JP3928335B2 - タッピンネジ下孔 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、小径(例えば0.1mm程度)のレーザビームを鋼板(本明細書では、鋼材全体が板状である場合の前記鋼材および鋼材全体は板状ではないが一部のみが板状の場合の板状部分等をいずれも鋼板という。)の表面に照射しながら、レーザビームの照射位置をタッピンネジ下孔の形状に沿って設定された溶断予定ラインに沿って移動させることにより、鋼板の表面にタッピンネジ下孔を形成する技術に関し、特に、形状に特徴を有するタッピンネジ下孔に関する。
【0002】
【従来の技術】
鋼板にタッピンネジ下孔を形成する方法としては、パンチ孔加工、レーザ溶断等が従来公知である。
図9は前記パンチ加工により形成されたタッピンネジ下孔の断面図である。
図9において、鋼板01に形成されたタッピンネジ下孔02は、鋼板01の上面からパンチを押圧して形成した孔であり、上部には上端のだれ03およびその下側部分の剪断面04が形成され、下部には破断面05が形成され、下端にはバリ06が形成されている。図9から分かるようにパンチ加工により形成したタッピンネジ下孔02は、加工開始側部分(上部)に比較して加工終了側部分(下部)の方が外形が大きくなっている。
図10はパンチ加工により形成されたタッピンネジ下孔およびレーザ溶断により形成されたタッピンネジ下孔の1例の説明図で、図10Aはパンチ加工により形成されたタッピンネジ下孔にタッピンネジをねじ込んだ状態の説明図、図10Bはレーザ溶断により形成されたタッピンネジ下孔にタッピンネジをねじ込んだ状態の説明図、図10Cはタッピンネジのネジ山が座屈した状態を示す図である。
【0003】
図10Aにおいて、パンチ加工により形成されたタッピンネジ下孔02は下部の外形が上部よりも大きくなっているので、タッピンネジ下孔02の上部の内周面にはタッピンネジ07のネジ山07aが食い込んでいるが、タッピンネジ下孔02の下部ではタッピンネジ07のネジ山07aはタッピンネジ下孔02の内周面に食い込んではいない。したがって、図10Aではネジが効いているのはタッピンネジ下孔02の上部内周面に食い込んでいるタッピンネジ07の2〜3ピッチ分のネジ山07aのみである。したがって、パンチ加工により形成されたタッピンネジ下孔02とタッピンネジ07とはタッピンネジ下孔02の上部のみで結合している。
図10Bにおいて、レーザ溶断により形成されたタッピンネジ下孔02は、下部の外形が上部よりもわずかに小さくなるので、タッピンネジ下孔02の上部および下部の全内周面にタッピンネジ07のネジ山07aが食い込んでいる。
したがって、レーザ溶断により形成されたタッピンネジ下孔02は上部および下部の全内周面でタッピンネジ07と結合されるので、前記パンチ加工により形成されたタッピンネジ下孔02よりもタッピンネジ07との結合が強固になる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
鋼板にタッピンネジ下孔を形成する方法としては、前記パンチ孔加工、レーザ溶断の加工方法以外に、ドリルによる孔加工、放電加工等が従来公知である。
前記従来のタッピンネジ下孔形成方法において、径の異なる多数個のタッピンネジ下孔を形成する場合、次の問題点がある。
(1)パンチ加工ではプレスパンチ装置が大型になる。また、前述したように、タッピンネジ下孔およびタッピンネジはタッピンネジ下孔の加工開始側部分のみで結合されるために結合力が小さい。
(2)ドリル加工ではドリル交換に時間がかかり、工数が増加する。
(3)放電加工では放電電極の交換に時間がかかり、工数が増加する。
ところが、レーザ溶断では、鋼板へのレーザ照射位置の移動経路やレーザパワー等を変更するプログラムの作成のみで、段取り替えの作業の発生も無く、便利である。
【0005】
本発明者は、複写機のフレームを形成する多数の鋼板の連結を、レーザ溶断で加工したタッピンネジ下孔を使用して組み立てることによりフレームの製造作業工数、およびコスト等の低下を実現しようとして、1台の複写機のフレームを製造するのに約300個のタッピンネジ下孔をレーザ溶断により形成した。ところが、約1/3の個数のタッピンネジ下孔にはタッピンネジが固定できなかった。そして、鋼板が分厚くなる程、タッピンネジ下孔とタッピンネジとの固定ができ難くなることが分かった。
この原因は、鋼板溶断用のレーザビームによるタッピンネジ下孔形成時のレーザビームによる鋼板の加熱と溶断終了後の冷却により、タッピンネジ下孔の内周面の鋼板の表面に焼入れ硬化層が薄く形成されたことにある。
【0006】
