JP3928255B2 - ブロー成形容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブロー成形された積層剥離プラスチック容器の底シール部分の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自己形状保持能力の高い外層に、可撓性に富んだ袋状の内層を、容易に剥離する状態で積層させて構成した、一般にデラミボトルと称されるブロー成形壜体である積層剥離プラスチック容器が知られている。
【0003】
このブロー成形された積層剥離プラスチック容器は、相溶性の殆ど無い外層パリソンと内層パリソンとを共押し出しで積層パリソンに押し出し成形し、この積層パリソンをブロー成形して得られるが、ブロー金型のピンチオフ部で押し潰し成形される底シール部分は、基本的には相溶性の殆ど無い外層部分と内層部分との積層構造となるため、外層部分に容易に底割れが発生すると云う不満があった。
【0004】
この不満を解消する従来技術として、ブロー金型のピンチオフ部により偏平に押し潰されて成形される底シール部を、一対のリブ片を重合圧着してパーティングラインに沿った突条状に成形し、この突条状物に、一対のリブ片の一方から他方に食い込む食い込み部を複数設けて構成した技術(特開平8−216238号公報参照)がある。
【0005】
この従来技術は、底シール部を高さ幅を有する突条状とすることにより、底シール部における外層と内層との圧着面積を大きくし、また複数の食い込み部を設けることにより、外層と内層との圧着面積をさらに増大させるばかりでなく、圧着面に平行する剪断力に対する抗力を飛躍的に高め、これにより底割れの発生し難い、機械的強度の高い底シール部を得ることを可能としている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来技術にあっては、容器のブロー成形完了後における底部の経時収縮の影響により、底シール部に底割れが発生する場合があり、特に大型の容器にあっては、内容液を充填した状態で落としたり、衝撃を与えたりすると、底割れがしばしば発生すると云う問題があった。
【0007】
また、複数の食い込み部を成形することにより、確かに底シール部における外層と内層との圧着面積が増大するのであるが、単に圧着面積が増大するだけであるため、底シール部の圧着強度の増強は、この圧着面積の増大分に止まり、この種の容器の大型化により、底シール部の圧着強度のさらなる増強に対する要望を満たし得ないと云う問題があった。
【0008】
さらに、底シール部の厚みを大きくして、食い込み部の大きな食い込み量を得て、圧着面積の増大と、圧着面に沿った剪断力に対する抗力を増大させることは可能であるが、底シール部の厚みにほぼ比例して、ブロー成形完了後における底部の経時収縮の影響が強く現れて、底割れを発生させ易くすることになるので、底シール部の厚みを大きくして、底シール部の圧着強度と剪断力に対する抗力とを、機械強度的に簡単に増大させる手段を採用することができないと云う問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく創案されたもので、底シール部に対する、ブロー成形完了後における底部の経時収縮の影響を抑制することを技術的課題とし、もって底シール部の圧着を強固で安定したものとすると共に、必要に応じて底シール部の圧着強度を増強させるのを可能とすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を解決する本発明の内、請求項1記載の発明の手段は、
ブロー成形された積層剥離プラスチック容器であること、
上部の外層に吸気孔を開設すること、
ブロー金型のピンチオフ部により偏平に押し潰されて成形される底部の底シール部を、一対のリブ片を重合圧着して突条状に成形すること、
同じく、底シール部を、主体部分である底リブと、底部の底壁との連結部分を形成する、底リブよりも肉薄で、かつこの肉薄程度が、ブロー成形完了後の底壁の径時収縮の影響を撓み変形で吸収できる程度である脚リブとから構成すること、
