JP2017201673A - アルミ電解コンデンサ用電解液及びそれを用いたアルミ電解コンデンサ - Google Patents
アルミ電解コンデンサ用電解液及びそれを用いたアルミ電解コンデンサ Download PDFInfo
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Abstract
【課題】 本発明の課題は、従来の1,6−デカンジカルボン酸を用いた電解液の課題であった、耐電圧が高く、低温での動作性に優れた中高圧用アルミ電解コンデンサ用電解液を提供することを目的とする。
【解決手段】 下記一般式(I)で示される化合物を0.1質量%〜20質量%含み、電解質として炭素数5〜20のカルボン酸及び/又はその塩を含むことを特徴とするアルミ電解コンデンサ用電解液。
(式中、A−XはCH−OH、CH−OR20,又はC=CR30R31を示す。また、R1は水素原子、アリル基、又はビニル基を示し、R2は水素原子、メチル基、又は−(CH2)nOR12を示す。nは1又は2である。さらに、R12は水素原子、アリル基、又はビニル基を示し、R20はイソプロピル基、t−ブチル基、フェニル基、フェノキシエチル基、又はCH2CH2OCH=CH2を示し、R30〜R32はそれぞれ独立して水素原子、メチル基、又はエチル基を示す。)
【選択図】 なし
【解決手段】 下記一般式(I)で示される化合物を0.1質量%〜20質量%含み、電解質として炭素数5〜20のカルボン酸及び/又はその塩を含むことを特徴とするアルミ電解コンデンサ用電解液。
(式中、A−XはCH−OH、CH−OR20,又はC=CR30R31を示す。また、R1は水素原子、アリル基、又はビニル基を示し、R2は水素原子、メチル基、又は−(CH2)nOR12を示す。nは1又は2である。さらに、R12は水素原子、アリル基、又はビニル基を示し、R20はイソプロピル基、t−ブチル基、フェニル基、フェノキシエチル基、又はCH2CH2OCH=CH2を示し、R30〜R32はそれぞれ独立して水素原子、メチル基、又はエチル基を示す。)
【選択図】 なし
Description
本発明は、中高圧用アルミ電解コンデンサの駆動用電解液に関する。
従来、中高圧用アルミ電解コンデンサの駆動用電解液としては、耐電圧が比較的高く得られることから、エチレングリコールを溶媒に、ホウ酸又はホウ酸アンモニウムを電解質として溶解した電解液が用いられてきた。しかしながら、このような電解液は、電気伝導性が低く、しかもエチレングリコールとホウ酸のエステル化により生成した酸性の水がアルミニウム酸化皮膜と反応して電極を劣化させるという問題があった。また電解液中の水分量の増加は100℃以上の高温環境下での使用において、デバイスの内圧上昇によるデバイスの破損の原因となる問題もあった。
そこで、このような問題を解決するために、近年、電解質成分として、例えば、1,6−デカンジカルボン酸などのジカルボン酸及び/又はその塩を含有した電解液が報告されている(例えば、特許文献1)。しかしながら、1,6−デカンジカルボン酸及び/又はその塩を使用した電解液についても、工業的に十分な耐電圧を満足するとは言いがたかった。また汎用的に用いられるエチレングリコール溶媒は、低温で固化するため低温動作性の高い電解液とは言えなかった。特許文献2には耐電圧を向上させる目的にて、テトラエチレングリコールアルキルエーテル等の溶媒が添加されるとの記載があるが、低温動作性が悪化するため実用的な電解液とは言えなかった。そのため、耐電圧が高くかつ低温動作性に優れた実用性の高い中高圧用アルミ電解コンデンサの駆動用電解液が切望されている。
特許文献3には、シトロネロールやネロールなどの長鎖のテルペンアルコールが記載され、比抵抗を増大することのない、火花発生電圧の高い電解コンデンサ用電解液が記載されている。本技術の問題は長鎖アルコールの溶解度が低いことであり、組成によっては分離し、実用性の高い電解液とは言えなかった。
特許文献3には、シトロネロールやネロールなどの長鎖のテルペンアルコールが記載され、比抵抗を増大することのない、火花発生電圧の高い電解コンデンサ用電解液が記載されている。本技術の問題は長鎖アルコールの溶解度が低いことであり、組成によっては分離し、実用性の高い電解液とは言えなかった。
本発明の課題は、従来の1,6−デカンジカルボン酸を用いた電解液の課題であった、耐電圧が高く、低温での動作性に優れた中高圧用アルミ電解コンデンサ用電解液を提供することである。
上記課題を解決するため、鋭意検討を進めた結果、次の(1)及び(2)の発明によって解決されることを見出した。
(1)下記一般式(I)で示される化合物を0.1質量%〜20質量%含み、電解質として炭素数5〜20のカルボン酸及び/又はその塩を含むことを特徴とするアルミ電解コンデンサ用電解液。
(2)前記(1)の電解液を用いたアルミ電解コンデンサ。
