JP3922846B2 - アクチュエータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、エンジンの吸気ポートの実効長さを変更するコントロールバルブを作動するアクチュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジンの吸気ポートの実効長さを変更するコントロールバルブを作動するアクチュエータとしては、負圧式のものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のものでは、コントロールバルブを閉じたままにするのに戻しばねが用いられるが、開けたままにするのには、負圧を連続して導入しなければならず、その負圧が高地等の気圧の低い所で変動するおそれがあるため、結果的に、確実な作動を行い難いという問題点があった。
【0004】
【発明の目的】
この発明に係わるアクチュエータは、気圧の影響を受けずに確実な作動を行えるアクチュエータを提供することを目的としている。
【0005】
【発明の構成】
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明の請求項1に係わるアクチュエータでは、ケースと、ケースに収容され、通電により、正回転、逆回転するアーマチュア軸をもつモータと、モータのアーマチュア軸に結合されたピニオンと、ケースに収容されてピニオンに噛合され、ピニオンの回転により回動される回動体と、回動体を回動可能に支持するとともに、ケースに回動可能に支持された枢支軸と、枢支軸に固定されたカム部材と、回動体に形成され、該回動体が進み側に回動される際にカム部材を押圧可能にするカム部材押圧部と、枢支軸に結合されているとともに、エンジンのコントロールバルブに連結されるプーリと、ケースに形成され、カム部材が挿入されて該カム部材を固定した枢支軸の回動をコントロールバルブのバルブ閉位置からバルブ開位置まで許容するガイド溝と、ピニオンの回転により回動体が進み回動された際に、該回動体のストロークエンドで回動体および枢支軸を回動不能に保持するロック機構を備え、ロック機構は、カム部材押圧部と、回動体の中心からケースのローラ回転用側壁に向けて移動可能にして回動体に収容されたスライダと、回動体に収容されていて、スライダをローラ回転用側壁に向け押圧するスライダばねと、スライダの端部に配置され、ローラ回転用側壁上を移動するローラと、ローラ回転用側壁の端部に繋がって形成され、回動体の進み側のストロークエンドでローラが落し込まれて回動体の回動を拘束可能にして該回動体を回動不能に保持する回動体ロック溝と、ガイド溝とから構成したことを特徴としている。
【0007】
この発明の請求項2に係わるアクチュエータでは、ケースと、ケースに収容され、通電により、正回転、逆回転するアーマチュア軸をもつモータと、モータのアーマチュア軸に結合されたピニオンと、ケースに収容されてピニオンに噛合され、ピニオンの回転により回動される回動体と、回動体を回動可能に支持するとともに、ケースに回動可能に支持された枢支軸と、枢支軸に固定されたカム部材と、回動体に形成され、該回動体が進み側に回動される際にカム部材を押圧可能にするカム部材押圧部と、枢支軸に結合されているとともに、エンジンのコントロールバルブに連結されるプーリと、ケースに形成され、カム部材が挿入されて該カム部材を固定した枢支軸の回動をコントロールバルブのバルブ閉位置からバルブ開位置まで許容するガイド溝と、ピニオンの回転により回動体が進み回動された際に、該回動体のストロークエンドで回動体および枢支軸を回動不能に保持するロック機構を備え、ロック機構は、カム部材押圧部と、回動体の中心からケースのローラ回転用側壁に向けて移動可能にして回動体に収容されたスライダと、回動体に収容されていて、スライダをローラ回転用側壁に向け押圧するスライダばねと、スライダの端部に配置され、ローラ回転用側壁上を移動するローラと、ローラ回転用側壁の端部に繋がって形成され 、回動体の進み側のストロークエンドでローラが落し込まれて回動体の回動を拘束可能にして該回動体を回動不能に保持する回動体ロック溝と、ガイド溝とから構成し、上記クラッチ機構は、上記カム部材と、上記カム部材押圧部と、上記ガイド溝とから構成したことを特徴としている。
