JP3933013B2 - 音量制御装置及びプログラム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ユーザによる演奏操作子の操作に応じて発生される音の音量を制御する音量制御装置及びプログラムに関し、特にユーザによる演奏操作態様に応じて決定される音の音量が弱すぎる場合にのみ音量を補正するよう音量の制御を行う音量制御装置及びプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
最近では、自動演奏される所望の曲にあわせて同時に楽器演奏を楽しみたい、あるいは所望の曲についての楽器演奏の練習をしたいといったユーザのために、演奏ガイド機能(又はレッスン機能とも呼ぶ)を具えた電子楽器が知られている。例えば鍵盤型の演奏操作子を具えた電子ピアノのような電子楽器においては、ユーザ所望の練習曲の楽譜やピアノロール譜などをディスプレイ上に表示する、あるいは鍵盤の各鍵毎に対応して配置されたLEDなどを練習曲の進行にあわせて順次に点灯・消灯する、などの演奏ガイド機能を具える。ユーザはこうした演奏ガイドに従って鍵盤を操作(つまり手弾き)することにより、所望の曲にあわせて楽器演奏を楽しんだり、所望の曲についての楽器演奏の練習を行うことができるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、電子ピアノなどの電子楽器の楽器演奏を始めたばかりの初心者であるユーザが上述したような演奏ガイドに従って楽器演奏の練習を行う場合、ユーザは鍵盤を押し間違えることのないように慎重に鍵盤を押鍵操作することが多い。そうした場合、ユーザによる押鍵操作はゆっくりな(つまり押鍵の弱い)操作になりがちである。押鍵操作がゆっくりな操作である場合には例えばベロシティなどの音量制御情報が小さくなることから、ユーザが押鍵操作を行っているにも関わらず該押鍵操作に応じて発生されるべき音が発音されない、あるいは非常に小さな音量でしか発音されないことが生ずる。そうすると、ユーザは押鍵操作に応じて発生される音をはっきり聴き取ることができない(あるいは聴き取ることが難しくなる)ことから、ユーザは自身で電子楽器を手弾きしているにも関わらず、自分の行った押鍵操作の正誤を音を聴き取ることにより確認することができない、という問題が生ずる。こうした問題を解決するために、練習曲における特定の練習パート、つまりユーザが演奏ガイドに従って楽器演奏を練習するパートに関して、各音のベロシティを一律の値に設定する音量制御装置を具えた電子楽器が従来から知られている。しかし、従来の電子楽器において音量制御として各音のベロシティを一律の値に設定すると、ユーザの操作に応じた押鍵の強弱を全く反映することなく常に一定の音量で各音は発音されることになる。そうすると、ある程度演奏の上達したユーザにとっては、押鍵毎に強弱をつけた音楽的表現の豊かな楽器演奏の練習を全く行うことができなくなるので非常に使い勝手が悪く不都合である、という問題点があった。
【0004】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、ユーザによる演奏操作態様に応じて決定された音量が弱すぎる場合にのみ該音量を大きくするように音量制御情報を変更することによって、ユーザが常に演奏操作態様に応じた強弱のある音で自分の行った演奏の正誤を確認することのできるようにした音量制御装置及びプログラムを提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る音量制御装置は、演奏操作子の操作態様に応じた音量制御情報を取得する取得手段と、基準の音量と音量補正値とを設定する設定手段と、前記取得した音量制御情報に基づく音量と前記基準の音量とを比較する比較手段と、前記取得した音量制御情報に基づく音量が前記基準の音量よりも小さい場合に、前記取得した音量制御情報に基づく音量を、前記設定した音量補正値に応じて少なくとも前記設定した基準の音量を上回る音量に変更する変更手段とを具える。
【0006】
