JP3926567B2 - 液体洗浄剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体洗浄剤組成物、特に食器用洗浄剤組成物のような界面活性剤濃度が高い液体洗浄剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
一般に家庭で用いられる衣料用洗剤、食器用洗剤、住居用洗剤等の生活用品の洗浄剤や、シャンプー、ソープ等の身体洗浄剤には、用途や製品イメージに合った様々な香調の調合香料が提案され賦香されている。これら香料は、単体ないし複数の有機化合物から構成され、その要素となる香料素材は、化学合成によるものから、植物精油のような天然由来のものがある。本発明では説明上、一般に香料成分として知られている単体の香気性化合物及び香気性の天然精油を香料成分と称し、これらを1種以上組み合わせてなる香料組成物を単に香料と称する。従って、「香料」という語には単体香料成分のみから成っているものが含まれる。なお、具体的な香料成分は「香料と調香の基礎知識」(発行日:1995年6月21日、編著者:中嶋基貴、発行者:江面竹彦、発行所:産業図書株式会社)に記載のものが挙げられる。
【0003】
香料に関する液体洗浄剤組成物の先行技術については多くのものが知られており、例えば特開平3−181599号公報や特開平5−194990号公報には特定の香料成分を配合することにより安定性を改善した洗浄剤組成物が開示されている。また特開昭61−238900号公報にはオレイン酸塩を主界面活性剤とした組成物に特定の香料成分を配合した液体洗浄剤が、特開2000−282081号公報には特定香料成分を含有した消臭性に優れた液体洗浄剤組成物が開示されている。
【0004】
一方、消費者の環境に対する意識が益々高まってきている今日、液体洗浄剤において廃棄物の低減化への努力がなされており、組成物の濃縮度を上げ、一回当たりの洗浄剤の使用量を低減し、容器をコンパクト化することで廃棄物を少量化する技術が開発されている。また、濃縮化することにより、少量で高い洗浄効果を有する洗浄剤が研究されている。特開平10−77497号公報、特開平10−77500号公報には粘度及び低温安定性を改善した濃縮台所用液体洗浄剤組成物が開示されている。また、特表平11−513067号公報には、界面活性剤濃度の高い洗浄液をゲル化させずに水に溶解させる食器用洗浄剤に関する技術が開示されている。
【0005】
しかしながら界面活性剤濃度を上げた組成物に一般の香料を配合すると、しばしば貯蔵安定性を著しく低下させ、特に組成物の分離あるいは白濁を引き起こすという問題が生じる。このため、例えばリモネン等の安定性の良好な香料成分や、リモネンを主成分とする天然のオレンジ精油等など極限られた香料成分を用いる必要があり、シトラス系の香調を有する香料に制約されるものであった。しかしながら消費者の嗜好性が多様化する現在、濃縮型液体洗浄剤にも多様の香調を有する香料を附香できることが望まれており、香料設計の自由度を広げることができる組成物が求められている。
【0006】
本発明の課題は、高い界面活性剤濃度であっても、優れた洗浄力を損なうことなく、香料を配合しても液の外観を損なわない液体洗浄剤組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、界面活性剤30〜60重量%、香料0.01〜1重量%及び水を含有する液体洗浄剤組成物であって、界面活性剤の全重量に対する分岐鎖アルキル基を1つ以上有する界面活性剤(以下分岐型界面活性剤という)の割合が15〜80重量%である液体洗浄剤組成物を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明では、分岐型界面活性剤を、界面活性剤の全重量に対して20〜80重量%、好ましくは20〜60重量%、特に好ましくは20〜50重量%含有する。上記比率で分岐型界面活性剤を配合することにより、香料による安定性への影響を抑制することができる。ここで分岐鎖アルキル基とは、3個又は4個の炭素原子が結合している炭素原子を少なくとも1つ、好ましくは1〜5つ有するアルキル基である。また、分岐鎖アルキル基の総炭素数は8〜16、更に10〜16が好ましい。
【0009】
本発明で使用する分岐型界面活性剤としては、オキソ反応やゲルベ反応で得られるアルコールや脂肪酸から誘導される界面活性剤が好ましい。オキソ反応では炭素数8〜15の1−アルケンと一酸化炭素との反応から得られるメチル分岐型1級アルコールやメチル分岐型脂肪酸を得ることができる。また、ジイソブチレン、トリイソブチレン、テトライソブチレンと一酸化炭素との反応で多メチル分岐型アルコールや多メチル分岐型脂肪酸を得ることも可能である。ゲルベ反応ではアルデヒドとアルカリによって2位にアルキル基が分岐した1級アルコールを得ることができる。また、Ni触媒などを用いてアルコールの脱水素反応及び水素化反応を併発させてゲルベ反応を行わせることも可能である。