【0008】
この発明の請求項1または2に係わるアクチュエータにおいて、ロック機構は、ピニオンの動力により回動体が進み回動された際に、回動体のストロークエンドで回動体および枢支軸を保持することにより、枢支軸に結合されたプーリをロックの状態とする。それ故、回動体が保持されている状態でモータへの通電がカットオフされても、プーリはロックの状態で保持されるから、コントロールバルブを開けたままにするのに負圧を連続して導入しなければならない負圧式のものと比べて、気圧の変動の影響を受けずに作動が行われる。
【0009】
【発明の実施の形態】
【0010】
図1ないし図11には、この発明に係わるアクチュエータの一実施例が示されている。
【0011】
図示するアクチュエータ1は、主として、ロアケース2、アッパケース3、モータ4、ピニオン5、回動体6、スライダ7、スライダばね8、ローラ9、第1のダンパ10、第2のダンパ11、枢支軸12、カム部材13、プーリ14から構成されている。
【0012】
ロアケース2には、モータ固定部2a、コネクタ部2b、枢支軸支持部2c、ガイド溝2d、ローラ回転用側壁2e、回動体ロック溝2f、第1ダンパ衝突部2g、第2ダンパ衝突部2hがそれぞれ形成されている。
【0013】
モータ固定部2aは、図3に示されるように、ロアケース2の底板2iを貫通して形成されており、このモータ固定部2aには、ロアケース2の外側からモータ4のモータヨーク4cに形成されたフランジ4bがねじ止めされることによってモータ4が固定されている。
【0014】
モータ4には、図2に示されるように、モータヨーク4cの内側に第1、第2マグネット4d、4eがそれぞれ配置され、第1、第2マグネット4d、4eの内周部にアーマチュア4fが配置されている。アーマチュア4fは、アーマチュア軸4g、アーマチュアコア4h、コンミュテータ4i、アーマチュアコイル4jをもち、コンミュテータ4iに図示しない一対のブラシが電気的に接続可能に圧接されている。アーマチュア4fのアーマチュア軸4gは、モータヨーク4cの閉塞側端部に取付けられた第1軸受4kと、エンドカバー4aに取付けられた第2軸受4mとによって回転可能に支持されて、エンドカバー4aからロアケース2内に突出して配置されている。そして、アーマチュア軸4gのロアケース2内に突出している部分にピニオン5が固定されている。
【0015】
ロアケース2のコネクタ部2bは、モータ固定部2aの側にロアケース2の外側に突出して配置されている。コネクタ部2b内には、第1、第2ターミナル20、21が配置されており、第1、第2ターミナル20、21は、モータ4に備えられた一対のブラシにそれぞれ電気的に接続されている。
【0016】
コネクタ部2bには、図示しないコントローラに備えられたコネクタが装着されることによって、第1、第2ターミナル20、21がコントローラに電気的に接続されるため、コントローラから一対のブラシに対して正方向に電流が供給されることによってモータ4のアーマチュア軸4gおよびピニオン5が正回転され、これに反して、コントローラから一対のブラシに対して逆方向に電流が供給されることによってモータ4のアーマチュア軸4gおよびピニオン5が逆回転される。
【0017】
ロアケース2の枢支軸支持部2cは、ロアケース2の底板2iのほぼ中央部に凹状にして形成されており、この枢支軸支持部2cに、第3軸受22が固定され、この第3軸受22に枢支軸12が挿入されて回動可能に支持されている。
【0018】
ロアケース2のガイド溝2dは、クラッチ機構の一部およびロック機構の一部を構成するものであって、図5に示されるように、枢支軸支持部2cのまわりに第1の端部2d1から第2の端部2d2までのほぼ145度の範囲をもって凹状にして形成されている。ガイド溝2dの範囲は、後述する回動体6の回動範囲に対応して選ばれている。ガイド溝2dには、枢支軸12に固定された後述するカム部材13に形成された突起13cが挿入されており、このガイド溝2dは、カム部材13を固定した枢支軸12の回動を、後述するコントロールバルブのバルブ閉位置からバルブ開位置まで許容する。
【0019】
ロアケース2のローラ回転用側壁2eは、ロアケース2がもつ側板2jのモータ固定部2aの反対側部分に円弧形にして形成されており、その端部が回動体ロック溝2fに連続して繋がっている。ローラ回転用側壁2eには、回動体6の後述するローラ9が圧接し該ローラ9は自身で回転しながら該ローラ回転用側壁2eに沿って移動される。
