JP4252293B2 - 食器用抗菌液体洗浄剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、抗菌液体洗浄剤に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
一般に洗浄剤は洗浄力の点から陰イオン界面活性剤が用いられており、特に食器洗い用の洗浄剤は省資源の観点から、陰イオン界面活性剤濃度を高めた濃縮タイプの組成物が提案されている。また、近年、衛生に対する意識が高まっており、洗浄剤分野においても抗菌剤等を配合し、洗浄対象物の細菌を除去したり菌の繁殖を抑制するなどの研究が行われており、殺菌剤として亜鉛が有効であることが開示されている(例えば特許文献1参照)。その他、亜鉛を含む抗菌剤として、特許文献としてはポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩型陰イオン界面活性剤とピリチオン亜鉛を含有する殺菌性化合物含有組成物(例えば特許文献2参照)、亜鉛を多価カルボン酸化合物との塩として用いる抗菌消臭洗浄性ワックス(例えば特許文献3参照)、又は陰イオン界面活性剤が多い洗浄剤において亜鉛塩及びクエン酸を含有する硬質表面用の抗菌性洗浄剤組成物(例えば特許文献4参照)等を挙げることが出来る。
【0003】
また、殺菌剤以外の目的で亜鉛化合物を用いる技術が特許文献に開示されている。例えば、アニオン性界面活性剤と亜鉛化合物を含有する液体洗浄剤がすすぎ性、洗浄力にも優れることが示されている(例えば特許文献5参照)。また、界面活性剤、金属封鎖剤及び亜鉛化合物を含有する液体洗浄剤が低温安定性に優れることが示されている(例えば特許文献6参照)。さらに、銀の腐食を抑制する目的から亜鉛化合物が用いられている(例えば特許文献7参照)。
【0004】
一方、本発明者らは既に、フェノキシエタノールを殺菌剤とする液体洗浄組成物を開示している(特許文献8参照)。又、フェノキシエタノールを抗菌剤とする住居用の洗浄組成物や(例えば特許文献9参照)、安息香酸を含有する防腐効力に優れる液体洗剤(例えば特許文献10参照)が特許文献に開示されている。さらに、低温安定性や色相安定性の向上を目的に安息香酸やパラヒドロキシ安息香酸エステル類を含有する台所用濃縮液体洗浄剤組成物が開示されている(例えば特許文献11参照)。
【0005】
上記のように亜鉛化合物を抗菌剤や洗浄強化剤あるいは安定化剤として用いる技術、および安息香酸やパラヒドロキシ安息香酸類、フェノキシエタノールを抗菌剤や安定化剤として用いる技術は公知であるが、食器洗い用洗浄剤のように陰イオン界面活性剤の濃度を高めた濃縮タイプの液体洗浄剤組成物に亜鉛化合物や安息香酸等を抗菌剤として応用した場合、食中毒防止等の衛生上の観点から、菌が増殖する前に抑制すること、つまり、速効性であることが望まれる。しかし、代謝系に作用して抗菌効果を発揮すると考えられる亜鉛化合物や、通常防腐剤として用いられる安息香酸やフェノキシエタノール等は、接触時間が短いと十分な抗菌効果が得られないという問題があった。そこで、抗菌効果を改善する目的から亜鉛化合物や安息香酸等の含有量を増加させることが考えられるが、含有量を増加させると低温や高温での貯蔵時に沈澱などの異物が形成し商品としての価値を著しく損なうことが判った。この課題については、低分子ポリカルボン酸である程度改善することができることが見出されているが、それでも多量の配合は安定性への影響を完全に解決するものではない。つまり、陰イオン活性剤を含有する液体活性剤において、商品価値を損なわない少量の亜鉛や安息香酸等を単独で添加し、しかも菌の増殖が始まるまでの数時間接触だけで十分な抗菌効果を得ることは困難である。
【0006】
従って本発明の課題は、陰イオン界面活性剤、及び貯蔵安定性への影響を抑制できる程度の少量の亜鉛化合物や安息香酸、パラヒドロキシ安息香酸エステル等を含有する液体洗浄剤において、短い接触時間で抗菌効果を得ることができ、優れた抗菌作用を対象物に付与する抗菌液体洗浄剤を提供することにある。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−181154号公報
【特許文献2】
特開2001−311092号公報
【特許文献3】