本発明によると、演奏操作子の操作態様に応じて取得した音量制御情報に基づく音量がユーザが設定した基準の音量よりも小さい場合に、基準の音量より上回るように前記音量制御情報に基づく音量、ユーザが設定した音量補正値に応じて変更するようにした。比較手段は、取得手段により取得された演奏操作子の操作態様に応じた音量制御情報に基づく音量と、設定手段により設定された基準の音量とを比較する。変更手段は、前記取得した音量制御情報に基づく音量が前記基準の音量よりも小さい場合に、記取得した音量制御情報に基づく音量を、前記設定した音量補正値に応じて少なくとも前記設定した基準の音量を上回る音量に変更する。こうすることによって、ユーザは演奏操作に応じて発生される音を常にはっきりと聴き取ることができることから、ユーザは自身の行った演奏操作の正誤を音を聴き取ることにより確認することができるようになる。
【0007】
本発明の請求項2に係る音量制御装置は、演奏ガイドを実行するモードに機能設定する機能設定手段と、演奏操作子の操作態様に応じた音量制御情報を取得する取得手段と、基準の音量と音量補正値とを設定する設定手段と、前記取得した音量制御情報に基づく音量と前記基準の音量とを比較する比較手段と、前記取得した音量制御情報に基づく音量が前記基準の音量よりも小さい場合に、前記取得した音量制御情報に基づく音量を、前記設定した音量補正値に応じて少なくとも前記設定した基準の音量を上回る音量に変更する変更手段と、前記機能設定手段により演奏ガイドを実行するモードに機能設定された場合に、前記取得した音量制御情報に基づく音量の変更を自動的に行うように前記比較手段と前記変更手段とを制御する制御手段とを具える。これによると、演奏ガイドを実行するモードに機能設定するだけで、演奏操作子の操作態様に応じての音量制御情報に基づく音量の変更を自動的に行うことができ便利である。
【0008】
本発明は、装置の発明として構成し、実施することができるのみならず、方法の発明として構成し実施することができる。また、本発明は、コンピュータまたはDSP等のプロセッサのプログラムの形態で実施することができるし、そのようなプログラムを記憶した記憶媒体の形態で実施することもできる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に従って詳細に説明する。
【0010】
図1は、この発明に係る音量制御装置を適用した電子楽器の全体構成の一実施例を示したハード構成ブロック図である。本実施例に示す電子楽器は、マイクロプロセッサユニット(CPU)1、リードオンリメモリ(ROM)2、ランダムアクセスメモリ(RAM)3からなるマイクロコンピュータによって制御されるようになっている。CPU1は、この電子楽器全体の動作を制御するものである。このCPU1に対して、通信バス1D(例えばデータ及びアドレスバス)を介してROM2、RAM3、通信インタフェース(I/F)4、入力操作部5、表示部6、外部記憶装置7、音源8がそれぞれ接続されている。ROM2は、CPU1により実行あるいは参照される各種制御プログラム(例えば、後述する音量制御処理など)や各種データ(例えば、LEDを点灯・消灯する演奏ガイドを行うために用いるお手本となる1曲分のお手本曲データ、個々の楽曲を楽譜やピアノロール譜などの表示態様でディスプレイ6A上に表示する演奏ガイドを行うために用いる表示データなど)等を格納するものである。RAM3は、CPU1が所定のプログラムを実行する際に発生する各種データなどを一時的に記憶するワーキングメモリとして、あるいは現在実行中のプログラムやそれに関連するデータを記憶するメモリ等として使用される。RAM3の所定のアドレス領域がそれぞれの機能に割り当てられ、レジスタやフラグ、テーブル、メモリなどとして利用される。
【0011】
通信インタフェース(I/F)4は、例えばLANやインターネット、電話回線等の有線あるいは無線の通信ネットワークに接続されており、該通信ネットワークを介して外部機器4A等と接続され、当該外部機器4Aから制御プログラムや各種データを電子楽器本体側に取り込むためのインタフェースである。こうした通信インタフェース4は、有線あるいは無線のものいずれかでなく双方を具えていてよい。入力操作部5は楽音の音高を選択するための複数の鍵を備えた鍵盤等の演奏操作子、あるいは演奏ガイド機能(モード)に当該電子楽器の機能を設定するためのモード設定スイッチ、楽器演奏練習の対象とする曲(お手本曲又は練習曲と呼ぶ)を選択するための曲選択スイッチ、演奏ガイドを開始又は停止するためのスタートボタンやストップボタンなどがある。