【0020】
ロアケース2の回動体ロック溝2fは、ロック機構の一部を構成するものであって、ローラ回転用側壁2eの端部でローラ回転用側壁2eに段部をもって連設されている。この回動体ロック溝2fには、回動体6のローラ9が図9に示すロック位置Bに到達したときに回動体6のローラ9が落し込まれ、回動体6がロック位置Bで保持される。
【0021】
ロアケース2の第1、第2ダンパ衝突部2g、2hは、枢支軸支持部2cのモータ固定部2a側に枢支軸支持部2cを中心としてほぼ250度の範囲でもってV字に配置されている。第1ダンパ衝突部2gには、回動体6のローラ9が図10および図11に示す復帰位置Aに到達する際に回動体6の第1のダンパ10が衝突し、第2ダンパ衝突部2hには、回動体6のローラ9が図9に示すロック位置Bに到達する際に回動体6の第2のダンパ11が衝突する。
【0022】
枢支軸12は、丸棒形にされており、この枢支軸12には、ロアケース側の基端部にカム部材13が固定され、中央部に回動体6が挿通され、中央部の先端部側に第4軸受23、オイルリング24がそれぞれ挿着され、アッパケース3の外側に突出した先端部にプーリ14が固定されている。
【0023】
アッパケース3は、ロアケース2の開口部を覆う板状にして形成されており、そのほぼ中央部に形成された軸受取付用凹部3aに第4軸受23、オイルリング24がそれぞれ固定されている。
【0024】
カム部材13は、クラッチ機構の他の一部を構成するものであって、このカム部材13には、カム部材本体13a、アーム13b、突起13cが備えられている。
【0025】
カム部材本体13aは、図5に示されるように、円環形に形成されて枢支軸12に一体に固定されている。アーム13bは、カム部材本体13aから外側に板状に突出形成されている。突起13cは、図2に示されるように、アーム13bの先端部からロアケース2のガイド溝2d内で遊動可能にして突出形成されている。
【0026】
カム部材13は、回動体6に直接的に結合されておらず、回動体6に形成されたカム部材押圧部6gによってのみ押圧回動される。また、回動体6にはカム部材押圧部6gと所定 の角度間隔を置いてカム部材13の回動範囲を規制するカム部材規制部6hを形成してあり、カム部材13がカム部材押圧部6gに押圧されないときには、該カム部材13はカム部材押圧部6gとカム部材規制部6h間の角度範囲内で回動自在になっている。
【0027】
モータ4のアーマチュア軸4gが正回転することによってピニオン5が正回転して回動体6が回動し、該回動体6のローラ9が図8に示す復帰位置Aから図9に示すロック位置Bまで進み回動される際、カム部材13のアーム13bが回動体6に形成されたカム部材押圧部6gに衝突され、このカム部材押圧部6gに押圧されることによって突起13cがガイド溝2d内を第1の端部2d1側から第2の端部2d2に向け移動され、カム部材13と一体に回動する枢支軸12が図8に示すバルブ閉位置Cから図9に示すバルブ開位置Dに回動される。回動体6がロック位置Bまで回動された際、図9に示されるように、カム部材13は、突起13cがロアケース2のガイド溝2dの第2の端部2d2によって、進み回動される側が拘束されているとともに、回動体6のカム部材押圧部6gによって戻り回動される側が拘束されてロック状態とされる。
【0028】
カム部材13は、モータ4のアーマチュア軸4gが逆回転することによってピニオン5が逆回転して回動体6が回動し、該回動体6のローラ9がロック位置Bから復帰位置Aまで戻し回動される際、図10に示されるように、アーム13bが回動体6に形成されたカム部材規制部6hに押圧されず、カム部材押圧部6gとカム部材規制部6hとの間に置かれるため、回動体6のみが復帰位置Aまで戻り回動する空振り動作が行われる。
【0029】
回動体6がロック位置Bから復帰位置Aまで戻し回動された際、枢支軸12に結合されたプーリ14がエンジンのコントロールバルブ側に設けられた図2に示される戻しばね40の弾性復元力により強制的に戻り回動されるため、図11に示されるように、枢支軸12がカム部材13に一体でもって回動体6とは分離してバルブ開位置Dからバルブ閉位置Cまで単独で戻り回動される。カム部材13および枢支軸12は、プーリ14に連結されるケーブル41の引張力によって戻り回動されるから、カム部材13、枢支軸12、プーリ14のみが戻り回動することがなく、その結果、ケーブル41が弛んだり、外れたりすることがない。