底リブに、重合した一対のリブ片の一方から他方に食い込む食い込み部を略等間隔に横列配設すること、
にある。
【0011】
一対のリブ片を重合圧着して突条状に構成された底シール部は、圧着方向に沿って外層、内層、内層、外層の順で積層した壁構造となっていて、高さ幅を有する突条構造となっていることから、大きな圧着面積を有するものとなり、これにより溶着性の低い外層と内層との間であっても大きな圧着強度を発揮することになる。
【0012】
底リブとの組合せにより底シール部を構成し、底シール部の底壁との連結部分を形成する脚リブは、底リブよりも肉薄となっているのであるが、底シール部全体が、一対のリブ片を強力に重合圧着して偏平に押し潰し成形されたものであるので、この底シール部の主体部分である底リブの肉厚は決して大きくはなく、それゆえ脚リブの肉厚は、底シール部の底壁との機械的な結合状態を安定して確保できる範囲内で、充分に小さなものとなる。
【0013】
このように、底シール部の主体部分である底リブと底壁を連結する脚リブは、その肉厚が小さく、この肉厚が小さい分、撓み変形し易いので、ブロー成形完了後の底壁の経時収縮の影響を、撓み変形で吸収して底リブに伝わるのを阻止し、これにより底リブにおける両リブ片の圧着を保持する。
【0014】
また、脚リブの肉厚が小さいことにより、この脚リブを成形するブロー金型のピンチオフ部の部分が、底リブに成形されるプラスチック材料の流動に対して堰として作用することになり、これによりブロー金型の型締め力が、底シール部の圧着に有効に作用する。
【0015】
底リブに形成された食い込み部は、一方のリブ片から他方のリブ片に食い込む構造となっているので、底リブにおける外層と内層との重合面は、この食い込み部で凹凸状となり、これにより重合面積が増大して圧着強度が高められると共に、圧着面の主体部分に平行する剪断力に対する抗力が高くなる。
【0016】
また、食い込み部は、強い押圧力による底リブの局部的な押圧変形により成形されるので、食い込み部付近の底リブ部分には強い押圧力が作用し、このため食い込み部における外層と内層とは強力に圧着されることになり、強い圧着強度を発揮する。特に、食い込み部が成形される底リブのプラスチック材料に対して、脚リブが堰として作用するので、食い込み部における外層と内層との圧着強度はきわめて高いものとなる。
【0017】
さらに、底シール部の主体部分である底リブを肉薄な脚リブを介して底壁に連結した構造となっているので、底リブの肉厚を大きくしても、この底リブに発生する経時収縮の影響が、底シール部の底割れを発生させ易くするように作用する恐れが殆どなく、これにより底リブの肉厚を大きくして、底シール部の底壁に対する機械的な補強リブ機能を高めることが可能となる。
【0018】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明に、食い込み部の食い込み方向を、交互に反転させたこと、を加えたものである。
【0019】
この請求項2記載の発明にあっては、隣り合った食い込み部の食い込み方向が反対であるので、食い込み部成形時に付近の外層と内層とが、強力に引っ張られて大きく延び変形することになるので、外層と内層との圧着面積が増大すると共に、外層と内層とがより強力に圧着されることになり、これにより底シール部全体としての圧着強度が高められる。
【0020】
また、圧着面の主体部分に対して、食い込み部が交互に反対側に位置するので、複数の食い込み部により両リブ片が圧着面の主体部分の両側で噛み合う状態となり、これにより両リブ片の結合が構造的に高められる。
【0021】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明に、底シール部が連設される底壁部分を、底シール部が位置するパーティングラインに長径を沿わせて内方に湾曲した、略楕円球弧壁状の肉厚な隆起部とし、底シール部を、隆起部の楕円球弧面に沿って湾曲したアーチ状に構成したこと、を加えたものである。
【0022】
