JP3924673B2 - ウエスコ式燃料ポンプ - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、自動車、二輪車等に搭載される燃料ポンプに関し、そのうち特にポンプ室内に配置したインペラーを電動モータによって回転することによって、インペラーの外周に設けた羽根溝の前後に圧力差を生じさせ、この圧力差を連続的に増加することによって燃料を昇圧して吐出するウエスコ式燃料ポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のウエスコ式燃料ポンプは特開平7−197896号公報に示される。
これによると、ウエスコ式燃料ポンプ(以下単に燃料ポンプという)はポンプ部と電動モータによって構成される。
円筒状をなすハウジングの下方に、ポンプハウジングとそれに対接するポンプカバーとが配置され、これらがハウジングの下方に固定配置される。
円筒状をなすポンプ室は、ポンプハウジングに設けた下方が開口する有底状の円形凹部と、それを閉塞するポンプカバーの平面部とによって形成され、このポンプ室には下方に向かって開口する燃料流入路と、ハウジング内に形成されるモータ室内に向かって開口する吐出孔が開口して形成される。
ポンプ室内には円板状をなすタービンベーンとしてのインペラーが回転自在に配置されるもので、インペラーの外周部にはインペラーの表裏を連通する複数の羽根溝が穿設され、更にこのインペラーはモータ室内に配置される電動モータの回転軸に連結され、電動モータの回転によってインペラーはポンプ室内において回転する。
又、ポンプ室を形成するポンプハウジングの下側面にはインペラーの羽根溝に臨み、ポンプ室内に開口する円弧状をなす燃料流路が凹設され、前記吐出孔はインペラーの回転方向の終端部における燃料流路に開口して穿設される。一方ポンプ室を形成するポンプカバーの上側面にはインペラーの羽根溝に臨み、ポンプ室内に開口する円弧状をなす燃料流路が凹設され、前記燃料流入路はインペラーの回転方向の始端部における燃料流路に開口して穿設される。
かかる燃料ポンプによると、電動モータに通電され、電動モータが回転することによってインペラーはポンプ室内において回転し、インペラーの羽根溝前後で圧力差が生じ、これを多数の羽根溝でくり返すことによって燃料流入路より燃料流路を含むポンプ室内に燃料を吸入し、昇圧された燃料をポンプ室から吐出孔を介してモータ室内へ吐出する。
そして、モータ室内に供給される昇圧された燃料はハウジングの上部に開口する燃料吐出路内の逆止弁を燃料圧力によって開放し、外部の燃料噴射弁に向けて供給される。
一方、かかるウエスコ式燃料ポンプにあっては、ポンプ室内におけるベーパーロックを防止する為のエア抜き孔が設けられるもので、これは特開平9−209864号公報に開示される。
すなわちエア抜き孔の上方は、ポンプカバーに設けた燃料流路を介してポンプ室に開口して形成され、下方はポンプカバーより外方に向かって開口して穿設される。
而してポンプ室内に生起するベーパーはポンプ室内の昇圧された燃料(これは燃料の極く一部に相当する)とともにエア抜き孔を介してポンプ室外に排出されるもので、ポンプ室内におけるベーパーロックの発生を抑止できる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
かかる従来のウエスコ式燃料ポンプによると、燃料ポンプが燃料タンク内に配置され、燃料タンク内に形成される燃料液面がポンプカバーに形成される燃料流入路の開口より低い場合において、以下の不具合を生ずる。
すなわち前記状態において、機関の停止に伴って燃料ポンプが停止されると、ハウジングの上部に設けた燃料吐出路内の逆止弁は外方に向かう燃料圧力が消滅したことによって、燃料吐出路を自動的に閉塞し、逆止弁より下流側に位置する燃料配管内の燃料が燃料ポンプ内に向かって逆流することを防止する。
一方、前記状態において、燃料タンク内の燃料液面は、燃料流入路の下方開口及びエア抜き孔の下方開口より低位置にあり、これによると、燃料液面の上部にある空気はエア抜き孔よりポンプ室内へ流入し、ポンプ室内にある燃料は燃料流入路を介して燃料タンク内へ排出される。そして前記においてポンプ室内に流入した空気は、インペラーの羽根溝、ポンプハウジングの燃料流路、吐出孔を介してモータ室内へ流入することになり、この空気はモータ室内の燃料と徐々に入れかわり、モータ室内の燃料が吐出孔、ポンプ室、燃料流入路を介して燃料タンク内へ排出される。