鍵盤等の演奏操作子は楽音演奏のために使用できるのは勿論のこと、演奏ガイドを開始又は停止するための入力手段として、あるいは自動演奏の際に用いるピッチやリズムなどを入力するための入力手段として使用することもできる。勿論、入力操作部5はこれら以外にも音高、音色、効果等を選択・設定・制御するために用いる数値データ入力用のテンキーや文字データ入力用のキーボード、あるいはディスプレイ6Aに表示される所定のポインティングデバイスを操作するために用いるマウスなどの各種操作子を含んでいてよい。表示部6は選択されたお手本曲を所定の表示態様で表示した画像(例えば、五線譜表示画像やピアノロール譜表示画像など)を、例えば液晶表示パネル(LCD)やCRT等から構成されるディスプレイ6Aに表示するのは勿論のこと、お手本曲の一覧やCPU1の制御状態などの各種情報をディスプレイ6Aに表示する。
【0012】
外部記憶装置7は上記したROM2と同様に、お手本曲データや表示データ、CPU1が実行する各種制御プログラム、この他にも自動演奏の際に用いられる各種パラメータなどを記憶する。前記ROM2に制御プログラムが記憶されていない場合、この外部記憶装置7(例えばハードディスク)に制御プログラムを記憶させておき、それを前記RAM3に読み込むことにより、ROM2に制御プログラムを記憶している場合と同様の動作をCPU1にさせることができる。このようにすると、制御プログラムの追加やバージョンアップ等が容易に行える。なお、外部記憶装置7はハードディスク(HD)に限られず、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD−ROM・CD−RAM)、光磁気ディスク(MO)、あるいはDVD(Digital Versatile Disk)等の着脱自在な様々な形態の外部記録媒体を利用する記憶装置であってもよい。あるいは、半導体メモリなどであってもよい。
【0013】
音源8は複数のチャンネルで楽音信号の同時発生が可能であり、通信バス1Dを経由して与えられたお手本曲データ中の演奏情報(例えば、ノートイベントやベロシティなど)や演奏操作子の操作に応じて発生される演奏情報等を入力し、これらの演奏情報に基づいて楽音信号を発生する。音源8から発生された楽音信号は、アンプやスピーカなどを含むサウンドシステム8Aから発音される。この音源8から発生された楽音信号に対して、効果回路など(図示せず)を用いて所定の効果を付与するようにしてもよい。演奏データの形式はMIDI形式のようなディジタル符号化されたものであってもよいし、PCM、DPCM、ADPCMのような波形サンプルデータ方式からなるものであってもよい。この音源8とサウンドシステム8Aの構成には、従来のいかなる構成を用いてもよい。例えば、音源8はFM、PCM、物理モデル、フォルマント合成等の各種楽音合成方式のいずれを採用してもよく、また専用のハードウェアで構成してもよいし、CPU1によるソフトウェア処理で構成してもよい。
【0014】
なお、上述した電子楽器において、演奏操作子は鍵盤楽器の形態に限らず、弦楽器や管楽器、あるいは打楽器等どのようなタイプの形態でもよい。また、電子楽器は入力操作部5やディスプレイ6Aあるいは音源8などを1つの電子楽器本体に内蔵したものに限らず、それぞれが別々に構成され、MIDIインタフェースや各種ネットワーク等の通信手段を用いて各装置を接続するように構成されたものであってもよいことは言うまでもない。さらに、本発明に係る音量制御装置を適用する装置は電子楽器の形態に限らず、パーソナルコンピュータや携帯電話等の携帯型通信端末、あるいはカラオケ装置やゲーム装置など、どのような形態の装置・機器に適用してもよい。携帯型通信端末に適用した場合、端末のみで所定の機能が完結している場合に限らず、機能の一部をサーバ側に持たせ、端末とサーバとからなるシステム全体として所定の機能を実現するようにしてもよい。
【0015】
