JP3931394B2 - プラズマ処理装置およびプラズマ処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体装置の製造工程等で用いられるプラズマ処理装置およびプラズマ処理方法に関し、さらに詳しくは、プラズマ処理の純度に特徴を有するプラズマ処理装置およびこれを用いたプラズマ処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
LSI等の半導体装置のデザインルールがクォータミクロンからサブクォータミクロンのレベルへと微細化し、かつ多層配線構造が多用されるに伴い、上層配線と下層配線を接続するための接続孔のアスペクト比も増大する傾向にある。例えば、0.18μmのデザインルールの半導体装置においては、接続孔の開口径0.2μmに対し、層間絶縁膜の厚さは1.0〜2.0μm程度であるので、アスペクト比は5〜10に達する。かかる微細で高アスペクト比の接続孔により、信頼性の高い多層配線構造を達成するには、接続孔内にオーミックコンタクト用のTi等の金属膜や、配線材料の拡散を防止するバリアメタルであるTiN等の金属窒化物膜を薄く形成した後、Al系金属の高温スパッタリングや、W(タングステン)の選択CVDやブランケットCVDにより、コンタクトプラグや上層配線を形成して、接続孔を充填する方法が採用されつつある。
【0003】
通常、Ti金属膜やTiN窒化物膜を形成するには、バルクのTi金属をターゲット材料としたスパッタリングや、反応性スパッタリングが行われるが、これらスパッタリング方法では解決されないステップカバレッジ(段差被覆性)の問題を解決するため、被処理基板表面での化学反応を利用したCVD法によるTi膜やTiN膜の形成方法が期待されている。
【0004】
現在提案されているTi系材料膜のCVD方法は、大別して、Proc.11th.Int.IEEE VMIC,p440(1994)等に報告されているTDMATやTDEAT等の有機金属化合物を用いる方法と、半導体・集積回路技術第44回シンポジウム講演論文集31ページ(1993)等に報告されているTiCl4 等の無機系金属ハロゲン化物を用いる方法との2種類がある。
【0005】
後者の、金属ハロゲン化物であるTiCl4 とH2 分子によるTi膜の熱CVDにおける還元反応は、次式(1)で与えられる吸熱反応であり、熱力学的には反応の進みにくい系である(トGは標準生成熱を表す)。また成膜形状はコンフォーマルであり、層間絶縁膜の表面や接続孔の底部は勿論のこと、接続孔の側壁にも均一な厚さで堆積するため、接続孔の開口幅が狭まり、W等の埋め込みが困難となる。
TiCl4 +2H2 →Ti+4HCl、
トG=393.3kJ/mol (1)
【0006】
このため、H2 をプラズマ中で解離し、H原子やH活性種による還元反応を用いたプラズマCVDによるTi膜の成膜が注目されている。この反応は、次式(2)で示される発熱反応となる。
TiCl4 +4H→Ti+4HCl、
トG=−478.6kJ/mol (2)
【0007】
したがって、プラズマCVDによるTi系材料膜の形成は、反応が容易に進行しやすく、比較的低温での成膜も可能となる。プラズマCVD装置としては通常の平行平板型プラズマCVD装置でよいが、ECR(Electron Cyclotron Resonance)プラズマ、ICP(Inductively Coupled Plasma)あるいはヘリコン波プラズマ等の高密度プラズマ源を用いたプラズマCVD装置によれば、還元反応の促進、成膜速度の向上あるいは均一性の点で有利である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
これらプラズマCVD装置のプラズマ生成室の内壁は、被処理基板の重金属汚染等の防止のため、通常石英(SiO2 )で形成されている。
一方、Ti系材料膜をプラズマCVD成膜する際に還元剤として導入されるH2 ガスは、プラズマ中の電子との衝突により水素原子に解離されるとともに、励起状態の水素活性種となる。これら水素活性種はTiCl4 等の金属化合物ガスを還元するだけでなく、プラズマ生成室内壁の石英を次式のように還元する。
