JP3930577B2 - 雨水等の貯留浸透施設 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
この発明は、通水性を有して自然水を貯留する容器状部材を用いた雨水等の貯留浸透施設に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明者は、既に特公平4−26648号において容器状部材を縦横かつ上下に配設した構造体を用いて雨水等の貯留浸透施設とする構造を提案したが、更に汎用性に優れた容器状部材の開発を行い、本発明を完成するに至った。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、容器状部材に1または複数の中空状の柱部を設けて強度を高め、また、該中空状の柱部または筒部に比重の軽い物質や比重の重い物質を充填しうる容器状部材を用いた雨水等の貯留浸透施設を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記課題を解決するため、請求項1の雨水等の貯留浸透施設の発明では、
底面部および周面部からなる容器状部材であって、前記底面部およびまたは周面部に1または複数の孔を透設してなり、
前記底面部の中央で開口して上方へ突出し、上端が前記周面部の上端と略同一の高さないし僅かに低く設定された頂端面閉塞または開放の中空状の柱部を設けてなり、
前記複数の容器状部材を、地面を掘り下げたタンク部内に上下およびまたは縦横に配置し、最上部に被覆手段を施してなることを特徴とする。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の容器状部材の実施例について図面を参照しつつ説明する。
図1から図3に示す容器状部材1は、周面部2および底面部3からなる有底で上面が開口して開口部4が形成される硬質合成樹脂製の箱状部材であって、周面部2は底面3部に向かって徐々に小さくなるテーパー状に形成されている。
また、上記周面部2および底面部3には多数の孔6が穿設されている。
この孔6の大きさは用途により適宜大きさを設定することができ、容器状部材1に収納ないし充填する物質がある場合にはこれらが抜け落ちない大きさに設定されることが好ましい。
【0006】
そして、底面部3には、底面中央で開口5aして上方へ突出する頂端面閉塞または開放の中空状の柱部5を一体に形成している。
該柱部5は、截頭円錐状からなって上端は周面部の上端と略同一ないし僅かに低く設定されている。
なお、柱部5の頂端面は閉塞あるいは開放されていてもよい。
上記構成からなっているので、容器状部材1は上下に積み重ねた際に、上方の容器状部材1が下方の容器状部材1の内側に入り込み、下方の容器状部材1の柱部5が上方の容器状部材1の柱部5の内部中空に入り込み重ねて収納することができる。
また、容器状部材1は図示例の場合、断面が略正方形となる截頭四角錐形状の箱形を示したが、この形状は特に限定されず、断面が円形、楕円形、多角形等任意の形状からなっているものであってもよい。
この断面形状は、同一面状に連続して組み合わせ可能な公知形状に設定すれば組み合わせが容易になり好ましい。
【0007】
次に、図4に示す容器状部材1は柱部5と共に、周面部2の上部およびまたは下部に外周に沿って中空のボックス部7を設け、該ボックス部7にも該ボックス部7の開口から柱部5と同様の充填物を充填する構成を例示する。
この場合には、ボックス部7にも充填物が充填されるので、充填物による効果の向上が一層顕著に認められる。
図示例では柱部5内にも充填材を充填した例を示したが、上下のボックス部7だけ充填する構成、周縁部2の上部または下部のいずれか一方のボックス部7にだけ充填する構成、あるいはこれらと柱部5とに充填する構成等、適宜の中空内に用途に応じて充填材を充填することができる。
そして、上記ボックス部7は容器状部材1の外周に沿って環状に形成されているので、コンクリート等の耐重量物等が充填された場合には外周の強度が高くなって、内外方向の圧力に対して耐性を有する。
従って、柱部5が中空のままであって上から荷重がかかっても、外周が拘束されることになるので、柱部5下端が拡開する等して弱まることがない。