特開2000−198950号公報
【特許文献4】
国際公開WO00/71653号パンフレット
【特許文献5】
特開2001−172696号公報
【特許文献6】
特開2001−172697号公報
【特許文献7】
米国特許第4992212号明細書
【特許文献8】
特開2002−226895号公報
【特許文献9】
特開平7−197090公報
【特許文献10】
特開平10−219282公報
【特許文献11】
特開平11−50090公報
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(a)陰イオン界面活性剤〔以下、(a)成分という〕5〜50質量%、(b)亜鉛〔以下、(b)成分という〕0.001〜0.1質量%、及び(c)安息香酸ナトリウム、パラヒドロキシ安息香酸エステル類、フェノキシエタノールから選ばれる化合物〔以下、(c)成分という〕を少なくとも1種含有する、抗菌液体洗浄剤に関する。
【0009】
なお、本発明による抗菌とは、滅菌(目的とする対象物からすべての微生物を殺滅または除去すること)、殺菌(微生物を殺すこと)、消毒(人畜に対して病原性のある特定の微生物を死滅させ、感染を防止すること)、除菌(目的とする対象物から微生物を除去すること)、静菌(微生物の繁殖を阻害あるいは阻止すること)のすべての意味が含まれる。
【0010】
【発明の実施の形態】
<(a)成分>
本発明の(a)成分は陰イオン界面活性剤であり、分子中に炭素数10〜18、好ましくは10〜16、特に好ましくは10〜15のアルキル基又はアルケニル基と、−SO3M基及び/又は−OSO3M基〔M:対イオン〕を有する陰イオン界面活性剤が好ましい。具体的には上記炭素数のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸、上記炭素数のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル(又はアルケニル)硫酸エステル、上記炭素数のアルキル基又はアルケニル基を有し、アルキレンオキシド平均付加モル数1〜6のポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテル硫酸エステル、オレフィンスルホン酸、アルカンスルホン酸、α−スルホ脂肪酸、α−スルホ脂肪酸エステル及びこれらの塩が好ましい。
【0011】
本発明ではこれらの中でも特に炭素数10〜16のアルキル基又はアルケニル基を有し、エチレンオキシド(以下、EOと表記する)平均付加モル数が1〜6、好ましくは1〜4、特に好ましくは1〜3であるポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテル硫酸エステルおよびこれらの塩から選ばれる一種以上を配合することが好ましい。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩が貯蔵安定性の点から良好である。
【0012】
さらに、本発明ではポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテル硫酸エステルおよびこれらの塩を用いる場合には、洗浄効果及び貯蔵安定性の点から、好ましくはアルキル基が分岐鎖1級アルキル基であるアルコール、最も好ましくは、直鎖1−アルケンをヒドロホルミル化して得られた分岐鎖アルコールを原料にして製造されたポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩である。ここで、ヒドロホルミル化とは鉄、コバルトあるいはニッケル等のカルボニル錯体を触媒として用い直鎖1−アルケンに一酸化炭素を付加させてアルコールを得る方法であり、直鎖アルキル基とメチル分岐アルキル基を含有するアルコールが得られる。本発明ではこのようなアルコールにEOを付加させる。平均付加モル数は、好ましくは1.5〜6.0、より好ましくは1.6〜4.0、最も好ましくは1.8〜3.0が洗浄性能及び貯蔵安定性の点から好ましい。このようにして得られたアルキレンオキシド付加物をさらに三酸化イオウあるいはクロルスルホン酸でスルホン化し、アルカリ剤で中和してポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩を得ることができる。