JP3924656B2 - 色安定性ジアルキルアミノエタノールの製造方法 - Google Patents

色安定性ジアルキルアミノエタノールの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明はジアルキルアミンとエチレンオキシドから色安定性ジアルキルアミノエタノールを製造する方法に関する。
【0002】
アルキルアミノエタノールは、化学、医薬工業における重要な中間生成物である。ジメチルアミノエタノールは、例えば塩、鹸化物、エーテル、エステルなどの形態で、乳化剤、表面活性剤として、またポリウレタン化学における触媒として使用される。医薬工業においては、医薬的有効化合物(トランキライザー、抗ヒスタミン剤、鎮痛剤)を合成するために使用される。多くの用途において、その変褪色は好ましくない。
【0003】
【従来技術】
エチレンオキシドへのアミンの付加は、水の添加により著しく促進される。従って、水の不存在下にエチレンオキシドをジメチルアミンと反応させる場合、150℃において長時間加熱する必要があるが、ジメチルアミン水溶液を使用すると、加熱しなくても、これら両材料化合物は結合してジメチルアミノエタノールをもたらす。この水の作用と同様の作用を、メタノールまたはエタノールのようなアルコールが示す(ホウベン/ワイルのメトーデン、デル、オルガニッシェン、ヘミー11/1巻、1957、311−350頁参照)。
【0004】
またアルカノールアミンはさらに反応して、ヒドロキシルのエトキシル化により、高いエトキシル化度の生成物をもたらすことも公知である。この追加的反応は、水により有利な影響を受けるといわれており、これは過剰量のアミン(1.1:1から4:1)を使用することにより抑止され得る。(西独特願公開2357076号、東独同203534号各公報、米国特許2337004号、同2373199号各明細書)。
【0005】
さらに、ジメチルアミノエタノールのような3級アミンは80℃以下において、水の存在下でも不存在下でも、オキシランと反応して、90℃以上で可成り迅速に分解する、熱的に不安定な4級アンモニウム化合物をもたらすことも知られている(Helv.Chim.Acta 52、1969、408−418頁におけるE.トブラーらの論稿参照)。
【0006】
ヨーロッパ特願公開70978号公報は、過剰量のジメチルアミン(2.2当量)と、エチレンオキシドを、水の存在下(0.2から0.5当量)に150℃で連続的に反応させ、次いで一定量のナトリウムボロヒドリドを添加して蒸留により後処理することを開示している。
【0007】
米国特許3131132号明細書は、過剰量のジメチルアミン(1から2当量)とエチレンオキシドとを、50から100℃で、水(3から15当量)の存在下に50から100℃でバッチ式に反応させることおよび次いでpH値を11.5に調整した後に蒸留処理(190ミリバール)することが開示されている。
【0008】
特開平1−160947号公報は、水を触媒的に使用するジメチルエタノールアミンの合成および高沸点成分の蒸留除去(100ミリバール)、留出物のRu/Cによる水素化、100ミリバールにおける精留を開示している。
【0009】
東独特願公開203534号公報には、極めて穏和な反応条件下(50から90℃)、蝕媒的量の水(0.02から0.15当量)の存在下における、過剰量のジメチルアミン(1.1から3.5:1)とエチレンオキシドの反応および依然として90℃を超えない温度での蒸留後処理が記載されている。
【0010】
Helv.Chim.Acta 52、1969、408−418頁によれば、4級塩基形成の際の90℃以下への反応温度の低減は、収率の低減をもたらすとされている。
【0011】
また、米国特許3567779号明細書は、ジメチルエタノールアミンへのモノもしくはジエタノールアミンの添加により、変褪色を阻止し得ることを開示している。
【0012】
しかしながら、上述した色安定性(変褪色しない)ジアルキルエタノールアミン製造方法もしくは変褪色防止方法はいずれも、ジアルキルエタノールアミンを汚染する異物的安定化剤を使用するという不利点、または純化物質(還元剤ないし酸)の量的除去が高コストを要するという不利点を有する。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
そこでこの技術分野における課題ないし本発明の目的は、従来技術の不利点をもたらすことなく、ジアルキルアミノエタノールの変褪色を防止する方法というよりは、むしろ色安定性ジアルキルアミノエタノールを製造する方法を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