【0008】
次に、前記各実施例で説明した容器状部材1は、柱部5によって上下方向の強度が高まる。
また柱部5には周壁に孔を空けても設けなくてもよい。
また柱部5は少なくとも一方が開口しているので内部中空には充填材を収納することができる。
例えば、柱部5に発泡スチロールや発泡スチレンなどの浮力があり比重の軽い物質を充填したり柱部5の開口5aを蓋材で閉じて密閉し容器状部材の浮力を高めたり、柱部5にセメントその他の強度の高い物質を充填して耐荷重を高め、あるいは比重を重くして水没可能とする等、任意の物質を用途に応じて一体に充填することができる。
なお、第1実施例の容器状部材1では各周壁面2に形成された鍔部Fの折返し内部に断面チャンネル状のボックス部7を形成してもよく、該ボックス部7内に前記のように充填材を充填させることができる。
このように充填材を柱部5のみ、あるいは柱部5と鍔部Fの折返し内部のボックス部7、または折返し内部のボックス部7のみ等の用途に応じた適宜組み合わせで充填させることにより、この容器状部材1の強度を向上させることができる。
充填する物質は、柱部5内部に充填することにより一体に接着または固着する充填物が好ましいが、一体とならない物質の場合には柱部の下部開口を塞ぐ底蓋を設け底面部に連結すればよく、この発明において充填物の種類は限定されない。
【0009】
また、容器状部材1の上面の開口部4を覆う蓋体40を設けてもよい。
この蓋体40は、柱部5の上端を嵌め込む孔42と、通気、通水用の孔43を有する略正方形のカバーで、各辺の外周の中途位置に係止片41が突設しており、容器状部材1の周面部2の上部に穿設された係止孔Hに係合可能となっている。
尚、この係合孔Hは、鍔部Fの折返片で外側が覆われているので、上記係合部分が保護されている。
なお、この鍔部Fは図示のように上周縁部に設ける以外に下方周縁部に設けてもよい。
これにより、容器状部材1内に土を入れて芝生や植物を生育する場合に踏圧面となって植物を保護することができると共に雨水などを進入させることができる。
【0010】
次に、図5に示す応用例の容器状部材1は、底面部3および周面部2からなって、内部に縦横に交差する仕切壁51を設けて複数に区画された上下に延びる筒部52を多数形成した異なる実施例を示す。
ここで、仕切壁51は複数の区画された筒部52を形成しており、上部または下部を図示省略の蓋材で覆うことにより、前記実施例の柱部と同様に機能することになる。
また、蓋材を設けずに上下を開口したままで充填材を充填させる構成としてもよい。
この実施例においては、不使用時に積み重ねても重なる部分がなく高さが低くならないが、その他の容器状部材の本来の機能は前記実施例と同様であるので、その説明を省略する。
また、この容器本体の外周には、図5と同様にボックス部7を設けている。
従って、必要に応じて所望の筒部52およびまたはボックス部7に充填材を充填し、あるいは全く充填材を使用せずに、使用に供することができる。
【0011】
次に、容器状部材1を連結する連結板について図6〜図8に説明する。
尚、図中、底面図3の孔部は図示省略してある。
本実施例では連結板は容器状部材1とは別体からなっており、上部連結板10と下部連結板20との2種類からなっている。
そして、上下に配置した複数の容器状部材1を、相互に底面部3は底面部3と対尾させ、上面の開口部4は開口部4と対面させて上下に配設して連結する。
そのために開口部4を囲む周面部2の上端には外側へ張り出す鍔部Fを形成することが好ましい。
【0012】
そして、図示例の場合、容器状部材1の上記鍔部Fの各コーナー部に、上部連結孔部8が穿設されており、底面部3の四隅部には下部連結孔部9がそれぞれ穿設されている。
本実施例では、上方の容器状部材1の開口部4と下方の容器状部材1の開口部4とを対面させて連結する場合には、上部連結板10が用いられる。
この上部連結板10は、縦横に隣接する容器状部材1において4つの容器状部材の鍔部Fの各コーナー部が集合して4つの上部連結孔部8が集まった箇所に取り付けられる。
そして上部連結板10には、基板上に上記上部連結孔部8に嵌合係止する係止軸部11が上下一対に且つ4カ所に対応して上下に各4つ合計8つ突設されている。