図1に示した電子楽器では演奏ガイドモード設定時において、ユーザによる鍵盤等の演奏操作子の操作態様に応じて決定される音量制御情報(この実施例ではベロシティを用いた)に従う音量では音量が弱すぎる場合にのみ該音量をプラス側にオフセット補正するように音量制御情報の変更制御を行い、演奏操作子の操作態様に応じて発生される音がユーザに聴き取れる以上の音量の音とする。こうした処理は、図1に示した電子楽器におけるCPU1が音量制御処理を実現する所定のプログラム(ソフトウエア)を実行することにより実施される。そこで、CPU1で実行する「音量制御処理」についてその動作を説明する。図2は、「音量制御処理」の一実施例を示したフローチャートである。該「音量制御処理」は、電子楽器本体の電源オンと同時に起動され、電源オフと同時に終了される処理である。以下、図2に示したフローチャートに従って、当該処理における処理動作を説明する。
【0016】
ステップS1では、当該電子楽器が演奏ガイドモードに機能設定されているか否かを判定する。演奏ガイドモードに機能設定されていない場合には(ステップS1のNO)、通常の発音処理を行う(ステップS2)。すなわち、ユーザがモード設定スイッチを用いて当該電子楽器において演奏ガイドを実行するモードに機能設定したか否かを判定し、演奏ガイドモードに機能設定していない場合には通常の発音処理、すなわちユーザによる演奏操作子の操作態様に応じて決定される音量での発音処理を行う。具体的には、ユーザによる押鍵のスピード(又は強さ)に応じて決定されるベロシティに従う音量で押鍵した鍵に割り当てられている所定の音を発音するための処理を行う。一方、演奏ガイドモードに機能設定されている場合には(ステップS1のYES)、ユーザ設定を行う(ステップS3)。このユーザ設定では、ベロシティ加算値や基準値などをユーザが設定することができる。このベロシティ加算値や基準値の設定方法としては、該電子楽器の入力操作部5やディスプレイ6A上に表示された設定画面(図示せず)などを用いて設定するようにすればよい。ステップS4では、お手本曲データの決定と読み込みを行う。お手本曲データはデータ中の各ノートデータが音量制御情報(ベロシティ)を持つデータであり、ユーザによる曲選択スイッチ操作に伴い、ユーザが楽器演奏を練習する曲に対応したお手本曲データをROM2や外部記憶装置7などから読み込む。
【0017】
ステップS5では、演奏ガイドをスタートする。演奏ガイドは例えばスタートボタンや所定の鍵が操作されることによって開始され、お手本曲データに基づき各ノートデータに対応する音を発生する鍵に配置されたLEDなどを点灯・消灯することによる演奏ガイド、あるいは表示データに基づきディスプレイ6A上に表示した楽譜やピアノロール譜による演奏ガイド等の実行を開始する。ステップS6では、当該電子楽器がユーザにより手弾き演奏されたか否かを判定する。具体的には、ユーザが鍵盤を操作した場合には各鍵毎に押鍵操作に応じた検出信号を発生することから、該検出信号を検出したか否かを判定する。ユーザにより手弾き演奏がなされている場合には(ステップS6のYES)、押鍵操作した鍵に対応して発生される各音に対してベロシティ処理を実行する(ステップS7)。このベロシティ処理では、ユーザによる押鍵操作に応じて発生される各音毎の音量制御情報(ベロシティ)に対して新たなベロシティを設定することにより、結果としてユーザが聴き取れる以上の音量で各音を発生するように音量制御を行う。該ベロシティ処理についての詳細は後述する。
【0018】
ステップS8では、演奏ガイドがストップされたか否かを判定する。すなわち、ユーザによりストップボタンや所定の鍵が操作されたか否かを判定する。演奏ガイドがストップされていない場合には(ステップS8のNO)、上記ステップS6の処理に戻って、ユーザによる手弾き演奏に伴い発生される各音に対してのベロシティ処理による音量制御を引き続き実行する。一方、演奏ガイドがストップされている場合には(ステップS8のYES)、お手本曲の変更が行われたか否かを判定する。お手本曲の変更がなされた場合、つまり練習曲として別の曲が選択された場合には(ステップS9のYES)、ステップS4の処理に戻って、上記ステップS4〜ステップS8の処理を繰り返し行う。お手本曲の変更がなされていない場合には(ステップS9のNO)、ユーザ設定の変更をするか否かを判定する(ステップS10)。すなわち、ベロシティ加算値や基準値などをユーザが新たに設定し直すか否かを判定する。ユーザ設定を変更する場合には(ステップS10のYES)、ステップS3に戻り新たにユーザ設定を行ってから後続の処理を実行する。他方、ユーザ設定を変更しない場合には(ステップS10のNO)、ステップS1の処理に戻る。