【0010】
本発明ではこのような分岐型アルコールや分岐型脂肪酸をさらに誘導体化した界面活性剤を用いる。具体的には上記で得られた分岐型アルコールを、SO3やクロルスルホン酸等を用いて硫酸化して得られた分岐鎖アルキル硫酸エステル塩、エチレンオキシド(以下、EOと表記する)及び/又はプロピレンオキシド(以下、POと表記する)を付加させたポリオキシエチレン(及び/又はプロピレン)分岐鎖アルキルエーテルを得ることができる。また、さらにこれをSO3やクロルスルホン酸等を用いて硫酸化したポリオキシエチレン(及び/又はプロピレン)分岐鎖アルキルエーテル硫酸エステル塩を用いることもできる。
【0011】
分岐鎖脂肪酸の誘導体としては、ジメチルアミノプロピルアミンとのアミド化反応物をさらにアルキルクロリド、アルキルブロミド、ジアルキル硫酸、アルキレンオキシドなどのアルキル化剤を用いて4級化反応を行って得られる4級アンモニウム塩や上記アミド化反応物に過酸化水素などの酸化剤で酸化したアミンオキシド化合物を用いることができる。
【0012】
本発明の分岐型界面活性剤としては、下記(I)〜(IV)から選ばれる分岐鎖アルキル型界面活性剤が好ましい。
(I)全アルキル基の炭素数が8〜16、好ましくは最長の直鎖アルキル鎖の炭素数が7〜15であり且つメチル基又はエチル基が1〜5個分岐している分岐鎖アルキル基を有し、EO及び/又はPOの平均付加モル数が4〜50、好ましくは5〜20であるポリオキシエチレン及び/又はプロピレン分岐鎖アルキルエーテル
(II)全アルキル基の炭素数が8〜16、好ましくは最長の直鎖アルキル鎖の炭素数が7〜15であり且つメチル基又はエチル基が1〜5個分岐している分岐鎖アルキル基を有し、EO及び/又はPOの平均付加モル数が1.0〜6.0、より好ましくは1.6〜4.0、特に好ましくは2.0〜3.5であるポリオキシエチレン及び/又はプロピレン分岐鎖アルキルエーテル硫酸エステル塩
(III)全アルキル基の炭素数が8〜16、好ましくは最長の直鎖アルキル鎖の炭素数が7〜15であり且つメチル基又はエチル基が1〜5個分岐している分岐鎖アルキル基を有する分岐鎖アルキル硫酸エステル塩
(IV)全アルキル基の炭素数が8〜16、好ましくは最長の直鎖アルキル鎖の炭素数が7〜15であり且つメチル基又はエチル基が1〜5個分岐している分岐鎖脂肪酸を原料とした分岐型アルカノイルアミノプロピル−N,N−ジメチルアミンオキシド。
【0013】
本発明では、(II)で示される化合物のうち炭素数が8〜16の分岐鎖アルキル基を有し、EO平均付加モル数が1.0〜6.0であるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩を必須の界面活性剤として配合することが好ましい。分岐鎖アルキル基としては、1個の水酸基を有する炭素数が8〜16の分岐鎖1級アルコールより水酸基を除いた残基からなる分岐鎖アルキル基が好ましい。特には直鎖1−アルケンをヒドロホルミル化して得られたアルコールを原料にして製造されたものが安定性のみならず洗浄力の点でも好ましい。ここで、ヒドロホルミル化とは鉄、コバルトあるいはニッケル等のカルボニル錯体を触媒として用い直鎖1−アルケンに一酸化炭素を付加させてアルコールを得る方法であり、直鎖アルキル基とメチル分岐アルキル基を含有するアルコールが得られる。
【0014】
本発明の組成物は、分岐鎖アルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩を、界面活性剤の総量に対して10〜60重量%含有することが最も好ましい。
【0015】
なお、前記(II)及び/又は(III)の化合物を用いる場合、塩を形成する際の対イオンはナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩から選ばれる1種以上が望ましい。
【0016】
本発明の液体洗浄剤組成物は、上記分岐型界面活性剤に加えて直鎖アルキル基を有する界面活性剤(以下直鎖型界面活性剤という)として、炭素数8〜16のアルキル基と単糖又は平均縮合度が1〜10のオリゴ糖に由来する基を有する非イオン界面活性剤を、組成物中1〜10重量%、好ましくは1〜8重量%含有することで、組成物の安定性が更に向上する。
【0017】
オリゴ糖に由来する基を有する非イオン界面活性剤としては、下記一般式(1)の化合物が特に好ましい。
R1−(OR2)xGy (1)
〔式中、R1は直鎖の炭素数8〜16、好ましくは10〜16、特に好ましくは10〜14のアルキル基、R2は炭素数2〜4のアルキレン基、好ましくはエチレン基又はプロピレン基、特にエチレン基であり、Gは還元糖に由来する残基、xは平均値0〜6の数、yは平均値1〜10、好ましくは1〜5、特に好ましくは1〜2の数を示す。〕。