【0030】
そして、枢支軸12がバルブ閉位置Cにあって、外力によって枢支軸12が強制的にバルブ閉位置Cからバルブ開位置Dにカム部材13とともに回動されたとしても、カム部材13は、カム部材押圧部6gとカム部材規制部6hとの間を空振りで回動するだけなので、回動体6がモータ4の動力を介さずに進み回動されることはなく、従って回動体6のローラ9が回動体ロック溝2fで保持されてしまうことがない。
【0031】
回動体6には、円板形にされた回動体本体6a、歯部6b、枢支軸挿通部6c、スライダ収容部6d、第1のダンパ取付部6e、第2のダンパ取付部6f、カム部材押圧部6g、カム部材規制部6hがそれぞれ形成されている。
【0032】
歯部6bは、回動体本体6aの側縁部のほぼ120度に渡って形成されており、この歯部6bにはピニオン5が噛み合っている。
【0033】
枢支軸挿通部6cは、回動体本体6aの中央部で回動体本体6aの厚さ方向に貫通されて形成されている。この枢支軸挿通部6cには枢支軸12が挿通されているため、回動体6は枢支軸12によって回転可能に支持されている。
【0034】
スライダ収容部6dは、歯部6bの反対側に回動対の外側部から中心に向けて深さをもつ矩形の孔に形成されている。このスライダ収容部6dには、ロック機構の他の一部を構成するスライダばね8、同じくロック機構の他の一部を構成するスライダ7の順に収容され、スライダ7の先端部にロック機構の残りの一部を構成するローラ9が回転可能に取付けられている。スライダ7は、スライダ収容部6dに支持されながらスライダばね8の弾性反発力によりロアケース2に形成されたローラ回転用側壁2e側に押圧されるため、ローラ9をロアケース2のローラ回転用側壁2eに圧接させている。
【0035】
第1、第2のダンパ取付部6e、6fは、回動体本体6aの下面側にそれぞれ板形にして突出形成されており、スライダ収容部6dを中心としてハの字の配置になっている。第1のダンパ取付部6eには第1のダンパ10が固定され、第2のダンパ取付部6fには第2のダンパ11が固定されている。第1のダンパ10は、回動体6のローラ9が復帰位置Aに到達する際にロアケース2の第1ダンパ衝突部2gに衝突し、第2のダンパ11は、回動体6のローラ9がロック位置Bに到達する際にロアケース2の第2ダンパ衝突部2hが衝突することによって、回動体6のストロークエンドでの衝撃を緩和する。
【0036】
カム部材押圧部6gとカム部材規制部6hは、第1、第2のダンパ取付部6e、6fからそれぞれ回動体本体6aの中心側に向けてほぼ110度の範囲をもってハの字の配置にされて形成されている。
【0037】
カム部材押圧部6gは、ロック機構の残りの一部およびクラッチ機構の残りの一部を構成するものであって、モータ4の動力により回動体6のローラ9が復帰位置Aからロック位置Bまで回動される際に、カム部材13に衝突して、そのカム部材13とともに枢支軸12をバルブ閉位置Cからバルブ開位置Dまで押圧回動させる機能をもつとともに、回動体6のローラ9がロック位置Bに到達している際に、カム部材13のアーム13bに衝突して、カム部材13、枢支軸12が回動しないようにロックさせる機能をもつ。
【0038】
回動体6のローラ9が復帰位置Aにあって、カム部材13とともに枢支軸12がバルブ閉位置Cにある図8の状態で、モータ4に正方向に通電がされると、ピニオン5の正回転によって、回動体6が進み側に図中時計方向に回動される。
【0039】
回動体6が進み側に回動を始めると、ローラ9がローラ回転用側壁2e上を回転しながら移動され、回動体6のカム部材押圧部6gがカム部材13のアーム13bを図8中時計方向に押圧するため、枢支軸12がバルブ閉位置Cからバルブ開位置Dに向けて回動される。
【0040】