SiO2 +8H→SiH4 +H2 O (3)
この反応で生成したH2 Oはこのままで、あるいはプラズマ中でさらに解離して酸素原子あるいは酸素活性種となる。Ti金属はサブリメーションポンプ(Sublimation Pump)で真空装置内の残留酸素の低減に採用されていることから明らかなように、酸素との反応性に富み、しかもSi酸化物よりTi酸化物の方が安定であるため、Ti金属膜は容易に酸化される。このため、Ti系材料膜のプラズマCVD成膜中に水素活性種により還元された石英中の酸素やシリコンは、Ti系材料膜中に採り込まれ、多量の酸素を不純物として含んだTi金属膜やTiN膜が形成される。
【0009】
またECRプラズマCVD装置においては、2.45GHzのマイクロ波を導入する石英製のマイクロ波導入窓に金属膜が付着し、マイクロ波の透過率が劣化することがある。これを防止するため、石英製のマイクロ波導入窓に13.56MHzのRFを印加し、ここに付着した金属膜をArイオンによる逆スパッタリングにより除去しつつ、Ti系材料膜を成膜している。しかしこの際、石英製のマイクロ波導入窓表面もArイオンによりスパッタエッチングされ、多量のシリコンと酸素がTi系材料膜中に採り込まれる。
【0010】
図4はこの問題を説明するグラフであり、石英製マイクロ波導入窓を有するECRプラズマCVD装置によりTi金属膜を成膜するにあたり、マイクロ波導入窓近傍からArガスを導入し、マイクロ波導入窓に付着するTi金属膜を逆スパッタリングしつつ成膜した場合の例である。図4では横軸にはマイクロ波導入窓に印加するRFパワーを、縦軸には被処理基板上に形成されたTi金属膜中の不純物含有量、すなわちシリコンおよび酸素の濃度をそれぞれとっている。この図から明らかなように、マイクロ波導入窓に印加するRFパワーが増加するに従い、Ti金属膜中のシリコンおよび酸素の濃度も増加する傾向が明らかである。
【0011】
かかるTi系材料膜、特に酸素を不純物として含むTi金属膜をシリコン基板の不純物拡散層とのコンタクトメタルに用いた場合の問題点を図5(a)〜(b)に示す。このうち図5(a)は、シリコン基板の不純物拡散層31に臨んで開口した接続孔に、酸素を含むTi金属膜32とTiN膜35をプラズマCVD法により成膜した場合の接続孔底部を拡大して示す概略断面図である。
この後の工程において熱処理を加えると、図5(b)に示すように酸素を含むTi金属膜32は不純物拡散層31とシリサイド化反応をおこし、TiSi2 膜33を形成する一方、酸素を含むTi金属膜32中の酸素は上層のTiN膜35との界面に析出し、高抵抗のTiOx 膜34を形成する。TiOx 膜34はTiSi2 膜33とTiN膜35との間の電気的導通を妨害するので、コンタクト抵抗が上昇する。したがって、低抵抗のコンタクトプラグを形成するためには、Ti金属膜中に酸素が採り込まれる現象を極力防止することが重要である。
以上は石英製のマイクロ波導入窓を有するECRプラズマCVD装置における不純物汚染について述べたが、同じプラズマ生成室やマイクロ波導入窓を有するプラズマエッチング装置およびプラズマエッチング方法においても同様の問題点が指摘される。
【0012】
本発明は上述した問題点に鑑みて提案するものである。
すなわち本発明の課題は、プラズマCVD装置の内壁あるいはマイクロ波導入窓の構成材料に起因する不純物汚染、特に不純物としての酸素含有量が少ないプラズマ処理を施すことが可能なプラズマ処理装置およびプラズマ処理方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の課題を解決するために提案するものである。
【0014】
本発明プラズマ処理装置は、マイクロ波導波管とプラズマ生成室との間にマイクロ波導入窓を有するプラズマ処理装置において、
マイクロ波導入窓は、石英(SiO2 )板とシリコーン系接着剤と窒化アルミニウム板の積層構造を有する。
【0015】
次に本発明のプラズマ処理方法は、以下の構成を有する。
