JP3315812B2 - 電解コンデンサ駆動用電解液 - Google Patents

電解コンデンサ駆動用電解液

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電解コンデンサ駆動用
電解液に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、電解コンデンサ等の電解液とし
て、第四級アンモニウム塩を溶質としたもの(特公平3
−6646号公報、特公平3−8092号公報)、ジア
ザビシクロアルケン類の塩を溶質としたもの(特公平3
−79856号)などが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、第四級
アンモニウム塩を溶質としたものは比電導度は高いが封
口ゴムを劣化させ液漏れしやすい欠点がある。一方ジア
ザビシクロアルケン類の塩を溶質としたものは比電導度
が不十分である。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、封口ゴム
を劣化させず液漏れの欠点がなく、かつ比電導度の高い
バランスの良い電解液を得るために鋭意検討した結果、
本発明に到達した。すなわち、本発明は下記一般式
(1)で示されるかまたは1−メチルイミダゾリンもし
くは1−メチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミ
ジンであるシクロアミジン類の塩を溶質とすることを特
徴とする電解コンデンサ駆動用電解液である。 一般式
【0005】
【化2】
【0006】式中、R1、R2は炭素数1〜11のアル
キル基、アルケニル基、アリール基またはアラルキル基
であり、該アルキル基、アルケニル基、アリール基また
はアラルキル基は水酸基、カルボキシル基、またはエー
テル基で置換されていてもよい。R3は−(CH22
または−(CH23−であり、該−(CH22−または
−(CH23−は炭素数1〜4のアルキル基またはヒド
ロキシアルキル基で置換されていてもよい。
【0007】
【作用】本発明の電解液はシクロアミジン類の塩を形成
する塩基成分が第四級アンモニウム塩のものに比べ塩基
性が弱いため封口ゴムを劣化せず液漏れしないと考えら
れる。また、ジアザビシクロアルケン類の塩に比べ、分
子量が小さくイオンの移動が容易で高電導度となるとと
もに、さらにN−C−Nのアミジン基を有する環のひず
みが少なく熱安定性が向上すると思われる。
【0008】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。シ
クロアミジン類としては、1−メチルイミダゾリン、
1,2−ジメチルイミダゾリン、1−メチル−2−エチ
ルイミダゾリン、1−メチル−2−プロピルイミダゾリ
ン、1−メチル−2−ブチルイミダゾリン、1−メチル
−2−ペンチルイミダゾリン、1−メチル−2−ヘキシ
ルイミダゾリン、1−メチル−2−ヘプチルイミダゾリ
ン、1−メチル−2−オクチルイミダゾリン、1−メチ
ル−2−ヒドロキシエチルイミダゾリン、1−メチル−
2−フェニルイミダゾリン、1−メチル−2−ベンジル
イミダゾリン、1−エチル−2−メチルイミダゾリン、
1−ブチル−2−メチルイミダゾリン、1−ベンジル−
2−メチルイミダゾリン、1−フェニル−2−メチルイ
ミダゾリン、1−ヒドロキシエチル−2−メチルイミダ
ゾリン、1,2,4−トリメチルイミダゾリン、1,4
−ジメチル−2−エチルイミダゾリン、1−メチル−
1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1,2−ジ
メチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジンおよ
びこれらの混合物があげられる。
【0009】これらのうち、好ましいものは1,2−ジ
メチルイミダゾリン、1−メチル−2−エチルイミダゾ
リン、1,2,4−トリメチルイミダゾリン、1,4−
ジメチル−2−エチルイミダゾリン、1,2−ジメチル
−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジンである。
【0010】シクロアミジン類の塩を構成する酸として
は、(1)カルボン酸たとえばポリカルボン酸(2〜4
価のポリカルボン酸){脂肪族ポリカルボン酸[飽和ポ
リカルボン酸(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタ
ル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライ
ン酸、セバチン酸など);不飽和ポリカルボン酸(マレ
イン酸、フマール酸、イタコン酸など)];芳香族ポリ
カルボン酸[フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、
トリメリット酸、ピロメリット酸など];脂肪族オキシ
カルボン酸[グリコール酸、乳酸、酒石酸など];芳香
族オキシカルボン酸[サリチル酸、マンデル酸など];