【0019】
なお、上述した音量制御処理においては、ステップS1の処理としてモード設定スイッチ操作に応じて演奏ガイドモードに設定されたか否かを判定するようにしたがこれに限らず、お手本曲データが既に読み込み済みであるような場合には、モード設定スイッチの操作が行われていなくても当該電子楽器の機能を自動的に演奏ガイドモードに設定するようにしてもよい。また、上記ステップS4及びステップS5の各処理については、前回の演奏ガイド時と同じである場合、つまり練習曲を変更することなく引き続き同じ曲で演奏ガイドを続ける場合には処理を飛ばしてよい。
【0020】
ここで、上記音量制御処理で実行する「ベロシティ処理」(図2のステップS7参照)について説明する。まず、お手本曲データなしの場合におけるベロシティ処理について、図3を用いて説明する。お手本曲データなしの場合とは、例えばユーザがお手本曲データを使用することなく表示データのみに基づきディスプレイ上に表示される楽譜やピアノロール譜による演奏ガイドに従って楽器演奏の練習を行うような場合、あるいはお手本曲データを使用してLEDの点灯・消灯による演奏ガイドに従って楽器演奏の練習を行う場合であってもお手本曲データ中の音量制御情報(ベロシティ)を使用せずに音量制御を実行する場合である。図3は、こうした場合におけるベロシティ処理の一実施例を示すフローチャートである。
【0021】
ステップS11では、ノート(Note)イベントのベロシティをノート(Note)イベントの出力再生用のベロシティとしてRAM3に記憶する。ステップS12では、記憶したノートイベントの出力再生用のベロシティが予め設定された基準値(図2のステップS3参照)より小さいか否かを判定する。ノートイベントの出力再生用のベロシティが基準値より小さい場合には(ステップS12のYES)、ノートイベントの出力再生用のベロシティをノートイベントのベロシティに予め設定されたベロシティ加算値(図2のステップS3参照)を加算した新たなベロシティに変更する(ステップS13)。すなわち、ユーザの手弾き演奏に基づき発生されるノートイベント(演奏音)のベロシティが基準値よりも小さい場合においては、発音される音の音量がユーザにとっては聴き取りにくい音量であることから、演奏音のベロシティに対してベロシティ加算値分だけプラス側にオフセットすることによって、ユーザが聴き取れる音量に変更する。こうした演奏音のベロシティの変更方法は、上記したベロシティ加算値を加算する方法以外にも複数の方法がありうる。例えば、演奏音のベロシティを基準値やベロシティ加算値(例えば100)に差し替える。演奏音のベロシティを所定倍(例えば1.5倍)にする。ただし、いずれの場合においても、ユーザの手弾き演奏に基づき発生される演奏音のベロシティ以上であって、結果的にユーザが聴き取ることが可能な音量になるようにベロシティを変更することは言うまでもない。ステップS14では、ノートイベントの出力再生用のベロシティが127より大きいか否かを判定する。127よりも大きい場合には(ステップS14のYES)、ノートイベントの出力再生用のベロシティを127にする(ステップS15)。すなわち、この実施例においてはベロシティが取り得る値を0〜127とするので、取り得る値のうちの最大値である127を超えることのないようにベロシティを調整する。ステップS16では、ノートイベントの出力再生用のベロシティにてノートイベントを発音する。
【0022】
次に、読み込まれたお手本曲データ中の各ノートデータの音量制御情報(ベロシティ)に従って音量制御を実行するベロシティ処理について、図4を用いて説明する。図4は、ベロシティ処理の他の実施例を示すフローチャートである。
【0023】
ステップS21では、ノートイベントのベロシティをノートイベントの出力再生用のベロシティとしてRAM3に記憶しておく。ステップS22では、お手本曲データ中のノートイベントに該当する音(ノートイベント)があるか否かを判定する。すなわち、お手本曲データにおける直近の所定範囲内にユーザの手弾き演奏に基づき発生されるノートイベントに該当するノートイベントがあるか否か、あるいは次に演奏されるべきお手本曲データ内のノートイベントとユーザの手弾き演奏に基づき発生されるノートイベントとが同じであるか否か、などの判定を行う。