請求項3記載の発明にあっては、肉厚な隆起部を、長径をパーティングラインに沿わせた楕円球弧壁状としたので、離型後の底壁の経時収縮の方向が、パーティングラインに直交する方向となり、これにより底壁の経時収縮の影響が、底シール部に底割れを発生させる方向に作用することが殆ど無くなる。
【0023】
また、隆起部を肉厚な楕円球弧壁状のドーム型とすると共に、底シール部を、この隆起部に沿ったアーチ構造とすることにより、経時変化による底壁の垂れ下がり、すなわち底壁の中央部分が下方に膨出気味に変形するのを防止し、底部の適正な構造を保持する。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面を参照しながら説明する。
図1は本発明による容器1の正面図、図2は側面図、図3は底面図で、容器1は、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂材料で、必要とする自己形状保持能力を持たせて成形された外層2と、ナイロン、エバール、ポリエチレンテレフタレート等の外層2に対して相溶性の低い合成樹脂材料で、撓み変形が自在な袋状に成形された内層3とを積層(図2参照)させたブロー成形容器である。
【0025】
この容器1の胴部4は円筒形状をしており、胴部4の上端に起立連設され、外周面に螺条を刻設した口筒部5の前後の外層2部分には、外気を外層2と内層3とに間に導入するための吸気孔6が開設されており、やや拡径した胴部4の下端には円形の底壁9を有する底部7が連設されている。
【0026】
底部7(図3、図4参照)は、容器1の脚部を構成する周囲の脚壁8と、この脚壁8に囲まれて容器1内に陥没している底壁9と、この底壁9と一体に連結し、パーティングライン上に位置して底壁9を横断する底シール部12とから構成されている。
【0027】
脚壁8(図4参照)は、外側の略直立した円筒状壁部分と、内側の下方に拡径したテーパー円筒状壁部分の下端間を、円弧状に連結した構造となっており、底壁9(図3、図4参照)は、脚壁8内周縁に連続する平板状の平坦部10と、この平坦部10の中央部をパーティングラインに沿って横断し、長径をパーティングラインに沿わせた略楕円球弧壁状のドーム構造をして、容器1の内方に湾曲陥没した肉厚な隆起部11とから構成されている。
【0028】
底シール部12(図3、図4、図5参照)は、その両端部を脚壁8のテーパー円筒状壁部分にまで延出させた状態で、底壁9の隆起部11の中央を横断して位置しており、容器1にブロー成形されるパリソンを前後から偏平に押し潰すことにより得られる一対のリブ片13を、そのまま重合圧着して突条状に成形されている。
【0029】
この底シール部12は、隆起部11との連結部分を構成するやや肉薄となった脚リブ17と、主体部分を構成する肉厚な底リブ14とから構成されており、底リブ14には、一方のリブ片13から他方のリブ片13に食い込む食い込み部15を形成する凹陥穴16が、リブ片13の肉厚よりも大きい深さで、その陥没方向を交互に反転させて横列形成されている。
【0030】
このように、底シール部12は、肉厚な底リブ14がやや肉薄な脚リブ17で隆起部11に連設された構造となっているので、凹陥穴16が成形される際に、凹陥穴16により押し退けられる材料が脚リブ17部分を通って隆起部11側に移動し難くなり、このため底リブ14部分の圧力が高められて、底リブ14における外層2と内層3との圧着強度が高められ、特に凹陥穴16の陥没成形方向側に位置する食い込み部15における外層2と内層3との圧着強度はきわめて高いものとなる。
【0031】
また、この底シール部12は、その全体が隆起部11の楕円球弧面に沿って湾曲したアーチ状となっており、ブロー成形完了後における経時収縮変形による、底壁9の中央部分の垂れ下がり変形の発生を確実に防止している。
【0032】
【発明の効果】