【0016】
すなわち、プラズマ生成室に臨むマイクロ波導入窓を有するとともに、
マイクロ波導入窓は、石英(SiO2 )板とシリコーン系接着剤と窒化アルミニウム板の積層構造を有するプラズマ処理装置により、プラズマ処理を施す。
【0017】
本発明のプラズマ処理方法におけるプラズマ処理は、プラズマCVD工程、プラズマエッチング工程あるいはスパッタリング工程等、プラズマの発生をともなうプラズマ処理工程のいずれにも適用できるが、金属膜および金属窒化物膜のいずれか少なくとも一方を被処理基板上に形成するプラズマCVD工程である際に好ましく適用することができる。
【0018】
つぎに作用の説明に移る。
従来のプラズマ処理装置は、プラズマに接するプラズマ生成室内壁あるいはマイクロ波導入窓が石英により構成されていたため、この石英表面が還元あるいは逆スパッタリングされ、石英の構成元素である酸素が不純物として被処理基板に影響を与えていた。
本発明のプラズマ処理装置によれば、プラズマに接するプラズマ生成室の内壁あるいはマイクロ波導入窓が酸素フリーの窒化アルミニウムにより構成されているため、窒化アルミニウム表面がスパッタリングされても被処理基板に対する酸素の影響は原理的に発生しない。また、アルミニウムの水素化物は比較的揮発しにくい化合物であるため、プラズマ処理時に水素活性種により窒化アルミニウム表面が還元されることは少ないし、たとえ還元されてもプラズマ中に酸素成分が放出される虞れがない。
【0019】
本発明のプラズマ処理装置の採用により、不純物としての酸素、あるいはシリコンの影響のないプラズマ処理が可能となり、特にTi金属膜やTiN膜のプラズマCVD成膜に適用することにより、低抵抗のコンタクトメタル等を形成することが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的実施の形態例につき添付図面を参照して説明する。
【0021】
プラズマ処理装置としては平行平板型プラズマ処理装置、マイクロ波導入窓型のECRプラズマ処理装置、マイクロ波導入部とベルジャ型プラズマ生成室一体型のECRプラズマ処理装置、ICP処理装置あるいはヘリコン波プラズマ処理装置等によるプラズマCVD装置、プラズマエッチング装置等のいずれにも本発明を適用することができるが、以下の実施の形態例においてはプラズマ生成室に臨むマイクロ波導入窓を有するECRプラズマCVD装置を例に採り、詳細な説明を加える。
【0022】
本発明を適用したECRプラズマCVD装置の概略構成例を、図1を参照して説明する。
図1に示したECRプラズマCVD装置は、大略プラズマ生成室1とプラズマ処理室2とから構成されている。このプラズマ生成室1のプラズマに接する内壁は、窒化アルミニウム製内壁15により構成されている。この窒化アルミニウム製内壁15の形成方法は特に限定されないが、窒化アルミニウム製のべルジャをプラズマ生成室1に嵌め込んだり、窒化アルミニウム製の板を貼り付けたり、あるいは薄膜状の窒化アルミニウムをスパッタリング、CVDあるいはプラズマ溶射等の手段により形成すればよい。プラズマ生成室1には、不図示のマグネトロンで発生した2.45GHzのマイクロ波を、マイクロ波導波管11を伝播させ、さらに窒化アルミニウムとシリコーン系接着剤と石英の積層構造のマイクロ波導入窓12を介して導入させる。このマイクロ波導入窓12のマイクロ波導波管11側には、実際にマイクロ波が導入される中心の矩形部分を除いて、高周波電源13が接続される電極(不図示)が形成されており、このマイクロ波導入窓12へ付着する金属膜等を逆スパッタリングにより除去しうる構成となっている。マイクロ波導入窓12へは、この不図示の電極そのものを形成せず、高周波電源13から導出される電極棒(不図示)をマイクロ波導入窓12のマイクロ波導波管11側に接触させるだけでも、逆スパッタリング効果を発現することができる。符号16はソレノイドコイルである。
またプラズマ生成室1には、水素ガスおよびAr等の希ガスを導入する第1のガス導入孔14が接続されている。
【0023】