すなわち、レーザビームにより溶断して形成されたタッピンネジ下孔はその周辺が溶融した段階で高炭素状態(表層より10μm以下で0.8%含有できる状態)になり、溶断直後に自然空冷により焼きが入りHRC45〜50程度の状態(硬さ)になる。この状態でタッピンネジの表面硬度とほぼ同程度となっている。その状態で図10Cに示すように、タッピンネジ07をタッピンネジ下孔02にねじ込むと硬化部02bとの接触圧上昇によりネジ表面直下の生部材(焼き入れが行われていない低硬度の部材)に座屈が発生しネジ山07aが壊れる現象(図10C参照)が起こり、タッピンネジ下孔02とタッピンネジ07との確実な結合が行われない。
【0007】
なお従来、タッピンネジの1ピッチの長さより厚さの薄い鋼板にタッピンネジ下孔を形成した場合に、タッピンネジ下孔とタッピンネジとの結合を確実にするために、タッピンネジ下孔の内周部がタッピンネジの1ピッチ分のネジの谷に係合するように前記鋼板内周部に捩じりを与えたものが、特開平8−105413号公報に記載されている。
この公報に記載されたタッピンネジ下孔は、円形のタッピンネジ下孔に円周方向に180°離れた位置に2本のスリットを形成し、前記スリットを利用してタッピンネジ下孔の内周部の鋼板に半周毎にタッピンネジの(1/2)ピッチの捩じりを与え、1周で1ピッチの捩じりを与えている。このタッピンネジ下孔にはタッピンネジの1ピッチ分の谷が係合することによりタッピンネジ下孔およびタッピンネジの結合が行われる。この場合、結合に寄与するタッピンネジ下孔およびタッピンネジは1ピッチのみであり、結合力は弱いものとなる。またこの公報記載の技術は、タッピンネジの1ピッチの長さ以上の厚さを有する鋼板には適用できないという問題点もある。
【0008】
また、前記公報に記載されたタッピンネジ下孔のスリットは、後述する本発明のタッピンネジ結合用内周面から外側に広がる凹部を形成する凹部形成用内周面と一見似ている。しかしながら、前記公報記載のスリットは、タッピンネジ下孔の内周部の鋼板に捩じりを与えるために形成されたスリットであり、本発明の前記凹部形成用内周面は、前記タッピンネジ下孔にねじ込まれたタッピンネジとの接触時にタッピンネジ下孔の表層に形成された焼入れ硬化層を容易に剥離させる硬化層剥離開始部を形成する点で、作用および目的が前記スリットとは全く異なる部材である。
【0009】
本発明は前述の事情に鑑み下記の記載内容(O01)〜(O03)を課題とする。
(O01)レーザ溶断により鋼材に形成されたタッピンネジ下孔とこれに結合されるタッピンネジとの結合を確実に行えるようにすること。
(O02)タッピンネジが形成される鋼板を捩じることなく、前記タッピンネジと確実に結合可能なタッピンネジ下孔を前記鋼板のレーザ溶断により容易に形成できるようにすること。
(O03)タッピンネジの1ピッチの長さ以上の厚さを有する鋼材に前記タッピンネジと確実に結合可能なタッピンネジ下孔をレーザ溶断により容易に形成できるようにすること。
【0010】
【課題を解決するための手段】
次に、本発明を説明するが、本発明の要素には、後述の実施例の要素との対応を容易にするため、実施例の要素の符号をカッコで囲んだものを付記する。
なお、本発明を後述の実施例の符号と対応させて説明する理由は、本発明の理解を容易にするためであり、本発明の範囲を実施例に限定するためではない。
【0011】
(第1発明)
前記課題を解決するために、本出願の第1発明のタッピンネジ下孔は、下記の構成要件(A01)〜(A03)を備えたことを特徴とする。
(A01)鋼板溶断用のレーザビームの鋼板照射位置をタッピンネジ下孔(3)の断面形状に沿って移動させたときに前記鋼板(2a)が溶断されて形成された貫通孔により形成されたタッピンネジ下孔(3)、
(A02)前記鋼板溶断時のレーザビームの加熱と溶断終了後の冷却により焼入れされた前記貫通孔の内周面の鋼板(2a)の表面に薄く形成された焼入れ硬化層(3f)、
(A03)前記タッピンネジ下孔(3)にねじ込まれたタッピンネジ(5)との接触時に前記焼入れ硬化層(3f)が容易に剥離を開始する形状を有し且つ前記貫通孔内周面に形成された硬化層剥離開始部(3d)。
【0012】
(第1発明の作用)
前記構成を備えた本出願の第1発明のタッピンネジ下孔(3)では、鋼板(2a)の貫通孔により形成されるタッピンネジ下孔(3)は、鋼板溶断用のレーザビームの鋼板照射位置をタッピンネジ下孔(3)の断面形状に沿って移動させたときに、前記鋼板(2a)が溶断されて形成される。
前記鋼板溶断時のレーザビームの加熱と溶断終了後の冷却により焼入れされた前記貫通孔の内周面の鋼板(2a)の表面には、焼入れ硬化層(3f)が薄く形成される。前記貫通孔内周面に形成された硬化層剥離開始部(3d)は、前記タッピンネジ下孔(3)にねじ込まれたタッピンネジ(5)との接触時に前記焼入れ硬化層(3f)が容易に剥離を開始する。
前記タッピンネジ(5)との接触により前記硬化層剥離開始部(3d)から剥離が開始された焼入れ硬化層(3f)は、タッピンネジ(5)の回転に伴って連続して剥離しタッピンネジ下孔(3)の内周面には焼入れされていない低硬度の材質が露出する。このため、タッピンネジ(5)のネジ山は前記焼入れ硬化層(3f)が剥がれたタッピンネジ下孔(3)の低硬度の内周面にネジを切りながら螺合する。したがって、タッピンネジ(5)のねじ山は破損することなく、確実にタッピンネジ下孔(3)に固定される。