アルカリ剤としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンが好ましく、さらに好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウムである。このようにして得られたポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩はポリオキシエチレン分岐鎖アルキルエーテル硫酸エステル塩を含むものであり、全ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩中に存在するポリオキシエチレン分岐鎖アルキルエーテルの質量比は20〜70質量%、更に20〜60質量%が好ましい。
【0013】
<(b)成分>
本発明の(b)成分の亜鉛は、亜鉛イオンが好ましい。また、亜鉛は、洗浄剤中に溶解したときに解離した亜鉛イオンを生成する化合物として配合されることが好ましく、20℃の水100gにおける溶解度が5g以上、更には10g以上の亜鉛塩として配合することがより好ましい。このような化合物として具体的には、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、グルコン酸亜鉛、臭化亜鉛、硝酸亜鉛、塩化亜鉛アンモニウム、酢酸亜鉛、硫酸亜鉛アンモニウム、硫酸亜鉛アルミニウム、硫酸亜鉛カリウム、ヨウ化亜鉛を挙げることができる。(b)成分の亜鉛は、本発明の抗菌液体洗浄剤の安定性を損なわない限り、(a)成分である陰イオン界面活性剤の対イオンや、後述するクエン酸、フタル酸、コハク酸などの有機ポリカルボン酸の塩であってもよい。本発明では特に(b)成分源は、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、グルコン酸亜鉛が抗菌効果の点から好ましい。なお、亜鉛は、解離した亜鉛イオンと解離平衡にある全ての亜鉛を含むものとする。
【0014】
<(c)成分>
本発明の(c)成分は、安息香酸ナトリウム、パラヒドロキシ安息香酸類、フェノキシエタノールから選ばれる少なくとも1種の化合物である。安息香酸ナトリウムは、より抗菌効果の高い非解離型の安息香酸を用いてもよい。また、パラヒドロキシ安息香酸エステル類は、具体的にはパラヒドロキシ安息香酸メチル、パラヒドロキシ安息香酸エチル、パラヒドロキシ安息香酸プロピル、パラヒドロキシ安息香酸ブチル、パラヒドロキシ安息香酸イソプロピル、パラヒドロキシ安息香酸イソブチルを挙げることができる。
【0015】
<抗菌液体洗浄剤>
本発明の抗菌液体洗浄剤は、(a)成分を洗浄効果の点から5質量%以上含有するが、多量に含有する場合、低温貯蔵安定性が低下するため、5〜50質量%、好ましくは6〜40質量%、特に好ましくは7〜30質量%含有する。
【0016】
また、本発明の抗菌液体洗浄剤は、(b)成分を、少量でも満足できる抗菌効果を得ることが出来るため、亜鉛として0.001質量%以上含有する。低温保存時の貯蔵安定性や経済性の点で、亜鉛として0.001〜0.5質量%、好ましくは0.001〜0.2質量%、特に好ましくは0.005〜0.1質量%含有する。
【0017】
(c)成分は、(b)成分の抗菌効果の速効性を高めるため配合する。(b)成分は、陰イオン界面活性剤中でも不活化されずに高い抗菌効果を発揮するが、代謝系に作用して効果を発揮すると考えられているため、効果が出るまでに16〜24時間かかる。また、(c)成分も一般的には防腐剤として用いられるものであり、効果を発揮するまでに24時間以上を要し、かつ活性剤中ではほとんどがミセルに取り込まれるため高い抗菌効果は得られない。一方、本発明者の研究によれば、(b)成分と(c)成分の相乗効果により、併用すると3〜4時間という短時間で抗菌効果を大幅に向上させることが判った。本発明の抗菌液体洗浄剤は、(c)成分を、保存時の貯蔵安定性や経済性の点で、0.01〜3質量%、更に0.05〜2質量%、特に0.1〜1質量%含有することが好ましい。
【0018】
本発明では上記(a)成分〜(c)成分を水に溶解させた水溶液の形態であり水は残部である、好ましい水の含有量は貯蔵安定性の点から好ましくは20〜80質量%、特に好ましくは40〜60質量%である。また、本発明では抗菌液体洗浄剤の20℃におけるpHを4〜8、好ましくは5.5〜8にすることが貯蔵安定性や皮膚への安全性の点から好ましい。