本願発明では、1,6−デカンジカルボン酸を用いた電解液の問題であった耐電圧を向上させることができる。更に低温での固化を防ぐ事ができ、低温動作性に優れた実用性の高いアルミ電解コンデンサ用の電解液を提供できる。
次に、本発明の実施態様を説明する。
本発明の電解液においては、前記一般式(I)で示される化合物として、一般式(II)〜(IV)の化合物を好適に使用できる。
一般式(II)で示される化合物として、好ましくは1,3−ビスアリルオキシプロパン−2−オール、1−アリルオキシ−3−ビニルオキシプロパン−2−オール、1,3−ビスビニルオキシプロパン−2−オール、3−アリルオキシプロパン−1、2−ジオール、3−ビニルオキシプロパン−1、2−ジオール、1,4−ビスアリルオキシブタン−2−オール、4−アリルオキシ−1−ビニルオキシブタン−2−オール、4−ビニルオキシ−1−アリルオキシブタン−2−オール、1,4−ビスビニルオキシタン−2−オール、4−アリルオキシブタン−1、3−ジオール、又は4−ビニルオキシブタン−1、3−ジオールである。
さらに好ましくは1,3−ビスアリルオキシプロパン−2−オール、3−アリルオキシプロパン−1、2−ジオール、又は1,4−ビスアリルオキシブタン−2−オールであり、特に好ましくは1,3−ビスアリルオキシプロパン−2−オールである。
さらに好ましくは1,3−ビスアリルオキシプロパン−2−オール、3−アリルオキシプロパン−1、2−ジオール、又は1,4−ビスアリルオキシブタン−2−オールであり、特に好ましくは1,3−ビスアリルオキシプロパン−2−オールである。
一般式(III)で示される化合物として、好ましくはエチレングリコールモノイソプロピルエーテルもしくはエチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテルなどの嵩高いエチレングリコールモノアルキルエーテルもしくはジエチレングリコールモノアルキルエーテル、又はエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、もしくはジエチレングリコールモノビニルエーテルなどの不飽和結合を有するエチレングリコールもしくはジエチレングリコールである。
さらに好ましくはエチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、又はジエチレングリコールモノビニルエーテルである。
さらに好ましくはエチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、又はジエチレングリコールモノビニルエーテルである。
一般式(IV)で示される化合物として、3−メチル−2−ブテン−1−オール、2,3−ジメチル−2−ブテン−1−オール、2−ペンテン−1−オール、2−メチル−2−ペンテン−1−オール、3−メチル−2−ペンテン−1−オール、2−メチル−2−プロペン−1−オール、又は2−エチル−2−プロペン−1−オールが好適に挙げられる。中でも、好ましくは3−メチル−2−ブテン−1−オール、又は2,3−ジメチル−2−ブテン−1−オールであり、さらに好ましくは3−メチル−2−ブテン−1−オールである。
本発明の一般式(I)〜(IV)で表される化合物は市販品をそのまま使用する事ができるが、市販品が無いものは適宜、アルコール化合物とハロゲン化アルキル又はハロゲン化アルケンとのウィリアムソン反応により合成される。また、本発明で使用される一般式(I)〜(IV)で表される化合物はアルミ電解コンデンサ用電解液の構成成分として有用な化合物である。
本発明の前記一般式(I)〜(IV)で表される化合物は、これらを単独で使用しても、又は複数種類を混合して使用してもいずれであってもよい。またその使用量は、アルミ電解コンデンサ用電解液の性能に悪影響を与えない量であれば特に制限されないが、好ましくは0.1〜20質量%が使用される。その下限として、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは2質量%以上、特に好ましくは5質量%以上であると耐電圧向上効果が高まるので好ましい。その上限として、より好ましくは18質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下であり、特に好ましくは12質量%以下であると電気伝導率の低下量が小さくなるので好ましい。
本発明で使用される一般式(I)〜(IV)で表される化合物が好ましい理由は、以下の点が考えられる。
前記化合物が、β位に嵩高い基もしくは不飽和結合を有する炭化水素基を有する、かあるいはβ位に直接不飽和基を有するため、前記化合物と溶媒との水素結合が弱くなり、その作用で凝固点を下げられる効果が生じること。