やがて、図9に示されるように、回動体6のローラ9がロック位置Bに到達すると、第2のダンパ11がロアケース2の第2のダンパ衝突部2hに衝突し、ローラ9が回動体ロック溝2fに落し込まれて回動体6が進み回動を拘束され、枢支軸12がバルブ開位置Dに到達する。このとき、回動体6は、ローラ9が回動体ロック溝2fに落し込まれているため、機械的なロックが掛けられるとともに、カム部材13は、回動体6のカム部材押圧部6gによってバルブ閉位置Cに向けた回動を阻止されるため、モータ4への通電がカットオフされてからも、回動体6のロック位置B、カム部材13および枢支軸12のバルブ開位置Dでのロック状態が保持される。
【0041】
回動体6のローラ9がロック位置Bにあって、カム部材13とともに枢支軸12がバルブ開位置Dにある図9の状態で、モータ4に逆方向に通電がされると、ピニオン5の逆回転によって、回動体6が戻り側に図中反時計方向に回動される。回動体6が戻り側に回動を始めると、図10に示されるように、回動体ロック溝2fに落し込まれていたローラ9が回動体ロック溝2fから外れて、ローラ9がローラ回転用側壁2e上を戻り方向に移動し、回動体6のローラ9が復帰位置Aに到達すると、第1のダンパ10がロアケース2の第1のダンパ衝突部2gに衝突する。
【0042】
そして、回動体6のローラ9がロック位置Bから解除されて復帰位置Aに向け戻り回動を始めると同時的に、枢支軸12に結合されたプーリ14がケーブル41を介してエンジンのコントロールバルブ側に設けられた図2に示される戻しばね40の弾性復元力により強制的に戻り回動されるため、図11に示されるように、枢支軸12がカム部材13とともに回動体6とは分離してバルブ開位置Dからバルブ閉位置Cまで単独で戻り回動される。
【0043】
回動体6は、モータ4の動力によって、復帰位置Aからロック位置Bへ、または、ロック位置Bから復帰位置Aへ回動されるため、高地等の気圧の低い所で気圧の影響を受けて作動が鈍るおそれがない。
【0044】
プーリ14は、アッパケース3から突出した枢支軸12の先端部に固定されている。このプーリ14には、図6に示されるように、枢支軸12が中央に固定されるプーリ本体14a、フック係止部14b、ケーブル巻回部14cが一体成形されている。フック係止部14bには、図示しないエンジンのコントロールバルブに連結される図2に示されるケーブル41の端部に設けられたフックが係止される。ケーブル巻回部14cには、ケーブル41が巻回される。プーリ14は、枢支軸12とともにバルブ閉位置C、バルブ開位置Dのあいだを回動する。
【0045】
プーリ14は、図7に示されるように、フック係止部14bと、プーリ本体14aのケーブル巻回部14cの形成されていない側と、ケーブル巻回部14cの端部とを結んだパーティングラインPLが設定されているため、ケーブル巻回部14cにパーティングラインが存在しないので、通常の2分割の型割りによって作成した場合に、ケーブル巻回部上にあるパーティングラインを削除するのに行われるやすりがけなどの後処理が必要ないので、工数の増加が防げる。
【0046】
ロアケース2、アッパケース3の外側には、ブラケット45がねじ止めされており、このブラケット45に設けられたケーブル支持部45aにケーブル41に備えられたケース42がねじ止めされている。ブラケット45は、エンジンのインテークマニホールドコレクタに固定される。プーリ14に一端部が連結されたケーブル41の他端部は、インテークマニホールドコレクタ内に配置されたコントロールバルブに連結される。
【0047】
このようなアクチュエータ1は、ブラケット45がエンジンのインテークマニホールドコレクタに固定され、ケーブル41の他端部がインテークマニホールドコレクタ内に配置されたコントロールバルブに連結され、コネクタ部2bにコントローラのコネクタが装着されて車体に搭載される。
【0048】
エンジンが始動され、そのエンジンが低中速回転の時は、コントローラから第1、第2のターミナル20、21に通電が行われないので、図8に示されるように、回動体6は、そのローラ9が復帰位置Aに、カム部材13、枢支軸12、プーリ14は、いずれもバルブ閉位置Cにあり、ケーブル41は、コントロールバルブの戻しばね40によって閉じられている。
【0049】
コントロールバルブが閉じられているため、吸気ポートの実効長さが長くなり、長いポートによって吸気慣性効果が得られて吸入効率が向上し、その結果、エンジンがより高いトルクを発生する。
【0050】