しかるに上述の課題ないし目的は、以下の一般式(I)
【0015】
【化3】
Figure 0003924656
で表わされ、かつ式中のR1 とR2 が、相互に無関係に、それぞれC1 −C20アルキルを意味する場合の色安定性ジアルキルアミノエタノールを、
以下の一般式(II)
【0016】
【化4】
Figure 0003924656
で表わされ、かつ式中のR1 、R2 が上記の意味を有する場合のジアルキルアミンとエレンオキシドとを、95から170℃の温度で、反応混合物に対して2.5から50重量%の水の存在下に反応させ、水と高沸点成分を塔底温度40から90℃で蒸留により分離することにより製造する方法により解決ないし達成されることが本発明者らにより見出された。
【0017】
本発明方法は以下のようにして実施され得る。すなわち、式IIで表わされ、式中のR1 、R2 が相互に無関係にそれぞれC1 −C20アルキル、好ましくはC1 −C8 アルキル、ことにC1 −C4 アルキル、その中でも特にメチルまたはエチル、なかんずくメチルを意味する場合のジアルキルアミンと、エチレンオキシドとの反応は、95から170℃、好ましくはから160℃、ことに100から140℃の温度、1.5から100バール、好ましくは5から70バール、ことに10から40バールの圧力で、反応混合物に対して2.5から50重量%、好ましくは5から35重量%、ことに8から25重量%の水の存在下に行なわれる。
【0018】
ジアルキルアミンIIのエチレンオキシドに対する使用モル割合は、1:1から50:1、好ましくは1.1:1から20:1、ことに1.2:1から10:1の範囲である。
【0019】
過剰量のジアルキルアミンは蒸留により除去し、好ましくは塔底温度55から90℃での蒸留により除去し、再循環使用するのが好ましい。水と高沸点副生成物(4級塩基、ジアルキルアミノジグリコール)の蒸留分離は、塔底において、40から90℃、好ましくは55から90℃、ことに60から85℃の温度、5から150ミリバール、好ましくは25から150ミリバール、ことに50から150ミリバールの圧力下で行なわれる。
【0020】
本発明方法により得られるジアルキルエタノールアミンは、99から99.999%、好ましくは99.5から99.9%、ことに99.8から99.9%の純度を有し、不活性ガス(窒素、アルゴン)雰囲気下で貯蔵する場合、数ケ月にわたり変褪色に対する安定性を示す。
【0021】
(実施例)
例1(比較例)
V2Aグレードスチール製の、圧力、温度計を具備する、300ミリリットルの内容積の撹拌反応器中に、99g(2.2モル)のジメチルアミンと1.1g(0.06モル)の水を装填し、65℃に予熱した。撹拌器の作動下に、この液相に対しまず5gのエチレンオキシドを計量、添加し、数分後に温度上昇が始まり、これにより反応開始が確認された。次いで全量48g(1.1モル)のエチレンオキシドの残量を60分間にわたり、計量、添加し、外部冷却により反応混合物の温度を74から80℃に維持した。計量、添加終了後、なお5分間撹拌を継続してから、反応混合物を50℃まで冷却し、反容器を注意深く非作動化し、過剰のDMAを50℃においてN2 ストリッピングにより除去して、以下の組成の、エチレンオキシドを含有しない反応生成物93.0gを得た。
【0022】
ジメチルエタノールアミン 80.52%
ジメチルアミノジアルコール 5.28%
4級塩基 10.00%
その他の副生成物 3.10%
水 1.10%
【0023】
50−100ミリバールの減圧下に、35cmの密閉カラムを使用して粗生成物を蒸留し、カラーナンバー5APHAのDMEAを得た。この純粋DMEAを窒素雰囲気下において60℃に6時間加熱した後、再度カラーナンバーを測定したところ、依然5APHAの結果を得た。これにより色安定性において秀れていることが実証された。
【0024】
例2(比較例)
上記と同じ反応器に同じく99g(2.2モル)のジメチルアミンと1.1g(0.06モル)の水を装填し、65℃に予備加熱した。撹拌器の作動下に、この液相に対しまず5gのエチレンオキシドを計量、添加し、数分後の温度上昇により反応開始を確認した。次いで全量48g(1.1モル)のエチレンオキシドの残量を、本例では120分間にわたり計量、添加し、外部冷却により反応混合物の温度を74から80℃に維持した。計量、添加終了後、なお5分間撹拌を継続してから、反応混合物を50℃まで冷却し、反応器を注意深く非作動化し、過剰のDMAを50℃においてN2 ストリッピングにより除去して、エチレンオキシドを含有しない以下の組成の反応生成物95.0gを得た。
【0025】
ジメチルエタノールアミン 87.17%
ジメチルアミノジグリコール 3.28%