【0013】
(第2発明)
第2発明のタッピンネジ下孔(3)は、下記の構成用件(B01),(B02)を備えたことを特徴とする、
(B01)鋼板溶断用のレーザビームの鋼板照射位置をタッピンネジ下孔(3)の断面形状に沿って移動させたときに前記鋼板(2a)が溶断されて形成された貫通孔により形成されたタッピンネジ下孔(3)、
(B02)タッピンネジ(5)の外径より小径の内周面を形成するタッピンネジ結合用内周面(3a)と、前記タッピンネジ結合用内周面(3a)から外側に広がる凹部(3b)を形成する凹部形成用内周面(3c)とを有し、前記タッピンネジ結合用内周面(3a)および凹部形成用内周面(3c)との接続部に角部(3d)が形成された前記貫通孔。
【0014】
(第2発明の作用)
前記構成要件を備えた第2発明のタッピンネジ下孔(3)では、鋼板(2a)の貫通孔により形成されるタッピンネジ下孔(3)は、鋼板溶断用のレーザビームの鋼板照射位置をタッピンネジ下孔(3)の断面形状に沿って移動させたときに、前記鋼板(2a)が溶断されて形成される。
前記鋼板溶断時のレーザビームの加熱と溶断終了後の冷却により焼入れされた前記貫通孔の内周面の鋼板(2a)の表面には、焼入れ硬化層(3f)が薄く形成される。前記貫通孔内周面は、タッピンネジ(5)の外径より小径の内周面を形成するタッピンネジ結合用内周面(3a)と、前記タッピンネジ結合用内周面(3a)から外側に広がる凹部(3b)を形成する凹部形成用内周面(3c)とを有し、前記タッピンネジ結合用内周面(3a)および凹部形成用内周面(3c)との接続部に角部(3d)が形成される。前記角部(3d)は破損し易いので、前記タッピンネジ下孔(3)にねじ込まれたタッピンネジ(5)との接触時に前記焼入れ硬化層(3f)が容易に剥離を開始する。
前記タッピンネジ(5)との接触により前記硬化層剥離開始部(3d)から剥離が開始された焼入れ硬化層(3f)は、タッピンネジ(5)の回転に伴って連続して剥離しタッピンネジ下孔(3)の内周面には焼入れされていない低硬度の材質が露出する。このため、タッピンネジ(5)のネジ山は前記焼入れ硬化層(3f)が剥がれたタッピンネジ下孔(3)の低硬度の内周面にネジを切りながら螺合する。したがって、タッピンネジ(5)のねじ山は破損することなく、確実にタッピンネジ下孔(3)に固定される。
【0015】
(第3発明)
第3発明のタッピンネジ下孔(3)は、下記の構成用件(C01),(C02)を備えたことを特徴とする、
(C01)鋼板溶断用のレーザビームの鋼板照射位置をタッピンネジ下孔(3)の断面形状に沿って移動させたときに前記鋼板(2a)が溶断されて形成された貫通孔により形成されたタッピンネジ下孔(3)、
(C02)前記貫通孔のタッピンネジ挿入側の端部に形成された前記貫通孔より大径の円錐壁により形成されたスリバチ状凹部(3g)。
【0016】
(第3発明の作用)
前記構成を備えた第3発明のタッピンネジ下孔(3)では、鋼板(2a)の貫通孔により形成されるタッピンネジ下孔(3)は、鋼板溶断用のレーザビームの鋼板照射位置をタッピンネジ下孔(3)の断面形状に沿って移動させたときに、前記鋼板(2a)が溶断されて形成される。前記鋼板溶断時のレーザビームの加熱と溶断終了後の冷却により焼入れされた前記貫通孔の内周面の鋼板(2a)の表面には、焼入れ硬化層(3f)が薄く形成される。
前記貫通孔のタッピンネジ挿入側の端部には、前記貫通孔より大径の円錐壁によりスリバチ状凹部(3g)が形成される。
タッピンネジ(5)がタッピンネジ下孔(3)にねじ込まれた際、タッピンネジ(5)の先端部がスリバチ状凹部(3g)に食い込むことにより、焼入れ硬化層(3f)はその上端から剥離が開始される。剥離が開始された焼入れ硬化層(3f)は、タッピンネジ(5)の回転および下方への移動に伴い、順次下部が剥離する。このため、タッピンネジ(5)のネジ山は前記焼入れ硬化層(3f)が剥がれたタッピンネジ下孔(3)の低硬度の内周面にネジを切りながら螺合する。したがって、タッピンネジ(5)のねじ山は破損することなく、確実にタッピンネジ下孔(3)に固定される。
【0017】
(第4発明)
第4発明のタッピンネジ下孔(3)は、下記の構成用件(D01),(D02)を備えたことを特徴とする、
(D01)鋼板溶断用のレーザビームの鋼板照射位置をタッピンネジ下孔(3)の断面形状に沿って移動させたときに前記鋼板(2a)が溶断されて形成された貫通孔により形成されたタッピンネジ下孔(3)、
(D02)タッピンネジ(5)の外径より小径の内周面を形成するタッピンネジ結合用内周面(3a)と、前記タッピンネジ結合用内周面(3a)から外側に広がる凹部(3b)を形成する凹部形成用内周面(3c)とを有し、前記タッピンネジ結合用内周面(3a)は周方向に離れた複数部分により構成されてタッピンネジ(5)外周の周方向の一部分と結合するように形成された前記貫通孔。