【0013】
同様に、上方の容器状部材1の底面部3と下方の容器状部材1の底面部3とを対尾させて連結する場合には、下部連結板20が用いられる。
この下部連結板20は、縦横に隣接する容器状部材1において4つの容器状部材の底面部3の各コーナー部が集合して4つの下部連結孔部9が集まった箇所に取り付けられる。
そして下部連結板20には、基板上に上記下部連結孔部9に嵌合係止する係止軸部21が上下一対に且つ4カ所に対応して上下に各4つ合計8つ突設されている(図8参照)。
ここで、容器状部材1を同一面上で縦横に連結する場合には上下に連結することはないので、図8に示すように係止軸部21を一方だけに4つ突出させたものを用いればよい。
【0014】
そして、容器状部材1の連結の方法として、容器状部材1を縦横に隙間無く連結する場合には、図8に示すように上記上部連結板10(図6参照)と下部連結板20の係止軸部11、21の相互の間隔は隙間無く配置した容器状部材1に設けられた連結孔部8、9に対応するように間隔を狭めて配置してある。
また、容器状部材1を縦横に隙間を設けて連結する場合には、上記上部連結板10と下部連結板20の係止軸部11、21の相互の間隔は等間隔に隙間を設けて配置した容器状部材1に設けられた連結孔部8、9に対応するように間隔を広げて配置してある(図7参照)。
【0015】
隣接する容器状部材1の位置を固定する場合には上下の連結板は剛性を有する素材(硬質合成樹脂材)で形成し、隣接する容器状部材1を揺動可能に連結する場合には上下の連結板は弾性乃至可撓性を有する素材(合成ゴム等)で形成することが好ましい。
上記実施例では、上部連結板10と下部連結板20には係止軸部を設けたが、ボルト締め等の固定手段を設けて隣接する容器状部材1を一体に固定してもよい。
【0016】
また、図9および図10は容器状部材1の連結手段を一体に設けた異なる構成を示す。
この連結手段は容器状部材1の周面部2の上端で対向する辺(例えば縦方向に延びる辺)2a、2cに連結突部31を設け、これに隣接する辺(横方向に延びる辺)2b、2dに連結突部31に対応する連結孔部32を設け、同様に底面部3の縁部にも対向する辺3a、3cに連結突部33を設け、これに隣接する辺3b、3dに連結突部33に対応する連結孔部34を設けた構成からなっている。
これにより、容器状部材1を90度角度を代えて順次積み重ねることにより上に積み重ねて連結することができる。
この場合の容器状部材1のその他の構造は前記実施例と同様であるので説明を省略する。
【0017】
更に、図示しないが、容器状部材の外周の対向する辺に連結突部を設け、これに隣接する辺に連結受部を設けておけば、同様に縦横方向に容器状部材を連結することができる。
ここで、連結突部と連結受部の組み合わせは逆であってもよいこと勿論である。
このように公知の連結手段を容器状部材に一体に設けることにより、別体の連結部材を設けずに、上下方向、縦横方向に容器状部材を連結することができる。
【0018】
上記実施例では、容器状部材1を上下およびまたは縦横に整列して容器状部材1を連結する場合を例示したが、容器状部材の組み合わせは上記実施例に限定されず、例えば上方に連結される容器状部材をずらして連結する構成としてもよい。
この場合、容器状部材1の周面部2上端のコーナー部に連結突部または受部を設け、底面部3のコーナー部には組み合わせ時に上記連結突部または受部に対応する連結受部または突部を設ければよい(図示せず)。
その他、容器状部材1の連結構成は前記実施例に限定されず、種々の公知の構成を用いることができる。
【0019】
この容器状部材1の使用例を次に説明する。
この容器状部材1を上下および縦横に多数組み合わせて連結し、例えば特公平4−26648号に示したような地面を掘り下げたタンク部内に載置し、最上部に被覆手段を施すことにより、雨水等の貯留浸透施設に用いることができる。
そして、柱部5にコンクリートを充填する等により容器状部材1の強度を高めておけば、耐荷重性が向上するので、その上をグランドとして使用するばかりでなく、建造物を建設することもできる。
