JP2006186208A - 電解コンデンサの駆動用電解液 - Google Patents

電解コンデンサの駆動用電解液 Download PDF

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JP2006186208A JP2004380019A JP2004380019A JP2006186208A JP 2006186208 A JP2006186208 A JP 2006186208A JP 2004380019 A JP2004380019 A JP 2004380019A JP 2004380019 A JP2004380019 A JP 2004380019A JP 2006186208 A JP2006186208 A JP 2006186208A
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Tomohiko Kawasaki
友彦 川崎
Akihiro Matsuda
晃啓 松田
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Abstract

【課題】水素吸収剤を添加しても耐電圧が低下せず、かつ、高温での電解コンデンサの特性変化を抑制することのできる電解コンデンサの駆動用電解液を提供すること。
【解決手段】アルミニウム電解コンデンサの駆動用電解液において、エチレングリコールを主成分とする溶媒に、安息香酸、ギ酸、1,6−デカンジカルボン酸、セバシン酸等のカルボン酸またはそのアンモニウム、ジエチルアミン等の塩と、以下の化学式で示される0.10〜5.00wt%の5−ニトロ−2−フリルアルデヒドとを配合することで、水素ガスの発生を抑制し、高温下での電解コンデンサの静電容量減少、高さ寸法変化、tanδ増加を抑制する。
【化1】
Figure 2006186208