【0018】
(第4発明の作用)
前記構成を備えた第4発明のタッピンネジ下孔(3)では、鋼板(2a)の貫通孔により形成されるタッピンネジ下孔(3)は、鋼板溶断用のレーザビームの鋼板照射位置をタッピンネジ下孔(3)の断面形状に沿って移動させたときに、前記鋼板(2a)が溶断されて形成される。前記鋼板溶断時のレーザビームの加熱と溶断終了後の冷却により焼入れされた前記貫通孔の内周面の鋼板(2a)の表面には、焼入れ硬化層(3f)が薄く形成される。
前記タッピンネジ下孔(3)は、タッピンネジ(5)の外径より小径の内周面を形成するタッピンネジ結合用内周面(3a)と、前記タッピンネジ結合用内周面(3a)から外側に広がる凹部(3b)を形成する凹部形成用内周面(3c)とを有し、前記タッピンネジ結合用内周面(3a)は周方向に離れた複数部分により構成されている。
したがって、タッピンネジ(5)とタッピンネジ下孔3との接触部分は互いに離れた位置に有り且つ接触面積の合計が小さいため、焼入れ硬化層(3f)に作用する単位面積当たりの圧力が大きくなる。このため、焼入れ硬化層(3f)が破損し易く且つ剥離し易くなり、前記複数の接触部のいずれかから、焼入れ硬化層(3f)の剥離が生じる。前記剥離が生じた焼入れ硬化層(3f)は、タッピンネジ(5)の回転および下方への移動に伴い、順次下部が剥離する。このため、タッピンネジ(5)のネジ山は前記焼入れ硬化層(3f)が剥がれたタッピンネジ下孔(3)の内周面にネジを切りながら螺合する。したがって、タッピンネジ(5)のねじ山は破損することなく、確実にタッピンネジ下孔(3)に固定される。
【0019】
【実施の形態】
(第1発明の実施の形態1)
第1発明の実施の形態1のタッピンネジ下孔(3)は、前記第1発明のタッピンネジ下孔(3)において下記の構成要件(A04)を備えたことを特徴とする。(A04)貫通孔内周面に複数設けられた前記硬化層剥離開始部(3d)。
(第1発明の実施の形態1の作用)
前記構成要件を備えた本発明の実施の形態1のタッピンネジ下孔(3)では、貫通孔内周面に設けられた複数の硬化層剥離開始部(3d)のいずれかから焼入れ硬化層3fの剥離が開始される。
【0020】
(第3発明の実施の形態1)
第3発明の実施の形態1のタッピンネジ下孔(3)は、前記第3発明のタッピンネジ下孔(3)において下記の構成用件(C03)を備えたことを特徴とする。(C03)ドリル加工により形成された前記スリバチ状凹部(3g)。
【0021】
(実施の形態2の作用)
前記構成要件を備えた本発明の実施の形態2のタッピンネジ下孔(3)では、タッピンネジ(5)がタッピンネジ下孔(3)にねじ込まれた際、タッピンネジ(5)の先端部がドリル加工により形成された前記スリバチ状凹部(3g)に食い込むことにより、焼入れ硬化層(3f)はその上端から剥離が開始される。前記スリバチ状凹部(3g)はドリル加工により容易に形成することができる。
【0022】
(実施例)
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例(実施例)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図1は本発明のタッピンネジ下孔およびタッピンネジの結合方法の一例を示す図である。
図1において、鋼板1は鋼管2に溶接されており、鋼管2は断面4角形で、鋼板2a,2b,2c,2dを有する。鋼板2aにはタッピンネジ下孔3が形成されている。前記鋼管2に連結される鋼板4にはネジ貫通孔4a,4aが形成されている。
タッピンネジ5は、前記タッピンネジ貫通孔4aを貫通してタッピンネジ下孔3に螺合し固定される。
【0023】
図2はタッピンネジ下孔の実施例1の説明図で、前記図1に示されたタッピンネジ下孔の拡大説明図であり、図2Aはタッピンネジをねじ込む前のタッピンネジ下孔を示す図、図2Bタッピンネジをねじ込む際のタッピンネジ下孔の焼入れ硬化層の剥離開始状態を示す図である。
図2において、タッピンネジ下孔3は、鋼板溶断用のレーザビーム(図示せず)を鋼板2aに照射しながら、その照射位置をタッピンネジ下孔の断面形状に沿って移動させて前記鋼板2aを溶断して形成された貫通孔である。この貫通孔により形成されたタッピンネジ下孔3は、タッピンネジ5の外径より小径の内周面を形成するタッピンネジ結合用内周面3aと、前記タッピンネジ結合用内周面3aから外側に広がる半円状の2つの凹部3bを形成する凹部形成用内周面3cとを有し、前記タッピンネジ結合用内周面3aおよび凹部形成用内周面3cとの接続部には角部3d,3fが形成されている。角部3dはタッピンネジ下孔3にねじ込まれるタッピンネジ5の回転方向の下流側の接続部であり、角部3eは上流側の接続部である。前記下流側の角部3dは後述の焼入れ硬化層3fが容易に剥離を開始する形状(破損し易い角部)である。