また前記化合物のうち不飽和結合を有する場合は、該化合物がアルミ陽極に付加し、保護被膜を形成する事により耐電圧が向上すること。
前記化合物が、β位に嵩高い基もしくは不飽和結合を有する炭化水素基を有する、かあるいはβ位に直接不飽和基を有するため、前記化合物と溶媒との水素結合が弱くなり、その作用で凝固点を下げられる効果が生じること。
また前記化合物のうち不飽和結合を有する場合は、該化合物がアルミ陽極に付加し、保護被膜を形成する事により耐電圧が向上すること。
本発明の電解液では、電解質成分として、前記一般式(I)〜(IV)で表される化合物とともに、炭素数5〜20のカルボン酸及び/又はその塩を用いる。カルボン酸の塩としては、アンモニウム塩あるいは炭素原子数1〜20の有機アミン塩が好適に挙げられる。具体的には、アンモニウム塩、メチルアミン、エチルアミン、又はt−ブチルアミン等の第一級アミン塩、ジメチルアミン、エチルメチルアミン、又はジエチルアミン等の第二級アミン塩、トリメチルアミン、ジエチルメチルアミン、エチルジメチルアミン、又はトリエチルアミン等の第三級アミン塩、及びテトラメチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、又はテトラエチルアンモニウム等の第四級アンモニウム塩あるいはこれら化合物から選ばれる少なくとも1種以上の化合物の混合物等が好適に挙げられるが、より好ましくは、アンモニウム塩である。
炭素数5〜20のカルボン酸として好ましくは、ピバル酸、3,3−ジメチルブタン酸、2,2−ジイソプロピルプロパン酸、ヘキサン酸、2−エチルヘキサン酸、2−エチルブタン酸、2,2−ジメチルヘキサン酸、シクロヘキサンカルボン酸、ソルビン酸、桂皮酸、11−シアノウンデカン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、デカン酸等のモノカルボン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、1,7−オクタンジカルボン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,6−デカンジカルボン酸、又は5,6−デカンジカルボン酸等のジカルボン酸である。
さらに好ましくはグルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、1,7−オクタンジカルボン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,6−デカンジカルボン酸、又は5,6−デカンジカルボン酸等のジカルボン酸であり、特に好ましくはアジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、又は1,6−デカンジカルボン酸である。
さらに好ましくはグルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、1,7−オクタンジカルボン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,6−デカンジカルボン酸、又は5,6−デカンジカルボン酸等のジカルボン酸であり、特に好ましくはアジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、又は1,6−デカンジカルボン酸である。
[カルボン酸又はその塩の使用量]
本発明の炭素数5〜20のカルボン酸及び/又はその塩を含有するアルミ電解コンデンサ用電解液において使用されるカルボン酸及び/又はその塩は、これらを単独で使用しても、又は複数種類を混合して使用してもいずれでもよい。またその使用量は、アルミ電解コンデンサ用電解液の性能に悪影響を与えない量であれば特に制限されないが、好ましくは1〜20質量%が使用される。その下限として、好ましくは2質量%以上、より好ましくは2.5質量%以上であり、特に好ましくは5質量%以上であると電気伝導率が高くなるので好ましい。その上限として、好ましくは18質量%以下、より好ましくは15質量%以下、特に好ましくは12質量%以下であると耐電圧が高まるので好ましい。
本発明の炭素数5〜20のカルボン酸及び/又はその塩を含有するアルミ電解コンデンサ用電解液において使用されるカルボン酸及び/又はその塩は、これらを単独で使用しても、又は複数種類を混合して使用してもいずれでもよい。またその使用量は、アルミ電解コンデンサ用電解液の性能に悪影響を与えない量であれば特に制限されないが、好ましくは1〜20質量%が使用される。その下限として、好ましくは2質量%以上、より好ましくは2.5質量%以上であり、特に好ましくは5質量%以上であると電気伝導率が高くなるので好ましい。その上限として、好ましくは18質量%以下、より好ましくは15質量%以下、特に好ましくは12質量%以下であると耐電圧が高まるので好ましい。