本発明は、上記した構成となっているので、以下に示す効果を奏する。底シール部を、主体部分である底リブと、底部の底壁との連結部分を形成する、底リブよりも肉薄となった脚リブとから構成され、底シール部が押し潰し成形される際に、脚リブ部分が底リブ部分に先立って押圧成形され始めるので、底リブ部分の材料が底壁側に逃げ難くなり、これにより底シール部は強大な成形圧力で成形されることになり、もって底シール部の外層と内層とは強力に圧着して、その圧着強度が充分に大きくなり、底割れの発生しない底部を確実に得ることができる。
【0033】
食い込み部は、凹陥穴の陥没成形により成形されるのであるが、凹陥穴の陥没成形時に、凹陥穴が成形される底リブ部分の材料が他の部分に移動し難く、このため食い込み部は強大な押圧力で成形されることになり、もって食い込み部は、底シール部における外層と内層の圧着面積を増大させるだけでなく、この食い込み部部分における外層と内層との圧着強度を飛躍的に高めている。
【0034】
底シール部の底壁との連設部分である脚リブが底リブよりも肉薄であるので、その分、構造的に撓み変形し易いものとなっており、このためブロー成形完了後における底壁の経時収縮の底シール部に対する影響が、この脚リブの撓み変形で吸収されて、底シール部の主体部分である底リブに伝わらず、もって底シール部の強力な圧着状態を安定して確実に維持する。
【0035】
請求項2記載の発明にあっては、隣り合った凹陥穴の陥没方向が逆となるので、両リブ片が互いに他方に食い込んで噛み合う状態となると共に、食い込み部における外層と内層との圧着力が強められ、さらに底シール部における外層と内層との圧着面積が増加することになり、もって底シール部における外層と内層との圧着強度が更に高められる。
【0036】
請求項3記載の発明にあっては、底シール部が連設される底壁部分を肉厚な隆起部としたので、ブロー成形完了後の底部の経時収縮の影響が、底シール部に底割れを発生させる方向に作用するのを少なくし、また隆起部を楕円球弧壁状に湾曲陥没した壁構造とすると共に、底シール部を、この隆起部に沿ったアーチ状構造としたので、ブロー成形完了後における経時収縮変形により、底壁の中央部分が下方に膨出気味に不正変形することがなく、もって容器の適正な成形を確実に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す、全体正面図。
【図2】図1に示した実施例の一部破断した、全体側面図。
【図3】図1に示した実施例の、全体底面図。
【図4】図1に示した実施例の、パーティングラインからわずかに外れた位置で縦断した、底部拡大縦断正面図。
【図5】図1に示した実施例の、底シール部の構造に詳細を示す、要部拡大縦断側面図。
【符号の説明】
1 ; 容器
2 ; 外層
3 ; 内層
4 ; 胴部
5 ; 口筒部
6 ; 吸気孔
7 ; 底部
8 ; 脚壁
9 ; 底壁
10; 平坦部
11; 隆起部
12; 底シール部
13; リブ片
14; 底リブ
15; 食い込み部
16; 凹陥穴
17; 脚リブ
Claims (3)
- ブロー成形された積層剥離プラスチック容器であって、上部の外層(2)に吸気孔(6)を開設し、ブロー金型のピンチオフ部により偏平に押し潰されて成形される底部(7)の底シール部(12)を、一対のリブ片(13)を重合圧着して突条状に成形すると共に、主体部分である底リブ(14)と、前記底部(7)の底壁(9)との連結部分を形成する、前記底リブ(14)よりも肉薄で、かつ該肉薄程度が、ブロー成形完了後の前記底壁(9)の径時収縮の影響を撓み変形で吸収できる程度である脚リブ(17)とから構成し、前記底リブ(14)に、前記重合した一対のリブ片(13)の一方から他方に食い込む食い込み部(15)を略等間隔に横列配設して成るブロー成形容器。
- 食い込み部(15)の食い込み方向を、交互に反転させた請求項1記載のブロー成形容器。
- 底シール部(12)が連設される底壁(9)部分を、前記底シール部(12)が位置するパーティングラインに長径を沿わせて内方に湾曲した、略楕円球弧壁状の肉厚な隆起部(11)とし、前記底シール部(12)を、前記隆起部(11)の楕円球弧面に沿って湾曲したアーチ状に構成した請求項1または2記載のブロー成形容器。
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