【0024】
図2に示す実施例1の前記凹部形成用内周面3cの半径は前記タッピンネジ結合用内周面3aの半径の約30%の大きさに設定されている。
前記タッピンネジ結合用内周面3aおよび凹部形成用内周面3cは、前記タッピンネジ下孔3の形成時(鋼板溶断時)のレーザビームの加熱と溶断終了後の冷却により焼入れされて、前記各内周面3a,3cの表面に薄い焼入れ硬化層3fが形成されている。
なお、前記凹部形成用内周面3cの半径は前記タッピンネジ結合用内周面3aの半径の約20〜40%の範囲であれば、前記薄い焼入れ硬化層3fが前記下流側の角部3dから剥離し易いので好ましい。
【0025】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1のタッピンネジ下孔3は、前記角部3dが破損し易い形状をしているので、前記タッピンネジ5がねじ込まれた時にタッピンネジ5が前記角部3dに接触すると、前記下流側の角部3dの焼入れ硬化層3fが図2Bに示すように容易に剥離を開始する。すなわち、前記タッピンネジ下孔3の内周面に形成された角部3dは硬化層剥離開始部3dとして形成されている。
前記タッピンネジ5との接触により前記角部3dから剥離が開始された焼入れ硬化層3fは、タッピンネジ5の回転に伴って連続して剥離しタッピンネジ下孔3の内周面には焼入れされていない低硬度の材質が露出する。このため、タッピンネジ5のネジ山は前記焼入れ硬化層3fが剥がれたタッピンネジ下孔3の低硬度の内周面にネジを切りながら螺合する。したがって、タッピンネジ5のねじ山は破損することなく、確実にタッピンネジ下孔3に固定される。
【0026】
(実施例1の変更例1〜3))
図3は前記実施例1のタッピンネジ下孔およびその変更例の形状を示す図であり、図3Aは前記実施例1の図2に示すタッピンネジ下孔3の形状を示す図、図3Bは前記実施例1のタッピンネジ下孔の変更例1の説明図、図3Cは同変更例2の説明図、図3Dは同変更例3の説明図である。
図3A〜図3Dにおいて対応する構成要素には同一の符号を付して重複する詳細な説明は省略する。
図3Bに示す実施例1のタッピンネジ下孔3の変更例1は、前記タッピンネジ結合用内周面3aから外側に広がる半円状の2つの凹部3bの形状が前記図3Aに示す実施例1に比較して小さく形成された点で前記図3Aの実施例1と相違している。図3Bに示す前記凹部形成用内周面3cの半径は前記タッピンネジ結合用内周面3aの半径の約20%の大きさに設定されている。図3Bに示す変更例1は他の点では前記図3Aに示す実施例1と同じである。
【0027】
図3Cに示す実施例1のタッピンネジ下孔3の変更例2は、前記タッピンネジ結合用内周面3aから外側に広がる半円状の2つの凹部3bの形状が前記図3Aに示す実施例1に比較して大きく形成された点で前記図3Aの実施例1と相違している。図3Cに示す変更例2は他の点では前記図3Aに示す実施例1と同じである。図3Cに示す前記凹部形成用内周面3cの半径は前記タッピンネジ結合用内周面3aの半径の約40%の大きさに設定されている。
図3Dに示す実施例1のタッピンネジ下孔3の変更例3は、前記タッピンネジ結合用内周面3aから外側に広がる半円状の2つの凹部3bの形状が前記図3Aに示す実施例1と異なり、スリット状に形成されている。図3Bに示す変更例3は他の点では前記図3Aに示す実施例1と同じである。前記図3Dのスリット状の2つの凹部3bは、前記実施例1と同様に、鋼板溶断用のレーザビーム(図示せず)を鋼板2aに照射しながら、その照射位置をタッピンネジ下孔の前記スリットを含む断面形状に沿って移動させて前記鋼板2aを溶断して形成される。なお、図3Dに示すスリット状の凹部3bは、レーザ溶断により断面円形の貫通孔を形成した後に、スリット状の凹部3bを形成することが可能である。
【0028】
(実施例1の変更例4〜7)
図4は本発明のタッピンネジ下孔の実施例1の変更例4〜7の説明図で、図4Aは変更例4の説明図、図4Bは変更例5の説明図、図4Cは変更例6の説明図、図4Dは変更例7の説明図である。
図4Aに示す実施例1のタッピンネジ下孔3の変更例4は、前記タッピンネジ結合用内周面3aから外側に広がる半円状の凹部3bが4個設けられている点で2個設けられている前記図3Aの実施例1と相違している。図4Aに示す変更例4は他の点では前記図3Aに示す実施例1と同じである。
【0029】
図4Bに示す実施例1のタッピンネジ下孔3の変更例5は、前記タッピンネジ結合用内周面3aから外側に広がる半円状の凹部3bが3個設けられている点で2個設けられている前記図3Aの実施例1と相違している。図4Bに示す変更例5は他の点では前記図3Aに示す実施例1と同じである。
図4Cに示す実施例1のタッピンネジ下孔3の変更例6は、前記タッピンネジ結合用内周面3aから外側に広がる半円状の凹部3bが1個設けられている点で2個設けられている前記図3Aの実施例1と相違している。図4Cに示す変更例6は他の点では前記図3Aに示す実施例1と同じである。
