JP3930278B2 - 液処理装置および液処理方法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)に用いられるガラス基板等に対して現像処理等の所定の液処理を施すために用いられる液処理装置と液処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
LCDの製造においては、LCDガラス基板(以下「LCD基板」という)にレジスト膜を形成した後に、回路パターンに対応してこのレジスト膜を露光し、さらにこれを現像処理するという、いわゆるフォトリソグラフィー技術を用いてLCD基板に所定の回路パターンを形成している。ここで、例えば、現像処理については、基板を水平姿勢で水平方向に搬送しながら、基板の表面に現像液を塗布して基板上に現像液パドルを形成し、この状態で所定時間保持することで現像反応を進行させ、その後に基板を傾斜姿勢に変換して現像液を流し出し、続いてリンス液を基板に供給して現像液残渣を除去する洗浄(リンス)処理を行い、さらに基板に付着したリンス液を乾燥ガスで吹き飛ばして乾燥させる方法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、一辺の長さが1mにも及ぶような大型のLCD基板を均一な水平姿勢に保持しながら搬送することは極めて困難である。例えば、現像液がLCD基板上に液盛りされて荷重の掛かっている状態と、LCD基板の乾燥処理時のように自重以外に荷重が掛かっていない状態とでは、LCD基板の撓み方が異なる。このように現像処理における各処理の経過に伴って撓み方が変化すると、LCD基板に現像パターンのむらが発生する問題がある。
【0004】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、液処理中の基板の撓み状態の変化を抑制することができる液処理装置および液処理方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の観点によれば、基板に所定の液処理を施す液処理装置であって、基板をその中央部の高さ位置と対向する1組の端辺の高さ位置とを異ならせてその断面を特定形状の略弓形に撓ませつつ略水平方向に搬送する基板搬送機構と、前記基板搬送機構によって搬送される基板に所定の処理液を供給する処理液供給機構と、前記基板搬送機構によって搬送される基板に乾燥ガスを噴射して前記基板を乾燥させる基板乾燥機構とを具備することを特徴とする液処理装置、が提供される。
【0006】
本発明の第2の観点によれば、基板に第1の処理液を塗布し、その後基板に第2の処理液を塗布して前記第1の処理液を洗い流す液処理装置であって、基板をその中央部の高さ位置と対向する1組の端辺の高さ位置とを異ならせてその断面を特定形状の略弓形に撓ませつつ略水平方向に搬送する基板搬送機構と、前記基板搬送機構によって搬送される基板に所定の処理液を供給する処理液供給機構と、を具備し、前記第1の処理液を塗布するときの基板の搬送速度と前記第2の処理液を塗布するときの基板の搬送速度とが異なることを特徴とする液処理装置、が提供される。
また、本発明の第3の観点によれば、基板に第1の処理液を塗布し、その後基板に第2の処理液を塗布して前記第1の処理液を洗い流す液処理装置であって、基板をその中央部の高さ位置と対向する1組の端辺の高さ位置とを異ならせてその断面を特定形状の略弓形に撓ませつつ略水平方向に搬送する基板搬送機構と、前記基板搬送機構によって搬送される基板に所定の処理液を供給する処理液供給機構と、を具備し、前記第1の処理液を塗布するときの基板の撓ませ量と前記第2の処理液を塗布するときの基板の撓ませ量とが異なることを特徴とする液処理装置、が提供される。
【0007】
本発明の第4の観点によれば、基板に所定の液処理を施す液処理装置であって、基板をその中央部の高さ位置と対向する1組の端辺の高さ位置とを異ならせてその断面を特定形状の略弓形に撓ませて保持する基板保持手段と、前記基板保持手段を水平方向に移動させる搬送機構と、前記搬送機構によって搬送される前記基板保持手段に保持された基板に所定の処理液を供給する処理液供給機構と、を具備し、前記基板保持手段は、前記基板を載置する載置ステージと、前記載置ステージに載置された基板の周縁部を吸着して保持する減圧吸着機構と、を具備することを特徴とする液処理装置、が提供される。
【0008】
本発明の第5の観点によれば、基板をその中央部の高さ位置と対向する1組の端辺の高さ位置とを異ならせてその断面を特定形状の略弓形に撓ませつつ略水平方向に搬送しながら前記基板に所定の液処理を施す液処理方法であって、前記基板に第1の処理液を塗布する第1工程と、前記基板に第2の処理液を供給して前記第1の処理液を洗い流す第2工程と、前記基板の表面の曲面形状に対応した形状を有するガス噴射口を有するガス噴射ノズルを用いて、前記基板に乾燥ガスを吹き付けて前記第2の処理液を吹き飛ばすことで前記基板を乾燥させる第3工程と、を有することを特徴とする液処理方法、が提供される。
また、本発明の第6の観点によれば、基板をその中央部の高さ位置と対向する1組の端辺の高さ位置とを異ならせてその断面を特定形状の略弓形に撓ませた状態で保持して水平方向に搬送しながら前記基板に所定の液処理を施す液処理方法であって、前記基板に第1の処理液を塗布する第1工程と、前記基板に第2の処理液を供給して前記第1の処理液を洗い流す第2工程と、前記基板の表面の曲面形状に対応した形状を有するガス噴射口を有するガス噴射ノズルを用いて、前記基板に乾燥ガスを吹き付けて前記第2の処理液を吹き飛ばすことで前記基板を乾燥させる第3工程と、を有することを特徴とする液処理方法、が提供される。
【0009】
このような液処理装置および液処理方法によれば、基板を予め撓ませた状態で搬送するために、基板への処理液の供給、基板上の処理液の除去、基板の乾燥といった一連の液処理工程において基板の撓みの変化が小さい。このように基板の姿勢を均一化することによって基板全体で均一な液処理が行われるため、処理ムラの発生を抑制することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。ここでは、LCD基板に対してレジスト膜の形成から現像までの処理を連続して行うレジスト塗布・現像処理システムを例に説明することとする。図1はレジスト塗布・現像処理システム100の概略構成を示す平面図である。
【0011】
このレジスト塗布・現像処理システム100は、複数のLCD基板Gを収容するカセットCを載置するカセットステーション(搬入出部)1と、LCD基板Gにレジスト塗布および現像を含む一連の処理を施すための複数の処理ユニットを備えた処理ステーション(処理部)2と、露光装置4との間でLCD基板Gの受け渡しを行うためのインターフェイスステーション(インターフェイス部)3とを備えており、処理ステーション2の両端にそれぞれカセットステーション1およびインターフェイスステーション3が配置されている。なお、図1において、レジスト塗布・現像処理システム100の長手方向をX方向、平面上においてX方向と直交する方向をY方向とする。