以上によると、機関の停止後における時間の経過に伴いモータ室内の燃料が空状態となる恐れがある。
そして、かかるモータ室内の燃料が空の状態において、再び機関の始動操作が行なわれて燃料ポンプが駆動されると、ポンプ室から吐出孔を介して吐出される燃料はまずモータ室を燃料で満たして昇圧し、その後燃料吐出路から燃料噴射弁に向けて燃料を供給することになる。
ここで注目すべきことは、モータ室の室容積はポンプ室の室容積より圧倒的にその容積が大なるもので、前記機関の再始動時においてまず大容積よりなるモータ室内を燃料で満たし、且つモータ室内の燃料圧力が昇圧する迄に時間が掛かり、燃料噴射弁への燃料の供給が遅れ、機関の良好な再始動性を阻害する恐れがある。
【0004】
又、前記燃料ポンプが各種の燃料タンク内に配置される際、燃料ポンプはそのレイアウトの点から垂直置き、斜め置き、横置き、とあらゆる方向に配置されることがあり、これによると、前記各種の配置状態においてエア抜き孔からポンプ室内に流入する空気の流入に差異が生じて、ポンプ室内における残留燃料が不均一となり、安定した機関の再始動性を得ることができない。
【0005】
一方、特開平2001−27160号公報によると、吐出孔に逆止弁を配置し、燃料ポンプの停止時において、モータ室内の圧力を保持する構造が開示されるが、これによると部品点数、組みつけ工数が増加して製造コストの低減を達成することができず、また狭い吐出孔内への逆止弁の配置設計は困難を極める。
【0006】
本発明になるウエスコ式燃料ポンプは前記不具合に鑑み成されたもので、特に機関の停止後における機関の再始動時において、燃料ポンプより昇圧された燃料を即座に燃料噴射弁に向けて供給することができ、良好で安定した機関の再始動性を得ることのできるウエスコ式燃料ポンプを提供することを主目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明になるウエスコ式燃料ポンプは前記課題を達成する為に、ポンプハウジングとそれをおおうポンプカバーとによって形成されるポンプ室と、
ポンプ室内に回転自在に配置され、モータ室内の電動モータによって回転駆動され、その外周に表裏を連通する複数の羽根溝を備えるインペラーと、
ポンプハウジングのポンプ室に臨む下側面に、インペラーの羽根溝に沿って周方向に燃料流路が凹設され、インペラーの回転方向の終端部に形成されてポンプ室とモータ室とを連通する吐出孔と、よりなるウエスコ式燃料ポンプにおいて、
前記吐出孔を、ポンプ室に臨む段差部をもってポンプハウジングの下側面に開口し、
燃料ポンプの停止時において、燃料の表面張力によりポンプ室からモータ室への空気の流入を阻止したことを第1の特徴とする。
【0008】
更に、本発明は、前記第1の特徴に加え、前記吐出孔の開口面積を、インペラーの回転方向前方に行くに従い小さくしたことを第2の特徴とする。
【0009】
更に本発明は前記第1の特徴に加え、前記段差部を、吐出孔と相似形としたことを第3の特徴とする。
【0010】
【作用】
本発明の第1の特徴によると、機関の停止に伴う燃料ポンプの停止時にあって、ポンプ室内の燃料が燃料流入路を介して外部へ排出されて空気がポンプ室内に流入した状態において、吐出孔の下方端を、段差部をもってポンプハウジングの下側面に開口したので、吐出孔の下方端に形成される表面張力による燃料膜が下方にわん曲して形成されても、該燃料膜がポンプ室内に配置されるインペラーに接触することがなく、燃料膜を確実に形成できる。
これによると、ポンプ室内からモータ室内へ向かって進入しようとする空気の流入は、前記表面張力によって形成される燃料膜によって阻止されるので、モータ室内における空気と燃料との置換作用が行なわれることがなく、モータ室内の燃料が吐出孔、ポンプ室、燃料流入路を介して燃料タンク内へ排出されることがなく、モータ室内に燃料を貯溜保持できる。
従って、機関の再始動時において、燃料噴射弁に向けての燃料供給に遅れを生じさせることがなく、機関の良好は再始動性を得ることができる。
【0011】
更に、本発明の第2の特徴によると、吐出孔の開口面積をインペラーの回転方向前方に行くに従い狭く形成したので、この狭い部分から燃料膜が形成されていくことになり燃料膜を確実に形成できる。