【0019】
本発明の抗菌液体洗浄剤のpHを、上記内の範囲に安定的に入れるために緩衝作用を有する化合物を用いることが好適である。緩衝作用を有する化合物としては、化学便覧基礎編改訂3版、丸善株式会社、II−355、表10・33に記載の化合物を挙げることができる。具体的に好ましい化合物としては、クエン酸、フタル酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、酢酸及びこれらのカリウム塩、又はナトリウム塩、塩化アンモニア、燐酸水素ナトリウム、燐酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、四硼酸ナトリウムから選ばれる化合物を単独又は複数組合わせて用い、上記好ましい緩衝作用を有するように調製することが好適である。本発明では特にクエン酸、コハク酸、酒石酸、乳酸及びこれらのカリウム塩、又はナトリウム塩がより好ましく、特にクエン酸、コハク酸及びこれらのカリウム塩、又はナトリウム塩が最も好適である。これら低分子ポリカルボン酸は亜鉛による貯蔵安定性を改善することができる。しかしながら、多く用いると抗菌効果を低下させる場合があるため、本発明の抗菌液体洗浄剤中に0.01〜0.7質量%、好ましくは0.1〜0.5質量%の範囲内で用いることが好ましい。
【0020】
pH調整剤としては塩酸や硫酸など酸剤や、、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、アンモニアやその誘導体、モノエタノールアミンやジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン塩など、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ剤を、単独もしくは複合して用いることが好ましく、特に塩酸、硫酸から選ばれる酸と水酸化ナトリウムや水酸化カリウムから選ばれるアルカリ剤を用いることが好ましい。
【0021】
<その他の成分>
本発明では(a)成分以外の界面活性剤を含有することができ、特に炭素数8〜16の炭化水素基を1つと炭素数1〜3の炭化水素基を2個有するアミンオキシド型界面活性剤〔以下、(d)成分という〕は抗菌作用を高める効果を有するため、(a)成分と併用することが好ましい。具体的に好ましい(d)成分としては下記一般式(1)の化合物を挙げることができる。
【0022】
【化1】
【0023】
〔式中、R1は炭素数8〜16、好ましくは10〜16、特に好ましくは10〜14の直鎖アルキル基又はアルケニル基であり、R3、R4は炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基である。R2は炭素数1〜5、好ましくは2又は3のアルキレン基である。Aは−COO−、−CONH−、−OCO−、−NHCO−、−O−から選ばれる基であり、aは0又は1である。〕。
【0024】
一般式(1)の化合物においてR1は単独のアルキル基であってもよいが、やし油又はパーム核油に由来するアルキル組成を有するものが好ましい。具体的には、aが1でありAが−COO−又は−CONH−の場合には、R1はC9、C11、及びC13の混合アルキル基が好ましく、C9/C11/C13のモル比は1〜30/40〜98/1〜30、更に1〜20/65〜98/1〜15が好ましい。また、aが0の場合、又はaが1でありAが−OCO−、−NHCO−、−O−の場合には、R1の炭素数はC10、C12、及びC14の混合アルキル基が好ましく、C10/C12/C14のモル比は1〜30/40〜98/1〜30、更に1〜20/65〜98/1〜15が好ましい。
【0025】
本発明の抗菌液体洗浄剤は、抗菌効果を向上させる目的から(d)成分を好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜8質量%、特に好ましくは3〜7質量%含有する。また、(d)成分/(a)成分のモル比は、好ましくは0.2〜2、より好ましくは0.2〜1.5、特に好ましくは0.3〜1.2である。
【0026】