一方のプラズマ処理室2には、被処理基板21を載置する基板ステージ22と、この基板ステージ22の裏面にミラー磁場形成用の電磁石23がそれぞれ配設されている。基板ステージ22には、これも不図示の加熱手段と、被処理基板に入射する金属イオンの角度を被処理基板に対し略垂直に修正する高透磁率磁性体(不図示)が配設されている。符号25はコンダクタンスバルブ等を介して真空ポンプに接続されているガス排気孔である。
プラズマ生成室1とプラズマ処理室2との間には、金属ハロゲン化物ガスを導入するための第2のガス導入孔24が被処理基板21上に対称配置となるように挿入されている。なお図1では被処理基板の搬送手段やマスフローコントローラ等その他の装置細部は図示を省略する。なお、プラズマ処理室の内壁面をも、窒化アルミニウム部材により構成してもよい。
【0024】
かかる装置構成により、第1のガス導入孔14から導入された水素ガスと希ガスの混合ガスは、マイクロ波導入窓12から導入される2.45GHzのマイクロ波と、ソレノイドコイル16が発生する0.0875Tの磁界との相互作用により高密度のECRプラズマとなり、水素活性種を生成する。第2のガス導入孔24から導入される金属ハロゲン化物の一部はこの水素活性種により金属中性種に還元され、さらにこの金属中性種は希ガスイオンや電子と衝突してイオン化し、金属イオンとなる。一方、第2のガス導入孔24から導入される金属ハロゲン化物の他の一部は、プラズマ中の希ガス活性種や電子と衝突して、直接金属イオンとなる。これらの金属イオンは、ソレノイドコイル16が形成する発散磁場の磁場勾配により被処理基板21に向けて引き出される。被処理基板21の周辺部に向けて斜めに入射する金属イオンは、ミラー磁場形成用の電磁石23と高透磁率磁性体とによりその入射方向が修正され、被処理基板21の主面に対しほぼ垂直方向に入射する。したがって、アスペクト比の大きい接続孔の底部においても、カバレッジの対称性のよい金属膜や金属窒化物膜の形成が可能である。
【0025】
図1に示すECRプラズマCVD装置によれば、プラズマ生成室1のプラズマに接する内壁面は窒化アルミニウム製内壁15により構成されているため、この内壁面と水素活性種との反応によりプラズマ中にH2 O等の酸素成分が供給されることがない。またマイクロ波導入窓12のスパッタリングによりプラズマ中に酸素成分が供給される虞れもない。
したがって、Ti金属膜やTiN膜等の極めて酸化されやすいTi系材料膜を成膜する場合にも、膜中への酸素の採り込みが防止され、半導体装置のコンタクトプラグ等の形成に用いれば、低抵抗の多層配線構造を形成することが可能となる。
【0026】
【実施例】
以下、本発明を具体的な実施例によりさらに詳しく説明する。
以下の実施例は、前述したマイクロ波導入窓型ECRプラズマCVD装置により、Ti金属膜とTiN層とを連続的に形成し、多層配線構造を有する半導体装置の接続孔にコンタクトプラグを形成した例である。なお、本発明はこれら実施例によりなんら限定されるものではない。
【0027】
本実施例は、プラズマ生成室内壁を窒化アルミニウム製のライナーで構成するとともに、マイクロ波導電窓を窒化アルミニウムとシリコーン系接着剤と石英の積層構造で作製したECRプラズマCVD装置を用いてTi金属膜とTiN層とを連続的に形成した例である。
【0028】
マイクロ波導入窓型ECRプラズマCVD装置は先に図1を参照して説明した装置に準じるものを使用した。
【0029】
まず図3に示すように、本実施例のマイクロ波導入窓12は、厚さ7mm、直径80mmの石英板17のプラズマ生成室に面する側のみ、厚さ2mmの窒化アルミニウム板18を、20μmの厚さのシリコーン系接着剤により貼り付けた積層構造となっている。またマイクロ波導入管11側に接して冷却配管19を設け、この中に冷却水等の冷媒を流して200℃以下に冷却することでシリコーン系接着剤の熱劣化を防止している。
なお本実施例の積層構造は、石英板17の中央部分に座ぐりを設け、ここに窒化アルミニウム板18を接着した構造となっているが、座ぐりを設けず、平坦な石英板に窒化アルミニウム板を接着してもよい。また接着剤としては、マイクロ波の透過を妨げないものであればシリコーン系接着剤以外であってもよい。