図4Dに示す実施例1のタッピンネジ下孔3の変更例7は、前記タッピンネジ結合用内周面3aから外側に広がる半円状の凹部3bが1個設けられており、凹部3bの上流側の角部3eが削られてタッピンネジ5(図1参照)の外周部が凹部3b内に入り易く形成されている。凹部3b内に入ったタッピンネジ5(図1参照)は、前記下流側の角部3dに押圧された状態で回転するので、前記角部3dから前記焼入れ硬化層3fの剥離が開始され易くなる。
【0030】
(実施例1の変更例8〜10)
図5は本発明のタッピンネジ下孔の実施例1の変更例8〜10の説明図で、図5Aは変更例8の説明図、図5Bは変更例9の説明図、図5Cは変更例10の説明図である。
図5Aに示す実施例1のタッピンネジ下孔3の変更例8は、前記タッピンネジ結合用内周面3aから外側に広がる円弧状の凹部3bが3個設けられている点で半円状の2個の凹部が設けられている前記図3Aの実施例1と相違している。図5Aに示す変更例8は他の点では前記図3Aに示す実施例1と同じである。
図5Bに示す実施例1のタッピンネジ下孔3の変更例9は、前記タッピンネジ結合用内周面3aから外側に広がる3角形状の凹部3bが3個設けられている点で半円状の2個の凹部が設けられている前記図3Aの実施例1と相違している。図5Bに示す変更例9は他の点では前記図3Aに示す実施例1と同じである。
図5Cに示す実施例1のタッピンネジ下孔3の変更例10は、前記タッピンネジ結合用内周面3aから外側に広がる3角形状の凹部3bが4個設けられている点で半円状の2個の凹部が設けられている前記図3Aの実施例1と相違している。図5Cに示す変更例8は他の点では前記図3Aに示す実施例1と同じである。
【0031】
前記実施例1の変更例1〜10はいずれも、前記実施例1と同様に、前記タッピンネジ5との接触により前記角部3dから焼入れ硬化層3fの剥離が開始される。剥離が開始された焼入れ硬化層3fは、タッピンネジ5の回転に伴って連続して剥離しタッピンネジ下孔3の内周面には焼入れされていない抵硬度の材質が露出する。このため、タッピンネジ5のネジ山は前記焼入れ硬化層3fが剥がれたタッピンネジ下孔3の低硬度の内周面にネジを切りながら螺合する。したがって、タッピンネジ5のねじ山は破損することなく、確実にタッピンネジ下孔3に固定される。
【0032】
(実施例2)
図6は本発明のタッピンネジ下孔の実施例2の説明図で、図6Aは実施例2のタッピンネジ下孔を形成する最初の工程である貫通孔形成工程終了後のタッピンネジ下孔の平面図、図6Bは前記図6AのVIB−VIB線断面図、図6Cは前記図6A、図6Bに示す貫通孔の上端部をドリルで切削加工した後の平面図、図6Dは前記図6CのVID−VID線断面図、図6Eは前記図6Dのタッピンネジ下孔にタッピンネジをねじ込む状態の拡大図である。
図6において、レーザ溶断により鋼板2aに貫通孔6(図6A、図6B参照)を形成し、貫通孔6の上端部にドリル(図示せず)によりスリバチ状の凹部3g(図6C、図6D参照)を形成する。前記上端部に円錐壁により形成されたスリバチ状凹部3gを有する貫通孔(レーザ溶断により形成した貫通孔)6により、タッピンネジ下孔3が構成される。タッピンネジ下孔3の内周面にはレーザ溶断に使用するレーザビームにより焼入れ硬化層3fが形成される。
【0033】
(実施例2の作用)
実施例2のタッピンネジ下孔3は、図6Eに示すように、タッピンネジ5の先端部がスリバチ状凹部3gに食い込むことにより、焼入れ硬化層3fはその上端から剥離が開始される。剥離が開始された焼入れ硬化層3fは、タッピンネジ5の回転および下方への移動に伴い、順次下部が剥離する。このため、タッピンネジ5のネジ山は前記焼入れ硬化層3fが剥がれたタッピンネジ下孔3の低硬度の内周面にネジを切りながら螺合する。したがって、タッピンネジ5のねじ山は破損することなく、確実にタッピンネジ下孔3に固定される。
【0034】
(実施例2の変更例)
図7は前記実施例2のタッピンネジ下孔の変更例の説明図で、図7Aは実施例2の変更例のタッピンネジ下孔を形成する最初の工程であるスリバチ状凹部形成工程終了後の平面図、図7Bは前記図7AのVIIB−VIIB線断面図、図7Cは前記図7A、図7Bに示すスリバチ状凹部の上端部中心にレーザ溶断により貫通孔を形成した後の平面図、図7Dは前記図7CのVIID−VIID線断面図、図7Eは前記図7Dのタッピンネジ下孔にタッピンネジをねじ込む状態の拡大図である。
図7において、鋼板2aの上端部にドリル(図示せず)によりスリバチ状の凹部3g(図7A、図7B参照)を形成する。次にレーザ溶断により鋼板2aのスリバチ状凹部3gの中心部に貫通孔6(図6C、図7D参照)を形成し、貫通孔6の前記上端部にスリバチ状凹部3gを有する貫通孔(レーザ溶断により形成した貫通孔)6を形成する。前記貫通孔6によりタッピンネジ下孔3が構成される。タッピンネジ下孔3の内周面にはレーザ溶断に使用するレーザビームにより焼入れ硬化層3fが形成される。