【0018】
Gは還元糖に由来する残基であり、原料の還元糖としては、アルドースとケトースの何れであっても良く、また、炭素数が3〜6個のトリオース、テトロース、ペントース、ヘキソースを挙げることができる。アルドースとして具体的にはアピオース、アラビノース、ガラクトース、グルコース、リキソース、マンノース、ガロース、アルドース、イドース、タロース、キシロースを挙げることができ、ケトースとしてはフラクトースを挙げることができる。本発明ではこれらの中でも特に炭素数5又は6のアルドペントースあるいはアルドヘキソースが好ましく中でもグルコースが最も好ましい。
【0019】
一般式(1)の化合物は上記還元糖とR1−(OR2)x−OHとを酸触媒を用いてアセタール化反応又はケタール化反応することで容易に合成することができる。また、アセタール化反応の場合、ヘミアセタール構造であっても良く、通常のアセタール構造であっても良い。
【0020】
その他の直鎖型界面活性剤としては特に、直鎖アルキル基の炭素数10〜16、好ましくは炭素数10〜14、アルキレンオキシドの平均縮合度1.5〜6.0、好ましくは1.6〜4.0、特に好ましくは2.0〜3.5のポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、下記一般式(2)で示されるアミンオキシド化合物、一般式(3)〜(4)から選ばれる非イオン界面活性剤から選ばれる1種以上を配合することが好ましい。
【0021】
【化1】
【0022】
〔式中、R3は炭素数8〜16、好ましくは10〜16、特に好ましくは10〜14の直鎖アルキル基又はアルケニル基であり、R5、R6は、それぞれ炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基である。R4は炭素数1〜5、好ましくは2又は3のアルキレン基である。Aは−COO−、−CONH−、−OCO−、−NHCO−、−O−から選ばれる基であり、rは0又は1の数である。〕。
R7−O(EO)nH (3)
〔式中、R7は平均炭素数8〜16、好ましくは10〜16の直鎖アルキル基である。EOはエチレンオキサイドであり、nは平均付加モル数として5〜20である。〕
R8−O[(EO)p/(PO)q]H (4)
〔式中、R8は平均炭素数8〜16、好ましくは10〜16の直鎖アルキル基である。EOはエチレンオキサイド、POはプロピレンオキサイドを示す。pは5〜15、qは1〜5である。EOとPOはランダム付加又はEOを付加した後、POを付加してもよく、またその逆のようなブロック付加体でもよい。〕。
【0023】
本発明では分岐型及び直鎖型の界面活性剤を混合して使用するが、優れた洗浄効果が得られる点から、分岐鎖と直鎖を合わせた全アミンオキシドを組成物中に1〜10重量%、特に3〜9重量%含有することが好ましく、全非イオン界面活性剤の含有量が組成物中1〜20重量%、特に3〜15重量%であることが好ましい。更に、液体洗浄剤組成物の適度な粘度が得られる点から、全ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩/全アミンオキシドの重量比は、好ましくは2/1〜10/1、特に好ましくは3/1〜10/1が好ましい。
【0024】
なお、本発明では上記界面活性剤以外の界面活性剤を配合することができる。上記以外の陰イオン界面活性剤としては、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩、α−オレフィンスルホン酸塩及びアルカンスルホン酸塩等が挙げられる。また、アミンオキシド以外の両性界面活性剤としては、カルボベタイン、スルホベタイン等が挙げられる。
【0025】
前記のような要件の界面活性剤を用いることで、全界面活性剤濃度が30〜60重量%、特には35〜50重量%であるような高い系であっても、香料を安定に配合することが可能となる。
【0026】
本発明の液体洗浄剤組成物では、分岐型の界面活性剤を用いることによって、通常配合が難しいと考えられている香料成分を安定に配合することができるが、より安定に配合することができる香料成分としては、LogPowが1.8〜7、好ましくは1.8〜5、特に2.0〜4.5の範囲にある香料成分が挙げられ、これらLogPowの規定を満たす香料成分を全香料中、30重量%以上、より好ましくは50重量%以上を占めることが望ましい。ここでLogPowとは、有機物質(この場合は香料成分)の水と1−オクタノールに対する親和性を示す係数であり、香料成分の分野では香料成分の性質を示す上で、よく利用されているものである。LogPowは1−オクタノール/水分配係数で、f値法(疎水性フラグメント定数法)により計算で求められた値をいう。具体的には、化合物の化学構造を、その構成要素に分解し、各フラグメントの有する疎水性フラグメント定数(f値)を積算して求められる(CLOGP3 Reference Manual Daylight Software 4.34, Albert Leo, David Weininger,Version 1, March 1994)。