【0012】
カセットステーション1は、カセットCをY方向に並べて載置できる載置台9と、処理ステーション2との間でLCD基板Gの搬入出を行うための搬送装置11を備えており、この載置台9と外部との間でカセットCの搬送が行われる。また、搬送装置11は搬送アーム11aを有し、カセットCの配列方向であるY方向に沿って設けられた搬送路10上を移動可能であり、搬送アーム11aによりカセットCと処理ステーション2との間でLCD基板Gの搬入出が行われる。
【0013】
処理ステーション2は、基本的にX方向に伸びるLCD基板G搬送用の平行な2列の搬送ラインA・Bを有しており、搬送ラインAに沿ってカセットステーション1側からインターフェイスステーション3に向けてスクラブ洗浄処理ユニット(SCR)21、第1の熱的処理ユニットセクション26、レジスト処理ユニット23および第2の熱的処理ユニットセクション27が配列されている。また、搬送ラインBに沿ってインターフェイスステーション3側からカセットステーション1に向けて第2の熱的処理ユニットセクション27、現像処理ユニット(DEV)24、i線UV照射ユニット(i−UV)25および第3の熱的処理ユニットセクション28が配列されている。スクラブ洗浄処理ユニット(SCR)21の上の一部にはエキシマUV照射ユニット(e−UV)22が設けられている。なお、エキシマUV照射ユニット(e−UV)22はスクラバ洗浄に先立ってLCD基板Gの有機物を除去するために設けられ、i線UV照射ユニット(i−UV)25は現像の脱色処理を行うために設けられる。
【0014】
上記スクラブ洗浄処理ユニット(SCR)21は、その中でLCD基板Gが略水平姿勢で搬送されつつ洗浄処理および乾燥処理が行われるようになっている。現像処理ユニット(DEV)24も、後に詳細に説明するように、LCD基板Gが略水平に搬送されつつ現像液塗布、現像後の洗浄処理および乾燥処理が行われるようになっている。これらスクラブ洗浄処理ユニット(SCR)21および現像処理ユニット(DEV)24では、LCD基板Gの搬送は、例えば、コロ搬送またはベルト搬送により行われ、LCD基板Gの搬入口および搬出口は相対向する短辺に設けられている。また、i線UV照射ユニット(i−UV)25へのLCD基板Gの搬送は、現像処理ユニット(DEV)24の搬送機構と同様の機構により連続して行われる。
【0015】
レジスト処理ユニット23には、略水平に保持されたLCD基板Gにレジスト液を滴下させて、LCD基板Gを所定の回転数で回転させることによってレジスト液をLCD基板G全体に拡げ、レジスト膜を形成するレジスト塗布処理装置(CT)23aと、LCD基板G上に形成されたレジスト膜を減圧乾燥する減圧乾燥装置(VD)23bと、LCD基板Gの四辺をスキャン可能な溶剤吐出ヘッドによりLCD基板Gの周縁に付着した余分なレジストを除去する周縁レジスト除去装置(ER)23cとがその順に配置されている。レジスト処理ユニット23内には、これらレジスト塗布処理装置(CT)23a、減圧乾燥装置(VD)23b、周縁レジスト除去装置(ER)23cの間でLCD基板Gを搬送する搬送アームが設けられている。
【0016】
図2は第1の熱的処理ユニットセクション26の側面図であり、第1の熱的処理ユニットセクション26は、LCD基板Gに熱的処理を施す熱的処理ユニットが積層して構成された2つの熱的処理ユニットブロック(TB)31・32を有している。熱的処理ユニットブロック(TB)31はスクラブ洗浄処理ユニット(SCR)21側に設けられ、熱的処理ユニットブロック(TB)32はレジスト処理ユニット23側に設けられており、これら2つの熱的処理ユニットブロック(TB)31・32の間に第1の搬送装置33が設けられている。
【0017】
熱的処理ユニットブロック(TB)31は、下から順にLCD基板Gの受け渡しを行うパスユニット(PASS)61、LCD基板Gに対して脱水ベーク処理を行う2つの脱水ベークユニット(DHP)62・63、LCD基板Gに対して疎水化処理を施すアドヒージョン処理ユニット(AD)64が4段に積層された構成を有している。また、熱的処理ユニットブロック(TB)32は、下から順にLCD基板Gの受け渡しを行うパスユニット(PASS)65、LCD基板Gを冷却する2つのクーリングユニット(COL)66・67、LCD基板Gに対して疎水化処理を施すアドヒージョン処理ユニット(AD)68が4段に積層されて構成を有している。
【0018】
第1の搬送装置33は、パスユニット(PASS)61を介してのスクラブ洗浄処理ユニット(SCR)21からのLCD基板Gの受け取り、上記熱的処理ユニット間のLCD基板Gの搬入出、およびパスユニット(PASS)65を介してのレジスト処理ユニット23へのLCD基板Gの受け渡しを行う。
【0019】
第1の搬送装置33は、上下に延びるガイドレール91と、ガイドレールに沿って昇降する昇降部材92と、昇降部材92上を旋回可能に設けられたベース部材93と、ベース部材93上を前進後退可能に設けられ、LCD基板Gを保持する基板保持アーム94とを有している。そして、昇降部材92の昇降はモータ95によって行われ、ベース部材93の旋回はモータ96によって行われ、基板保持アーム94の前後動はモータ97によって行われる。このように第1の搬送装置33は、上下動、前後動、旋回動可能であり、熱的処理ユニットブロック(TB)31・32のいずれのユニットにもアクセスすることができる。
【0020】
第2の熱的処理ユニットセクション27は、LCD基板Gに熱的処理を施す熱的処理ユニットが積層して構成された2つの熱的処理ユニットブロック(TB)34・35を有しており、熱的処理ユニットブロック(TB)34はレジスト処理ユニット23側に設けられ、熱的処理ユニットブロック(TB)35は現像処理ユニット(DEV)24側に設けられている。そして、これら2つの熱的処理ユニットブロック(TB)34・35の間に第2の搬送装置36が設けられている。
【0021】
図3は第2の熱的処理ユニットセクション27の側面図であり、熱的処理ユニットブロック(TB)34は、下から順にLCD基板Gの受け渡しを行うパスユニット(PASS)69とLCD基板Gに対してプリベーク処理を行う3つのプリベークユニット(PREBAKE)70・71・72が4段に積層された構成となっている。また、熱的処理ユニットブロック(TB)35は、下から順にLCD基板Gの受け渡しを行うパスユニット(PASS)73、LCD基板Gを冷却するクーリングユニット(COL)74、LCD基板Gに対してプリベーク処理を行う2つのプリベークユニット(PREBAKE)75・76が4段に積層された構成となっている。
【0022】