エンジンが高速回転になると、コントローラから第1、第2のターミナル20、21に正方向に電流供給が行われるので、モータ4のアーマチュア軸4gが正回転され、ピニオン5の正回転によって、回動体6が図8中時計方向に回動を始める。
【0051】
回動体6が進み側に図8中時計方向に回動を始めると、ローラ9がローラ回転用側壁2e上を回転しながら移動され、回動体6のカム部材押圧部6gがカム部材13のアーム13bを時計方向に押圧するためカム部材13が回動し、該カム部材13に固定された枢支軸12がバルブ閉位置Cからバルブ開位置Dに向けて回動され、回動体6のローラ9が図9に示すロック位置Bに到達すると、第2のダンパ11がロアケース2の第2のダンパ衝突部2hに衝突し、ローラ9が回動体ロック溝2fに落し込まれて回動体6が進み回動を拘束され、枢支軸12がバルブ開位置Dに到達するため、プーリ14によりコントロールバルブが開けられる。このとき、コントローラからの電流供給は、内蔵されたタイマによりカットオフされる。この状態で回動体6は、ローラ9が回動体ロック溝2fに落し込まれているため、機械的なロックが掛けられ、モータ4への通電がカットオフされてからもそのロック状態が保持される。
【0052】
コントロールバルブが開けられるため、吸気ポートの実効長さが短くなり、短いポートによって吸気慣性効果が得られて吸入効率が向上し、その結果、エンジンがより高いトルクを発生する。
【0053】
そして、エンジンが再び低中速回転になると、コントローラから第1、第2のターミナル20、21に逆方向に電流供給が行われるので、モータ4のアーマチュア軸4gが逆回転され、ピニオン5の逆回転によって、回動体6が図9中反時計方向に回動する。回動体ロック溝2fに落し込まれていたローラ9が回動体ロック溝2fから外れて、ローラ9がローラ回転用側壁2e上を戻り方向に移動し、やがて、図10に示すように回動体6のローラ9が復帰位置Aに到達すると、第1のダンパ10がロアケース2の第1のダンパ衝突部2gに衝突する。
【0054】
回動体6のローラ9がロック位置Bから解除されて復帰位置Aに向け戻り回動を始めると同時的に、枢支軸12に結合されたプーリ14がエンジンのコントロールバルブ側に設けられた戻しばね40の弾性復元力により強制的に戻り回動されるため、図11に示すように枢支軸12がカム部材13とともに回動体6とは分離してバルブ開位置Dからバルブ閉位置Cまで単独で戻り回動される。コントロールバルブは、戻しばね40によって閉じられる。
【0055】
コントロールバルブが閉じられているため、吸気ポートの実効長さが長くなり、長いポートによって吸気慣性効果が得られて吸入効率が向上し、その結果、エンジンがより高いトルクを発生する。
【0056】
【発明の効果】
以上説明してきたように、この発明の請求項1または2に係わるアクチュエータによれば、ロック機構は、ピニオンの動力により回動体が進み回動された際に、回動体のストロークエンドで回動体および枢支軸を保持することにより、枢支軸に結合されたプーリをロックの状態とする。それ故、回動体が保持されている状態でモータへの通電がカットオフされても、プーリはロックの状態で保持されるから、コントロールバルブを開けたままにするのに負圧を連続して導入しなければならない負圧式のものと比べて、気圧の変動の影響を受けずに作動が行われる。よって、気圧の影響を受けずに確実な作動が行えるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係わるアクチュエータの一実施例の正面図である。
【図2】図1に示したアクチュエータの内部構造を説明する横断平面図である。
【図3】図1に示したアクチュエータにおいての各部品の組付け関係を説明する外観斜視図である。
【図4】図1に示したアクチュエータにおいてのアウタケースを取り除いた状態での正面図である。
【図5】図1に示したアクチュエータにおいてのアウタケースと回動体とを取り除いた状態での正面図である。
【図6】図1に示したアクチュエータに用いたプーリの正面図である。
【図7】図6に示したプーリの断面図である。
【図8】図1に示したアクチュエータにおいての回動体、カム部材の動きの説明図である。
【図9】図1に示したアクチュエータにおいての回動体、カム部材の動きの説明図である。
【図10】図1に示したアクチュエータにおいての回動体、カム部材の動きの説明図である。