[本発明で使用できるジニトリル化合物]
本発明ではジニトリル化合物を使用できる。ジニトリル化合物として、好ましくはマロノニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリル、スベロニトリル、1,10−ジシアノデカン、2−メチルグルタロニトリル、1,6−ジシアノデカン、又はベンゾニトリルである。
さらに好ましくはグルタロニトリル、アジポニトリル、スベロニトリル、1,10−ジシアノデカン、2−メチルグルタロニトリル、1,6−ジシアノデカン、又はベンゾニトリルであり、特に好ましくはアジポニトリル又はベンゾニトリルである。これらのジニトリル化合物は単独、あるいは複数種類を混合して添加してもよい。
本発明ではジニトリル化合物を使用できる。ジニトリル化合物として、好ましくはマロノニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリル、スベロニトリル、1,10−ジシアノデカン、2−メチルグルタロニトリル、1,6−ジシアノデカン、又はベンゾニトリルである。
さらに好ましくはグルタロニトリル、アジポニトリル、スベロニトリル、1,10−ジシアノデカン、2−メチルグルタロニトリル、1,6−ジシアノデカン、又はベンゾニトリルであり、特に好ましくはアジポニトリル又はベンゾニトリルである。これらのジニトリル化合物は単独、あるいは複数種類を混合して添加してもよい。
[本発明で使用できるアルキニルアルコール化合物]
本発明ではアルキニルアルコール化合物を使用できる。アルキニルアルコール化合物として、好ましくは2−プロピン−1−オール、3−ブチン−2−オール、3−ブチン−2−メチル−2−オール、2−ブチン−1,4−ジオール、3−ヘキシン−2,5−ジオール、又は2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオールである。
さらに好ましくは2−プロピン−1−オール、3−ブチン−2−オール、又は3−ブチン−2−メチル−2−オールであり、特に好ましくは2−プロピン−1−オールである。これらのアルキニルアルコール化合物は単独あるいは複数種類を混合して添加してもよい。
本発明ではアルキニルアルコール化合物を使用できる。アルキニルアルコール化合物として、好ましくは2−プロピン−1−オール、3−ブチン−2−オール、3−ブチン−2−メチル−2−オール、2−ブチン−1,4−ジオール、3−ヘキシン−2,5−ジオール、又は2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオールである。
さらに好ましくは2−プロピン−1−オール、3−ブチン−2−オール、又は3−ブチン−2−メチル−2−オールであり、特に好ましくは2−プロピン−1−オールである。これらのアルキニルアルコール化合物は単独あるいは複数種類を混合して添加してもよい。
[本発明で使用できる添加物]
本発明の電解液中には、漏れ電流の低減、耐電圧向上、ガス吸収等の目的で種々の添加剤を更に加えることができる。例えば、リン酸化合物、リン酸エステル化合物、ニトロ化合物、ホウ酸化合物、多価アルコール類、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンランダム共重合体、及びブロック共重合体に代表される高分子化合物が好適に挙げられる。また、上記リン酸化合物およびリン酸エステル化合物としては、例えば、オルトリン酸、ピロリン酸、次亜リン酸、亜リン酸、二亜リン酸、ピロ亜リン酸、イソ次リン酸、次リン酸、リン酸ブチル、リン酸イソブチル、リン酸オクチル等が挙げられ、リン酸化合物、及びリン酸エステル化合物の塩としてはアンモニウム塩、アルミニウム塩等が好適に挙げられる。ここで、ニトロ化合物としては、例えば、ニトロアニソール、ニトロアニリン、ニトロ安息香酸、ニトロトルエン、ニトロフェノール、ニトロベンジルアルコール、ニトロアセトフェノン等が好適に挙げられる。
本発明の電解液中には、漏れ電流の低減、耐電圧向上、ガス吸収等の目的で種々の添加剤を更に加えることができる。例えば、リン酸化合物、リン酸エステル化合物、ニトロ化合物、ホウ酸化合物、多価アルコール類、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンランダム共重合体、及びブロック共重合体に代表される高分子化合物が好適に挙げられる。また、上記リン酸化合物およびリン酸エステル化合物としては、例えば、オルトリン酸、ピロリン酸、次亜リン酸、亜リン酸、二亜リン酸、ピロ亜リン酸、イソ次リン酸、次リン酸、リン酸ブチル、リン酸イソブチル、リン酸オクチル等が挙げられ、リン酸化合物、及びリン酸エステル化合物の塩としてはアンモニウム塩、アルミニウム塩等が好適に挙げられる。ここで、ニトロ化合物としては、例えば、ニトロアニソール、ニトロアニリン、ニトロ安息香酸、ニトロトルエン、ニトロフェノール、ニトロベンジルアルコール、ニトロアセトフェノン等が好適に挙げられる。