第2の搬送装置36は、パスユニット(PASS)69を介してのレジスト処理ユニット23からのLCD基板Gの受け取り、上記熱的処理ユニット間のLCD基板Gの搬入出、パスユニット(PASS)73を介しての現像処理ユニット(DEV)24へのLCD基板Gの受け渡し、および後述するインターフェイスステーション3の基板受け渡し部であるエクステンション・クーリングステージ(EXT・COL)44に対するLCD基板Gの受け渡しおよび受け取りを行う。なお、第2の搬送装置36は、第1の搬送装置33と同じ構造を有しており、熱的処理ユニットブロック(TB)34・35のいずれのユニットにもアクセス可能である。
【0023】
第3の熱的処理ユニットセクション28は、LCD基板Gに熱的処理を施す熱的処理ユニットが積層して構成された2つの熱的処理ユニットブロック(TB)37・38を有しており、熱的処理ユニットブロック(TB)37は現像処理ユニット(DEV)24側に設けられ、熱的処理ユニットブロック(TB)38はカセットステーション1側に設けられている。そして、これら2つの熱的処理ユニットブロック(TB)37・38の間に第3の搬送装置39が設けられている。
【0024】
図4は第3の熱的処理ユニットセクション28の側面図であり、熱的処理ユニットブロック(TB)37は、下から順に、LCD基板Gの受け渡しを行うパスユニット(PASS)77、LCD基板Gに対してポストベーク処理を行う3つのポストベークユニット(POBAKE)78・79・80が4段に積層された構成を有している。また、熱的処理ユニットブロック(TB)38は、下から順に、ポストベークユニット(POBAKE)81、LCD基板Gの受け渡しおよび冷却を行うパス・クーリングユニット(PASS・COL)82、LCD基板Gに対してポストベーク処理を行う2つのポストベークユニット(POBAKE)83・84が4段に積層された構成を有している。
【0025】
第3の搬送装置39は、パスユニット(PASS)77を介してのi線UV照射ユニット(i−UV)25からのLCD基板Gの受け取り、上記熱的処理ユニット間のLCD基板Gの搬入出、パス・クーリングユニット(PASS・COL)82を介してのカセットステーション1へのLCD基板Gの受け渡しを行う。なお、第3の搬送装置39も第1の搬送装置33と同じ構造を有しており、熱的処理ユニットブロック(TB)37・38のいずれのユニットにもアクセス可能である。
【0026】
処理ステーション2では、以上のように2列の搬送ラインA・Bを構成するように、かつ基本的に処理の順になるように各処理ユニットおよび搬送装置が配置されており、これら搬送ラインA・B間には空間40が設けられている。そして、この空間40を往復動可能にシャトル(基板載置部材)41が設けられている。このシャトル41はLCD基板Gを保持可能に構成されており、シャトル41を介して搬送ラインA・B間でLCD基板Gの受け渡しが行われる。シャトル41に対するLCD基板Gの受け渡しは、上記第1から第3の搬送装置33・36・39によって行われる。
【0027】
インターフェイスステーション3は、処理ステーション2と露光装置4との間でLCD基板Gの搬入出を行う搬送装置42と、バッファーカセットを配置するバッファーステージ(BUF)43と、冷却機能を備えた基板受け渡し部であるエクステンション・クーリングステージ(EXT・COL)44とを有しており、タイトラー(TITLER)と周辺露光装置(EE)とが上下に積層された外部装置ブロック45が搬送装置42に隣接して設けられている。搬送装置42は搬送アーム42aを備え、この搬送アーム42aにより処理ステーション2と露光装置4との間でLCD基板Gの搬入出が行われる。
【0028】
このように構成されたレジスト塗布・現像処理システム100においては、まず、カセットステーション1の載置台9に配置されたカセットC内のLCD基板Gが、搬送装置11により処理ステーション2のエキシマUV照射ユニット(e−UV)22に直接搬入され、スクラブ前処理が行われる。次いで、搬送装置11により、LCD基板Gがスクラブ洗浄処理ユニット(SCR)21に搬入され、スクラブ洗浄される。スクラブ洗浄処理後、LCD基板Gは例えばコロ搬送により第1の熱的処理ユニットセクション26に属する熱的処理ユニットブロック(TB)31のパスユニット(PASS)61に搬出される。
【0029】
パスユニット(PASS)61に配置されたLCD基板Gは、最初に、熱的処理ユニットブロック(TB)31の脱水ベークユニット(DHP)62・63のいずれかに搬送されて加熱処理され、次いで熱的処理ユニットブロック(TB)32のクーリングユニット(COL)66・67のいずれかに搬送されて冷却された後、レジストの定着性を高めるために熱的処理ユニットブロック(TB)31のアドヒージョン処理ユニット(AD)64、および熱的処理ユニットブロック(TB)32のアドヒージョン処理ユニット(AD)68のいずれかに搬送され、そこでHMDSによりアドヒージョン処理(疎水化処理)される。その後、LCD基板Gは、クーリングユニット(COL)66・67のいずれかに搬送されて冷却され、さらに熱的処理ユニットブロック(TB)32のパスユニット(PASS)65に搬送される。このような一連の処理を行う際のLCD基板Gの搬送処理は、全て第1の搬送装置33によって行われる。
【0030】
パスユニット(PASS)65に配置されたLCD基板Gは、レジスト処理ユニット23の搬送アームによりレジスト処理ユニット23内へ搬入される。LCD基板Gは、レジスト塗布処理装置(CT)23aにおいてレジスト液がスピン塗布された後に減圧乾燥装置(VD)23bに搬送されて減圧乾燥され、さらに周縁レジスト除去装置(ER)23cに搬送されてLCD基板G周縁の余分なレジストが除去される。そして、周縁レジスト除去終了後、LCD基板Gは搬送アームによりレジスト処理ユニット23から、第2の熱的処理ユニットセクション27に属する熱的処理ユニットブロック(TB)34のパスユニット(PASS)69に受け渡される。
【0031】
パスユニット(PASS)69に配置されたLCD基板Gは、第2の搬送装置36により、熱的処理ユニットブロック(TB)34のプリベークユニット(PREBAKE)70・71・72および熱的処理ユニットブロック(TB)35のプリベークユニット(PREBAKE)75・76のいずれかに搬送されてプリベーク処理され、その後熱的処理ユニットブロック(TB)35のクーリングユニット(COL)74に搬送されて所定温度に冷却される。そして、第2の搬送装置36により、さらに熱的処理ユニットブロック(TB)35のパスユニット(PASS)73に搬送される。
【0032】
その後、LCD基板Gは第2の搬送装置36によりインターフェイスステーション3のエクステンション・クーリングステージ(EXT・COL)44へ搬送され、インターフェイスステーション3の搬送装置42により外部装置ブロック45の周辺露光装置(EE)に搬送されて周辺レジスト除去のための露光が行われ、次いで搬送装置42により露光装置4に搬送されてそこでLCD基板G上のレジスト膜が露光されて所定のパターンが形成される。場合によってはバッファーステージ(BUF)43上のバッファカセットにLCD基板Gを収容してから露光装置4に搬送される。
【0033】