4級塩基 5.63%
その他の副生成物 2.82%
水 1.10%
【0026】
50−100ミリバールの減圧下に、35cm密閉カラムを使用して粗生成物を蒸留し、カラーナンバー5APHAのDMEAを得た。この純粋DMEAを60℃に6時間加熱した後に、あらためて測定されたカラーナンバーは依然5APHAであった。
【0027】
例3(実施例)
500ミリリットル内容積の同様の反応器に、ジメチルアミン(3350g/h、74.5モル/h)と、水(840g/h、46.7モル/h)から成り、75℃に予熱された混合物を装填し、エチレンオキシド(600g/h、13.6モル/h)と連続的に反応させた。反応熱を消散させるために外部冷却し、110℃を超えないように留意した。過剰量のジメチルアミン(3−4バール/塔底温度130−140℃)と水(ジメチルエタノールアミンとの共沸混合物として600ミリバール/塔底温度100−105℃)を蒸留除去し、循環使用した。これによりエチレンオキシドを含まない以下の組成の反応生成物(125g/h)を得た。
【0028】
ジメチルエタノールアミン 82.64%
ジメチルアミノジグリコール 2.40%
4級塩基 3.67%
その他の副生成物 3.55%
残留水分 7.74%
【0029】
50ミリバール(塔底温度65−75℃)で蒸留後処理し、高沸点成分と残留水分を除去し、純度99.8−99.9%、カラーナンバー5APHAのジメチルエタノールアミンを得た。60℃に6時間加熱した後のカラーナンバーも依然として5APHAであった。窒素雰囲気下、室温において3ケ月貯蔵後のカラーナンバーは10APHAであった。
【0030】
例4(実施例)
90g(2モル)のジメチルアミンと、22.5g(2.5モル)の水を、実施例1と同じ反応器に装填し、120℃に予備加熱した。次いで撹拌器の作動下に、22g(0.5モル)のエチレンオキシドを10分間にわたり計量、添加した。その間に温度は140℃に上昇し、計量、添加終了後、この140℃でさらに5分間撹拌した。次いで反応混合物を50℃に冷却し、反応器を注意深く非作動化し、N2 ストリッピングにより過剰量のジメチルアミンと若干量の水を除去し、エチレンオキシドを含まず、以下の組成を示す反応生成物50.8gを得た。
【0031】
ジメチルエタノールアミン 84.45%
ジエチルアミノジグリコール 1.00%
4級塩基 0.10%
その他の副生成物 1.55%
残留水分 13.00%
【0032】
50ミリバールの減圧下に、35cm密閉カラムを使用して、上記粗生成物を精製し、カラーナンバー5APHAのDMEAを得た。この精製DMEAを60℃に6時間加熱した後にカラーナンバーをあらためて測定したところ同じく5APHAを示した。

Claims (10)

  1. 以下の一般式(I)
    Figure 0003924656
    (式中、R1 とR2 が、相互に無関係に、それぞれC1 −C20アルキルを意味する。)で表わされる色安定性ジアルキルアミノエタノールを、
    以下の一般式(II)
    Figure 0003924656
    (式中、R1 、R2 が上記の意味を有する。)で表わされるジアルキルアミンとエチレンオキシドとを、95から170℃の温度で、反応混合物に対してから50重量%の水の存在下に反応させ、水と高沸点成分を塔底温度40から90℃で蒸留により分離することにより製造する方法。
  2. 1 、R2 がC1 −C8 アルキルであることを特徴とする、請求項(1)による方法。
  3. 1 、R2 がC1 −C4 アルキルであることを特徴とする、請求項(1)による方法。
  4. 1 、R2 がメチルまたはエチルであることを特徴とする、請求項(1)による方法。
  5. 1 、R2 がメチルであることを特徴とする、請求項(1)による方法。
  6. 水と高沸点成分を、5から150ミリバール、塔底温度40から90℃で、蒸留により分離することを特徴とする、請求項(1)による方法。
  7. 水と高沸点成分を、25から150ミリバール、塔底温度40から90℃で、蒸留により分離することを特徴とする、請求項(1)による方法。
  8. ジアルキルアミンIIとエチレンオキシドとを、100から140℃の温度で反応させることを特徴とする、請求項(1)による方法。
  9. ジアルキルアミンIIを、塔底温度55から90℃で蒸留により分離することを特徴とする、請求項(1)による方法。
  10. 水と高沸点成分を、塔底温度60から85℃で蒸留により分離することを特徴とする、請求項(1)による方法。
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