JP3935333B2 - 液処理装置および液処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、例えば液晶表示装置(LCD)に用いられるガラス基板等に対して現像処理等の所定の液処理を施すために用いられる液処理装置と液処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
LCDの製造においては、LCDガラス基板(以下「LCD基板」という)にレジスト膜を形成した後に、回路パターンに対応してこのレジスト膜を露光し、さらにこれを現像処理するという、いわゆるフォトリソグラフィー技術を用いてLCD基板に所定の回路パターンを形成している。ここで、例えば、現像処理については、基板を水平姿勢で水平方向に搬送しながら、基板の表面に現像液を塗布して基板上に現像液パドルを形成し、この状態で所定時間保持することで現像反応を進行させ、その後に基板を傾斜姿勢に変換して現像液を流し出し、続いてリンス液を基板に供給して現像液残渣を除去する洗浄(リンス)処理を行う方法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、一辺の長さが1mにも及ぶような大型のLCD基板を水平姿勢から傾斜姿勢に変換する際には、その傾斜角度を大きくすることは困難である。このためにLCD基板から現像液が流れ落ちて、その殆どがLCD基板から除去されるまでの時間が長くなり、現像反応がLCD基板面内で不均一になるという問題がある。
【0004】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、基板に塗布された処理液を短時間で基板上から流し出すことができる液処理装置および液処理方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の観点によれば、基板を略水平姿勢で略水平方向に搬送する基板搬送機構と、前記基板搬送機構によって搬送される基板に所定の処理液を塗布する処理液供給機構と、前記処理液が塗布されて前記基板搬送機構によって搬送される基板を急停止させる基板停止機構と、を具備し、前記処理液の塗布された基板を前記基板停止機構を動作させて急停止させることによって、前記基板上の処理液が慣性力によって前記基板から流し出されるように構成され、前記基板停止機構は、前記基板搬送機構によって搬送される基板の周縁を所定位置で上下から挟み込む把持部材と、前記把持部材を上下方向に駆動する駆動機構と、を有し、前記把持部材の基板と接触する部分に、処理液を外部へ逃がすための溝が設けられていることを特徴とする液処理装置、が提供される。
【0006】
本発明の第2の観点によれば、基板を略水平姿勢で略水平方向に搬送する基板搬送機構と、前記基板搬送機構によって搬送される基板に所定の処理液を塗布する処理液供給機構と、前記基板搬送機構によって搬送される前記処理液の塗布された基板を停止させる基板停止機構と、前記基板停止機構によって停止した基板を保持する基板保持機構と、前記基板保持機構に保持された基板を水平面内において揺動する基板揺動機構と、を具備し、前記処理液の塗布された基板を前記基板揺動機構によって揺動させることで前記基板上の処理液が流し出されることを特徴とする液処理装置、が提供される。
【0007】
本発明の第3の観点によれば、基板に所定の処理液を塗布する処理液塗布部と、前記処理液の塗布された基板上から処理液を除去する処理液除去部と、前記処理液塗布部から前記処理液除去部へ基板を略水平姿勢で略水平方向に搬送する基板搬送機構と、を具備し、前記処理液除去部は、前記基板搬送機構によって搬送される基板をその高さが前記基板搬送機構による基板搬送方向においては後方から前方へ向けて徐々に高くなるようにかつ前記基板搬送方向に垂直な水平方向においては端部から中心部に向けて徐々に高くなるように撓ませて支持する基板支持機構を有し、前記基板支持機構によって基板を撓ませることで前記基板に塗布された処理液が前記基板から流し出されることを特徴とする液処理装置、が提供される。
【0008】
本発明の第4の観点によれば、基板に所定の液処理を施す液処理方法であって、略水平姿勢の基板の表面に処理液を塗布してパドルを形成する第1工程と、前記パドルの形成された基板を略水平方向に所定位置まで搬送する第2工程と、前記所定位置において前記基板を保持する第3工程と、前記パドルの処理液が前記基板の表面から流れ落ちるように前記保持された基板を水平面内において揺動する第4工程と、を有することを特徴とする液処理方法、が提供される。
【0009】
本発明の第5の観点によれば、基板に所定の液処理を施す液処理方法であって、略水平姿勢の基板の表面に処理液を塗布してパドルを形成する第1工程と、前記パドルの形成された基板を略水平方向に所定位置まで搬送する第2工程と、前記所定位置においては、前記パドルの処理液が前記基板の表面から流れ落ちるように、前記基板の高さが基板の搬送方向においては後方から前方へ向けて徐々に高くなるように、かつ、基板の搬送方向に垂直な水平方向においては端部から中心部に向けて徐々に高くなるように、前記基板を略山型に撓ませながら移動させる第3工程と、を有することを特徴とする液処理方法、が提供される。
【0010】
本発明の第6の観点によれば、基板に所定の液処理を行う液処理装置であって、複数のコロを回転させて前記コロに接した基板を略水平姿勢で略水平方向へ搬送するコロ搬送機構と、前記コロ搬送機構によって搬送される基板に所定の処理液を塗布する処理液供給機構と、基板の裏面を保持し、保持した基板を揺動させる揺動機構と、前記揺動機構を昇降させる昇降機構と、前記コロ搬送機構の動作を停止させ、かつ、前記揺動機構を上昇させて、基板の裏面が前記コロから離れた位置で前記揺動機構を揺動させるように、前記コロ搬送機構および前記揺動機構ならびに前記昇降機構を制御する制御部と、を具備し、前記揺動機構は、前記コロの回転軸方向に揺動し、処理液が塗布された基板を前記揺動機構によって揺動させることで前記基板上の処理液が流し出されることを特徴とする液処理装置、が提供される。
また、本発明の第7の観点によれば、基板に所定の液処理を行う液処理装置であって、複数のコロを回転させて前記コロに接した基板を略水平姿勢で略水平方向へ搬送するコロ搬送機構と、前記コロ搬送機構によって搬送される基板に所定の処理液を塗布する処理液供給機構と、基板の裏面を保持し、保持した基板を揺動させる揺動機構と、前記揺動機構を昇降させる昇降機構と、前記コロ搬送機構の動作を停止させ、かつ、前記揺動機構を上昇させて、基板の裏面が前記コロから離れた位置で前記揺動機構を揺動させるように、前記コロ搬送機構および前記揺動機構ならびに前記昇降機構を制御する制御部と、を具備し、前記揺動機構は、互いに直交する、基板の搬送方向、前記コロの回転軸方向、鉛直方向のいくつかの組み合わせで基板を揺動させ、処理液が塗布された基板を前記揺動機構によって揺動させることで前記基板上の処理液が流し出されることを特徴とする液処理装置、が提供される。
【0011】