【0012】
更に又、本発明の第3の特徴によると、段差部を吐出孔と相似形に形成したので、段差部をコンパクトにまとめることができる。
【0013】
【実施例】
以下本発明になるウエスコ式燃料ポンプの一実施例を図1により説明する。
1は上下が開口した筒状をなすハウジングであり、上方の開口は第1閉塞部材2Aと第2閉塞部材2Bとによって閉塞される。
具体的にはハウジング1の上方係止段部1A上に第1閉塞部材2A、第2閉塞部材2Bが当接配置され、ハウジング1の上端が第2閉塞部材2Bの肩部に向けて内方へカシメられる。
そして、前記第1、第2閉塞部材2A,2Bには下端がハウジング1内に開口し、上端が上方に向かって開口する燃料吐出路2Cが形成され、この燃料吐出路2Cには下方から上方に向かう燃料圧力によって該燃料吐出路を開放する圧力応動型の逆止弁2Dが配置される。
又、第1閉塞部材2Aの中心には後述する電動モータの上端を回転自在に支持する軸受Gが配置され、更に第2閉塞部材2Bに電動モータの電機子に外部より給電を行なう為の電源用のコネクタ2Eが設けられる。
【0014】
又、ハウジング1の下方の開口はポンプハウジング3とポンプカバー4とによって閉塞される。
ポンプハウジング3は図2によく示されるもので図1を併用して説明する。
ポンプハウジング3は中実円筒状をなし下端3Aから上方に向かって円形の凹部3Bが穿設され、さらにその中心部の貫通孔内には軸受Gが配置される。
そして、前記凹部の下側面3Cには円弧状をなす燃料流路3Dが凹設されるもので、後述するインペラーの回転方向Aにおける燃料流路3Dの終端部3Eには下側面3C側から上側面3Fに向かって吐出孔5が貫通して穿設される。
この吐出孔5は図3によく示される。
【0015】
ポンプカバー4は図4によく示されるもので図1を併用して説明する。
ポンプカバー4は中実円筒状をなし、その上部にポンプハウジング3の下端3Aに当接して凹部3Bの開口を閉塞する平坦面4Aを有し、この平坦面4Aにはポンプハウジング3の燃料流路3Dに対向して臨む燃料流路4Bが凹設され、後述するインペラーの回転方向Aにおける燃料流路4Bの始端部4Cにはポンプカバー4外に向かって開口する燃料流入路6が穿設される。
又、4Dは燃料流路4Bからポンプカバー4外に向かって開口するエア抜き孔である。
尚、前述した図2は図1の如く配置されたポンプハウジング3を下方よりみた平面図、図3は図2のX−X線における要部縦断面図、図4は図1の如く配置されたポンプカバー4を上方よりみた平面図、である。
【0016】
そして、ハウジング1の下方係止段部1Bにポンプハウジング3が当接配置され、さらにポンプハウジング3の下端3Aに向けてポンプカバー4の平坦面4Aが当接配置され、この状態でハウジング1の下端がポンプカバー4の肩部に向けて内方へカシメられ、これによってポンプハウジング3とポンプカバー4とがハウジング1の下端に固定配置される。
以上によると、ポンプハウジング3の円形をなす凹部3Bは、ポンプカバー4の平坦面4Aによって閉塞されてポンプ室7を形成するもので、このポンプ室7内にインペラー8が回転自在に配置される。
【0017】
インペラー8は、その外周にインペラー8の表裏を連通するとともにポンプハウジング3の燃料流路3D及びポンプカバー4の燃料流路4Bに臨む複数の羽根溝8Aが形成され、その中心にはD型形状をなす欠円孔8Bが貫通して穿設される。
一方、第1閉塞部材2Aとポンプハウジング3との間のハウジング1内にはモータ室9が形成され、このモータ室9内に電動モータMが配置される。
電動モータMは、電機子10と、電機子10の中心に固定的に立設される回転軸11と、電機子10の外周に臨む一対の永久磁石12とによって構成される。
そして、回転軸11の上端は第1閉塞部材2Aの軸受Gに回転自在に支持され、回転軸11の下方はポンプハウジング3の軸受Gに回転自在に支持され、さらに回転軸11の下端のDカット部11Aがインペラー8の欠円孔8Bに挿入されて係合される。
【0018】
従って、コネクタ2Eを介して電機子10に電気が供給されて電動モータMが回転すると、インペラー8は回転軸11からの回転力を受けて同期的に回転するもので、インペラー8がポンプ室7内において回転することによって、燃料吸入路6からポンプ室7内に燃料を吸入し、ポンプ室7内において昇圧された燃料は、吐出孔5を介してモータ室9内へ供給され、さらにモータ室9内の燃料は燃料吐出路2Cを介して図示せぬ外部の燃料噴射弁に向けて供給される。