また、通水性を有する袋等に上下および縦横に連結した容器状部材1を収納して地下に埋設し、雨水の入り口を上部に設けておけば、小型の貯水槽として利用することができる。
更に、多数の容器状部材1の開口部4が上を向くように同一面状に並べて連結して、地面に埋設し、各容器状部材1内には芝生その他の植物を植えることにより、駐車場等の踏圧面保護装置として使用することもできる。
この際にも自動車の車輪があたる柱部5にコンクリート等を充填することにより耐荷重性能の一層の向上を図ることができる。
【0020】
また、同様に多数の容器状部材1を縦横に連結して水中に浮かせてよい。
この際には、柱部5内に合成樹脂発泡体を充填して浮力を高めておくことが好ましい。
そして各容器状部材1内には透水性ネット(図示せず)を敷設して内部に収納した土が抜け落ちないようにして土と植物を入れたり、鉢植えの植物をそのまま容器状部材に収納する等して湖や池等に浮かべることにより、植物を生育させることができる。
また、柱部5にコンクリートその他の比重の重い充填物を充填し、また多数の連結された容器状部材1を一体に固着し、または袋や枠に収納して容器状部材1が分散しないようにして、魚礁や海岸線の砂の保護や消波ブロックとして使用することもできる。
【0021】
更に、本実施例では、容器状部材は積み重ね可能なように周面部が底面部に向かって狭まるテーパ面とした場合を例示したが、周面部が上方に向かって狭まる逆テーパ状あるいは周面部が段違いに拡開する形状、あるいは垂直面に形成されたり湾曲面に形成される等、適宜形状であってもよい。
また、柱部や筒部も同様であり、断面形状は特に限定されず、円形、楕円形、多角形等任意の各種断面形状を用いてもよい。
その他、要するにこの発明の要旨を変更しない範囲で種々変更しうること勿論である。
【0022】
【発明の効果】
この発明は、柱部または筒部を有するので、強度が高まると共に、通水性や通気性を有するので、土中に埋設したり、水上に浮上させたり、水中・海中に埋没させる等各種の用途し使用することができ、汎用性に優れる。
更に柱部または筒部が中空に形成されているので、充填物を充填して浮力を高めたり比重を重くしたり剛性や強度を一層高めることができ、極めて有益である。
更に容器状部材の外周に沿ってボックス部を設ければ、上記柱部または筒部と共に、あるいはボックス部単独で充填材を充填して使用することができ、容器状部材の強度を高めたり、浮力を向上させたりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 容器状部材の実施例の断面図。
【図2】 同正面図。
【図3】 同平面図。
【図4】 ボックス部を設けた別の実施例の断面図。
【図5】 異なる実施例の容器状部材の平面図。
【図6】 上部連結板で隙間無く容器状部材を連結する場合を説明する平面図。
【図7】 上部連結板で隙間を空けて容器状部材を連結する場合を説明する平面図。
【図8】 上下及び縦横(横方向)に連結する場合の側面図。
【図9】 異なる連結手段を設けた容器状部材の平面図。
【図10】同上下に積み重ねた場合の正面図。
【符号の説明】
1・・・容器状部材
2・・・周面部
3・・・底面部
4・・・開口部
5・・・柱部
5a・・開口
6・・・孔
7・・・ボックス部
8・・・上部連結孔部
9・・・下部連結孔部
10・・上部連結板
11・・係止軸部
20・・下部連結板
21・・係止軸部
31・・連結突部
32・・連結孔部
33・・連結突部
34・・連結孔部
40・・蓋体
F・・・鍔部
H・・・係合孔

Claims (1)

  1. 底面部および周面部からなる容器状部材であって、前記底面部およびまたは周面部に1または複数の孔を透設してなり、
    前記底面部の中央で開口して上方へ突出し、上端が前記周面部の上端と略同一の高さないし僅かに低く設定された頂端面閉塞または開放の中空状の柱部を設けてなり、
    前記複数の容器状部材を、地面を掘り下げたタンク部内に上下およびまたは縦横に配置し、最上部に被覆手段を施してなることを特徴とする雨水等の貯留浸透施設。
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