本発明の第の観点によれば、基板に所定の液処理を行う液処理装置であって、複数のコロを回転させて前記コロに接した基板を略水平姿勢で略水平方向へ搬送するコロ搬送機構と、前記コロ搬送機構によって搬送される基板に所定の処理液を塗布する処理液供給機構と、基板の裏面を保持し、保持した基板を揺動させる揺動機構と、前記揺動機構を昇降させる昇降機構と、前記コロ搬送機構の動作を停止させ、かつ、前記揺動機構を上昇させて、基板の裏面が前記コロから離れた位置で前記揺動機構を揺動させるように、前記コロ搬送機構および前記揺動機構ならびに前記昇降機構を制御する制御部と、を具備し、前記揺動機構は、基板を吸着保持して揺動させ、処理液が塗布された基板を前記揺動機構によって揺動させることで前記基板上の処理液が流し出されることを特徴とする液処理装置、が提供される。
また、本発明の第9の観点によれば、基板に所定の液処理を行う液処理装置であって、複数のコロを回転させて前記コロに接した基板を略水平姿勢で略水平方向へ搬送するコロ搬送機構と、前記コロ搬送機構によって搬送される基板に所定の処理液を塗布する処理液供給機構と、基板の裏面を保持し、保持した基板を揺動させる揺動機構と、前記揺動機構を昇降させる昇降機構と、前記コロ搬送機構の動作を停止させ、かつ、前記揺動機構を上昇させて、基板の裏面が前記コロから離れた位置で前記揺動機構を揺動させるように、前記コロ搬送機構および前記揺動機構ならびに前記昇降機構を制御する制御部と、を具備し、前記揺動機構は、基板の端面に当接する基板位置決め手段が設けられた複数のプレートで前記基板を保持して揺動させ、処理液が塗布された基板を前記揺動機構によって揺動させることで前記基板上の処理液が流し出されることを特徴とする液処理装置、が提供される。
【0012】
これらの液処理装置および液処理方法によれば、基板に塗布された処理液を短時間で除去することができることから、基板の液処理状態を基板全体で均一なものとすることができる。これにより基板の品質を高めることができる。また、液処理時間が短縮されるために、スループットを向上させることが可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。ここでは、LCD基板に対してレジスト膜の形成から現像までの処理を連続して行うレジスト塗布・現像処理システムを例に説明することとする。図1はレジスト塗布・現像処理システム100の概略構成を示す平面図である。
【0014】
このレジスト塗布・現像処理システム100は、複数のLCD基板Gを収容するカセットCを載置するカセットステーション(搬入出部)1と、LCD基板Gにレジスト塗布および現像を含む一連の処理を施すための複数の処理ユニットを備えた処理ステーション(処理部)2と、露光装置4との間でLCD基板Gの受け渡しを行うためのインターフェイスステーション(インターフェイス部)3とを備えており、処理ステーション2の両端にそれぞれカセットステーション1およびインターフェイスステーション3が配置されている。なお、図1において、レジスト塗布・現像処理システム100の長手方向をX方向、平面上においてX方向と直交する方向をY方向とする。
【0015】
カセットステーション1は、カセットCをY方向に並べて載置できる載置台9と、処理ステーション2との間でLCD基板Gの搬入出を行うための搬送装置11を備えており、この載置台9と外部との間でカセットCの搬送が行われる。また、搬送装置11は搬送アーム11aを有し、カセットCの配列方向であるY方向に沿って設けられた搬送路10上を移動可能であり、搬送アーム11aによりカセットCと処理ステーション2との間でLCD基板Gの搬入出が行われる。
【0016】
処理ステーション2は、基本的にX方向に伸びるLCD基板G搬送用の平行な2列の搬送ラインA・Bを有しており、搬送ラインAに沿ってカセットステーション1側からインターフェイスステーション3に向けてスクラブ洗浄処理ユニット(SCR)21、第1の熱的処理ユニットセクション26、レジスト処理ユニット23および第2の熱的処理ユニットセクション27が配列されている。また、搬送ラインBに沿ってインターフェイスステーション3側からカセットステーション1に向けて第2の熱的処理ユニットセクション27、現像処理ユニット(DEV)24、i線UV照射ユニット(i−UV)25および第3の熱的処理ユニットセクション28が配列されている。スクラブ洗浄処理ユニット(SCR)21の上の一部にはエキシマUV照射ユニット(e−UV)22が設けられている。なお、エキシマUV照射ユニット(e−UV)22はスクラバ洗浄に先立ってLCD基板Gの有機物を除去するために設けられ、i線UV照射ユニット(i−UV)25は現像の脱色処理を行うために設けられる。
【0017】
上記スクラブ洗浄処理ユニット(SCR)21は、その中でLCD基板Gが略水平姿勢で搬送されつつ洗浄処理および乾燥処理が行われるようになっている。現像処理ユニット(DEV)24も、後に詳細に説明するように、LCD基板Gが略水平に搬送されつつ現像液塗布、現像後の洗浄処理および乾燥処理が行われるようになっている。これらスクラブ洗浄処理ユニット(SCR)21および現像処理ユニット(DEV)24では、LCD基板Gの搬送は、例えば、コロ搬送またはベルト搬送により行われ、LCD基板Gの搬入口および搬出口は相対向する短辺に設けられている。また、i線UV照射ユニット(i−UV)25へのLCD基板Gの搬送は、現像処理ユニット(DEV)24の搬送機構と同様の機構により連続して行われる。
【0018】
レジスト処理ユニット23には、略水平に保持されたLCD基板Gにレジスト液を滴下させて、LCD基板Gを所定の回転数で回転させることによってレジスト液をLCD基板G全体に拡げ、レジスト膜を形成するレジスト塗布処理装置(CT)23aと、LCD基板G上に形成されたレジスト膜を減圧乾燥する減圧乾燥装置(VD)23bと、LCD基板Gの四辺をスキャン可能な溶剤吐出ヘッドによりLCD基板Gの周縁に付着した余分なレジストを除去する周縁レジスト除去装置(ER)23cとがその順に配置されている。レジスト処理ユニット23内には、これらレジスト塗布処理装置(CT)23a、減圧乾燥装置(VD)23b、周縁レジスト除去装置(ER)23cの間でLCD基板Gを搬送する搬送アームが設けられている。
【0019】
図2は第1の熱的処理ユニットセクション26の側面図であり、第1の熱的処理ユニットセクション26は、LCD基板Gに熱的処理を施す熱的処理ユニットが積層して構成された2つの熱的処理ユニットブロック(TB)31・32を有している。熱的処理ユニットブロック(TB)31はスクラブ洗浄処理ユニット(SCR)21側に設けられ、熱的処理ユニットブロック(TB)32はレジスト処理ユニット23側に設けられており、これら2つの熱的処理ユニットブロック(TB)31・32の間に第1の搬送装置33が設けられている。
【0020】