【図11】図1に示したアクチュエータにおいての回動体、カム部材の動きの説明図である。
【符号の説明】
1 アクチュエータ
2 (ケース)ロアケース
2d (クラッチ機構)(ロック機構)ガイド溝
2f (ロック機構)回動体ロック溝
2j 側板
3 (ケース)アッパケース
4 モータ
4g アーマチュア軸
5 ピニオン
6 回動体
6g (ロック機構)(クラッチ機構)カム部材押圧部
6h カム部材規制部
7 (ロック機構)スライダ
8 (ロック機構)スライダばね
9 (ロック機構)ローラ
12 枢支軸
13(クラッチ機構)カム部材
14 プーリ
Claims (2)
- ケースと、上記ケースに収容され、通電により、正回転、逆回転するアーマチュア軸をもつモータと、上記モータのアーマチュア軸に結合されたピニオンと、上記ケースに収容されて上記ピニオンに噛合され、該ピニオンの回転により回動される回動体と、上記回動体を回動可能に支持するとともに、上記ケースに回動可能に支持された枢支軸と、上記枢支軸に固定されたカム部材と、上記回動体に形成され、該回動体が進み側に回動される際に上記カム部材を押圧可能にするカム部材押圧部と、上記枢支軸に結合されているとともに、エンジンのコントロールバルブに連結されるプーリと、上記ケースに形成され、上記カム部材が挿入されて該カム部材を固定した上記枢支軸の回動を上記コントロールバルブのバルブ閉位置からバルブ開位置まで許容するガイド溝と、上記ピニオンの回転により上記回動体が進み回動された際に、該回動体のストロークエンドで回動体および上記枢支軸を回動不能に保持するロック機構を備え、上記ロック機構は、上記カム部材押圧部と、上記回動体の中心から上記ケースのローラ回転用側壁に向けて移動可能にして上記回動体に収容されたスライダと、上記回動体に収容されていて、上記スライダを上記ローラ回転用側壁に向け押圧するスライダばねと、上記スライダの端部に配置され、上記ローラ回転用側壁上を移動するローラと、上記ローラ回転用側壁の端部に繋がって形成され、上記回動体の進み側のストロークエンドで上記ローラが落し込まれて上記回動体の回動を拘束可能にして該回動体を回動不能に保持する回動体ロック溝と、上記ガイド溝とから構成したことを特徴とするアクチュエータ。
- ケースと、上記ケースに収容され、通電により、正回転、逆回転するアーマチュア軸をもつモータと、上記モータのアーマチュア軸に結合されたピニオンと、上記ケースに収容されて上記ピニオンに噛合され、該ピニオンの回転により回動される回動体と、上記回動体を回動可能に支持するとともに、上記ケースに回動可能に支持された枢支軸と、上記枢支軸に固定されたカム部材と、上記回動体に形成され、該回動体が進み側に回動される際に上記カム部材を押圧可能にするカム部材押圧部と、上記枢支軸に結合されているとともに、エンジンのコントロールバルブに連結されるプーリと、上記ケースに形成され、上記カム部材が挿入されて該カム部材を固定した上記枢支軸の回動を上記コントロールバルブのバルブ閉位置からバルブ開位置まで許容するガイド溝と、上記ピニオンの回転により上記回動体が進み回動された際に、該回動体のストロークエンドで回動体および上記枢支軸を回動不能に保持するロック機構と、上記回動体と上記枢支軸とのあいだに配置され、該回動体が上記ピニオンの回転により進み回動される際にその動力を該枢支軸に伝達可能にして、且つ、回動体が該ピニオンの回転により戻り回動される際にその動力を枢支軸に対し遮断可能なクラッチ機構を備え、上記ロック機構は、上記カム部材押圧部と、上記回動体の中心から上記ケースのローラ回転用側壁に向けて移動可能にして上記回動体に収容されたスライダと、上記回動体に収容されていて、上記スライダを上記ローラ回転用側壁に向け押圧するスライダばねと、上記スライダの端部に配置され、上記ローラ回転用側壁上を移動するローラと、上記ローラ回転用側壁の端部に繋がって形成され、上記回動体の進み側のストロークエンドで上記ローラが落し込まれて上記回動体の回動を拘束可能にして該回動体を回動不能に保持する回動体ロック溝と、上記ガイド溝とから構成し、上記クラッチ機構は、上記カム部材と、上記カム部材押圧部と、上記ガイド溝とから構成したことを特徴とするアクチュエータ。
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