【0030】
本実施例で採用した被処理基板は、図示は省略するが例えば8インチ径のシリコン等の半導体基板にMOSトランジスタ等の能動素子等を形成し、この上に酸化シリコン等の層間絶縁膜を形成し、この半導体基板に形成された不純物拡散層に臨む接続孔が形成されたものである。層間絶縁膜の厚さは例えば2μm、接続孔の開口径は0.2μm、アスペクト比は約10である。
【0031】
接続孔底部に露出する不純物拡散層表面の自然酸化膜や汚染物を希フッ酸等により除去洗浄後、この被処理基板を図1に示したECRプラズマCVD装置の基板ステージ22上に載置する。プラズマ生成室1に第1のガス導入孔14からH2 /Ar混合ガスを導入し、ECR放電によりプラズマ励起することにより、H原子やH+ イオン等の水素活性種を生成する。
【0032】
水素活性種を含むH2 /Ar混合ガスのプラズマを、ソレノイドコイル16の発散磁場の勾配によりプラズマ処理室2に引き出す。プラズマ処理室2では、第2のガス導入孔24から導入したTiCl4 ガスをこの水素活性種により還元し、被処理基板21上にTi金属膜を成膜する。
Ti金属膜のプラズマCVD条件の一例を下記に示す。
H2 流量:80〜140 sccm、
Ar流量:170〜300 sccm、
TiCl4 流量:2〜7 sccm、
マイクロ波パワー:2.8 kW(2.45GHz)、
被処理基板温度:100〜500 ℃。
本プラズマCVD条件、特にガス流量比は、本発明者が先に出願した特願平7−336309号明細書として提案したように、TiCl4 が充分に水素活性種により還元できる条件である。この流量比は、水素原子線および塩素の発光強度スペクトルから規定することができる。
【0033】
本プラズマCVD工程では、プラズマ生成室1に窒化アルミニウム製内壁15を採用したこと、およびマイクロ波導入窓12を採用したECRプラズマCVD装置を採用したことにより、Ti金属膜中に酸素が採りこまれる現象を効果的に低減することができる。
【0034】
引き続き、同一のECRプラズマCVD装置内でTi金属膜上にバリアメタルとしてTiN膜を形成する。
TiN膜のプラズマCVD条件の一例を下記に示す。
H2 流量:40〜70 sccm、
N2 流量:80〜140 sccm、
Ar流量:120〜200 sccm、
TiCl4 流量:5〜10 sccm、
マイクロ波パワー:2.8 kW(2.45GHz)、
被処理基板温度:100〜500 ℃。
【0035】
このプラズマCVD工程においても、Ti金属膜のプラズマCVD工程同様、TiN膜中に酸素が採りこまれる現象を効果的に低減することができる。
したがって、この後にシリサイド反応をともなう熱処理工程を施した場合においても、形成されるTiSix 膜とTiN膜との界面に高抵抗のTiOX 膜が形成されることはない。
【0036】
この後、上層配線層あるいはコンタクトプラグ材料としてAl系金属膜を高温スパッタリング等により成膜する。この上層配線層あるいはコンタクトプラグ材料としてはブランケットCVD等による高融点金属膜、一例としてタングステン膜を採用してもよい。この後、層間絶縁膜上のTi金属膜/TiN膜/Al系金属膜の積層構造を、レジストマスクを用いてパターニングすることにより上層配線を形成する。コンタクトプラグとする場合には層間絶縁膜上のTi金属膜/TiN膜/Al系金属膜の積層構造をCMP(Chemical Mechanical Polishing)により除去すればよい。
【0037】
本実施例により成膜されたTi金属膜およびTiN膜は、ミラー磁場形成用の電磁石23および基板ステージ22に配設された高透磁率磁性体の効果により、アスペクト比の大きい接続孔底部においても膜厚の対称性のよいTi金属膜が形成される一方、接続孔の側壁部分の膜厚は接続孔底部の膜厚より薄く形成される。したがって、コンフォーマルCVD法の場合のように、接続孔のアスペクト比が過度に大きくなることはなく、接続孔内には上層配線層あるいはコンタクトプラグ材料としてのAl系金属や高融点金属がボイド等を発生することなく埋め込まれる。