【選択図】なし

Description

本発明は、電解コンデンサの駆動用電解液(以下、電解液と称す)の改良に関するものであり、特に高温下での電解コンデンサの信頼性を向上させた電解液に関するものである。
従来、中高圧用アルミニウム電解コンデンサの電解液では、エチレングリコール等の溶媒にカルボン酸またはそのアンモニウム塩、ホウ酸またはそのアンモニウム塩、およびマンニトール等の多価アルコール類を配合している。このような電解液においては、多価アルコール類がカルボン酸やホウ酸とエステル化合物を形成し、その構造的な特性により電解液の耐電圧が向上するとされている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特公平7−48459号公報(第1−4頁) 特公平7−48460号公報(第1−3頁) 特公平7−63047号公報(第1−4頁)
アルミニウム電解コンデンサにおいて、電解液は、損傷した陽極酸化皮膜を修復する能力を有している。しかしながら、このような化成時には大きな電流が流れて水素ガスが発生する結果、コンデンサの内部圧力が上昇するという問題点を有している。また、電解液に残存する酸素、および陽極で発生する酸素ガスによってアミド類の酸化反応やカルボン酸の重縮合反応が起こり、電解液の比抵抗上昇を招くという問題点がある。
このような問題点を解消する方法として、水素を吸着する能力のあるニトロ化合物を電解液に添加する方法があり、このようなニトロ化合物としては、ニトロ安息香酸がまず挙げられる。しかしながら、ニトロ安息香酸を多量に配合すると電解液の耐電圧が低下するという問題があり、少量の添加で水素ガスの発生などを抑制できるものが求められている。
上記問題点に鑑みて、本発明の課題は、水素吸収剤を添加しても耐電圧が低下せず、かつ、高温での電解コンデンサの特性変化を抑制することのできる駆動用電解液を提供することにある。
上記課題を解決するため各種検討した結果、本願発明者は、5−ニトロ−2−フリルアルデヒドが、水素ガス吸収能力を備えるとともに、電解液に添加しても電解液の耐電圧が比較的低下せず、かつ、電解液中におけるアミド類の酸化反応、カルボン酸の重縮合反応を長時間抑制できることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいてなされたものであり、本発明の電解コンデンサの駆動用電解液は、エチレングリコールを主成分とする溶媒に、少なくとも、カルボン酸またはその塩と、以下の化学式で示される5−ニトロ−2−フリルアルデヒドとを配合したことを特徴とする。
Figure 2006186208
本発明において、5−ニトロ−2−フリルアルデヒドの配合量は、電解液全体に対して0.10〜5.00wt%であることが好ましい。配合量が5.00wt%を超えると電解液の耐電圧が低下する傾向にあり、かつ、容量減少、高さ寸法変化、tanδ上昇を抑制する効果は、5.00wt%添加時と差はみられない。また、0.10wt%未満では容量減少、高さ寸法変化、tanδ上昇の抑制効果が十分ではない。
本発明において、カルボン酸の例として、ギ酸、酢酸、ラウリン酸、ステアリン酸、デカン酸、安息香酸、サリチル酸、マレイン酸、フタル酸、フマル酸、コハク酸、グルタル酸、アゼライン酸、セバシン酸、2−メチルアゼライン酸、1,6−デカンジカルボン酸、5,6−デカンジカルボン酸、7−ビニルヘキサデセン−1,16−ジカルボン酸等が挙げられる。
カルボン酸の塩としては、アンモニウム塩の他、メチルアミン、エチルアミン、t−ブチルアミン等の一級アミン塩、ジメチルアミン、エチルメチルアミン、ジエチルアミン等の二級アミン塩、トリメチルアミン、ジエチルメチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエチルアミン等の三級アミン塩、テトラメチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム等の四級アンモニウム塩、イミダゾリニウム塩等の溶融塩を例示することができる。
そして、エチレングリコールに混合する副溶媒としては、水の他、プロピレングリコール等のグリコール類、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン等のラクトン類、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックアミド等のアミド類、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、イソブチレンカーボネート等の炭酸類、アセトニトリル等のニトリル類、ジメチルスルホキシド等のオキシド類、エーテル類、ケトン類、エステル類、スルホラン、スルホラン誘導体を例示することができる。これらの溶媒は一種類だけでなく、二種類以上を混合して使用することができる。
上記のカルボン酸とその塩、溶媒の他、漏れ電流の低減、耐電圧向上、ガス吸収等の目的で種々の添加剤を加えることができる。添加剤の例として、リン酸化合物、ホウ酸化合物、多価アルコール類、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールのランダム共重合体及びブロック共重合体に代表される高分子化合物、ニトロ化合物等が挙げられる。
本発明に係る電解液では、5−ニトロ−2−フリルアルデヒドを配合したので、高温での電解コンデンサの静電容量変化、内圧上昇に起因するコンデンサの高さ寸法変化、tanδ上昇を抑制することができ、信頼性の向上を図ることができる。
本発明に係る電解コンデンサの駆動用電解液は、エチレングリコールを主成分とする溶媒に、少なくとも、カルボン酸またはその塩と、水素吸収剤として以下の化学式で示される5−ニトロ−2−フリルアルデヒドとを配合したものであり、後述するように、水素吸収剤を溶解しても耐電圧が比較的低下せず、かつ、高温下で信頼性試験において電解コンデンサの特性変化を抑制することができる。ここで、5−ニトロ−2−フリルアルデヒドの配合量は、電解液全体に対して0.10〜5.00wt%であることが好ましい。
本発明の電解液に用いた5−ニトロ−2−フリルアルデヒドは、ニトロ基を有する化合物であり、このニトロ基がコンデンサ内の水素と選択的に反応して内圧上昇を防止し、製品の初期特性を長時間持続できる。また、5−ニトロ−2−フリルアルデヒドは、電解液に添加しても電解液の耐電圧が大きく低下しない。
また、5−ニトロ−2−フリルアルデヒドを電解液に溶解すると、電解コンデンサの静電容量変化やtanδ上昇を抑制することができ、このような効果は、5−ニトロ−2−フリルアルデヒドが有するカルボニル基が電解コンデンサ内の残存酸素と優先的に反応して酸素のラジカル性を消失させ、アミド類の酸化反応、カルボン酸の重縮合反応が抑制されるためと考えられる。さらに、カルボン酸が陽極箔へ過度に吸着することを抑制する作用を有するためであると考えられる。
以下、実施例に基づき、本発明をより具体的に説明する。まず、表1に示す組成で電解液を調合した後、30℃における電解液の比抵抗と85℃における火花発生電圧(電解液の耐電圧)を測定した。それらの測定結果を表1に示す。なお。表1中、「添加剤A」は、5−ニトロ−2−フリルアルデヒドを示す。
Figure 2006186208
次に、表1に示す組成で調合した電解液をアルミニウム電解コンデンサの素子に含浸し、直径35.0mm、高さ50.0mm、定格電圧400V、静電容量470μFのアルミニウム電解コンデンサを各20個作製した。
これらの試料のうち、10個については105℃の恒温槽中で2000時間、定格電圧を印加し、静電容量、高さ寸法、tanδの変化を測定した。その測定結果を表2に示す。また、残りの10個については115℃の恒温槽中で2000時間、定格電圧を印加し、静電容量、高さ寸法、tanδの変化を測定した。その測定結果を表3に示す。
Figure 2006186208
Figure 2006186208
表2に示す結果から分かるように、5−ニトロ−2−フリルアルデヒドを配合した実施例1〜10では、比較例および従来例1、2と比較して、容量減少、高さ寸法変化、tanδ上昇が抑えられていることが分かる。
また、表3に示す結果から分かるように、5−ニトロ−2−フリルアルデヒドを配合した実施例1〜10は、比較例および従来例1、2と比較して、115℃という高温雰囲気下においても、容量減少、高さ寸法変化、tanδ上昇が抑制されていることが分かる。
さらに、表1〜3に示すように、5−ニトロ−2−フリルアルデヒドは、配合量が多いほど容量減少、高さ寸法変化、tanδ上昇の抑制に効果がある。但し、実施例5と実施例6とを比較すれば分かるように、5−ニトロ−2−フリルアルデヒドの配合量が5.00wt%を超えると電解液の耐電圧が低下する傾向にあり、かつ、容量減少、高さ寸法変化、tanδ上昇を抑制する効果は、5.00wt%添加時と差はみられない。また、実施例1に示すように、5−ニトロ−2−フリルアルデヒドの配合量が0.10wt%未満では容量減少、高さ寸法変化、tanδ上昇の抑制効果が十分ではない。よって、5−ニトロ−2−フリルアルデヒドの配合量は0.10〜5.00wt%の範囲が好ましい。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、先に例示した各種溶質を単独または複数配合した電解液や、上述した添加剤を加えた電解液、副溶媒を混合した電解液でも上記実施例と同等の効果があった。

Claims (2)

  1. エチレングリコールを主成分とする溶媒に、少なくとも、カルボン酸またはその塩と、以下の化学式で示される5−ニトロ−2−フリルアルデヒドとを配合したことを特徴とする電解コンデンサの駆動用電解液。
    Figure 2006186208
  2. 請求項1において、5−ニトロ−2−フリルアルデヒドの配合量が、電解液全体に対して0.10〜5.00wt%であることを特徴とする電解コンデンサの駆動用電解液。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014180864A (ja) * 2013-03-21 2014-09-29 Seiko Epson Corp 液体噴射ヘッドの製造方法

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