【0024】
該当する音がある場合には(ステップS22のYES)、ノートイベントの出力再生用のベロシティがお手本曲データ中の該当音のベロシティより小さいか否かを判定する(ステップS23)。お手本曲データ中の該当音のベロシティより小さい場合には(ステップS23のYES)、ノートイベントの出力再生用のベロシティをお手本曲データ中の該当音のベロシティに変更する(ステップS24)。すなわち、ユーザの手弾き演奏に基づき発生されるノートイベント(演奏音)のベロシティがお手本曲データ中の該当音のベロシティより小さい場合においては、発音される音の音量がユーザにとっては聴き取りにくい音量であることから、演奏音のベロシティをお手本曲データ中の該当音のベロシティに変更することによって、ユーザが聴き取れる音量に変更する。こうした演奏音のベロシティの変更方法は、上記した方法以外にも複数の方法がありうる。ただし、この場合においても、ユーザの手弾き演奏に基づき発生される演奏音のベロシティ以上であって、結果的にユーザが聴き取ることが可能な音量になるようにベロシティを変更することは言うまでもない。ステップS25では、ノートイベントの出力再生用のベロシティが127より大きいか否かを判定する。127よりも大きい場合には(ステップS25のYES)、ノートイベントの出力再生用のベロシティを127にする(ステップS26)。すなわち、ベロシティとして取り得る値のうち最大値である127に設定を変更する。ステップS27では、ノートイベントの出力再生用のベロシティにてノートイベントを発音する。
【0025】
以上のようにすると、ユーザは楽器演奏の練習時において押鍵の強さやスピードを意識することなくどの鍵を押さなければならないかに集中することができると共に、常に自分の弾いた音を聴き取ることができることから自身の演奏操作の正誤を常に音から確認することができるようになる。また、全てのベロシティを一律に所定の設定値に変更するのではないから、ユーザの演奏操作態様に応じて強弱のある音を発生させることが可能である。さらに、ベロシティの小さい音についてのみベロシティを変更することから、元々ベロシティの大きい音についてはユーザの行った演奏操作態様に応じたそのままの強弱のある音で確認することができるようになる。
【0026】
なお、上述した実施例においてはユーザによる演奏操作子の操作態様に応じて決定されるベロシティを変更する際に用いるベロシティ加算値、あるいはユーザによる演奏操作子の操作態様に応じて決定されるベロシティが小さいか否かを判定する際に用いる基準値をユーザが適宜に設定できるようにしたがこれに限らず、予め決められた固定値(デフォルト値)であってもよいことは言うまでもない。
なお、ユーザによる演奏操作子の操作態様に応じて決定されるベロシティとお手本曲データ中の該当音のベロシティを比較する際に、単純にユーザによる演奏操作子の操作態様に応じて決定されるベロシティの方が小さいかを判定するのではなく、どのくらい小さいかなどの幅のある判定を行うようにしてもよい。また、お手本曲データ中の該当音のベロシティを加工したものと比較するようにしてもよい。
【0027】
なお、ユーザによる演奏操作子の操作態様に応じて決定されるベロシティを変更した場合、ベロシティを変更したことをユーザに対して知らせるようにしてもよい。こうしたベロシティ変更表示としては、例えばLEDを点灯する、あるいは曲表示中においてベロシティを変更したものをまとめて表示する、などの方法がある。
なお、演奏したものを録音する場合には、データとして変更前のベロシティをそのまま記録するようにしてもよいし、変更後のベロシティを記録するようにしてもよい。こうすると、ユーザは繰り返し自身の行った演奏を聞くことができることから、自身の演奏操作の正誤の確認を何回も繰り返し行うことができるようになる。