熱的処理ユニットブロック(TB)31は、下から順にLCD基板Gの受け渡しを行うパスユニット(PASS)61、LCD基板Gに対して脱水ベーク処理を行う2つの脱水ベークユニット(DHP)62・63、LCD基板Gに対して疎水化処理を施すアドヒージョン処理ユニット(AD)64が4段に積層された構成を有している。また、熱的処理ユニットブロック(TB)32は、下から順にLCD基板Gの受け渡しを行うパスユニット(PASS)65、LCD基板Gを冷却する2つのクーリングユニット(COL)66・67、LCD基板Gに対して疎水化処理を施すアドヒージョン処理ユニット(AD)68が4段に積層されて構成を有している。
【0021】
第1の搬送装置33は、パスユニット(PASS)61を介してのスクラブ洗浄処理ユニット(SCR)21からのLCD基板Gの受け取り、上記熱的処理ユニット間のLCD基板Gの搬入出、およびパスユニット(PASS)65を介してのレジスト処理ユニット23へのLCD基板Gの受け渡しを行う。
【0022】
第1の搬送装置33は、上下に延びるガイドレール91と、ガイドレールに沿って昇降する昇降部材92と、昇降部材92上を旋回可能に設けられたベース部材93と、ベース部材93上を前進後退可能に設けられ、LCD基板Gを保持する基板保持アーム94とを有している。そして、昇降部材92の昇降はモータ95によって行われ、ベース部材93の旋回はモータ96によって行われ、基板保持アーム94の前後動はモータ97によって行われる。このように第1の搬送装置33は、上下動、前後動、旋回動可能であり、熱的処理ユニットブロック(TB)31・32のいずれのユニットにもアクセスすることができる。
【0023】
第2の熱的処理ユニットセクション27は、LCD基板Gに熱的処理を施す熱的処理ユニットが積層して構成された2つの熱的処理ユニットブロック(TB)34・35を有しており、熱的処理ユニットブロック(TB)34はレジスト処理ユニット23側に設けられ、熱的処理ユニットブロック(TB)35は現像処理ユニット(DEV)24側に設けられている。そして、これら2つの熱的処理ユニットブロック(TB)34・35の間に第2の搬送装置36が設けられている。
【0024】
図3は第2の熱的処理ユニットセクション27の側面図であり、熱的処理ユニットブロック(TB)34は、下から順にLCD基板Gの受け渡しを行うパスユニット(PASS)69とLCD基板Gに対してプリベーク処理を行う3つのプリベークユニット(PREBAKE)70・71・72が4段に積層された構成となっている。また、熱的処理ユニットブロック(TB)35は、下から順にLCD基板Gの受け渡しを行うパスユニット(PASS)73、LCD基板Gを冷却するクーリングユニット(COL)74、LCD基板Gに対してプリベーク処理を行う2つのプリベークユニット(PREBAKE)75・76が4段に積層された構成となっている。
【0025】
第2の搬送装置36は、パスユニット(PASS)69を介してのレジスト処理ユニット23からのLCD基板Gの受け取り、上記熱的処理ユニット間のLCD基板Gの搬入出、パスユニット(PASS)73を介しての現像処理ユニット(DEV)24へのLCD基板Gの受け渡し、および後述するインターフェイスステーション3の基板受け渡し部であるエクステンション・クーリングステージ(EXT・COL)44に対するLCD基板Gの受け渡しおよび受け取りを行う。なお、第2の搬送装置36は、第1の搬送装置33と同じ構造を有しており、熱的処理ユニットブロック(TB)34・35のいずれのユニットにもアクセス可能である。
【0026】
第3の熱的処理ユニットセクション28は、LCD基板Gに熱的処理を施す熱的処理ユニットが積層して構成された2つの熱的処理ユニットブロック(TB)37・38を有しており、熱的処理ユニットブロック(TB)37は現像処理ユニット(DEV)24側に設けられ、熱的処理ユニットブロック(TB)38はカセットステーション1側に設けられている。そして、これら2つの熱的処理ユニットブロック(TB)37・38の間に第3の搬送装置39が設けられている。
【0027】
図4は第3の熱的処理ユニットセクション28の側面図であり、熱的処理ユニットブロック(TB)37は、下から順に、LCD基板Gの受け渡しを行うパスユニット(PASS)77、LCD基板Gに対してポストベーク処理を行う3つのポストベークユニット(POBAKE)78・79・80が4段に積層された構成を有している。また、熱的処理ユニットブロック(TB)38は、下から順に、ポストベークユニット(POBAKE)81、LCD基板Gの受け渡しおよび冷却を行うパス・クーリングユニット(PASS・COL)82、LCD基板Gに対してポストベーク処理を行う2つのポストベークユニット(POBAKE)83・84が4段に積層された構成を有している。
【0028】
第3の搬送装置39は、パスユニット(PASS)77を介してのi線UV照射ユニット(i−UV)25からのLCD基板Gの受け取り、上記熱的処理ユニット間のLCD基板Gの搬入出、パス・クーリングユニット(PASS・COL)82を介してのカセットステーション1へのLCD基板Gの受け渡しを行う。なお、第3の搬送装置39も第1の搬送装置33と同じ構造を有しており、熱的処理ユニットブロック(TB)37・38のいずれのユニットにもアクセス可能である。
【0029】
処理ステーション2では、以上のように2列の搬送ラインA・Bを構成するように、かつ基本的に処理の順になるように各処理ユニットおよび搬送装置が配置されており、これら搬送ラインA・B間には空間40が設けられている。そして、この空間40を往復動可能にシャトル(基板載置部材)41が設けられている。このシャトル41はLCD基板Gを保持可能に構成されており、シャトル41を介して搬送ラインA・B間でLCD基板Gの受け渡しが行われる。シャトル41に対するLCD基板Gの受け渡しは、上記第1から第3の搬送装置33・36・39によって行われる。
【0030】
インターフェイスステーション3は、処理ステーション2と露光装置4との間でLCD基板Gの搬入出を行う搬送装置42と、バッファーカセットを配置するバッファーステージ(BUF)43と、冷却機能を備えた基板受け渡し部であるエクステンション・クーリングステージ(EXT・COL)44とを有しており、タイトラー(TITLER)と周辺露光装置(EE)とが上下に積層された外部装置ブロック45が搬送装置42に隣接して設けられている。搬送装置42は搬送アーム42aを備え、この搬送アーム42aにより処理ステーション2と露光装置4との間でLCD基板Gの搬入出が行われる。
【0031】
このように構成されたレジスト塗布・現像処理システム100においては、まず、カセットステーション1の載置台9に配置されたカセットC内のLCD基板Gが、搬送装置11により処理ステーション2のエキシマUV照射ユニット(e−UV)22に直接搬入され、スクラブ前処理が行われる。次いで、搬送装置11により、LCD基板Gがスクラブ洗浄処理ユニット(SCR)21に搬入され、スクラブ洗浄される。スクラブ洗浄処理後、LCD基板Gは例えばコロ搬送により第1の熱的処理ユニットセクション26に属する熱的処理ユニットブロック(TB)31のパスユニット(PASS)61に搬出される。