本発明のアルミ電解コンデンサ用電解液に使用する溶媒は、本発明の電解液成分である一般式(1)で表される化合物、カルボン酸化合物及び/又はその塩を溶解できるものであれば、特に制限されない。本発明の電解液に使用することができる溶媒としては、水;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,4−ブタンジオール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブなどのアルコール類;γ−ブチロラクトンなどのラクトン類; エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート類;メチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド、エチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、メチルアセトアミド、ジメチルアセトアミド、エチルアセトアミド、ジエチルアセトアミドなどのアミド類;ジメチルスルホキシドなどのオキシド類;スルホラン、N−メチルピロリドン等を好適に挙げることができる。なお、これらの溶媒は、単独で使用しても、複数種類を混合した混合溶媒として使用してもよい。また、本発明のアルミ電解コンデンサ用電解液に使用する溶媒として、好ましくは水及び/又はエチレングリコールが使用される。
本発明のアルミ電解コンデンサ用電解液において、当該電解液の溶媒量は、使用する蓄電デバイスの用途および定格電圧等により異なるため、特に制限されないが、溶媒量は50〜93質量%が使用される。また、本発明の電解液のpHは5〜7が好ましく、特に6付近になるようにカルボン酸とその塩との比率を調整することが好ましい。
[本発明のアルミ電解コンデンサ用電解液を適用するアルミ電解コンデンサ]
本発明の電解液を適用するアルミ電解コンデンサとしては、特に限定されず、例えば、捲き取り形のアルミニウム電解コンデンサであって、陽極表面に酸化アルミニウムが形成された陽極(酸化アルミニウム箔)と陰極アルミニウム箔との間に、セパレーターを介在させて捲回することにより構成されたコンデンサ等が挙げられる。この電解コンデンサに、本発明の電解液を駆動用電解液としてセパレーターに含浸し、陽陰極と共に、例えば、有底筒状のアルミニウムケースに収納した後、アルミニウムケースの開口部を封口材で密封することで、アルミニウム電解コンデンサを製造することができる。
本発明の電解液を適用するアルミ電解コンデンサとしては、特に限定されず、例えば、捲き取り形のアルミニウム電解コンデンサであって、陽極表面に酸化アルミニウムが形成された陽極(酸化アルミニウム箔)と陰極アルミニウム箔との間に、セパレーターを介在させて捲回することにより構成されたコンデンサ等が挙げられる。この電解コンデンサに、本発明の電解液を駆動用電解液としてセパレーターに含浸し、陽陰極と共に、例えば、有底筒状のアルミニウムケースに収納した後、アルミニウムケースの開口部を封口材で密封することで、アルミニウム電解コンデンサを製造することができる。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1は、本発明の実施例および比較例におけるアルミ電解コンデンサ用電解液の組成、アルミプレーン箔を用いて10mA/cm2の電流密度の定電流で化成した際の耐電圧(V)を示したものである。
耐電圧は、容器に対象の電解液を入れ、アルミプレーン箔を浸漬し電極を付け室温にて測定した。
この電解液を用い、シンチレーションが観測された電圧として耐電圧を測定した。
−40℃での状態は電解液を−40℃のバスに1時間浸漬後に観察した。電解液が固体になり流動性が無くなった場合は固化と表記し、流動性がありかつ固形物が析出していない場合は液状と表記する。
電解液の調製方法について実施例1の電解液を例に以下に示す。他の電解液は表1及び表2に記載の組成で実施例1の調製方法と同様に調製した。
[実施例1に記載の電解液の調製]
100mlの三口フラスコに、1,6−デカンジカルボン酸(10.0g)を正確に秤量し、溶媒としてエチレングリコール(77g)と水(3g)を加え、同フラスコにpHメーター、ガス吹き込み口を装着した。これを40℃の水バスに浸漬し、窒素ガスを少量流しながらカルボン酸が完全に溶解するまで攪拌した。完全に溶解を確認した後に、アンモニアガスを導入し40℃でpH=6(所定のpH)になるまで調整を行い、その後1,3−ビスアリルオキシプロパン−2−オール(10.0g)を加え電解液を調製した。30℃にて電解液の耐電圧を測定した。