露光終了後、LCD基板Gはインターフェイスステーション3の搬送装置42により外部装置ブロック45の上段のタイトラー(TITLER)に搬入されてLCD基板Gに所定の情報が記された後、エクステンション・クーリングステージ(EXT・COL)44に載置される。LCD基板Gは、第2の搬送装置36により、エクステンション・クーリングステージ(EXT・COL)44から第2の熱的処理ユニットセクション27に属する熱的処理ユニットブロック(TB)35のパスユニット(PASS)73へ搬送される。
【0034】
パスユニット(PASS)73に搬入されたLCD基板Gは、現像処理ユニット(DEV)24を介してパスユニット(PASS)73とi線UV照射ユニット(i−UV)25との間に連続して設けられた搬送機構、例えば、コロ搬送機構を動作させることにより、現像処理ユニット(DEV)24へ搬入され、そこで現像処理が施される。この現像処理工程については後に詳細に説明することとする。
【0035】
現像処理が終了したLCD基板Gは、コロ搬送機構によって現像処理ユニット(DEV)24からi線UV照射ユニット(i−UV)25に搬送され、そこでLCD基板Gに対して脱色処理が施される。その後、LCD基板Gはi線UV照射ユニット(i−UV)25内のコロ搬送機構により第3の熱的処理ユニットセクション28に属する熱的処理ユニットブロック(TB)37のパスユニット(PASS)77に搬出される。
【0036】
パスユニット(PASS)77に配置されたLCD基板Gは、第3の搬送装置39により熱的処理ユニットブロック(TB)37のポストベークユニット(POBAKE)78・79・80および熱的処理ユニットブロック(TB)38のポストベークユニット(POBAKE)81・83・84のいずれかに搬送されてポストベーク処理され、その後熱的処理ユニットブロック(TB)38のパス・クーリングユニット(PASS・COL)82に搬送されて所定温度に冷却された後、カセットステーション1の搬送装置11によって、カセットステーション1に配置されている所定のカセットCに収容される。
【0037】
次に、現像処理ユニット(DEV)24の構造について詳細に説明する。図5は現像処理ユニット(DEV)24の概略構造を示す側面図であり、図6は概略平面図である。現像処理ユニット(DEV)24は、導入ゾーン24a、第1の現像液供給ゾーン24b、第2の現像液供給ゾーン24c、第1リンスゾーン24d、第2リンスゾーン24e、乾燥ゾーン24fから構成されており、導入ゾーン24aは熱的処理ユニットブロック(TB)35のパスユニット(PASS)73に隣接し、乾燥ゾーン24fはi線UV照射ユニット(i−UV)25に隣接している。
【0038】
パスユニット(PASS)73とi線UV照射ユニット(i−UV)25の間には、LCD基板Gの裏面の中央部に当接する第1コロ(ローラ、車輪)17aと、LCD基板の裏面のY方向端部に当接する第2コロ17bが、所定間隔で配置され、これら第1コロ17aと第2コロ17bの中心をY方向に延在する枢軸13が貫通し、モータ等を駆動してこの枢軸13を回転させることによって第1コロ17aと第2コロ17bを回転させ、第1コロ17aと第2コロ17bに接したLCD基板Gを所定方向(X方向)へ搬送するコロ搬送機構14が設けられている。
【0039】
後に図7を参照しながら説明するように、現像処理ユニット(DEV)24では、第1コロ17aの直径が第2コロ17bの直径よりも長くなっており、LCD基板Gは、その中央部の高さ位置と対向する1組の端辺(Y方向端面)の高さ位置とが異なるように断面略弓形に撓ませられた状態で搬送される。
【0040】
なお、図6にはコロ搬送機構14は図示していない。現像処理ユニット(DEV)24では、コロ搬送機構14をLCD基板Gの搬送速度が異なる領域に分割して設け、その領域ごとに独立して駆動してもよい。例えば、LCD基板Gが、パスユニット(PASS)73と導入ゾーン24aでは駆動源である第1のモータ(図示せず)の駆動によって搬送され、第1の現像液供給ゾーン24bと第2の現像液供給ゾーン24cでは第2のモータ(図示せず)の駆動によって搬送され、第1リンスゾーン24dから乾燥ゾーン24fの間では第3のモータ(図示せず)の駆動によって搬送されるように、コロ搬送機構14を構成することができる。このようなコロ搬送機構14の分割駆動は、例えば、現像処理ユニット(DEV)24を構成するゾーン毎に行うこともできる。
【0041】
パスユニット(PASS)73は昇降自在なリフトピン16を具備している。LCD基板Gを保持した第2の搬送装置36の基板保持アーム94がパスユニット(PASS)73内に進入した状態でリフトピン16を上昇させると、LCD基板Gは基板保持アーム94からリフトピン16に受け渡される。続いて、基板保持アーム94をパスユニット(PASS)73から退出させた後にリフトピン16を降下させると、LCD基板Gはパスユニット(PASS)73内の第1コロ17aおよび第2コロ17b上に載置される。コロ搬送機構14を動作させることによって、LCD基板Gはパスユニット(PASS)73から導入ゾーン24aへ搬出される。
【0042】
導入ゾーン24aは、パスユニット(PASS)73と第1の現像液供給ゾーン24bとの間の緩衝領域として設けられているものであり、この導入ゾーン24aは、第1の現像液供給ゾーン24bからパスユニット(PASS)73へ現像液が飛散する等して、パスユニット(PASS)73が汚染されるのを防止する。
【0043】
第1の現像液供給ゾーン24bは、導入ゾーン24aから搬送されてきたLCD基板Gに最初の現像液の液盛り(パドル形成)を行うゾーンであり、LCD基板Gに対して現像液を塗布する主現像液吐出ノズル51aと副現像液吐出ノズル51b(以下「現像ノズル51a・51b」という)の2本のノズルと、X方向に延在するガイドレール59と、ガイドレール59と嵌合しているスライドアーム58と、スライドアーム58をガイドレール59に沿ってX方向へ移動させる駆動機構(図示せず)と、スライドアーム58に取り付けられた昇降機構(図示せず)とを有しており、現像ノズル51a・51bはこの昇降機構に取り付けられて昇降自在となっている。
【0044】
現像ノズル51a・51bには現像液供給源(図示せず)から現像液が供給されるようになっており、例えば、昇降機構によって現像ノズル51a・51bとLCD基板Gとの間隔を調整した後に、LCD基板Gの搬送方向とは逆の方向に現像ノズル51a・51bを移動させながら現像ノズル51a・51bから現像液をLCD基板Gに吐出することで、LCD基板Gに現像液を塗布することができるようになっている。このとき、LCD基板G上に現像液のパドルを安定して形成するためには、LCD基板Gはコロ搬送機構14の動作を停止して静止させた状態とすることが好ましい。
【0045】
現像ノズル51a・51bとしては、LCD基板Gの幅方向(Y方向)に長く(図6参照)、その下端には長手方向に沿ってスリット状の吐出口が形成され、そのスリット状の吐出口から略帯状に現像液を吐出することができる構造のものが好適に用いられる。現像ノズル51a・51bには、スリット状の吐出口に代えて複数の円形吐出口が所定間隔で複数形成されているものを用いることもできる。