【0032】
パスユニット(PASS)61に配置されたLCD基板Gは、最初に、熱的処理ユニットブロック(TB)31の脱水ベークユニット(DHP)62・63のいずれかに搬送されて加熱処理され、次いで熱的処理ユニットブロック(TB)32のクーリングユニット(COL)66・67のいずれかに搬送されて冷却された後、レジストの定着性を高めるために熱的処理ユニットブロック(TB)31のアドヒージョン処理ユニット(AD)64、および熱的処理ユニットブロック(TB)32のアドヒージョン処理ユニット(AD)68のいずれかに搬送され、そこでHMDSによりアドヒージョン処理(疎水化処理)される。その後、LCD基板Gは、クーリングユニット(COL)66・67のいずれかに搬送されて冷却され、さらに熱的処理ユニットブロック(TB)32のパスユニット(PASS)65に搬送される。このような一連の処理を行う際のLCD基板Gの搬送処理は、全て第1の搬送装置33によって行われる。
【0033】
パスユニット(PASS)65に配置されたLCD基板Gは、レジスト処理ユニット23の搬送アームによりレジスト処理ユニット23内へ搬入される。LCD基板Gは、レジスト塗布処理装置(CT)23aにおいてレジスト液がスピン塗布された後に減圧乾燥装置(VD)23bに搬送されて減圧乾燥され、さらに周縁レジスト除去装置(ER)23cに搬送されてLCD基板G周縁の余分なレジストが除去される。そして、周縁レジスト除去終了後、LCD基板Gは搬送アームによりレジスト処理ユニット23から、第2の熱的処理ユニットセクション27に属する熱的処理ユニットブロック(TB)34のパスユニット(PASS)69に受け渡される。
【0034】
パスユニット(PASS)69に配置されたLCD基板Gは、第2の搬送装置36により、熱的処理ユニットブロック(TB)34のプリベークユニット(PREBAKE)70・71・72および熱的処理ユニットブロック(TB)35のプリベークユニット(PREBAKE)75・76のいずれかに搬送されてプリベーク処理され、その後熱的処理ユニットブロック(TB)35のクーリングユニット(COL)74に搬送されて所定温度に冷却される。そして、第2の搬送装置36により、さらに熱的処理ユニットブロック(TB)35のパスユニット(PASS)73に搬送される。
【0035】
その後、LCD基板Gは第2の搬送装置36によりインターフェイスステーション3のエクステンション・クーリングステージ(EXT・COL)44へ搬送され、インターフェイスステーション3の搬送装置42により外部装置ブロック45の周辺露光装置(EE)に搬送されて周辺レジスト除去のための露光が行われ、次いで搬送装置42により露光装置4に搬送されてそこでLCD基板G上のレジスト膜が露光されて所定のパターンが形成される。場合によってはバッファーステージ(BUF)43上のバッファカセットにLCD基板Gを収容してから露光装置4に搬送される。
【0036】
露光終了後、LCD基板Gはインターフェイスステーション3の搬送装置42により外部装置ブロック45の上段のタイトラー(TITLER)に搬入されてLCD基板Gに所定の情報が記された後、エクステンション・クーリングステージ(EXT・COL)44に載置される。LCD基板Gは、第2の搬送装置36により、エクステンション・クーリングステージ(EXT・COL)44から第2の熱的処理ユニットセクション27に属する熱的処理ユニットブロック(TB)35のパスユニット(PASS)73へ搬送される。
【0037】
パスユニット(PASS)73から現像処理ユニット(DEV)24まで延長されている例えばコロ搬送機構を作用させることにより、LCD基板Gはパスユニット(PASS)73から現像処理ユニット(DEV)24へ搬入され、そこで現像処理が施される。この現像処理工程については後に詳細に説明することとする。
【0038】
現像処理終了後、LCD基板Gは現像処理ユニット(DEV)24から連続する搬送機構、例えばコロ搬送によりi線UV照射ユニット(i−UV)25に搬送され、LCD基板Gに対して脱色処理が施される。その後、LCD基板Gはi線UV照射ユニット(i−UV)25内のコロ搬送機構により第3の熱的処理ユニットセクション28に属する熱的処理ユニットブロック(TB)37のパスユニット(PASS)77に搬出される。
【0039】
パスユニット(PASS)77に配置されたLCD基板Gは、第3の搬送装置39により熱的処理ユニットブロック(TB)37のポストベークユニット(POBAKE)78・79・80および熱的処理ユニットブロック(TB)38のポストベークユニット(POBAKE)81・83・84のいずれかに搬送されてポストベーク処理され、その後熱的処理ユニットブロック(TB)38のパス・クーリングユニット(PASS・COL)82に搬送されて所定温度に冷却された後、カセットステーション1の搬送装置11によって、カセットステーション1に配置されている所定のカセットCに収容される。
【0040】
次に、現像処理ユニット(DEV)24の構造について詳細に説明する。図5は現像処理ユニット(DEV)24の概略構造を示す側面図であり、図6は概略平面図である。現像処理ユニット(DEV)24は、導入ゾーン24a、第1の現像液供給ゾーン24b、第2の現像液供給ゾーン24c、液切り/リンスゾーン24d、第1リンスゾーン24e、第2リンスゾーン24f、乾燥ゾーン24gから構成されており、導入ゾーン24aは熱的処理ユニットブロック(TB)35のパスユニット(PASS)73に隣接し、乾燥ゾーン24gはi線UV照射ユニット(i−UV)25に隣接している。
【0041】
パスユニット(PASS)73とi線UV照射ユニット(i−UV)25の間には、コロ(車輪)17の中心をY方向に延在する軸部材13が貫通し、モータ等を駆動してこの軸部材13を回転させることによってコロ17を回転させてコロ17に接したLCD基板Gを所定方向(X方向)へ搬送するコロ搬送機構14が設けられている。コロ17はLCD基板Gに撓み等が生じ難いように、LCD基板Gの搬送方向およびこの搬送方向に垂直な方向に所定数設けられている。
【0042】
なお、図6にはコロ搬送機構14は図示していない。現像処理ユニット(DEV)24では、コロ搬送機構14をLCD基板Gの搬送速度が異なる領域に分割して設け、その領域ごとに独立して駆動してもよい。例えば、LCD基板Gは、パスユニット(PASS)73と導入ゾーン24aでは駆動源である例えば第1のモータの駆動によって搬送され、第1の現像液供給ゾーン24bと液切り/リンスゾーン24dの間では第2のモータの駆動によって搬送され、第1リンスゾーン24eから乾燥ゾーン24gの間では第3のモータの駆動によって搬送されるようにすることができる。このようなコロ搬送機構14の分割駆動は、例えば、現像処理ユニット(DEV)24を構成するゾーンごとに行うこともできる。なお、駆動源はそれぞれ図示しない制御部によって制御され、基板Gを所定の搬送速度および加速度で搬送可能である。
【0043】