【0035】
前記構成を備えた図7に示す実施例2の変更例のタッピンネジ下孔3は前記実施例2と同様の作用を奏する。すなわち、図7Eに示すように、タッピンネジ5の先端部がスリバチ状凹部3gに食い込むことにより、焼入れ硬化層3fはその上端から剥離が開始される。剥離が開始された焼入れ硬化層3fは、タッピンネジ5の回転および下方への移動に伴い、順次下部が剥離する。このため、タッピンネジ5のネジ山は前記焼入れ硬化層3fが剥がれたタッピンネジ下孔3の低硬度の内周面にネジを切りながら螺合する。したがって、タッピンネジ5のねじ山は破損することなく、確実にタッピンネジ下孔3に固定される。
【0036】
(実施例3)
図8は本発明の実施例3およびその変更例の説明図で、図8Aは本発明の実施例3の説明図、図8Bは本発明の実施例3の変更例の説明図である。
図8において前記図2の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して重複する詳細な説明は省略する。
図8Aにおいて、実施例3のタッピンネジ下孔3は、断面3角形であり、その内周面には焼入れ硬化層3fが形成されている。タッピンネジ5の外径は前記3角形のタッピンネジ下孔に内接する円よりも少し大きい。
この実施例3では、タッピンネジ5は3角形のタッピンネジ下孔3の3辺に接触するが、接触部分は互いに離れた位置に有り且つ接触面積の合計が小さいため、焼入れ硬化層3fに作用する単位面積当たりの圧力が大きくなる。このため、焼入れ硬化層3fが破損し易く且つ剥離し易くなり、前記3個の接触部のいずれかから、焼入れ硬化層3fの剥離が生じる。前記剥離が生じた焼入れ硬化層3fは、タッピンネジ5の回転および下方への移動に伴い、順次下部が剥離する。このため、タッピンネジ5のネジ山は前記焼入れ硬化層3fが剥がれたタッピンネジ下孔3の内周面にネジを切りながら螺合する。したがって、タッピンネジ5のねじ山は破損することなく、確実にタッピンネジ下孔3に固定される。
【0037】
(実施例3の変更例)
図8Bにおいて、実施例3の変更例のタッピンネジ下孔3は、断面4角形であり、その内周面には焼入れ硬化層3fが形成されている。タッピンネジ5の外径は前記4角形のタッピンネジ下孔3に内接する円よりも少し大きい。
この図8Bに示す実施例3の変更例では、タッピンネジ5は4角形のタッピンネジ下孔3の4辺に接触するが、接触部分は互いに離れた位置に有り且つ接触面積の合計が小さいため、焼入れ硬化層3fに作用する単位面積当たりの圧力が大きくなる。このため、焼入れ硬化層3fが破損し易く且つ剥離し易くなり、前記3個の接触部のいずれかから、焼入れ硬化層3fの剥離が生じる。前記剥離が生じた焼入れ硬化層3fは、タッピンネジ5の回転および下方への移動に伴い、順次下部が剥離する。このため、タッピンネジ5のネジ山は前記焼入れ硬化層3fが剥がれたタッピンネジ下孔3の内周面にネジを切りながら螺合する。したがって、タッピンネジ5のねじ山は破損することなく、確実にタッピンネジ下孔3に固定される。
【0038】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更実施例を下記に例示する。
(H01)本発明のタッピンネジ下孔およびその形成方法は画像形成装置のフレームを組み立てる際に適用することが可能である。
【0039】
【発明の効果】
前述の本発明のタッピンネジ下孔は、下記の効果(E01)〜(E03)を奏することができる。
(E01)レーザ溶断により鋼材に形成されたタッピンネジ下孔とこれに結合されるタッピンネジとの結合を確実に行うことができる。
(E02)タッピンネジが形成される鋼板を捩じることなく、前記タッピンネジと確実に結合可能なタッピンネジ下孔を前記鋼板のレーザ溶断により容易に形成することができる。
(E03)タッピンネジの1ピッチの長さ以上の厚さを有する鋼材に前記タッピンネジと確実に結合可能なタッピンネジ下孔をレーザ溶断により容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明のタッピンネジ下孔およびタッピンネジの結合方法の一例を示す図である。
【図2】 図2はタッピンネジ下孔の実施例1の説明図で、前記図1に示されたタッピンネジ下孔の拡大説明図であり、図2Aはタッピンネジをねじ込む前のタッピンネジ下孔を示す図、図2Bタッピンネジをねじ込む際のタッピンネジ下孔の焼入れ硬化層の剥離開始状態を示す図である。
【図3】 図3は前記実施例1のタッピンネジ下孔およびその変更例の形状を示す図であり、図3Aは前記実施例1の図2に示すタッピンネジ下孔3の形状を示す図、図3Bは前記実施例1のタッピンネジ下孔の変更例1の説明図、図3Cは同変更例2の説明図、図3Dは同変更例3の説明図である。