本発明では洗浄効果を向上させる目的から(a)成分及び(d)成分以外の界面活性剤〔以下、(e)成分という〕を用いることができ、具体的には(d)成分以外の両性界面活性剤(以下(e−1)成分という)及び非イオン界面活性剤(以下(e−2)成分という)を挙げることができる。
【0027】
(e−1)成分としては下記一般式(2)の化合物が好適である。
【0028】
【化2】
【0029】
〔式中、R5は炭素数9〜23、好ましくは9〜17、特に好ましくは10〜16のアルキル基又はアルケニル基であり、R6は炭素数1〜6、好ましくは1〜4、特に好ましくは2又は3のアルキレン基である。Bは−COO−、−CONH−、−OCO−、−NHCO−、−O−から選ばれる基であり、bは0又は1、好ましくは0である。R7、R8は、炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基、好ましくはメチル基、エチル基又はヒドロキシエチル基であり、R9はヒドロキシ基で置換していてもよい炭素数1〜5、好ましくは1〜3のアルキレン基である。Dは−COO-、−SO3 -、−OSO3 -から選ばれる基であり、特に−SO3 -が目的の粘度に調整するために良好である。〕。
【0030】
一般式(2)においてR5は単独のアルキル基であってもよいが、やし油又はパーム核油に由来するアルキル組成を有するものが好ましい。具体的には、bが1でありBが−COO−又は−CONH−の場合には、R5の炭素数はC9、C11、及びC13の混合アルキル基が好ましく、C9/C11/C13のモル比は1〜30/40〜98/1〜30、更に1〜20/65〜98/1〜15が好ましい。また、bが0、又はbが1であり、Bが−OCO−、−NHCO−、−O−の場合にはR5の炭素数はC10、C12、及びC14の混合アルキル基が好ましく、C10/C12/C14のモル比は1〜30/40〜98/1〜30、更に1〜20/65〜98/1〜15が好ましい。
【0031】
本発明の抗菌液体洗浄剤は、(e−1)成分を洗浄効果の点から、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは1.5〜7質量%、特に好ましくは2〜5質量%含有する。
【0032】
(e−2)成分としては下記一般式(3)の化合物、一般式(4)の化合物及び/又は一般式(5)の化合物が洗浄効果の点から好ましい。
【0033】
R10−O−(R11O)c−H (3)
〔式中、R10は、炭素数8〜18、好ましくは10〜16のアルキル基又はアルケニル基であり、R11は炭素数2又は3のアルキレン基であり、好ましくはエチレン基である。cは3〜20、好ましくは4〜15、特に好ましくは5〜10の数を示す。〕
【0034】
【化3】
【0035】
〔式中、R12−COは炭素数8〜20、好ましくは10〜16の飽和又は不飽和のアシル基であり、R13はメチル基、エチル基又は−(C2H4O)m−Hである。また、R14は−(C2H4O)n−Hである。m、nはそれぞれ0〜5の数であり、m+nは1〜6である。〕
R15−(OR16)dGe (5)
〔式中、R15は直鎖の炭素数8〜16、好ましくは10〜16、特に好ましくは10〜14のアルキル基、R16は炭素数2〜4のアルキレン基、好ましくはエチレン基又はプロピレン基、特にエチレン基であり、Gは還元糖に由来する残基、dは平均値0〜6の数、eは平均値1〜10、好ましくは1〜5、特に好ましくは1〜2の数を示す。〕。
【0036】
一般式(3)の化合物において特に好ましい化合物は下記一般式(3−1)の化合物又は一般式(3−2)の化合物を挙げることができる。
【0037】
R17−O(EO)f−H (3−1)
〔式中、R17は平均炭素数10〜18、好ましくは10〜16の一級の直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基又は二級のアルキル基である。EOはエチレンオキサイドであり、fは平均付加モル数として3〜20である。〕
R18−O[(EO)g/(PO)h]−H (3−2)
〔式中、R18は平均炭素数10〜18、好ましくは10〜16の一級のアルキル基である。EOはエチレンオキサイド、POはプロピレンオキサイドを示す。gは3〜15、hは1〜5である。EOとPOはランダム付加又はEOを付加した後、POを付加してもよく、またその逆のようなブロック付加体でもよい。〕。