パスユニット(PASS)73は昇降自在な昇降ピン16を具備している。LCD基板Gを保持した第2の搬送装置36の基板保持アーム94がパスユニット(PASS)73内に進入した状態で昇降ピン16を上昇させると、LCD基板Gは基板保持アーム94から昇降ピン16に受け渡される。続いて、基板保持アーム94をパスユニット(PASS)73から退出させた後に昇降ピン16を降下させると、LCD基板Gはパスユニット(PASS)73内のコロ17上に載置される。コロ搬送機構14を動作させることによって、LCD基板Gはパスユニット(PASS)73から導入ゾーン24aへ搬出される。
【0044】
導入ゾーン24aは、パスユニット(PASS)73と第1の現像液供給ゾーン24bとの間の緩衝領域として設けられているものであり、この導入ゾーン24aは、第1の現像液供給ゾーン24bからパスユニット(PASS)73へ現像液が飛散する等して、パスユニット(PASS)73が汚染されるのを防止する。
【0045】
第1の現像液供給ゾーン24bは、導入ゾーン24aから搬送されてきたLCD基板Gに最初の現像液の液盛り(パドル形成)を行うゾーンであり、LCD基板Gに対して現像液を塗布する主現像液吐出ノズル51aと副現像液吐出ノズル51b(以下「現像ノズル51a・51b」という)の2本のノズルと、X方向に延在するガイドレール59と、ガイドレール59と嵌合しているスライドアーム58と、スライドアーム58をガイドレール59に沿ってX方向へ移動させる図示しない駆動機構と、スライドアーム58に取り付けられた図示しない昇降機構とを有しており、現像ノズル51a・51bはこの昇降機構に取り付けられて昇降自在となっている。
【0046】
現像ノズル51a・51bには図示しない現像液供給源から現像液が供給されるようになっており、例えば、昇降機構によって現像ノズル51a・51bとLCD基板Gとの間隔を調整した後に、LCD基板Gの搬送方向とは逆の方向に現像ノズル51a・51bを移動させながら現像ノズル51a・51bから現像液をLCD基板Gに吐出することで、LCD基板Gに現像液を塗布することができる。このとき、LCD基板G上に現像液のパドルを安定して形成するためには、LCD基板Gはコロ搬送機構14の動作を停止して静止させた状態とすることが好ましい。
【0047】
現像ノズル51a・51bとしては、LCD基板Gの幅方向(Y方向)に長く(図6参照)、その下端には長手方向に沿ってスリット状の吐出口が形成され、そのスリット状の吐出口から略帯状に現像液を吐出することができる構造のものが好適に用いられる。現像ノズル51a・51bには、スリット状の吐出口に代えて複数の円形吐出口が所定間隔で複数形成されているものを用いることもできる。
【0048】
第1の現像液供給ゾーン24bで現像液が液盛りされたLCD基板Gを液切り/リンスゾーン24dへ搬送する間に、LCD基板G上から現像液がこぼれ落ちる場合がある。第2の現像液供給ゾーン24cでは、こうしてLCD基板の搬送途中にLCD基板Gからこぼれ落ちる現像液によって現像反応が進まなくなることを防止するために、新たにLCD基板Gに現像液を補充するように現像液を塗布する。
【0049】
第2の現像液供給ゾーン24cには、現像ノズル51a・51bと同様の構造を有する現像液補充ノズル51cが、その長手方向がY方向となるとなるように固定して設けられている。現像液補充ノズル51cからは、コロ搬送機構14によって搬送されるLCD基板G上に所定量の現像液が略帯状に吐出される。なお、この第2の現像液供給ゾーン24cは必須なものではない。
【0050】
LCD基板Gの現像反応は、第1の現像液供給ゾーン24bから液切り/リンスゾーン24dに搬送される間に行われる。液切り/リンスゾーン24dにおいては、LCD基板G上の現像液を流し出し、さらにLCD基板Gの表面に純水等のリンス液を吐出して、LCD基板G上の現像液を洗い流す。
【0051】
このような処理を行うために、液切り/リンスゾーン24dには、コロ搬送機構14によって搬送されるLCD基板Gを停止させる基板停止機構として、LCD基板GのY方向端部を上下方向から挟み込んでLCD基板Gを停止させるブレーキ部材15が所定位置に設けられている。一定の速度で搬送されてくるLCD基板Gが所定位置に到達したときに、このブレーキ部材15を動作させてLCD基板Gを急停止させると、LCD基板Gの表面に液盛りされた現像液は慣性力によって前方へ押し出されて、LCD基板Gから流れ落ちる。こうしてLCD基板G上の現像液の多くを短時間でLCD基板Gの表面から除去することができる。
【0052】
ブレーキ部材15においてLCD基板Gと接触する部分は、現像液に濡れた状態においても、LCD基板Gとの間で大きな摩擦力を維持できる材料、例えば、ゴム材料等が好適に用いられる。また、このゴム材料の表面に所定の溝加工を施す等して、ゴム材料がLCD基板Gを挟み込んだときに現像液を外部へ逃がしやすい構造とすることが好ましい。
【0053】
液切り/リンスゾーン24dには、急停止されたLCD基板Gの表面に残っている現像液を洗い流すリンス液(純水)を供給するリンスノズル52と、リンスノズル52を保持するリンスノズルアーム87と、リンスノズルアーム87と嵌合し、LCD基板Gの搬送方向に延在するように設けられたガイドレール86と、ガイドレール86に沿ってリンスノズルアーム87を移動させる駆動機構88とが設けられている。LCD基板Gの表面に沿ってリンスノズル52をLCD基板Gの前方端と後方端との間で移動させながら、リンスノズル52からリンス液をLCD基板Gに吐出することによって、LCD基板Gに残っている現像液を洗い流す。リンスノズル52の移動は高速、例えば、500mm/秒で行うことができ、こうしてLCD基板Gの現像液除去を短時間で行うことができる。
【0054】
リンスノズル52の1回の移動でLCD基板G全体にリンス液が行き渡るように、リンスノズル52はLCD基板Gの幅方向(Y方向)に長く、略帯状にリンス液を吐出するものを用いることが好ましい。リンスノズル52からはスプレー状にリンス液を吐出させてもよい。
【0055】
液切り/リンスゾーン24dにおける現像液の除去処理では現像液の除去は完全ではなく、このために第1リンスゾーン24eと第2リンスゾーン24fにおいて、LCD基板Gを搬送しながらさらにLCD基板Gにリンス液を供給して徹底的に現像液を除去する。
【0056】
第1リンスゾーン24eには2組のリンスノズル53a・53bが設けられ、第2リンスゾーンにも2組のリンスノズル53c・53dが設けられている。リンスノズル53a〜53dは、それぞれLCD基板Gの表面側に2本設けられ、裏面側に1本設けられている。リンスノズル53a〜53dとしては、搬送されるLCD基板G全体にリンス液を吐出できるように、LCD基板Gの幅方向(Y方向)に長く、略帯状にリンス液を吐出するものを用いることが好ましい。なお、第1リンスゾーン24eと第2リンスゾーン24fは、1箇所のリンスゾーンとして構成することが可能である。
【0057】