S含有ポリカルボン酸[チオジプロピオン酸]など}お
よびモノカルボン酸{C1〜30の脂肪族モノカルボン
酸[飽和モノカルボン酸(ギ酸、酢酸、プロピオン酸、
酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カ
プリル酸、ベラルゴン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、
ステアリン酸、ベヘン酸など);不飽和モノカルボン酸
(アクリル酸、メタクリル酸、オリイン酸など)];芳
香族モノカルボン酸[安息香酸、ケイ皮酸、ナフトエ酸
など]など}、
【0011】(2)フェノール類、たとえば1価フェノ
ール(フェノールおよびナフトールを含む)[フェノー
ル;アルキルフェノール類(クレゾール、キシレノー
ル、エチルフェノール、nおよびイソ−プロピルフェノ
ール、nおよびイソアミルフェノール、イソノニルフェ
ノール、イソドデシルフェノールなど);メトキシフェ
ノール類(オイゲノール、グアヤコールなど);ナフト
ールおよびシクロヘキシルフェノールなど]および多価
フェノール[カテコール、レゾルシン、ピロガロールお
よびフロログリシンなど]、
【0012】(3)モノおよびジアルキル燐酸エステル
[モノおよびジメチル燐酸エステル、モノおよびジイソ
プロピル燐酸エステル、モノおよびジブチル燐酸エステ
ル、モノおよびジ−2−エチルヘキシル)燐酸エステ
ル、モノおよびジイソデシル燐酸エステルなど](4)
スルホン酸[パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼ
ンスルホン酸およびスルホサリチル酸など]
【0013】(5)無機酸[リン酸、ホウフッ酸、四フ
ッ化ホウ酸、過塩素酸、六フッ化リン酸、六フッ化アン
チモン、六フッ化ヒ素酸など]などがあげられる。
【0014】これらのうちで好ましいものは、カルボン
酸、モノおよびジアルキル燐酸エステル、さらに好まし
くは、フタル酸およびマレイン酸である。
【0015】酸の分子量は、通常46〜500、好まし
くは90〜300である。分子量が500を越えると電
解液溶媒への溶解性が低下する。
【0016】塩を形成する酸と塩基の割合は電解液のp
Hで通常4〜11、好ましくは6〜9である。電解液の
pHは、電解液原液の25℃でのpH分析値である。
【0017】本発明の電解液はシクロアミジン類の塩と
溶媒(通常有機溶剤)からなる。この有機溶剤として
は、例えばアルコール類{1価アルコール(メチルアル
コール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチ
ルアルコール、ジアセトンアルコール、ベンジルアルコ
ール、アミノアルコールなど);2価アルコール(エチ
レングリコール、プロピレングリコール、ジエチレング
リコール、ヘキシレングリコールなど);3価アルコー
ル(グリセリンなど);ヘキシトールなど}、エーテル
類{モノエーテル(エチレングリコールモノメチルエー
テル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチ
レングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコ
ールモノエチルエーテル、エチレングリコーフェニルエ
ーテルなど);ジエーテル(エチレングリコールジメチ
ルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジ
エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリ
コールジエチルエーテルなど)}、アミド類{ホルムア
ミド類(N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホ
ルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチ
ルホルムアミドなど);アセトアミド類(N−メチルア
セトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−エチ
ルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドな
ど);プロピオンアミド類(N,N−ジメチルプロピオ
ンアミドなど);ヘキサメチルホスホリルアミドな
ど}、オキサゾリジノン類(N−メチル−2−オキサゾ
リジノン、3,5−ジメチル−2−オキサゾリジノンな
ど)、ラクトン類(γ−ブチロラクトン、α−アセチル
−γ−ブチロラクトン、β−ブチロラクトン、γ−バレ
ロラクトンなど、δ−バレロラクトンなど)、二トリル
類(アセトニトリル、アクリロニトリルなど)、カーボ
ネート類(エチレンカーボネート、プロピレンカーボネ
ートなど)、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,
3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルピロ
リドン、芳香族溶剤(トルエン、キシレンなど)、パラ
フィン系溶剤(ノルマルパラフィン、イソパラフィンな
ど)およびこれらの2種以上の混合物があげられる。
【0018】これらのうち好ましくはγ−ブチロラクト
ンまたはγ−ブチロラクトンを含有する混合溶媒であ
る。
【0019】本発明の電解液は必要により、水を含有さ
せることができる。その含有量は電解液の重量に基づい
て通常5重量%以下、好ましくは3重量%以下、特に好
ましくは1重量%以下である。
【0020】本発明の電解液は必要により、種々の添加
剤を添加することができる。添加剤としては、例えばリ
ン酸誘導体、ホウ酸誘導体およびニトロ化合物を挙げる
ことができる。
【0021】本発明の電解液におけるシクロアミジン類
の塩の含有量は、電解液の重量に基づいて通常1〜70
重量%、好ましくは5〜40重量%である。
【0022】次に、本発明の具体的な実施例について説
明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0023】本発明の実施例1〜5および従来例1〜4
の電解液組成、pH、初期と熱処理後(150℃、10
時間)の比電導度(30℃、mS/cm)を表1に示し
た。
【0024】また、封口材としてイソブチレンイソプロ
ピレンゴムを用い有底筒状ケースに電解液を入れコンデ
ンサ素子を封入し定格35V330μF(10φ×12
l)の電解コンデンサを各10個ずつ試作した。次に1
10℃で5V負荷9時間+放電1時間のサイクルを50
0時間くりかえし液漏れの有無を観察し、その結果を表
1に示した。
【0025】
【表1】
【0026】表中、略号は以下の意味を表す。 PA・DMZL:フタル酸モノ−1,2−ジメチルイミ
ダゾリン塩、 MA・DMZL:マレイン酸モノ−1,2−ジメチルイ
ミダゾリン塩 PA・MEZL:フタル酸モノ−1−メチル−2−エチ
ルイミダゾリン PA・DMTHP:フタル酸モノ−1,2−ジメチル−
1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン塩 PA・TMZL:フタル酸モノ−1,2,4−トリメチ
ルイミダゾリン塩 PA・DBN:フタル酸モノ−1,5−ジアザビシクロ
[4,3,0]ノネン−5塩 PA・DBU:フタル酸モノ−1,8−ジアザビシクロ
[5,4,0]ウンデセン−7塩 PA・MAH:フタル酸モノテトラメチルアンモニウム
塩 MA・MTEAH:マレイン酸モノメチルトリエチルア
ンモニウム塩 GBL:γ−ブチロラクトン また、液漏れの有無の括弧内の数は液漏れを起こしたコ
ンデンサの数を表す。
【0027】表1から明らかなように本発明の実施例1
〜5の電解液は、従来例1、2の電解液と比較して比電
導度が高くまた、熱的にも安定性の高いものである。さ
らに、液漏れの発生がなく、従来例3、4と比較して封
口ゴムを劣化せず信頼性の高いものであることがわか
る。
【0028】
【発明の効果】以上のように本発明の電解液は、高い比
電導度を示すとともに封口ゴムを劣化せず、熱的にも安
定なバランスのよいものである。本発明の電解液を電解
コンデンサに使用すると低損失でかつ高温でも電気特性
が安定した長寿命、高信頼の電解コンデンサを得ること
ができ、その工業価値の大なるものである。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で示されるかまたは1
    −メチルイミダゾリンもしくは1−メチル−1,4,
    5,6−テトラヒドロピリミジンであるシクロアミジン
    類の塩を溶質とすることを特徴とする電解コンデンサ駆
    動用電解液。一般式 【化1】 式中、R1、R2は炭素数1〜11のアルキル基、アル
    ケニル基、アリール基またはアラルキル基であり、該ア
    ルキル基、アルケニル基、アリール基またはアラルキル
    基は水酸基、カルボキシル基、またはエーテル基で置換
    されていてもよい。R3は−(CH22−または−(C
    23−であり、該−(CH22−または−(CH23
    −は炭素数1〜4のアルキル基またはヒドロキシアルキ
    ル基で置換されていてもよい。
  2. 【請求項2】 シクロアミジン類が1,2−ジメチルイ
    ミダゾリン、1−メチル−2−エチルイミダゾリン、
    1,2,4−トリメチルイミダゾリン、1,4−ジメチ
    ル−2−エチルイミダゾリン、1,2−ジメチル−1,
    4,5,6−テトラヒドロピリミジンから選ばれる1種
    以上である請求項1記載の電解液。
  3. 【請求項3】 シクロアミジン類の塩がフタル酸および
    /またはマレイン酸の塩である請求項1または2記載の
    電解液。
  4. 【請求項4】 溶媒としてγ−ブチロラクトンまたはγ
    −ブチロラクトンを含有する混合溶媒を用いる請求項1
    〜3のいずれか記載の電解液。
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