【0019】
ここで本発明になる燃料ポンプによると、吐出孔5に燃料ポンプが停止した際において、燃料の表面張力によって燃料膜による燃料保持機能をもたせたことである。
すなわち、吐出孔5の下端5Aを側方に広がる段差部5Bをもってポンプハウジング3の下側面3Cに開口したものである。
尚、本例において、段差部5Bはポンプハウジング3の燃料流路3Dの上側部3Gより更に上方に凹設されるもので、これは図3に明示される。
要するにこの段差部5Bは吐出孔5の下端5Aに形成される燃料膜Fが他の部材と接触させない役目を成すものである。
以上によれば、燃料ポンプが停止すると、ポンプ室7内に残留する燃料はエア抜き孔4Dより空気がポンプ室7内へ流入することによって、燃料導入路6から外部へ排出され、ポンプ室7は空状態となる。
かかる状態において、吐出孔5に着目すると、吐出孔5の下端5Aは段差部5Bを介して燃料が空状態で空気が存在するポンプ室7に臨んで開口し、一方吐出孔5には、モータ室9内に連なる燃料が存在することになり、これによって吐出孔5の下端5Aには燃料の表面張力による燃料保持機能としての燃料膜Fが確実に形成される。
すなわち、吐出孔5の下端5Aに燃料の表面張力によって燃料膜Fが形成された際、ポンプ室7内に配置されるインペラー8と燃料膜Fとが段差部5Bによって接触することがないもので、燃料膜Fの形成をより一層確実にできる。これは図3によって理解される。
そして、このように吐出孔5に燃料保持機能としての燃料膜Fを形成したことによると、ポンプ室7内に存在する空気は燃料膜Fの抵抗によって吐出孔5を介してモータ室9内へ流入することができないもので、モータ室9内における空気と燃料との置換作用が行なわれないことによって、モータ室9内に貯溜される燃料が吐出孔5、ポンプ室7、燃料流入路6、を介して外部へ排出されることが抑止される。
【0020】
ここで吐出孔5は、前記燃料保持機能に加えて所望のポンプ吐出量を確保する機能が必要であり、例えば機関の排気量が660cc程度の小型乗用車向けの燃料ポンプはポンプ吐出量60L/Hを必要とするもので、かかる燃料ポンプにおいて、インペラー8の直径33.6mm、厚さ3.8mm、羽根溝8Aの数46個、を用いた場合、吐出孔5の横断面積を7.884mm2とすることによって、前記燃料の表面張力による燃料保持機能と、所望のポンプ吐出量を得ることができた。
尚、前述の数値はあく迄一実施例にすぎないもので、吐出孔の設定は、ポンプの吐出量と、燃料の表面張力によって燃料膜が形成される燃料保持機能とを合わせもつよう両方の面から適宜設定される。
【0021】
以上の如く、吐出孔5を、ポンプ室7に臨む段差部5Bをもってポンプハウジング3の下側面3Cに開口したので、吐出孔5に燃料保持機能としての燃料膜Fを形成することができ、モータ室9内の燃料が、かかる機関の停止時においても外部へ流出することがなく、継続的にモータ室9内に燃料を貯溜、保持できる。
従って、かかる機関の停止状態から再び機関を始動させる機関の再始動時において、電動モータMが駆動すると、極めて小容積をなすポンプ室7が燃料で満たされるや、即座にモータ室9内に継続的に貯溜される燃料を、燃料吐出路2Cを介して図示せぬ燃料噴射弁に向けて供給できるもので、時間遅れなく機関の再始動を行なうことができる。
【0022】
又、前記吐出孔5に形成される燃料膜Fは、燃料ポンプの配置状態が変化しても何等変われるものでなく、燃料ポンプの配置状態に係わらず燃料ポンプの停止時に、常にモータ室9内に燃料を貯溜保持できる。
従って、燃料ポンプの配置状態に係わらず、常に時間遅れなく機関の再始動を行なうことができる。
【0023】
更に、本発明によれば、燃料保持機能として燃料ポンプが備える吐出孔に形成した燃料膜Fを利用したので、新たな部品を用いる必要がない。
従って、部品点数の増加、組みつけ工数の増加がなく、且つ構成部品を増加したことによる耐久性の保証確認の必要がなく、従来の燃料ポンプへの採用が極めて容易で且つ製造コストの上昇が抑止される。
【0024】
又、前記吐出孔の開口面積を、インペラー8の回転方向A(図2において時計方向の回転)における前方に行くに従って小さくすると、燃料膜Fの形成をより一層確実にできる。
