル酸またはマレイン酸であることを特徴とする電解コンデンサの駆動用電解液。
  8. 請求項1記載の有機極性溶媒がγ−ブチロラクトンおよび/またはエチレングリコールからなることを特徴とする電解コンデンサの駆動用電解液
  9. 有機極性溶媒がγ−ブチロラクトンと、エチレングリコールが1〜29重量%との混合溶媒であることを特徴とする請求項8記載の電解コンデンサの駆動用電解液。
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