【0046】
第1の現像液供給ゾーン24bで現像液が液盛りされたLCD基板Gを第1リンスゾーン24dへ搬送する間に、LCD基板G上から現像液がこぼれ落ちる場合がある。第2の現像液供給ゾーン24cでは、LCD基板Gの搬送途中にLCD基板Gからこぼれ落ちる現像液によって現像反応が進まなくなることを防止するために、新たにLCD基板Gに現像液を補充するように現像液を塗布する。
【0047】
第2の現像液供給ゾーン24cには、現像ノズル51a・51bと同様の構造を有する現像液補充ノズル51cが、その長手方向がY方向となるとなるように固定して設けられている。現像液補充ノズル51cからは、コロ搬送機構14によって搬送されるLCD基板G上に所定量の現像液が略帯状に吐出される。なお、この第2の現像液供給ゾーン24cは必須なものではない。
【0048】
LCD基板Gの現像反応は、第1の現像液供給ゾーン24bから第1リンスゾーン24dに搬送される間に行われる。第1リンスゾーン24dにおいては、LCD基板Gの表面に純水等のリンス液を吐出して、LCD基板G上の現像液を流し出す。また、第2リンスゾーン24eにおいては、さらにLCD基板Gの表面に純水等のリンス液を吐出して、LCD基板Gの現像液残渣を除去するように精密なリンス処理を行う。
【0049】
第1リンスゾーン24dにはリンスノズル52aがLCD基板Gの裏面側と表面側に設けられ、第2リンスゾーンにはリンスノズル52bがLCD基板Gの裏面側と表面側に設けられている。リンスノズル52a・52bとしては、搬送されるLCD基板G全体にリンス液を吐出できるように、LCD基板Gの幅方向(Y方向)に長く、略帯状にリンス液を吐出するものを用いることが好ましい。
【0050】
リンスノズル52a・52bからは、超音波を印加した純水を吐出したり、またはガス圧によって吐出圧を高めて純水を吐出したり、あるいはスプレー状に純水を吐出したりすることができる。第1リンスゾーン24dと第2リンスゾーン24eは、1箇所のリンスゾーンとして構成することが可能である。
【0051】
第2リンスゾーン24eを通過したLCD基板Gが搬送される乾燥ゾーン24fには、所定の風圧で窒素ガス等の乾燥ガスを噴射するエアーナイフ53aが設けられている。乾燥ゾーン24fにおいては、LCD基板Gを所定速度で搬送しながらLCD基板Gの表面と裏面に乾燥ガスを噴射して、LCD基板Gに付着したリンス液を吹き飛ばしてLCD基板Gを乾燥する。
【0052】
エアーナイフ53aはLCD基板Gの幅よりも長い形状を有しており、LCD基板Gの幅方向全体に乾燥ガスを略帯状に噴射することができるようになっている。エアーナイフ53aから乾燥ガスを噴射する向きを鉛直方向から基板搬送方向の後方側に所定角度傾けることで、搬送されるLCD基板Gの後方にリンス液を追い込むことができ、これによって効率的に乾燥処理を行うことができる。乾燥処理が終了したLCD基板Gは、コロ搬送機構14によりi線UV照射ユニット(i−UV)25に搬送される。
【0053】
現像処理ユニット(DEV)24では、導入ゾーン24aから乾燥ゾーン24fへと、LCD基板Gは、その中央部の高さ位置と対向する1組の端辺(Y方向端)の高さ位置とが異なるように断面略弓形に撓まされた状態で水平方向(X方向)に搬送される。図7は、現像処理ユニット(DEV)24におけるLCD基板Gの搬送時の一形態を、乾燥ゾーン24fを例として示す正面図である。
【0054】
図7に示されるように、第1コロ17aの直径が第2コロ17bの直径よりも長いために、LCD基板Gはその中央部がY方向端よりも高くなるような凸型に撓む。なお、図7中の符号19が示すコロは、LCD基板GがY方向へずれないようにLCD基板GのY方向端をブロックするガイドとしての役割を担っている。また、図7中の符号49が示す基台は枢軸13を保持する部材である。LCD基板Gを凸型に撓ませる場合には、第1コロ17a間にLCD基板Gの裏面に当接する第1コロ17aよりも直径の長い別のコロを設けてもよく、第1コロ17aと第2コロ17bとの間にも、LCD基板Gの裏面に当接するように、第1コロ17aよりも直径が短く、かつ、第2コロよりも直径の長いさらに別のコロを設けてもよい。
【0055】
従来のように、LCD基板Gを水平状態で搬送しようとすると、例えば、LCD基板Gに現像液が液盛りされた状態と液盛りがされていない状態ではLCD基板Gに掛かる荷重が変わるために、搬送途中でLCD基板Gの撓み具合が変化してしまい、これによって処理が不均一となる問題があった。しかし、図7に示すように、LCD基板Gを強制的に撓ませた状態で搬送することにより、搬送時のLCD基板Gの撓み形状の変化を抑制することができる。これにより現像処理ユニット(DEV)24での各処理をLCD基板G全体で均一に行うことが可能となる。
【0056】
LCD基板を凸型に撓ませた場合には、特にリンス工程においてはリンス液と現像液がLCD基板Gから流れ落ち易いために、現像液残渣を低減する処理を行うことが可能となる。また、乾燥工程においてはLCD基板Gからリンス液が除去し易いために、乾燥処理の効率を高めて処理時間を短縮することが可能となる。図7に示されるように、エアーナイフ53aの下面はLCD基板Gの曲面に沿ってカーブした形状を有している。このようにエアーナイフ53aの下面の形状をLCD基板Gの表面の曲面形状に対応させることで、LCD基板Gの表面に均等な圧力の乾燥ガスを吹き付けることができる。
【0057】
なお、リンスノズル52a・52bについても、エアーナイフ53aと同様に、LCD基板Gの曲面形状に沿った形状を有するものを用いることが好ましい。こうしてLCD基板Gとリンス液の吐出口との距離を一定とすることにより、LCD基板Gに同等圧力のリンス液をあてて、LCD基板Gを均一にリンス処理することが可能となる。
【0058】
一方で、LCD基板を凸型に撓ませた場合には、LCD基板Gに現像液を液盛りする際に現像液がLCD基板Gから流れ落ちやすくなるおそれがある。このために、例えば、LCD基板Gの中央部とY方向端との高さの差を、第1および第2の現像液供給ゾーン24b・24cではLCD基板Gから現像液が流れ落ち難いように小さくし、第1・第2リンスゾーン24d・24eおよび乾燥ゾーン24fでは現像液やリンス液が流れ落ちやすいように大きくしてもよい。
【0059】
上述した現像処理ユニット(DEV)24においては、LCD基板Gを水平方向に搬送する際に第1コロ17aおよび第2コロ17bとLCD基板Gとの間がスリップしてLCD基板Gが一定速度で搬送されなくなるのを防止するために、例えば、図8の正面図に示すように、コロ搬送機構14にLCD基板GのY方向端においてLCD基板Gを表面側から所定の圧力で押圧する回転自在な押圧ローラ18を設けることも好ましい。押圧ローラ18は、押圧ローラ18の中心を貫通して保持する保持部材46と、保持部材46に所定の圧力を印加するバネ47と、Y方向端に配置されたバネ47を保持する水平支持体48とを有している。