【0038】
また接続孔底部に清浄な拡散層表面が露出した状態でTi膜を形成したため、半導体基板とTi金属膜との界面にはTiシリサイド(不図示)が形成され、低抵抗のコンタクトプラグを形成することが可能である。この後、必要に応じてTiN膜を成膜し、Al系金属あるいはブランケットCVDによるW等により接続孔内を埋め込み、コンタクトプラグあるいは上層配線を形成する。
【0039】
比較例は、マイクロ波導入窓として厚さ10mm、直径80mmの石英単板を採用し、プラズマ生成室の内壁面も石英で構成した従来のECRプラズマCVD装置を用いた他は、被処理基板およびプラズマCVD条件は実施例と同様にTi金属膜およびTiN膜を形成した。
【0040】
以上の実施例および比較例により、Si基板の不純物拡散層上に成膜された、Si/Ti金属膜/TiN膜の積層構造をシリサイド熱処理後、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometer)により膜の深さ方向に分析した結果のチャートを図2(a)〜(b)に示す。このうち、図2(a)は上記実施例のマイクロ波導入窓およびプラズマ生成室内壁を有するECRプラズマCVD装置により成膜した実施例の試料によるもの、図2(b)は石英製のマイクロ波導入窓およびプラズマ生成室内壁を有するECRプラズマCVD装置により成膜した比較例の試料によるものである。
【0041】
SIMS分析は、TiN膜表面側からArイオンによりスパッタリング除去してゆき、検出されるそれぞれの2次イオン強度を比較したものであり、横軸にスパッタリング時間を、縦軸に検出2次イオン強度をそれぞれとっている。図2(a)〜(b)の各チャートでは、左側が積層構造の表面側に、右側が積層構造のシリコン基板側に相当する。
【0042】
図2(a)〜(b)の各チャートを比較すると、TiN膜とTiSix 膜の界面近傍から検出される酸素の2次イオンのピーク強度は、図2(a)の方が図2(b)のチャートよりも約1桁小さくなっている。またその幅、すなわちTiOx 膜の厚さも図2(a)の実施例の試料の方が薄くなっている。
このことは、窒化アルミニウム製のマイクロ波導入窓およびプラズマ生成室内壁を有するECRプラズマCVD装置により成膜した実施例のTi金属膜およびTiN膜中の酸素濃度は、石英製のマイクロ波導入窓およびプラズマ生成室内壁を有するECRプラズマCVD装置により成膜した比較例のTi金属膜およびTiN膜中の酸素濃度よりも、大幅に低減していることを示している。
【0043】
マイクロ波導入窓を本実施例のような積層構造とすることにより、マイクロ波導入窓の全厚を大きく設計することができるとともにマイクロ波の透過率も確保される。したがって、熱ストレスや、プラズマ生成室内(減圧)とマイクロ波導波管(大気圧)との圧力差による機械的ストレス等に対する強度が向上する。
【0044】
すなわち、積層構造のマイクロ波導入窓および窒化アルミニウム製プラズマ生成室内壁を採用してTi金属膜およびTiN膜を成膜しても、石英製のマイクロ波導入窓およびプラズマ生成室内壁を有するECRプラズマCVD装置により成膜した比較例のTi金属膜およびTiN膜中の酸素濃度よりも、膜中の酸素濃度を大幅に低減しうることが明らかとなった。
【0045】
以上、本発明のプラズマ処理装置およびプラズマ処理方法を実施例および比較例により詳しい説明を加えたが、本発明はこれら実施例に限定されることなく各種の実施態様が可能である。例えば、プラズマCVD装置としてマイクロ波導入窓型プラズマCVD装置を例示したが、その他マイクロ波導入窓を有しないべルジャ型のマイクロ波導入部とプラズマ生成室一体型のECRプラズマCVD装置、ICP装置、ヘリコン波プラズマCVD装置あるいは平行平板型プラズマCVD等、あらゆるプラズマCVD装置やプラズマエッチング装置等に適用できる。
【0046】