【0027】
本発明において、最も優れた香料安定性を得るには、上記LogPowによる限定に加えて、更に下記一般式(A)から求められるδが19〜24、好ましくは20〜23、特に好ましくは20〜22.5範囲にある香料成分を用いることである。
δ=[(14820+99.2Tb+0.084Tb2)/V]1/2 (A)
〔Tbは沸点(°K)、Vは20℃におけるモル容積(mol/cm3である。〕。
【0028】
ここでδは溶解度パラメータに近似するものであり、香料成分の親水−親油バランスの指標となる。δの単位は(J/cm3)1/2であり、その詳細については「溶液と溶解度」〔篠田耕三著 平成3年4月30日発行 丸善(株) 78頁〜82頁〕に記載されている。
【0029】
このようなLogPow及びδの両方を満足する香料成分としては以下の化合物を挙げることができる。
アセチルイソイオゲノール(δ=22.5、LogPow=3.0)、アリルヘプタノエート(δ=20.8、LogPow=3.4)、カンフェン(δ=21.3、LogPow=4.2)、シトラール(δ=22.4、LogPow=3.1)、シトロネラール(δ=21.2、LogPow=3.3)、シトロネロール(δ=21.6、LogPow=3.3)、シトロネリルアセテート(δ=19.6、LogPow=4.2)、シクラメンアルデヒド(δ=21.6、LogPow=3.5)、リモネン(δ=21.8、LogPow=4.4)、ゲラニオール(δ=22.4、LogPow=2.8)、ゲラリルアセテート(δ=20.4、LogPow=3.7)、ゲラニルニトリル(δ=22.1、LogPow=3.9)、ヘキシルシンナミックアルデヒド(δ=21.0、LogPow=4.9)、α−ヨノン(δ=20.6、LogPow=3.7)、β―ヨノン(δ=20.8、LogPow=3.8)、1−メントール(δ=21.7、LogPow=3.2)、α−ピネン(δ=21.4、LogPow=4.2)、β−ピネン(δ=21.8、LogPow=4.2)、ターピネオール(δ=22.6、LogPow=2.6)、ターピノレン(δ=22.1、LogPow=4.4)、リナロール(δ=21.4、LogPow=2.5)、フェノキシエタノール(δ=26.7、LogPow=1.8)。
【0030】
これらの中でも特に組成物の外観を改善する目的でリモネン、リナロール、ゲラニルニトリル、ターピノレン、シトラール、ゲラニオール、フェノキシエタノールが好ましい。
【0031】
本発明では液体洗浄剤組成物の外観を改善する上でLogPowが1.8未満の香料成分の量を組成物中に0.5重量%未満にすることが好ましい。
【0032】
また、上記以外にも、イソアミルアセテート、シトロネリルニトリル、メチルベンゾエート、オイゲノール、ベンジルアルコール、cis−3−ヘキセノール、ジエチルマロネート、フェニルエチルアルコール、メチルヘプテノン、リナロールオキサイド、ジハイドロインデニル−2,4−ジオキシラン、クマリン、ヘキシルホルメート、ベンジルアセテート、アニスアルコール等の香料成分を用いることができる。
【0033】
本発明の液体洗浄剤組成物中の香料の含有量は0.01〜1重量%、好ましくは0.05〜0.5重量%である。
【0034】
本発明の液体洗浄剤組成物の残部は水であり、水の配合量は好ましくは30〜60重量%、特に好ましくは40〜60重量%が安定性の点から好ましい。また、該組成物の20℃におけるpHを6〜8、更に6.5〜7.5にすることが貯蔵安定性や皮膚への安全性の点から好ましい。pH調整剤としては塩酸や硫酸など無機酸や、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、マロン酸、マレイン酸などの有機酸などの酸剤や、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、アンモニアやその誘導体、モノエタノールアミンやジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン塩など、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ剤を、単独もしくは複合して用いることが好ましく、特に塩酸、硫酸、クエン酸から選ばれる酸と水酸化ナトリウムや水酸化カリウムから選ばれるアルカリ剤を用いることが好ましい。
【0035】
さらに本発明の液体洗浄剤組成物は、20℃における粘度が好ましくは300〜1000mPa・s、より好ましくは400〜900mPa・s、特に好ましくは400〜800mPa・sである。
【0036】