【0060】
水平支持体48は、例えば、ゾーン毎に設けることができる。この水平支持体48の高さ位置と、バネ47のバネ定数とを適宜好適な条件に設定することによって、押圧ローラ18からLCD基板Gへ常にほぼ一定の押圧力でLCD基板Gを押圧できる。したがって、押圧ローラ18を用いることによって、LCD基板Gの一部が破損したりすることはない。
【0061】
パスユニット(PASS)73やi線UV照射ユニット(i−UV)25におけるコロ搬送機構14に押圧ローラ18を設ける場合には、水平支持体48を押圧ローラ18とともに昇降可能としておく。パスユニット(PASS)73にLCD基板Gを搬入する際やi線UV照射ユニット(i−UV)25からLCD基板Gを搬出する際には、押圧ローラ18を上方に退避させておけばよい。
【0062】
次に、現像処理ユニット(DEV)24における現像処理工程について説明する。先ずコロ搬送機構14を動作させて、パスユニット(PASS)73に搬入されたLCD基板Gを導入ゾーン24aを通過させて第1の現像液供給ゾーン24bに搬入する。このパスユニット(PASS)73から第1の現像液供給ゾーン24bへのLCD基板Gの搬送速度は、例えば65mm/秒とする。
【0063】
第1の現像液供給ゾーン24bにおいては、LCD基板Gを所定位置で停止させて静止状態に保持し、現像ノズル51a・51bを、例えば、240mm/秒という高速で基板搬送方向の前方から後方へ向けて移動させながらLCD基板Gの表面に現像液を塗布する。LCD基板Gを停止させた状態とすることで、現像ノズル51a・51bの駆動制御が容易となる。また、安定して現像液をLCD基板上に液盛りすることができる。
【0064】
コロ搬送機構14を動作させて、第1の現像液供給ゾーン24bにおいて現像液が液盛りされたLCD基板Gを、例えば、46mm/秒の搬送速度で第2の現像液供給ゾーン24cへ搬送する。LCD基板Gが第2の現像液供給ゾーン24cを通過する際には、現像液補充ノズル51cからLCD基板G上に現像液が補充され、LCD基板Gの搬送時にLCD基板Gからこぼれ落ちる現像液が補充される。
【0065】
引き続いて、LCD基板Gを、例えば46mm/秒の搬送速度で第1リンスゾーン24dに搬送する。第1リンスゾーン24dでは、LCD基板Gをこの搬送速度で搬送しながらLCD基板Gの表面と裏面にリンス液を吐出する。こうして、LCD基板G上の現像液は、吐出されたリンス液とともにLCD基板Gから流れ落ちて除去される。第1リンスゾーン24dを通過したLCD基板Gは第2リンスゾーン24eに搬入されるが、ここでも第1リンスゾーン24dと同様のリンス処理が行われ、現像液や現像反応による溶解生成物を完全に除去する。第2リンスゾーン24eにおいては、LCD基板Gの搬送速度を、例えば、第1リンスゾーン24dにおける搬送速度よりも遅い36mm/秒として、より精密なリンス処理を行うことが好ましい。
【0066】
第2リンスゾーン24eを通過したLCD基板Gは乾燥ゾーン24fに搬入される。乾燥ゾーン24fでは、例えば46mm/秒の搬送速度でLCD基板Gを搬送しながら、エアーナイフ53aから窒素ガス等の乾燥ガスが吐出されて、乾燥処理が行われる。乾燥処理が終了したLCD基板Gは、コロ搬送機構14によりi線UV照射ユニット(i−UV)25に搬送され、そこで所定の紫外線照射処理が施された後にi線UV照射ユニット(i−UV)25から搬出される。
【0067】
次に、LCD基板Gを断面略弓形に撓ませて搬送する別の形態について説明する。図9は、現像処理ユニット(DEV)24におけるLCD基板Gの搬送時の別の形態を、乾燥ゾーン24fを例として示す正面図である。図9に示すように、現像処理ユニット(DEV)24においては、LCD基板Gをその中央部がY方向端よりも低くなるような凹型に撓ませて、導入ゾーン24aから乾燥ゾーン24fへと搬送してもよい。
【0068】
LCD基板Gを凹型に撓ませるためには、LCD基板Gの中央部の裏面に当接する第1コロ17a´の直径をLCD基板GのY方向端面近傍の裏面に当接する第2コロ17b´の直径よりも短くすればよい。この場合に、第1コロ17a´間にLCD基板Gの裏面に当接する第1コロ17a´よりも直径の短い別のコロを設けてもよく、第1コロ17a´と第2コロ17b´との間にLCD基板Gの裏面に当接するように第1コロ17a´よりも直径が長く、かつ、第2コロ17b´よりも直径の短いさらに別のコロを設けてもよい。
【0069】
LCD基板Gを凹型に撓ませた場合には、LCD基板Gに現像液を液盛りした際に現像液のLCD基板G上での保持が容易となる。一方で、リンス工程や乾燥工程においては、現像液やリンス液がLCD基板Gの中央部に滞留しやすくなるおそれがある。
【0070】
このために、乾燥ゾーン24fには、乾燥ガスを噴射するガス噴射口の形成された下面が、LCD基板Gの曲面に沿ってカーブした形状を有しているエアーナイフ53bを設けることが好ましい。同様に、リンスノズル52a・52bについても、エアーナイフ53bと同様の形状を有するものを用いることが好ましく、この場合には、リンス液を吐出する向きを鉛直方向に対して基板搬送方向の後方側に所定角度傾けることによって、現像液やリンス液を搬送されるLCD基板Gの後方に追い込んで、基板Gの後方から多く流れ落ちるようにするとよい。
【0071】
図10は、現像処理ユニット(DEV)24の別の実施形態(以下、「現像処理ユニット(DEV)24´」とする)を示す側面図であり、図11は図10に示される移動ステージ85の概略斜視図である。現像処理ユニット(DEV)24´においては、LCD基板Gを移動ステージ85に載置した状態で、移動ステージ85をパスユニット(PASS)73からi線UV照射ユニット(i−UV)25へ移動させつつ現像処理を行う。
【0072】
LCD基板Gを載置する移動ステージ85は脚部86によって支持され、脚部86の下部は、パスユニット(PASS)73とi線UV照射ユニット(i−UV)25との間に直線的に設けられたガイドレール87と嵌合している。脚部86は、例えば、ベルト搬送機構等の搬送機構88によってガイドレール87に沿って移動可能となっている。つまり、搬送機構88を駆動することによって移動ステージ85をパスユニット(PASS)73とi線UV照射ユニット(i−UV)25との間で往復移動させることができるようになっている。
【0073】
移動ステージ85がパスユニット(PASS)73またはi線UV照射ユニット(i−UV)25の所定位置にあるときには、リフトピン16が移動ステージ85を貫通して昇降できるように、移動ステージ85には図示しない貫通孔が形成されている。リフトピン16の先端が移動ステージ85の下面よりも低い位置にある状態で、移動ステージ85は移動可能となるように搬送機構88を制御することも好ましい。
【0074】