【0038】
一般式(4)の化合物においてR13はメチル基、エチル基又は−(C2H4O)m−Hであり、洗浄効果の持続性の点から好ましくはメチル基又は水素原子(m=0)である。また、R14は−(C2H4O)n−Hであり、nは洗浄効果の持続性の点から好ましくは1〜5、特に好ましくは1〜3の数である。
【0039】
一般式(4)の化合物の好ましい具体的例としては一般式(4−1)及び一般式(4−2)を挙げることができる。
【0040】
【化4】
【0041】
一般式(5)の化合物において、Gは還元糖に由来する残基であり、原料の還元糖としては、アルドースとケトースの何れであっても良く、また、炭素数が3〜6個のトリオース、テトロース、ペントース、ヘキソースを挙げることができる。アルドースとして具体的にはアピオース、アラビノース、ガラクトース、グルコース、リキソース、マンノース、ガロース、アルドース、イドース、タロース、キシロースを挙げることができ、ケトースとしてはフラクトースを挙げることができる。本発明ではこれらの中でも特に炭素数5又は6のアルドペントースあるいはアルドヘキソースが好ましく中でもグルコースが最も好ましい。
【0042】
一般式(5)の化合物は上記還元糖と R15−(OR16)d−OHとを酸触媒を用いてアセタール化反応又はケタール化反応することで容易に合成することができる。また、アセタール化反応の場合、ヘミアセタール構造であっても良く、通常のアセタール構造であっても良い。
【0043】
本発明では特に一般式(5)の化合物が洗浄効果の点から好ましく、抗菌液体洗浄剤中に好ましくは1〜10質量%、より好ましくは1.5〜7質量%、特に好ましくは2〜5質量%である。また、一般式(3)の化合物、一般式(4)の化合物及び一般式(5)の化合物を併用することも洗浄効果の点から好ましく、一般式(3)の化合物、一般式(4)の化合物及び一般式(5)の化合物の合計は、抗菌液体洗浄剤中、好ましくは2.5〜21質量%、より好ましくは3.5〜17質量%、特に好ましくは5〜15質量%である。
【0044】
本発明では貯蔵安定性及びゲル化防止の点からハイドロトロープ剤及び/又はゲル化防止剤〔以下、(f)成分という〕を含有することができる。
【0045】
ハイドロトロープ剤としては炭素数1〜3のアルキル基が1〜3個置換したベンゼンスルホン酸又はその塩が好ましく、より具体的好ましい化合物としてはトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、クメンスルホン酸及びこれらのナトリウム、カリウムあるいはマグネシウム塩が良好であり、特にp−トルエンスルホン酸が良好である。好ましい含有量は1.5〜6質量%、より好ましくは1.5〜5質量%、特に好ましくは2〜4質量%である。
【0046】
ゲル化防止剤としては、例えば特表平11−513067号公報に記載されているゲル化防止重合体、とりわけポリアルキレングリコールを配合することができる。しかしながら洗浄効果を低下させる場合があるため、控えることが好ましい。ポリアルキレングリコールの許される濃度は、2.0質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下、最も好ましくは0.4質量%以下であるが、理想的には配合しないで抗菌液体洗浄剤を設計することが好ましい。ゲル化防止としてのポリアルキレングリコールの具体例としては、ポリエチングリコールを標準としたときのゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって求められた重量平均分子量が200〜3000のポリプロピレングリコール、及びポリエチレングリコールが挙げられる。
【0047】
また本発明では粘度調整のためにエチレングリコール、プロピレングルコールなどのアルキレングルコール類やエタノール、プロパノールなどの低級アルコールを含有することが好ましい。
【0048】
その他の成分としては、通常に液体洗浄剤に配合されている成分を配合することができる。例えば、香料成分、(c)成分以外の防腐剤、濁り剤、着色剤、保湿剤が挙げられる。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、短い接触時間で抗菌効果を得ることができ、優れた抗菌作用を対象物に付与する抗菌液体洗浄剤が得られる。