第2リンスゾーン24fを通過したLCD基板Gが搬送される乾燥ゾーン24gには、所定の風圧で窒素ガス等の乾燥ガスを噴射するエアーノズル(エアーナイフ)54が設けられている。乾燥ゾーン24gにおいては、LCD基板Gを所定速度で搬送しながらLCD基板Gの表面と裏面に乾燥ガスを噴射して、LCD基板Gに付着したリンス液を吹き飛ばしてLCD基板Gを乾燥する。エアーノズル54は、LCD基板Gの幅よりも長い形状を有しており、LCD基板Gの幅方向全体に乾燥ガスを吐出することができるようになっている。乾燥処理が終了したLCD基板Gは、コロ搬送機構14によりi線UV照射ユニット(i−UV)25に搬送される。
【0058】
次に、現像処理ユニット(DEV)24における現像処理工程について説明する。図7は現像処理工程の概略を示す説明図(フローチャート)である。先ずコロ搬送機構14を動作させて、パスユニット(PASS)73に搬入されたLCD基板Gを導入ゾーン24aを通過させて第1の現像液供給ゾーン24bに搬入する(ステップ1)。このパスユニット(PASS)73から第1の現像液供給ゾーン24bへのLCD基板Gの搬送速度は、例えば65mm/秒とする。
【0059】
第1の現像液供給ゾーン24bにおいては、LCD基板Gを所定位置で停止させて静止状態に保持し(ステップ2)、現像ノズル51a・51bを、例えば、240mm/秒という高速で基板搬送方向の前方から後方へ向けて移動させながらLCD基板Gの表面に現像液を塗布する(ステップ3)。LCD基板Gを停止させた状態とすることで、現像ノズル51a・51bの駆動制御が容易となる。また、安定して現像液をLCD基板上に液盛りすることができる。
【0060】
コロ搬送機構14を動作させて、第1の現像液供給ゾーン24bにおける液盛りが終了したLCD基板Gを、例えば、46mm/秒の搬送速度で第2の現像液供給ゾーン24cへ搬送する(ステップ4)。LCD基板Gが第2の現像液供給ゾーン24cを通過する際には、現像液補充ノズル51cからLCD基板G上に現像液が補充され、LCD基板Gの搬送時にLCD基板Gからこぼれ落ちる現像液が補充される(ステップ5)。
【0061】
引き続いて、コロ搬送機構14により、第2の現像液供給ゾーン24cに搬送されたLCD基板Gを液切り/リンスゾーン24dに搬送する(ステップ6)。LCD基板Gが液切り/リンスゾーン24dの所定位置に到達したときに、ブレーキ部材15を動作させてLCD基板Gを上下から挟み込み、かつ、コロ搬送機構14の動作を停止させて、LCD基板Gを急停止させる(ステップ7)。こうして、LCD基板G上の現像液とレジスト膜が溶解することによって生成する反応物(溶解生成物)は、慣性力によってLCD基板Gの表面から流れ落ちる。
【0062】
LCD基板Gを急停止させて現像液を流し出すとほぼ同時に、リンスノズル52から所定のリンス液をLCD基板Gに向けて吐出させながら、リンスノズルアーム87をLCD基板Gの表面に沿って、例えば500mm/秒の速度で移動させ、LCD基板Gの表面に残った現像液と溶解生成物を洗い流す(ステップ8)。
【0063】
続いて、LCD基板Gを、例えば46mm/秒の搬送速度で第1リンスゾーン24eに搬送する(ステップ9)。このとき、静止状態にあるLCD基板Gを、例えば、50mm/秒以上の加速度で急加速させて搬送することで、LCD基板G上のリンス液を流し出すことができる。第1リンスゾーン24eでは、LCD基板Gをこの搬送速度で搬送しながらLCD基板Gの表面と裏面にリンス液を吐出して、LCD基板Gに残っている現像液と溶解生成物の除去(リンス処理)を行う(ステップ10)。
【0064】
第1リンスゾーン24eを通過したLCD基板Gは第2リンスゾーン24fに搬入される(ステップ11)。第2リンスゾーン24fにおいては第1リンスゾーン24eと同様のリンス処理が行われ(ステップ12)、現像液や溶解生成物が完全に除去される。このステップ12においては、LCD基板Gの搬送速度を、例えば、36mm/秒と、先の第1リンスゾーン24eにおける搬送速度よりも遅くして、より精密なリンス処理を行うことが好ましい。
【0065】
第2リンスゾーン24fを通過したLCD基板Gは乾燥ゾーン24gに搬入される(ステップ13)。乾燥ゾーン24gでは、例えば46mm/秒の搬送速度でLCD基板Gを搬送しながら、エアーノズル54による乾燥処理が行われる(ステップ14)。乾燥処理が終了したLCD基板Gは、コロ搬送機構14によりi線UV照射ユニット(i−UV)25に搬送され(ステップ15)、そこで所定の紫外線照射処理が施される。
【0066】
次に、液切り/リンスゾーン24dにおいてLCD基板G上の現像液を流し出す別の方法と、その方法に用いる装置について説明する。図8は液切り/リンスゾーン24dの別の実施形態(以下、「液切り/リンスゾーン24d´」とする)を示す平面図(a)と側面図(b)である。液切り/リンスゾーン24d´には、LCD基板Gの裏面を吸着保持し、吸着保持したLCD基板GをY方向に揺動する吸着揺動機構18が複数箇所に配置されている。この吸着揺動機構18は、例えば、LCD基板Gを真空吸引して保持することができ、また、図示しない昇降機構により昇降自在であって、Y方向に全ての吸着揺動機構18が同時に往復スライドするように揺動自在となっている。なお、吸着揺動機構18も図示しない制御部によって制御される。
【0067】
LCD基板Gが液切り/リンスゾーン24d´に搬送される際には、吸着揺動機構18の上端は、LCD基板Gの裏面よりも下の位置に待機させた状態に保持する。LCD基板Gが液切り/リンスゾーン24d´の所定位置に到達したときに、コロ搬送機構14の動作を停止させ、次に吸着揺動機構18を上昇させてLCD基板Gを吸着し、LCD基板Gの裏面がコロ17から離れた位置でLCD基板Gを保持する。図8(b)には吸着揺動機構18がLCD基板Gを所定高さに持ち上げた状態が示されており、この状態においてLCD基板GをY方向に揺動することで、LCD基板G上に液盛りされた現像液をLCD基板Gから流し出すことができる。LCD基板Gへのリンスノズル52からのリンス液の吐出は、LCD基板GをY方向に揺動させた状態で行うと、リンス液等をLCD基板Gに滞留させずに流し出すことができる。
【0068】
図9は液切り/リンスゾーン24dのさらに別の実施形態(以下、「液切り/リンスゾーン24d″」とする)を示す平面図(a)と、液切り/リンスゾーン24d″の概略斜視図(b)である。液切り/リンスゾーン24d″には、LCD基板Gを搬送するコロとして、X方向においては基板搬送方向の後方から前方へ向けて徐々に直径が大きくなり、かつ、Y方向においては端部から中心部に向けて徐々に直径が大きくなるように、直径を変化させたコロ17´が配置されている。このために、LCD基板Gは、その高さがX方向においては後方から前方へ向けて徐々に高くなり、かつ、Y方向においては端部から中心部に向けて徐々に高くなるように、略山型に撓む。なお、Y方向の端部に取り付けられたコロ17´については、その直径を一定としてもよい。
【0069】