なお本発明でいう粘度は以下のようにして測定する。まずTOKIMEC.INC製B型粘度計モデルBMに、ローター番号No.3のローターを備え付けたものを準備する。試料をトールビーカーに充填し20℃の恒温槽内にて20℃に調製する。恒温に調製された試料を粘度計にセットする。ローターの回転数を30r/mに設定し、回転を始めてから60秒後の粘度を本発明の粘度とする。
【0037】
本発明では上記粘度を満足する目的、あるいは組成物の外観を改善する目的及び上記組成物の貯蔵安定性を向上させる目的でハイドロトロープ剤を含有することが好ましい。ハイドロトロープ剤としてはトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、クメンスルホン酸及びこれらのナトリウム、カリウムあるいはマグネシウム塩が良好であり、特にp−トルエンスルホン酸が良好である。
【0038】
本発明の組成物は、ハイドロトロープ剤を好ましくは0.5〜5重量%、特に好ましくは1〜5重量%含有する。
【0039】
本発明では上記粘度を満足する目的、あるいは組成物の外観を改善する目的及び上記組成物の貯蔵安定性を向上させる目的で水溶性有機溶媒を配合することが好ましい。水溶性有機溶媒としては(A)炭素数1〜5の1価アルコール、(B)炭素数4〜12の多価アルコール、(C)下記の一般式(5)で表される化合物、(D)下記の一般式(6)で表される化合物、(E)下記の一般式(7)で表される化合物が挙げられる。
【0040】
【化2】
【0041】
〔式中、R9及びR10は、それぞれ水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基又はベンジル基を示すが、R9及びR10の双方が水素原子となる場合を除く。sは0〜10の数を、tは0〜10の数を示すが、s及びtの双方が0である場合を除く。R11及びR12は、それぞれ炭素数1〜3のアルキル基を示す。R13は炭素数1〜8のアルキル基を示す。〕。
【0042】
(A)の炭素数2〜5の1価アルコールとしては、一般的にエタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコールが挙げられる。これらの低級アルコールを配合することにより低温における系の安定性を更に向上させることができる。
【0043】
(B)の炭素数4〜12の多価アルコールとしては、イソプレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等が挙げられる。
【0044】
(C)の化合物は、一般式(5)において、R9、R10がアルキル基である場合の炭素数は1〜4が特に好ましい。また、一般式(5)中、EO及びPOの平均付加モル数のs及びtは、それぞれ0〜10の数のものが用いられるが、これらの付加順序は特に限定されず、ランダム付加したものであってもよい。(C)の化合物の具体例としては、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ポリオキシエチレン(p=2〜3)ポリオキシプロピレン(p=2〜3)グリコールジメチルエーテル(pは平均付加モル数を示す)、ポリオキシエチレン(p=3)グリコールフェニルエーテル、フェニルカルビトール、フェニルセロソルブ、ベンジルカルビトール等が挙げられる。このうち、洗浄力及び使用感の点から、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ポリオキシエチレン(p=1〜4)グリコールフェニルエーテルが好ましい。
【0045】
また、(D)の化合物としては、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノンが好適なものとして例示され、(E)の化合物としてはアルキルグリセリルエーテル化合物が好適なものとして例示され、中でもR13が炭素数3〜8のアルキル基のものが好ましい。
【0046】
これらのなかでも本発明の性質を満たすために(A)、(B)、(C)、(E)の水溶性有機溶媒が好ましく、特にエタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、イソプレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ペンチルグリセリルエーテル、オクチルグリセリルエーテルから選ばれる水溶性有機溶媒が好ましい。
【0047】
本発明の組成物は、このような水溶性有機溶媒を1〜10重量%、更に2〜8重量%含有することが良好である。
【0048】