100mlの三口フラスコに、1,6−デカンジカルボン酸(10.0g)を正確に秤量し、溶媒としてエチレングリコール(77g)と水(3g)を加え、同フラスコにpHメーター、ガス吹き込み口を装着した。これを40℃の水バスに浸漬し、窒素ガスを少量流しながらカルボン酸が完全に溶解するまで攪拌した。完全に溶解を確認した後に、アンモニアガスを導入し40℃でpH=6(所定のpH)になるまで調整を行い、その後1,3−ビスアリルオキシプロパン−2−オール(10.0g)を加え電解液を調製した。30℃にて電解液の耐電圧を測定した。
表3に記載の電解液の調製方法について実施例11の電解液を例に以下に示す。
[実施例11に記載の電解液の調製]
100mlの三口フラスコに、1,6−デカンジカルボン酸(10.0g)およびアジポニトリル(5.0g)を正確に秤量し、溶媒としてエチレングリコール(72g)と水(3g)を加え、同フラスコにpHメーター、ガス吹き込み口を装着した。これを40℃の水バスに浸漬し、窒素ガスを少量流しながらカルボン酸が完全に溶解するまで攪拌した。完全に溶解を確認した後に、アンモニアガスを導入し40℃でpH=6(所定のpH)になるまで調整を行い、その後1,3−ビスアリルオキシプロパン−2−オール(10.0g)を加え電解液を調製した。30℃にて電解液の耐電圧を測定した。
100mlの三口フラスコに、1,6−デカンジカルボン酸(10.0g)およびアジポニトリル(5.0g)を正確に秤量し、溶媒としてエチレングリコール(72g)と水(3g)を加え、同フラスコにpHメーター、ガス吹き込み口を装着した。これを40℃の水バスに浸漬し、窒素ガスを少量流しながらカルボン酸が完全に溶解するまで攪拌した。完全に溶解を確認した後に、アンモニアガスを導入し40℃でpH=6(所定のpH)になるまで調整を行い、その後1,3−ビスアリルオキシプロパン−2−オール(10.0g)を加え電解液を調製した。30℃にて電解液の耐電圧を測定した。
本発明の電解液は、耐電圧が高く、また低温での動作性に優れており、特に中高電圧用のアルミ電解コンデンサに好適に用いられる。
Claims (8)
- 下記一般式(I)で示される化合物を0.1質量%〜20質量%含み、電解質として炭素数5〜20のカルボン酸及び/又はその塩を含むことを特徴とするアルミ電解コンデンサ用電解液。
- 前記一般式(I)で示される化合物が下記一般式(II)〜(IV)のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載のアルミ電解コンデンサ用電解液。
(式中、R11はアリル基又はビニル基を示し、R12は水素原子、アリル基、又はビニル基を示し、R21は水素原子を示す。nは1〜2の整数である。また、R20及びR30〜R32は前記と同義である。) - 一般式(II)で示される化合物の、nが1であることを特徴とする請求項2に記載のアルミ電解コンデンサ用電解液。
- 一般式(II)で示される化合物の、R12がアリル基又はビニル基であることを特徴とする請求項2に記載のアルミ電解コンデンサ用電解液。
- 炭素数5〜20のカルボン酸がジカルボン酸である請求項1に記載のアルミ電解コンデンサ用電解液。
- ジニトリル化合物、芳香族ニトリル化合物及びアルキニルアルコール化合物からなる群より選ばれる化合物を一つ以上含むことを特徴とする請求項1〜5に記載のアルミ電解コンデンサ用電解液。
- 請求項1〜6に記載のジカルボン酸が1,6−デカンジカルボン酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、及びセバシン酸からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物であるアルミ電解コンデンサ用電解液。
- 請求項1〜7に記載の電解液を用いたアルミ電解コンデンサ。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN115394560A (zh) * | 2022-08-22 | 2022-11-25 | 韶关东阳光电容器有限公司 | 一种耐低温高压的电解液及其制备方法与应用 |
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2016
- 2016-06-07 JP JP2016113340A patent/JP2017201673A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN115394560A (zh) * | 2022-08-22 | 2022-11-25 | 韶关东阳光电容器有限公司 | 一种耐低温高压的电解液及其制备方法与应用 |
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