このように液切り/リンスゾーン24d″においては、コロ搬送機構14は、LCD基板Gを所定位置へ搬送しつつ、LCD基板Gを略山形に撓ませて、LCD基板Gの表面から自然に現像液を流し出すことができるようになっている。このようにLCD基板Gが撓んだ状態でリンス液をLCD基板Gへ吐出すると、リンス液はLCD基板Gの変形した形に沿ってLCD基板Gから流れ落ちるため、リンス液のLCD基板G上での滞留を防止することができる。
【0070】
液切り/リンスゾーン24d″において略山型に撓ませたLCD基板Gを、元の略水平姿勢に戻しながら第1リンスゾーン24eと第2リンスゾーン24fへ搬送するために、例えば、第1リンスゾーン24eには、液切り/リンスゾーン24d″とは反対に、LCD基板Gの高さがX方向においては後方から前方へ向けて徐々に低くなり、かつ、Y方向においては端部から中心部に向けて徐々に低くなって略水平姿勢に戻るように直径を変化させたコロを配置することが好ましい。こうしてLCD基板Gに急激な変形が起こることが防止される。
【0071】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、第1の現像液供給ゾーン24bにおいては、現像ノズル51a・51bを長手方向をX方向に一致させて、Y方向にスライドさせてもよい。同様に、液切り/リンスゾーン24d・24d´・24d″においても、リンスノズル52の長手方向をX方向に一致させて、Y方向にスライドさせてもよい。
【0072】
また、基板停止機構として、ブレーキ部材15を設ける代わりに、基板Gを挟んで少なくとも1つのコロ17に対向するように別のコロを設け、両方のコロの回転を制御してLCD基板Gを急停止させてもよい。また、逆に同じ構造では、両方のコロをLCD基板Gを急加速させる基板加速機構として用いることもできる。さらに、基板停止機構として、ブレーキ部材15を設ける代わりに、コロ17自体をLCD基板Gと接触する部位に大きな摩擦力が生じる構造にして、LCD基板Gを急停止または急加速してもよい。例えば、コロ17の周囲にゴム材料を取り付けたり、またはコロ17の周囲に吸盤を取り付けたり、あるいはコロ17の周囲に吸引孔を設けてコロ17の上側に位置する吸引孔のみコロ17の内側に向かって吸引する構造にしてもよい。
【0073】
吸着揺動機構18はX方向に往復スライドするように揺動させてもよく、X方向とY方向の双方に揺動させてもよい。また、吸着揺動機構18でLCD基板Gを保持する際に、LCD基板Gが傾斜した状態で保持されるように吸着揺動機構18の高さを制御し、その後にX方向、Y方向、Z方向のいずれかまたはそのいくつかの組合せで所定の方向に揺動させてもよい。さらに、LCD基板Gを保持して揺動させる機構として真空吸着を用いた吸着揺動機構18を示したが、このような吸着保持の手法を用いずに、例えば、LCD基板Gの端面に当接するガイドピン等の基板位置決め治具が設けられた複数のプレートでLCD基板Gを保持し、このような複数のプレートを同時に揺動させることで、LCD基板G上の現像液を流し出すことも可能である。本発明はLCD基板Gに限定して適用されるものではなく、LCD以外の他の用途に用いられるガラス基板や、半導体ウエハ、その他のセラミックス基板等の液処理にも適用することができる。
【0074】
【発明の効果】
上述の通り、本発明によれば、基板を急停止させることで基板上の塗布液に掛かる慣性力を利用して、または基板を揺動させることにより、または基板を搬送しながら撓ませることにより、基板上に塗布された処理液を短時間で除去することができる。これによって、基板の液処理状態を基板全体で均一なものとすることができ、基板の品質が高められるという効果が得られる。また、本発明によれば、液処理時間の短縮が可能であり、スループットを向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の液処理装置の一実施形態である現像処理ユニットを具備するレジスト塗布・現像処理システムの概略平面図。
【図2】 図1に示したレジスト塗布・現像処理システムの第1の熱的処理ユニットセクションを示す側面図。
【図3】 図1に示したレジスト塗布・現像処理システムの第2の熱的処理ユニットセクションを示す側面図。
【図4】 図1に示したレジスト塗布・現像処理システムの第3の熱的処理ユニットセクションを示す側面図。
【図5】 本発明の一実施形態である現像処理ユニットの概略構造を示す側面図。
【図6】 本発明の一実施形態である現像処理ユニットの概略構造を示す平面図。
【図7】 現像処理工程の概略を示す説明図(フローチャート)。
【図8】 現像処理ユニットにおける液切り/リンスゾーンの別の実施形態を示す平面図と側面図。
【図9】 現像処理ユニットにおける液切り/リンスゾーンのさらに別の実施形態を示す平面図と概略斜視図。
【符号の説明】
1;カセットステーション
2;処理ステーション
3;インターフェイスステーション
15;ブレーキ部材
17・17´;コロ
18;吸着揺動機構
24;現像処理ユニット(DEV)
24a;導入ゾーン
24b;第1の現像液供給ゾーン
24c;第2の現像液供給ゾーン
24d・24d´・24d″;液切り/リンスゾーン
24e;第1リンスゾーン
24f;第2リンスゾーン
24g;乾燥ゾーン
G……LCD基板

Claims (13)

  1. 基板を略水平姿勢で略水平方向に搬送する基板搬送機構と、
    前記基板搬送機構によって搬送される基板に所定の処理液を塗布する処理液供給機構と、
    前記処理液が塗布されて前記基板搬送機構によって搬送される基板を急停止させる基板停止機構と、
    を具備し、
    前記処理液の塗布された基板を前記基板停止機構を動作させて急停止させることによって、前記基板上の処理液が慣性力によって前記基板から流し出されるように構成され、
    前記基板停止機構は、
    前記基板搬送機構によって搬送される基板の周縁を所定位置で上下から挟み込む把持部材と、
    前記把持部材を上下方向に駆動する駆動機構と、
    を有し、
    前記把持部材の基板と接触する部分に、処理液を外部へ逃がすための溝が設けられていることを特徴とする液処理装置。
  2. 基板に残っている処理液を洗い流すリンス液を基板に供給するリンスノズルと、
    前記リンスノズルを基板の表面に沿って移動させる機構と、
    をさらに具備し、
    基板を急停止させて現像液を流し出すとほぼ同時に前記リンスノズルからリンス液を前記基板に向かって吐出させながら、前記リンスノズルを前記基板の表面に沿って移動させることにより前記基板表面に残った処理液を洗い流し、続いて前記基板搬送機構により基板を急加速させて搬送し、前記基板上のリンス液を流し出すことを特徴とする請求項1に記載の液処理装置。
  3. 基板を略水平姿勢で略水平方向に搬送する基板搬送機構と、
    前記基板搬送機構によって搬送される基板に所定の処理液を塗布する処理液供給機構と、
    前記基板搬送機構によって搬送される前記処理液の塗布された基板を停止させる基板停止機構と、