なお、上述した実施例では音量を制御するための音量制御情報としてベロシティを用いたものについて説明したがこれに限らず、音量制御情報としてボリュームやエクスプレッションなどを用いて音量を制御するものであってもよい。ただし、この場合には、例えばユーザによる演奏操作子の操作に応じて発生される各ノートイベントの発音直前に前記音量制御情報を出力する。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、全てのベロシティを一律に所定の設定値に変更するのではなく、ベロシティの小さい音についてのみベロシティを変更するようにしたことから、ユーザは自身の演奏操作に基づく強弱のある音を常に聴き取ることができ、これにより自身の行った演奏操作の正誤を音によって確認することができるようになる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る音量制御装置を適用した電子楽器の全体構成の一実施例を示したハード構成ブロック図である。
【図2】 「音量制御処理」の一実施例を示したフローチャートである。
【図3】 ベロシティ処理の一実施例を示すフローチャートである。
【図4】 ベロシティ処理の他の実施例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…CPU、2…ROM、3…RAM、4…通信インタフェース、4A…外部機器、5…入力操作部、6…表示部、6A…ディスプレイ、7…外部記憶装置、8…音源、8A…サウンドシステム、1D…通信バス

Claims (4)

  1. 演奏操作子の操作態様に応じた音量制御情報を取得する取得手段と、
    基準の音量と音量補正値とを設定する設定手段と、
    前記取得した音量制御情報に基づく音量と前記基準の音量とを比較する比較手段と、
    前記取得した音量制御情報に基づく音量が前記基準の音量よりも小さい場合に、前記取得した音量制御情報に基づく音量を、前記設定した音量補正値に応じて少なくとも前記設定した基準の音量を上回る音量に変更する変更手段と
    を具える音量制御装置。
  2. 演奏ガイドを実行するモードに機能設定する機能設定手段と、
    演奏操作子の操作態様に応じた音量制御情報を取得する取得手段と、
    基準の音量と音量補正値とを設定する設定手段と、
    前記取得した音量制御情報に基づく音量と前記基準の音量とを比較する比較手段と、
    前記取得した音量制御情報に基づく音量が前記基準の音量よりも小さい場合に、前記取得した音量制御情報に基づく音量を、前記設定した音量補正値に応じて少なくとも前記設定した基準の音量を上回る音量に変更する変更手段と、
    前記機能設定手段により演奏ガイドを実行するモードに機能設定された場合に、前記取得した音量制御情報に基づく音量の変更を自動的に行うように前記比較手段と前記変更手段とを制御する制御手段と
    を具える音量制御装置。
  3. コンピュータに、
    演奏操作子の操作態様に応じた音量制御情報を取得する手順と、
    基準の音量と音量補正値とを設定する手順と、
    前記取得した音量制御情報に基づく音量と前記基準の音量とを比較する手順と、
    前記取得した音量制御情報に基づく音量が前記基準の音量よりも小さい場合に、前記取得した音量制御情報に基づく音量を、前記設定した音量補正値に応じて少なくとも前記設定した基準の音量を上回る音量に変更する手順と
    を実行させるためのプログラム。
  4. コンピュータに、
    演奏ガイドを実行するモードに機能設定する手順と、
    演奏操作子の操作態様に応じた音量制御情報を取得する手順と、
    基準の音量と音量補正値とを設定する手順と、
    前記取得した音量制御情報に基づく音量と前記基準の音量とを比較する手順と、
    前記取得した音量制御情報に基づく音量が前記基準の音量よりも小さい場合に、前記取得した音量制御情報に基づく音量を、前記設定した音量補正値に応じて少なくとも前記設定した基準の音量を上回る音量に変更する手順と、
    前記機能設定手段により演奏ガイドを実行するモードに機能設定された場合に、前記取得した音量制御情報の変更を自動的に行うように前記比較手段と前記変更手段とを制御する手順と
    を実行させるためのプログラム。
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