すなわち、図2において吐出孔5の開口面積は回転方向Aの前方に行くに従って先細り状に細かく形成されるもので、燃料の表面張力による燃料膜Fの形成は、先ず吐出孔5の先細りの先端部において形成され、この燃料膜Fが吐出孔5の後端部側に向かって成長して形成される。いいかえると、吐出孔5の先細りの先端部において初期に形成された燃料膜Fが即座に吐出孔5の全体に渡って波紋の如く広がって形成される。
【0025】
又、前述した段差部5Bの形状を吐出孔5の形状と相似形に形成すると、吐出孔5の下端5Aに形成される燃料膜Fに対して略均等なる逃げ部Bを形成できるもので、燃料膜に対するインペラー8の接触をより一層確実に抑止できて燃料膜Fの形成保持に効果的である。
又、前記によればポンプカバー4を射出成形によって形成する際、吐出孔5に相当する鋳抜きピンと段差部5Bに相当する鋳抜きピンとを相似形に形成できるもので、それらの鋳抜きピンの製造を容易にできる。
【0026】
以上の如く、本発明になるウエスコ式燃料ポンプによると、ポンプ室とモータ室とを連通するポンプハウジングに設けられた吐出孔をポンプ室に臨む段差部をもってポンプハウジングの下側面に開口したので、燃料ポンプの停止時において、燃料の表面張力によりポンプ室からモータ室への空気の流入を阻止する燃料保持機能を備えることができ、燃料ポンプが燃料タンク内に配置され、燃料タンク内の燃料液面がポンプカバーに形成される燃料流入路の開口より低い場合において、機関が停止して燃料ポンプが停止した際、吐出孔に形成される燃料保持機能としての燃料の表面張力による燃料膜によってモータ室内に貯溜される燃料が燃料流入路より燃料タンク内へ排出されることがない。
従って機関の再始動時において、時間遅れなく即座に機関の再始動を行なうことができるとともに燃料ポンプの異なった配置状態においても安定した機関の再始動を行なうことができる。
又、吐出孔そのものに燃料保持機能を持たせたことにより、特別に新たな部品を必要とすることがなく、製造コストの上昇を抑止できるとともに従来の燃料ポンプへの実施が極めて容易に行なうことができる。
又、吐出孔の下端を段差部をもってポンプハウジングの下側面に開口したことによると、吐出孔の下端に形成される燃料膜が他の部材によって破壊されることがなく、燃料膜を安定して形成維持できる。
更に、吐出孔の開口面積をインペラーの回転方向前方に行くに従って小さく形成したことによると吐出孔の下端に形成される燃料膜を即座に且つ確実に形成することができる。
更に又、吐出孔の下端に形成される段差部を吐出孔の形状と相似形に形成したことによると、吐出孔の下端に対して均一な逃げ部を形成できて燃料膜の形成、保持を確実にでき、且つ段差部の形成を安価に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明になるウエスコ式燃料ポンプの縦断面図。
【図2】 図1に用いられるポンプハウジングの下方よりみた平面図。
【図3】 図2のX−Xにおける要部縦断面図。
【図4】 図1に用いられるポンプカバーの上方よりみた平面図。
【符号の説明】
3 ポンプハウジング
3C 下側面
4 ポンプカバー
5 吐出孔
5B 段差部
7 ポンプ室
8 インペラー
F 燃料膜
Claims (3)
- ポンプハウジングとそれをおおうポンプカバーとによって形成されるポンプ室と、
ポンプ室内に回転自在に配置され、モータ室内の電動モータによって回転駆動され、その外周に表裏を連通する複数の羽根溝を備えるインペラーと、
ポンプハウジングのポンプ室に臨む下側面に、インペラーの羽根溝に沿って周方向に燃料流路が凹設され、インペラーの回転方向の終端部に形成されてポンプ室とモータ室とを連通する吐出孔と、よりなるウエスコ式燃料ポンプにおいて、
前記吐出孔を、ポンプ室7に臨む段差部5Bをもってポンプハウジング3の下側面3Cに開口し、
燃料ポンプの停止時において、燃料の表面張力によりポンプ室7からモータ室9への空気の流入を阻止したことを特徴とするウエスコ式燃料ポンプ。 - 前記吐出孔の開口面積を、インペラーの回転方向前方に行くに従い小さくしたことを特徴とする請求項1記載のウエスコ式燃料ポンプ。
- 前記段差部を、吐出孔と相似形としたことを特徴とする請求項1記載のウエスコ式燃料ポンプ。
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