図11に示すように、移動ステージ85の表面はその中央部がY方向端よりも高くなるように凸型に形成にされており、LCD基板Gを移動ステージ85に載置すると、移動ステージ85の表面形状に対応して凸型に撓まされた状態で保持される。移動ステージ85におけるLCD基板Gの保持方法の1つとして、LCD基板Gの周縁部やLCD基板Gに形成された複数のパターンの間隙部を真空吸着する等して保持する方法が挙げられる。また、移動ステージ85の表面に所定長さ、例えば、数mm長さの支持ピンを所定位置に配置して、LCD基板Gの自重を利用して支持ピンによってLCD基板Gを保持する方法や、移動ステージ85の表面に直接に載置する方法を用いることもできる。
【0075】
LCD基板Gを凸型に撓ませて保持する場合には、移動ステージ85の表面の広さを、図11に示すように、LCD基板Gの周縁部が移動ステージ85からはみ出るように小さく設定すると、現像液やリンス液がLCD基板Gの裏面に回り込み難くなる。移動ステージ85の表面の広さがLCD基板Gの大きさと同等以上となると、移動ステージ85の表面を伝って現像液やリンス液がLCD基板Gの裏面に回り込み易くなる。このため、移動ステージ85の表面の広さはLCD基板Gよりも小さく設定することが好ましい。
【0076】
現像処理ユニット(DEV)24´においては、LCD基板Gをその中央部がY方向端よりも低くなるような凹型に撓ませた状態に保持して搬送してもよい。図12は移動ステージ85の別の実施形態を示す概略斜視図であり、移動ステージ85´のように、その中央部がY方向端よりも低くなるような凹型の表面を形成することによって、LCD基板Gを凹型に撓ませて保持できる。
【0077】
移動ステージ85´におけるLCD基板Gの保持方法としては、前述した真空吸着を用いる方法等をそのまま適用することができる。また、移動ステージ85´の表面の広さは、LCD基板Gの広さよりも狭くすることが好ましい。移動ステージ85´がLCD基板Gよりも広いと、LCD基板Gから移動ステージ85´の表面に流れ落ちた現像液やリンス液等がLCD基板Gの裏面側に回り込んでしまうために、後にLCD基板Gの裏面の洗浄工程が必要となるからである。
【0078】
現像処理ユニット(DEV)24´における現像処理工程は、例えば、以下のようにして行われる。最初に、LCD基板Gをパスユニット(PASS)73に搬入して移動ステージ85に保持させる。次に、移動ステージ85をガイドレール87に沿って移動させつつ、第1の現像液供給ゾーン24bでは移動ステージ85に保持されたLCD基板Gに現像液を液盛りし、第2の現像液供給ゾーン24cではさらにLCD基板Gに現像液を補充し、第1リンスゾーン24dおよび第2リンスゾーン24eではリンス処理を施し、乾燥ゾーン24fでは乾燥処理を施す。これら一連の処理が終了したLCD基板Gを移動ステージ85に載置した状態でi線UV照射ユニット(i−UV)25に搬入して、そこで所定の紫外線照射処理を施し、i線UV照射ユニット(i−UV)25から搬出する。
【0079】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、第1および第2の現像液供給ゾーン24b・24cにおいてはLCD基板Gを凹型に撓ませた状態で処理し、第1リンスゾーン24dから乾燥ゾーン24fの間においてはLCD基板Gを凸型に撓ませて処理してもよい。LCD基板Gを凹型に撓ませるとLCD基板Gを搬送する際の直進性が向上するので、LCD基板GのY方向を案内するガイド19を設けなくてもよく、第1および第2の現像液供給ゾーン24b・24cにおいてLCD基板Gに液盛りされた現像液がガイド19に吸い寄せられてLCD基板Gからこぼれ落ちる可能性を低減できる。また、LCD基板Gを凸型に撓ませることにより前述したようにLCD基板Gから現像液やリンス液等が落ちやすくなるために、第1リンスゾーン24dと乾燥ゾーン24fとの間の処理能力を向上させることができる。
【0080】
現像処理ユニット(DEV)24において、第2の現像液供給ゾーン24cと第1リンスゾーン24dとの間に、LCD基板Gに液盛りされた現像液を回収するための現像液回収ゾーンを設けることも好ましい。このような現像液回収ゾーンでは、例えば、LCD基板G全体を所定角度に傾けてLCD基板Gから現像液を流し出し、LCD基板Gから流れ落ちた現像液を回収する。こうして回収された現像液は再利用に供することができる。また、図13の概略斜視図に示すように、LCD基板Gの表面形状(撓み形状)に対応した形状を有し、LCD基板G上に液盛りされた現像液を吸引する吸引口が下端面に形成された現像液吸引ノズル54を、LCD基板Gの表面との距離を一定に保持しながらLCD基板G上をX方向にスキャンさせることで、LCD基板G上から現像液を除去することもできる。こうして、現像液吸引ノズル54によって回収された現像液は再利用に供することができる。
【0081】
現像処理ユニット(DEV)24´において、現像ノズル51a・51b、現像液補充ノズル51c、リンスノズル52a・52b、エアーナイフ53aをX方向に移動可能な構成として、移動ステージ85の移動距離を短くすると、現像処理ユニット(DEV)24´のフットプリントを小さくすることが可能となる。また、移動ステージ85を用いた場合には、LCD基板Gの裏面周縁部を洗浄・乾燥する処理ゾーンを設けることも好ましい。本発明の液処理装置は、現像処理ユニット(DEV)24に限定して適用されるものではなく、例えば、スクラブ洗浄処理ユニット(SCR)21にも適用することが可能である。本発明はLCD基板Gに限定して適用されるものではなく、LCD以外の他の用途に用いられるガラス基板や、半導体ウエハ、その他のセラミックス基板等の液処理にも適用することができる。
【0082】
【発明の効果】
上述の通り、本発明の液処理装置および液処理方法によれば、基板を予め撓ませた状態で搬送することによって、基板への処理液の供給、基板上の処理液の除去、基板の乾燥といった一連の液処理工程において基板の撓みの変化を抑制することができる。このように基板の姿勢を均一化することによって基板全体で均一な液処理を行うことが可能となるため、処理ムラの発生が抑制され、高い品質の処理基板を得ることできるようになるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液処理装置の一実施形態である現像処理ユニットを具備するレジスト塗布・現像処理システムの概略平面図。
【図2】図1に示したレジスト塗布・現像処理システムの第1の熱的処理ユニットセクションを示す側面図。
【図3】図1に示したレジスト塗布・現像処理システムの第2の熱的処理ユニットセクションを示す側面図。
【図4】図1に示したレジスト塗布・現像処理システムの第3の熱的処理ユニットセクションを示す側面図。
【図5】現像処理ユニットの一実施形態の概略側面図。
【図6】現像処理ユニットの一実施形態の概略平面図。
【図7】現像処理ユニットにおけるLCD基板の一搬送形態を示す正面図。
【図8】現像処理ユニットにおけるLCD基板の搬送形態を示す別の正面図。
【図9】現像処理ユニットにおけるLCD基板の別の搬送形態を示す正面図。