プラズマCVD方法として、Ti金属膜およびTiN膜の成膜を例示したが、その他酸素成分の混入の低減が望まれる各種金属膜や金属窒化物膜のプラズマCVDや、プラズマエッチング等に適用することができる。
【0047】
金属膜および金属窒化物膜を成膜する被処理基板として、不純物拡散層に臨む接続孔を有するシリコン基板を例示したが、Al系金属や多結晶シリコン等の下層配線に望む接続孔を有する半導体基板、あるいはサリサイドプロセスを採用するシリコン基板や、その他光記録ディスク、光磁気記録ディスク、薄膜磁気ヘッド等の磁気デバイスやその他の電子デバイス等に適用してもよい。
【0048】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明のプラズマ処理装置によれば、従来のプラズマ生成室内壁やマイクロ波導入窓の構成材料である、石英に起因する酸素成分がプラズマ中に放出される不都合を回避することができる。
【0049】
また本発明のプラズマ処理方法によれば、被処理基板に対しての酸素成分の影響を低減したプラズマ処理が可能となる。したがって、高集積度半導体装置の多層配線構造のコンタクトメタルやバリアメタルの成膜に適用すれば、低抵抗の多層配線が実現でき、信頼性の高い半導体装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のプラズマ処理装置を、プラズマCVD装置に適用した一例を示す概略断面図である。
【図2】 シリコン基板の不純物拡散層上に形成されたTi金属膜およびTiN膜の積層膜をシリサイド熱処理後、その膜厚方向のSIMS元素分析を示すチャートであり、図2(a)は本発明のプラズマCVD装置によるもの、図2(b)は従来のプラズマCVD装置によるものである。
【図3】 実施例2のプラズマCVD装置の、マイクロ波導入窓の構造を示す概略断面図である。
【図4】 従来のプラズマ処理装置において、石英製のマイクロ波導入窓にRFを印加しつつTi金属膜を成膜した際のTi金属膜中の不純物濃度を示すグラフである。
【図5】 従来のプラズマ処理方法の問題点を説明する図であり、図5(a)は半導体基板の不純物拡散層上に酸素を含むTi金属膜およびTiN膜を順次形成した状態を示す概略断面図であり、図5(b)はこれをシリサイド化熱処理した後の状態を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1・プラズマ生成室、2・プラズマ処理室、11・マイクロ波導波管、12・窒化アルミニウム製マイクロ波導入窓、13・高周波電源、14・第1のガス導入孔、15・窒化アルミニウム製内壁、16・ソレノイドコイル、17・石英板、18・窒化アルミニウム板、19・冷却配管、21・被処理基板、22・基板ステージ、23・電磁石、24・第2のガス導入孔、25・ガス排気孔、31・不純物拡散層、32・酸素を含むTi金属膜、33・TiSi2 膜、34・TiOx 膜、35・TiN膜
Claims (5)
- マイクロ波導波管とプラズマ生成室との間にマイクロ波導入窓を有するプラズマ処理装置において、
前記マイクロ波導入窓は、石英(SiO2 )板とシリコーン系接着剤と窒化アルミニウム板の積層構造を有すること
を特徴とするプラズマ処理装置。 - 前記マイクロ波導入窓の前記マイクロ波導入管側に接して冷却配管を備えたこと
を特徴とする請求項1記載のプラズマ処理装置。 - 前記石英板の中央部に座ぐりが形成され、
前記座ぐりに前記窒化アルミニウム板が形成されていること
を特徴とする請求項1記載のプラズマ処理装置。 - プラズマ生成室に臨むマイクロ波導入窓を有するとともに、
前記マイクロ波導入窓は、石英(SiO2 )板とシリコーン系接着剤と窒化アルミニウム板の積層構造を有するプラズマ処理装置により、
プラズマ処理を施すこと
を特徴とするプラズマ処理方法。 - 前記プラズマ処理は、
水素活性種を用いて、チタン膜および窒化チタン膜のいずれか少なくとも一方を被処理基板上に形成するプラズマCVD工程であること
を特徴とする請求項4記載のプラズマ処理方法。
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