【0050】
【実施例】
表1に示す成分を用いて抗菌液体洗浄剤を調製する。これら抗菌液体洗浄剤の抗菌効果及び低温安定性を下記の方法で評価する。結果を表1に示す。なお、実施例2〜4は、本発明の範囲外であるが参考のため便宜的に実施例の欄に示したものである。
【0051】
<抗菌効果の評価>
寒天平板培地上37±1℃で16〜24時間培養した黄色ブドウ球菌を用いて、0.3%ニュートリエント培地、3°DH硬水中で、菌濃度が3.5×107〜3.5×108cfu/mlになるように調製した。
【0052】
次に容量110mlのねじ口瓶に入っている直径2.4cm、高さ3cmの円柱状に加工した食器用スポンジに、0.5mlの上記菌液を接種させ滅菌ガラス棒で均一に揉み込んだ。瓶を密閉後25℃、1時間馴染ませ、表1の抗菌液体洗浄剤を0.5mlスポンジに接種した。次に新しい滅菌ガラス棒で均一に揉み込み、再び密閉し25℃で4時間放置した。
【0053】
放置後ねじ口瓶に20mlの中和剤を添加し、スポンジを滅菌ガラス棒で均一に揉み込んだ。この液を用いて希釈系列を作成し、平板塗沫法によりコロニー数を測定した。
【0054】
尚、抗菌効果は、初発菌数の対数値から上記試験後の菌数の対数値を引くことにより得られる数値を用いて下記の基準で判断した。
除菌活性値5以上……○
除菌活性値2以上5未満……△
除菌活性値2未満……×
<低温安定性の評価>
表1の抗菌液体洗浄剤を、広口規格ビン(PS No.11)に100ml入れ、−5℃で20日保存後の液の外観の変化を調製直後と比較して、下記の基準で評価した。
外観に変化が見られない……○
ゲル化、分離、沈殿形成などの外観の変化が見られる……×
【0055】
【表1】
【0056】
・ES:ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム〔原料アルコールは、1−デセン及び1−ドデセン50/50(質量比)を原料にヒドロホルミル化して得られたアルコールである。このアルコールにEOを平均2モル付加させた後、三酸化イオウにより硫酸化し、水酸化ナトリウムで中和した。全ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム中の全ポリオキシエチレン分岐鎖アルキルエーテル硫酸エステルナトリウムの割合は42質量%であった。〕
・APAO:ラウリン酸アミドプロピルアミンオキシド
・AO:N−ラウリル−N,N−ジメチルアミンオキシド
・スルホベタイン:ラウリルジメチルスルホベタイン
・ノニオン1:アルキル基の組成がC12/C14=60/40(モル比)の混合アルキルでグルコシド平均縮合度1.5のアルキルグルコシド
・ノニオン2:C12、C13混合アルキル2級アルコールに、EOを平均7モル付加させたもの(ソフタノール70H、日本触媒株式会社製)
・防腐剤:プロキセルBDN(アビシア株式会社製)
・pH:0.1規定硫酸水溶液及び0.1規定水酸化ナトリウム水溶液で調節した。
Claims (6)
- (a)陰イオン界面活性剤5〜50質量%、(b)20℃の水100gにおける溶解度が5g以上の亜鉛塩として配合される亜鉛0.001〜0.1質量%、及び(c)フェノキシエタノールを含有する、食器用抗菌液体洗浄剤。
- 前記亜鉛塩が、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、グルコン酸亜鉛、臭化亜鉛、硝酸亜鉛、塩化亜鉛アンモニウム、酢酸亜鉛、硫酸亜鉛アンモニウム、硫酸亜鉛アルミニウム、硫酸亜鉛カリウム及びヨウ化亜鉛から選ばれる一種以上である請求項1記載の食器用抗菌液体洗浄剤。
- (d)成分/(a)成分のモル比が0.2〜2である請求項3記載の食器用抗菌液体洗浄剤。
- (b)亜鉛が、亜鉛イオン及び解離した亜鉛イオンと解離平衡にある亜鉛である請求項1〜4の何れか1項記載の食器用抗菌液体洗浄剤。
- 更に(e)(a)及び(d)以外の界面活性剤を含有する請求項1〜5の何れか1項記載の食器用抗菌液体洗浄剤。
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