【図10】現像処理ユニットの別の実施形態の概略側面図。
【図11】移動ステージの一実施形態を示す概略斜視図。
【図12】移動ステージの別の実施形態を示す概略斜視図。
【図13】LCD基板からの現像液の除去方法の一例を示す説明図。
【符号の説明】
1;カセットステーション
2;処理ステーション
3;インターフェイスステーション
14;コロ搬送機構
17a;第1コロ
17b;第2コロ
18;押圧ローラ
24;現像処理ユニット(DEV)
24a;導入ゾーン
24b;第1の現像液供給ゾーン
24c;第2の現像液供給ゾーン
24d;第1リンスゾーン
24e;第2リンスゾーン
24f;乾燥ゾーン
51a・51b;現像ノズル
52a・52b;リンスノズル
53a・53b;エアーナイフ
54;現像液吸引ノズル
85・85´;移動ステージ
86;脚部
87;ガイドレール
88;搬送機構
G……LCD基板
Claims (16)
- 基板に所定の液処理を施す液処理装置であって、
基板をその中央部の高さ位置と対向する1組の端辺の高さ位置とを異ならせてその断面を特定形状の略弓形に撓ませつつ略水平方向に搬送する基板搬送機構と、
前記基板搬送機構によって搬送される基板に所定の処理液を供給する処理液供給機構と、
前記基板搬送機構によって搬送される基板に乾燥ガスを噴射して前記基板を乾燥させる基板乾燥機構と
を具備することを特徴とする液処理装置。 - 基板に第1の処理液を塗布し、その後基板に第2の処理液を塗布して前記第1の処理液を洗い流す液処理装置であって、
基板をその中央部の高さ位置と対向する1組の端辺の高さ位置とを異ならせてその断面を特定形状の略弓形に撓ませつつ略水平方向に搬送する基板搬送機構と、
前記基板搬送機構によって搬送される基板に所定の処理液を供給する処理液供給機構と、
を具備し、
前記第1の処理液を塗布するときの基板の搬送速度と前記第2の処理液を塗布するときの基板の搬送速度とが異なることを特徴とする液処理装置。 - 基板に第1の処理液を塗布し、その後基板に第2の処理液を塗布して前記第1の処理液を洗い流す液処理装置であって、
基板をその中央部の高さ位置と対向する1組の端辺の高さ位置とを異ならせてその断面を特定形状の略弓形に撓ませつつ略水平方向に搬送する基板搬送機構と、
前記基板搬送機構によって搬送される基板に所定の処理液を供給する処理液供給機構と、
を具備し、
前記第1の処理液を塗布するときの基板の撓ませ量と前記第2の処理液を塗布するときの基板の撓ませ量とが異なることを特徴とする液処理装置。 - 前記基板搬送機構によって搬送される基板に乾燥ガスを噴射して前記基板を乾燥させる基板乾燥機構をさらに具備することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の液処理装置。
- 前記基板乾燥機構は、前記基板搬送機構によって搬送される基板の曲面形状に対応した形状を有するガス噴射口が形成されたガス噴射ノズルを具備することを特徴とする請求項1または請求項4に記載の液処理装置。
- 前記基板搬送機構は、
前記基板の中央部の裏面に当接する回転自在な第1ローラと、
前記基板の1組の端辺近傍の裏面に当接する前記第1ローラとは外径の異なる第2ローラと、
前記第1ローラと前記第2ローラを回転させるローラ回転機構と、
を具備することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の液処理装置。 - 前記基板搬送機構は、
前記第2ローラとの間で前記基板を所定圧力で押圧して挟み込む回転自在な押圧ローラをさらに具備することを特徴とする請求項6に記載の液処理装置。 - 前記処理液供給機構によって前記処理液が液盛りされた基板から、前記基板表面の処理液を吸引して回収する処理液回収手段をさらに具備することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の液処理装置。
- 前記処理液回収手段は、前記基板搬送機構によって搬送される基板の曲面形状に対応した形状を有する処理液吸引口が形成された処理液吸引ノズルを具備することを特徴とする請求項8に記載の液処理装置。
- 基板に所定の液処理を施す液処理装置であって、
基板をその中央部の高さ位置と対向する1組の端辺の高さ位置とを異ならせてその断面を特定形状の略弓形に撓ませて保持する基板保持手段と、
前記基板保持手段を水平方向に移動させる搬送機構と、
前記搬送機構によって搬送される前記基板保持手段に保持された基板に所定の処理液を供給する処理液供給機構と、
を具備し、
前記基板保持手段は、
前記基板を載置する載置ステージと、
前記載置ステージに載置された基板の周縁部を吸着して保持する減圧吸着機構と、
を具備することを特徴とする液処理装置。 - 前記載置ステージの所定位置には、基板の裏面に当接して基板を支持する支持ピンが設けられていることを特徴とする請求項10に記載の液処理装置。
- 前記搬送機構によって搬送される前記保持手段に保持された基板に乾燥気体を噴射して前記基板を乾燥させる基板乾燥機構をさらに具備することを特徴とする請求項10または請求項11に記載の液処理装置。
- 前記基板乾燥機構は、前記断面略弓形に撓まされた基板の曲面形状に対応した形状を有するガス噴射口を有するガス噴射ノズルを具備することを特徴とする請求項12に記載の液処理装置。
- 前記基板搬送機構によって搬送される基板の曲面形状に対応した形状を有する処理液吸引口が形成され、前記処理液供給機構によって前記処理液が液盛りされた基板から前記基板表面の処理液を吸引して回収する処理液吸引ノズルをさらに具備することを特徴とする請求項10から請求項13のいずれか1項に記載の液処理装置。
- 基板をその中央部の高さ位置と対向する1組の端辺の高さ位置とを異ならせてその断面を特定形状の略弓形に撓ませつつ略水平方向に搬送しながら前記基板に所定の液処理を施す液処理方法であって、
前記基板に第1の処理液を塗布する第1工程と、
前記基板に第2の処理液を供給して前記第1の処理液を洗い流す第2工程と、
前記基板の表面の曲面形状に対応した形状を有するガス噴射口を有するガス噴射ノズルを用いて、前記基板に乾燥ガスを吹き付けて前記第2の処理液を吹き飛ばすことで前記基板を乾燥させる第3工程と、
を有することを特徴とする液処理方法。 - 基板をその中央部の高さ位置と対向する1組の端辺の高さ位置とを異ならせてその断面を特定形状の略弓形に撓ませた状態で保持して水平方向に搬送しながら前記基板に所定の液処理を施す液処理方法であって、
前記基板に第1の処理液を塗布する第1工程と、
前記基板に第2の処理液を供給して前記第1の処理液を洗い流す第2工程と、
前記基板の表面の曲面形状に対応した形状を有するガス噴射口を有するガス噴射ノズルを用いて、前記基板に乾燥ガスを吹き付けて前記第2の処理液を吹き飛ばすことで前記基板を乾燥させる第3工程と、
を有することを特徴とする液処理方法。
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