    前記基板停止機構によって停止した基板を保持する基板保持機構と、
    前記基板保持機構に保持された基板を水平面内において揺動する基板揺動機構と、
    を具備し、
    前記処理液の塗布された基板を前記基板揺動機構によって揺動させることで前記基板上の処理液が流し出されることを特徴とする液処理装置。
  4. 基板に所定の処理液を塗布する処理液塗布部と、
    前記処理液の塗布された基板上から処理液を除去する処理液除去部と、
    前記処理液塗布部から前記処理液除去部へ基板を略水平姿勢で略水平方向に搬送する基板搬送機構と、
    を具備し、
    前記処理液除去部は、
    前記基板搬送機構によって搬送される基板をその高さが前記基板搬送機構による基板搬送方向においては後方から前方へ向けて徐々に高くなるようにかつ前記基板搬送方向に垂直な水平方向においては端部から中心部に向けて徐々に高くなるように撓ませて支持する基板支持機構を有し、
    前記基板支持機構によって基板を撓ませることで前記基板に塗布された処理液が前記基板から流し出されることを特徴とする液処理装置。
  5. 前記基板支持機構は、
    長手方向が前記基板搬送方向に垂直な方向となるようにして前記基板搬送方向に略平行に所定間隔で並べられた複数の軸部材と、
    前記軸部材のそれぞれについて、前記軸部材を貫通し、前記軸部材の長手方向においては中心から端部へ向けて直径が短くなるように、かつ、前記基板搬送方向については前記基板搬送方向の後方から前方に向けて直径が長くなるように設けられた円盤状の複数のコロと、
    を有することを特徴とする請求項4に記載の液処理装置。
  6. 基板に所定の液処理を施す液処理方法であって、
    略水平姿勢の基板の表面に処理液を塗布してパドルを形成する第1工程と、
    前記パドルの形成された基板を略水平方向に所定位置まで搬送する第2工程と、
    前記所定位置において前記基板を保持する第3工程と、
    前記パドルの処理液が前記基板の表面から流れ落ちるように前記保持された基板を水平面内において揺動する第4工程と、
    を有することを特徴とする液処理方法。
  7. 基板に所定の液処理を施す液処理方法であって、
    略水平姿勢の基板の表面に処理液を塗布してパドルを形成する第1工程と、
    前記パドルの形成された基板を略水平方向に所定位置まで搬送する第2工程と、
    前記所定位置においては、前記パドルの処理液が前記基板の表面から流れ落ちるように、前記基板の高さが基板の搬送方向においては後方から前方へ向けて徐々に高くなるように、かつ、基板の搬送方向に垂直な水平方向においては端部から中心部に向けて徐々に高くなるように、前記基板を略山型に撓ませながら移動させる第3工程と、
    を有することを特徴とする液処理方法。
  8. 基板に所定の液処理を行う液処理装置であって、
    複数のコロを回転させて前記コロに接した基板を略水平姿勢で略水平方向へ搬送するコロ搬送機構と、
    前記コロ搬送機構によって搬送される基板に所定の処理液を塗布する処理液供給機構と、
    基板の裏面を保持し、保持した基板を揺動させる揺動機構と、
    前記揺動機構を昇降させる昇降機構と、
    前記コロ搬送機構の動作を停止させ、かつ、前記揺動機構を上昇させて、基板の裏面が前記コロから離れた位置で前記揺動機構を揺動させるように、前記コロ搬送機構および前記揺動機構ならびに前記昇降機構を制御する制御部と、
    を具備し、
    前記揺動機構は、前記コロの回転軸方向に揺動し、
    処理液が塗布された基板を前記揺動機構によって揺動させることで前記基板上の処理液が流し出されることを特徴とする液処理装置。
  9. 基板に所定の液処理を行う液処理装置であって、
    複数のコロを回転させて前記コロに接した基板を略水平姿勢で略水平方向へ搬送するコロ搬送機構と、
    前記コロ搬送機構によって搬送される基板に所定の処理液を塗布する処理液供給機構と、
    基板の裏面を保持し、保持した基板を揺動させる揺動機構と、
    前記揺動機構を昇降させる昇降機構と、
    前記コロ搬送機構の動作を停止させ、かつ、前記揺動機構を上昇させて、基板の裏面が前記コロから離れた位置で前記揺動機構を揺動させるように、前記コロ搬送機構および前記揺動機構ならびに前記昇降機構を制御する制御部と、
    を具備し、
    前記揺動機構は、互いに直交する、基板の搬送方向、前記コロの回転軸方向、鉛直方向のいくつかの組み合わせで基板を揺動させ、
    処理液が塗布された基板を前記揺動機構によって揺動させることで前記基板上の処理液が流し出されることを特徴とする液処理装置。
  10. 基板に所定の液処理を行う液処理装置であって、
    複数のコロを回転させて前記コロに接した基板を略水平姿勢で略水平方向へ搬送するコロ搬送機構と、
    前記コロ搬送機構によって搬送される基板に所定の処理液を塗布する処理液供給機構と、
    基板の裏面を保持し、保持した基板を揺動させる揺動機構と、
    前記揺動機構を昇降させる昇降機構と、
    前記コロ搬送機構の動作を停止させ、かつ、前記揺動機構を上昇させて、基板の裏面が前記コロから離れた位置で前記揺動機構を揺動させるように、前記コロ搬送機構および前記揺動機構ならびに前記昇降機構を制御する制御部と、
    を具備し、
    前記揺動機構は、基板を吸着保持して揺動させ、
    処理液が塗布された基板を前記揺動機構によって揺動させることで前記基板上の処理液が流し出されることを特徴とする液処理装置。
  11. 基板に所定の液処理を行う液処理装置であって、
    複数のコロを回転させて前記コロに接した基板を略水平姿勢で略水平方向へ搬送するコロ搬送機構と、
    前記コロ搬送機構によって搬送される基板に所定の処理液を塗布する処理液供給機構と、
    基板の裏面を保持し、保持した基板を揺動させる揺動機構と、
    前記揺動機構を昇降させる昇降機構と、
    前記コロ搬送機構の動作を停止させ、かつ、前記揺動機構を上昇させて、基板の裏面が前記コロから離れた位置で前記揺動機構を揺動させるように、前記コロ搬送機構および前記揺動機構ならびに前記昇降機構を制御する制御部と、
    を具備し、
    前記揺動機構は、基板の端面に当接する基板位置決め手段が設けられた複数のプレートで前記基板を保持して揺動させ、
    処理液が塗布された基板を前記揺動機構によって揺動させることで前記基板上の処理液が流し出されることを特徴とする液処理装置。
  12. 前記揺動機構で基板を保持する際に、前記基板は傾斜した状態で保持されることを特徴とする請求項8から請求項11のいずれか1項に記載の液処理装置。
  13. 前記揺動機構で基板を保持する際に前記基板が傾斜した状態で保持されるように、前記揺動機構の高さが制御されることを特徴とする請求項8から請求項11のいずれか1項に記載の液処理装置。
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