本発明では、ゲル化防止剤を配合することが貯蔵安定性及び上記粘度挙動を満足させる目的から好ましい。配合されるゲル化防止としてはポリアルキレングリコールが好ましく、配合量は、十分な粘度特性を得る上で、0〜1.0重量%が好ましく、より好ましくは0〜0.5重量%である。ゲル化防止としてのポリアルキレングリコールの具体例としては、ポリエチングリコールを標準としたときのゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって求められた重量平均分子量が500〜20000のポリプロピレングリコール及びポリエチレングリコールが挙げられる。
【0049】
本発明の液体洗浄剤組成物には、その他、着色剤、分散剤、研磨剤及び防菌・防カビ剤等の一般に液体洗浄剤に配合されている成分を、粘度及び安定性に影響しない範囲で配合することができる。
【0050】
【実施例】
表1に示す成分及び表2に示す香料を用いて液体洗浄剤組成物を調製した。それら組成物を広口規格ビン(PS No11)に100ml入れ、−5℃の恒温槽に24時間入れた後、20℃の恒温槽に2時間入れた。液の外観を下記の基準で評価した。
外観に全く変化がみられない……◎
外観がややゲル化、分離、沈殿形成などの変化がみられる…○
ゲル化、分離、沈殿形成などの外観の変化がみられる……×
【0051】
【表1】
【0052】
(注)表1中の記号は以下の意味である。
・ES−I:イソトリデカノールにEOを平均2モル付加させた化合物から得たポリオキシアルキレン分岐鎖アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム
・ES−II:オキソ法ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム〔原料アルコールは1−デセン及び1−ドデセン50/50(重量比)を原料にヒドロホルミル化して得られたアルコールである。このアルコールにEO平均2モル付加させた後、三酸化イオウにより硫酸化し、水酸化ナトリウムで中和した。全ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム中の全ポリオキシエチレン分岐鎖アルキルエーテル硫酸ナトリウムの割合は42重量%であった。〕
・ノニオン−I:イソトリデカノールにEOを平均7モル付加させた非イオン界面活性剤
・アミンオキシド−I:N−イソノナノイルアミノプロピル−N,N−ジメチルアミンオキシド
・ES−III:ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸エステルナトリウム(EO平均付加モル数2)
・ノニオン−II:アルキル基の組成が炭素数12/炭素数14=60/40の直鎖混合アルキルであり、グルコシド平均縮合度1のアルキルグルコシド
・ノニオン−III:ポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO平均付加モル数7)
・アミンオキシド−II:ラウリルジメチルアミンオキシド
・p−TS:p−トルエンスルホン酸ナトリウム
・防腐剤:プロキセルBDN(アビシア株式会社製)
・pH:1/10規定−硫酸水溶液又は1/10規定−水酸化ナトリウム水溶液を用いて調整した。
【0053】
【表2】
Claims (5)
- 界面活性剤30〜60重量%、香料0.01〜1重量%、プロピレングリコール2〜8重量%及び水を含有する液体洗浄剤組成物であって、界面活性剤の全重量に対する分岐鎖アルキル基を1つ以上有する界面活性剤の割合が15〜80重量%であり、界面活性剤の全重量に対する分岐鎖アルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩の割合が28〜60重量%であり、全ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩/全アミンオキシドの重量比が2/1〜10/1であり、且つ分岐鎖と直鎖を合わせた全アミンオキシドを組成物中に1〜10重量%含有する、食器用液体洗浄剤組成物。
- 分岐鎖アルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩として、炭素数が8〜16の分岐鎖アルキル基を有し、エチレンオキシド平均付加モル数が1.0〜6.0であるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩を含有する請求項1記載の食器用液体洗浄剤組成物。
- 界面活性剤として、炭素数が8〜16のアルキル基と単糖又は平均縮合度が1〜10のオリゴ糖に由来する基とを有する非イオン界面活性剤を1〜10重量%含有する請求項1又は2記載の食器用液体洗浄剤組成物。
- LogPowが1.8〜7の範囲にある香料成分が全香料中、30重量%以上を占める請求項1〜3の何れか1項記載の食器用液体洗浄剤組成物。
- 全非イオン界面活性剤の含有量が組成物中1〜20重量%である請求項1〜4の何れか1項記載の液体洗浄剤組成物。
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