【図4】 図4は本発明のタッピンネジ下孔の実施例1の変更例4〜7の説明図で、図4Aは変更例4の説明図、図4Bは変更例5の説明図、図4Cは変更例6の説明図、図4Dは変更例7の説明図である。
【図5】 図5は本発明のタッピンネジ下孔の実施例1の変更例8〜10の説明図で、図5Aは変更例8の説明図、図5Bは変更例9の説明図、図5Cは変更例10の説明図である。
【図6】 図6は本発明のタッピンネジ下孔の実施例2の説明図で、図6Aは実施例2のタッピンネジ下孔を形成する最初の工程である貫通孔形成工程終了後のタッピンネジ下孔の平面図、図6Bは前記図6AのVIB−VIB線断面図、図6Cは前記図6A、図6Bに示す貫通孔の上端部をドリルで切削加工した後の平面図、図6Dは前記図6CのVID−VID線断面図、図6Eは前記図6Dのタッピンネジ下孔にタッピンネジをねじ込む状態の拡大図である。
【図7】 図7は前記実施例2のタッピンネジ下孔の変更例の説明図で、図7Aは実施例2の変更例のタッピンネジ下孔を形成する最初の工程であるスリバチ状凹部形成工程終了後の平面図、図7Bは前記図7AのVIIB−VIIB線断面図、図7Cは前記図7A、図7Bに示すスリバチ状凹部の上端部中心にレーザ溶断により貫通孔を形成した後の平面図、図7Dは前記図7CのVIID−VIID線断面図、図7Eは前記図7Dのタッピンネジ下孔にタッピンネジをねじ込む状態の拡大図である。
【図8】 図8は本発明の実施例3およびその変更例の説明図で、図8Aは本発明の実施例3の説明図、図8Bは本発明の実施例3の変更例の説明図である。
【図9】 図9は前記パンチ加工により形成されたタッピンネジ下孔の断面図である。
【図10】 図10はパンチ加工により形成されたタッピンネジ下孔およびレーザ溶断により形成されたタッピンネジ下孔の1例の説明図で、図10Aはパンチ加工により形成されたタッピンネジ下孔にタッピンネジをねじ込んだ状態の説明図、図10Bはレーザ溶断により形成されたタッピンネジ下孔にタッピンネジをねじ込んだ状態の説明図、図10Cはタッピンネジのネジ山が座屈した状態を示す図である。
【符号の説明】
2a…鋼板、3…タッピンネジ下孔、3a…タッピンネジ結合用内周面、3b…凹部、3c…凹部形成用内周面、3d…硬化層剥離開始部、3f…焼入れ硬化層、3g…スリバチ状凹部、5…タッピンネジ、
Claims (6)
- 下記の構成用件(A01)〜(A03)を備えたタッピンネジ下孔、
(A01)鋼板溶断用のレーザビームの鋼板照射位置をタッピンネジ下孔の断面形状に沿って移動させたときに前記鋼板が溶断されて形成された貫通孔により形成されたタッピンネジ下孔、
(A02)前記鋼板溶断時のレーザビームの加熱と溶断終了後の冷却により焼入れされた前記貫通孔の内周面の鋼板の表面に薄く形成された焼入れ硬化層、
(A03)前記タッピンネジ下孔にねじ込まれたタッピンネジとの接触時に前記焼入れ硬化層が容易に剥離を開始する形状を有し且つ前記貫通孔内周面に形成された硬化層剥離開始部。 - 下記の構成用件(A04)を備えた請求項1記載のタッピンネジ下孔、
(A04)貫通孔内周面に複数設けられた前記硬化層剥離開始部。 - 下記の構成用件(B01),(B02)を備えたタッピンネジ下孔、
(B01)鋼板溶断用のレーザビームの鋼板照射位置をタッピンネジ下孔の断面形状に沿って移動させたときに前記鋼板が溶断されて形成された貫通孔により形成されたタッピンネジ下孔、
(B02)タッピンネジの外径より小径の内周面を形成するタッピンネジ結合用内周面と、前記タッピンネジ結合用内周面から外側に広がる凹部を形成する凹部形成用内周面とを有し、前記タッピンネジ結合用内周面および凹部形成用内周面との接続部に角部が形成された前記貫通孔。 - 下記の構成用件(C01),(C02)を備えたタッピンネジ下孔、
(C01)鋼板溶断用のレーザビームの鋼板照射位置をタッピンネジ下孔の断面形状に沿って移動させたときに前記鋼板が溶断されて形成された貫通孔により形成されたタッピンネジ下孔、
(C02)前記貫通孔のタッピンネジ挿入側の端部に形成された前記貫通孔より大径の円錐壁により形成されたスリバチ状凹部。 - 下記の構成用件(C03)を備えた請求項4記載のタッピンネジ下孔、
(C03)ドリル加工により形成された前記スリバチ状凹部。 - 下記の構成用件(D01),(D02)を備えたタッピンネジ下孔、
(D01)鋼板溶断用のレーザビームの鋼板照射位置をタッピンネジ下孔の断面形状に沿って移動させたときに前記鋼板が溶断されて形成された貫通孔により形成されたタッピンネジ下孔、
(D02)タッピンネジの外径より小径の内周面を形成するタッピンネジ結合用内周面と、前記タッピンネジ結合用内周面から外側に広がる凹部を形成する凹部形成用内周面とを有し、前記タッピンネジ結合用内周面は周方向に離れた複数部分により構成されてタッピンネジ外周の周方向の一部分と結合するように形成された前記貫通孔。
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